下記特許文献1には、ケーシング内に回転ブラシと送風羽根とが相上下して配置された構成の回転ブラシユニットと、回転ブラシユニットにより吸引回収された枯草類などが収容される集塵バケットとを備える乗用型芝生面清掃機が開示されている。この乗用型芝生面清掃機は、集塵バケットの前端面に設けられたバケット側接続口がケーシングの背面側の上端部に設けられたケーシング側接続口に接続されており、回転ブラシによって枯草類が掬い上げられ、この掬い上げられた枯草類が送風羽根によって集塵バケット内に収容される。
ところが、バケット側接続口が集塵バケットの前方側上部に形成されているので、ケーシングを上下方向へ長く形成する必要があり、ケーシングにコストがかかる。また、ケーシングが上下方向へ長く形成されているので、枯草類を安定して集塵バケットへ送り込むためには、送風羽根を設けなければならず、さらにコスト高となっている。
乗用型芝生面清掃機において、多くの枯草類を回収できるよう集塵バケットを大型化する場合には、集塵バケットが後輪よりもさらに後方へ延出するよう形成することが考えられるが、清掃機全体の前後のバランスが悪くなってしまう。また、車体を後方へ伸ばして前後長さを長くし、その後端部に後輪を設けた上で、集塵バケットを後方へ大型化することが考えられるが、この場合には清掃機全体が前後方向へ大型化するという問題がある。さらに、一対の後輪間の距離を大きくして集塵バケットを下方へ大型化することが考えられるが、この場合には清掃機全体が幅方向へ大型化するという問題がある。すなわち、いずれの場合においても、集塵バケットを大型化すると清掃機全体が大型化してしまう。
そこで、従来、ブラシ部材により掻き上げられた刈芝などの塵埃がホッパーの底部から内部へ収容される芝生清掃車が提案されている。この芝生清掃車101は、図7および図8に示されるように、ブラシ部材102がブラシケース103の内部に配置され、ブラシケース103の上端部がホッパー104の底部に形成された貫通穴105を介してホッパー104内に差し込まれており、ブラシ部材102を矢印の方向(反時計方向)へ回転させることで、ブラシケース103を介して塵埃がホッパー104内に運ばれて収容される。このような構成であるので、ブラシケース103の上下長さを短くすることができ、これに伴って前述した送風羽根を省略することができる。また、ブラシケース103が車輌本体106の下部に設けられるので、ケーシングが集塵バケットの前方に配置される前述の場合と比較して、芝生清掃車101全体を大型化することなく、ホッパー104を前後方向に大型化することができる。
図7に示されるように、ホッパー104の底部の矩形状の貫通穴105の前後両端部および左右両端部において、ホッパー104内部には、薄くて柔らかいゴム製の板材107が設けられている。各板材107は、ブラシケース103の上端部が貫通穴105を介してホッパー104内に差し込まれた状態において、ブラシケース103にもたれかかっており、貫通穴105の内側部とブラシケース103の外側部との間の隙間が覆われている。これにより、清掃中にホッパー104内に運ばれる塵埃が前記隙間から外部へ落下するのを防止することができる。
図8に示されるように、清掃後には、ホッパー104を左右方向へ沿う軸108まわりに回動させ、さらにホッパー104の扉109を開くことで、ホッパー104の後端部の開口からホッパー104内の塵埃が排出される。この際、ブラシケース103の上端部がホッパー104から抜き出され、これにより、薄くて柔らかいゴム製の板材107が自重により垂れ下がってしまう。従って、ホッパー104の貫通穴105からホッパー104内の塵埃が落下して、芝生清掃車101の駆動装置に付着したり、芝生面にまき散らされたりする。駆動装置に塵埃が付着した場合には、芝生清掃車101自体を清掃する手間がかかり、芝生面に塵埃がまき散らされた場合には、芝生面を清掃する手間がかかることになる。
以下、本発明の芝生清掃車の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の芝生清掃車の一実施例を示す図であり、以下の説明では、本実施例の芝生清掃車1の運転席側を前方、ホッパー側を後方とし、芝生清掃車1の幅方向を左右方向とする。すなわち、図1の紙面における左右方向を前後方向とし、図1の紙面における奥行方向を左右方向として説明する。
本実施例の芝生清掃車1は、車輌本体2の前方に設けられた運転席3に作業者が座ってハンドル4を握り、芝生5上を走行しつつ刈芝などの塵埃を掻き上げて清掃するものである。芝生清掃車1は、車輌本体2の下部に回転可能に設けられるブラシ部材6と、中空状のブラシケース7と、ブラシケース7の上方に配置されるホッパー8と、ホッパー8に形成された貫通穴9を開閉可能とする蓋部材10とを備える。
ブラシ部材6は、図1および図2に示されるように、軸線が左右方向へ沿うようにして配置される軸部材11と、軸部材11に設けられるブラシ12と、軸部材11に設けられる羽根13とを有している。軸部材11は、軸線が左右方向へ沿って配置される丸棒状の軸部14と、ブラシ12や羽根13の保持部15とから構成される。保持部15は、略八角形の板状に形成され、板面が軸部14の軸線と直交するように配置される。本実施例では、保持部15は、三枚が左右方向へ互いに離隔して配置され、それらの板面を軸部14が貫通した状態で、軸部14に固定される。ブラシ12は、直毛状に形成されており、長方形の板状に形成された基材16の幅方向略中央部に長手方向に配置される。羽根13は、長方形の板材が屈曲形成されたものであり、その縦断面は、柄が外方へ傾斜して延出した略柄杓形状に形成される。
図1および図2に示されるように、羽根13は、略八角形状で周囲に八面を有する各保持部15の一つおきの周面に内方へ凹んで形成された段部に、軸部14方向である左右方向へ沿って固定される。この際、各羽根13は、柄杓の柄の部分が外方へ延出するようにして、柄杓の合の部分が保持部15に形成された段部に固定され、各羽根13の柄杓の柄の部分が、柄杓の合の部分に対して、ブラシ部材6の回転方向(図1の矢印Aの方向)の前側に配置される。また、直毛状のブラシ12は、基材16に立設された状態で、その基材16が各羽根13の柄杓の合の部分の内部に固定され、各羽根13に固定される。
このようにして、軸部材11の軸線と交差する方向へ延出して軸部材11にブラシ12が設けられると共に、軸部材11の軸線と交差する方向へ延出しつつ軸部材11の軸線方向へ沿って軸部材11に羽根13が設けられて、ブラシ部材6が構成される。図1に示されるように、本実施例のブラシ部材6は、軸部14まわりに回転可能とされており、その羽根13の柄杓の柄の部分は、ブラシ12に対して、ブラシ部材6の回転方向(図示例では反時計方向)の前側に配置される。また、ブラシ12は、軸部材11の軸線と交差する方向へ、羽根13の柄杓の柄の部分よりも延出している。
ブラシケース7は、中空状に形成されており、その中空部内に前述した構成のブラシ部材6が配置される。本実施例のブラシケース7は、側面視略円形状で下方へ開口した中空ボックス状のケース本体部17と、左右方向を長手方向とする正面視略長方形状で上下方向へ開口した略角筒状の連通部18とを有する。ケース本体部17と連通部18とは、ケース本体部17の上部から連通部18が上方へ突出するようにして接続される。この際、ケース本体部17と連通部18とは、内部同士が互いに連通される。このようにして、ブラシケース7は、ブラシ部材6により掻き上げられた塵埃を中空部内へ導入する入口19が下端部に形成される一方、導入された塵埃を中空部の外部へ導出する出口20が上端部に形成される。すなわち、ケース本体部17の下方への開口部が入口19とされる一方、連通部18の上方への開口部が出口20とされる。
図1に示されるように、ブラシケース7は、前後の車輪21,21間において、車輌本体2の下部に設けられる。この際、ブラシケース7は、入口19が下方へ開口すると共に、出口20が上方へ開口するように設けられる。なお、ブラシケース7には、その上下高さを調整することができる高さ調整装置(図示省略)が設けられる。
また、ブラシケース7には、その前側の壁面、左側の壁面および右側の壁面の下端部に、長方形の板状に形成されたゴム製のカバー部材22が設けられる。ブラシケース7の前側の壁面に設けられるカバー部材22は、長手方向の長さがブラシケース7の前側の壁面の左右長さに対応しており、長手方向が左右方向へ沿うようにして、ブラシケース7の前側の壁面の下端部に、ブラシケース7から下方へ突出するよう設けられる。ブラシケース7の左右の壁面に設けられるカバー部材22はそれぞれ、長手方向の長さが設けられる壁面の前後長さに対応しており、長手方向が前後方向へ沿うようにして、各壁面の下端部に、ブラシケース7から下方へ突出するよう設けられる。この下方への突出長さは、高さ調整装置の最大上下動の範囲内でよい。
図1に示されるように、ブラシケース7のケース本体部17内には、ブラシ部材6が回転可能に設けられる。具体的には、ケース本体部17には、軸受が設けられ、この軸受を介してブラシ部材6の軸部14が回転可能に保持される。この際、ブラシ部材6は、その軸線が左右方向へ沿うようにして、ケース本体部17内に配置される。このブラシ部材6を回転させるための駆動手段(図示省略)は、本実施例ではエンジンとされ、車輌本体2に設けられる。このエンジンのエンジンプーリと、車輌本体2に設けられる中間軸の中間軸プーリとには、無端状のVベルトが巻き掛けられている。また、中間軸プーリと、ブラシ部材6の軸部14の軸方向一端部(本実施例では軸部14の右端部)に設けられるブラシプーリとには、無端状のVベルトが巻き掛けられている。このようにして、ブラシケース7には、ブラシ部材6がその軸線まわりに回転可能に保持され、エンジンからの動力により、図1における反時計方向である矢符A方向へブラシ部材6を回転させることができる。
ホッパー8は、中空ボックス状に形成されている。本実施例のホッパー8は、図1に示すように、後面へ開口して中空部を有する略矩形ボックス状のホッパー本体23と、このホッパー本体23の開口部を開閉する扉24とから構成される。扉24が閉じられた状態(図1の状態)では、ホッパー本体23と扉24との隙間は、隙間テープ(図示省略)が介在して封止される。本実施例では、ホッパー本体23の後側上端部に設けられた左右の支持部26に軸25が保持されており、その軸25に扉24の上端部に設けられた揺動部27が回動自在に保持されて、扉24の上端部がホッパー本体23の左右方向へ沿う軸25まわりに回動可能に保持される。
前方に向かって上方へ傾斜して形成されたホッパー8の底部には、上下方向に開いた貫通穴9が形成されている。図2に示されるように、貫通穴9は、左右方向を長手方向とする略長方形状で、ホッパー8の前後方向一方の側であるホッパー本体23の底部の前端部に形成されている。
ホッパー8は、ブラシ部材6およびブラシケース7の上方において、車輌本体2に設けられる。この際、中空ボックス状のホッパー8は、底部に形成された貫通穴9内を貫通してホッパー8内部にブラシケース7の上端部(連通部18の上端部)が差し込まれた差込状態(図1)と、ホッパー8内部からブラシケース7の上端部が貫通穴9から抜き出された抜出状態(図6)とに移動可能に、車輌本体2に設けられる。本実施例では、車輌本体2の後端部に設けられた支持部29に左右方向へ沿って軸28が保持されており、その軸28にホッパー8の後側下端部に設けられた揺動部30が回動自在に保持されて、ホッパー8の前後方向他方の側である後端部が左右方向へ沿う軸28まわりに回動自在に車輌本体2に設けられて、前記差込状態と前記抜出状態とに移動可能とされる。
このホッパー8の回動は、シリンダ31にてなされる。つまり、車輌本体2の後端部にはシリンダ31が設けられており、そのロッド32の先端部がホッパー8の下端部に設けられている。この際、シリンダ31の基端部が、車輌本体2に左右方向へ沿って設けられた軸33に回動自在に保持され、ロッド32の先端部が、ホッパー8の下端部のロッド取付部34に左右方向へ沿って設けられた軸35に回動自在に設けられる。これにより、シリンダ31のロッド32の伸縮によって、前記差込状態から前記抜出状態へ、および前記抜出状態から前記差込状態へ、ホッパー8を回動させることができる。
蓋部材10は、ホッパー8に貫通穴9を開閉可能に設けられる。図5は、本実施例の芝生清掃車が備える蓋部材の斜視図であり、前方から見た状態を示している。本実施例の蓋部材10は、略矩形板状の蓋本体部36と、蓋本体部36のホッパー8への取付部37と、蓋本体部36と取付部37との接続部38とを有する。
蓋本体部36は、左右方向を長手方向とする略長方形の板状とされ、上端部が前方へ行くに従って上方へ傾斜するように屈曲して形成され、下端部が前方へ屈曲して形成されている。蓋本体部36は、ホッパー8に形成された貫通穴9を閉じることができる左右長さおよび上下長さを有している。取付部37は、円筒状に形成されており、蓋本体部36の下方において、互いに左右方向へ離隔して配置される。接続部38は、上下方向を長手方向とする略長方形の板状に形成されており、互いに左右方向へ離隔して蓋本体部36に設けられる。この際、各接続部38は、後面が蓋本体部36の前面に当接して設けられており、下端部が蓋本体部36の下端部の前方への屈曲部を貫通する。この各貫通部の下端部に、円筒状の取付部37が固定される。この際、両取付部37,37は、軸方向が左右方向へ沿うと共に、同一軸線上に配置される。
図1および図3に示されるように、蓋部材10は、ホッパー8の貫通穴9よりもホッパー8の前後方向一方の側である前方側において、ホッパー8の底部の内側に左右方向へ沿う軸39まわりに回動自在に設けられて、貫通穴9を開閉可能とする。本実施例では、その軸39は、軸支持部材40を介してホッパー8に設けられており、蓋部材10の円筒状の取付部37を貫通する。
本実施例の芝生清掃車1は、ホッパー8内の塵埃が貫通穴9の左右両端部から外部へ落ちるのを防止する防止手段43をさらに備える。本実施例の防止手段43は、板状に形成されており、貫通穴9の左右両端部において、ホッパー8の底部内面に立設される。貫通穴9の左右両端部に配置される防止手段43の内、左側に配置される防止手段43は、前後方向を長手方向とする略長方形の板状で、下端部が左方へ屈曲して形成されており、その屈曲部がホッパー8の内面にネジなどで固定される。また、貫通穴9の右側に配置される防止手段43も同様にホッパー8の内面にネジなどで固定される。
なお、図1および図4に示されるように、ホッパー8の内部には、貫通穴9の後端部において、薄くて柔らかいゴム製の板材44がブラシケース7の連通部18のホッパー8内へ突出した部分にもたれかかるようにして設けられる。本実施例では、板材44は、左右方向を長手方向とする略長方形の板状に形成されており、左右長さがホッパー8に形成された貫通穴9の左右長さとほぼ同一とされ、幅が貫通穴9の幅よりも小さく形成されている。この板材44は、側面視略くの字形の板状の取付部材45と側面視略コ字形の板状の取付部材46とで短手方向一端部が挟まれた状態でホッパー8の底部内面に設けられる。ここで、板材44の短手方向一端部は、取付部材45と取付部材46との間に設けられた状態で、それらを貫通するようにボルトが設けられることで、取付部材45と取付部材46とで挟まれる。また、取付部材45は、一方の板片に対して他方の板片が前方へ行くに従って上方へ傾斜した状態で、一方の板片がホッパー8の底部内面に溶接などで固定される。
次に、本実施例の芝生清掃車1の清掃動作について説明する。芝生清掃車1は、芝生5上を前方へ走行しつつ、芝生5を清掃することができる。芝生5の清掃は、ブラシケース7の内部に配置されたブラシ部材6を回転させることでなされる。清掃時には、図1に示されるように、ブラシケース7の上端部が貫通穴9を介してホッパー8内に差し込まれた状態(前記差込状態)とされている。
この状態において、エンジンからの動力によりブラシ部材6を図1における反時計方向(矢符A方向)へ回転させることで、つまり、前後の車輪21,21とは逆方向へ回転させることにより、芝生5上の塵埃をブラシ部材6のブラシ12により掻き上げることができる。掻き上げられた塵埃は、ブラシケース7に形成された入口19を介してブラシケース7内部に導入された後、ブラシケース7に形成された出口20を介して外部へ導出される。すなわち、掻き上げられた塵埃は、ケース本体部17内に導入された後、連通部18を介してホッパー8内部であるブラシケース7外部へ導出される。ブラシケース7の出口20から排出される塵埃は、ブラシケース7の上端部がホッパー8内に差し込まれているので、ホッパー8内に収容される。このようにして、ブラシ部材6を回転させることで、塵埃を掻き上げてホッパー8内に収容することができる。なお、前述したように、ブラシ部材6が板状の羽根13を有しているので、ブラシ部材6の回転時において風量を増加させることができる。これにより、芝生5上の塵埃をより確実に舞い上げることができ、より確実にホッパー8内へ運ぶことができる。
清掃時においては、すなわちホッパー8の前方側がシリンダ31によって持ち上がっていない時には、蓋部材10がホッパー8内に差し込まれたブラシケース7の連通部18の前側上端部にもたれかかっていると共に、ゴム製の板材44がブラシケース7の連通部18の後側上端部にもたれかかっている。この際、蓋部材10および板材44の左右両端部はそれぞれ、板状の防止手段43の内面に接触または近接されている。これにより、清掃時においてホッパー8内に収容された塵埃が、ブラシケース7の連通部18と貫通穴9との間の隙間から外部へ落ちるのを防止することができる。また、図1に示されるように、蓋部材10および板材44がブラシケース7の連通部18にもたれかかった状態では、蓋部材10の上端部が板材44の上端部よりも上方へ延出している。
図6は、本実施例の芝生清掃車の塵埃の排出状態を示す概略左側面図であり、一部を断面にして示している。この図に示されるように、清掃終了後、ホッパー8内に収容された塵埃を外部へ排出する場合には、シリンダ31を操作することで、ホッパー8を軸28まわりに図6における反時計方向へ回動させる。また、ホッパー8の扉24が自重によって軸25まわりに図6における時計方向へ回動して開かれる。これにより、ホッパー8内の塵埃は、ホッパー本体23の後側開口部から外部へ排出される。
このホッパー8の回動中には、ブラシケース7の連通部18がホッパー8内から抜き出されていくことになり、蓋部材10が軸39まわりに図6における反時計方向へ回動していくと共に、板材44がその柔軟性によって前方へ折り曲げられていくことになる。そして、ホッパー8内からブラシケース7の連通部18が抜き出された状態では、蓋部材10が折り曲げられた板材44に接触して、ホッパー8に形成された貫通穴9が蓋部材10により閉じられる。この際、蓋部材10の左右両端部は、貫通穴9の左右両端部に配置された防止手段43の内面にそれぞれ接触または近接した状態となっている。
このようにして、蓋部材10は、ホッパー8内にブラシケース7の連通部18が差し込まれた前記差込状態では貫通穴9を開く一方、ホッパー8内からブラシケース7の連通部18が抜き出された前記抜出状態では貫通穴9を閉じることになる。ここで、蓋部材10は、前述した構成であるので、ホッパー8が前記差込状態から前記抜出状態に回動する際に、ブラシケース7の連通部18にもたれかかった状態から自重により回動して、ホッパー8に形成された貫通穴9を閉じることができる。また、板状の防止手段43は、ホッパー8の貫通穴9の左右両端部に前述したように立設されているので、ホッパー8が前記差込状態から前記抜出状態に回動する際に、貫通穴9の左右両端部において、貫通穴9の内側とブラシケース7の外側との間の隙間からホッパー8内の塵埃が外部へ落ちるのを防止することができる。
ホッパー8からの塵埃の排出後、シリンダ31を操作することで、ホッパー8を軸28まわりに図6における時計方向へ回動させる。この際、ブラシケース7の上端部がホッパー8内に貫通穴9を介して差し込まれていくことになる。これにより、ブラシケース7の上端部が蓋部材10に接触して蓋部材10が軸39まわりに図6における時計方向へ回動していくと共に、ブラシケース7の上端部が前方へ折れ曲がった板材44に接触して板材44が伸びつつホッパー8内へ戻されていくことになる。
そして、ホッパー8内にブラシケース7の連通部18が差し込まれた状態では、蓋部材10がブラシケース7の前側上端部にもたれかかっていると共に、板材44がブラシケース7の後側上端部にもたれかかっている。この際、前述したように、蓋部材10の左右両端部および板材44の左右両端部は、貫通穴9の左右両端部に配置された防止手段43の内面に接触または近接される。また、ホッパー8の扉24が軸25まわりに図6における反時計方向へ回動して閉じられる。このようにして、芝生清掃車1は、図6に示す抜出状態から図1に示す差込状態に戻されて、芝生5を清掃可能な状態とされる。
本実施例の芝生清掃車1によれば、ブラシケース7がホッパー8内から抜き出された際に、ホッパー8の貫通穴9を蓋部材10により閉じることができるので、ホッパー8内の塵埃が貫通穴9を介して下方へ落下するのを防止することができる。従って、貫通穴9から芝生5に落下した塵埃を再度清掃する手間がかからず、芝生清掃車1に付着した落下した塵埃を清掃する手間がかからない。また、本実施例の芝生清掃車1によれば、蓋部材10が貫通穴9よりも前方において回動可能とされているので、ホッパー8内に収容された塵埃の内、特に貫通穴9よりも前方側に収容された塵埃が落下するのを防止することができる。
また、本実施例の芝生清掃車1によれば、蓋部材10が軸39まわりに回動して自重により貫通穴9を閉じる構成であり、かつ蓋部材10が板状に形成されているので、簡易な構成で貫通穴9からの塵埃の落下を防止することができる。さらに、本実施例の芝生清掃車1によれば、防止手段43を備えているので、貫通穴9の左右両端部からの塵埃の落下を防止することができ、ホッパー8内に収容された塵埃の貫通穴9からの落下をより確実に防止することができる。しかも、防止手段43が板状に形成されているので、簡易な構成とすることができる。
本発明の芝生清掃車は、前記実施例の構成に限らず適宜に変更可能である。たとえば、蓋部材10は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、貫通穴9を開閉できる構成であればよい。また、前記実施例では、防止手段43は、板状に形成されたが、これに限定されるものではない。さらに、ブラシ部材6は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、塵埃を掻き上げてホッパー8内へ収容できる構成であればよい。