JP2020116621A - 積層造形物の製造方法及び積層造形物 - Google Patents
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ところで、内部に冷却媒体を循環させる冷却室や流路等の空洞を有するロータ等の造形物は、後工程で空洞を切削等によって形成するのが困難である。このため、空洞を有する造形物を積層造形によって製造する場合、造形体の造形時に空洞を容易に形成する技術が要求される。
(1) 棒状の軸体と、前記軸体の外周に、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層してなる造形体とを備え、前記軸体の軸方向に沿って延伸する軸方向空洞が前記造形体に形成された積層造形物の製造方法であって、
前記軸体の外周に前記溶着ビードを積層させて前記造形体を造形する際に、前記軸方向空洞となる空間部を有するサポート部材を、予め前記軸体の軸方向に沿って前記軸体の外周面に装着させるサポート部材装着工程を行う
積層造形物の製造方法。
(2) 棒状の軸体と、
前記軸体の外周に、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層してなる造形体と、
を備えた積層造形物であって、
前記造形体には、
空間部を有するサポート部材が前記軸体の軸方向に沿って設けられ、
前記サポート部材の前記空間部によって、軸方向へ延伸する軸方向空洞が形成されている
積層造形物。
図1は本発明の製造方法で製造する積層造形物の概略斜視図である。図2は積層造形物の造形体に形成された空洞を説明する模式的な斜視図である。
図4は積層造形物を製造する際の領域設定の仕方を説明する積層造形物の軸方向に沿う断面図である。図5A〜図5Eは積層造形物の造形体の形成手順を示す製造途中の積層造形物の軸方向に沿う概略断面図である。図6A〜図6Eは積層造形物の造形体の形成手順を示す製造途中の積層造形物の領域A2における軸方向と直交する方向に沿う概略断面図である。図7は軸体に装着するサポート部材の斜視図である。
製造する積層造形物Wの3次元形状データである最終製品CADデータに基づいて、製造する積層造形物Wを、軸方向の複数の領域に分割する。具体的には、図4に示すように、造形体43が溶着ビードのみで形成される領域A1、造形体43が周方向空洞である冷却室45と溶着ビードとで形成される領域A2及び造形体43が軸方向空洞である連通路47と溶着ビードとで形成される領域A3に分割する。
3次元形状データを複数種類の領域A1〜A3に分割した造形体43を、軸体41を回動させながら軸体41の外周面に溶着ビードを積層させることで造形する。
(1)サポート部材装着工程
図5A及び図6Aに示すように、連通路47を形成する領域A3において、軸体41の外周面にサポート部材51を装着させる。図7に示すように、サポート部材51は、平板部53と、平板部53の両側縁から同一方向に向かって突設する一対の側板部55とを有する断面視C字状のチャンネル材である。このサポート部材51は、例えば、金属、カーボンあるいはセラミックなどから形成されている。このサポート部材51は、平板部53と側板部55とで囲われた空間部Sを有しており、この空間部Sは、平板部53と反対側である一方側が開放されている。このサポート部材51を、その空間部Sの開放側を軸体41に向けて軸体41の軸方向に沿って配設する。そして、軸体41とサポート部材51の側板部55との接触箇所に積層造形装置11のトーチ17によって溶着ビードを形成し、軸体41の周面に配設したサポート部材51を軸体41に固定する。これにより、軸体41の外周面にサポート部材51を装着させる。なお、サポート部材51は、軸体41に対して接着材によって接着固定してもよい。
図5B及び図6Bに示すように、周方向空洞である冷却室45の形成予定位置を除く位置に溶着ビードBを積層させて造形部61を形成する。具体的には、軸体41を回動させながら、冷却室45を形成する領域A2を除く領域A1,A3に、トーチ17によって軸体41の外周面に溶着ビードBを周方向に沿って形成して積層させ、溶着ビードBからなる造形部61を造形する。このとき、造形部61における冷却室45側の壁面61aが冷却室45の最外周よりも外周側に達するように造形部61を形成する。
図5C及び図6Cに示すように、まず、造形部61における冷却室45の形成予定位置側の互いに対向する壁面61aに、周方向へわたってトーチ17によって支持用溶着ビードBsを形成する。この支持用溶着ビードBsは、冷却室45の最外周に沿って、最外周よりも僅かに内周側に形成する。なお、この支持用溶着ビードBsは、全周に沿って間欠的に形成してもよい。
図6Eに示すように、領域A2において、閉塞部材65の外周側にトーチ17によってカバー用溶着ビードBcを積層させる。このカバー用溶着ビードBcは、造形部61を造形する際の溶着ビードBよりも低い入熱量で形成する溶着ビードである。そして、このカバー用溶着ビードBcを閉塞部材65の外周側に積層させたら、図5Eに示すように、全ての領域A1〜A3にトーチ17によって溶着ビードBを形成して積層させて造形体43を形成する。
軸体41の外周に造形体43を造形させたら、造形体43の外周を切削加工装置等によって切削し、最終製品形状に形成する。
(1) 棒状の軸体と、前記軸体の外周に、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層してなる造形体とを備え、前記軸体の軸方向に沿って延伸する軸方向空洞が前記造形体に形成された積層造形物の製造方法であって、
前記軸体の外周に前記溶着ビードを積層させて前記造形体を造形する際に、前記軸方向空洞となる空間部を有するサポート部材を、予め前記軸体の軸方向に沿って前記軸体の外周面に装着させるサポート部材装着工程を行う
積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、軸方向空洞となる空間部を有するサポート部材を軸体の軸方向に沿って軸体の外周面に予め装着させて溶着ビードを積層させ、造形体を形成する。これにより、軸体の軸方向に沿って延伸する軸方向空洞が造形体に形成された積層造形物を容易に製造することができる。
これにより、姿勢を容易に変更することができない大型の造形物を製造する場合であっても、造形物に流路等として用いられる軸方向空洞を容易にかつ高精度に形成することができる。
前記サポート部材装着工程において、前記空間部の開放側を前記軸体の外周面に向けて前記サポート部材を軸方向に沿って配設する
(1)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、断面視C字状の安価なチャンネル材をサポート部材として用いるので、軸方向空洞を有する積層造形物を安価に製造することができる。
(1)または(2)に記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、軸体の外周面に配置させたサポート部材を溶着ビードによって容易にかつ迅速に軸体へ固定することができる。これにより、造形体の造形作業を効率的に行うことができる。
前記サポート部材は、前記軸方向空洞となる空間部を有する軸空洞形成部と、前記周方向空洞となる空間部を有する周空洞形成部とを有し、
前記サポート部材装着工程において、前記軸方向空洞の形成位置に前記軸空洞形成部を配置させ、前記周方向空洞の形成位置に前記周空洞形成部を配置させる
(1)〜(3)のいずれか一つに記載の積層造形物の製造方法。
この積層造形物の製造方法によれば、サポート部材の軸空洞形成部によって軸方向空洞を容易に形成することができる。しかも、サポート部材の周空洞形成部を周方向空洞の形成位置に配置させることで、造形体に形成する周方向空洞に対してサポート部材の周空洞形成部の空間部を連通させることができる。これにより、周方向空洞と軸方向空洞とがサポート部材の空間部によって確実に連通された積層造形物を製造することができる。
前記軸体の外周に、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層してなる造形体と、
を備えた積層造形物であって、
前記造形体には、
空間部を有するサポート部材が前記軸体の軸方向に沿って設けられ、
前記サポート部材の前記空間部によって、軸方向へ延伸する軸方向空洞が形成されている
積層造形物。
この積層造形物によれば、軸体の軸方向に沿って設けられたサポート部材の空間部からなる軸方向空洞が造形体に設けられている。これにより、軸方向空洞を冷却水などの冷却媒体を通す流路として用いることができる。
(5)に記載の積層造形物。
この積層造形物によれば、互いに連通された周方向空洞及び軸方向空洞に冷却水などの冷却媒体を流して冷却することが可能な積層造形物を提供できる。
43 造形体
45 冷却室(周方向空洞)
47 連通路(軸方向空洞)
51 サポート部材
51a 軸空洞形成部
51b 周空洞形成部
B 溶着ビード
M 溶加材
S 空間部
W 積層造形物
Claims (6)
- 棒状の軸体と、前記軸体の外周に、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層してなる造形体とを備え、前記軸体の軸方向に沿って延伸する軸方向空洞が前記造形体に形成された積層造形物の製造方法であって、
前記軸体の外周に前記溶着ビードを積層させて前記造形体を造形する際に、前記軸方向空洞となる空間部を有するサポート部材を、予め前記軸体の軸方向に沿って前記軸体の外周面に装着させるサポート部材装着工程を行う
積層造形物の製造方法。 - 前記サポート部材は、前記空間部の一方側が開放した断面視C字状のチャンネル材であり、
前記サポート部材装着工程において、前記空間部の開放側を前記軸体の外周面に向けて前記サポート部材を軸方向に沿って配設する
請求項1に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記サポート部材装着工程において、前記軸体の外周面に配置させた前記サポート部材と前記軸体との接触箇所に、前記溶着ビードを形成して前記サポート部材を前記軸体に固定する
請求項1または請求項2に記載の積層造形物の製造方法。 - 前記造形体は、前記軸方向空洞と連通する軸回りに広がる周方向空洞を有し、
前記サポート部材は、前記軸方向空洞となる空間部を有する軸空洞形成部と、前記周方向空洞となる空間部を有する周空洞形成部とを有し、
前記サポート部材装着工程において、前記軸方向空洞の形成位置に前記軸空洞形成部を配置させ、前記周方向空洞の形成位置に前記周空洞形成部を配置させる
請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層造形物の製造方法。 - 棒状の軸体と、
前記軸体の外周に、溶加材を溶融及び凝固させた溶着ビードを層状に積層してなる造形体と、
を備えた積層造形物であって、
前記造形体には、
空間部を有するサポート部材が前記軸体の軸方向に沿って設けられ、
前記サポート部材の前記空間部によって、軸方向へ延伸する軸方向空洞が形成されている
積層造形物。 - 前記造形体は、前記軸方向空洞と連通する軸回りに広がる周方向空洞を有し、前記周方向空洞と前記軸方向空洞とが互いに連通されている
請求項5に記載の積層造形物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP7525458B2 (ja) | 2020-12-16 | 2024-07-30 | 株式会社神戸製鋼所 | 造形物の製造方法及び造形物 |
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2019
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