JP2019070119A - 耐火性樹脂組成物、耐火成形部材及び建具 - Google Patents

耐火性樹脂組成物、耐火成形部材及び建具 Download PDF

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Abstract

【課題】脱塩酸触媒を配合せずとも、残渣強度の高い熱膨張型耐火性樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリマー成分100重量部に対し、熱膨張性黒鉛3〜300重量部、及び無機充填材2〜200重量部を含有し、熱膨張性黒鉛の300℃までの最大膨張度増加率が0.24(ml/g/℃)以上であることを特徴とする耐火性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、耐火性樹脂組成物、耐火成形部材及び建具に関する。
熱膨張性黒鉛を含む耐火成形体は、高温により黒鉛が膨張して延焼を防ぐことができるが、高温加熱後の膨張性黒鉛の残渣強度が低いと、膨張しても残渣が崩れてしまい、十分な耐火性能を発揮しない。
この課題に対して、特許文献1では脱塩酸触媒を配合することによって、残渣硬さを高める手法が記載されている。
しかし、この手法では例えば押出成形で当該材料を成形したとき、樹脂となじみの悪い脱塩酸触媒が、成形機金型に付着して金型汚染、または押出流路付着により、吐出量が経時で減少するなどの不具合が生じることがあった。
特許第5992589号
本発明の目的は、残渣強度の高い熱膨張型耐火性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の耐火性樹脂組成物、耐火成形部材及び建具を提供するものである。
[1] ポリマー成分100重量部に対し、熱膨張性黒鉛3〜300重量部、及び無機充填材2〜200重量部を含有し、熱膨張性黒鉛の300℃までの最大膨張度増加率が0.24(ml/g/℃)以上であることを特徴とする耐火性樹脂組成物。
[2] ポリマー成分がポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、EPDM、TPOまたはこれらの2種以上の組み合わせである[1]に記載の耐火性樹脂組成物。
[3] リン化合物(燐酸エステル可塑剤を除く。)を含有しないことを特徴とする[1]又は[2]に記載の耐火性樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の耐火性樹脂組成物を成形してなる耐火成形部材。
[5] [4]に記載の耐火成形部材を備えた建具。
本発明によれば、残渣強度の高い熱膨張型耐火性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の耐火性樹脂組成物は、ポリマー成分100重量部に対し、熱膨張性黒鉛3〜300重量部及び無機充填材2〜200重量部を含む。これらの成分と、必要に応じて含有される他の添加剤を公知の混練装置を用いて溶融混練することにより耐火性樹脂組成物を得ることができる。
他の添加剤としては、可塑剤、熱可塑性改質剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、熱安定剤、滑剤、加工助剤、熱分解性発泡剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料などが挙げられる。
混練装置としては、例えば、押出機、ニーダーミキサー、二本ロール、バンバリーミキサーなどが挙げられる。
本発明の耐火性樹脂組成物において、熱膨張性黒鉛の最大膨張度増加率は、膨張開始温度から300℃までの膨張度増加率を測定し、決定することができる。
本発明で使用するポリマー成分の分解開始温度が低すぎると耐火性樹脂組成物を加熱したときの残渣硬さが十分高くならないので、ポリマー成分の分解開始温度は、好ましくは200℃よりも高く、より好ましくは220℃以上、さらに好ましくは240℃以上である。ポリマー成分の分解開始温度は示差走査熱重量測定(DSC)により測定することができる。
ポリマー成分としては、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、EPDM、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、オレフィン系樹脂、ゴム系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
好ましいポリマー成分として、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、EPDM、TPO、またはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
ポリ塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニル単独重合体、 塩化ビニルモノマーと前記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、塩化ビニルモノマー以外の重合体または塩化ビニルモノマー以外の共重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられる。ポリ塩化ビニル樹脂は一種もしくは二種以上を使用することができる。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、塩化ビニルモノマーと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、
エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類、
酢酸ビニル、フロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、
ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、
スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類などが挙げられる。
塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、一種もしくは二種以上を使用することができる。
塩化ビニルモノマー以外の重合体または塩化ビニルモノマー以外の共重合体としては、塩化ビニルをグラフト重合するものまたはグラフト共重合するものであれば特に限定されない。
例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。 これらは一種もしくは二種以上を使用することができる。
ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は特に限定されるものではないが、機械的物性および溶融押出成形の点から、ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は600〜1500の範囲であることが好ましい。
塩素化ポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂の塩素化物である。塩素化ポリ塩化ビニル樹脂の塩素含有量は少な過ぎると耐熱性が低下し、多過ぎると溶融押出成形が困難となるので60〜72重量%の範囲であることが好ましい。
EPDMとしては、例えば、エチレン、プロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体が挙げられる。EPDMに用いられる架橋用ジエンモノマーとしては特に限定されず、例えば、
5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−5−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン等の環状ジエン類、
1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン類等
が挙げられる。
好ましいEPDMは、架橋用ジエンモノマーの含有量が2〜20重量%の範囲であり、この範囲であれば柔軟性と耐候性に優れる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)としては、ハードセグメントにポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性結晶質ポリオレフィンを使用し、ソフトセグメントに、完全加硫又は部分加硫したゴムを使用した共重合体が挙げられる。
熱可塑性結晶質ポリオレフィンとしては、例えば、1〜4個の炭素原子を有するαーオレフィンのホモポリマー又は二種以上のαオレフィンの共重合体が挙げられ、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。
ソフトセグメント成分は、プチルゴム、ハロブチルゴム、EPRゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、NBR、天然ゴムなどが挙げられる。
TPOは高架橋タイプ、中架橋タイプ、未架橋タイプ、擬似架橋タイプのいずれであってもよい。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の具体例としては、6772(高架橋タイプ)、4785(中架橋タイプ)及び822(未架橋タイプ)(以上、住友化学株式会社製)、3700N(擬似架橋タイプ、JSR株式会社製)等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂、或いはこれらの2種以上の共重合体が挙げられる。
ゴム系樹脂としては、室温でゴム弾性(rubber elasticity)を有するものであれば、特に限定されない。
例えば、天然ゴム、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴムが挙げられる。
熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であり、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とにより処理してグラファイト層間化合物を生成させたものである。無機酸としては、濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。
生成された熱膨張性黒鉛は炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
本発明に使用される熱膨張性黒鉛は、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛が、洗浄液が中性になるまで水洗されてもよく、アンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和されていてもよい。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の300℃までの最大膨張度増加率は、0.24(mL/g/℃)以上、好ましくは0.25(mL/g/℃)以上、より好ましくは0.27(mL/g/℃)以上、更に好ましくは0.30(mL/g/℃)以上である。最大膨張度増加率の上限は特に限定されないが、通常の場合、0.6(mL/g/℃)以下とされる。
熱膨張性黒鉛の最大膨張度増加率は、熱膨張性黒鉛の膨張開始温度から300℃まで、10℃毎に膨張度を測定し、その膨張度の最大値により決定される。
熱膨張性黒鉛の具体例としては、例えば、富士黒鉛工業株式会社製の「EXP50SL」、「EXP42S160」などが挙げられる。
熱膨張性黒鉛の粒度は、細かくなりすぎると黒鉛の膨張度が小さく、発泡性が低下する傾向がある。また大きくなりすぎると膨張度が大きいという点では効果があるが、樹脂と混練する際に、分散性が悪く成形性が低下し、得られた押出成形体の機械的物性が低下する傾向がある。このため熱膨張性黒鉛の粒度は、20〜200メッシュ程度が好ましい。
熱膨張性黒鉛の添加量は、少なくなると耐火性能及び発泡性が低下する傾向がある。また多くなると押出成形しにくくなり、得られた成形体の表面性が悪くなり、機械的物性が低下する傾向がある。このためポリマー成分100重量部に対する熱膨張性黒鉛の添加量は、3〜300重量部程度、好ましくは10〜200重量部程度である。
無機充填材は、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコニア鉛、ホウ酸アルミニウム、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
炭酸カルシウムおよび加熱時に脱水し、吸熱効果のある水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の含水無機物が好ましい。また、酸化アンチモンは難燃性向上の効果があるので好ましい。無機充填材は一種もしくは二種以上を使用することができる。
無機充填材の添加量は、少なくなると耐火性能が低下する傾向があり、多くなると押出成形しにくくなり、得られた成形体の表面性が悪くなり、機械的物性が低下する傾向がある。このためポリマー成分100重量部に対する無機充填材の添加量は、3〜200重量部、好ましくは10〜150重量部である。
本発明の耐火性樹脂組成物は、水及び湿気等の水分への暴露に対する性能の低下を抑制するためには、リンの含有量ができるだけ少ない方が好ましく、耐火性樹脂組成物におけるリンの含有量は10質量%以下であることが好ましく、リン酸エステル系可塑剤を除くリン化合物を含有しないことが好ましい。
耐火性樹脂組成物の水及び湿気等の水分への暴露に対する性能の低下を抑制するために、水難溶性リン化合物を含有することもできる。耐火性樹脂組成物における水難溶性リン化合物の含有量は特に限定されないが、ポリマー成分100重量部に対し、水難溶性リン化合物を2〜300重量部、好ましくは5〜250重量部、より好ましくは10〜200重量部含む。
耐火性樹脂組成物における水難溶性リン化合物に由来するリン含有量又は熱膨張性耐火シートにおけるリン含有量が0.5質量%以上である場合、水分への暴露に対する性能の低下が抑制される。
水難溶性リン化合物には水難溶性無機リン化合物及び水難溶性有機リン化合物が含まれる。水難溶性無機リン化合物としては、亜リン酸アルミニウムなどの亜リン酸金属塩、第1リン酸アルミニウム、第2リン酸アルミニウム、第3リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、縮合リン酸アルミニウム及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。水難溶性有機リン化合物としては、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メレム、リン系可塑剤として作用する水難溶性のリン酸エステル及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
水難溶性のリン酸エステルとしては、トリメチルフォスフェート(TMP)、トリエチルフォスフェート(TEP)、トリブチルフォスフェート(TBP)、トリス(2−エチルヘキシル)フォスフェート(TOP)、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)、トリキシレニルフォスフェート(TXP)、クレジルフェニルフォスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルフォスフェート、スピロ環ジホスフォネート化合物等を例示することができる。
好ましくは、水難溶性リン化合物は、亜リン酸アルミニウム、第1リン酸アルミニウム、第2リン酸アルミニウム、第3リン酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、縮合リン酸アルミニウム、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メレム及び水難溶性のリン酸エステルから選択される少なくとも一つである。より好ましくは、水難溶性リン化合物は、亜リン酸アルミニウム、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メレム及び水難溶性のリン酸エステルから選択される少なくとも一つである。さらに好ましくは、水難溶性リン化合物は、亜リン酸アルミニウム、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メラミン及び水難溶性のリン酸エステルから選択される少なくとも一つである。
可塑剤は、特に限定されないが、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、
ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、
エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、
アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のポリエステル可塑剤、
トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、
トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)、トリクレジルフォスフェート(TCP)等の燐酸エステル可塑剤が挙げられる。可塑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
可塑剤の添加量は、少なくなると押出成形性が低下する傾向があり、多くなると得られた成形体が柔らかくなり過ぎる傾向がある。このためポリマー成分100重量部に対して、可塑剤の添加量は好ましくは20〜200重量部である。
熱可塑性改質剤としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)系粘度調整剤などのフッ素樹脂系粘度調整剤が挙げられる。熱可塑性改質剤の具体例としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製「メタブレン(Aタイプ)」等が挙げられる。
加硫剤としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等が挙げられ、硫黄およびテトラメチルチウラムジスルフィドが好ましい。加硫剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
加硫剤の添加量は、少なくなると熱時の安定性が低下する傾向がある。また多くなると成形しにくくなる傾向がある。このためポリマー成分100重量部に対する加硫剤の添加量は、好ましくは0.1〜10重量部程度、より好ましくは0.5〜5重量部程度である。
加硫剤を用いる場合には、加硫促進剤を併用することができる。加硫促進剤としては、チアゾール含有加硫促進剤、グアニジン含有加硫促進剤、アルデヒドアミン含有加硫促進剤、イミダゾリン含有加硫促進剤、チオウレア含有加硫促進剤、チウラム含有加硫促進剤、ジチオ酸塩含有加硫促進剤、チオウレア含有加硫促進剤、ザンテート含有加硫促進剤等が挙げられる。
チアゾール含有加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等が挙げられる。グアニジン含有加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、トリフェニルグアニジン等が挙げられる。アルデヒドアミン含有加硫促進剤としては、例えば、アセトアルデヒド・アニリン縮合物等が挙げられる。イミダゾリン含有加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトイミダゾリン等が挙げられる。チオウレア含有加硫促進剤としては、例えば、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等が挙げられる。チウラム含有加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。ジチオ酸塩含有加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。チオウレア含有加硫促進剤としては、例えば、エチレンチオ尿素、N,N'−ジエチルチオ尿素等が挙げられる。ザンテート含有加硫促進剤としては、例えば、ジブチルキサトゲン酸亜鉛等が挙げられる。加硫促進剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
ポリマー成分100重量部に対する加硫促進剤の添加量は、0.1〜20重量部程度が好ましい。加硫促進剤を使用することにより、加硫を効率よく進行させることができる。加硫促進剤の添加量は、0.1〜10重量部程度が好ましい。また加硫剤を使用する場合には、加硫助剤を併用することができる。
加硫助剤としては、例えば、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系加硫助剤、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル含有加硫助剤、
ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル含有加硫助剤、マレイミド含有加硫助剤、
ジビニルベンゼン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、亜鉛華が挙げられる。
ポリマー成分100重量部に対する加硫助剤の添加量は、1〜50重量部程度が好ましい。加硫助剤を使用することにより、加硫を効率よく進行させることができる。加硫反応は、150〜250℃程度、好ましくは200〜230℃の温度で行うことができる。
架橋促進剤としては、例えば、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、N,N,N’,N’−テトラエチルチウラムジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸ベンジル等が挙げられる。
熱安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、三塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛等の鉛熱安定剤、有機錫メルカプト、有機錫マレート、有機錫ラウレート、ジブチル錫マレート等の有機錫熱安定剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸熱安定剤、Ca-Zn系熱安定剤等が挙げられる。熱安定剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
滑剤としては、例えば、ポリエチレン、パラフィン、モンタン酸等のワックス類、各種エステルワックス類、ステアリン酸、リシノール酸等の有機酸類、ステアリルアルコール等の有機アルコール類、ジメチルビスアミド等のアミド系化合物等が挙げられる。滑剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
加工助剤としては、例えば、塩素化ポリエチレン、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、高分子量のポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール化合物等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、アミノ化合物等が挙げられる。
顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系などの無機顔料等が挙げられる。
本発明の耐火性樹脂組成物は、押出成形用に好ましく使用することができる。耐火性樹脂組成物を使用して、常法に従い、一軸押出機、二軸押出機等の押出機で130〜170℃で溶融させて押出し、用途に応じて適切な長さに切断することにより耐火成形部材を得ることができる。
本発明の耐火成形部材は、窓用板材と組み合わせて使用することができ、例えばサッシ、窓(引き違い窓、PJ窓など)等の枠(上枠、下枠、たて枠など)、框(床框、上框、縁框、竪框など)などに嵌合して建具として使用することができ、耐火性の建具が得られる。
また本発明の耐火成形部材は、不燃枠材と組み合わせて使用することもできる。
不燃枠材の素材としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス等の金属、ガラス、セラミック等の無機物等を挙げることができる。本発明の耐火成形部材と不燃枠材とは、例えば接着剤、両面粘着テープ等により互いに接着することができる。
また、本発明の耐火成形部材と不燃枠材とは、例えば互いにスライドできるスライドレール部とスライドレール受部とをそれぞれ建材用多層耐火成形体と不燃枠材とに設置しておき、スライドレール部とスライドレール受部とを組み合わせること等により固定することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(1)耐火成形部材の作製
[実施例1〜4及び比較例1〜4]
表1に示すポリマー成分(塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂)、熱膨張性黒鉛、無機充填材(炭酸カルシウム)、任意成分として可塑剤(DIDP(ジイソデシルフタレート))、熱安定剤(Ca-Zn熱安定剤、ステアリン酸Ca)、加工助剤(塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート)を含む耐火性樹脂組成物を混練し、押出法によりシート状の耐火成形部材を得た。
[実施例5〜8及び比較例5〜7]
表3に示すポリマー成分(TPO樹脂、TPS樹脂、EVA樹脂)、熱膨張性黒鉛、無機充填材(カーボンブラック、亜リン酸アルミニウム)、熱可塑性増粘剤(メタブレン)、を含む耐火性樹脂組成物を混練し、押出法によりシート状の耐火成形部材を得た。
(2)残渣の形状保持性及び最大膨張度増加率
上記で得られた耐火成形部材について、下記の条件で残渣の形状保持性を測定した。結果を表1及び表3に示す。
また、使用した熱膨張性黒鉛について、下記の条件で最大膨張度増加率を測定した。結果を表2に示す。
(i)残渣の形状保持性
得られた耐火成形部材より作成した試験片(長さ100mm、幅100mm、厚さ1mm)を電気炉に投入し、600℃で30分間加熱した。電気炉より取り出したサンプルを90°の角度に傾けて10秒間保持し、膨張残渣が崩れるか否かを調べ、以下の基準で評価した。
PASS:残渣が形状を保持し崩れない
FAIL:残渣が形状を保持できず崩れる
(ii) 最大膨張度増加率
熱膨張性黒鉛1.00gを50ml容量の耐熱ビーカに計量し、熱電対を取付けて、熱膨張性黒鉛の材料温度を測れるように設置した。次に、所定温度に昇温した電気炉に準備した耐熱ビーカ投入し、30分間加熱した。30分経過後、熱膨張性黒鉛をメスシリンダーに投入して50回タップした後の体積を測定した。
前記測定方法において、電気炉内の所定温度を100℃から300℃まで10℃毎に調整して、各調整温度毎に熱膨張性黒鉛の膨張後の体積を測定した。
横軸に所定温度、縦軸に膨張後の体積をプロットし、膨張開始温度から300℃までの温度範囲において、傾きが最大値となる値を算出して最大膨張度増加率(ml/g/℃)とした。なお、膨張開始温度は、加熱前の元の体積に対する熱膨張性黒鉛の膨張倍率が1.1倍に達した時の温度と規定した。
Figure 2019070119
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Claims (5)

  1. ポリマー成分100重量部に対し、熱膨張性黒鉛3〜300重量部、及び無機充填材2〜200重量部を含有し、熱膨張性黒鉛の300℃までの最大膨張度増加率が0.24(ml/g/℃)以上であることを特徴とする耐火性樹脂組成物。
  2. ポリマー成分がポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、EPDM、TPOまたはこれらの2種以上の組み合わせである請求項1に記載の耐火性樹脂組成物。
  3. リン化合物(燐酸エステル可塑剤を除く。)を含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐火性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐火性樹脂組成物を成形してなる耐火成形部材。
  5. 請求項4に記載の耐火成形部材を備えた建具。
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