JP2019094409A - 耐火樹脂組成物及び成型体 - Google Patents

耐火樹脂組成物及び成型体 Download PDF

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Abstract

【課題】金型の錆が抑制された耐火樹脂組成物を提供する。【解決手段】マトリックス樹脂及び熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物であって、前記耐火樹脂組成物2gをマトリックス樹脂が可溶な溶媒に加え、室温において前記マトリックス樹脂を溶解除去して前記溶媒の非可溶性画分を得た後、前記非可溶性画分を水25mLに加えて得られた水溶液の総陰イオン濃度が270ppm以下であることを特徴とする耐火樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火樹脂組成物及び成型体に関する。
従来、加熱により膨張し延焼を防止するために、熱膨張性黒鉛とマトリックス樹脂を含む耐火樹脂組成物を成形した耐火成型体が提案されている(特許文献1〜3)。
熱膨張性黒鉛は、火災等の熱にさらされた場合に膨張して不燃性の膨張残渣を形成する。この膨張残渣を利用して火災の延焼、煙の拡散を防止することができることから、熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物は広く建材の用途に使用されている。
特許文献4は、熱膨張性黒鉛は中和処理していない製品ではpHが3.2〜3.3程度であり、これを中和処理することでpH9.5程度になることを実施例で示している。
特許文献5,6は、中和処理された黒鉛を用いることにより装置の腐食が抑制できることを記載する。
特開2013-136939号公報 特開2014-159541号公報 WO2016/031905 特開平7-258477号公報 特開平8-193142号公報 特開平8-302056号公報
本発明は、金型の腐食を抑制することができる耐火樹脂組成物及びその成型体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の耐火樹脂組成物及び成型体を提供するものである。
項1. マトリックス樹脂及び熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物であって、前記耐火樹脂組成物2gをマトリックス樹脂が可溶な溶媒に加え、室温において前記マトリックス樹脂を溶解除去して前記溶媒の非可溶性画分を得た後、前記非可溶性画分を水25mLに加えて得られた水溶液の総陰イオン濃度が270ppm以下であることを特徴とする耐火樹脂組成物。
項2. 総陰イオン濃度が210ppm以下であることを特徴とする、項1に記載の耐火樹脂組成物。
項3. マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする項1又は2に記載の耐火樹脂組成物。
項4. 項1、2又は3に記載の耐火樹脂組成物を押出成形してなる成型体。
項5. 建築用ガスケットに用いる項4に記載の成型体。
本発明によれば、耐火樹脂組成物を金型に押出成型しても金型の腐食が抑制できる。
錆評価の結果を示す。
本発明の耐火樹脂組成物は、耐火樹脂組成物2gをマトリックス樹脂が可溶な溶媒に加え、室温において前記マトリックス樹脂を溶解除去して前記溶媒の非可溶性画分を得た後、前記非可溶性画分を水25mLに加えて得られた水溶液の総陰イオン濃度が270ppm以下のものである。
より具体的には、耐火樹脂組成物2gを粉砕した後、マトリックス樹脂が可溶な溶媒に加えて、室温で攪拌する。これにより耐火樹脂組成物中のマトリックス樹脂が前記溶媒に溶解する。次に、ろ過や遠心分離等により、前記溶媒に溶解しなかった非可溶性画分(残渣)を回収する。非可溶性画分には、熱膨張性黒鉛等が含まれる。
得られた非可溶性画分を水25mLに加えて攪拌することで、陰イオン等の電離成分を水層に移行させる。本発明では、陰イオンが溶解した水溶液の総陰イオン濃度は、270ppm以下、好ましくは250ppm以下、より好ましくは230ppm以下、さらに好ましくは210ppm以下である。
なお、非可溶性画分を水25mLに加えて攪拌すると熱膨張性黒鉛等の水に不溶な成分が含まれる懸濁液が得られる。この懸濁液を濾過、遠心分離等により不溶物を除去した溶液又は上清を使用して総陰イオン濃度を測定する。総陰イオン濃度を測定するための前記溶液又は上清を本発明では、「水溶液」と記載する。
マトリックス樹脂が可溶な溶媒による耐火樹脂組成物の攪拌時間は溶解成分(マトリックス樹脂等)が溶出すれば特に限定されないが、1〜24時間が挙げられ、例えば12時間であってもよい。
マトリックス樹脂の溶解は、マトリックス樹脂が可溶な溶媒に耐火樹脂組成物2gを加え、撹拌下に行うことが好ましい。
耐火樹脂組成物中、マトリックス樹脂可溶な溶媒に溶けなかった非可溶性画分を、遠心分離やろ過などにより分離回収した後、減圧乾燥などにより溶媒を取り除くことが好ましい。
非可溶性画分の水への溶出は電離成分が溶出すれば特に限定されないが、30分〜24時間が挙げられ、例えば12時間であってもよい。
マトリックス樹脂が可溶な溶媒は、マトリックス樹脂の種類により異なり、例えば、マトリックス樹脂がポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂(塩素化塩ビ、CPVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂の場合、キシレン、トルエン、酢酸メチル、シクロヘキサン、フルフラール等であり、オレフィン系エラストマーの場合は、キシレン、トルエン、ベンゼン等であり、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)の場合は、スチレン、キシレン、シクロヘキサン、テトラクロロエタン等である。
マトリックス樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂(塩素化塩ビ、CPVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、オレフィン系エラストマー(TPO)、ポリブテン、クロロプレン(CR)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリル/エチレン−プロピレン−ジエン/スチレン共重合体(AES)等が挙げられ、PVC、CPVC、PE、EVA等の熱可塑性樹脂やEPDMが好ましい。EPDMに用いられる架橋用ジエンモノマーとしては特に限定されず、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン類、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン類等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とにより処理してグラファイト層間化合物を生成させたものである。生成された熱膨張性黒鉛は、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
本発明に使用される熱膨張性黒鉛は、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛がアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等の塩基で中和されていてもよい。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の具体例としては、例えば、日本化成社製「CA−60S」、「CA−60N」、富士黒鉛工業社製「EXP−50SL」等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛は、塩基で中和されることによりpHは中性〜弱アルカリ性になり得る。このような場合であっても、電離性無機塩を多く含む場合、金型等の腐食が発生する。したがって、熱膨張性黒鉛は中和後に十分に水洗し、中和により生じた塩類をできるだけ除くことが好ましい。熱膨張性黒鉛に含まれる塩類を洗浄によりできるだけ除去することにより、マトリックス樹脂が可溶な溶媒による抽出後の水溶液中の総陰イオン濃度を270ppm以下、好ましくは210ppm以下にすることができる。洗浄する水は、蒸留水、イオン交換水などの陰イオン含量ができるだけ低い水が好ましい。
マトリックス樹脂100質量部に対する熱膨張性黒鉛の添加量の下限は、3、5、10、20,30,40,50,60,70,80質量部が挙げられ、上限は300,280,260,240,220,200,180,160,150,140,130,120質量部が挙げられる。熱膨張性黒鉛中には陰イオンが含まれているので、熱膨張性黒鉛の配合量を多くする場合には、熱膨張性黒鉛中の陰イオン含量を低下させておく必要がある。
マトリックス樹脂、熱膨張性黒鉛以外の添加剤としては、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、無機充填材、リンオキソ酸の塩、熱可塑性改質剤、熱安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、
ジ‐2‐エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、
エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、
アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のポリエステル可塑剤、
トリ‐2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤が挙げられる。
可塑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
可塑剤の添加量は、少なくなると押出成形性が低下する傾向があり、多くなると得られた成形体が柔らかくなり過ぎる傾向がある。このためマトリックス樹脂100質量部に対して、可塑剤の添加量は20〜200質量部である。
加硫剤としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等が挙げられ、硫黄およびテトラメチルチウラムジスルフィドが好ましい。
加硫剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
加硫剤の添加量は、少なくなると熱時の安定性が低下する傾向がある。また多くなると成形しにくくなる傾向がある。このためマトリックス樹脂100質量部に対する加硫剤の添加量は、0.1〜10質量部程度、好ましくは0.5〜5質量部程度である。
加硫剤を用いる場合には、加硫促進剤を併用することができる。
加硫促進剤としては、チアゾール含有加硫促進剤、グアニジン含有加硫促進剤、アルデヒドアミン含有加硫促進剤、イミダゾリン含有加硫促進剤、チオウレア含有加硫促進剤、チウラム含有加硫促進剤、ジチオ酸塩含有加硫促進剤、チオウレア含有加硫促進剤、ザンテート含有加硫促進剤等が挙げられる。
チアゾール含有加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等が挙げられる。
グアニジン含有加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン等が挙げられる。
アルデヒドアミン含有加硫促進剤としては、例えば、アセトアルデヒド・アニリン縮合物等が挙げられる。
イミダゾリン含有加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。
チオウレア含有加硫促進剤としては、例えば、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等が挙げられる。
チウラム含有加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
ジチオ酸塩含有加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
チオウレア含有加硫促進剤としては、例えば、エチレンチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素等が挙げられる。
ザンテート含有加硫促進剤としては、例えば、ジブチルキサトゲン酸亜鉛等が挙げられる。
加硫促進剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
マトリックス樹脂100質量部に対する加硫促進剤の添加量は、0.1〜20質量部程度が好ましい。加硫促進剤を使用することにより、加硫を効率よく進行させることができる。加硫促進剤の添加量は、0.1〜10質量部程度が好ましい。
また加硫剤を使用する場合には、加硫助剤を併用することができる。
加硫助剤としては、例えば、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系加硫助剤、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル含有加硫助剤、
ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル含有加硫助剤、マレイミド含有加硫助剤、
ジビニルベンゼン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛華が挙げられる。
マトリックス樹脂100質量部に対する加硫助剤の添加量は、1〜50質量部程度が好ましい。加硫助剤を使用することにより、加硫を効率よく進行させることができる。加硫反応は、150〜250℃程度、好ましくは200〜230℃の温度で行うことができる。
架橋促進剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、N,N,N’,N’−テトラエチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸ベンジル等が挙げられる。
無機充填材は、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイ力、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコニア鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられ、炭酸カルシウムおよび加熱時に脱水し、吸熱効果のある水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物が好ましい。また、酸化アンチモンは難燃性向上の効果があるので好ましい。
無機充填材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
無機充填材の添加量は、少なくなると耐火性能が低下する傾向があり、多くなると押出成形しにくくなり、得られた成形体の表面性が悪くなり、機械的物性が低下する傾向がある。マトリックス樹脂100質量部に対して、3〜200質量部、好ましくは10〜150質量部である。
リンオキソ酸の塩は、耐火性組成物の燃焼後の残渣を崩れないようにするため、つまり残渣の形状保持のために添加される。「リンオキソ酸」には、リン酸(オルトリン酸とも称する)、亜リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸(ホスフィン酸とも称する)、ポリリン酸(メタリン酸とも称する)が含まれる。「リンオキソ酸の塩」には、リンオキソ酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩またはそれらの組み合わせが含まれる。
リンオキソ酸の塩の例としては、粒径が小さく熱可塑性樹脂またはエラストマーに対して分散しやすく、さらには膨張後の形状保持性が高いという点で、亜リン酸塩が好ましい。
耐火性組成物中のリンオキソ酸の塩の含有量は特に限定されないが、マトリックス樹脂100質量部に対し、3〜300質量部であることが好ましく、5〜300質量部であることがより好ましく、10〜200質量部であることがさらに好ましい。
耐火性樹脂組成物におけるリンオキソ酸の塩の量が3質量部以上では耐火性樹脂組成物の燃焼後残渣の形状安定性が得られ、300質量部以下であると耐火性樹脂組成物の成形性および引張伸度が損なわれにくくなる。
熱可塑性改質剤としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)系粘度調整剤などのフッ素樹脂系粘度調整剤が挙げられる。
熱安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、三塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等の鉛熱安定剤、有機錫メルカプト、有機錫マレート、有機錫ラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫熱安定剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸等が挙げられる。
熱安定剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
滑剤としては、例えば、ポリエチレン、パラフィン、モンタン酸等のワックス類、各種エステルワックス類、ステアリン酸、リシノール酸等の有機酸類、ステアリルアルコール等の有機アルコール類、ジメチルビスアミド等のアミド系化合物等が挙げられる。
滑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
加工助剤としては、例えば、塩素化ポリエチレン、メチルメタクリレート‐エチルアクリレート共重合体、高分子量のポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール化合物等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アミノ化合物等が挙げられる。
顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系などの無機顔料等が挙げられる。
本発明に使用する耐火性樹脂組成物は、押出成形用に好ましく使用することができる。樹脂組成物を使用して、常法に従い、一軸押出機、二軸押出機等の押出機で130〜170℃で溶融させて押出することにより耐火性樹脂組成物の成型体を得ることができる。
本発明の耐火性樹脂組成物の成型体は、窓用板材と組み合わせて使用することができる。窓用板材の外周に、耐火性樹脂組成物の成型体を設置することにより耐火性サッシが得られる。
また本発明の耐火性樹脂組成物の成型体は、不燃枠材と組み合わせて使用することもできる。
不燃枠材の素材としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス等の金属、ガラス、セラミック等の無機物等を挙げることができる。
耐火性樹脂組成物の成型体と不燃枠材とは、例えば接着剤、両面粘着テープ等により互いに接着することができる。
また耐火性樹脂組成物の成型体と不燃枠材とは、例えば互いにスライドできるスライドレール部とスライドレール受部とをそれぞれ耐火性樹脂組成物の成型体と不燃枠材とに設置しておき、スライドレール部とスライドレール受部とを組み合わせること等により固定することができる。
本発明の耐火性樹脂組成物の成型体の膨張倍率は、20倍以上、好ましくは25倍以上である。本発明の耐火性樹脂組成物の成型部を備えた成型体の残渣硬さは好ましくは0.12kgf/cm2以上、より好ましくは0.15kgf/cm2以上、さらに好ましくは0.18kgf/cm2以上、特に好ましくは0.23kgf/cm2以上である。本発明の耐火性樹脂組成物の成型部を備えた成型体の引張伸度は、好ましくは130%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上、特に好ましくは300%以上である。引張伸度の上限は、3000%である。
なお、耐火性樹脂組成物の成型部を備えた成型体としては、耐火性樹脂組成物と他の層を含む多層成型体が挙げられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
(1) 耐火樹脂組成物の作製
表1に示す各成分を含む耐火樹脂組成物をニーダーで混練し、耐火樹脂組成物を作製した。塩素化塩ビはマトリックス樹脂である。なお、熱膨張性黒鉛である「CA60N」は、熱膨張性黒鉛に、熱膨張性黒鉛量が10重量%となるようにイオン交換水を加え、30分攪拌した後、ろ過して熱膨張性黒鉛を洗浄する工程を合計3回行い、イオン交換水で徹底的に洗浄して塩類を除去したものを使用した。
得られた耐火樹脂組成物を150℃、19MPaの条件で2分間余熱し、2分間プレスして厚さ1mmのシート状に成型した。得られた成型物について、以下のようにして総陰イオン濃度の測定、錆評価及び膨張倍率の評価を行った。
・総陰イオン濃度の測定
実施例及び比較例の成型物それぞれ2gを細かく砕いた後、キシレン25mLを加えて、室温(25℃)で12時間攪拌した。遠心分離、減圧乾燥により、キシレン及びキシレン溶解物を除去して得られた残渣に純水25mLに加え、30分攪拌して、電離成分を水に溶解させた。これをろ過したろ液のイオンクロマトグラフィー測定を行うことで、成形物中の総陰イオン濃度を測定した。なお、測定対象の陰イオン成分はF-、Cl-、NO2 -、Br-、NO3 -、SO4 2-である。
・錆評価方法
1mm樹脂シートを鋼板(S55C)上、170℃、19MPaで3時間プレスし、樹脂を半分はがし、室温で4日間放置し、錆の発生を目視で評価した。結果を図1に示す。
また、得られた耐火樹脂組成物2gをキシレン25mlに加え、室温で半日間撹拌し、遠心分離により固体を回収した。キシレンを減圧下で除去し、残渣をイオン交換水25ml中で撹拌し、濾過し、濾液中の陰イオンをイオンクロマトにより測定した。結果を表2に示す。
・膨張倍率の評価方法
加熱試験前に、実施例及び比較例の成型物の膨張部の断面積を測定した。その後、成形物を600℃で30分間加熱する加熱試験に供した。加熱試験後の断面積を測定して、膨張倍率を求めた。
可塑剤として、ジェイ・プラス社製「DIDP」を使用した。
熱安定剤として、Ca−Zn複合安定剤(水沢化学社製「NT−231」)を使用した。
錆結果の「○」は錆が実質的に発生していないことを示し、「×」は錆が発生していることを示す。

Claims (5)

  1. マトリックス樹脂及び熱膨張性黒鉛を含む耐火樹脂組成物であって、前記耐火樹脂組成物2gをマトリックス樹脂が可溶な溶媒に加え、室温において前記マトリックス樹脂を溶解除去して前記溶媒の非可溶性画分を得た後、前記非可溶性画分を水25mLに加えて得られた水溶液の総陰イオン濃度が270ppm以下であることを特徴とする耐火樹脂組成物。
  2. 総陰イオン濃度が210ppm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火樹脂組成物。
  3. マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火樹脂組成物。
  4. 請求項1、2又は3に記載の耐火樹脂組成物を押出成形してなる成型体。
  5. 建築用ガスケットに用いる請求項4に記載の成型体。
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