JP2019090220A - ブロック組立式砂防ダム - Google Patents

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Abstract

【課題】確立された重力ダムの安定計算法の適用が可能であり、かつ簡単な施工で急速施工が可能な砂防ダムを提供すること。【解決手段】多段的に積み重ねられた複数のブロック塊壁201〜205と、ブロック塊壁201〜205の水平の目地部に配設されたせん断柱30とを具備する。ブロック塊壁201〜205は複数の単体ブロックの集合体と、単体ブロックの集合体群を一体化する連結材25とからなり、各ブロック塊壁201〜205が連結材25を介して重力式構造物として形成される。【選択図】図2

Description

本発明は簡易な手法で急速施工を実現しつつ、正確な安定計算が可能なブロック組立式砂防ダムに関するものである。
土石流、火山泥流等の対策施設として、ダム本体の躯体を場所打ちコンクリートで構築した重力式の砂防ダムが広く知られているが、工期が長期化して即応性に問題がある。
その一方で急速施工を求められる場合の対策施設としては、ブロック組立式の砂防ダムが提案されている(特許文献1,2)。
ブロック組立式の砂防ダムとしては、直方体形のブロックを工場で予め製作しておき、緊急時に現場へ搬入した複数のブロックを積み上げただけの堰堤構造体や、縦向きに複数の貫通孔を有するブロックを積み上げ、複数のブロック群の貫通孔に跨ってコンクリート充填鋼管等の剛性杭を縦向きに貫挿させて複数のブロックを位置決めした堰堤構造体が知られている。
特開平9−228348号公報 特開2000−290969号公報
従来の砂防ダムにはつぎのような問題点がある。
<1>ダム本体の躯体を場所打ちコンクリートで構築した重力式の砂防ダムではダム本体が一体構造となっているので確立された安定計算法に基づいた設計が可能である。
これに対してブロック組立式の砂防ダムでは、複数のブロック群が剛性杭に位置決めされているものの、各ブロックは剛性杭に係留されて個別摺動が可能なように分離した構造となっている。
そのため、従来のブロック組立式の砂防ダムでは重力式ダムの安定計算法を適用できないうえに、確立された計算法も特にない。
<2>特に砂防ダムの設計にあたっては、想定外時も考慮しなければならないが、想定外の流下物荷重に対するブロック間の接合部における力学的特性が十分に解明されていない。
このことがブロック組立式の砂防ダムの安定計算をより困難なものとしている。
<3>特許文献2には、土石流の発生時に各ブロックが個別的にずれ移動をする際に剛性杭の曲げ靭性によって流下物荷重を吸収することが開示されている。
特許文献2に記載の砂防ダムでは、剛性杭として高いPC鋼材を埋め込んだ高靭性のコンクリート充填鋼管を使用しており、剛性杭のコストが嵩むうえに大重量の剛性杭を現場で取扱うのが面倒であるといった問題点を内包している。
<4>このように従来の重力式の砂防ダムでは確立された安定計算法の適用が可能である反面、工期が長期化して即応性に問題があり、他方のブロック組立式の砂防ダムは工期を短縮できるものの、確立された安定計算法がないといった問題がある。
近年の大規模地震や集中豪雨等に伴い、大規模な土砂崩れや土石流の発生が今後も増加傾向が続くことが予想されている現在、安定計算が可能で、かつ工期の大幅短縮が可能な砂防ダムの提案が望まれている。
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは確立された安定計算法の適用が可能であり、かつ簡単な施工で急速施工が可能なブロック組立式砂防ダムを提供することにある。
本発明は複数のブロック塊壁を積み重ねた重力式の砂防ダムである。
ブロック塊壁は複数の単体ブロックと、複数の単体ブロックの間を縦方向に貫通して配置される連結材とからなる集合体であり、連結材を介して複数の単体ブロックが一体構造物として形成されている。
上下に隣接させたブロック塊壁の水平の目地部間には、受撃時にせん断キーとして機能するせん断柱が縦向きに配設されている。
各単体ブロックには連結材とせん断柱を縦向きに内挿可能な複数の貫通孔が等間隔に形成されている。
貫通孔と、ブロック塊壁の目地部に跨って位置させたせん断柱との周面間には隙間が形成されていて、この隙間を通じてブロック塊壁が滑動可能になっている。
せん断柱としては受撃時にせん断変形が可能な鋼材、または各種部材を使用することができる。
せん断柱はダム本体の高さ方向に沿って複数に分割した柱体でもよいが、一本ものの連続した柱体の何れでもよい。
単体ブロックの平面形状は特に制約はなく、多角形を呈していればよい。
単体ブロックを千鳥状に積み重ねたときに貫通孔が同一の鉛直線上に揃うように、単体ブロックの板面に複数の貫通孔が等間隔に形成されている。
ブロック塊壁に単数または複数の水通用の貫通口を横向きに貫通して形成し、貫通口を通じて排砂し得るように構成してもよい。
本発明は以上の構成を有することで少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>複数の単体ブロックを一体化して組み立てたブロック塊壁を一体構造物として取り扱うことができる。
したがって、複数の単体ブロックを組み立てていながら、重力式ダムの安定計算法の適用が可能であり、かつ急速施工の実現も可能となり、これまで達成が困難とされてきたふたつの課題を同時に達成することができる。
<2>上下に隣接するブロック塊壁の目地部に跨って配設したせん断柱は、せん断キーとして機能させるものであって、曲げ変形に対する抵抗部材として機能させるものではない。
そのため、せん断柱の素材に安価で軽量な鋼材をそのまま使用できて経済的であるだけでなく、現場での取扱いが容易である。
<3>ブロック塊壁の貫通孔とせん断柱との周面間に隙間が形成されているので、受撃時にブロック塊壁の一定範囲の滑動を許容して流下物荷重を緩和すると共に、流下物のエネルギーを吸収することができる。
<4>ブロック塊壁の一定範囲の滑動を許容した後、せん断柱がつぶれの靭性変形による抵抗部材として機能するため、想定外の流下物荷重が作用してもせん断柱の大変形を効果的に防ぐことができる。
<5>砂防ダムは複数の単体ブロックを千鳥状に積み重ねた構造であるため、一部の単体ブロックを抜いて組み上げてもブロック塊壁の自立性が損なわれない。
したがって、ブロック組立式の砂防ダムでありながらダム躯体の任意の位置に水通用の貫通口を開設することができる。
本発明に係るブロック組立式砂防ダムの全体斜視図 図1におけるII−IIの断面図 一部を省略したブロック塊壁の斜視図 ブロック組立式砂防ダムの施工方法の説明図 ブロック組立式砂防ダムの安定計算例の説明図 ブロック組立式砂防ダムの想定外の設計例の説明図 せん断柱のつぶれのモデル説明図 ダム躯体に貫通口を開設した他のブロック組立式砂防ダムの説明図
以下図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
<1>砂防ダムの概要
図1,2を参照して説明すると、ブロック組立式砂防ダム10(以下「砂防ダム10」)は、施工はブロック組立式でありながら最終構造物は重力式となる砂防ダムであり、現場で構築して多段的に積み重ねた複数のブロック塊壁20(20,20,20・・・)と、上下に隣接するブロック塊壁20の目地部を縦方向に貫通して位置させたせん断柱30とを具備する。
<2>ブロック塊壁
ブロック塊壁20(20,20,20・・・)は砂防ダム10を複数の水平分断面で分割した分割堰堤である。
図2,3を参照して説明すると、各ブロック塊壁20は縦横方向に並べて積み重ねた複数の単体ブロック21の集合体と、これら複数の単体ブロック21間を縦方向に貫通して一体化する連結材25とからなる。
ブロック塊壁20の上下面は水平方向に向けて連続して形成してあって、複数のブロック塊壁20を積み重ねたときにその水平の接合面が目地部となる。
<2.1>単体ブロック
単体ブロック21は一定厚に形成したコンクリート製の直方体であり、その平面形状は方形を含む多角形を呈していて、その板面には等間隔で2つ以上の貫通孔22が並設されている。
図3に例示した二種類の単体ブロック21,23について説明すると、平面形状が正方形を呈する一方の単体ブロック21は、縦向きに4つの貫通孔22が形成されている。
単体ブロック21を反割りした平面形状が長方形を呈する他方の単体ブロック23は、縦向きに2つの貫通孔22が形成されている。
両単体ブロック21,23の貫通孔22の形成間隔は共に等しい寸法関係にある。
貫通孔22を等間隔に形成するのは、異種の単体ブロック21,23を積み重ねたときに上下の貫通孔22を同一の鉛直線上に揃えるためである。
<2.2>連結材
連結材25は位置合わせをした複数の貫通孔22を通じて、各ブロック塊壁20を構成する複数の単体ブロック21,23を構造的に一体化するための連結部材である。
連結材25はブロック塊壁20を単位として一体化するためのものであるから、その全長はブロック塊壁20の高さを超えることはない。
換言すれば、連結材25は組み上げた複数の単体ブロック21,23間のせん断抵抗部材としても機能するが、上下に隣り合うブロック塊壁20の目地部におけるせん断抵抗部材としての機能は期待していない。
<2.3>連結材の例示
位置合わせをした複数の貫通孔22を通じて複数の単体ブロック21,23を一体化する連結材25としては、例えばモルタル、コンクリート、硬質樹脂等の固結材を適用できることの他に、貫通孔22より小径の中空管体と、中空管体と孔壁の周面間に充填した固結材との組み合せであってもよい。
さらにPC鋼材を用いて複数の単体ブロック21,23間を剛結してもよい。
連結材25は流下物荷重が作用したときにブロック塊壁20を構成する単体ブロック21,23がバラケない程度の連結力で以て一体化できる部材であればよい。
<3>せん断柱
せん断柱30は受撃時にせん断キー(せん断抵抗部材)として機能させるものであり、前記した連結材25のような複数の単体ブロック21,23を一体化する連結機能は具備しない。
せん断柱30は上下に隣り合うブロック塊壁20の目地部間に跨って配設できる長さを有する。
せん断柱30は、せん断キーとしてブロック塊壁20の過度の滑動を抑制した後はせん断方向に沿ったせん断柱30の「つぶれ」によるエネルギー吸収を期待するものであって、曲げ変形によるエネルギー吸収を期待するものではない。
<3.1>せん断柱の例示
せん断柱30は上下に隣り合うブロック塊壁20の目地部においてせん断抵抗部材として機能する部材であればよく、例えば中空鋼材等を挙げられるが、コスト、重量、及び取扱性に優れている点で鋼管が好ましい。
せん断柱30は中空構造に限定されるものではなく、せん断変形が可能な密実構造体でもよい。
<3.2>せん断柱の全長
せん断柱30は一本ものの連続した柱体でもよいが、本例のように複数に分割した形態のせん断柱30を使用してもよい。
分割形態の場合、複数のせん断柱30を縦向きに配列することになるが、せん断柱30の継目位置を、ブロック塊壁20の目地部位置に対して高さ方向に位置をずらしておく。
ブロック塊壁20の目地部位置とせん断柱30の継目位置が同一であると、受撃時にせん断柱30がせん断キーとして機能しないからである。
<3.3>せん断柱と貫通孔の径の寸法関係
貫通孔22とせん断柱30には径差が設けてあり、せん断柱30と貫通孔22との周面間に隙間が形成されている。
この隙間はせん断柱30と貫通孔22との貫挿作業を円滑化するためだけではなく、受撃時においてブロック塊壁20の一定範囲の滑動を許容するための空間として機能する。
ブロック塊壁20の滑動距離は隙間に比例して大きくなるため、この隙間は適宜選択する。
せん断柱30に市販の鋼管を用いる場合、この隙間は30〜50mm程度でよい。
[砂防ダムの施工方法]
つぎに砂防ダムの施工方法について説明する。
1.最下段のブロック塊壁の構築
<1>単体ブロックの積み上げ工
図4(A)に示すように、複数の貫通孔22が同一の鉛直線上に揃うように複数の単体ブロック21,23を千鳥状に配置しながら最下段のブロック塊壁20の高さまで積み上げる。
<2>連結材による単体ブロックの連結工
図4(B)を参照して連結材25による単体ブロック21,23群の連結工について説明する。
多段的に積み上げた複数の単体ブロック21,23群の各貫通孔22は縦向きに連続している。
多数の露出した貫通孔22のうち、一部の貫通孔22に固結材を充填する等して、最下段のブロック塊壁20を構成する多段的に積み上げた複数の単体ブロック21,23群を連結材25で以て一体に連結する。
連結材25に固結材を用いる場合、固結材が小量で済むため急速施工の障害とならずに済む。
<3>せん断柱の挿入工
図4(B)を参照してせん断柱30の挿入工について説明する。
連結材25が設けられていない他の貫通孔22にせん断柱30を挿入する。
この際、せん断柱30の上部を最下段のブロック塊壁20の上面から真上に向けて突出させておく。
貫通孔22を通じて配置する連結材25とせん断柱30は、特定方向(流下物荷重の作用方向に対して平行または直交方向)へ向けて整列させているが、ランダムに配置してもよい。
連結材25とせん断柱30の設置数はそれぞれ適宜選択が可能である。
2.中段のブロック塊壁の構築
図2を参照して説明すると、最下段のブロック塊壁20の上面に、同様に単体ブロック21,23の積み上げ工、および連結材による単体ブロックの連結工を行って中段のブロック塊壁20,20を積み上げる。
この際、最下段のブロック塊壁20と中段のブロック塊壁20のとの間に水平に形成された目地部にせん断柱30を縦向きに介挿する。
3.上段のブロック塊壁の構築
図2を参照して説明すると、中段のブロック塊壁20の上面に、同様に単体ブロック21,23の積み上げ工、連結材25による単体ブロック21,23の連結工、およびせん断柱30の挿入工を行って上段のブロック塊壁20,20を構築して、天端に溝形の水通部11を形成した砂防ダム10の施工を終了する。
尚、砂防ダム10を構成するブロック塊壁20〜20の積載数は例示した段数に限定されない。
このように単体ブロック21,23と連結材25とせん断柱30はそれぞれ小分けした形態で現場へ搬入でき、しかも現場での施工が容易であるので、急速施工が可能となる。
[砂防ダムの特性]
つぎに砂防ダム10の特性について説明する。
1.砂防ダムの安定計算方法
砂防ダム10を構成する複数のブロック塊壁20〜20はそれぞれブロック単位で一体構造化されていることから、ブロック単位で段積みした各ブロック塊壁20を重力式構造物として取り扱うことが可能である。
<1>安定計算例
前記したように砂防ダム10はブロック組立式でありながら、各ブロック塊壁20〜20を重力式構造物として扱うことがでるため、砂防ダム10の設計にあたっては、重力式ダムの安定計算法を適用することができる。
図2に示した砂防ダム10を重力式ダムとして計算する場合、一体化された各ブロック塊壁20〜20における「転倒」と「滑動」について照査する。すなわち、各ブロック塊壁20〜20毎に重力式ダムの安定計算を行う。
各ブロック塊壁20〜20毎の安定計算では、各ブロック塊壁20〜20の自重と上載荷重を合せた鉛直荷重に対して、そのブロック塊壁20〜20が負担する土圧、および各ブロック塊壁20〜20上部に積載されるブロック塊壁の滑動力等の水平荷重で検討する。
例えば地上に露出する上位3つのブロック塊壁20(20〜20)の区間についての「転倒」と「滑動」の安定計算例を図5に示す。
すなわち、「転倒」に対しては地上に露出する3つのブロック塊壁20の鉛直力(総自重)について検討し、「滑動」に対してはブロック塊壁20の目地部の滑動抵抗について検討すればよい。
<2>想定外時の設計
想定外時(想定外の荷重が作用する時)については、各ブロック塊壁20〜20の水平の目地部で滑動(摺動)するが、各ブロック塊壁20〜20の目地部の摩擦抵抗、および鉛直方向に配置したせん断柱30がせん断キーとして機能することでせん断柱30の大変形を抑制できて、最終的に砂防ダム10の破壊を効果的に防ぐことができる。
具体的には、想定外時は各ブロック塊壁20〜20の目地部における滑動抵抗と、せん断柱30のせん断抵抗について照査する。
想定外の荷重については、各ブロック塊壁20〜20の目地部間の摩擦およびせん断柱30のつぶれを仕事量として計算し、土石流の衝突エネルギーとの比較で照査する。
地上に露出する上位3つのブロック塊壁20(20〜20)を対象とした想定外時の設計例を図6に示す。
図7は上位のブロック塊壁20uと下位のブロック塊壁20dとの間に配設したせん断柱30のつぶれのモデル図を示していて、同図の(A)は流下物荷重が加わらない通常時を示しており、(B)は上位のブロック塊壁20uに流下物荷重の水平力Fが加わったときの滑動時を示し、(C)は上位のブロック塊壁20uの滑動が進行してせん断柱30がつぶれる破壊時を示している。
滑動時はせん断柱30と貫通孔22との周面間に形成された隙間分だけ上位のブロック塊壁20uが滑動する。
上位のブロック塊壁20uにブロック塊壁20u、20d間の滑動抵抗を超えた水平力Fが加わると、せん断柱30の破壊(つぶれ)が進行して摺動する。
このように想定外の荷重に対してはブロック塊壁20u、20d間の滑動による一定の変位を許容し、衝撃力を緩和することにより柔構造的に水平荷重Fを受けとめることができる。
[他の実施例1]
図8を参照して、ダム躯体の一部に水通用の貫通口12を横向きに貫通して開設した他の砂防ダム10について説明する。
<1>水通用の貫通口
本例の砂防ダム10は、ブロック塊壁20の一部にダム躯体に断面形状が閉鎖形状を呈する単数または複数の貫通口12を開設している。
砂防ダム10は複数の単体ブロック21,23を千鳥状に積み重ねて複数のブロック塊壁20を構築するものであるから、貫通口12を形成するために一部の単体ブロック21,23を抜いて組み上げてもブロック塊壁20の自立性が損なわれることはない。
貫通口12の断面形状、開口寸法、開設高さ等は適宜選択可能である。
この貫通口12はブロック塊壁20の境界部に面して形成してもよいし、境界部から離れた位置に形成してもよい。
さらに、間隔を隔てて複数の貫通口12を横列または縦列させて形成することも可能である。
<2>本例の効果
従来の砂防ダムは満砂状態になると、水や土石と共に流木が下流側へ越流してしまい下流側で甚大な流木被害を生じる危険性がある。
砂防ダムの機能回復方法として、堆積した土石等を取り除く浚渫方法が知られているが、多くの浚渫コストと時間を要することからその実績が少ない。
本例では、砂防ダム10の中間部に開設した貫通口12を通じて水や土石等を放出できるので、ブロック組立式の砂防ダム10であっても水位の急上昇と土石の堆積を抑制しつつ、流木被害を低減することができる。
従来、複数のブロックを三次元的に組み上げたブロック組立式の砂防ダムが知られているが、ブロックの縦横方向に形成される目地部が分離不能に連結した構造となるために、自立性確保の観点から一部のブロックを抜いて組み上げることができなかった。
これに対して、本発明の砂防ダム10では複数の単体ブロック21,23を千鳥状に積み重ねただけの構造であるから、貫通口12を形成するために一部の単体ブロック21,23を抜いて組み上げてもブロック塊壁20の自立性が損なわれることはない。
したがって、ブロック組立式の砂防ダム10でありながらダム躯体の任意の位置に水通用の貫通口12を開設することができる。
[他の実施例2]
ブロック塊壁20を構成する単体ブロック21,23の上下左右の接合面は平滑に形成して接合しもよいが、その接合面に互いに嵌合可能な凹凸を形成して所謂インロー嵌合させてもよい。
隣り合う各単体ブロック21,23の接合面をインロー嵌合させると、ブロック塊壁20の一体性がより高まり、連結材25による連結負担を軽減できる。
[他の実施例3]
以上の実施例ではブロック塊壁20の目地部を構成する上下の接合面を平滑に形成した形態について説明したが、目地部の接合面に互いに嵌合可能な凹凸を形成して接合させることも可能である。
本例における凹凸嵌合とは、ブロック塊壁20の水平滑動を完全に規制する完全嵌合状態を意味するものではなく、想定外時に目地部に凹凸の嵌合力を越えた水平力が作用するとブロック塊壁20の滑動を許容する不完全嵌合状態を意味する。
このような不完全嵌合手段としては、例えば凹凸の嵌合深さを浅くするか、または凹凸の表面を傾斜させて嵌合抵抗を小さくしたり、或いは凸部のみを脆弱に形成して受撃時に凸部が破壊するように構成したりする等の嵌合構造を適用できる。
本例にあっては、ブロック塊壁20を上下に積み上げる際の目地部の位置決めが容易になって施工性が向上する。さらにブロック塊壁20間の目地部に高い止水性が求められるときは目地部にシール材等を貼付することにより対応が可能となる。
10・・・・・砂防ダム
11・・・・・水通部
12・・・・・貫通口
20・・・・・ブロック塊壁
20〜20・・・ブロック塊壁
21・・・・・単体ブロック
22・・・・・貫通孔
23・・・・・単体ブロック
25・・・・・連結材
30・・・・・せん断柱

Claims (6)

  1. 現場で構築されて多段的に積み重ねられた複数のブロック塊壁と、上下に隣接させたブロック塊壁の目地部間を縦方向に貫通して位置し、受撃時にせん断キーとして機能する複数のせん断柱とを具備する重力式の砂防ダムであって、
    前記ブロック塊壁は複数の単体ブロックと、
    前記複数の単体ブロックの間を縦方向に貫通して一体化する連結材とからなる集合体であり、
    前記単体ブロックは縦向きに貫通する複数の貫通孔を有し、
    複数の単体ブロックが、前記一部の貫通孔に挿通された連結材を通じてブロック塊壁単位で一体に連結された重力式構造物として形成されていることを特徴とする、
    ブロック組立式砂防ダム。
  2. 連結材が挿通されていない他の貫通孔と、複数のブロック塊壁の目地部に跨って位置させたせん断柱との周面間に隙間が形成されていて、該隙間を通じてブロック塊壁が滑動可能であることを特徴とする、請求項1に記載のブロック組立式砂防ダム。
  3. 前記せん断柱は受撃時にせん断変形が可能な鋼材であることを特徴とする、請求項1または2に記載の砂防ダム。
  4. 前記せん断柱はブロック塊壁の高さ方向に沿って配設されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載のブロック組立式砂防ダム。
  5. ブロック塊壁を構成する複数の単体ブロックを千鳥状に積み重ねたときに貫通孔が同一の鉛直線上に揃うように、前記単体ブロックの板面に複数の貫通孔が等間隔に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載のブロック組立式砂防ダム。
  6. 前記ブロック塊壁に単数または複数の水通用の貫通口が横向きに貫通して形成されていることを特徴とする、請求項1乃至5の何れか一項に記載のブロック組立式砂防ダム。
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