JP7381422B2 - 造形物の製造方法及び造形物 - Google Patents

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Description

本発明は、造形物の製造方法及び造形物に関する。
近年、生産手段としての3Dプリンタのニーズが高まっており、特に金属材料への適用については航空機業界等で実用化に向けて研究開発が行われている。金属材料を用いた3Dプリンタは、レーザやアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融させ、溶融金属を積層させて造形物を造形する。
特許文献1には、第1方向に沿う第1パスと、第1方向と異なる第2方向に沿う第2パスとを繰り返して枠内にビードを充填し、第1パス及び第2パスの間において、第2パスから離れる方向に延びて第2パスに向かう方向に折り返す折り返しパスを備えることが記載されている。
特開2018-86664号公報
ところで、軸体の外周に溶着ビードを積層させて造形物を造形するために、周方向に沿う溶着ビードを軸方向に隣接させながら形成すると、溶着ビードの形成パス数が多くなり生産効率が低下してしまう。また、この場合、周方向に沿って形成した各溶着ビードに始端と終端との繋ぎ目が生じるため、未溶着部や凹凸部分が生じやすく、品質低下を招いてしまう。
特許文献1のように、溶着ビードを折り返して充填すれば、溶着ビードの形成パス数を抑えることが可能であるが、折り返し部分で溶着ビードが幅方向や高さ方向に張り出し、溶着ビードによって造形した造形部分の寸法が変動してしまう。
そこで本発明は、未溶着部の発生を抑えつつ軸体の周囲に溶着ビードを精度よく形成して高品質な造形物を効率的に製造することが可能な造形物の製造方法及び造形物を提供することを目的とする。
本発明は下記構成からなる。
(1) 軸体の周囲に溶着ビードを繰り返し積層して造形物を製造する造形物の製造方法であって、
前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなる複数の壁部を軸方向に間隔をあけて造形する壁部造形工程と、
前記壁部同士で囲まれた充填範囲内において、前記壁部より幅広な溶着ビードを前記軸体の周方向に形成するとともに前記軸体の軸方向へ向かって順に隣接させて前記充填範囲を前記溶着ビードによって充填する内部造形工程と、
を含み、
前記内部造形工程において、
前記軸体の周方向の一方に向かって形成する溶着ビードが既に形成した既設の溶着ビードと接触する箇所で溶着ビードの軌道を前記軸体の軸方向へ向け、さらに、前記既設の溶着ビードに対して前記軸体の軸方向に隣接する箇所で溶着ビードの軌道を前記軸体の周方向の一方へ向ける軌道変換処理を行う、
造形物の製造方法。
(2) 軸体と、
前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなり、前記軸体の軸方向に間隔をあけて造形された複数の壁部と、
前記壁部より幅広な溶着ビードによって前記壁部同士で囲まれた充填範囲内に造形された造形部と、
を有し、
前記造形部は、
前記軸体の周方向に向かって形成されて前記軸体の軸方向へ隣接された前記溶着ビードからなる複数の環状部と、
隣接する前記環状部の一端と他端とを連結する前記溶着ビードからなる連結部と、
を有する、
造形物。
本発明によれば、未溶着部の発生を抑えつつ軸体の周囲に溶着ビードを精度よく形成して高品質な造形物を効率的に製造することができる。
本発明の造形物の製造に用いる製造システムの構成図である。 軸体への溶着ビードの形成の仕方を説明する軸体の概略断面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 造形部同士の隙間へ溶着ビードを充填する際の位置の調整制御を説明する充填箇所の概略断面図である。 内部造形工程における充填範囲への溶着ビードの充填の仕方の他の例を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 内部造形工程における充填範囲への溶着ビードの充填の仕方の他の例を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 充填範囲への溶着ビードの形成例を示す図であって、(A)~(C)は、各層における溶着ビードの形成状態を示す造形物の軸方向に沿う概略側面図である。 軌道変換処理の位置のずらし方を説明する軸体の概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の造形物の製造に用いる製造システムの構成図である。
本構成の造形物の製造システム100は、積層造形装置11と、積層造形装置11を統括制御するコントローラ13と、電源装置15と、を備える。
積層造形装置11は、先端軸にトーチ17が設けられた溶接ロボット19と、トーチ17に溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部21とを有する。
溶接ロボット19は、多関節ロボットであり、ロボットアームの先端軸に取り付けたトーチ17には、溶加材Mが連続供給可能に支持される。トーチ17の位置や姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
トーチ17は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給される。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する造形物に応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。トーチ17は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。溶加材Mは、ロボットアーム等に取り付けた不図示の繰り出し機構により、溶加材供給部21からトーチ17に送給される。そして、トーチ17を移動しつつ、連続送給される溶加材Mを溶融及び凝固させると、溶加材Mの溶融凝固体である線状の溶着ビードBが形成される。
コントローラ13は、CAD/CAM部31と、軌道演算部33と、記憶部35と、これらが接続される制御部37と、を有する。
CAD/CAM部31は、作製しようとする造形物Wの形状データ(CADデータ等)を入力又は作成し、軌道演算部33と協働して、造形物の造形手順を表す溶着ビードBの積層モデルを生成する。つまり、形状データを複数の層に分割して、各層の形状を表す層形状データを生成する。そして、生成された積層モデルの層形状データに基づいてトーチ17の移動軌跡を決定する。CAD/CAM部31は、生成された層形状データやトーチ17の移動軌跡等のデータに基づいて、トーチ17を移動させて溶着ビードを形成する溶接ロボット19及び電源装置15の駆動プログラムを生成する。生成された駆動プログラム等の各種データは記憶部35に記憶される。
制御部37は、記憶部35に記憶された駆動プログラムを実行して、溶接ロボット19や電源装置15等を駆動する。そして、溶接ロボット19は、コントローラ13からの指令により、軌道演算部33で生成されたトーチ17の軌道軌跡に基づき、溶加材Mをアークで溶融させながらトーチ17を移動させる。
溶加材Mとしては、あらゆる市販の溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定されるワイヤを用いることができる。
図2は、軸体への溶着ビードの形成の仕方を説明する軸体の概略断面図である。
図2に示すように、上記構成の製造システム100は、設定された層形状データから生成されるトーチ17の移動軌跡に沿って、トーチ17を溶接ロボット19の駆動により移動させるとともに、軸体51を軸回りに回動させながら、溶融した溶加材Mからなる溶着ビードBをトーチ17によって軸体51の周囲に積層させて造形物Wを製造する。軸体51は、例えば、鋼棒等の断面円形の丸棒体であり、その両端が、ベース61上に設けられた支持部63に支持されて回動可能とされている(図1参照)。
次に、本発明の造形物の製造方法について説明する。
図3A~図3Hは造形物の製造工程を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。図4は、造形部同士の隙間へ溶着ビードを充填する際の制御を説明する充填箇所の概略断面図である。
(壁部造形工程)
図3Aに示すように、軸体51を回転させながらトーチ17によって軸体51の周面に溶着ビードB1を形成する。これにより、軸体51に、周方向にわたって形成された溶着ビードB1からなる複数の壁部53を、軸体51の軸方向に間隔をあけて造形する。本例では、軸体51に対して、互いに間隔をあけて二つの壁部53を造形する。複数の壁部53が造形された軸体51は、壁部53同士の軸方向に沿う領域が充填範囲FRとされる。なお、壁部53を造形する溶着ビードB1を形成する際には、例えば、低い入熱量で精密な溶着ビードを形成するのが好ましい。これにより、溶着ビードB1のだれ等を抑えつつ壁部53を高精度に造形することができる。
(内部造形工程)
図3Bに示すように、壁部53同士で囲まれた充填範囲FR内において、一方の壁部53側から、溶着ビードB2を軸体51の周方向に形成する。これにより、図3Cに示すように、軸体51の周囲に溶着ビードB2からなる環状部54を形成する。この溶着ビードB2は、壁部53を形成する溶着ビードB1よりも幅広とすることが好ましい。溶着ビードB2を幅広とすることにより、充填範囲FR内における充填効率を高めることができる。なお、溶着ビードB2を幅広とするには、溶着速度を下げたり、溶加材Mの送給速度を上げればよく、また、溶着ビードB2の軌道方向と交差する方向へトーチ17を往復移動させるウィービングを行ってもよい。
そして、この環状部54を形成する溶着ビードB2の端部が、既に形成した既設の溶着ビードB2と接触する箇所で、軸体51の回転及び溶接ロボット19によるトーチ17の移動を制御して軌道変換処理を行う。
図3Dに示すように、軌道変換処理では、まず、軸体51の周方向の一方に向けて形成していた溶着ビードB2の軌道を軸体51の軸方向へ向ける。さらに、軸体51の軸方向へ向けた溶着ビードB2の軌道を、既設の溶着ビードB2からなる環状部54に対して軸体51の軸方向に隣接する箇所で軸体51の周方向の一方へ向ける。
この軌道変換処理において、溶着速度が一定であると、軌道の変換箇所で溶着ビードB2の溶着量が局所的に多くなって屈曲部分で盛り上がってしまう。このため、軌道変換処理では、溶着ビードB2の溶着速度を調整し、溶着ビードB2の溶着量を一定にする。具体的には、溶着ビードB2の軌道を変換する際に、溶接速度を上げたり、溶加材Mの送給速度を下げる。すると、溶着ビードB2の軌道の変換箇所において、溶着ビードB2の溶着速度が下げられて溶着量が一定となり、軌道の変換箇所における屈曲部分が盛り上がるような局所的な溶着金属の形状の変動が抑制され、表面の凹凸形状の発生が抑えられる。なお、ウィービングを行っている場合は、ウィービングの振幅を小さくして溶着速度を一転にしてもよい。
図3Eに示すように、軸体51の周方向への溶着ビードB2の形成及び既設の溶着ビードB2からなる環状部54との接触箇所における軌道変換処理を繰り返すと、環状部54の終端部と始端部とが連結部55を介して連続して形成される。そして、充填範囲FRにおける一方の壁部53側には、複数の環状部54が連結部55によって連結された造形部57が造形される。なお、溶着ビードB2は、環状部54との接触箇所を終点として環状部54の端部に接合させて溶着を終了させる。
図3Fに示すように、壁部53同士で囲まれた充填範囲FR内において、他方の壁部53側にも造形部57をする。具体的には、他方の壁部53側から、壁部53より幅広な溶着ビードB2を軸体51の周方向に形成し、溶着ビードB2の端部が、既設の溶着ビードB2からなる環状部54と接触する箇所で軌道変換処理を行う。そして、軸体51の周方向への溶着ビードB2の形成及び既設の溶着ビードB2からなる環状部54との接触箇所における軌道変換処理を繰り返す。これにより、充填範囲FRにおいて、他方の壁部53側に、複数の環状部54の終端部と始端部が連結部55介して連続して形成された造形部57を、一方の壁部53側に形成した造形部57に対して隙間Gをあけて造形する。
図3Gに示すように、造形部57同士の隙間Gにおいて、軸体51を回転させながら軸体51の周方向にわたって溶着ビードB2を形成する。これにより、図3Hに示すように、溶着ビードB2によって隙間Gを埋める。
この隙間Gを溶着ビードB2で埋める際には、隙間Gに対してトーチ17を幅方向へ往復移動させてウィービングさせるのが好ましい。これにより、溶着ビードB2によって隙間Gを良好に埋めることができる。
このとき、図4に示すように、隙間Gへ充填する溶着ビードB2は、左右の造形部57で囲まれた開先への溶接として溶着することができる。したがって、この隙間Gへの溶着ビードB2の形成は、アークセンサによる開先倣い制御を行うことが好ましい。具体的には、開先とみなされる隙間Gにおいて、溶加材Mと下地との距離の変動によって生じる溶接電流の変化を検出する。そして、この溶接電流の変化に基づいて隙間Gの中心を割り出してトーチ17の位置を隙間Gと直交する幅方向Xにおける適切な位置に調整する。
このように、トーチ17の位置を補正しながら溶着ビードB2を形成すれば、造形部57の幅寸法や造形位置の変動によって変化する隙間Gに対して柔軟に対応して隙間Gを埋めることができる。
なお、隙間Gに形成する溶着ビードB2は、レーザーセンサ等を用いて溶着箇所の形状を計測することにより、溶着量の過不足を求めてリアルタイムでフィードバック制御し、溶接条件を溶接個所の形状に合わせて補正しながら形成してもよい。
上記の工程を繰り返し行うことにより、軸体51の周囲に溶着ビードB1を積層させた壁部53の内側の充填範囲FRが溶着ビードB2によって埋められた造形物Wが造形される。
以上、説明したように、本実施形態に係る造形物の製造方法によれば、軸体51の周方向の一方に向かって形成する溶着ビードB2が既に形成した既設の溶着ビードB2と接触する箇所で、溶着ビードB2の軌道を軸体51の軸方向へ向け、さらに、既設の溶着ビードB2に対して軸体51の軸方向に隣接する箇所で軸体51の周方向の一方へ向ける軌道変換処理を行う。これにより、周方向にわたる複数の溶着ビードを一周ごとに形成して軸方向に隣接させる場合と比べ、充填範囲FRを一層あたり少ないパス数で溶着ビードB2を形成して充填することができる。また、壁部53間を埋める溶着ビードB2の始端及び終端の数を少なくすることができ、未溶着部の発生を抑制して高品質な造形物を製造することができる。しかも、周方向に溶着ビードB2を形成するごとに給電をオン・オフさせる必要がなくなるので、造形にかかる時間を短縮させて生産効率を高めることができる。
また、二つの造形部57同士の隙間Gに周方向にわたる溶着ビードB2を形成して造形部57同士の隙間Gを埋めるので、隙間Gを埋める溶着ビードB2の幅を調整することにより、造形部57の幅寸法や造形位置の変動によって変化する隙間Gに対して柔軟に対応して充填範囲FR内を良好に埋めることができる。さらに、壁部53同士で囲まれた充填範囲FRの大きさに関わらず、充填範囲FRを一層あたり3パスで溶着ビードB2を形成して充填することができる。また、各造形部57を造形する際には、それぞれ壁部53側から造形する。したがって、各壁部53の隣接位置に溶着ビードB2を形成する際に、トーチ17を傾けて壁部53との干渉を回避させることができ、溶着ビードB2を円滑に形成することができる。
また、軌道変換処理によって溶着ビードB2の軌道を変換させる際に、溶着ビードB2の溶着速度を調整して溶着ビードB2の溶着量を一定にする。このように、軌道変換処理の際に、溶着ビードB2の溶着量を一定にすることで、局所的な溶着金属の形状の変動を抑制し、表面の凹凸形状の発生を抑えることができる。
なお、上記の実施形態では、二つの壁部53を軸体51に形成して壁部53で区画された充填範囲FRを充填させたが、三つ以上の壁部53を形成し、それぞれの壁部53で区画された複数の充填範囲FRに溶着ビードB2を充填させてもよい。
ここで、内部造形工程における充填範囲FRへの溶着ビードB2の充填の仕方の他の例を説明する。
図5A及び図5Bは、内部造形工程における充填範囲への溶着ビードの充填の仕方の他の例を示す製造途中の造形物の軸方向に沿う概略側面図である。
図5Aに示すように、壁部53同士で囲まれた充填範囲FR内において、一方の壁部53側から、壁部53より幅広な溶着ビードB2を軸体51の周方向に形成し、軸体51の周囲に溶着ビードB2からなる環状部54を形成する。この環状部54を形成する溶着ビードB2の端部が、既に形成した既設の溶着ビードB2と接触する箇所で、軸体51の回転及び溶接ロボット19によるトーチ17の移動を制御して軌道変換処理を行う。そして、軸体51に対する溶着ビードB2の周方向への形成及び軌道変換処理を繰り返し、連結部55を介して連続して形成された複数の環状部54からなる造形部を造形する。図5Bに示すように、溶着ビードB2の形成位置が充填範囲FRにおける他方の壁部53側に達したら、既設の溶着ビードB2からなる環状部54との接触箇所を終点として溶着ビードB2の溶着を終了させる。
この溶着ビードB2による充填の仕方によれば、壁部53同士で囲まれた充填範囲FRへ溶着ビードB2を1パスで充填させることができる。
また、内部造形工程によって充填範囲FRに溶着ビードB2を積層させる際に、各層における軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらすのが好ましい。このように、充填範囲FRに溶着ビードB2を積層させる際に、各層における軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらすことにより、軌道変換処理の位置の積層方向への重なりを回避することができ、軌道変換処理で形成される連結部55が積層方向に重なることによる局所的な凹凸の発生を抑制することができる。
ここで、内部造形工程によって充填範囲FRに溶着ビードB2を積層させる際の、各層における軌道変換処理の位置の積層方向と交差する方向へのずらし方の一例を説明する。なお、ここでは、軸体51の外周に、第1層から第3層までの造形部57を積層造形する場合を例示して説明する。
図6は、充填範囲FRへの溶着ビードB2の形成例を示す図であって、(A)~(C)は、各層における溶着ビードB2の形成状態を示す造形物の軸方向に沿う概略側面図である。図7は、軌道変換処理の位置のずらし方を説明する軸体51の概略断面図である。
図6の(A)に示すように、軌道変換処理の位置を螺旋状に配置させながら充填範囲FRに溶着ビードB2を形成する。これにより、軌道変換処理によって形成される連結部55が螺旋状に配置された第1層目の造形部57を造形する。
次に、造形した第1層目の造形部57の外周に、上層である第2層目の造形部57を造形する。このときも、図6の(B)に示すように、軌道変換処理の位置を螺旋状に配置させながら充填範囲FRに溶着ビードB2を形成する。これにより、軌道変換処理によって形成される連結部55が螺旋状に配置された造形部57を造形する。このとき、下層の造形部57に対して、軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらすように、溶着ビードB2を形成する。具体的には、図7に示すように、軌道変換処理を行う位置を角度θずつ軸回りにずらし、下層の造形部57における連結部55を通る螺旋に対して、軌道変換処理によって形成する連結部55を通る螺旋の位相を周方向にずらす。
その後、造形した第2層目の造形部57の外周に、さらに上層である第3層目の造形部57を造形する。このときも、図6の(C)に示すように、軌道変換処理の位置を螺旋状に配置させながら充填範囲FRに溶着ビードB2を形成する。これにより、軌道変換処理によって形成される連結部55が螺旋状に配置された造形部57を造形する。このときも、軌道変換処理を行う位置を角度θずつ軸回りにずらし、下層の造形部57における連結部55を通る螺旋に対して、軌道変換処理によって形成する連結部55を通る螺旋の位相が周方向にずれるように溶着ビードB2を形成する。
このようにして、各層において、軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらすことにより連結部55の位置が積層方向と交差する方向へずれた造形部57を造形すれば、例えば、連結部55における溶着ビードB2が他の部位に比べて高さにずれが生じていたとしても、連結部55の位置(位相)が各層ごとに積層方向と交差する方向へずらされることで、連結部55における高さのずれを積層につれて周方向へ分散させることができる。これにより、局所的な高さずれが大きくなること緩和して抑制することができる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 軸体の周囲に溶着ビードを繰り返し積層して造形物を製造する造形物の製造方法であって、
前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなる複数の壁部を軸方向に間隔をあけて造形する壁部造形工程と、
前記壁部同士で囲まれた充填範囲内において、前記壁部より幅広な溶着ビードを前記軸体の周方向に形成するとともに前記軸体の軸方向へ向かって順に隣接させて前記充填範囲を前記溶着ビードによって充填する内部造形工程と、
を含み、
前記内部造形工程において、
前記軸体の周方向の一方に向かって形成する溶着ビードが既に形成した既設の溶着ビードと接触する箇所で溶着ビードの軌道を前記軸体の軸方向へ向け、さらに、前記既設の溶着ビードに対して前記軸体の軸方向に隣接する箇所で溶着ビードの軌道を前記軸体の周方向の一方へ向ける軌道変換処理を行う、造形物の製造方法。
この造形物の製造方法によれば、周方向にわたる複数の溶着ビードを一周ごとに形成して軸方向に隣接させる場合と比べ、充填範囲を一層あたり少ないパス数で溶着ビードを形成して充填することができる。また、壁部間を埋める溶着ビードの始端及び終端の数を少なくすることができ、未溶着部の発生を抑制して高品質な造形物を製造することができる。しかも、溶着ビードを周方向に形成するごとに給電をオン・オフさせる必要がなくなるので、造形にかかる時間を短縮させて生産効率を高めることができる。
(2) 前記内部造形工程において、
前記軌道変換処理を行いながら前記充填範囲内に前記溶着ビードを連続的に周回させることにより複数の造形部を造形し、
前記造形部同士の間に形成された隙間に周方向にわたる溶着ビードを形成し、前記造形部同士の隙間を埋める、(1)に記載の造形物の製造方法。
この造形物の製造方法によれば、複数の造形部同士の隙間に周方向にわたる溶着ビードを形成して造形部同士の隙間を埋めるので、隙間を埋める溶着ビードの幅を調整することにより、造形部の幅寸法や造形位置の変動によって変化する隙間に対して柔軟に対応して充填範囲内を良好に埋めることができる。
(3) 前記充填範囲の両端側から二つの前記造形部を造形し、
二つの前記造形部同士の隙間に周方向にわたる溶着ビードを形成し、前記造形部同士の隙間を埋める、(2)に記載の造形物の製造方法。
この造形物の製造方法によれば、壁部同士で囲まれた充填範囲の大きさに関わらず、充填範囲を一層あたり3パスで溶着ビードを形成して充填することができる。
(4) 前記軌道変換処理によって前記溶着ビードの軌道を変換させる際に、
前記溶着ビードの溶着速度を調整して前記溶着ビードの溶着量を一定にする、(1)~(3)のいずれか一つに記載の造形物の製造方法。
この造形物の製造方法によれば、軌道変換処理の際に、溶着ビードの溶着量を一定にすることで、局所的な溶着金属の形状の変動を抑制し、表面の凹凸形状の発生を抑えることができる。
(5) 前記内部造形工程によって前記充填範囲に前記溶着ビードを積層させる際に、
各層における前記軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらす、(1)~(4)のいずれか一つに記載の造形物の製造方法。
この造形物の製造方法によれば、充填範囲に溶着ビードを積層させる際に、各層における前記軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらすことにより、軌道変換処理の位置の積層方向への重なりを回避し、局所的な凹凸の発生を抑制することができる。
(6) 軸体と、
前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなり、前記軸体の軸方向に間隔をあけて造形された複数の壁部と、
前記壁部より幅広な溶着ビードによって前記壁部同士で囲まれた充填範囲内に造形された造形部と、
を有し、
前記造形部は、
前記軸体の周方向に向かって形成されて前記軸体の軸方向へ隣接された前記溶着ビードからなる複数の環状部と、
隣接する前記環状部の一端と他端とを連結する前記溶着ビードからなる連結部と、
を有する、
造形物。
この造形物によれば、軸体の周囲に、複数の壁部が造形され、壁部によって囲われた充填範囲に、複数の環状部と、互いに隣接する環状部の一端と他端とを連結する連結部とからなる造形部が造形されている。つまり、この造形物によれば、軸体の周囲に溶着ビードによって複数の壁部を形成し、壁部によって囲われた充填範囲において溶着ビードによって環状部及び連結部を1パスで形成して造形部を造形することができる。
(7) 前記充填範囲には、二つの前記造形部が、互いに隙間をあけて造形され、
前記造形部同士の隙間が、前記軸体の周方向へわたって形成された溶着ビードによって埋められている、(6)に記載の造形物。
この造形物によれば、充填範囲に造形された二つの造形部同士の隙間が溶着ビードによって埋められている。つまり、この造形物によれば、充填範囲内に二つの造形部を造形し、造形部同士の隙間に溶着ビードを形成して埋めることにより、容易に造形することができる。
(8) 前記充填範囲に前記溶着ビードが積層され、各層において前記溶着ビードの前記連結部の位置が積層方向と交差する方向へずらされている、(6)または(7)に記載の造形物。
この造形物によれば、充填範囲に積層された溶着ビードの各層における連結部の位置が積層方向と交差する方向へずらされているので、積層方向へ連結部が重なることによる局所的な凹凸の発生を抑制することができる。
51 軸体
53 壁部
54 環状部
55 連結部
57 造形部
B,B1,B2 溶着ビード
FR 充填範囲
G 隙間
W 造形物

Claims (6)

  1. 軸体の周囲に溶着ビードを繰り返し積層して造形物を製造する造形物の製造方法であって、
    前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなる複数の壁部を軸方向に間隔をあけて造形する壁部造形工程と、
    前記壁部同士で囲まれた充填範囲内において、前記壁部より幅広な溶着ビードを前記軸体の周方向に形成するとともに前記軸体の軸方向へ向かって順に隣接させて前記充填範囲を前記溶着ビードによって充填する内部造形工程と、
    を含み、
    前記内部造形工程において、
    前記軸体の周方向の一方に向かって形成する溶着ビードが既に形成した既設の溶着ビードと接触する箇所で溶着ビードの軌道を前記軸体の軸方向へ向け、さらに、前記既設の溶着ビードに対して前記軸体の軸方向に隣接する箇所で溶着ビードの軌道を前記軸体の周方向の一方へ向ける軌道変換処理を行い、
    且つ、前記軌道変換処理を行いながら前記充填範囲内に前記溶着ビードを連続的に周回させることにより複数の造形部を造形し、
    前記造形部同士の間に形成された隙間に周方向にわたる溶着ビードを形成し、前記造形部同士の隙間を埋める、
    造形物の製造方法。
  2. 前記充填範囲の両端側から二つの前記造形部を造形し、
    二つの前記造形部同士の隙間に周方向にわたる溶着ビードを形成し、前記造形部同士の隙間を埋める、
    請求項に記載の造形物の製造方法。
  3. 前記軌道変換処理によって前記溶着ビードの軌道を変換させる際に、
    前記溶着ビードの溶着速度を調整して前記溶着ビードの溶着量を一定にする、
    請求項1又は2に記載の造形物の製造方法。
  4. 前記内部造形工程によって前記充填範囲に前記溶着ビードを積層させる際に、
    各層における前記軌道変換処理の位置を積層方向と交差する方向へずらす、
    請求項1~のいずれか一項に記載の造形物の製造方法。
  5. 軸体と、
    前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなり、前記軸体の軸方向に間隔をあけて造形された複数の壁部と、
    前記壁部より幅広な溶着ビードによって前記壁部同士で囲まれた充填範囲内に造形された造形部と、
    を有し、
    前記造形部は、
    前記軸体の周方向に向かって形成されて前記軸体の軸方向へ隣接された前記溶着ビードからなる複数の環状部と、
    隣接する前記環状部の一端と他端とを連結する前記溶着ビードからなる連結部と、
    を有
    前記充填範囲には、二つの前記造形部が、互いに隙間をあけて造形され、
    前記造形部同士の隙間が、前記軸体の周方向へわたって形成された溶着ビードによって埋められている、
    造形物。
  6. 軸体と、
    前記軸体の周方向に形成した溶着ビードからなり、前記軸体の軸方向に間隔をあけて造形された複数の壁部と、
    前記壁部より幅広な溶着ビードによって前記壁部同士で囲まれた充填範囲内に造形された造形部と、
    を有し、
    前記造形部は、
    前記軸体の周方向に向かって形成されて前記軸体の軸方向へ隣接された前記溶着ビードからなる複数の環状部と、
    隣接する前記環状部の一端と他端とを連結する前記溶着ビードからなる連結部と、
    を有
    前記充填範囲に前記溶着ビードが積層され、各層において前記溶着ビードの前記連結部の位置が積層方向と交差する方向へずらされている、
    造形物。
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