JP2019091739A - ソレノイドアクチュエータ - Google Patents

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剛州 末
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Abstract

【課題】制御性を向上させたソレノイドアクチュエータを提供する。【解決手段】ソレノイドアクチュエータ100は、円筒状の筒部分21を有する筒状部材2と、磁性体で成り、筒状部材2の筒内部において、筒状部材2の内周面21sに沿い移動自在に配置されるプランジャ1と、プランジャ1に磁力を作用させる電磁石5と、を備え、プランジャ1は、円柱状に形成された円柱部15を有し、円柱部15は、プランジャ1の移動方向における端部に後方丸面取部R1を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、円筒状の筒部分を有する筒状部材と、前記筒状部材の筒内部において、前記筒状部材の内周面に沿い移動自在に配置されるプランジャと、前記プランジャに磁力を作用させる電磁石と、を備えたソレノイドアクチュエータに関する。
円筒状の筒部分を有する筒状部材と、当該筒状部材の筒内部において、当該筒状部材の内周面に沿い移動自在に配置されるプランジャと、当該プランジャに磁力を作用させる電磁石と、を備えたソレノイドアクチュエータ(いわゆる、電磁ソレノイド)は、例えば、内燃機関における作動油の流れを制御する弁開閉時期制御装置のソレノイドバルブの駆動力発生部として用いられる(例えば、特許文献1)。
特許文献2には、センターポールおよびプランジャの外側に配置される電磁コイルによりプランジャを移動して流路の開閉を行う電磁弁(つまり、弁開閉の駆動力発生部としてソレノイドアクチュエータを採用した電磁弁)についての技術課題が記載されている。たとえば、電磁弁のプランジャは、移動の際に外側の部材(筒状部材)と擦れて摩耗粉を発生し、当該摩耗粉は、プランジャの外側に位置する部材とプランジャとの間に留まり、プランジャの移動に対して抵抗となり、電磁弁を作動させるために必要な作動電圧が上昇してしまう問題が指摘されている。
また、特許文献2には、上記のプランジャの摩耗粉に起因する作動電圧の上昇を抑えることができる電磁弁を得るべく、プランジャの摺動方向の両端部を面取りした発明が記載されている。
特開2015−161341号公報 特開2015−212556号公報
しかし、プランジャの摺動方向の端部を単純に面取りするだけではプランジャの摩擦を十分に低減することができなかった。そのため、プランジャをなめらかに動作させることができない場合があり、ソレノイドアクチュエータの制御性向上の障害となっていた。
そこで、プランジャがなめらかに動作する、制御性を向上させたソレノイドアクチュエータの提供が望まれる。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、制御性を向上させたソレノイドアクチュエータを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るソレノイドアクチュエータの特徴構成は、
円筒状の筒部分を有する筒状部材と、
磁性体で成り、前記筒状部材の筒内部において、前記筒状部材の内周面に沿い移動自在に配置されるプランジャと、
前記プランジャに磁力を作用させる電磁石と、を備え、
前記プランジャは、円柱状に形成された円柱部を有し、
前記円柱部は、前記プランジャの移動方向における少なくとも一方の端部であって、かつ、径方向外周側の端部に、丸面取りされた丸面取部を有する点にある。
上記構成によれば、プランジャが円柱状に形成されており、また、筒状部材が円筒状の筒部分を有するため、プランジャの外周面が、筒状部材の内周面に沿い、プランジャの円柱部の軸心方向が筒状部材の筒部分の軸心方向におよそ沿う状態で、筒状部材の内部で移動することができる。そして、プランジャは磁性体で成るため、電磁石の磁力の強弱に応じて筒状部材の内部で移動することができる。
ここで、上記のような構成においては、筒状部材の内部におけるプランジャの移動を許容すべく、筒状部材の内周面とプランジャの外周面との間には、所定の隙間が必要である。そのため、当該隙間によるあそびが生じ、プランジャが移動する際のプランジャの軸心方向と、筒状部材の筒部分の軸心方向とが交差して筒部分の軸心方向に対してプランジャの軸心方向が傾くことがある。このようにプランジャの軸心方向と、筒状部材の筒部分の軸心方向とが交差すると、プランジャ(円柱部)における、プランジャの移動方向における端部、かつ、径方向外周側の端部が、筒状部材の内周面と摩擦する。以下、このような状態を「傾き状態」と称する。
しかし、上記構成によれば、プランジャの端部において摩擦が生ずる部分に丸面取部を設けているため、この丸面取部が筒状部材の内周面となめらかに接するため、摩擦(抵抗)を低減することができる。
したがって上記構成によれば、プランジャを十分なめらかに動作させることができる。すなわち、制御性を向上させたソレノイドアクチュエータを提供することができる。
本発明に係るソレノイドアクチュエータの更なる特徴構成は、
前記丸面取部の丸面取りの半径が、前記筒状部材の内周面と、前記円柱部の外周面との平均距離の100倍以上である点にある。
上記構成によれば、丸面取部の丸面取りの半径が、筒状部材の内周面と円柱部の外周面との平均距離、すなわち、筒状部材と外周面との平均的なクリアランス(隙間)に対して十分大きくなる(100倍以上になる)ため、いかなる傾き状態であっても、丸面取部が筒状部材の内周面となめらかに接する状態を維持することができる。したがって、制御性を向上させたソレノイドアクチュエータを提供することができる。
本発明に係るソレノイドアクチュエータの更なる特徴構成は、
前記円柱部は、前記プランジャの移動方向における両方の端部に前記丸面取部を有している点にある。
通常は、プランジャの軸心方向と、筒状部材の筒部分の軸心方向とが交差すると、プランジャ(円柱部)における、プランジャの移動方向における両方の端部が、筒状部材の内周面と摩擦する。
しかし上記構成によれば、両方の端部に丸面取部を有しているため、それぞれの端部における摩擦を低減させて、プランジャをなめらかに往復動作させることができる。したがって、制御性を向上させたソレノイドアクチュエータを提供することができる。
ソレノイドアクチュエータの全体構成を説明する断面図 ソレノイドアクチュエータの動作を説明する図 プランジャの傾きを説明する図 後方丸面取部を説明するための拡大図 後方丸面取部が摺接している状態を説明するための拡大図 前方丸面取部を説明するための拡大図 前方丸面取部が摺接している状態を説明するための拡大図 ソレノイドアクチュエータの制御性を説明する図
〔概略構成〕
図1から図8に基づいて、本発明の実施形態に係るソレノイドアクチュエータ100について説明する。
本実施形態では、ソレノイドアクチュエータ100が、内燃機関(図示せず)の弁開閉時期制御装置9のソレノイドバルブ(図示せず)の駆動機構として用いられる場合を例示している。図1には、ソレノイドアクチュエータ100が弁開閉時期制御装置9と一体に接続されている場合を例示して図示している。なお、弁開閉時期制御装置9は、ソレノイドアクチュエータ100との接続部分以外は省略して図示している。
図1に示すように、本実施形態に係るソレノイドアクチュエータ100は、円筒状の筒部分21を有する筒状部材2と、磁性体で成り、筒状部材2の筒内部において、筒状部材2の内周面21sに沿い移動自在に配置されるプランジャ1と、プランジャ1に磁力を作用させる電磁石5と、を備えている。
〔詳細構成〕
図1に示すように、筒状部材2は、プランジャ1を収容する空間Sを形成する有底筒状の容器部分である。また、筒状部材2は、プランジャの移動方向および移動範囲を規制する規制部材である。
筒状部材2は、有底筒の筒部分21と、筒部分21の筒底となる底部21aと、筒部分21に対して底部21aの他端側に受部21bを有する。
また、筒状部材2はその前端部分に、弁開閉時期制御装置9のスリーブ91に嵌まる(嵌合する)嵌合部21cを有している。本実施形態では、筒状部材2の嵌合部21cが弁開閉時期制御装置9のスリーブ91の内側に嵌ることで、ソレノイドアクチュエータ100と弁開閉時期制御装置9とが接続される場合を説明している。
筒状部材2は、筒部分21と底部21aと受部21bとで囲われた空間Sにプランジャ1を収容している。
本実施形態では、筒部分21は、軸Xを軸心とする円筒状に形成されている。
なお、以下では、軸Xに沿う方向における、筒部分21に対する底部21aの側を後方と定義する。また、軸Xに沿う方向における、筒部分21に対する受部21bの側を前方と称する。
筒状部材2は、その外表面に、径方向内側に向けて凹む凹部25を有している。
本実施形態では、凹部25は、筒部分21の径方向外側部分に、全周にわたり形成されている。
凹部25には、電磁コイルを有する電磁石5が収容されている。電磁石5は、凹部25に収容されている。
本実施形態では、凹部25の凹部(筒部分21の外周部分)において、電磁コイルとして導線を巻回することで、電磁石5を構成している。
電磁石5は、凹部25に収容された状態で、カバー29で筒部分21の径方向外側から覆われている。
プランジャ1は、磁性体で成る略円柱状に形成された円柱部15と、円柱部15の前方端部に、後方から前方に向けて円形断面で窄むように形成されたテーパー部16とを有する。
プランジャ1は、筒状部材2に収容された状態で、筒部分21(筒内部の一例)と軸Xを軸心として共有している。すなわち、円柱部15の円柱の軸心となる軸Yは、プランジャ1が筒状部材2に収容された状態で、軸Xと同軸になっている。また、本実施形態では、テーパー部16の軸心は軸Yと同軸に構成されており、プランジャ1が筒状部材2に収容された状態で、軸Xと同軸になっている。
プランジャ1は、筒状部材2の筒部分21において、筒状部材2(筒部分21)の内周面21sに沿い、軸Xの軸方向の前後に移動自在に配置(収容)されている。
本実施形態では、円柱部15が筒部分21の筒の内側に緩く嵌められている。そして、プランジャ1の表面11sにおける円柱部15の表面15s(外周面の一例)が、筒部分21の内周面21sに対して摺動するようになっている。
つまり、円柱部15の外径d1(直径)は、筒部分21の内径d2よりも小さくなっている。このように、円柱部15の外径d1を、筒部分21の内径d2よりも小さくしなければ、円柱部15を筒部分21の内部において摺動させることができないためである。
円柱部15を筒部分21の内部においてスムースに摺動させるためには、たとえば、内径d2は、外径d1よりも10μm以上100μm未満の範囲で大きく設定されるとよい。内径d2が、外径d1よりも100μm以上に設定されると、円柱部15と筒部分21との隙間が大きくなりすぎて、ガタつきが生じ、円柱部15を筒部分21の内部においてスムースに摺動させることができない場合もある。
円柱部15は、後端部15aにおける径方向外周側の端部に、全周にわたり丸面取りされた後方丸面取部R1(丸面取部の一例)を有している。
また、円柱部15は、円柱部15とテーパー部16の境界部分に、全周にわたり丸面取りされた前方丸面取部R2(丸面取部の他の一例)を有している。
つまり円柱部15は、プランジャ1の移動方向における双方の端部であって、かつ、径方向外周側の端部が、全周にわたり丸面取りされている。
後方丸面取部R1および前方丸面取部R2についての詳細は、後述する。
プランジャ1は、電磁石5の磁力に応じて軸Xに沿い前後に移動する。具体的には、電磁石5に所定の通電量の範囲内で通電すると、その通電量に応じて電磁石5に磁力が生じ、当該磁力の強弱に応じて、プランジャ1は筒部分21の内部を前後に摺動する。
本実施形態では、プランジャ1は、電磁石5に通電しない状態で、電磁石5に所定の通電量の範囲の最大値以上に通電すると、円柱部15の後端部15aが底部21aに当接する位置にある(図1に図示した位置に同じ)。
また、図2に示すように、プランジャ1は、電磁石5に所定の通電量の範囲の最大値以上に通電するとテーパー部16が受部21bに当接する位置にある。
つまり、プランジャ1は、電磁石5への通電量を所定の範囲内で小さくすると前進し、電磁石5への通電量を所定の範囲内で大きくすると後進する。
本実施形態においてプランジャ1は、連結体92により、弁開閉時期制御装置9と接続されている。
本実施形態では、弁開閉時期制御装置9の弁体93のうちソレノイドアクチュエータ100側の端部位置には、弁体93とプランジャ1に連結する筒状の連結体92が一体形成されている場合を例示して説明している。なお、連結体92は弁体93と異なる部材で構成されるものでも良い。
図1および図2は、プランジャ1が電磁石5の磁力に応じて軸Xに沿い移動すると、プランジャ1の変位が連結体92を介して弁体93に伝達されて、当該変位に応じて弁体93が開閉される(図示せず)場合を例示している。つまり、電磁石5の通電量に応じて弁体93が開閉するのである。
〔丸面取部についての詳細説明〕
以下、後方丸面取部R1および前方丸面取部R2について詳述する。
まず後方丸面取部R1について説明する。
図1および図2に示すように、表面15sと内周面21sとの間には隙間が存在している。そのため、図3に示すように、プランジャ1は傾くことを許容される。図3では、軸Xと軸Yとがそれぞれの軸心方向において交差している。
そして、プランジャ1は傾いて、プランジャ1の表面11sにおける円柱部15の表面15s(外周面の一例)が、筒部分21の内周面21sと摺接するようになっている。
図4は、軸Xを含む断面における、後方丸面取部R1の近傍α(図3参照)の拡大図である。
上述したように、プランジャ1は筒部分21の内部を前後に摺動するようになっており、プランジャ1の円柱部15の外径d1(直径)は、筒部分21の内径d2よりも小さくなっている。したがって、軸Yが軸Xと同軸心になる場合(図1または図2参照)には表面15sと内周面21sとの間には、隙間として、所定のクリアランスt1(平均距離の一例)が存在する。
このクリアランスt1は、筒部分21の内径d2と円柱部15の外径d1との差分の半分の大きさに対応する。したがって、クリアランスt1は、5μmから50μmの範囲で設定されるとよい。
このような所定の大きさのクリアランスt1の設定は、プランジャ1を筒部分21の内部で摺動させるために必要である。しかし、このようにクリアランスを設定すると、プランジャ1は筒部分21の内部において、その径方向に、最大、クリアランスt1の範囲での筒部分21の軸Xに対するプランジャ1の軸Yの傾き(以下、単に「傾き」と称する)を許容されることになる。言い換えると、円柱部15の円柱の軸心となる軸Yは、筒部分21の軸Xから軸Xに垂直に交わる方向に対して、クリアランスt1の距離の分だけ傾くことを許容される。
そのため、たとえば軸Yが軸Xに対して平行では無い状態になるようにプランジャ1が筒部分21の内部で傾くと、図5に示すように、円柱部15における、その後端部15aにおける径方向外周側の端部が筒状部材2の内周面21sと強く擦れると共に、図7に示すように、その前端部における径方向外周側の端部が筒状部材2の内周面21sと強く擦れることになる。そのため、このままではプランジャ1の摺動抵抗が大きくなると共に、内周面21sが摩耗して摩耗粉を生じ、当該摩耗粉がプランジャ1の摺動をさらに阻害し、弁開閉時期制御装置9の動作に支障をきたすおそれも生じ得る。なお、軸Yが軸Xに対して平行では無い状態になる場合とは、例えば図5に示すように、円柱部15の表面15sと内周面21sとの間のいずれかの場所に、クリアランスt1よりも大きな隙間t2が生じる場合、と言い換えることができる。
そのため、本実施形態では、円柱部15における、その後端部15aにおける径方向外周側の端部には、後方丸面取部R1を設けている。この後方丸面取部R1は、後端部15aにおける外周位置から、少なくとも円柱部15の表面15sにおける、内周面21sと当接するおそれのある位置を含む範囲におよび設けられている。
具体的には、後方丸面取部R1の丸面取りの半径が、内周面21sと、表面15sとのクリアランスt1の100倍以上となるように形成されている。すなわち本実施形態では、後方丸面取部R1の丸面取りの半径は、0.5mmから5mmの範囲で設定されるとよい。
後方丸面取部R1を設ける範囲についてさらに説明を加える。
図4および図5には、円柱部15の表面15sにおける、後方丸面取部R1が形成される範囲の境界を位置P1で示している。位置P1は、後方丸面取部R1に含まれる。
位置P1について言い換えると、位置P1は、後方丸面取部R1における接線が円柱部15の表面15sと平行になる位置である。
図5には、軸Yが軸Xに対して平行から最も乖離した方向に向くように傾いた場合に、後方丸面取部R1が、内周面21sと当接する位置を位置P2として示している。
位置P1と位置P2との直線距離は、1μm以上にしておくとよい。
内周面21sに当初から存在する表面の微小な凹凸(いわゆる表面粗さ)が存する場合や、円柱部15が筒部分21の内部において摺動する際に内周面21sに微小な凹凸が生じた場合にも、位置P1と位置P2との直線距離を、1μm以上にしておくと、後方丸面取部R1を内周面21sに対して耐久性良くスムースに摺動させることができる。
次に前方丸面取部R2について説明する。前方丸面取部R2も後方丸面取部R1と同様に設けられている。後方丸面取部R1についての説明と重複する説明については以下では省略する。
図6は、軸Xを含む断面における、前方丸面取部R2の近傍β(図3参照)の拡大図である。
後方丸面取部R1の場合と同様に、たとえば軸Yが軸Xに対して平行では無い状態になるようにプランジャ1が筒部分21の内部で傾くと、図7に示すように、円柱部15の前方端部における径方向外周側の端部が筒状部材2の内周面21sと強く擦れることになる。
なお、軸Yが軸Xに対して平行では無い状態になる場合とは、図5に示した隙間t2の場合と同様に、例えば図7に示すように、円柱部15の表面15sと内周面21sとの間に、クリアランスt1よりも大きな隙間t3が生じる場合、と言い換えることができる。
そのため、本実施形態では、円柱部15の前方端部における径方向外周側の端部、すなわち、円柱部15とテーパー部16との境界部分には、前方丸面取部R2を設けている。この前方丸面取部R2は、テーパー部16の表面から、少なくとも円柱部15の表面15sにおける、内周面21sと当接するおそれのある位置を含む範囲におよび設けられている。
具体的には、前方丸面取部R2の丸面取りの半径が、内周面21sと、表面15sとのクリアランスt1の100倍以上となるように形成されている。すなわち本実施形態では、前方丸面取部R2の丸面取りの半径は、0.5mmから5mmの範囲で設定されるとよい。
前方丸面取部R2を設ける範囲についてさらに説明を加える。
図6および図7には、円柱部15の表面15sにおける、前方丸面取部R2が形成される範囲の境界を位置P3で示している。位置P3は、前方丸面取部R2に含まれる。
位置P3について言い換えると、位置P1は、前方丸面取部R2における接線が円柱部15の表面15sと平行になる位置である。
図6には、軸Yが軸Xに対して平行から最も乖離した方向に向くように傾いた場合に、前方丸面取部R2が、内周面21sと当接する位置を位置P2として示している。
位置P3と位置P4との直線距離は、1μm以上にしておくとよい。
内周面21sに当初から存在する表面の微小な凹凸(いわゆる表面粗さ)が存する場合や、円柱部15が筒部分21の内部において摺動する際に内周面21sに微小な凹凸が生じた場合にも、位置P1と位置P2との直線距離を、1μm以上にしておくと、前方丸面取部R2を内周面21sに対して耐久性良くスムースに摺動させることができる。
〔プランジャの動作についての説明〕
上述のように、プランジャ1は、電磁石5に所定の通電量の範囲内で通電すると、その通電量に応じて筒部分21の内部を前後に摺動する動作をする。そして、ソレノイドアクチュエータ100は、このプランジャ1の動作により、弁開閉時期制御装置9を駆動して、弁開閉時期制御装置9の弁体93を移動させて開閉する。
図8には、電磁石5に通電した電流値、弁開閉時期制御装置9の弁体93の移動量に対応する値との関係を図示している。弁体93の移動量とはすなわち、プランジャ1の移動量である。
図8の横軸Aは、電磁石5に通電した電流値の大小に対応し、原点ゼロからの電流値の大小を意味する。
図8の縦軸Pは、弁体93の移動量の大小に対応し、移動量ゼロ(図1の状態)から移動量最大(図2の状態)の範囲を示している。なお、図8では、弁体93の移動量が最大を示す位置を100として図示している。
グラフα1、グラフα2は、後方丸面取部R1および前方丸面取部R2のいずれも有さない従来のソレノイドアクチュエータで弁開閉時期制御装置9を駆動した場合の弁体93の開度を図示している。
グラフα1は、電流値をゼロから増加させていく過程の弁体93の開度の変化である。グラフα2は、グラフα1を取得した後、電流値がゼロになるまで減少させていく過程の弁体93の移動量の変化である。
グラフβ1、グラフβ2は、後方丸面取部R1および前方丸面取部R2の双方を有する本実施形態にかかるソレノイドアクチュエータ100で弁開閉時期制御装置9を駆動した場合の弁体93の移動量を図示している。
グラフβ1は、電流値をゼロから増加させていく過程の弁体93の移動量の変化である。グラフβ2は、グラフα1を取得した後、電流値がゼロになるまで減少させていく過程の弁体93の移動量の変化である。
グラフα1およびグラフα2と、グラフβ1およびグラフβ2とを比較して明らかなように、本実施形態にかかるソレノイドアクチュエータ100で弁開閉時期制御装置9を駆動すると、弁開閉時期制御装置9の開閉動作がなめらかになる。つまり、本実施形態にかかるソレノイドアクチュエータ100は、従来の構成に比べて、なめらかに動作し、弁開閉時期制御装置9の弁体93の開閉動作において、例えば精密な制御を可能とする。
さらに、本実施形態にかかるソレノイドアクチュエータ100のごとく、なめらかに動作する場合には、筒状部材2の内周面21sの摩耗が低減されることは自明である。なめらかに動作する場合には、摩擦力が低減されてそもそも摩耗が生じ難くなるためである。したがって、本実施形態にかかるソレノイドアクチュエータ100は耐久性の高いものとなる。つまり、本実施形態にかかるソレノイドアクチュエータ100は、使用開始時から長期にわたって制御性を維持することができるロバスト性の高いものとなる。
以上のようにして、制御性を向上させたソレノイドアクチュエータを提供することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、円柱部15は、後方丸面取部R1および前方丸面取部R2を備える構成を例示した。
しかしながら、後方丸面取部R1もしくは前方丸面取部R2のいずれか一方を備える構成とすることもできる。
たとえば、円柱部15は、後方丸面取部R1のみを備えてもよい。
(2)上記実施形態では、後方丸面取部R1の丸面取りの半径および前方丸面取部R2の丸面取りの半径の双方が、クリアランスt1の100倍以上である場合を例示した。
しかしながら、後方丸面取部R1もしくは前方丸面取部R2のいずれか一方の丸面取りの半径のみをクリアランスt1の100倍以上とする構成とすることもできる。
たとえば、後方丸面取部R1の丸面取りにおける丸面取りの半径を、クリアランスt1の100倍以上とし、前方丸面取部R2の丸面取りの半径を、クリアランスt1の100倍未満とすることもできる。
(3)上記実施形態では、プランジャ1は、電磁石5への通電量を所定の範囲内で小さくすると後進し、電磁石5への通電量を所定の範囲内で大きくすると前進する場合を例示した。
しかしながら、プランジャ1は、電磁石5への通電量を所定の範囲内で小さくすると前進し、電磁石5への通電量を所定の範囲内で大きくすると後進する構成とすることもできる。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、ソレノイドアクチュエータに適用できる。
1 :プランジャ
2 :筒状部材
5 :電磁石
15 :円柱部
21 :筒部分
21s :内周面
100 :ソレノイドアクチュエータ
R1 :後方丸面取部(丸面取部)
R2 :前方丸面取部(丸面取部)
t1 :クリアランス(平均距離)

Claims (3)

  1. 円筒状の筒部分を有する筒状部材と、
    磁性体で成り、前記筒状部材の筒内部において、前記筒状部材の内周面に沿い移動自在に配置されるプランジャと、
    前記プランジャに磁力を作用させる電磁石と、を備え、
    前記プランジャは、円柱状に形成された円柱部を有し、
    前記円柱部は、前記プランジャの移動方向における少なくとも一方の端部であって、かつ、径方向外周側の端部に、丸面取りされた丸面取部を有するソレノイドアクチュエータ。
  2. 前記丸面取部の丸面取りの半径が、前記筒状部材の内周面と、前記円柱部の外周面との平均距離の100倍以上である請求項1に記載のソレノイドアクチュエータ。
  3. 前記円柱部は、前記プランジャの移動方向における両方の端部に前記丸面取部を有している請求項1または2に記載のソレノイドアクチュエータ。
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