JP2019089258A - 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体吐出ヘッドの寿命を延ばすことが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供する。【解決手段】液体吐出ヘッド(2)のノズル(30)から液体の吸引動作を行う吸引機構(6)と、液体吐出ヘッドの使用期間、液体吐出ヘッドの動作が行われていた環境における温度等の動作履歴に基づいて、複数の吸引条件(クリーニングモード)の中から選択した吸引条件で吸引動作を制御する制御部(12)と、を備えることを特徴とする。【選択図】図8
Description
本発明は、例えばインクジェット式記録ヘッド等の液体吐出ヘッドを備えた液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法に関するものである。
液体吐出装置は液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出(噴射)する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドから液体の着弾対象としての記録紙等の媒体に対して液体状のインクを液滴として吐出・着弾させてドットを形成することで画像等の記録を行うインクジェット式記録装置(以下、単にプリンターという)等の画像記録装置を挙げることができる。この液体吐出装置は、近年においては、画像記録装置に限らず、例えばディスプレイ製造装置等の各種の製造装置にも応用されている。
上記液体吐出装置では、液体吐出ヘッドのノズルから液体が吐出されない状態、又は、ノズルから吐出された液体の量や飛翔速度(初速)が設計値から著しく低下した状態等の吐出不良が生じた場合、クリーニング動作と呼ばれる吸引動作を実行することでノズルにおける液体の吐出能力を回復する技術が採用されている。また、液体吐出ヘッドの内部の流路に液体を充填する初期充填動作においても吸引動作が行われる。これらの吸引動作では、液体吐出ヘッドにおけるノズルが開口したノズル面をキャップ部材(封止部材)で封止した状態で、ポンプ等の吸引手段により封止空部内を負圧化してノズルから液体や気泡等を排出させる。ここで、一般的な液体吐出ヘッドは、複数の構成部材が接着剤により接合されて構成されている。このような構成において、上記の吸引動作が行われるとノズル面には負圧が作用するため、当該ノズル面は封止部材側に引っ張られて撓むような力を受けることになる。そして、例えば、高温下(例えば、40℃以上)で接着剤が柔らかくなった状態(ヤング率が低下した状態)、あるいは、経年劣化により接着剤が劣化した状態で吸引動作を行うと、接着剤の界面剥離や凝集剥離が生じて液体吐出ヘッドが破損してしまう虞があった。この点に関し、特許文献1には、吸引動作時における記録ヘッドのノズル面(ノズルプレート)の撓みを抑制するため、吸引キャップ(封止部材)の内部に、ノズルプレートを支持するサポート部材が設けられた構成が提案されている。
しかしながら、近年、液体吐出ヘッドの小型化に伴いノズル面においてノズルがより高密度に配置された場合、吸引キャップ(封止部材)内にノズルとの干渉を避けつつサポート部材を配置することが困難になる。したがって、このような場合、上記の不具合を抑制することが難しく、その結果、液体吐出ヘッドの寿命が低下するという課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体吐出ヘッドの寿命を延ばすことが可能な液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体吐出ヘッドのノズルから液体の吸引動作を行う吸引機構と、
前記液体吐出ヘッドの動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から選択した前記吸引条件で前記吸引動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
前記液体吐出ヘッドの動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から選択した前記吸引条件で前記吸引動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から吸引動作の吸引条件が選択される(又は所定の吸引条件の選択が制限された上で他の吸引条件が選択される)ので、液体吐出ヘッドの構成部材同士を接合している接着剤の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、液体吐出ヘッドの寿命を延ばすことが可能となる。
上記構成において、前記制御部が選択可能な前記吸引条件は、前記液体吐出ヘッドの使用期間に応じて定められている構成を採用することができる。
この構成によれば、選択可能な吸引条件が使用期間に応じて定められていることにより、より適切な吸引条件を選択することができる。これにより、接着剤の剥離等の不具合を抑制しつつ、より効率よく吸引動作を行うことが可能となる。
また、上記構成において、前記制御部が選択可能な前記吸引条件は、前記吸引条件毎の前記吸引動作の実行回数の積算値に応じて定められている構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、選択可能な吸引条件が吸引条件毎の吸引動作の実行回数の積算値に応じて定められていることにより、さらに適切な吸引条件を選択することができる。これにより、接着剤の剥離等の不具合を抑制しつつ、より効率よく吸引動作を行うことが可能となる。
上記構成において、前記使用期間について複数に区分された区分期間において実行された前記吸引動作の実行回数の積算値を前記吸引条件及び前記区分期間に対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記吸引条件及び前記区分期間に応じて定められた重み付け係数を前記積算値に乗じて算出される換算積算回数に応じて前記吸引条件を選択する構成を採用することが望ましい。
前記制御部は、前記吸引条件及び前記区分期間に応じて定められた重み付け係数を前記積算値に乗じて算出される換算積算回数に応じて前記吸引条件を選択する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、区分期間において実行された吸引動作の実行回数の積算値に重み付け係数を乗じて算出される換算積算回数に応じて吸引条件を選択することにより、接着剤の劣化度合いを反映してより一層適切な吸引条件を選択することができる。これにより、接着剤の剥離等の不具合を抑制しつつ、より効率よく吸引動作を行うことが可能となる。
また、上記構成において、前記制御部は、前記換算積算回数と、当該換算積算回数についての閾値との比較結果に応じて前記吸引条件を選択する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、換算積算回数と閾値との比較結果に応じて吸引条件を選択するので、より適切な吸引条件を選択するための判定が容易となる。
また、上記構成において、前記制御部は、前記換算積算回数が前記閾値以上となった場合、前記液体吐出ヘッドに故障が生じる虞がある旨の警告を行う構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、換算積算回数が閾値以上となった場合、前記液体吐出ヘッドに故障が生じる虞がある旨の警告を行うことにより、使用者は、液体吐出ヘッドの交換タイミングが到来したことを把握することができるので、交換用の新たな液体吐出ヘッドを用意する等の対処を行うことができる。その結果、液体吐出ヘッドの故障(不具合)により液体吐出装置が使用できないダウンタイムを削減することが可能となる。
上記構成において、前記制御部は、前記換算積算回数が前記閾値以上となった場合、当該換算積算回数に対応する前記吸引条件を選択しないように構成された構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、吸引動作を行うことによる液体吐出ヘッドの不具合を抑制することが可能となる。
上記構成において、前記制御部は、前記換算積算回数が前記閾値以上となった場合、当該換算積算回数に対応する前記吸引条件よりも吸引強度が低い他の吸引条件を選択する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、換算積算回数が閾値以上となった場合、当該換算積算回数に対応する吸引条件よりも吸引強度が低い他の吸引条件を選択する吸引動作を行うことにより、液体吐出ヘッドの不具合を抑制しつつ、吸引動作による所望とする効果を得ることができる。
また、上記構成において、前記液体吐出ヘッドの温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、複数の前記吸引条件の中から前記温度検出部による検出温度に応じて選択した前記吸引条件を選択する構成を採用することが望ましい。
前記制御部は、複数の前記吸引条件の中から前記温度検出部による検出温度に応じて選択した前記吸引条件を選択する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、液体吐出ヘッドの温度に基づいて吸引動作の吸引条件が選択されるので、液体吐出ヘッドの構成部材同士を接合している接着剤の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、液体吐出ヘッドの寿命を延ばすことが可能となる。
また、上記構成において前記吸引機構は、前記ノズルを有するノズル面を覆うキャップ部材および前記液体吐出ヘッドで形成される空間と当該空間の外部とを連通させる流路と、前記流路を開閉する弁を備え、
前記弁は、前記吸引動作における前記空間内の圧力が所定の圧力となった際に、前記空間と前記空間の外部とを連通させる構成を採用することが望ましい。
前記弁は、前記吸引動作における前記空間内の圧力が所定の圧力となった際に、前記空間と前記空間の外部とを連通させる構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、吸引動作における空間内の圧力が所定の圧力となった際にキャップ部材および液体吐出ヘッドで形成される空間と当該空間の外部とを連通させるので、ノズル面に過度な負圧が作用することが抑制される。これにより、液体吐出ヘッドの構成部材同士を接合している接着剤の剥離等の不具合が引き起こされることが抑制される。これにより、液体吐出ヘッドの寿命を延ばすことが可能となる。
さらに、本発明は、液体吐出ヘッドのノズルから液体の吸引動作を行う吸引機構と、前記吸引動作を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出ヘッドの動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から前記吸引条件を選択することを特徴とする。
前記液体吐出ヘッドの動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から前記吸引条件を選択することを特徴とする。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。なお、本実施形態では、液体吐出装置の一形態である画像記録装置、詳しくは、液体吐出ヘッドとしてインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を搭載したインクジェット式プリンター(以下、プリンターという)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の構成を説明する正面図、図2は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。液体吐出ヘッドの一種である記録ヘッド2は、インクカートリッジ(液体供給源)を搭載したキャリッジ3の底面側に取り付けられている。そして、当該キャリッジ3は、キャリッジ移動機構18によってガイドロッド4に沿って往復移動可能に構成されている。即ち、プリンター1は、搬送機構17によって媒体をプラテン5上に順次搬送すると共に、記録ヘッド2を媒体の幅方向(主走査方向)に相対移動させながら当該記録ヘッド2のノズル30(図4参照)から本発明における液体の一種であるインクを吐出させて、記録用紙等の媒体(記録媒体、液体の着弾対象)の記録面に着弾させることにより画像等を記録・印刷する。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジのインクが供給チューブを通じて記録ヘッド2側に送られる構成を採用することもできる。
プリンター1の内部において、プラテン5に対して主走査方向の一端側(図1中、右側)に外れた位置には、記録ヘッド2の待機位置であるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、一端側から順にキャッピング機構6(本発明における吸引機構の一種)、及び、ワイピング機構7(払拭機構の一種)が設けられている。キャッピング機構6は、例えば、エラストマー等の弾性部材からなるキャップ8(封止部材の一種)を有しており、当該キャップ8を記録ヘッド2のノズル面23に対して当接させて封止した状態(キャッピング状態)あるいは当該ノズル面23から離隔した待避状態に変換可能に構成されている。そして、キャッピング機構6は、ノズル面23をキャッピングした状態で後述するポンプユニット10を駆動させることによりノズル30からインク等を強制的に排出させる吸引動作を実行する。このキャッピング機構6の詳細については後述する。
本実施形態におけるワイピング機構7は、ワイパー9(払拭部材の一種)を有しており、このワイパー9としては、例えばゴムやエラストマー等の弾性・可撓性を有する部材により構成される。このワイピング機構7は、ワイパー9を、その先端部がワイピング時において記録ヘッド2のノズル面23に接触可能な位置に配置する。そして、ワイパー9の先端部がノズル面23に接触した状態で両者を相対移動させることにより当該ワイパー9によってノズル面23が払拭される。本実施形態におけるワイピング動作(払拭動作)では、ノズル列方向に交差(直交)する方向にワイパー9とノズル面23とが相対的に移動する。
本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー11により各部の制御が行われる。図2に示されるように、本実施形態におけるプリンターコントローラー11は、制御回路12、記憶部13、及び駆動信号発生回路14等を備えている。制御回路12は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。この制御回路12は、記憶部13に記憶されているプログラム等に従って、各ユニットを制御する。また、本実施形態における制御回路12は、外部機器等から受信した印刷データ(印刷ジョブデータ)に基づき、記録動作(液体吐出動作)の際、記録ヘッド2のノズル30からどのタイミングでどの大きさのインク滴(液滴)を吐出させるかを示す吐出データを生成し、当該吐出データを記録ヘッド2のヘッドコントローラー15に送信する。
本実施形態における制御回路12は、本発明における制御部として機能し、記録ヘッド2の動作履歴、具体的には、記録ヘッド2の使用期間(製造時からの経過時間(経過年数))、記録ヘッド2の動作(記録動作、吸引動作(クリーニング動作、初期充填動作)等)が行われていた環境における温度(温度センサー35による検出温度)、インクの吐出回数の積算値、後述する各クリーニングモードでの吸引動作の実行回数等の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせを記憶部13に記憶させる。また、制御回路12は、クリーニング動作を行う際、吸引強度(後述)がそれぞれ異なる複数の吸引条件(クリーニングモード)の中から記録ヘッド2の動作履歴に対応する吸引条件を選択し、当該吸引条件に設定した上でキャッピング機構6によるクリーニング動作を制御する。この点の詳細については後述する。
さらに、制御回路12は、後述するようにキャリッジ3の移動(主走査)に伴ってリニアエンコーダー19から出力されるエンコーダー信号(エンコーダーパルス)からタイミング信号(タイミングパルス)を生成する。駆動信号発生回路14は、このタイミング信号を受信する毎に駆動信号COMを出力する。この駆動信号発生回路14は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成し、これを図示しない増幅回路により増幅して駆動信号COMを生成する。駆動信号発生回路14により発生された駆動信号COMは、記録ヘッド2のヘッドコントローラー15に送信される。
キャリッジ移動機構18は、タイミングベルト等を介して走行させる駆動モーター(例えば、DCモーター)等を備え(図示せず)、キャリッジ3に搭載された記録ヘッド2をガイドロッド4に沿って主走査方向に移動させる。搬送機構17は、上述したように記録用紙等の媒体をプラテン5上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー19は、キャリッジ3に搭載された記録ヘッド2の走査位置に応じたエンコーダー信号を、主走査方向における位置情報として制御回路12に出力する。制御回路12は、リニアエンコーダー19側から受信したエンコーダー信号に基づいて記録ヘッド2の走査位置(現在位置)を把握することができる。ヘッドコントローラー15は、駆動信号発生回路14により生成された駆動信号中の駆動パルスをドットパターンデータに基づき記録ヘッド2の圧電素子32(後述)に選択的に印加する制御を行う。
ノズル異常検知部16は、記録ヘッド2の各ノズル30の吐出不良を検知する機構である。このノズル異常検知部16により、ノズル30について正常にインクの吐出が行われているか否かの検査が行われる。本実施形態におけるノズル異常検知部16は、インクの吐出時に圧電素子32が駆動された際の圧力室33内のインクに生じる振動に基づく当該圧電素子32の起電力信号(検知信号)を制御回路12に出力するように構成されている。制御回路12は、ノズル異常検知部16から出力される起電力信号に基づき当該ノズル30からのインクの吐出について異常の有無を判定する。ノズル30からインクが吐出されないノズル抜けの場合や、ノズル30からインクが吐出されるとしても正常なノズル30と比較してインクの量や飛翔速度(初速)が設計値から著しく低下している場合などの異常時には、上記の検知信号の周期成分や振幅成分が、予め取得されている正常時の振動周期(リファレンス振動周期)や振幅と比較して異なる。この起電力信号に基づく吐出異常の検知は周知であるため詳細な説明は省略するが、この検知方法によりインクの増粘や気泡による吐出異常(ノズル抜け)を検知することが可能である。なお、ノズル抜けの検知方法としては、例示した逆起電力によるものには限られず、例えば、ノズル30から吐出されるインク滴を光学的に検知することによる方法等、周知の種々の方法を採用することができる。この他、プリンター1には、記録ヘッド2の内部の温度を直接的又は間接的に検出する温度センサー35(本発明における温度検出部に相当)や、後述するキャップ8とノズル面23とで形成される封止空部56の内部の圧力を検知する圧力計63等の各種センサーを備えている。
図3は、本実施形態における記録ヘッド2の構成を説明する分解斜視図である。本実施形態における記録ヘッド2は、ヘッドケース21と、複数のヘッドユニット20と、固定板22と、を備えている。ヘッドケース21は、ヘッドユニット20や、当該ヘッドユニット20へインクを供給する供給流路(図示せず)を収容する箱体状部材である。本実施形態におけるヘッドケース21の上面(ヘッドユニット20が固定される側とは反対側の面)には、インク導入針21aが主走査方向に沿って横並びに配設されている。このインク導入針21aは、中空針状の部材であり、図示しないインクカートリッジに接続される。そして、インクカートリッジ内部のインクはインク導入針21aからヘッドケース21内の供給流路に導入され、当該供給流路を通じて各ヘッドユニット20側に導入される。なお、インク導入針21aをインクカートリッジに挿入する構成に限られず、ヘッドケース21側の流路入口に設けられた多孔質部材と、インクカートリッジ側のインク導出口に設けられた多孔質部材とを接触させてインクを授受する構成を採用することもできる。
ヘッドケース21の底面側には、本実施形態においては合計4つのヘッドユニット20が主走査方向に横並びに位置決めされた状態で固定板22に接合されている。固定板22は、例えば、ステンレス鋼等の金属製の板材である。本実施形態における固定板22には、各ヘッドユニット20のノズルプレート24(後述)に対応する位置に、当該ノズルプレート24の外形に倣った形状の開口部22aが厚さ方向を貫通する状態で形成されている。したがって、ヘッドケース21に固定された各ヘッドユニット20のノズルプレート24は、開口部22aにおいてそれぞれ露出する。この固定板22は、ヘッドケース21の内部空間に各ヘッドユニット20を収容した状態で当該ヘッドケース21にねじ止め等により固定される。
図4は、ヘッドユニット20の構成の一例について説明する断面図である。また、図5は、図4における領域Xの拡大図である。本実施形態におけるヘッドユニット20は、ノズルプレート24、連通基板25、アクチュエーターユニット26、コンプライアンス基板27、ケース28等の複数の構成部材が積層されて接着剤等によって接合されて構成されている。なお、以下においては、記録ヘッド2の各構成部材の積層方向を、適宜上下方向として説明する。
アクチュエーターユニット26は、ノズルプレート24に形成されたノズル30と連通する圧力室33が形成された圧力室形成基板31と、各圧力室33内のインクに圧力変動を生じさせるアクチュエーター(駆動素子)としての圧電素子32と、これらの圧力室形成基板31及び圧電素子32を保護する封止板34とがユニット化されたものである。封止板34の平面視における略中央部には、駆動IC等の駆動回路36を実装した配線基板37が挿通される配線空部38が開設されている。この配線空部38内に圧電素子32のリード電極が配置され、このリード電極に配線基板37の配線端子が電気的に接続される。
アクチュエーターユニット26の圧力室形成基板31は、例えば、シリコン基板から作製されている。この圧力室形成基板31には、圧力室33が各ノズル30に対応して複数列設されている。この圧力室33は、ノズル列に交差する方向(本実施形態においては直交する方向)に長尺な液室であり、圧力室33の長手方向の一側の端部にノズル連通口39が連通し、他側の端部に供給口40が連通する。本実施形態における圧力室形成基板31には、圧力室33の列が2列形成されている。
圧力室形成基板31の上面(連通基板25側とは反対側の面)には、振動板41が積層され、この振動板41によって圧力室33の上部開口が封止されている。即ち、振動板41により、圧力室33の一部が区画されている。この振動板41は、例えば、圧力室形成基板31の上面に形成された二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁体膜と、から成る。そして、この振動板41上における各圧力室33に対応する領域に圧電素子32がそれぞれ積層されている。
本実施形態の圧電素子32は、所謂撓みモードの圧電素子である。この圧電素子32は、例えば、振動板41上に、下電極層、圧電体層及び上電極層(いずれも図示せず)が順次積層されてなる。このように構成された圧電素子32は、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、上下方向に撓み変形する。本実施形態では、2列に形成された圧力室33の列に対応して、圧電素子32の列が2列形成されている。なお、下電極層及び上電極層は、両側の圧電素子32の列から当該列の間の配線空部38内までリード電極として延在され、上述したように配線基板37と電気的に接続されている。
封止板34は、2列に形成された圧電素子32の列を覆うように振動板41上に積層されている。封止板34の内部には、圧電素子32の列を収容可能な長尺な収容空間42が形成されている。この収容空間42は、封止板34の下面側(振動板41側)から上面側(ケース28側)に向けて封止板34の高さ方向途中まで形成された窪みである。本実施形態における封止板34には、配線空部38の両側に収容空間42が形成されている。
アクチュエーターユニット26の下面には、このアクチュエーターユニット26よりも広い面積を有する連通基板25が接合される。この連通基板25は、圧力室形成基板31と同様にシリコン基板から作製されている。本実施形態における連通基板25には、圧力室33とノズル30とを連通するノズル連通口39と、各圧力室33に共通に設けられた共通液室43と、この共通液室43と圧力室33とを連通する供給口40と、が形成されている。共通液室43(リザーバー若しくはマニホールドとも呼ばれる)は、ノズル列方向に沿って延在する液室である。共通液室43は、連通基板25の板厚方向を貫通した第1液室43aと、連通基板25の下面側から上面側に向けて当該連通基板25の板厚方向の途中まで窪ませ、上面側に薄板部を残した状態で形成された第2液室43bと、から構成される。供給口40は、第2液室43bの薄板部において、圧力室33に対応してノズル列方向に沿って複数形成されている。この供給口40は、連通基板25と圧力室形成基板31とが位置決めされて接合された状態で、対応する圧力室33の長手方向における他側(ノズル連通口39とは反対側)の端部と連通する。
ノズル連通口39は、連通基板25の各ノズル30に対応する位置を板厚方向に貫通して形成される。即ち、ノズル連通口39は、圧力室形成基板31とノズルプレート24との間において、ノズル30とこれに対応する圧力室33とを連通する。このノズル連通口39は、圧力室33にそれぞれ個別に対応するようにノズル列方向に沿って複数形成されている。本実施形態のノズル連通口39は、連通基板25と圧力室形成基板31とが位置決めされて接合された状態で、対応する圧力室33の一側(供給口40とは反対側)の端部と連通する。
上記の連通基板25の下面の略中央部分には、複数のノズル30が形成されたノズルプレート24が接合される。本実施形態におけるノズルプレート24は、連通基板25及びアクチュエーターユニット26よりも小さい面積の板材であり、シリコン基板から構成されている。このノズルプレート24は、連通基板25の下面において、共通液室43の開口部から外れた位置であって、ノズル連通口39が複数開口した領域に、これらのノズル連通口39と複数のノズル30とがそれぞれ連通する状態で接着剤29(図5参照)により連通基板25に接合されている。この接着剤29としては、例えばエポキシ接着剤が用いられている。
本実施形態におけるノズルプレート24には、主走査方向に交差する副走査方向(媒体の搬送方向)に沿って複数のノズル30が列設されてなるノズル列が主走査方向に合計2条並設されている。このノズルプレート24は、例えばシリコン基板から作製され、当該基板に対してドライエッチングによりノズル30が形成されている。また、本実施形態において、ノズルプレート24のインクが吐出される側の面(連通基板25が接合されている面とは反対側の面)と、このノズルプレート24の周囲を囲むように配置された固定板22の下面(記録動作時に媒体等と対向する面)とで構成される面がノズル面23として機能する。また、ノズルプレート24の外周と、このノズルプレート24を囲む開口部22aを有する固定板22との間の隙間、及び、ノズルプレート24とコンプライアンス基板27との間の隙間には充填材(モールド)51が充填されている。この充填材51は、接着剤29と同様にエポキシ系接着剤により構成されている。
また、連通基板25の下面において、ノズルプレート24から外れた位置には、コンプライアンス基板27が接合される。このコンプライアンス基板27は、連通基板25の下面に位置決めされて接合された状態で、連通基板25の下面における共通液室43の開口を封止する。本実施形態におけるコンプライアンス基板27は、可撓フィルム47と、これを支持する支持板48とが接合されて構成されている。
連通基板25の下面には、コンプライアンス基板27の可撓フィルム47が接合されて、連通基板25と支持板48との間に可撓フィルム47が挟まれた状態となる。可撓フィルム47は、可撓性を有する薄膜、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂材料により作製されている。支持板48は、可撓フィルム47よりも剛性が高く且つ厚みのあるステンレス鋼等の金属材料で形成されている。この支持板48の共通液室43に対向する領域には、この共通液室43の下面開口に倣った形状に支持板48の一部が除去されている。このため、共通液室43の下面側の開口は、可撓性を有する可撓フィルム47のみで封止されている。換言すると、可撓フィルム47は、共通液室43の一部を区画している。支持板48の下面には固定板22が接合されている。これにより、可撓フィルム47の可撓領域と、これに対向する固定板22との間には、コンプライアンス空間50が形成されている。そして、このコンプライアンス空間50における可撓フィルム47の可撓領域が、インク流路内、特に共通液室43内の圧力変動に応じて共通液室43側又はコンプライアンス空間50側に変位する。
アクチュエーターユニット26及び連通基板25は、ケース28に固定されている。ケース28の下面側にはアクチュエーターユニット26を収容する収容空部52が形成されている。そして、収容空部52にアクチュエーターユニット26が収容された状態でケース28の下面が連通基板25によって封止される。このケース28の平面視における略中央部分には、収容空部52と連通する挿通空部53が開設されている。この挿通空部53は、アクチュエーターユニット26の配線空部38とも連通する。上記の配線基板37は、挿通空部53を通じて配線空部38に挿入されるように構成されている。また、ケース28の内部において、挿通空部53及び収容空部52の両側には、連通基板25の共通液室43と連通する供給液室54が形成されている。また、ケース28の上面には、各供給液室54と連通する導入口55がそれぞれ開設されている。インクカートリッジ側から送られてきたインクは、導入口55、供給液室54、及び共通液室43へと導入され、共通液室43から供給口40を通じて各圧力室33に供給される。
そして、上記構成の記録ヘッド2では、供給液室54から共通液室43及び圧力室33を通ってノズル30に至るまでの流路内がインクで満たされた状態で、駆動回路36からの駆動信号に従い圧電素子32が駆動されることにより、圧力室33内のインクに圧力変動が生じ、この圧力変動によって所定のノズル30からインクが吐出される。
図6は、キャッピング機構6、ワイピング機構7、及びポンプユニット10の構成について説明する模式図である。本実施形態におけるキャッピング機構6は、トレイ状のキャップ8を備え、当該キャップ8を記録ヘッド2のノズル面23に当接する位置又は離隔する位置に変位させるように構成されている。キャップ8は、上面側(ノズル面23と対向する側)が開口したトレイ状部材であり、キャッピング状態におけるキャップ8の内部空間、即ち、キャップ8と記録ヘッド2のノズル面23とで形成される空間が封止空部56となる。このキャップ8は、エラストマー等の弾性部材により作製され、これよりも硬質な合成樹脂又は金属からなるキャップホルダー57に保持されている。また、封止空部56内には吸液材58が敷設されている。この吸液材58は、インクを吸収可能なフェルトやスポンジ等の多孔質材によって構成されている。キャップ8の底部には、貫通孔が開設されており、この貫通孔に図示しない廃液タンクに通じる排液チューブ60が接続されている。また、これとは別の貫通口がキャップ8の側壁に開設されており、この貫通口には、封止空部56と当該封止空部56の外部とを連通させる大気開放路(本発明における流路に相当)を構成する大気開放チューブ61が接続されている。そして大気開放チューブ61の途中には、大気開放弁62(本発明における弁に相当)が設けられている。大気開放弁62は、電磁力や油圧や空圧などで動作する弁からなり、制御回路12による制御により開閉されるように構成されている。即ち、制御回路12は大気開放弁62を開閉することにより、ノズル面23を封止した状態における封止空部56の密閉状態と大気開放状態とを切り替えることができるようになっている。
本実施形態において、制御回路12は、圧力計63により検知される封止空部56の内部の圧力を監視し、当該圧力と大気圧との差が予め設定された閾値(圧力閾値)に到達した際に大気開放弁62を開いて封止空部56を大気開放するように構成されている。これにより、例えば、インク供給経路66や記録ヘッド2の内部のインク流路において、気泡や異物(インクに含まれる成分の析出物)等により流路が塞がれてチョークされた状態で吸引動作が行われたときのように、記録ヘッド2のノズル面23に過度な負圧が作用することが抑制される。これにより、記録ヘッド2の構成部材同士を接合している接着剤29の剥離等の不具合が引き起こされることが抑制される。これにより、液体吐出ヘッドの寿命の向上に寄与することができる。この場合、制御回路12は、例えば、プリンター1に設けられた表示装置、あるいは、プリンター1と接続された外部機器のインターフェース等を通じて、使用者に対し、インク流路において気泡や異物等によるチョークが生じたことにより吸引動作を停止した旨の警告(アラート)を行うようにしてもよい。これに応じて、使用者は、記録ヘッド2の交換や修理等の対処を行うことができる。なお、温度センサー35による検出温度に応じて、開弁する条件となる圧力(圧力閾値)を変更する構成を採用することが望ましい。特に検出温度が高いほど接着剤29や充填材51が柔らかくなり(ヤング率が低下して)剥離等のリスクが高まるため、封止空部56の圧力が負圧側に大きくなり過ぎないように圧力閾値を設定することが望ましい。これにより、大気開放弁62がより適切なタイミングで開かれるので、記録ヘッド2のノズル面23に過度な負圧が作用することを抑制しつつ、不具合が生じる虞の無い状況での無用な大気開放が行われることが抑制される。
ポンプユニット10は、排液チューブ60の途中に設けられている。本実施形態におけるポンプユニット10は、駆動源として例えば搬送機構17の紙送りモーターが利用される。即ち、図示しないクラッチによって紙送り時とポンプ制御時で紙送りモーターの接続が切り替えられる。なお、駆動モーターとしては、ポンプユニット10のみを駆動するための専用のものが別途設けられても良い。このポンプユニット10は、図示しないローラー等の押圧部材で排液チューブ60を部分的に押し潰し、当該押圧部材を排液チューブ60に沿って移動(回転)させることにより、排液チューブ60内の空気や液体をしごいて排出側に送り出す所謂チューブポンプにより構成されている。
上記キャップ8によって記録ヘッド2のノズル面23を封止した封止状態では、ノズル面23のノズル30が封止空部56内に臨み、且つ、キャップ8の頂部とノズル面23とが密着する。そして、この封止状態で尚且つ大気開放弁62を閉じた状態でポンプユニット10を作動させると、封止空部56内が減圧されるので、ノズル30を通じて記録ヘッド2内のインク等が吸引されて、ノズル30を通じて記録ヘッド2の外部に排出することができる。これを利用して、プリンター1にインクカートリッジが新たに装着された際にこのインクカートリッジ内のインクを記録ヘッド2のインク流路に充填する初期充填や、インク流路内の増粘インクや気泡を除去するためのクリーニング動作において、この吸引動作が行われる。本実施形態においては、インクカートリッジから記録ヘッド2のインク流路までのインク供給経路66の途中にチョーク弁67が設けられている。そして、このチョーク弁67が閉じられた状態でキャッピング機構6により吸引動作が行われてチョーク弁67よりも下流側の流路の負圧がより高められた後、チョーク弁67を開放することにより、チョーク弁67の前後の圧力差によって記録ヘッド2のインク流路により強いインクの流れを生じさせることができる。これにより、より強力な吸引動作(チョーククリーニング動作)を行うことができる。
ワイピング機構7は、ワイパー9とワイパーホルダー65とを備えている。ワイピング機構7は、ワイパー9を記録ヘッド2のノズル面23に接触可能なワイピング位置と当該位置から外れた退避位置とに変位可能に構成されている。ワイパー9は、例えば、エラストマー等の弾性を有する材料で形成された板状部材であり、基端部(下端部)がワイパーホルダー65に保持されている。そして、ワイピング位置においては、ワイパー9の上端部が記録ヘッド2のノズル面23に接触可能な高さに位置する。この状態でノズル面23とワイパー9とを相対移動させることにより、ワイパー9の上端部がノズル面23に接触しつつ摺動して当該ノズル面23に付着したインクや紙粉等の汚れを払拭する。
上記のプリンター1において、クリーニング動作や初期充填動作等の吸引動作が行われると、記録ヘッド2のノズル面23には負圧が作用するため、当該ノズル面23はキャップ8の封止空部56側に引っ張られて撓むような力を受ける。このため、吸引動作が行われると、ノズルプレート24と連通基板25とを接合している接着剤29には負荷が掛かることになる。そして、高温下(例えば、40℃以上)で接着剤29が柔らかくなった状態(ヤング率が低下した状態)、あるいは、経年劣化により接着剤29が劣化した状態で吸引動作を繰り返し行うと接着剤29の界面剥離や凝集剥離が生じてノズルプレート24が剥がれてしまう虞があった。また、本実施形態のように、ノズルプレート24と固定板22との間に充填材51が充填されている構成では、同様の理由から充填材51が接合部分から剥がれて浮いたり脱落したりすることにより、当該部分から記録ヘッド2の内部にインクが侵入する虞がある。即ち、例えば、コンプライアンス基板27の可撓フィルム47と支持板48との接着界面からインクが侵入してコンプライアンス空間50に到達する虞がある。この場合、可撓フィルム47のダンパー機能、即ち、共通液室43内におけるインクの圧力変動を吸収する効果が損なわれる可能性があった。本発明に係るプリンター1では、このような吸引動作を起因とする記録ヘッド2の不具合を以下のように抑制している。
本発明に係るプリンター1では、吸引動作時の吸引強度が異なる複数のクリーニングモード(吸引条件)が選択可能となっている。吸引強度は、吸引動作時のキャップ8内(封止空部56)における圧力(負圧)の最大値、負圧状態の維持時間、負圧の時間の積分値で規定されるものである。この吸引強度は、ポンプユニット10の回転数、動作時間(吸引時間)、及び、上記のチョーク弁67を使用するか否か(チョーククリーニング動作を行うか否か)で調節することができる。本実施形態においては、吸引強度が低い順に第1クリーニングモードCL1、第2クリーニングモードCL2、第3クリーニングモードCL3、及び、第4クリーニングモードCL4の合計4つのクリーニングモードを選択することが可能となっている。このうち、吸引強度が最も高い第4クリーニングモードCL4は、上記のチョーククリーニング動作を行うモードである。そして、制御回路12は、キャッピング機構6を用いたクリーニング動作の際、複数のクリーニングモードから記録ヘッド2の動作履歴に応じて、クリーニングモードを選択するように構成されている。即ち、動作履歴によっては、吸引強度がより強力なクリーニングモードを選択することができないように制限される。ここで、動作履歴とは、上述したように、記録ヘッド2の使用期間等である。
図7は、本発明の液体吐出装置の制御方法に係る吸引動作の一種であるクリーニング動作について説明するフローチャートである。クリーニング動作の実行タイミングが到来すると、制御回路12は、キャッピング機構6により記録ヘッド2のノズル面23をキャッピングした状態とする。そして、予め定められた制限ルールに従ってクリーニング動作を行う(ステップS1)。即ち、制御回路12は、動作履歴の一種である記録ヘッド2の使用期間Yに応じて、上記各クリーニングモードCL1〜CL4のうちの選択可能なクリーニングモードの中から一のクリーニングモードを選択する。
図8は、使用期間Yと選択可能なクリーニングモードとの対応を示す表である。この表に対応する情報はルックアップテーブルとして記憶部13に記憶されている。この表において「OK」は当該クリーニングモードが選択可(実行可能)であることを示し、「NG」は当該クリーニングモードが選択不可(実行不可)であることを示している。使用期間Yに関し、複数の区分期間(Y0≦Y<Y1、Y1≦Y<Y2、Y2≦Y<Y3、Y3≦Y<Y4)に区分されており、Y0からY4にかけて例えば年単位で長くなる。なお、本実施形態においては使用期間Yを合計4つの区分期間に区分しているが、これより少ない区分期間又はこれよりも多い区分期間に分けてもよい。同図に示されるように、Y0からY2までの各区分期間(Y0≦Y<Y1、Y1≦Y<Y2)では、全てのクリーニングモードが選択可能(OK)となっている。これに対し、Y2≦Y<Y3の区分期間では、クリーニングモードのうち吸引強度が最も高い第4クリーニングモードCL4の選択が制限されている(NG)。また、Y3≦Y<Y4の区分期間では、第4クリーニングモードCL4に加えてこれよりも吸引強度が一段階低い第3クリーニングモードCL3の選択が制限される(NG)。
そして、制御回路12は、図8の表で示される制限ルールに従って、現時点で該当する区分期間に対応する選択可能なクリーニングモードの中から今回のクリーニング動作に適したクリーニングモードを選択する。なお、例えば、Y0≦Y<Y1の区分期間であっても、必ずしも第4クリーニングモードCL4が選択されるわけではなく、今回のクリーニング動作の目的(用途)に適したクリーニングモードが選択される。また、例えば、Y2≦Y<Y3の区分期間であって、第4クリーニングモードCL4でクリーニング動作を行うことが望ましい場合、当該期間では第4クリーニングモードCL4の選択が制限されるため、これよりも吸引強度が一段階低い第3クリーニングモードCL3が選択される。この場合、第3クリーニングモードCL3でのクリーニング動作の実行回数を増加させることで、第4クリーニングモードCL4でクリーニング動作を行った場合と同等の効果を得る。即ち、接着剤29の剥離等の記録ヘッド2の不具合を抑制しつつ、吸引動作による所望とする効果を得ることができる。例えば、40℃の温度下において第4クリーニングモードCL4でクリーニング動作を1回行うところ、第3クリーニングモードCL3ではクリーニング動作を3回行うことで、同等のクリーニング効果が得られるように構成されている。このときの実行回数については、後述する第1閾値Nth1(CLx)により規定される。
このように、記録ヘッド2の使用期間に応じて接着剤29等の劣化度合いが変わるため、選択可能な吸引条件(本実施形態においてはクリーニングモード)が動作履歴の一つである使用期間に応じて定められていることにより、より適切な吸引条件を選択することができる。これにより、接着剤29の剥離等の不具合を抑制しつつ、より効率よく吸引動作を行うことが可能となる。次に、制御回路12は、今回選択したクリーニングモードに関して、区分けルールに基づいて実行回数を積算し、積算値(積算回数)を記憶部13に記憶させる(ステップS2)。
図9は、クリーニングモードの積算回数についての区分けルールを示す表である。この表に対応する情報はルックアップテーブルとして記憶部13に記憶されている。同図に示されるように、クリーニング動作の実行回数は、当該クリーニング動作が行われた区分期間及び選択されたクリーニングモードに応じて区分されてそれぞれ積算される。即ち、例えば、区分期間がY0≦Y<Y1あるときに第1クリーニングモードCL1が選択されてクリーニング動作が実行された場合、対応する積算回数Σn11を更新(今回の実行回数を加算)して記憶部13に記憶させる。即ち、記憶部13は、区分期間において実行されたクリーニング動作の実行回数の積算値を区分期間及び選択されたクリーニングモードに対応付けて記憶する。なお、本実施形態においては、Y2≦Y<Y3の区分期間において第4クリーニングモードCL4の選択が制限され、また、Y3≦Y<Y4の区分期間では、第3クリーニングモードCL3及び第4クリーニングモードCL4の選択が制限されるので、Σn34=Σn43=Σn44=0となる。
図10は、区分期間及びクリーニングモードに応じて区分けされた積算回数に対応する重み付け係数を示す表である。このように使用期間Y及びクリーニングモードに応じて区分された積算回数には、それぞれ重み付け係数が設けられている。即ち、使用期間Yや吸引条件(クリーニングモード)によって接着剤29や充填材51の劣化度合いやこれらに作用する負荷が異なるため、上記のように区分けされた積算回数にそれぞれ重み付けがされる。図10に示されるように、使用期間Yが短いほど、また、クリーニング動作における吸引強度が低いクリーニングモードほど、重み付け係数WYはより小さい値に設定され、使用期間Yが長いほど、また、クリーニング動作における吸引強度が強いクリーニングモードほど、重み付け係数WYはより大きい値に設定される。即ち、図10の例では、区分期間がY0≦Y<Y1であってクリーニングモードが第1クリーニングモードCL1に対応する重み付け係数WY11が最も小さい値であり、区分期間がY3≦Y<Y4であってクリーニングモードが第4クリーニングモードCL4に対応する重み付け係数WY44が最も大きい値となっている。この重み付け係数WYは、上記積算値に対応付けられたルックアップテーブルとして記憶部13に記憶されている。
制御回路12は、区分期間及びクリーニングモードに応じて区分けされた積算値に対応する重み付け係数を読み出し(ステップS3)、続いて、今回のクリーニングモードの実行回数の積算値とそれぞれ対応する重み付け係数WYとに基づき、全使用期間の換算積算回数N(CLx)を算出する(ステップS4)。具体的には、所定のクリーニングモードClxについて、N(CLx)=WY1x×Σn1x+WY2x×Σn2x+WY3x×Σn3x+WY4x×Σn4xを算出する。即ち、例えば、第1クリーニングモードCL1が選択された場合、換算積算回数N(CLx)=WY11×Σn11+WY21×Σn21+WY31×Σn31+WY41×Σn41を算出する。
なお、クリーニングモード毎に換算積算回数N(CLx)を個別に算出する例を示したが、必ずしもクリーニングモード毎の換算積算回数でなくてもよい。例えば、各クリーニングモードの換算積算回数を一つの代表値に統一したもの、すなわち、各クリーニングモードの換算積算回数の総和からなる統一換算積算回数N(CLu)を算出してもよい。この統一換算積算回数N(CLu)は、全てのクリーニングモードでの吸引動作の影響を入れた計算値になるので、より好ましい。より具体的には、図9及び図10に基づくと、統一換算積算回数N(CLu)は以下のように算出される。
N(CLu)=N(CL1)+N(CL2)+N(CL3)+N(CL4)=WY11×Σn11+WY12×Σn12+WY13×Σn13+WY14×Σn14+WY21×Σn21+WY22×Σn22+WY23×Σn23+WY24×Σn24+WY31×Σn31+WY32×Σn32+WY33×Σn33+WY34×Σn34+WY41×Σn41+WY42×Σn42+WY43×Σn43+WY44×Σn44
そして、このN(CLu)と後述する各クリーニングモードの閾値Nth(CLx)とを比較すればよい。このようにすることで、クリーニングモードのうち最も吸引強度の弱い第1クリーニングモードCL1であっても回数が極めて多くなれば1回のCL4に相当する、というような場合にも対応できる。閾値Nth(CLx)は、例えばNth1(CL1)が3000、Nth1(CL4)は100等のように設定される。
なお、クリーニングモード毎に換算積算回数N(CLx)を個別に算出する例を示したが、必ずしもクリーニングモード毎の換算積算回数でなくてもよい。例えば、各クリーニングモードの換算積算回数を一つの代表値に統一したもの、すなわち、各クリーニングモードの換算積算回数の総和からなる統一換算積算回数N(CLu)を算出してもよい。この統一換算積算回数N(CLu)は、全てのクリーニングモードでの吸引動作の影響を入れた計算値になるので、より好ましい。より具体的には、図9及び図10に基づくと、統一換算積算回数N(CLu)は以下のように算出される。
N(CLu)=N(CL1)+N(CL2)+N(CL3)+N(CL4)=WY11×Σn11+WY12×Σn12+WY13×Σn13+WY14×Σn14+WY21×Σn21+WY22×Σn22+WY23×Σn23+WY24×Σn24+WY31×Σn31+WY32×Σn32+WY33×Σn33+WY34×Σn34+WY41×Σn41+WY42×Σn42+WY43×Σn43+WY44×Σn44
そして、このN(CLu)と後述する各クリーニングモードの閾値Nth(CLx)とを比較すればよい。このようにすることで、クリーニングモードのうち最も吸引強度の弱い第1クリーニングモードCL1であっても回数が極めて多くなれば1回のCL4に相当する、というような場合にも対応できる。閾値Nth(CLx)は、例えばNth1(CL1)が3000、Nth1(CL4)は100等のように設定される。
図11は、各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)について予め設定された閾値を示す表である。この表に対応する情報はルックアップテーブルとして記憶部13に記憶されている。同図に示されるように、クリーニングモード毎に算出された換算積算回数N(CLx)には、それぞれ閾値Nth(Clx)が設定されている。本実施形態においては、各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)についてそれぞれ複数の閾値が設定されている。具体的には、クリーニング動作を終了するか否かについて判定するための第1閾値Nth1(CLx)、記録ヘッド2にノズルプレート24の剥離等の不具合が生じる虞があることを示すエラー報知(警告)をするか否かについて判定するための第2閾値Nth2(CLx)、及び、クリーニング動作を繰り返しても、もはやノズルプレート24の剥離等の不具合によって記録ヘッド2の吐出能力が回復できないことを示すエラー報知をするか否かについて判定するための第3閾値Nth3(CLx)の合計3つの閾値が、各クリーニングモードの換算積算回数のそれぞれに設定されている。
第1閾値Nth1(CLx)は、選択されたクリーニングモードでのクリーニング動作の換算積算回数の許容値(許容積算回数)である。このため、換算積算回数N(CLx)がこの第1閾値Nth1(CLx)に満たなければ、当該クリーニングモードでのクリーニング動作を引き続き実行することができる一方、換算積算回数N(CLx)がこの第1閾値Nth1(CLx)以上となった場合には、当該クリーニングモードでのクリーニング動作が制限される。第2閾値Nth2(CLx)は、第1閾値Nth1(CLx)よりも高い値に設定され、換算積算回数N(CLx)がこの第2閾値Nth2(CLx)を超えた場合、接着剤29や充填材51が剥離したり脱落したりすることにより、ノズルプレート24が剥がれる等の不具合が生じる虞がある。第3閾値Nth3(CLx)は、第2閾値Nth2(CLx)よりも高い値に設定され、換算積算回数N(CLx)がこの第3閾値Nth3(CLx)以上となった場合、クリーニング動作をこれ以上行っても吐出能力が回復されず、インクが無駄に消費されることになる。これらの閾値のクリーニングモード間での大小関係に関し、以下のように、第1閾値Nth1についての大小関係は(1)で表され、第2閾値Nth2についての大小関係は(2)で表され、第3閾値Nth3についての大小関係は(3)で表される。
Nth1(CL1)>Nth1(CL2)>Nth1(CL3)>Nth1(CL4)…(1)
Nth2(CL1)>Nth2(CL2)>Nth2(CL3)>Nth2(CL4)…(2)
Nth3(CL1)>Nth3(CL2)>Nth3(CL3)>Nth3(CL4)…(3)
Nth1(CL1)>Nth1(CL2)>Nth1(CL3)>Nth1(CL4)…(1)
Nth2(CL1)>Nth2(CL2)>Nth2(CL3)>Nth2(CL4)…(2)
Nth3(CL1)>Nth3(CL2)>Nth3(CL3)>Nth3(CL4)…(3)
そして、制御回路12は、今回選択されたクリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)以上となったか否かを判定し(ステップS6)、換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)に満たない(No)と判定した場合には、ステップS1に戻り、当該クリーニングモードの設定のままで以降の処理が行われる。即ち、当該クリーニングモードでのクリーニング動作が再度繰り返される。一方、ステップ6において換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)以上となった(Yes)と判定した場合、続いて制御回路12は、今回選択されたクリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)以上となったか否かを判定する(ステップS7)。換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)以上となった(Yes)と判定した場合、続いて、制御回路12は、例えば、プリンター1に設けられた表示装置、あるいは、プリンター1と接続された外部機器のインターフェース等を通じて、使用者に対し、これ以上のクリーニング動作を行うと記録ヘッド2に不具合(故障)が生じる虞がある旨の警告(アラート)を行い(ステップS10)、クリーニング動作を終了(強制終了)する。これにより使用者は、記録ヘッド2の交換タイミングが到来したことを把握することができるので、交換用の新たな記録ヘッド2を用意する等の対処を行うことができる。その結果、記録ヘッド2の不具合によりプリンター1が使用できないダウンタイムを削減することが可能となる。
ステップS7において、換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)には満たない(No)と判定した場合、続いて、制御回路12は、今回のクリーニング動作により、記録ヘッド2の各ノズル30の吐出能力が回復したか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、制御回路12は、ノズル異常検知部16により各ノズル30について正常にインクの吐出が行われているか否かの検査を行い、各ノズル30から正常にインクが吐出されている、即ち、各ノズル30の吐出能力が回復した(Yes)と判定した場合、目的とする効果が得られたとしてクリーニング動作を正常終了する。一方、ノズル異常検知部16による検査の結果、インクが正常に吐出されていないノズル30がある、即ち、各ノズル30の吐出能力が回復していない(No)と判定した場合、制御回路12は、換算積算回数N(CLx)が第3閾値Nth3(CLx)以上となったか否かを判定する(ステップS9)。換算積算回数N(CLx)が第3閾値Nth3(CLx)に満たない(No)と判定した場合には、ステップS1に戻り、以降の処理が行われる。ここで、上記ステップS6において、換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)以上であると判定されているので、この時点で選択されているクリーニングモードでのクリーニング動作の実行が制限される。このため、制御回路12は、換算積算回数N(CLx)に対応するクリーニングモードよりも吸引強度が低い他のクリーニングモードを選択する。例えば、第4クリーニングモードCL4が選択されていた場合には、これより吸引強度が一段低い、第3クリーニングモードCL3を選択して以降のクリーニング動作を行う。これにより、接着剤29の剥離等の記録ヘッド2の不具合を抑制しつつ、クリーニング動作による所望とする効果(吐出能力の回復効果)を得ることができる。このように、吸引動作(本実施形態においてはクリーニング動作)を繰り返すことによる接着剤29等の劣化度合いは吸引条件(本実施形態においてはクリーニングモード)毎に変わるため、選択可能な吸引条件が、動作履歴の一つである各吸引条件における吸引動作の実行回数の積算値(換算積算回数N(CLx))に応じて定められている。これにより、さらに適切な吸引条件を選択することができる。その結果、接着剤29の剥離等の不具合を抑制しつつ、より効率よく吸引動作を行うことが可能となる。
一方、ステップS9において、換算積算回数N(CLx)が第3閾値Nth3(CLx)以上となった(Yes)と判定した場合、続いて、制御回路12は、これ以上のクリーニング動作を行っても効果が得られない、即ち、記録ヘッド2の各ノズル30の吐出能力が回復しない旨の警告(アラート)を行い(ステップS10)、クリーニング動作を終了する。これにより、無用なクリーニング動作を繰り返すことによるインクの消費を防止することができる。
以上のように、本発明に係るプリンター1では、記録ヘッド2の動作履歴に応じて、クリーニングモードが選択される(所定のクリーニングモードの選択が制限された上で他のクリーニングモードが選択される)ので、記録ヘッド2の構成部材同士を接合している接着剤29や充填材51の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、記録ヘッド2の寿命を延ばすことが可能となる。
図12は、各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)に対応する重み付け係数を示す表である。上記では、換算積算回数N(CLx)に関して、クリーニングモード毎に対応する閾値との比較を行う構成を例示したがこれには限られない。例えば、図12に示されるように、各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)にそれぞれ対応する重み付け係数WYを乗じて、全区分期間及び全クリーニングモードのトータルの換算積算回数Nt(CL)を算出して、算出したトータルの換算積算回数Nt(CL)と閾値とを比較する構成を採用することも可能である。より具体的には、トータルの換算積算回数Nt(CL)=WYt1×N(CL1)+WYt2×N(CL2)+WYt3×N(CL3)+WYt4×N(CL4)を算出する。そして、このトータルの換算積算回数Nt(CL)と、これについての閾値、即ち、許容積算回数Ntth(CL)との比較結果に基づいて、選択されたクリーニングモードでのクリーニング動作の制限やアラート等の処理を判定しても良い。
なお、上記ステップS8の判定、及び、ステップS9の判定は必ずしも行われなくても良い。この場合、ステップS7において換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)には満たない(No)と判定された場合、ステップS1に戻り、以降の処理が行われるようにすればよい。この場合においても、上記ステップS6において換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)以上であると判定されているので、この時点で選択されているクリーニングモードでのクリーニング動作の実行が制限され、制御回路12は、換算積算回数N(CLx)に対応するクリーニングモードよりも吸引強度が低い他のクリーニングモードを選択して以降のクリーニング動作を行う。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、動作履歴としての使用期間及び各吸引条件における吸引動作の実行回数の積算値に応じて選択可能な吸引条件(クリーニングモード)が定められた構成を例示したが、これには限られない。本実施形態においては、動作履歴としての記録ヘッド2の温度(温度センサー35の検出温度。以下、ヘッド温度T。)及び各吸引条件における吸引動作の実行回数の積算値に応じて選択可能な吸引条件(クリーニングモード)が定められる。なお、本実施形態におけるプリンター1のクリーニング動作の基本的な流れは、第1の実施形態におけるクリーニング動作と同様であるため、以下では図7のフローチャートに基づいて説明する。
上記第1の実施形態では、動作履歴としての使用期間及び各吸引条件における吸引動作の実行回数の積算値に応じて選択可能な吸引条件(クリーニングモード)が定められた構成を例示したが、これには限られない。本実施形態においては、動作履歴としての記録ヘッド2の温度(温度センサー35の検出温度。以下、ヘッド温度T。)及び各吸引条件における吸引動作の実行回数の積算値に応じて選択可能な吸引条件(クリーニングモード)が定められる。なお、本実施形態におけるプリンター1のクリーニング動作の基本的な流れは、第1の実施形態におけるクリーニング動作と同様であるため、以下では図7のフローチャートに基づいて説明する。
図13は、第2の実施形態におけるヘッド温度Tと選択可能なクリーニングモードとの対応を示す表である。ヘッド温度Tに関し、複数の温度帯域(T0≦T<T1、T1≦T<T2、T2≦T<T3、T3≦T<T4)に区分されており、T0からT4にかけて温度が高くなる。なお、本実施形態においてはヘッド温度Tを合計4つの温度帯域に区分しているが、これより少ない温度帯域又はこれよりも多い温度帯域に分けてもよい。同図に示されるように、T0からT2までの各温度帯域(T0≦T<T1、T1≦T<T2)では、全てのクリーニングモードが選択可能(OK)となっている。これに対し、T2≦T<T3の温度帯域では、クリーニングモードのうち吸引強度が最も高い第4クリーニングモードCL4の選択が制限されている(NG)。また、T3≦T<T4の温度帯域では、第4クリーニングモードCL4に加えてこれよりも吸引強度が一段階低い第3クリーニングモードCL3の選択が制限される(NG)。
そして、制御回路12は、図13の表で示される制限ルールに従って、温度センサー35により検出されたヘッド温度Tに対応する選択可能なクリーニングモードの中から今回のクリーニング動作に適したクリーニングモードを選択する。第1の実施形態と同様に、例えば、T0≦T<T1の温度帯域であっても、必ずしも第4クリーニングモードCL4が選択されるわけではなく、今回のクリーニング動作の目的に適したクリーニングモードが選択される。また、例えば、T2≦T<T3の温度帯域であって、第4クリーニングモードCL4でクリーニング動作を行うことが望ましい場合、当該期間では第4クリーニングモードCL4の選択が制限されるため、これよりも吸引強度が一段階低い第3クリーニングモードCL3が選択される。この場合、第3クリーニングモードCL3でのクリーニング動作の実行回数を増加させることで、第4クリーニングモードCL4でクリーニング動作を行った場合と同等の効果を得る。即ち、接着剤29の剥離等の記録ヘッド2の不具合を抑制しつつ、吸引動作による所望とする効果を得ることができる。
このように、記録ヘッド2のヘッド温度Tに応じて接着剤29や充填材51の柔らかさ(ヤング率)や劣化度合いが変わるため、選択可能な吸引条件(本実施形態においてはクリーニングモード)が動作履歴の一つであるヘッド温度Tに応じて定められていることで、より適切な吸引条件を選択することができる。これにより、接着剤29や充填材51の剥離等の不具合を抑制しつつ、より効率よく吸引動作を行うことが可能となる。次に、制御回路12は、今回選択したクリーニングモードに関して、区分けルールに基づいて実行回数を積算し、積算値(積算回数)を記憶部13に記憶させる(ステップS2)。
図14は、第2の実施形態におけるクリーニングモードの積算回数についての区分けルールを示す表である。同図に示されるように、クリーニング動作の実行回数は、当該クリーニング動作が行われた温度帯域及び選択されたクリーニングモードに応じて区分されてそれぞれ積算される。即ち、例えば、温度帯域がT0≦T<T1あるときに第1クリーニングモードCL1が選択されてクリーニング動作が実行された場合、対応する積算回数Σn11を更新して記憶部13に記憶させる。即ち、記憶部13は、温度帯域において実行されたクリーニング動作の実行回数の積算値を温度帯域及び選択されたクリーニングモードに対応付けて記憶する。なお、本実施形態においては、T2≦T<T3の温度帯域において第4クリーニングモードCL4の選択が制限され、また、T3≦T<T4の温度帯域では、第3クリーニングモードCL3及び第4クリーニングモードCL4の選択が制限されるので、Σn34=Σn43=Σn44=0となる。
図15は、第2の実施形態における温度帯域及びクリーニングモードに応じて区分けされた積算回数に対応する重み付け係数を示す表である。ヘッド温度T及びクリーニングモードに応じて区分された積算回数には、それぞれ重み付け係数が設けられている。即ち、ヘッド温度Tや吸引条件(クリーニングモード)によって接着剤29や充填材51の劣化度合いやこれらに作用する負荷が異なるため、上記のように区分けされた積算回数にそれぞれ重み付けがされる。具体的には、ヘッド温度Tが低いほど、また、クリーニング動作における吸引強度が低いクリーニングモードほど、重み付け係数WTはより小さい値に設定され、ヘッド温度Tが高いほど、また、クリーニング動作における吸引強度が強いクリーニングモードほど、重み付け係数WTはより大きい値に設定される。即ち、図15の例では、温度帯域がT0≦T<T1であってクリーニングモードが第1クリーニングモードCL1に対応する重み付け係数WT11が最も小さい値であり、温度帯域がT3≦T<T4であってクリーニングモードが第4クリーニングモードCL4に対応する重み付け係数WT44が最も大きい値となっている。
制御回路12は、温度帯域及びクリーニングモードに応じて区分けされた積算値に対応する重み付け係数を読み出し(ステップS3)、続いて、今回のクリーニングモードの実行回数の積算値とそれぞれ対応する重み付け係数WTとに基づき、全温度帯域の換算積算回数N(CLx)を算出する(ステップS4)。具体的には、所定のクリーニングモードCLxについて、N(CLx)=WT1x×Σn1x+WT2x×Σn2x+WT3x×Σn3x+WT4x×Σn4xを算出する。即ち、第1クリーニングモードCL1が選択された場合、換算積算回数N(CLx)=WT11×Σn11+WT21×Σn21+WT31×Σn31+WT41×Σn41を算出する。本実施形態においても、必ずしもクリーニングモード毎の換算積算回数でなくてもよく、各クリーニングモードの換算積算回数を一つの代表値に統一した統一換算積算回数N(CLu)を算出して利用してもよい。
図16は、第2の実施形態における各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)について予め設定された閾値を示す表である。同図に示されるように、本実施形態においても、各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)についてそれぞれ複数の閾値、即ち、上記第1の実施形態と同様に、第1閾値Nth1(CLx)、第2閾値Nth2(CLx)、及び第3閾値Nth3(CLx)がそれぞれ設定されている。
制御回路12は、今回選択されたクリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)以上となったか否かを判定し(ステップS6)、換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)に満たない(No)と判定した場合には、ステップS1に戻り、当該クリーニングモードの設定のままで以降の処理が行われる。一方、ステップ6において換算積算回数N(CLx)が第1閾値Nth1(CLx)以上となった(Yes)と判定した場合、続いて制御回路12は、今回選択されたクリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)以上となったか否かを判定する(ステップS7)。換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)以上となった(Yes)と判定した場合、続いて、制御回路12は、使用者に対し、これ以上のクリーニング動作を行うと記録ヘッド2に不具合(故障)が生じる虞がある旨の警告(アラート)を行い(ステップS10)、クリーニング動作を終了(強制終了)する。
ステップS7において、換算積算回数N(CLx)が第2閾値Nth2(CLx)には満たない(No)と判定した場合、続いて、制御回路12は、今回のクリーニング動作により、記録ヘッド2の各ノズル30の吐出能力が回復したか否かを判定する(ステップS8)。具体的には、制御回路12は、ノズル異常検知部16により各ノズル30について正常にインクの吐出が行われているか否かの検査を行い、各ノズル30から正常にインクが吐出されている、即ち、各ノズル30の吐出能力が回復した(Yes)と判定した場合、クリーニング動作を正常終了する。一方、ノズル異常検知部16による検査の結果、インクが正常に吐出されていないノズル30がある、即ち、各ノズル30の吐出能力が回復していない(No)と判定した場合、制御回路12は、換算積算回数N(CLx)が第3閾値Nth3(CLx)以上となったか否かを判定する(ステップS9)。換算積算回数N(CLx)が第3閾値Nth3(CLx)に満たない(No)と判定した場合には、ステップS1に戻り、以降の処理が行われる。この際、制御回路12は、換算積算回数N(CLx)に対応するクリーニングモードよりも吸引強度が低い他のクリーニングモードを選択する。一方、ステップS9において、換算積算回数N(CLx)が第3閾値Nth3(CLx)以上となった(Yes)と判定した場合、続いて、制御回路12は、これ以上のクリーニング動作を行っても効果が得られない、即ち、記録ヘッド2の各ノズル30の吐出能力が回復しない旨の警告(アラート)を行い(ステップS10)、クリーニング動作を終了する。
以上のように、本実施形態においても、記録ヘッド2の動作履歴の一つであるヘッド温度Tに応じて、クリーニングモードが選択されるので、記録ヘッド2の構成部材同士を接合している接着剤29や充填材51の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、記録ヘッド2の寿命を延ばすことが可能となる。
図17は、第2の実施形態における各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)に対応する重み付け係数を示す表である。本実施形態においても、図17に示されるように、各クリーニングモードについて算出された換算積算回数N(CLx)にそれぞれ対応する重み付け係数WTを乗じて、全温度帯域及び全クリーニングモードのトータルの換算積算回数Nt(CL)を算出して、算出したトータルの換算積算回数Nt(CL)と閾値とを比較する構成を採用することも可能である。より具体的には、トータルの換算積算回数Nt(CL)=WTt1×N(CL1)+WTt2×N(CL2)+WTt3×N(CL3)+WTt4×N(CL4)を算出する。そして、このトータルの換算積算回数Nt(CL)と、これについての閾値、即ち、許容積算回数Ntth(CL)との比較結果に基づいて、選択されたクリーニングモードでのクリーニング動作の制限やアラート等の処理を判定しても良い。
図18は、第3の実施形態における使用期間Yとヘッド温度Tとに応じてクリーニング動作を制限するための制限モードについて説明する表である。ここでいう記録ヘッド2の使用期間Yとは、ある温度に換算した値を指す。例えば、「40℃で1年」が「25℃で5年」に相当する場合、25℃に換算した値である5年を用いる。使用期間を特定の温度での使用期間に換算する場合、例えば、以下のアレニウスの式に基づく式(x)
Y(T)=A*Exp(−B/T) …(x)
にしたがって換算する、もしくは記憶部13に別途ルックアップテーブルとして換算係数Kが格納された換算係数表にしたがって換算すればよい。例えば、25℃でY(25℃)、30℃でY(30℃)、40℃でY(40℃)のように使用された場合、25℃への換算係数K(30→25℃)、K(40→25℃)を用いて、Y=Y(25℃)+K(30→25℃)Y(30℃)+K(40→25℃)Y(40℃)のように計算される。
Y(T)=A*Exp(−B/T) …(x)
にしたがって換算する、もしくは記憶部13に別途ルックアップテーブルとして換算係数Kが格納された換算係数表にしたがって換算すればよい。例えば、25℃でY(25℃)、30℃でY(30℃)、40℃でY(40℃)のように使用された場合、25℃への換算係数K(30→25℃)、K(40→25℃)を用いて、Y=Y(25℃)+K(30→25℃)Y(30℃)+K(40→25℃)Y(40℃)のように計算される。
本実施形態では、図18に示されるように、使用期間Yとヘッド温度Tとに応じて、クリーニング動作の実行回数について制限するための制限モードが割り当てられるように構成されている。即ち、図18の例では、使用期間Yが合計6つの区分期間(Y0≦Y<Y1、Y1≦Y<Y2、Y2≦Y<Y3、Y3≦Y<Y4、Y4≦Y<Y5、Y5≦Y<Y6)に区分されており、ヘッド温度Tが合計6つの温度帯域(T0≦T<T1、T1≦T<T2、T2≦T<T3、T3≦T<T4、T4≦T<T5、T5≦T<T6)に区分されている。そして、これらの区分期間と温度帯域との組み合わせにそれぞれY1T1〜Y6T6までの制限モードが割り当てられている。これらの制限モードは、ルックアップテーブルとして記憶部13に記憶されている。
図19は、上記の制限モード(CL条件)と、各クリーニングモードの許容実行回数の閾値Nth(CLx)及び積算許容実行回数の閾値Ntth(CLx)とが対応付けられた表である。図19に示されるように、クリーニング動作の実行回数について許容回数(連続して実行することが可能な回数)、即ち、閾値Nth(CLx)が各クリーニングモードの制限モードに応じて定められている。また、クリーニング動作の実行回数の全使用期間を通じた積算値(積算回数)についても積算許容回数、即ち、閾値Ntth(CLx)が各クリーニングモードの制限モードに応じて定められている。例えば、第1クリーニングモードCL1に関して制限モードがY1T1の場合、許容実行回数の閾値Nth1(CL1)及び積算許容実行回数の閾値Ntth1(CL1)がそれぞれ定められている。
制御回路12は、上記の図19の表(ルックアップテーブル)で示される制限ルール(制限モード)に従ってクリーニングモードの中からより最適なクリーニングモードを選択し、クリーニング動作を実行する。本実施形態においても、記録ヘッド2の動作履歴に応じたクリーニングモードが選択される(所定のクリーニングモードの選択が制限された上で他のクリーニングモードが選択される)ので、接着剤29や充填材51の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、記録ヘッド2の寿命を延ばすことが可能となる。
さらに、上記ではクリーニング動作に本発明を適用した構成を例示したが、これには限られず、本発明は上記の初期充填動作にも適用することができる。すなわち、記録ヘッド2の動作履歴に応じて、初期充填動作で設定される吸引強度が異なる複数の吸引条件から上記各実施形態で例示したような制限ルールに従ってより最適な吸引条件を選択し、クリーニング動作を実行することにより、記録ヘッド2の構成部材同士を接合している接着剤29や充填材51の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、記録ヘッド2の寿命を延ばすことが可能となる。
図20は、記録ヘッド2の変形例の構成について説明する模式図である。上記第1の実施形態における記録ヘッド2は、ノズルプレート24を囲むように固定板22が設けられ、記録動作においてノズルプレート24及び固定板22の媒体と対向する面がノズル面23として機能する構成であり、キャッピング機構6によるキャッピング時には、キャップ8の頂部が固定板22に当接する構成を例示したが、これには限られず、固定板22を有しない構成にも本発明を適用することができる。図21に示される変形例では、固定板22を備えておらず、ノズルプレート24がヘッドケース21に接着剤69で接着されている構成である。このため、キャッピング機構6によるキャッピング時には、キャップ8の頂部がノズルプレート24に当接することでノズル面23が封止される。当該構成においても吸引動作が行われることにより、接着剤69の剥離等の不具合が生じる虞があるところ、記録ヘッド2の動作履歴に応じてクリーニングモードが選択されることにより、接着剤69の剥離等の不具合を吸引動作によって引き起こすことが抑制される。これにより、当該構成においても、記録ヘッド2の寿命を延ばすことが可能となる。なお、他の構成については上記第1の実施形態と同様である。
図21は、大気開放弁62の変形例について説明する模式図である。上記各実施形態においては、圧力計63により検知される封止空部56の内部の圧力が予め設定された圧力閾値に到達した際に制御回路12の制御により大気開放弁62が開かれる構成を例示したが、これには限られない。本変形例の大気開放弁62は、制御回路12により開閉が制御される電磁弁からなる主弁72と、逆止弁からなる副弁73と、を有している。副弁73は、主弁72よりもキャップ8側の位置で大気開放チューブ61から分岐して、主弁72より大気側の位置で大気開放チューブ61と合流する分岐流路71の途中に設けられている。すなわち、副弁73は、主弁72と並列に設けられている。この副弁73は、開弁時においては、封止空部56の内部から外部へのインクの流出を阻止する一方、封止空部56の外部から内部への大気(空気)の流入を許容する。そして、副弁73は、封止空部56の内部の圧力と大気圧との差が、上述した圧力閾値に到達した際に自発的に開いて分岐流路71を通じて封止空部56を大気開放するように構成されている。この構成によれば、万が一、主弁72の動作が不能となった場合においても、吸引動作の際に圧力閾値に到達したときに副弁73が自発的に開くので、流路がチョークされた状態で吸引動作が行われるような事態が発生したとしても記録ヘッド2のノズル面23に過度な負圧が作用することが抑制される。また、当該構成によれば、封止空部56の内部の圧力を検知する圧力計63が不要となる。なお、他の構成については上記第1の実施形態と同様である。
以上では、プリンター1の記録ヘッド2のノズル面23を封止部材により封止して吸引動作を行う構成に本発明を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドのノズル面を封止部材により封止して吸引動作を行う構成のものであれば、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材吐出ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物吐出ヘッド等のノズル面にも適用することができる。
1…プリンター,2…記録ヘッド,3…キャリッジ,4…ガイドロッド,5…プラテン,6…キャッピング機構,7…ワイピング機構,8…キャップ,9…ワイパー,10…ポンプユニット,11…プリンターコントローラー,12…制御回路,13…記憶部,14…駆動信号発生回路,15…ヘッドコントローラー,16…ノズル異常検知部,17…搬送機構,18…キャリッジ移動機構,19…リニアエンコーダー,20…ヘッドユニット,21…ヘッドケース,22…固定板,23…ノズル面,24…ノズルプレート,25…連通基板,26…アクチュエーターユニット,27…コンプライアンス基板,28…ケース,29…接着剤,30…ノズル,31…圧力室形成基板,32…圧電素子,33…圧力室,34…封止板,35…温度センサー,36…駆動回路,37…配線基板,38…配線空部,39…ノズル連通口,40…供給口,41…振動板,42…収容空間,43…共通液室,47…可撓フィルム,48…支持板,50…コンプライアンス空間,51…充填材,52…収容空部,53…挿通空部,54…供給液室,55…導入口,56…封止空部,57…キャップホルダー,58…吸液材,60…廃液チューブ,61…大気開放チューブ,62…大気開放弁,63…圧力計,65…ワイパーホルダー,66…インク供給経路,67…チョーク弁,69…接着剤,71…分岐流路,72…主弁,73…副弁
Claims (11)
- 液体吐出ヘッドのノズルから液体の吸引動作を行う吸引機構と、
前記液体吐出ヘッドの動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から選択した前記吸引条件で前記吸引動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記制御部が選択可能な前記吸引条件は、前記液体吐出ヘッドの使用期間に応じて定められていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部が選択可能な前記吸引条件は、前記吸引条件毎の前記吸引動作の実行回数の積算値に応じて定められていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記使用期間について複数に区分された区分期間において実行された前記吸引動作の実行回数の積算値を前記吸引条件及び前記区分期間に対応付けて記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記吸引条件及び前記区分期間に応じて定められた重み付け係数を前記積算値に乗じて算出される換算積算回数に応じて前記吸引条件を選択するように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記制御部は、前記換算積算回数と、当該換算積算回数についての閾値との比較結果に応じて前記吸引条件を選択するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部は、前記換算積算回数が前記閾値以上となった場合、前記液体吐出ヘッドに故障が生じる虞がある旨の警告を行うように構成されたことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部は、前記換算積算回数が前記閾値以上となった場合、当該換算積算回数に対応する前記吸引条件を選択しないように構成されたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部は、前記換算積算回数が前記閾値以上となった場合、当該換算積算回数に対応する前記吸引条件よりも吸引強度が低い他の吸引条件を選択するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
- 前記液体吐出ヘッドの温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、複数の前記吸引条件の中から前記温度検出部による検出温度に応じて選択した前記吸引条件を選択するように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記吸引機構は、前記ノズルを有するノズル面を覆うキャップ部材および前記液体吐出ヘッドで形成される空間と当該空間の外部とを連通させる流路と、前記流路を開閉する弁を備え、
前記弁は、前記吸引動作における前記空間内の圧力が所定の圧力となった際に、前記空間と前記空間の外部とを連通させるように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の液体吐出装置。 - 液体吐出ヘッドのノズルから液体の吸引動作を行う吸引機構と、前記吸引動作を制御する制御部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記液体吐出ヘッドの動作履歴に基づいて、複数の吸引条件の中から前記吸引条件を選択することを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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WO2020225975A1 (ja) | 2019-05-09 | 2020-11-12 | 村田機械株式会社 | 複合加工機 |
-
2017
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