以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
(実施形態1)
図1を参照しながら、実施形態1に係るレポート出力装置について説明する。図1は、実施形態1に係るレポート出力装置の一構成例を示す模式図である。図1に示すレポート出力装置は、データ収集部1、データベース(DB)2、医師向けレポート生成部3、評価部4、及び患者向けレポート生成部5を備えるとともに、図示しない出力部を備える。このレポート出力装置は、MPU(Micro-processing unit)を含んで構成することができる。この場合、データ収集部1、医師向けレポート生成部3、評価部4、及び患者向けレポート生成部5は、MPUにより実行されるアプリケーションプログラムにより実現することができる。
データ収集部1は、訓練装置に含まれるか又は訓練装置に接続されており、患者Pが訓練装置を用いて行った訓練の結果を示す訓練データ(訓練ログデータ)を収集する。この訓練装置は、リハビリを行うためのリハビリ装置とすることができ、若しくは減衰防止を目的とした機能訓練を行う機能訓練装置とすることもできる。訓練装置としては、実施形態2等で後述する歩行訓練装置や、手の可動域を広げるような訓練装置など、様々なものが挙げられる。
DB2は、図示しない記憶部に記憶されたデータベースである。データ収集部1は、患者毎、評価項目毎に情報を容易に参照できるように、収集した訓練データをデータベースに登録する。評価項目は、具体例は後述するが、訓練を評価する項目(パラメータ)であり、訓練の内容により異なることになる。なお、以下では、DB2を有するものとして説明するが、このような訓練データのデータベース化は必須ではない。
医師向けレポート生成部3は、DB2に登録された訓練データを入力し、その訓練データに基づき、予め定められた複数の評価項目に沿って、第1レポートRdを生成する。ここで、第1レポートRdとは、医療従業者向けの訓練レポート(医療従業者用説明資料)を指す。以下、本実施形態に限らず、医療従業者の例として、医師を挙げて説明する。上記出力部は、生成された第1レポートRdを出力する。上記出力部での出力先としては、図示しない表示部、印刷装置、情報処理装置などが挙げられる。医師向けレポート生成部3は、患者毎に第1レポートRdを生成するが、全患者分を同時に生成する必要はなく、例えば医師Dから指定された患者についてのみ第1レポートRdを生成すればよい。
評価部4は、DB2に格納された訓練データを、上記複数の評価項目のそれぞれについて評価する。評価部4は、患者毎にこの評価を行うが、第1レポートRd及び第2レポートRpの生成対象となる患者についての評価を行えばよい。
患者向けレポート生成部5は、評価部4で評価された評価結果に基づき、上記複数の評価項目のうち少なくとも1つの評価項目について、評価項目を除外する除外処理又は評価項目の情報量を削減する削減処理を実行し、第2レポートRpを生成する。
上記除外処理は、第2レポートRpの生成に使用しないようにする処理である。例えば、第2レポートRpは生成された第1レポートRdを元に生成することができ、そのような生成方法を採用する場合には、上記除外処理は、第1レポートRdから対象の評価項目を削除する削除処理に相当する。なお、第2レポートRpは、訓練データを入力して第1レポートRdとは独立に生成することができ、そのような生成方法を採用する場合には、上記除外処理は、対象の評価項目を第2レポートRpに含めないように除外する処理になる。患者向けレポート生成部5は、患者毎に第2レポートRpを生成するが、第1レポートPdと同様に、例えば医師Dから指定された患者についてのみ第2レポートRpを生成すればよい。
ここで、第2レポートRpとは、患者P向けの訓練レポート(患者用説明資料)を指す。第2レポートRpは、上記除外処理後の残りの評価項目に沿って生成され、又は上記削減処理により削減後の残りの情報から生成される。よって、第2レポートRpは、第1レポートRdより評価項目の数又は評価項目の情報量が少ない訓練レポートとなる。また、第2レポートRpは、評価の高い評価項目から順番を付したレポートとすることもできる。また、上記出力部は、第2レポートRpを出力する。第2レポートRpの出力先も第1レポートRdと同様である。第1レポートRd及び第2レポートRpに記述する内容については、後述する実施形態2等において例示する。
なお、医師向けレポート生成部3及び患者向けレポート生成部5は、第1レポートRd及び第2レポートRpを生成する生成部として一体に構成することもできる。また、上記出力部は、第1レポートRdを出力する医師向けレポート出力部と、第2レポートRpを出力する患者向けレポート出力部と、で構成することもできる。
本実施形態に係るレポート出力装置では、第1レポートRdに患者用の補足情報を足した患者用訓練レポートではなく、第1レポートRdより評価項目の数又は評価項目の情報量が少ない第2レポートRpを出力する。よって、このレポート出力装置によれば、患者Pの訓練状況を示す情報を、患者Pが自身の訓練状況を理解し易いように(患者Pが理解できる程度の情報量で)提示することができる。また、このレポート出力装置によれば、患者の症状を説明するためのパラメータ(評価項目)が多く用いられている訓練レポートにおいても、医師D及び患者Pの双方へのニーズを満たしたレポート(第1レポートRd、第2レポートRp)を提供することができる。
また、患者向けレポート生成部5が上記の除外処理を採用している場合には、患者向けレポート生成部5は、上記の除外処理で除外の対象とならなかった評価項目について、情報量を少なくする削減処理を行うことが好ましい。これにより生成される第2レポートRpは、より患者Pが自身の訓練状況を理解し易いものとなる。
また、評価部4は、上記複数の評価項目のそれぞれについて、予め定められた基準値(評価項目毎に異なる基準値)からの乖離度合いを算出することで、訓練データを評価することができる。ある評価項目についての基準時からの乖離度合いは、その評価項目についての異常度合いを表す。
このような評価を行った場合、上記の除外処理又は削減処理は、上記複数の評価項目のうち乖離度合い(乖離率)が低い第1の所定個数の評価項目を処理の対象とすることができる。これにより、レポート出力装置は、異常値を示している評価項目をそのまま第2レポートRpに含めて出力することができ、且つ、そのまま第2レポートRpに含めて出力する評価項目の個数を固定することができる。上記所定個数は、患者Pの理解を妨げない程度の数としておけばよく、例えば、患者Pの年齢、性別等によって変更するようにしてもよい。なお、この例において、第2レポートRpを評価の高い評価項目から順番を付したレポートとする場合、乖離度合いが大きいものを上位の順番にすることになる。
なお、この例及び次に説明する2つの代替例のいずれを採用した場合にも、患者向けレポート生成部5が上記除外処理を採用している場合には、患者向けレポート生成部5は、上記除外処理で除外の対象とならなかった評価項目について、情報量を少なくする削減処理を行うことが好ましい。
このように、上記の除外処理又は削減処理において、異常値を示していない評価項目、即ち患者にとって優先度の低い(重症ではない)評価項目を処理の対象とすることで、より患者Pが自身の訓練状況を理解し易い第2レポートRpを出力することができる。
このような評価を行った場合の代替例として、上記の除外処理又は削減処理は、上記複数の評価項目のうち乖離度合いが所定値より低い評価項目を処理の対象とすることができる。これにより、レポート出力装置は、そのまま第2レポートRpに含めて出力する評価項目の個数を限定することなく、乖離度合いが大きいと判定された評価項目をそのまま第2レポートRpに含めて出力することができる。上記所定値は、患者Pの理解を妨げない程度の数の評価項目が上記の除外処理又は削減処理の対象とならないと想定されるような値に決めておいてもよく、例えば、患者Pの年齢、性別等によって変更するようにしてもよい。
また、評価部4における評価の方法の代替例としては、次のようなものが挙げられる。即ち、評価部4は、上記複数の評価項目のそれぞれについて、予め定められた基準値を満たすか否かを判定することで、訓練データを評価することができる。このような評価を行った場合、上記の除外処理又は削減処理は、上記複数の評価項目のうち上記予め定められた基準値を満たす評価項目を処理の対象とすることができる。これにより、レポート出力装置は、そのまま第2レポートRpに含めて出力する評価項目の個数を限定することなく、基準値を満たさない評価項目をそのまま第2レポートRpに含めて出力することができる。例えば、評価項目として達成率に関する評価項目があった場合、達成率が基準値を満たさない(この場合は上限値を上回る)評価項目だけ第2レポートRpに残すことができる。
(実施形態2)
実施形態2に係るレポート出力装置について、図2〜図8Bを参照しながらレポート出力装置を歩行訓練装置に備えた例を挙げて説明する。なお、実施形態2において、実施形態1と異なる点を中心に説明するが、実施形態1で説明した様々な例が適用できる。
図2は、本実施形態に係るレポート出力装置を備えた歩行訓練装置の一構成例を示す概略斜視図である。図2に示す歩行訓練装置100は、一方の脚に麻痺を患う片麻痺患者である訓練者900が、訓練指導者(訓練補助者)となる医師の指導に従い、歩行訓練を行うための装置である。歩行訓練装置100は、主に、全体の骨格を成すフレーム130に取り付けられた制御盤133と、訓練者900が歩行するトレッドミル131と、訓練者900の麻痺側の脚部である患脚に装着する歩行補助装置120と、を備える。
フレーム130は、床面に設置されるトレッドミル131上に立設されている。トレッドミル131は、不図示のモータによりリング状のベルト132を回転させる。トレッドミル131は、訓練者900の歩行を促す装置である。歩行訓練を行う訓練者900は、ベルト132に乗り、ベルト132の移動に合わせて歩行動作を試みる。
フレーム130は、モータやセンサの制御を行う全体制御部210を収容する制御盤133や、訓練の進捗状況等を訓練者900へ提示する例えば液晶パネルである訓練用モニタ138などを支持している。また、フレーム130は、訓練者900の頭上部前方付近で前側引張部135を、頭上部付近でハーネス引張部112を、頭上部後方付近で後側引張部137を、それぞれ支持している。また、フレーム130は、訓練者900が掴むための手摺り130aを含む。
カメラ140は、訓練者900の全身を観察するための撮像部としての機能を担う。カメラ140は、訓練用モニタ138の近傍に、訓練者と相対するように設置されている。カメラ140は、訓練者900の全身を捉えられる程度の画角となるような、レンズと撮像素子のセットを含む。撮像素子は、例えばイメージセンサであり、結像面に結像した光学像を画像信号に変換する。
前側ワイヤ134は、一端が前側引張部135の巻取機構に連結されており、他端が歩行補助装置120に連結されている。前側引張部135の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、患脚の動きに応じて前側ワイヤ134を巻き取ったり繰り出したりする。同様に、後側ワイヤ136は、一端が後側引張部137の巻取機構に連結されており、他端が歩行補助装置120に連結されている。後側引張部137の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、患脚の動きに応じて後側ワイヤ136を巻き取ったり繰り出したりする。このような前側引張部135と後側引張部137の連携した動作により、歩行補助装置120の荷重が患脚の負担とならないように当該荷重を相殺し、更には、設定の程度に応じて患脚の振り出し動作をアシストする。
例えば、訓練補助者であるオペレータは、重度の麻痺を抱える訓練者に対しては、アシストするレベルを大きく設定する。アシストするレベルが大きく設定されると、前側引張部135は、患脚の振り出しタイミングに合わせて、比較的大きな力で前側ワイヤ134を巻き取る。訓練が進み、アシストが必要でなくなったら、オペレータは、アシストするレベルを最小に設定する。アシストするレベルが最小に設定されると、前側引張部135は、患脚の振り出しタイミングに合わせて、歩行補助装置120の自重をキャンセルするだけの力で前側ワイヤ134を巻き取る。
歩行訓練装置100は、装具110、ハーネスワイヤ111、及びハーネス引張部112を主な構成要素とする、安全装置としての転倒防止ハーネス装置を備える。装具110は、訓練者900の腹部に巻き付けられるベルトであり、例えば面ファスナによって腰部に固定される。装具110は、吊具であるハーネスワイヤ111の一端を連結する連結フック110aを備える。訓練者900は、連結フック110aが後背部に位置するように、装具110を装着する。
ハーネスワイヤ111は、一端が装具110の連結フック110aに連結されており、他端がハーネス引張部112の巻取機構に連結されている。ハーネス引張部112の巻取機構は、不図示のモータをオン/オフさせることにより、ハーネスワイヤ111を巻き取ったり繰り出したりする。このような構成により、転倒防止ハーネス装置は、訓練者900が転倒しそうになった場合に、その動きを検知した全体制御部210の指示に従ってハーネスワイヤ111を巻き取り、装具110により訓練者900の上体を支えて、訓練者900の転倒を防ぐ。
装具110は、訓練者900の姿勢を検出するための姿勢センサ217を備える。姿勢センサ217は、例えばジャイロセンサと加速度センサを組み合わせたものであり、装具110が装着された腹部の重力方向に対する傾斜角を出力する。
管理用モニタ139は、フレーム130に取り付けられており、主にオペレータが監視及び操作するための表示入力装置である。管理用モニタ139は、例えば液晶パネルであり、その表面にはタッチパネルが設けられている。管理用モニタ139は、訓練設定に関する各種メニュー項目や、訓練時における各種パラメータ値、訓練結果などを表示する。
次に、図3を参照しながら歩行補助装置120の一構成例について説明する。図3は、歩行補助装置120の一構成例を示す概略斜視図である。歩行補助装置120は、訓練者900の患脚に装着され、患脚の膝関節における伸展及び屈曲の負荷を軽減することにより訓練者900の歩行を補助する。歩行補助装置120は、主に、制御ユニット121と、患脚の各部を支える複数のフレームと、足裏に掛かる荷重を検出するための荷重センサ222と、を備える。
制御ユニット121は、歩行補助装置120の制御を行う補助制御部220を含み、また、膝関節の伸展運動及び屈曲運動を補助するための駆動力を発生させる不図示のモータを含む。患脚の各部を支えるフレームは、上腿フレーム122と、上腿フレーム122に回動自在に連結された下腿フレーム123と、を含む。また、このフレームは、下腿フレーム123に回動自在に連結された足平フレーム124と、前側ワイヤ134を連結するための前側連結フレーム127と、後側ワイヤ136を連結するための後側連結フレーム128と、を含む。
上腿フレーム122と下腿フレーム123は、図示するヒンジ軸Ha周りに相対的に回動する。制御ユニット121のモータは、補助制御部220の指示に従って回転して、上腿フレーム122と下腿フレーム123がヒンジ軸Ha周りに相対的に開くように加勢したり、閉じるように加勢したりする。制御ユニット121に収められた角度センサ223は、例えばロータリエンコーダであり、ヒンジ軸Ha周りの上腿フレーム122と下腿フレーム123の成す角を検出する。下腿フレーム123と足平フレーム124は、図示するヒンジ軸Hb周りに相対的に回動する。相対的に回動する角度範囲は、調整機構126によって事前に調整される。
前側連結フレーム127は、上腿の前側を左右方向に伸延し、両端で上腿フレーム122に接続するように設けられている。また、前側連結フレーム127には、前側ワイヤ134を連結するための連結フック127aが、左右方向の中央付近に設けられている。後側連結フレーム128は、下腿の後側を左右方向に伸延し、両端でそれぞれ上下に伸延する下腿フレーム123に接続するように設けられている。また、後側連結フレーム128には、後側ワイヤ136を連結するための連結フック128aが、左右方向の中央付近に設けられている。
上腿フレーム122は、上腿ベルト129を備える。上腿ベルト129は、上腿フレームに一体的に設けられたベルトであり、患脚の上腿部に巻き付けて上腿フレーム122を上腿部に固定する。これにより、歩行補助装置120の全体が訓練者900の脚部に対してずれることを防止している。
荷重センサ222は、足平フレーム124に埋め込まれた荷重センサである。荷重センサ222は、訓練者900の足裏が受ける垂直荷重の大きさと分布を検出する。荷重センサ222は、例えば、電極がマトリックス状に配置された抵抗変化検出型の荷重検出シートである。
次に、図4を参照しながら、歩行訓練装置100のシステム構成例について説明する。図4は、歩行訓練装置100のシステム構成例を示すブロック図である。全体制御部210は、例えばMPUであり、システムメモリから読み込んだ制御プログラムを実行することにより、装置全体の制御を実行する。トレッドミル駆動部211は、ベルト132を回転させるモータとその駆動回路を含む。全体制御部210は、トレッドミル駆動部211へ駆動信号を送ることにより、ベルト132の回転制御を実行する。全体制御部210は、例えば、オペレータによって設定された歩行速度に応じて、ベルト132の回転速度を調整する。
操作受付部212は、訓練者900やオペレータからの入力操作を受け付けて、操作信号を全体制御部210へ送信する。訓練者900やオペレータは、操作受付部212を構成する、装置に設けられた操作ボタンや管理用モニタ139に重畳されたタッチパネル、付属するリモコン等を操作する。この操作により、電源のオン/オフやトレーニングの開始の指示を与えたり、設定に関する数値の入力やメニュー項目の選択を行ったりすることができる。
表示制御部213は、全体制御部210からの表示信号を受け取って表示画像を生成し、訓練用モニタ138又は管理用モニタ139に表示する。表示制御部213は、表示信号に従って、訓練の進捗を示す画像や、カメラ140で撮影したリアルタイム映像を生成する。
引張駆動部214は、前側引張部135を構成する、前側ワイヤ134を引張するためのモータとその駆動回路と、後側引張部137を構成する、後側ワイヤ136を引張するためのモータとその駆動回路と、を含む。全体制御部210は、引張駆動部214へ駆動信号を送ることにより、前側ワイヤ134の巻き取りと後側ワイヤ136の巻き取りをそれぞれ制御する。また、巻き取り動作に限らず、モータの駆動トルクを制御することにより、各ワイヤの引張力を制御する。全体制御部210は、例えば、荷重センサ222の検出結果から患脚が立脚状態から遊脚状態に切り替わるタイミングを同定し、そのタイミングに同期して各ワイヤの引張力を増減させることにより、患脚の振り出し動作をアシストする。
ハーネス駆動部215は、ハーネス引張部112を構成する、ハーネスワイヤ111を引張するためのモータとその駆動回路を含む。全体制御部210は、ハーネス駆動部215へ駆動信号を送ることにより、ハーネスワイヤ111の巻き取りと、ハーネスワイヤ111の引張力を制御する。全体制御部210は、例えば、訓練者900の転倒を予測した場合に、ハーネスワイヤ111を一定量巻き取って、訓練者の転倒を防止する。
画像処理部216は、カメラ140に接続されており、カメラ140から画像信号を受け取ることができる。画像処理部216は、全体制御部210からの指示に従って、カメラ140から画像信号を受け取り、受け取った画像信号を画像処理して画像データを生成する。また、画像処理部216は、全体制御部210からの指示に従って、カメラ140から受け取った画像信号に画像処理を施して、特定の画像解析を実行することもできる。例えば、画像処理部216は、トレッドミル131に接する患脚の足の位置(立脚位置)を、画像解析により検出する。具体的には、例えば、足平フレーム124の先端近傍の画像領域を抽出し、当該先端部と重なるベルト132上に描かれた識別マーカを解析することにより、立脚位置を演算する。
姿勢センサ217は、上述の通り訓練者900の腹部の重力方向に対する傾斜角を検出して、検出信号を補助制御部220へ送信する。全体制御部210は、姿勢センサ217からの検出信号を用いて、訓練者900の姿勢、具体的には体幹の傾斜角を演算する。なお、全体制御部210と姿勢センサ217は、有線で接続されていてもよいし、近距離無線通信で接続されていてもよい。
上述のように、歩行補助装置120は訓練者900の患脚に装着されるが、歩行訓練装置100は、歩行補助装置120に指令を与えたり、センサ情報を受け取ったりするために、全体制御部210に接続された通信接続IF(インターフェース)219を備える。歩行補助装置120も、通信接続IF219と有線又は無線によって接続される通信接続IF229が設けられている。通信接続IF229は、歩行補助装置120の補助制御部220に接続されている。通信接続IF219,229は、通信規格に則った例えば無線LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースである。
補助制御部220は、例えばMPUであり、全体制御部210から与えられた制御プログラムを実行することにより、歩行補助装置120の制御を実行する。また、歩行補助装置120の状態を、通信接続IF219,229を介して全体制御部210へ通知する。また、全体制御部210からの指令を受けて、歩行補助装置120の起動/停止等を実行する。
関節駆動部221は、制御ユニット121のモータとその駆動回路を含む。補助制御部220は、関節駆動部221へ駆動信号を送ることにより、上腿フレーム122と下腿フレーム123がヒンジ軸Ha周りに相対的に開くように加勢したり、閉じるように加勢したりする。このような動作により、膝の伸展動作及び屈曲動作をアシストしたり、膝折れを防止したりする。
荷重センサ222は、上述の通り訓練者900の足裏が受ける垂直荷重の大きさと分布を検出して、検出信号を補助制御部220へ送信する。補助制御部220は、検出信号を受け取り解析することにより、遊脚/立脚の状態判別や切替り推定等を行う。
角度センサ223は、上述の通りヒンジ軸Ha周りの上腿フレーム122と下腿フレーム123の成す角を検出して、検出信号を補助制御部220へ送信する。補助制御部220は、検出信号を受け取って膝関節の開き角を演算する。
次に、本実施形態の主たる特徴について、図5及び図6を併せて参照しながら説明する。図5、図6は、それぞれ歩行訓練装置100において実行される第1レポート出力処理、第2レポート出力処理の一例を説明するためのフロー図である。
全体制御部210は、制御に関わる様々な演算や制御を実行する機能実行部としての役割も担う。全体制御部210は、評価部210a、医師向けレポート生成部210b、及び患者向けレポート生成部210cを有することができる。また、歩行訓練装置100は、図1のDB2に相当するDB218を記憶する記憶部を有する。
評価部210aは、現在の訓練者900の歩行動作について取得した各種センサ情報から、予め定められた形式の訓練データを生成し、DB218に登録する。DB218への登録時には、訓練者900が区別できるように訓練データを登録する。また、評価部210aは、各種センサ情報をそのまま訓練データとしてDB218へ登録することもできる。
まず、第1レポート(医師向けの訓練レポート)の出力について説明する。操作受付部212は、患者名又は患者IDを指定した医師向けレポートの生成処理を行う指示を受け付けることが可能になっている。医師向けレポート生成部210bは、図1の医師向けレポート生成部3に相当する部位である。
第1レポートは、次のような手順で出力される。まず、医師向けレポート生成部210bは、操作受付部212で受け付けた上記の指示に従い、DB218から訓練データの予め定められた複数の評価項目を抽出する(図5のステップS1)。次いで、医師向けレポート生成部210bは、それらの評価項目に沿って、第1レポートを生成する(ステップS2)。ステップS1,S2では、例えば、評価項目毎に処理を行って第1レポートを更新していき、上記複数の評価項目の全ての処理が終了した時点で、第1レポートを完成させることができる。第1レポートの形式や生成方法は問わない。
次いで、全体制御部210は、表示制御部213を制御して第1レポートを管理用モニタ139に表示させることで、第1レポートを出力する(ステップS3)。このように、表示制御部213及び管理用モニタ139は、実施形態1で説明した上記出力部の一例として機能させることができる。なお、出力される第1レポートの具体例は、図7A等を参照しながら後述する。
次に、第2レポート(患者向けの訓練レポート)の出力について説明する。操作受付部212は、患者名又は患者IDを指定した患者向けレポートの生成処理を行う指示を受け付けることが可能になっている。この指示は、医師向けレポートの生成処理を行う指示と同時に受け付けることが可能であることが好ましい。
評価部210aは、図1の評価部4を含み、DB218に登録(格納)された訓練データを、予め定められた複数の評価項目のそれぞれについて評価する。この例では、評価部210aが上記複数の評価項目のそれぞれについて、予め定められた基準値(評価項目毎に異なる基準値)からの乖離度合いを算出することで、訓練データを評価し、各評価結果をDB218に登録しておくものとする。患者向けレポート生成部210cは、図1の患者向けレポート生成部5に相当する部位である。
第2レポートは、次のような手順で出力される。まず、患者向けレポート生成部210cは、操作受付部212で受け付けた上記の指示に従い、DB218から訓練データの予め定められた複数の評価項目のうち1番目の評価項目を抽出する(図6のステップS11)。次いで、患者向けレポート生成部210cは、1番目の評価項目の訓練データについての評価結果を読み出す。そして、患者向けレポート生成部210cは、その評価項目が、基準値からの乖離度合いが低い第1の所定個数の評価項目に該当しないか否か(該当するか)を判定することにより、患者向けの訓練レポートとして必要か否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12でYESの場合、患者向けレポート生成部210cは、その評価項目を必要項目として、その評価項目の訓練データを一時的に保管する(ステップS13)。なお、保管先としては、患者向けレポート生成部210cに設けた内部メモリなどが挙げられる。次いで、患者向けレポート生成部210cは、全ての評価項目(上記複数の評価項目)についての処理が終了したか否かを判定し(ステップS14)、NOの場合、次の評価項目についてステップS11の処理を行う。また、ステップS12でNOの場合も、ステップS11に戻り、次の評価項目についての処理が行われる。
ステップS14でYESの場合、患者向けレポート生成部210cは、一時的に保管されたデータ(ステップS12による除外処理後のデータ)から第2レポートを生成する(ステップS15)。ここで患者向けレポート生成部210cは、一時保管データより、例えばグラフ描画、イラスト描画(例えばアイコン描画)、表描画、言葉変更、色覚に訴えるような色へ変更、文字へのルビ追加などの処理を行うことで、第2レポートを生成する。但し、第2レポートの形式や生成方法は問わない。第2レポートは、患者が一目で自身の訓練状況を把握できることが好ましいが、医師の説明の補助資料となって説明をし易くするものであればよい。
次いで、全体制御部210は、表示制御部213を制御して第2レポートを訓練用モニタ138に表示させることで、第2レポートを出力する(ステップS16)。このように、表示制御部213及び訓練用モニタ138は、上記出力部の一例として機能させることができる。なお、出力される第2レポートの具体例は、図8A等を参照しながら後述する。
このように訓練用モニタ138に第2レポートを出力することで、リアルタイムに患者が自身の訓練状況を知ることができるようになる。但し、実施形態1で説明した印刷装置での印刷などの他の出力方法でも、ほぼリアルタイムで患者に第2レポートを提供することは可能である。
次に、歩行訓練装置100で生成される第1レポートの例を挙げる。図7A〜図7F及び図7H〜図7Jは、いずれも図5の処理により出力される第1レポートに含まれるグラフ群の一例を示す図、図7Gは、第1レポートに含まれる表の一例を示す図である。なお、第1レポートは、図7A〜図7Gに示すグラフ群及び表のうち全てを含む必要はなく、予め定められた複数の評価項目についての指定患者の訓練データが記述されていればよい。なお、以下において、具体的な症状の検出方法や設定値の算出方法など、訓練データの算出方法は問わない。
図7Aに示すグラフ群は、発生症状(立脚)の出現推移(%)を8週間にわたって記述したものである。図7Aにおいて、「A」は「過度な体幹の後方移動」、「B」は「過度な体幹の前傾」、「C」は「過度な体幹の患側移動」、「D」は「骨盤後退」、「E」は「過度な下肢の前傾」、「F」は「過度な膝関節屈曲」、「G」は「急激な膝関節伸展」、「H」は「常時膝関節屈曲位」である。これらの8つの項目は、訓練中に検出された症状であり、いずれも評価項目となる。
図7Aは、これらの8つの評価項目のそれぞれの訓練データを示すグラフを含む。図7A及び後述の図7B,図7Cにおいて、斜線のハッチングはもっとも治したい症状を示すグラフを表現しており、他のハッチングは発生している症状を示すグラフを表現している。図7Aにおいては、8つの評価項目のうち、「骨盤後退」が第2週から第6週までもっとも治したい症状に該当していたことを示している。
図7B,図7Cに示すグラフ群は、発生症状(遊脚)の出現推移(%)を8週間にわたって記述したものである。図7Bにおいて、「I」は「つま先離地困難」、「J」は「遊脚保持困難」、「K」は「過剰な振出し」、「L」は「体幹の後傾」、「M」は「過度な体幹の健側移動」、「N」は「健側の伸び上がり」である。図7Cにおいて、「O」は「骨盤拳上」、「P」は「過度な股関節外旋」、「Q」は「ぶん回し」、「R」は「内側ホイップ」である。これらの10つの項目は、訓練中に検出された症状であり、いずれも評価項目となる。図7B,図7Cは、これらの10つの評価項目のそれぞれの訓練データを示すグラフを含む。なお、「過度な体幹の健側移動」、「骨盤拳上」、「ぶん回し」、「体幹の後傾」、及び「健側の伸び上がり」の評価項目は、それぞれ対応する代償運動も含めたデータである。
図7B,図7Cにおいては、10つの評価項目のうち、「つま先離地困難」が第0週から第3週までもっとも治したい症状に該当し、「ぶん回し」が第1週から第4週まで及び第5週から第7週までもっとも治したい症状に該当していたことを示している。なお、図7A〜図7Cでは、紙面の都合上、グラフをアルファベット「A」〜「R」を用いて記述しているが、実際の第1レポートでは、それぞれに対応する上述した各評価項目の名称が記述されている。
図7Dに示すグラフ群は、頻出症状(図7A〜図7Cにおける3つのもっとも治したい症状)と設定値の推移を8週間にわたって記述したものである。このグラフ群は、次の14つの評価項目のそれぞれの訓練データを示すグラフを含む。即ち、「体重免荷量(%)」、「膝伸展アシスト(レベル)」、「振出しアシスト(レベル)」、「歩行率(ステップ/分)」、「重複歩距離(cm)」、「平均速度(km/h)」、「最大距離(m)」、「最長時間(秒)」、「補高(cm)」、「抜重値(%)」、「背屈制限(°)」、「底屈制限(°)」、「膝屈伸時間(秒)」、及び「膝屈曲角度(°)」である。これらの訓練データは、訓練時の設定値のデータであるため、評価項目となる。図7Dにおいては、3つのもっとも治したい症状のいずれが要因となって設定値の変更がなされたかを、グラフの背景のハッチングで示している。
図7Eに示すグラフ群は、8週間分の頻出症状(図7A〜図7Cにおける3つのもっとも治したい症状)と設定変更数を記述したものである。図7Eにおいて、「a」は「平均速度」、「b」は「振出しアシスト(レベル)」、「c」は「膝伸展アシスト(レベル)」、「d」は「振出し前後比」、「e」は「抜重値」、「f」は「膝屈曲角度」、「g」は「補高」、「h」は「膝屈伸時間」である。また、「i」は「手すりの高さ」、「j」は「荷重値」、「k」は「手すりの幅」、「l」は「背屈制限」、「m」は「ハーネス」、「n」は「ヒップジョイント」、「o」は「体重免荷量」、「p」は「底屈制限」である。これらの項目は、訓練中に、3つのもっとも治したい症状のいずれが要因となって設定が変更された項目であり、いずれも評価項目となる。また、図7Eでは、各評価項目を設定変更数が多い順に並べている。また、図7Eでは、それぞれの評価項目が歩行訓練装置100の練習ガイドに記載された項目、記載されていない項目のいずれであるのかも示している。なお、図7Eでは、紙面の都合上、グラフをアルファベット「a」〜「p」を用いて記述しているが、実際の第1レポートでは、それぞれに対応する上述した各評価項目の名称が記述されている。
図7Fに示すグラフ群は、頻出症状(図7A〜図7Cにおける3つのもっとも治したい症状)の発生時の歩行能力のレベルの推移を9週間にわたって記述したものである。このグラフ群は、「ロボット」、「長下肢」、「短下肢」、「最大最小値」、及び「中央50%(中央部分の50%の値)」の5つの評価項目のそれぞれの訓練データを示すグラフを含む。なお、上記「ロボット」とは歩行補助装置120を含む歩行訓練装置100を指す。図7Fでは、歩行訓練装置100の歩行能力レベル(どの程度、患者の歩行をアシストしたかを示すレベル)がグラフ化され、そのレベルに対応して得られる患者の長下肢、短下肢の歩行能力レベルもグラフ化されている。但し、準備段階の週(pre)は、歩行訓練装置100を用いない場合のデータを示している。これらの訓練データは、訓練時の歩行能力レベルのデータであるため、評価項目となる。また、「最大最小値」及び「中央50%」のように、他の評価項目の訓練データから訓練データが算出できる項目も、評価項目とすることができる。図7Fにおいては、3つのもっとも治したい症状のいずれが要因となったかを、グラフの背景のハッチングで示している。
図7Gに示す表は、患者の身体機能の推移を9週間にわたって記述したものであり、患者のBr.stageにおけるステージ及びSIAS(Stroke Impairment Assessment Set)の各項目の評価度が記述されている。図7Gに示す各項目も、訓練データからステージ及び評価度を算出することができるため、評価項目となる。
図7Hに示すグラフ群は、発生症状(立脚)の選択率(%)及び発生症状(遊脚)の選択率(%)を記述したものである。ここでも9週間で集計したものとする。図7Hでは、図7A〜図7Cと同様に、グラフをアルファベット「A」〜「R」を用いて記述しているが、実際の第1レポートでは、それぞれに対応する上述した各評価項目の名称が記述されている。ここで、選択とは、医者が患者の訓練のためにした項目の選択を指し、歩行訓練装置100はこの選択に従って各種パラメータが設定されることになる。よって、図7Hに示されるこれらの項目も評価項目となる。
図7Iに示すグラフ群は、荷重音フィードバック(FB)及び膝角度FBについて、FB値と達成率(%)を記述したものである。ここでも9週間で集計したものとする。図7Iに示す荷重音FBのグラフでは、荷重音FBが第3週から第7週まで発生している。なお、荷重音FBのグラフでは、つま先FBが発生した場合についても背景のハッチングで示すようになっているが、ここでは発生していない例を挙げている。歩行訓練装置100では、これらを含む各種のFB値を用いて制御がなされるため、FB値も訓練データの一種と言える。よって、図7Iに示されるこれらの項目も評価項目となる。
図7Jに示すグラフ群は、平地歩行との比較結果を記述したものである。ここでも9週間で集計したものとする。図7Jでは、歩行率(%)、重複歩距離(cm)、及び歩行速度(km/h)の3つの項目について、ロボット(歩行訓練装置100)、長下肢、及び短下肢での訓練データがグラフ化されている。これらのロボットの訓練データは、例えば、ロボットによるアシストレベルを考慮して算出することができる。平地歩行時の訓練データである長下肢及び短下肢の訓練データは、ロボットでアシストを行わない場合の測定データとして算出することができる。図7Jに示されるこれらの項目も評価項目となる。
次に、歩行訓練装置100で生成される第2レポートの例を挙げる。図8Aは、図6の処理により出力される第2レポートの第1頁の一例を示す図、図8Bは、その第2頁の一例を示す図である。なお、ここでは、第2レポートが合計2頁のレポートである例に挙げるが、ページ数はこれに限らない。
図8Aに含まれるグラフ群は、図7Fに示す頻出症状発生時の歩行能力(レベル)、並びに、図7Dに示す総歩行距離(m)、速度(km/h)、ストライド(cm)、歩行ピッチ(歩/分)、膝アシスト(レベル)、及び振出しアシスト(レベル)の評価項目について訓練データを記述している。図8Aでは、8週又は9週にわたる訓練データがグラフ化されている。図8Aに示すグラフ群は、概略的には、図7D及び図7Fのグラフ群の一部の評価項目について生成されており、第1レポートに対して第2レポートの評価項目数が少なくなっていることが分かる。また、図8Aと図7D及び図7Fとの比較からわかるように、第2レポートでの評価項目の名称は患者に分かり易いように第1レポートでの評価項目の名称と異ならせることが好ましい。
図8Bに含まれるグラフ群は、図7A〜図7Cに示すグラフ群のうち、今週(第7週とする)の発生率が高いものから3つの評価項目についてのグラフを抽出したものである。よって、図8Bにおいても、第1レポートに対して第2レポートの評価項目数が少なくなっている。第2レポートに含めない評価項目としては、屈曲角度や屈伸速度などの患者にとって分かり難いものが望ましく、歩行速度やアシストレベルなどの患者にとって分かり易いものは第2レポートに含めておくことが望ましい。
以上、本実施形態によれば、実施形態1に係るレポート出力装置を歩行訓練装置に適用しているため、患者の歩行訓練状況を示す情報を、患者が自身の歩行訓練状況を理解し易いように(患者が理解できる程度の情報量で)提示することができる。また、本実施形態では、レポート出力装置を訓練装置と一体化しているため、訓練中にレポートをその場で出力することができる。また、第2レポートを生成するに際しては、複数の評価項目の訓練データを使って新たな評価項目の訓練データを生成する(つまり再計算する)アルゴリズムを患者向けレポート生成部210cに持たせることもできる。このような構成を採用することで、訓練の効果がより明確に提示でき、患者は一目で効果を確認することが可能となる。
(実施形態3)
実施形態3に係るレポート出力装置について、図9を併せて参照しながら実施形態2と同様にレポート出力装置を歩行訓練装置100に備えた例を挙げて説明する。なお、実施形態3において、実施形態2と異なる点を中心に説明するが、実施形態1,2で説明した様々な例が適用できる。図9は、実施形態3に係る歩行訓練装置100において実行される第2レポート出力処理の概略を説明するための図である。
歩行訓練をはじめとする訓練は、その進捗が重要となり、患者も進捗を把握できるとモチベーションを高めることができる。換言すれば、過去の値からの乖離度合いが高い評価項目、つまり時系列的に変化が大きい評価項目は、患者がモチベーションを上げるうえで重要度が高い評価項目である。特に、達成率に関する評価項目や発生症状に関する評価項目は、リハビリ訓練等の訓練の成果を理解するうえで時系列的に見る価値が高いと言える。例えば、過去の値に比べて達成率が大きく上昇した評価項目、発生症状に関する評価項目のうち回復度合い(良い方向への変化)が大きい評価項目は、高く評価し、第2レポートに含めることが望ましい。また、逆に達成率が大きく下降した評価項目や、悪化度合い(悪い方向への変化)が大きい評価項目についても、患者に知らせた方が良いことに変わりないため、第2レポートに含めることが望ましい。
そのため、本実施形態における評価部210aは、予め定められた複数の評価項目のそれぞれについて、過去の値からの乖離度合いを算出することで、訓練データを評価する。ここで、過去の値とは、前回、第2レポートを出力した際の値であることが好ましいが、これに限ったものではない。
そして、本実施形態における患者向けレポート生成部210cは、上記の除外処理又は削減処理において、上記複数の評価項目のうち過去の値からの乖離度合いが低い第2の所定個数の評価項目を処理の対象とする。
即ち、患者向けレポート生成部210cは、過去の値からの乖離度合いが高い所定個数(上記複数の評価項目の項目数から上記第2の所定個数を差し引いた個数)の評価項目に沿って、第2レポートを生成する。図9に示す例では、過去の値(例えば先週の値)からの乖離度合いが大きい1〜3位の評価項目を第2レポートに含め、4位以降の評価項目を第2レポートから除外する。また、この場合、第2レポートは、評価の高い評価項目から順番を付したレポートとすることが好ましい。
本実施形態によれば、重要度が高い評価項目をそのまま第2レポートに含めることができ、医師向けが閲覧する第1レポートに対して、時系列的に見て重要度が低い評価項目を除外又は情報量を削減することができるため、患者は自身の訓練の進み具合を理解し易くなる。
また、実施形態1で説明した1つ目の代替例と同様の考え方を、本実施形態に適用することができる。簡略化して説明すると、上記の除外処理又は削減処理は、上記複数の評価項目のうち過去の値からの乖離度合いが所定値より低い評価項目を処理の対象とすることができる。これにより、患者向けレポート生成部210cは、そのまま第2レポートに含めて出力する評価項目の個数を限定することなく、過去の値からの乖離度合いが大きいと判定された評価項目をそのまま第2レポートに含めて出力することができる。なお、ここでの所定値は、実施形態1における代替例での所定値とは通常、異なる値となるが、実施形態1と同様、患者の年齢等によって変更するようにしてもよい。
(実施形態4)
実施形態4に係るレポート出力装置について、図10〜図11を併せて参照しながら実施形態2と同様にレポート出力装置を歩行訓練装置100に備えた例を挙げて説明する。なお、実施形態4において、実施形態3と異なる点を中心に説明するが、実施形態1〜3で説明した様々な例が適用できる。図10は、本実施形態に係る歩行訓練装置100において実行される第2レポート出力処理の概略を説明するための図、図11は、歩行訓練装置100で出力される第2レポートの一例を示す図である。
実施形態3における患者向けレポート生成部210cで生成される第2レポートは、過去の値を含むものではない。よって、例えば、前回の第2レポートで上位にランクされた評価項目であっても、今回の第2レポートに含まれない場合がある。例えば、図10で例示するように前回(先週)1位の評価項目「急激な膝関節伸展」が今回のレポート生成時に4位にランクされた場合、患者は「急激な膝関節伸展」の訓練データが今回どのように変化したのかを知ることができない。また、患者は、前回までに努力した内容を忘れてしまうこともある。このように、実施形態3では、前回の第2レポートで上位にランクされた評価項目の訓練データが喩え時系列でみて(同一の評価項目のデータという観点でみて)重要なデータであったとしても、患者に知らせずに埋もれてしまう可能性がある。ここで、重要なデータとは、例えば発生していた症状が少し改善したこと又は無くなったことを示すデータなどが挙げられる。一方で、今回の第2レポートに前回の内容もそのまま含めてしまうと、情報量が2倍になり、患者の理解をかえって妨げる可能性がある。
そのため、本実施形態では、患者向けレポート生成部210cにおける上記の除外処理又は削減処理は、予め定められた複数の評価項目のうち、前回の第2レポート生成時に過去の値からの乖離度合いが高かった第3の所定個数の評価項目を除く、過去の値からの乖離度合いが低い第4の所定個数の評価項目を処理の対象とする。なお、第4の所定個数は、実施形態3における第2の所定個数と同義であるが、便宜上、第2の所定個数と分けて定義している。また、本実施形態における評価部210aは、実施形態3と同様に各評価項目について過去の値からの乖離度合いを算出することで、訓練データを評価している。また、本実施形態では、患者向けレポート生成部210cは、前回生成した第2レポートを記憶する記憶部を有するか、その記憶部にアクセス可能に構成されている。
図10の例で説明すると、先週1位であった評価項目「急激な膝関節伸展」が4位にランクされた場合、第2レポートに1〜3位の評価項目を含めるだけでなく、実施形態3では1〜3位に含まれずにレポート化されない、この評価項目「急激な膝関節伸展」も含めるようにする。例えば、図11に示す第2レポートの例のように、今週の1〜3位の評価項目の訓練データに加え、先週の情報として評価項目「急激な膝関節伸展」を含めるようにする。なお、この評価項目が今週何位であったかを示す情報を第2レポートに含めることもできる。
本実施形態によれば、過去からの変化という点で重要度が高い評価項目をそのまま第2レポートに含めることができるだけでなく、前回変化の大きかったという観点で重要度が高い評価項目もそのまま第2レポートに含めることができるため、患者は自身の訓練の進み具合を理解し易くなる。
(実施形態5)
実施形態5に係るレポート出力装置について、図12及び図13を併せて参照しながら実施形態2と同様にレポート出力装置を歩行訓練装置100に備えた例を挙げて説明する。なお、実施形態5において、実施形態2と異なる点を中心に説明するが、実施形態1〜4で説明した様々な例が適用できる。図12は、本実施形態に係る歩行訓練装置100において実行される第2レポート出力処理の一例を説明するためのフロー図、図13は、図12の処理において使用される変換テーブルの一例を示す図である。
本実施形態では、予め定められた複数の評価項目のそれぞれは、医療用語を含む項目名で表現されるものとする。そして、医師向けレポート生成部210b及び患者向けレポート生成部210cは、いずれも、医療用語をイラスト又は撮影画像(写真)へ変換する変換部を有する。この変換部は、第2レポートを生成する場合のイラスト又は撮影画像への変換率を、第1レポートを生成する場合の変換率より大きくする。
このような第2レポート出力処理は、図12に示すような処理例で行うことができる。図12のステップS21〜23,S26〜S28は、図6のステップS11〜S16と同様である。図6のステップS13(図12のステップS23)の後に、患者向けレポート生成部210cは、ステップS23で保管した評価項目名(及び訓練データそのもの)に対してイラスト変換が必要であるか否かを判定する(ステップS24)。この判定は、患者向けレポート生成部210cに格納された図13の変換テーブル210dで例示するような変換リストを参照し、この変換リストに含まれる単語等が存在するか否かで行うことができる。ステップS24の後、患者向けレポート生成部210cは、変換を実行してその評価項目名及び訓練データを保存し(ステップS25)、ステップS26へ進む。
また、第1レポート出力処理も基本的なところは同様であるが、ステップS22の判定が不要な点と、使用する変換リストが異なる点と、が第2レポート出力処理と異なる。医師用の変換リストは、患者用の変換リストより登録されている医学用語が少ない。このように、医者用の変換リスト及びそれより変換率の高い患者用の変換リストをもたせることで、患者により理解し易い第2レポートを出力することができる。
(実施形態6)
実施形態2〜5では、主にレポート出力装置が歩行訓練装置100等の訓練装置に設けられた例を挙げたが、実施形態6として、レポート出力装置が訓練装置の外部に設けられる例など、訓練データの入手経路や第1,第2レポートの出力先の例などについて説明する。なお、実施形態6において、実施形態2と異なる点を中心に説明するが、実施形態1〜5で説明した様々な例が適用できる。
図14を参照しながら、本実施形態に係るレポート出力システムの一例としての歩行訓練システムについて説明する。図14は、歩行訓練システムの全体概念図である。なお、本実施形態に係るレポート出力システムは、訓練支援システム、或いは医療情報システムと称することもできる。
図14に示す歩行訓練システムは、訓練装置の例としての歩行訓練装置100a及びレポート出力装置の例としてのサーバ500を備え、歩行訓練装置100aが患者の訓練中に訓練データを収集し、最終的にサーバ500でその訓練データを管理する。歩行訓練装置100aは、図2の歩行訓練装置100において管理用モニタ139を具備しない装置である。但し、この歩行訓練システムでも歩行訓練装置100を適用することもできる。
この歩行訓練システムは、歩行訓練装置100a及びサーバ500のほかに、外部通信装置300、パーソナルコンピュータ(PC)等の端末(情報処理装置)600、及び無線通信機器410を備えている。外部通信装置300は、歩行訓練装置100aが出力する訓練データを受け取って記憶する機能を有する。外部通信装置300は、歩行訓練装置100aの制御盤133と例えばUSBケーブルによって通信接続され、また、外部ネットワークの一例としてのインターネット網400と例えば無線LANユニットである無線通信機器410を介して通信接続されている。
サーバ500は、インターネット網400に接続されており、外部通信装置300から受信した訓練データを蓄積する機能を有する。また、インターネット網400に接続されたPC等の端末600からの要求に従って、第1,第2レポートを出力する機能を有する。例えば、サーバ500は、図4におけるDB218を記憶する記憶部、評価部210a、医師向けレポート生成部210b、及び患者向けレポート生成部210cを有する。評価部210a、医師向けレポート生成部210b、及び患者向けレポート生成部210cは、サーバプログラムとしてサーバ500に搭載することができる。その場合、サーバ500のMPU等のプロセッサにそのサーバプログラムを実行させることで各部の機能を果たすことができる。
したがって、データ閲覧者は、端末600を操作することにより、サーバ500に蓄積された訓練データから第1,第2レポートを閲覧することができ、或いは端末600に接続された印刷装置(図示せず)からそれらを印刷することができる。この場合、医師向けレポート生成部210b及び患者向けレポート生成部210cは、端末600からの要求に従い、第1,第2レポートを生成し、サーバ500の通信部を介して、その要求への応答として、第1,第2レポートを端末600に出力すればよい。
なお、サーバ500が蓄積する訓練データは、一つの歩行訓練装置100aから出力される訓練データに限らず、複数の歩行訓練装置が出力する訓練データを総合的に管理してもよい。これにより、同じ患者が異なる複数の歩行訓練装置で訓練した結果の訓練データを統合的に管理し、そのような訓練データに基づき第1,第2レポートを出力することができる。このように、図14の歩行訓練システムでは、レポート出力装置を歩行訓練装置と別々に構成でき、複数台の歩行訓練装置に対応できるなど、汎用性の高いシステムとなる。
この歩行訓練システムでは、歩行訓練装置100aは、上述のように外部通信装置300を介してインターネット網400と接続されるのであって、インターネット網400と直接的に接続する通信機能を備えない。即ち、歩行訓練装置100aは、訓練データを直接的に外部ネットワークへ出力することはない。このように外部通信装置300をインターネット網400と歩行訓練装置100の間に介在させることにより、歩行訓練装置100aから訓練データが漏洩することを防ぐことができる。なお、歩行訓練装置100aと外部通信装置300との接続は、外部ネットワークを介さない通信経路であれば、USBケーブルに限らず、様々な通信規格を採用し得る。
また、ネットワークのセキュリティが高いことが前提となるが、歩行訓練装置100aとサーバ500とをイントラネット等のネットワークを介して接続し、歩行訓練装置100aからサーバ500に訓練データをそのネットワーク経由で送信することもできる。
また、歩行訓練システムにおいて、外部通信装置300及び無線通信機器410を具備せず、例えば歩行訓練装置100aにUSBメモリ等の可搬記録媒体を装着して訓練データを記憶させ、その可搬記録媒体を搬送してサーバ500に訓練データを記憶させることもできる。以上のように、本実施形態では、様々なシステム構成にて、第1,第2レポートを出力させることができる。
(その他)
また、上述した実施形態1〜6で説明したように、第1,第2レポートを出力するレポート出力処理(レポート出力方法)は、その処理を実行するプログラムを、MPU等のプロセッサに実行させることにより実現することも可能である。このプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
以上説明した各実施形態において、レポート出力装置は、患者が行った訓練の結果を示す訓練データに基づき、予め定められた複数の評価項目に沿って、医療従業者向けの訓練レポートである第1レポートを生成する生成部と、第1レポートを出力する出力部と、上記訓練データを、上記複数の評価項目のそれぞれについて評価する評価部と、を備える。そして、上記生成部は、上記評価部で評価された評価結果に基づき、上記複数の評価項目のうち少なくとも1つの評価項目について、評価項目を除外する除外処理又は評価項目の情報量を削減する削減処理を実行し、第1レポートより評価項目の数又は評価項目の情報量が少ない、患者向けの訓練レポートである第2レポートを生成し、上記出力部は、その第2レポートを出力する。このように、上記レポート出力装置では、患者向けに医師向けの第1レポートより情報量の少ない第2レポートを生成しているため、患者の訓練状況を示す情報を、患者が自身の訓練状況を理解し易いように提示することが可能になる。