JP2021037632A - 液体噴射装置および液体噴射装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルの異常を効率的に解消する。【解決手段】液体を噴射する複数のノズルを具備し、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。【選択図】図5
Description
本発明は、インク等の液体を噴射する技術に関する。
印刷用紙等の媒体にインク等の液体を噴射する液体噴射装置においては、ノズルの内部に気泡または塵芥等の異物が進入することがある。異物がノズル内に進入すると、噴射特性に誤差が生じるという問題がある。そこで、特許文献1には、例えばノズルから強制的にインクを排出させる液体噴射装置が開示されている。ノズルをキャップにより封止した状態で、当該キャップの内部空間の圧力をポンプにより低下させることで、インクを排出させる。特許文献1の技術を利用して、内部に異物が進入したノズルから強制的にインクを排出させることが可能である。
しかし、特許文献1の技術では、インクを排出させるための圧力が正常なノズル内のインクにまで作用する。その結果、異物が存在するノズル内のインクに圧力が十分に作用せず、当該ノズルからインクが排出されない場合がある。
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルを具備し、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。
他の好適な態様に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルと、前記複数のノズルにそれぞれ対応する複数の発熱素子と、を具備し、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記複数のノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記複数の発熱素子のうち前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルにそれぞれ対応する1以上の発熱素子を駆動することで当該1以上の第1ノズルから液体を噴射させ、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。
本発明の好適な態様に係る液体噴射装置の制御方法は、液体を噴射する複数のノズルを具備する液体噴射装置の制御方法であって、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。
A.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置100の構成を例示する構成図である。第1実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置100の構成を例示する構成図である。第1実施形態の液体噴射装置100は、液体の例示であるインクを媒体12に噴射するインクジェット方式の印刷装置である。媒体12は、典型的には印刷用紙であるが、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象が媒体12として利用される。図1に例示される通り、液体噴射装置100には、インクを貯留する液体容器14が設置される。例えば液体噴射装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、またはインクを補充可能なインクタンクが液体容器14として利用される。
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、制御ユニット20と搬送機構22と移動機構24とヘッドユニット26とを具備する。制御ユニット20は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体噴射装置100の各要素を統括的に制御する。搬送機構22は、制御ユニット20による制御のもとで媒体12をY軸に沿って搬送する。
移動機構24は、制御ユニット20による制御のもとでヘッドユニット26をX軸に沿って往復させる。X軸はY軸に交差する。典型的には、X軸とY軸とは直交する。第1実施形態の移動機構24は、ヘッドユニット26を収容する略箱型の搬送体242と、搬送体242が固定された搬送ベルト244とを具備する。なお、ヘッドユニット26を搬送体242に搭載した構成、または、液体容器14をヘッドユニット26とともに搬送体242に搭載した構成も採用され得る。
ヘッドユニット26は、インクをノズルNから噴射する構造体である。具体的には、ヘッドユニット26は、X軸の方向に沿って配列する複数の液体噴射ヘッド261を具備する。各液体噴射ヘッド261は、液体容器14から供給されるインクを制御ユニット20による制御のもとで複数のノズルNから媒体12に噴射する。搬送機構22による媒体12の搬送と搬送体242の反復的な往復とに並行して各液体噴射ヘッド261が媒体12にインクを噴射することで、媒体12の表面に所望の画像が形成される。
図2は、液体噴射ヘッド261の分解斜視図であり、図3は、図2におけるIII-III線の断面図である。図2に例示される通り、X-Y平面に垂直な軸を以下ではZ軸と表記する。液体噴射ヘッド261はZ軸の方向にインクを噴射する。X-Y平面は、例えば媒体12の表面に平行な平面である。
図2および図3に例示される通り、液体噴射ヘッド261は、第1流路基板32と第2流路基板34と振動板36と複数の駆動素子Eとノズル板46とコンプライアンス部48とを具備する。第1流路基板32は、Y軸に沿って長尺な略矩形状の板状部材である。第1流路基板32のうちZ軸の負方向の面上に、第2流路基板34と振動板36と複数の駆動素子Eと筐体部42とが設置される。他方、第1流路基板32のうちZ軸の正方向の面上に、ノズル板46とコンプライアンス部48とが設置される。液体噴射ヘッド261の各要素は、概略的には第1流路基板32と同様にY軸に沿った長尺な板状部材であり、例えば接着剤を利用して相互に接合される。
図2に例示される通り、ノズル板46は、Y軸の方向に配列する複数のノズルNが形成された板状部材である。Y軸の方向は「所定方向」の例示である。各ノズルNは、インクが通過する貫通孔である。なお、第1流路基板32と第2流路基板34とノズル板46とは、例えばシリコン(Si)の単結晶基板をエッチング等の半導体製造技術により加工することで形成される。ただし、液体噴射ヘッド261の各要素の材料や製法は任意である。
第1流路基板32は、インクの流路を形成するための板状部材である。図2および図3に例示される通り、第1流路基板32には、開口部322と供給流路324と連通流路326とが形成される。開口部322は、複数のノズルNにわたり連続するようにZ軸の方向からの平面視でY軸に沿う長尺状に形成された貫通孔である。他方、供給流路324および連通流路326は、ノズルN毎に個別に形成された貫通孔であり、ノズルNと加圧流路341とを連通する。また、図3に例示される通り、第1流路基板32のうちZ軸の正方向の表面には、複数の供給流路324にわたる中継流路328が形成される。中継流路328は、開口部322と複数の供給流路324とを連通させる流路である。
筐体部42は、例えば樹脂材料の射出成形で製造された構造体であり、第1流路基板32のうちZ軸の負方向の表面に固定される。図3に例示される通り、筐体部42には収容部422と導入口424とが形成される。収容部422は、第1流路基板32の開口部322に対応した外形の凹部であり、導入口424は、収容部422に連通する貫通孔である。図3から理解される通り、第1流路基板32の開口部322と筐体部42の収容部422とを相互に連通させた空間が共通液室Rとして機能する。液体容器14から供給されて導入口424を通過したインクが共通液室Rに貯留される。
コンプライアンス部48は、共通液室R内のインクの圧力変動を抑制するための要素であり、可撓性部材481と支持板482とを具備する。可撓性部材481は、フィルム状に形成された可撓性の部材であり、共通液室Rの壁面の一部を構成する。具体的には、可撓性部材481は、共通液室Rの底面を構成する。第1流路基板32の開口部322と中継流路328と複数の供給流路324とを閉塞することで共通液室Rの底面を構成するように、第1流路基板32のうちZ軸の正方向の表面に可撓性部材481が設置される。支持板482は、ステンレス鋼等の高剛性の材料で形成された平板であり、可撓性部材481を支持する。支持板482のうち可撓性部材481を挟んで共通液室Rに重なる領域には開口部483が形成される。支持板482の開口部483の内側の空間SDにおいて可撓性部材481が共通液室R内のインクの圧力に応じて変形することで共通液室R内の圧力変動が抑制される。すなわち、空間SDは、共通液室R内の圧力変動が吸収されるように可撓性部材481を変形させるための空間として機能する。なお、支持板482の開口部483の内側の空間SDはダンパー室に相当する。
図2および図3に例示される通り、第2流路基板34は、相異なるノズルNに対応する複数の加圧流路341が形成された板状部材である。複数の加圧流路341は、Y軸に沿って配列する。各加圧流路341は、平面視でX軸に沿う長尺状の開口である。X軸の正方向における加圧流路341の端部は平面視で第1流路基板32の1個の供給流路324に重なり、X軸の負方向における加圧流路341の端部は平面視で第1流路基板32の1個の連通流路326に重なる。
第2流路基板34のうち第1流路基板32とは反対側の表面には振動板36が設置される。振動板36は、弾性的に変形可能な板状部材である。図2に例示される通り、振動板36は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)で形成された第1層361と酸化ジルコニウム(ZrO2)で形成された第2層362との積層で構成される。なお、板状部材において加圧流路341に対応する領域を部分的に除去することで、第2流路基板34と振動板36の第1層361とを一体に形成してもよい。
図3から理解される通り、第1流路基板32と振動板36とは、各加圧流路341の内側で相互に間隔をあけて対向する。加圧流路341は、第1流路基板32と振動板36との間に位置し、当該加圧流路341内に充填されたインクに圧力を付与するための空間である。共通液室Rに貯留されたインクは、中継流路328から各供給流路324に分岐して複数の加圧流路341に並列に供給および充填される。加圧流路341は、第1流路基板32を介してノズルNと連通する。加圧流路341の上面を振動板36が構成する。加圧流路341と連通流路326とは、ノズルNに連通する圧力室Cに相当する。複数の圧力室Cは、Y軸の方向に沿って配列する。
図2および図3に例示される通り、振動板36のうち加圧流路341とは反対側の表面には、相異なるノズルNに対応する複数の駆動素子Eが設置される。各駆動素子Eは、圧力室C内のインクの圧力を変動させる。例えば、制御ユニット20から供給される駆動信号COMにより変形する圧電素子が駆動素子Eとして利用される。Z軸の方向からの平面視でX軸に沿う長尺状に駆動素子Eが形成される。複数の駆動素子Eは、複数の加圧流路341に対応するようにY軸に沿って配列する。駆動素子Eの変形に連動して振動板36が振動すると、圧力室C内の圧力が変動する。
図4はヘッドユニット26の断面図であり、図5はヘッドユニット26の平面図である。図1におけるIV-IV線の断面図が図4に相当する。図4および図5に例示される通り、ヘッドユニット26は複数の液体噴射ヘッド261を固定するための固定板28を具備する。固定板28は、平板状の部材であり、例えばステンレス鋼等の高剛性の金属により形成される。液体噴射ヘッド261におけるノズルN側の表面が固定板28に固定される。例えばコンプライアンス部48が接着剤を利用して固定板28に接合される。図3に例示される通り、支持板482が固定板28に接合される。固定板28はダンパー室に相当する空間SDの底面を構成するとも換言できる。固定板28には、ノズル板46の外形に対応するように開口部Oが形成される。したがって、複数のノズルNの各々は開口部Oから露出する。
図5に例示される通り、ヘッドユニット26における複数のノズルNは、複数のノズル列Lを構成する。各ノズル列Lは、Y軸の方向に配列される2以上のノズルNの集合である。第1実施形態では、液体噴射ヘッド261における2以上のノズルNが1個のノズル列Lを構成するとも換言される。なお、液体噴射ヘッド261が2以上のノズル列Lを含んでもよい。
第1実施形態の液体噴射装置100は、印刷動作と保守動作とを実行する。印刷動作は、媒体12に対してインクを噴射することで画像を印刷する動作であり、保守動作は、異常があるノズルNを正常な状態にするための動作である。第1実施形態において、ノズルNの異常とは、ノズルN内に気泡または塵芥等の異物が存在することである。以下の説明では、異常があるノズルNを「異常ノズルNa」と表記し、異常がない正常なノズルNを「正常ノズルNb」と表記する。図5には、異常ノズルNaが黒塗りで図示され、正常ノズルNbが白塗りで図示されている。具体的には、保守動作は、異常ノズルNaから異物を除去するための動作である。
図1に例示される通り、液体噴射装置100は、クリーニング機構29を具備する。具体的には、クリーニング機構29は、複数のノズルN内のインクを強制的に排出させるクリーニング動作を実行する。したがって、ノズルN内に異物が存在する場合には、クリーニング動作により当該異物が排出される。クリーニング動作では、インクを排出させる圧力がノズルNに作用する。以下の説明では、クリーニング動作よりノズルNからインクを排出させる圧力を「排出圧力」と表記する。例えば搬送体242の待機位置にクリーニング機構29が配置される。搬送体242が待機位置にあるときにクリーニング動作が実行される。待機位置は、ヘッドユニット26における複数のノズルNが媒体12に対向しない位置であり、例えば搬送体242が往復する範囲の端点である。
図4に例示される通り、クリーニング機構29は、例えばキャップ291と吸引ポンプ293とを具備する。キャップ291は、液体噴射ヘッド261の複数のノズルNを封止するための中空の部材である。キャップ291におけるZ軸の負方向には開口が形成される。クリーニング動作では、キャップ291のZ軸の負方向における端面が固定板28と当接する。すなわち、キャップ291の開口を塞ぐように固定板28が当該キャップ291に当接する。したがって、キャップ291の内部空間Hが固定板28により密閉される。図5には、固定板28においてキャップ291が接触する領域Mが網掛けで図示されている。図5に例示される通り、各液体噴射ヘッド261のノズル列Lがキャップ291の開口の内側に位置する状態で、キャップ291が固定板28に当接する。キャップ291は、内部空間Hと吸引ポンプ293とを連結する接続口911を具備する。
吸引ポンプ293は、キャップ291が固定板28に当接した状態で、接続口911を介して内部空間Hを吸引する。内部空間Hが吸引されると、当該内部空間Hの圧力が低下する。したがって、ノズルN内のインクが強制的に排出される。以上の説明から理解される通り、第1実施形態のクリーニング動作は、複数のノズルNをキャップ291により封止した状態で、当該内部空間Hの圧力を低下させる吸引動作である。クリーニング動作によりインクを排出させる強度は可変である。以下の説明では、クリーニング動作によりインクを排出させる強度を「排出強度」という。制御部300による制御のもとで排出強度が変更される。
排出圧力が高いほど、排出強度が高いという関係がある。具体的には、排出強度は、例えばヘッドユニット26の複数のノズルNから正常にインクが排出される状態において、クリーニング動作を実行した場合に当該複数のノズルNから排出されるインクの総量である排出総量に応じて規定される。具体的には、排出総量が多いほど排出強度が強い。クリーニング動作として吸引動作を実行する第1実施形態の構成では、吸引ポンプ293の回転数が多いほど、または、吸引ポンプ293の稼働時間が長いほど、排出総量が多い。すなわち、第1実施形態の排出強度は、吸引ポンプ293の回転数または吸引ポンプ293の稼働時間に応じて規定されるとも換言できる。
図6は、液体噴射装置100の機能的な構成を例示するブロック図である。図6に例示される通り、液体噴射装置100は制御部300を具備する。第1実施形態の制御部300は、上述の制御ユニット20と駆動回路50と検出回路70とを含む。駆動回路50と検出回路70とは、制御ユニット20に電気的に接続され、例えば振動板36の表面に設置された配線基板に実装される。配線基板は、例えばCOF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)およびFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の基板である。
制御ユニット20は、駆動素子Eを駆動するための駆動信号COMを生成し、当該駆動信号COMを駆動回路50に供給する。駆動回路50は、駆動信号COMを各駆動素子Eに供給する。具体的には、駆動回路50は、相異なる駆動素子Eに対応する複数のスイッチSWと、各スイッチSWの状態を制御する回路とを具備する。なお、各スイッチSWの状態を制御する回路については図示を省略する。各駆動素子Eに対応するスイッチSWがオンすることで駆動信号COMの特定の区間が当該駆動素子Eに供給される。
第1実施形態の駆動信号COMには、噴射波形W1と微振動波形W2と検査波形W3とが含まれる。駆動回路50が各スイッチSWを制御することで、制御部300は、噴射波形W1および微振動波形W2の何れかを任意の駆動素子Eに対して選択的に供給することが可能である。印刷動作においては、制御部300から噴射波形W1または微振動波形W2が各駆動素子Eに供給される。具体的には、インクを噴射するノズルNに対応する駆動素子Eに噴射波形W1が供給され、インクを噴射しないノズルNに対応する駆動素子Eに微振動波形W2が供給される。他方、保守動作では、制御部300から微振動波形W2および検査波形W3が各駆動素子Eに供給される。
図7は噴射波形W1の波形図であり、図8は微振動波形W2の波形図であり、図9は検査波形W3の波形図である。噴射波形W1は、圧力室C内のインクをノズルNから噴射させるための波形である。図7に例示される通り、噴射波形W1は、電圧VCに対して低電位側と高電位側とに変動する電圧信号である。噴射波形W1が駆動回路50から駆動素子Eに供給されると、加圧流路341に充填されたインクが連通流路326とノズルNとを通過して噴射される。
微振動波形W2は、ノズルNからインクを噴射させずに、当該ノズルNに対応する圧力室C内のインクに微振動を発生させる波形である。図8に例示される通り、微振動波形W2は、例えば電圧VCに対して高電位側で変動する電圧信号である。例えば台形状の微振動波形W2が利用される。微振動波形W2が駆動回路50を介して駆動素子Eに供給されると、当該駆動素子Eに対するノズルN内のインクに微振動が発生する。微振動波形W2は、ノズルN内のインクのメニスカスを振動させる波形とも換言される。
印刷動作においては、駆動素子Eに対する微振動波形W2の供給が短時間に限定されるから、微振動波形W2の供給によりノズルN内のメニスカス近傍におけるインクの増粘は解消される。それに対して、保守動作においては、微振動波形W2が長時間にわたり駆動素子Eに反復的に供給される。ここで、ノズルN内のメニスカスは大気に接触するから、ノズルN内のメニスカス近傍のインクは水分の蒸発により増粘する。したがって、保守動作のように長時間にわたり微振動波形W2を供給すると、ノズルNのメニスカス近傍で水分の蒸発により増粘したインクが、微振動によりノズルN内のインクと混ざり合うように攪拌される。その結果、ノズルN内のインクの増粘が徐々に進行する。そして、ノズルN内のインクの増粘が進行すると、例えばインクが固化する。以上の説明から理解される通り、微振動波形W2は、ノズルN内のインクを増粘させるために利用される。なお、微振動波形W2の形状は、図8の例示に限定されない。例えば、電圧VCに対して低電位側で変動する微振動波形W2、または、矩形状の微振動波形W2でもよい。すなわち、微振動波形W2は、圧力室C内のインクがノズルNから噴射されない程度にノズルN内のインクを攪拌させる波形であれば、図8に例示された波形に限定されることなく任意に変更され得る。
検査波形W3は、圧力室C内のインクの圧力を変動させる波形である。図9に例示される通り、検査波形W3は、例えば、電圧VCに対して低電位側と高電位側とに変動する電圧信号である。検査波形W3の振幅は、噴射波形W1の振幅よりも小さい。検査波形W3が駆動回路50を介して駆動素子Eに供給されると、当該駆動素子Eに対応する圧力室C内のインクの圧力が変動する。検査波形W3の供給による圧力室C内の圧力変動は、噴射波形W1の供給による圧力室C内の圧力変動よりも小さい。したがって、検査波形W3が駆動素子Eに供給されると、ノズルNからインクが噴射することなく、圧力室C内のインクの圧力が変動する。なお、検査波形W3は、図9の例示に限定されない。すなわち、第1実施形態の検査波形W3は、圧力室C内の圧力を変動させる波形であれば任意である。ただし、増粘したインクがノズルNから噴射されることを防止する観点から、検査波形W3を供給したときの圧力室C内の圧力変動が、噴射波形W1を供給したときの圧力室C内の圧力変動よりも小さい構成が好適である。
以下の説明では、駆動素子Eに対する駆動信号COMの供給後に、当該駆動素子Eに対応する圧力室C内のインクに残留する圧力の変動を残留振動と表記する。図6の検出回路70は、駆動素子Eに対する検査波形W3を供給したときの圧力室C内の残留振動Uを検出する。なお、検出回路70は、検査波形W3とは異なる波形を駆動素子Eに供給したときの圧力室C内の残留振動を検出してもよい。例えば、噴射波形W1を駆動素子Eに供給したときの残留振動を検出回路70が検出してもよい。制御ユニット20は、検出回路70が検出した残留振動Uを利用してノズルNの状態を判断する。具体的には、ノズルNの異常の有無、および、ノズルN内のインクの増粘の度合いが残留振動Uに応じて判断される。
図10は、保守動作のフローチャートである。第1実施形態の保守動作は、正常ノズルNb内のインクを増粘させた状態でクリーニング動作を実行することで、異常ノズルNaから異物を除去する動作である。例えば、前回のクリーニング動作を実行してから所定回数の印刷動作を実行した場合、前回のクリーニング動作を実行してから所定の期間が経過した場合、印刷動作を最後に実行してから所定の期間が経過した場合、液体噴射装置100の本体電源をオンにした場合、利用者から指示を受け付けた場合、カートリッジを交換した場合、または、インクタンクにインクを注入した場合などに実行される。保守動作を開始すると、検出回路70は、複数の圧力室Cの各々について残留振動Uを検出する(SA1)。具体的には、駆動素子Eに検査波形W3が供給されたときの圧力室C内の残留振動Uが検出される。なお、検出回路70は、噴射波形W1を駆動素子Eに供給したときの圧力室C内の残留振動Uを検出してもよい。
制御ユニット20は、複数のノズルNの各々について異常の有無を判断する(SA2)。具体的には、ステップSA1において検出された残留振動Uに応じて、ノズルNの異常の有無が判断される。例えば、ノズルNに気泡が存在する場合に、当該ノズルNに対応する圧力室Cの残留振動Uを表す電圧の周期は、気泡がない場合に検出される残留振動Uを表す電圧の周期よりも短いという傾向がある。以上の傾向を踏まえて、ノズルNにおける異物の有無が判断される。具体的には、制御ユニット20は、残留振動Uを表す電圧の周期が第1閾値を下回る場合にはノズルNに異常があると判断し、当該周期が第1閾値を上回る場合には異常がないと判断する。第1閾値は、例えば異物がない場合に想定される残留振動Uを表す電圧の周期に応じて設定される。
また、ノズルNに紙粉等の塵芥がある場合に、当該ノズルNに対応する圧力室Cで検出される残留振動Uの電圧を表す振幅値は、紙粉等の塵芥の混入がない場合に検出される残留振動Uの電圧を表す振幅値よりも小さいという傾向がある。したがって、制御ユニット20は、残留振動Uの電圧を表す振幅値が第4閾値を下回る場合にはノズルNに異常があると判断し、当該振幅値が第4閾値を上回る場合には異常がないと判断してもよい。第4閾値は、例えば紙粉等の塵芥がない場合に想定される残留振動Uの振幅値に応じて設定される。ステップSA2は、複数のノズルNの各々について、当該ノズルNが異常ノズルNaおよび正常ノズルNbの何れであるかを判断する処理であるとも換言できる。なお、ステップSA2の処理は「第1判断動作」に相当する。
なお、ノズルNに異物が混入している場合だけでなく、当該ノズルNに連通する圧力室Cに異物が混入している場合にも、噴射特性の誤差等の異常が当該ノズルNに発生する。「ノズルNの異常」には、ノズルN自体の異常と、当該ノズルNに連通する圧力室Cの異常との双方が包含される。圧力室Cに異物が混入している状態でも、残留振動Uについて上述した傾向が観測される。したがって、ステップSA2では、ノズルNの異常の有無に加えて、当該ノズルNに連通する圧力室Cの異常の有無も判断されることになる。
複数のノズルNにおいて1以上の異常ノズルNaがある場合(SA2:YES)、制御ユニット20は、1以上の第1ノズルN1と、当該第1ノズルN1とは異なる1以上の第2ノズルN2とを選択する(SA3)。複数のノズルNの各々が第1ノズルN1および第2ノズルN2の何れかに選別される。第1実施形態の制御ユニット20は、異常ノズルNaと判断されたノズルNを第1ノズルN1として選択して、正常ノズルNbと判断されたノズルNを第2ノズルN2として選択する。すなわち、1以上の第1ノズルN1の各々は、ステップSA2において異常ノズルNaと判断されたノズルNであり、1以上の第2ノズルN2の各々は、ステップSA2において正常ノズルNbと判断されたノズルNである。以下の説明では、第2ノズルN2に対応する駆動素子Eを「第2駆動素子」と表記する。
次に、制御部300は、増粘動作を実行する(SA4)。増粘動作は、第2ノズルN2内のインクを増粘させる動作である。図11は、増粘動作の具体的な処理のフローチャートである。駆動回路50は、第2駆動素子に微振動波形W2を所定期間にわたり反復的に供給する(SA41)。すなわち、第2ノズルN2内のインクを増粘させる。次に、駆動回路50は、第2駆動素子に検査波形W3を供給する(SA42)。検出回路70は、検査波形W3が供給された第2駆動素子に対応する圧力室C内の残留振動Uを検出する(SA43)。すなわち、複数の第2ノズルN2の各々について、当該第2ノズルN2に対応する圧力室Cの残留振動Uが順次に検出される。
制御ユニット20は、第2ノズルN2内のインクの増粘の度合いを表す指標を、残留振動Uに応じて特定する(SA44)。以下の説明では、第2ノズルN2内のインクの増粘の度合いを表す指標を「増粘指標」と表記する。増粘の度合いが高いほど、増粘指標が大きくなる。図12は、検出回路70が検出した第2ノズルN2における残留振動Uの波形図である。図12には、第2ノズルN2内のインクの増粘が十分に進行した状態において検出される残留振動U1が実線で図示され、第2ノズルN2内のインクの増粘が十分でない状態において検出される残留振動U2が実線で図示されている。図12に例示される通り、例えば、残留振動U1を表す電圧の周期T1は、残留振動U2を表す電圧の周期T2よりも長いという傾向がある。すなわち、残留振動Uを表す電圧の周期は、第2ノズルN2内のインクの増粘の度合い応じて変化する。以上の傾向を踏まえて、第1実施形態では、残留振動Uを表す電圧の周期を増粘指標として特定する。
制御ユニット20は、全ての第2ノズルN2についてインクが十分に増粘したか否かを判断する(SA45)。ここで、インクが十分に増粘した状態とは、後述するステップSA5におけるクリーニング動作において、インクが排出されない程度にノズルN内のインクが増粘した状態である。ステップSA5におけるクリーニング動作によりノズルN内のインクが排出されない程度に増粘している状態は、当該ノズルNが「閉塞」された状態にあるとも換言できる。例えば15秒間から5分間にわたり微振動波形W2が第2駆動素子に供給されると、ノズルNが閉塞される。
具体的には、制御ユニット20は、増粘指標と第2閾値との比較により、第2ノズルN2が閉塞されたか否かを判断する。第2閾値は、例えばノズルN内のインクが閉塞された状態で検出される残留振動Uを表す電圧の周期に応じて設定される。なお、第2閾値は「所定値」の例示である。第2ノズルN2における増粘指標が第2閾値よりも小さい場合には、当該第2ノズルN2が閉塞されていないと判断され、第2ノズルN2における増粘指標が第2閾値以上である場合には、当該第2ノズルN2は閉塞されたと判断される。以上の説明から理解される通り、第1実施形態のステップSA45の処理は、第2ノズルN2が閉塞したか否かを判断する処理とも換言できる。
1以上の第2ノズルN2のなかに閉塞されていない第2ノズルN2がある場合(SA45:NO)、制御ユニット20は、当該閉塞されていない第2ノズルN2に対応する第2駆動素子に微振動波形W2を供給する(SA41)。すなわち、1以上の第2ノズルN2のうち増粘指標が第2閾値よりも小さい第2ノズルN2については、ステップSA5の実行前に、再度、内部のインクが微振動される。他方、全ての第2ノズルN2が閉塞された場合(SA45:YES)、増粘動作を終了する。以上の説明から理解される通り、各第2ノズルN2が閉塞するまで微振動波形W2が第2駆動素子に対して繰り返し供給される。第1実施形態の増粘動作では、インクを噴射させずに1以上の第2ノズルN2内のインクを微振動させることによりインクを増粘させる。
次に、クリーニング機構29は、第1クリーニング動作を実行する(SA5)。第1クリーニング動作は、各第2ノズルN2内のインクを増粘させた状態で実行されるクリーニング動作である。したがって、第1クリーニング動作では、第1ノズルN1からはインクが排出されるが、閉塞された状態にある第2ノズルN2からはインクの排出が阻害される。以上の説明から理解される通り、ステップSA4の増粘動作では、1以上の第2ノズルN2からステップSA5のクリーニング動作によりインクが排出されない程度に、各第2ノズルN2内のインクが増粘される。
ここで、第2ノズルN2内のインクを増粘させずにクリーニング動作を実行する構成である比較例を想定する。比較例では、第1ノズルN1と第2ノズルN2とでインクの増粘の度合いが同程度であるから、クリーニング動作による排出圧力が、第1ノズルN1だけでなく第2ノズルN2にも均等に作用する。したがって、第2ノズルN2内のインクも第1ノズルN1内のインクと同様に排出される。すなわち、異常ノズルNa内のインクを効率的に排出させることができない。それに対して、第1実施形態では、第2ノズルN2が閉塞した状態で第1クリーニング動作が実行されるから、排出圧力が第1ノズルN1に集中する。すなわち、第1クリーニング動作において各第1ノズルN1に作用する排出圧力は、比較例のクリーニング動作において各第1ノズルN1に作用する排出圧力よりも大きい。したがって、異常ノズルNaから効率的にインクを排出させることができる。ひいては、比較例と比較して、ノズルNの異常を効率的に解消することができる。なお、第1実施形態では、第1クリーニング動作の実行中は、各第2ノズルN2は微振動させない。
検出回路70は、ステップSA2において異常ノズルNaであると判断されたノズルNに対応する圧力室Cについて、残留振動Uを検出する(SA6)。具体的には、駆動素子Eに検査波形W3が供給されたときの圧力室C内の残留振動Uが検出される。制御ユニット20は、ステップSA2において異常ノズルNaであると判断されたノズルNの異常が解消されたか否かを判断する(SA7)。すなわち、異常ノズルNa内の異物が除去されたか否かが判断される。具体的には、制御ユニット20は、残留振動Uを表す電圧の周期が第1閾値を上回る場合には異常が解消されと判断し、当該周期が第1閾値を下回る場合には異常が解消されていないと判断する。また、制御ユニット20は、残留振動Uを表す電圧の振幅値が第4閾値を上回る場合には異常が解消されと判断し、当該振幅値が第4閾値を下回る場合には異常が解消されていないと判断してもよい。以上の説明から理解される通り、ステップSA7の処理は、第1クリーニング動作の実行後に、ステップSA2において異常ノズルNaであると判断されたノズルNについて異常の有無を判断する処理である。ステップSA7の処理は「第2判断動作」に相当する。
全ての異常ノズルNaの異常が解消された場合(SA7:YES)、クリーニング機構29は、第2クリーニング動作を実行する。第2クリーニング動作は、第1クリーニングの実行後に実行されるクリーニング動作である。第1実施形態では、異常ノズルNaの異常が第1クリーニング動作により解消された場合に第2クリーニング動作が実行される。第2クリーニングの排出強度は、第1クリーニング動作の排出強度よりも強い。したがって、第2ノズルN2から増粘したインクが排出される。すなわち、第2ノズルN2の閉塞が解消される。第2クリーニング動作は、1以上の第2ノズルN2からインクを排出させるクリーニング動作であるとも換言できる。以上の説明から理解される通り、第1実施形態の増粘動作においては、第1クリーニング動作では第2ノズルN2からインクが排出されないが、第2クリーニング動作では第2ノズルN2からインクが排出される程度に、第2ノズルN2内のインクを増粘させる。
他方、異常が解消されていないノズルNがある場合(SA7:NO)、クリーニング機構29は、第1クリーニング動作を再度実行する。以上の説明から理解される通り、全ての異常ノズルNaについて異常が解消されるまで第1クリーニング動作が繰り返し実行されるから、ノズルの異常を解消できるという効果が顕著であるなお、複数のノズルNの全てが正常ノズルNbである場合(SA2:NO)、ステップSA3からステップSA8の処理は実行せずに、保守動作を終了する。
以上の説明から理解される通り、第1実施形態では、比較例と比較して、ノズルNの異常を効率的に解消することができる。第1実施形態の増粘動作では、微振動させることで第2ノズルN2内のインクが増粘するから、簡便な構成により第2ノズルN2内のインクを増粘させることができる。また、微振動させる時間長に応じて第2ノズルN2内のインクの増粘の度合いを容易に調整できるという利点がある。
第1実施形態では、1以上の第2ノズルN2のうち増粘指標が第2閾値よりも小さい第2ノズルN2については、第1クリーニング動作の実行前に、内部のインクが微振動されるから、第2ノズルN2の増粘が不十分な状態で第1クリーニング動作が実行されることを防止できる。第1クリーニングにより異常ノズルNaの異常が解消された場合に、排出強度が当該第1クリーニングよりも強い第2クリーニング動作が実行される第1実施形態の構成によれば、第2ノズルN2内における増粘したインクを排出させることができる。すなわち、第2ノズルN2についてもインクが噴射可能な状態になる。また、第1クリーニング動作の実行後にノズルNの異常が解消されていない場合には第1クリーニング動作が再度実行されるから、ノズルNの異常を解消できるという効果が顕著である。
第1実施形態において、図11のステップSA7においてノズルNの異常が解消されていない場合(SA7:NO)に再度実行される第1クリーニング動作の排出強度を段階的に強くする構成も好適に採用される。n回目に実行される第1クリーニング動作と、(n+1)回目に実行される第1クリーニング動作とに着目する。n回目の第1クリーニング動作の実行後に異常ノズルNaの異常が解消されていない場合には、n回目の第1クリーニング動作よりも排出強度が強い第1クリーニング動作が(n+1)回目に実行される。ステップSA7の処理後の第1クリーニング動作の排出強度が、当該ステップSA7の処理前の第1クリーニング動作の排出強度よりも強いとも換言できる。したがって、ノズルNの異常が解消できるという効果がより顕著である。また、最初から必要以上に強い強度で第1クリーニング動作をしなくてよいから、ノズルNの異常を解消するためのインクの消費量を低減できる。以上の構成では、ステップSA4の増粘動作において、(n+1)回目の第1クリーニング動作により第2ノズルN2内のインクが排出されない程度に当該第2ノズルN2内のインクを増粘させる。なお、第2クリーニング動作の排出強度は、(n+1)回目の第1クリーニング動作の排出強度よりも強い。
B.第2実施形態
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の各例示において機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図13は、第2実施形態に係るヘッドユニット26における複数のノズル列Lの模式図である。図13には、4つのノズル列L(n)(n=1〜4)が図示されている。なお、ノズル列の個数は任意である。以下の説明では、1以上の異常ノズルNaを含むノズル列L(n)を「異常ノズル列」と表記し、異常ノズルNaを含まないノズル列L(n)を「正常ノズル列」と表記する。図13の例示では、ノズル列L(2)およびノズル列L(4)の各々が異常ノズル列であり、ノズル列L(1)およびノズル列L(3)の各々が正常ノズル列である。ノズル列L(1)とノズル列L(3)との各々は、全て正常ノズルNbで構成される。
保守動作では、第1実施形態と同様にステップSA1およびステップSA2が実施される。第2実施形態のステップSA3では、ノズル列L(n)毎に第1ノズルN1か第2ノズルN2かを選択する。具体的には、制御ユニット20は、異常ノズル列を構成する2以上のノズルNの各々を第1ノズルN1として選択し、正常ノズル列を構成する2以上のノズルNの各々を第2ノズルN2として選択する。すなわち、ノズル列L(2)を構成する各ノズルNと、ノズル列L(4)を構成する各ノズルNとが第1ノズルN1として選択される。また、ノズル列L(1)を構成する各ノズルNと、ノズル列L(3)を構成する各ノズルNとが第2ノズルN2として選択される。
ノズル列L(2)を構成する2以上のノズルNは「1以上の第1ノズル」の例示である。同様に、ノズル列L(4)を構成する2以上のノズルNは「1以上の第1ノズル」の例示である。ノズル列L(1)を構成する2以上のノズルNは「1以上の第2ノズル」の例示である。同様に、ノズル列L(3)を構成する2以上のノズルNは「1以上の第2ノズル」の例示である。以上の説明から理解される通り、第2実施形態の1以上の第1ノズルN1は、正常ノズルNbを含む場合がある。すなわち、異常ノズルNaを含む1以上のノズルNが「1以上の第1ノズル」として包括的に表現される。1以上の第1ノズルN1は、全て異常ノズルNaで構成される場合と、異常ノズルNaおよび正常ノズルNbの双方で構成される場合とを含む。
ステップSA4の増粘動作では、第1実施形態と同様に、各第2ノズルN2内のインクが増粘される。すなわち、正常ノズル列を構成する2以上のノズルN内のインクが増粘され、異常ノズル列を構成する2以上のノズルNについては増粘されない。ノズル列L(1)およびノズル列L(3)についてはノズルN内のインクが増粘され、ノズル列L(2)およびノズル列L(4)についてはノズルN内インクが増粘されない。ステップSA5では、第1実施形態と同様に、第2ノズルN2を閉塞した状態で、第1ノズルN1からインクを排出させる第1クリーニング動作が実行される。すなわち、ノズル列L(1)およびノズル列L(3)のノズルNを閉塞した状態で、ノズル列L(2)およびノズル列L(4)のノズルNからインクを排出させる第1クリーニング動作が実行される。第1実施形態と同様に、ステップSA6では、ステップSA2において異常ノズルNaと判断されたノズルNについて残留振動Uを検出し、ステップSA7では、当該異常ノズルNaの異常が解消されたか否かが判断される。ステップSA8についても、第1実施形態と同様に、第2クリーニング動作が実行される。
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第2実施形態では、1以上の第1ノズルN1が、異常ノズル列を構成する2以上のノズルNであり、1以上の第2ノズルN2が、正常ノズル列を構成する2以上のノズルNである。すなわち、ノズル列L(n)毎に第1ノズルN1であるか第2ノズルN2であるかが選択される。したがって、例えば、第1ノズルN1であるか第2ノズルN2であるかをノズルN毎に選択する構成と比較して、液体噴射装置100の制御が容易になる。ただし、1以上の第1ノズルN1の各々を異常ノズルNaとし、1以上の第2ノズルN2の各々を正常ノズルNbとする第1実施形態の構成によれば、第1クリーニングにおいて排出圧力を異常ノズルNaに特に集中させることができる。すなわち、ノズルNの異常を解消できるという効果が顕著である。
C.第3実施形態
図14は、第3実施形態に係る保守動作のフローチャートである。第3実施形態の保守動作は、第1実施形態の保守動作にステップSB1からステップSB3を追加した構成である。図14に例示される通り、ステップSB1からステップSB3の処理は、ステップSA1の前に実行される。保守動作を開始すると、検出回路70は、複数の圧力室Cの各々について残留振動Uを検出する(SB1)。具体的には、駆動素子Eに検査波形W3が供給されたときの圧力室C内の残留振動Uが検出される。
図14は、第3実施形態に係る保守動作のフローチャートである。第3実施形態の保守動作は、第1実施形態の保守動作にステップSB1からステップSB3を追加した構成である。図14に例示される通り、ステップSB1からステップSB3の処理は、ステップSA1の前に実行される。保守動作を開始すると、検出回路70は、複数の圧力室Cの各々について残留振動Uを検出する(SB1)。具体的には、駆動素子Eに検査波形W3が供給されたときの圧力室C内の残留振動Uが検出される。
制御ユニット20は、複数のノズルNの何れかに異常があるか否かを判断する(SB2)。例えば、複数のノズルNの各々について順次に異常の有無が判断される。すなわち、各ノズルNが異常ノズルNaおよび正常ノズルNbの何れであるかが判断される。具体的には、制御ユニット20は、残留振動Uを表す電圧の周期が第1閾値を下回る場合にはノズルNに異常があると判断し、当該周期が第1閾値を上回る場合にはノズルNに異常がないと判断する。また、制御ユニット20は、残留振動Uを表す電圧の振幅値が第4閾値を上回る場合にはノズルNに異常がないと判断し、当該振幅値が第4閾値を下回る場合にはノズルNに異常があると判断してもよい。ステップSB2の処理は「第3判断動作」に相当する。複数のノズルNにおいて異常があるノズルNがある場合(SB2:YES)、クリーニング機構29は、第3クリーニング動作を実行する(SB3)。第3クリーニング動作は、第1クリーニングの実行前に、複数のノズルN内のインクを増粘させずに実行される動作クリーニングである。したがって、第3クリーニング動作により、複数のノズルNからインクが排出される。第3クリーニング動作の排出強度は、第1クリーニングの排出強度よりも強い。
なお、ステップSB2では、複数のノズルNの各々の全てについて異常の有無を判断することは必須ではない。例えば、複数のノズルNから異常ノズルNaが最初に検出された段階で、他のノズルNについては異常の有無の判断を省略してもよい。すなわち、複数のノズルNから1つの異常ノズルNaが検出された段階で、ステップSB3の第3クリーニング動作を実行してもよい。また、第3クリーニング動作は、吸引動作に限定されない。例えば、圧力室C内の圧力を噴射波形W1よりも強く変動させる波形を各駆動素子Eに供給することで、ノズルNからインクを強制的に噴射させるフラッシングを第3クリーニング動作として実行してもよい。
第3クリーニング動作が終了すると、第1実施形態と同様に、各圧力室Cの残留振動Uが検出され(SA1)、当該残留振動Uに応じてノズルNの異常の有無が判断される(SA2)。第3実施形態におけるステップSA2の処理は、ノズルNの異常が第3クリーニングにより解消されたか否かを判断する処理とも換言される。なお、ステップSB3では、複数のノズルNのうちステップSB2において異常ノズルNaと判断されたノズルNについてのみ異常の有無を判断してもよい。すなわち、ステップSB2において正常ノズルNbと判断されたノズルNについては異常の有無の判断が省略される。異常ノズルNaがある場合(SA1)、第1実施形態と同様に、ステップSA2からステップSA8の処理が実行される。すなわち、第3実施形態では、第3クリーニング動作の実行によりノズルNの異常が解消されなかった場合に、第1クリーニング動作が実行される。第3クリーニング動作によりノズルNの異常が解消された場合には、第1クリーニング動作が省略されるとも換言できる。
第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。第3実施形態では、第3クリーニング動作の実行後にノズルNの異常が解消していない場合に第1クリーニング動作が実行される。すなわち、第3クリーニング動作によりノズルNの異常が解消された場合には、第1クリーニング動作が不要になる。したがって、ノズルNの異常を解消するためのインクの消費量を低減できる。また、第3実施形態における第3クリーニング動作の排出強度は第1クリーニング動作の排出強度よりも強いから、ノズルNの異常を第3クリーニングにより解消できる可能性が高くなる。したがって、不要な第1クリーニング動作が実行されることを低減できる。すなわち、ノズルNの異常を解消するための液体の消費量を低減できる。なお、第3実機形態の構成は第2実施形態の構成にも適用できる。
D.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。なお、以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、第2ノズルN2を閉塞させるまでインクを増粘させた状態で第1クリーニング動作を実行したが、第2ノズルN2を閉塞させるまでインクを増粘させることは必須ではない。第1ノズルN1内のインクよりも第2ノズルN2内のインクが増粘された結果、第1クリーニング動作において第1ノズルN1内のインクよりも第2ノズルN2内のインクが排出されにくい状態であれば、第2ノズルN2内のインクの増粘の度合いは任意である。ただし、第2ノズルN2を閉塞させるまでインクを増粘させる前述の形態によれば、第1クリーニング動作において第2ノズルN2からインクが排出されないから、第1クリーニング動作において排出圧力が第1ノズルN1に集中するという効果が顕著である。
(2)前述の各形態では、吸引動作をクリーニング動作として例示したが、クリーニング動作は吸引動作に限定されない。例えば、複数のノズルNにインクを供給するための共通液室Rの上流側においてインクを加圧する加圧動作をクリーニング動作として実行してもよい。以上の構成では、例えば、液体容器14と共通液室Rとの間にダイアフラムおよびポンプ等の加圧機構を設置する。加圧機構はクリーニング機構29の一例である。加圧機構により各ノズルN内のインクを加圧することで、当該ノズルNかインクを強制的に排出させる。排出圧力を第1ノズルN1に集中させる前述の各形態の構成は、吸引動作または加圧動作を第1クリーニング動作とする場合に特に有効である。なお、クリーニング動作として加圧動作を実行する構成では、例えば、ダイアフラムの変位量が多いほど、または、ポンプの回転数が多いほど、排出総量が多くなる。すなわち、クリーニング動作の排出強度が、ダイアフラムの変位量またはポンプの回転数により規定される。また、加圧動作をクリーニング動作として実行する構成では、キャップ291によりノズルNを封止することは必須ではない。
(3)前述の各形態では、第1クリーニング動作の実行中に第2ノズルN2を微振動させない構成を例示したが、第1クリーニング動作の実行中に第2ノズルN2を微振動させる構成も採用される。以上の構成によれば、第1クリーニング動作中に第2ノズルN2内のインクの増粘が解消されないから、排出圧力を第1ノズルN1に集中させるという効果が顕著である。ただし、第1クリーニング動作中に第2ノズルN2を微振動させない第1実施形態の構成によれば、第1クリーニング動作の制御と第2ノズルN2を微振動させる動作とを同時に制御することが不要になる。したがって、液体噴射装置100における制御の負荷が低減される。また、例えば第2ノズルN2に連通する圧力室C内に異物が存在する状態で、第1クリーニング動作中に第2ノズルN2を微振動させると、振動板36における当該第2ノズルN2に対応する領域内において変位にばらつきが生じることがある。その結果、振動板36に局所的に応力が集中し、当該振動板36が破損する可能性がある。第1クリーニング動作中に第2ノズルN2を微振動させない第1実施形態の構成によれば、仮に第2ノズルN2に連通する圧力室C内に異物が存在する場合でも、振動板36が破損する可能性を低減できる。
(4)第1ノズルN1を選択する方法は、前述の各形態の例示に限定されない。図15は、変形例に係る複数のノズルNの模式図である。図15に例示される通り、異常ノズルNaと、当該異常ノズルNaの周辺の正常ノズルNbとを第1ノズルN1として選択してもよい。例えば、制御ユニット20は、異常ノズルNaと、当該異常ノズルNaに隣接する2個の正常ノズルNbを第1ノズルN1として選択し、第1ノズルN1以外の全てのノズルNを第2ノズルN2として選択する。図15では、異常ノズルNaとY軸の方向において隣接する正常ノズルNbを第1ノズルN1とする構成を例示したが、異常ノズルNaとX軸の方向において隣接する正常ノズルNbを第1ノズルN1として選択してもよい。異常ノズルNaを含む1以上の第1ノズルN1が選択されれば、1以上の第1ノズルN1に含まれる正常ノズルNbの個数は任意である。
例えば、インクの色毎に複数のノズルNを区分し、当該区分毎に第1ノズルN1および第2ノズルN2の何れであるかを判断してもよい。例えば、異常ノズルNaを含む区分の各ノズルNが第1ノズルN1として選択され、異常ノズルNaを含まない区分の各ノズルNが第2ノズルN2として選択される。また、ヘッドユニット26における液体噴射ヘッド261毎に、第1ノズルN1か第2ノズルN2かを選択してもよい。異常ノズルNaを含む液体噴射ヘッド261の複数のノズルNの各々は第1ノズルN1として選択され、異常ノズルNaを含まない液体噴射ヘッド261の複数のノズルNの各々は第2ノズルN2として選択される。また、液体噴射ヘッド261が複数のノズル列を含む構成においては、所定の列数を単位として当該単位毎に第1ノズルN1か第2ノズルN2かを選択してもよい。
(5)前述の各形態では、正常ノズルNbを第2ノズルN2として選択したが、異常ノズルNaを第2ノズルN2として選択してもよい。1以上の第2ノズルN2は、典型的には全て正常ノズルNbで構成されるが、1以上の第2ノズルN2が異常ノズルNaを含んでもよい。
(6)前述の各形態では、残留振動Uに応じてノズルNの異常の有無を判断したが、ノズルNの異常の有無を判断する方法は以上の例示に限定されない。例えば、ノズルNに異物が存在する場合には、インクの噴射方向に誤差が発生する。したがって、インクの噴射方向を例えば光学的に検出することで、異物の有無を判断してもよい。また、テストパターンを印刷した印刷結果に応じて異物の有無を判断してもよい。異物に起因して各圧力室C内のインクの温度が異なる場合がある。したがって、例えば各圧力室C内に設けられた温度センサーの検出温度に応じて異物の有無を判断してもよい。ただし、圧力室C内の残留振動Uに応じてノズルNの異常の有無を判断する構成によれば、ノズルNの異常の有無が高精度に判断できるという利点がある。
(7)前述の各形態では、残留振動Uを表す電圧の周期を増粘指標として例示したが、増粘指標は以上の例示に限定されない。図12には、第2ノズルN2の残留振動Uの電圧を表す振幅値ΔUが図示されている。具体的には、第2ノズルN2内のインクの増粘が十分に進行した場合の残留振動U1を表す電圧の振幅値ΔU1と、第2ノズルN2内のインクの増粘が十分でない場合の残留振動U2を表す電圧の振幅値ΔU2とが、図12に図示されている。図12に例示される通り、残留振動U1を表す電圧の振幅値ΔU1は、残留振動U2を表す電圧の振幅値ΔU2よりも小さいという傾向もある。したがって、残留振動Uを表す電圧の振幅値ΔUに応じた値を増粘指標として利用してもよい。例えば残留振動Uを表す電圧の振幅値ΔUの逆数が増粘指標として利用される。なお、残留振動Uの振幅値ΔUは、例えば、残留振動Uに含まれる複数のピークのうち最大のピークにおける振幅値である。具体的には、残留振動Uの振幅値ΔUは、基準となる電圧値V0と絶対値が最大となるピーク値との差分の絶対値である。電圧値V0は、圧力室C内に振動が発生していない状態において検出回路70が検出する電圧VCである。なお、電圧値V0は、例えば、検査波形W3の形状、または、残留振動Uを検出するタイミング等に応じて適宜に変更し得るため、電圧VCに限定されない。
以上の構成では、制御ユニット20は、振幅値ΔUが第3閾値以上である場合には、第2ノズルN2が閉塞されたと判断し、当該振幅値ΔUが第3閾値よりも小さい場合には、第2ノズルN2が閉塞されていないと判断する。第3閾値は、例えば第2ノズルN2内のインクの増粘が十分に進行した場合の残留振動U1の振幅値ΔU1に応じて設定される。第3閾値は「所定値」の例示である。また、例えば残留振動Uの電圧の平均値、または、残留振動Uにおける電圧の変化率等を増粘指標としてもよい。
(8)前述の各形態において、第2ノズルN2内のインクを増粘させる方法は駆動素子Eに対する微振動波形W2の供給に限定されない。例えば、第2ノズルN2内のインクをヒーター等により加熱することで、第2ノズルN2内のインクを増粘させてもよい。ヒーターは、例えば各圧力室Cに対応する位置、または、噴射面に対向する位置に設置される。なお、制御ユニット20は、ヒーターの加熱により第2ノズルN2からインクが噴射されないように、当該ヒーターの発熱量を制御する。
(9)前述の各形態の増粘動作において、制御ユニット20は、所定の期間にわたり微振動波形W2が第2駆動素子に供給されたことを契機として第2ノズルN2が閉塞されたと判断してもよい。すなわち、図11のステップSA42からステップSA45は省略される。
(10)前述の各形態では、噴射波形W1と微振動波形W2と検査波形W3とを1つの駆動信号COMに含む構成を例示したが、例えば各波形をそれぞれ個別の駆動信号COMに含む構成も採用される。
(11)前述の各形態では、圧電素子を駆動素子Eとして例示したが、駆動素子Eは圧力室C内のインクの圧力を変動させることが可能であれば任意である。例えば、静電アクチュエータ等の振動体を駆動素子Eとして利用してもよい。また、加熱により圧力室C内の圧力を変動させる発熱素子を駆動素子Eとして利用してもよい。
(12)図16は、変形例に係る保守動作のフローチャートである。図16に例示される保守動作は、発熱素子を駆動素子Eとして利用する構成において採用される。図16の保守動作を開始すると、第1実施形態と同様に、ステップSA1およびステップSA2が実行される。複数のノズルNにおいて異常ノズルNaがある場合(SA2:YES)制御部300は、増粘動作を実行する(SC1)。増粘動作は、ヘッドユニット26における複数のノズルNのインクを増粘する動作である。例えば、当該複数のノズルNの全てが閉塞するまでインクが増粘される。制御部300は、増粘動作後の複数のノズルNから1以上の第1ノズルN1を選択する(SC2)。1以上の第1ノズルN1は、第1実施形態と同様に、ステップSA2で異常ノズルNaと判断されたノズルNを含む。制御部300は、各第1ノズルN1から増粘したインクを排出させる(SC3)。具体的には、複数の駆動素子Eのうち1以上の第1ノズルN1にそれぞれ対応する1以上の駆動素子Eを駆動することで当該第1ノズルN1からインクを噴射させる。発熱素子は、例えば圧電素子よりもノズルN内に強く圧力を付与することが可能である。したがって、発熱素子を駆動素子Eとする構成では、ノズルN内部のインクが増粘した状態でも当該ノズルNからインクを噴射させることができる。ステップSC3の処理により、第1ノズルN1の閉塞は解消されたが、第1ノズルN1以外のノズルNについては増粘が維持された状態になる。以上の状態で、クリーニング機構29は、第1実施形態と同様に、第1クリーニング動作を実行する(SA5)。すなわち、第1クリーニング動作により、1以上の第1ノズルN1からインクが排出される。以上の構成においても前述の各形態と同様に、ノズルNの異常を効率的に解消させることができる。
(13)前述の各形態において、第1クリーニングを繰り返し実行しても異常が解消されない異常ノズルNaがある場合には、印刷動作において当該異常ノズルNaからのインクの噴射を禁止する処理、印刷動作において当該異常ノズルNaを正常ノズルNbが補完するように制御する処理、ノズルNに異常があることを報知する処理、および、当該異常ノズルNaを第1クリーニング動作の対象から除外する処理のうち少なくとも1つの処理を実行してもよい。
(14)第3実施形態において、図14の第3クリーニング動作の実行後に、ノズルNの異常が解消していない場合には、当該3クリーニング動作を繰り返し実行してもよい。以上の構成では、第3クリーニング動作の排出強度を段階的に強くする構成も好適である。n回目の第3クリーニング動作と、(n+1)回目の第3クリーニング動作とに着目すると、(n+1)回目の第3クリーニング動作の排出強度は、n回目の第3クリーニング動作の排出強度よりも強い。第3クリーニング動作を所定の回数にわたり実行してもノズルNの異常が解消されない場合には、第1クリーニング動作が実行される。
(15)前述の各形態では、ノズルNを閉塞するために必要な微振動波形W2の供給時間を、例えば15秒間から5分間と例示したが、当該供給時間は以上の例示に限定されない。ノズルNが閉塞するまでに必要な微振動波形W2の供給時間は、例えば微振動波形W2の電圧値に応じて適宜に変更される。例えば、駆動素子Eに対する微振動波形W2の供給では、インクの排出による排熱が阻害されるため、電圧値が高いほど圧力室C近傍の蓄熱量が多くなる。したがって、ノズルN内のインクの増粘が進行する速度が速くなるという事情がある。また、当該供給時間は、液体噴射装置100が使用される環境下での温度および湿度に応じても変更される。例えば、液体噴射装置100が使用される環境が高温および低湿であるほど、ノズルN内のインクの増粘が進行する速度が速くなる。また、当該供給時間は、インクの粘度にも依存する。例えば、インクの粘度が高いほど、ノズルN内のインクの増粘が進行する速度が速くなる。
(16)前述の各形態において、第2クリーニング動作の実行後に、第2ノズルN2の閉塞が解消されたか否かを判断する処理を実行してもよい。例えば、第2ノズルN2に対応する圧力室内の残留振動Uに応じて、当該第2ノズルN2の閉塞が解消されたか否かが判断される。なお、第2ノズルN2の閉塞が解消されていない場合には、第2クリーニング動作を繰り返し実行してもよい。
(17)前述の各形態では、液体噴射ヘッド261を搭載した搬送体242を往復させるシリアル方式の液体噴射装置100を例示したが、複数のノズルNが媒体12の全幅にわたり分布するライン方式の液体噴射装置100にも本発明を適用することが可能である。
(18)前述の各形態で例示した液体噴射装置100は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を噴射する液体噴射装置は、液晶表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を噴射する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。
E:付記
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
好適な態様(態様1)に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルを具備し、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。以上の態様によれば、異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させて、当該1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作が実行される。第2ノズル内の液体の増粘が進行すると、第1クリーニング動作において第2ノズルから液体が排出されにくくなる。その結果、第1クリーニング動作において液体を排出させるための圧力が第1ノズルに集中する。すなわち、異常があるノズルから効率的に液体を排出させることができる。したがって、第2ノズル内の液体を増粘させずに第1ノズルから液体を排出させる構成と比較して、ノズルの異常を効率的に解消することができる。
態様1の具体例(態様2)において、前記第1クリーニング動作は、前記複数のノズルをキャップにより封止した状態で当該キャップの内部空間の圧力を低下させる吸引動作、または、複数のノズルに液体を供給するための共通液室の上流側において液体を加圧する加圧動作である。キャップの内部空間の圧力を低下させる吸引動作、または、共通液室の上流側において液体を加圧する加圧動作を第1クリーニング動作とする場合に、液体を排出させるための圧力を第1ノズルに集中させる構成が特に有効である。
態様1または態様2の具体例(態様3)において、前記増粘動作においては、前記1以上の第2ノズルから前記第1クリーニング動作により液体が排出されない程度に増粘させる。以上の態様によれば、第1クリーニング動作において第2ノズルから液体が排出されないから、第1クリーニング動作において液体を排出させるための圧力が第1ノズルに集中するという効果が顕著である。
態様1から態様3の何れかの具体例(態様4)において、前記増粘動作においては、液体を噴射させずに前記1以上の第2ノズル内の液体を微振動させることにより液体を増粘させる。以上の態様によれば、微振動させることで第2ノズル内の液体が増粘するから、簡便な構成により第2ノズルを内の液体を増粘させることができる。また、微振動の強度または微振動させる時間長に応じて第2ノズル内の液体の増粘度を調整できる。
態様4の具体例(態様5)において、前記第1クリーニング動作の実行中は、前記1以上の第2ノズルを微振動させない。以上の態様では、第1クリーニング動作中に第2ノズルが微振動されないから、第1クリーニング動作の制御と第2ノズルを微振動させる動作とを同時に制御することが不要になる。したがって、液体噴射装置における制御の負荷が低減される。また、第2ノズルに連通する圧力室内に異物が存在する状態で、第1クリーニング動作中に第2ノズルを微振動させると、振動板における当該第2ノズルに対応する領域内において変位にばらつきが生じることがある。その結果、振動板に局所的に応力が集中し、当該振動板が破損する可能性がある。第1クリーニング動作中に第2ノズルを微振動させない構成によれば、仮に第2ノズルに連通する圧力室内に異物が存在する場合でも、振動板が破損する可能性を低減できる。
態様4または態様5の具体例(態様6)において、前記増粘動作においては、前記1以上の第2ノズルの各々について液体の増粘の度合いを表す指標を特定し、前記1以上の第2ノズルのうち前記指標が前記所定値よりも小さい第2ノズルについては、前記第1クリーニング動作の実行前に、内部の液体を微振動させる。以上の態様では、1以上の第2ノズルのうち増粘度を表す指標が所定値よりも小さい第2ノズルについては、第1クリーニング動作の実行前に、内部の液体が微振動されるから、第2ノズルの増粘が不十分な状態で第1クリーニング動作が実行されることを防止できる。
態様1から態様6の何れかの具体例(態様7)において、前記第1クリーニング動作の実行後に、前記1以上の第2ノズルから液体を排出させる第2クリーニング動作を実行し、前記第2クリーニング動作により液体を排出させる強度は、前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度よりも強い。以上の態様では、第1クリーニング動作の実行後に、当該第1クリーニング動作の強度よりも強い強度で第2クリーニング動作が実行されるから、第2ノズル内における増粘したインクを排出させることができる。すなわち、第2ノズルについてもインクが噴射可能な状態になる。
態様1から態様7の何れかの具体例(態様8)において、前記第1クリーニング動作の実行後に、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルについて異常の有無を判断する第2判断動作を実行し、前記第2判断動作において異常があると判断されたノズルがある場合には、前記第1クリーニング動作を実行する。以上の態様では、第1クリーニング動作の実行後にノズルの異常が解消されていない場合には第1クリーニング動作が再度実行されるから、ノズルの異常を解消できるという効果が顕著である。
態様8の具体例(態様9)において、前記第2判断動作後の前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度は、前記第2判断動作前の前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度よりも強い。以上の態様では、n回目の第1クリーニング動作の実行後にノズルの異常が解消されていない場合には、n回目の第1クリーニング動作よりも強い第1クリーニング動作が(n+1)回目に実行されるから、ノズルの異常が解消できるという効果がより顕著である。また、最初から必要以上に強い強度で第1クリーニング動作をしなくてよいから、ノズルの異常を解消するための液体の消費量を低減できる。
態様1から態様9の何れかの具体例(態様10)において、前記複数のノズルの何れかに異常があるか否かを判断する第3判断動作を実行し、前記第3判断動作の実行後に、前記複数のノズルから液体を排出させる第3クリーニング動作を実行し、前記第3クリーニング動作の実行後に、前記第1判断動作を実行する。以上の態様では、複数のノズルの何れかに異常がある場合に、ノズルから液体を排出させる第3クリーニング動作が実行され、当該第3クリーニング動作の実行後に、第1判断動作が実行される。すなわち、第3クリーニング動作によりノズルの異常が解消された場合には、第1クリーニング動作が不要になる。したがって、ノズルの異常を解消するための液体の消費量を低減できる。
態様10の具体例(態様11)において、前記第3クリーニング動作により液体を排出させる強度は、前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度よりも強い。以上の態様では、第1クリーニング動作の実行前に、当該第1クリーニング動作よりも強い第3クリーニング動作が実行されるから、第3クリーニングによりノズルの異常を解消できる可能性が高くなる。したがって、不要な第1クリーニング動作が実行されることを低減できる。すなわち、ノズルの異常を解消するための液体の消費量を低減できる。
態様1から態様11の何れかの具体例(態様12)において、前記第1判断動作においては、前記ノズルと連通する圧力室内の液体の圧力を変動させたときの当該圧力室内の残留振動に応じて、前記異常の有無を判断する。以上の態様では、圧力室内の液体の圧力を変動させたときの当該圧力室内の残留振動に応じてノズルの異常の有無が判断されるから、ノズルの異常の有無を高精度に判断できる。
態様1から態様12の何れかの具体例(態様13)において、前記1以上の第1ノズルの各々は、前記第1判断動作において異常があると判断されたノズルであり、前記1以上の第2ノズルの各々は、前記第1判断動作において異常がないと判断されたノズルである。以上の態様では、異常がないと判断されたノズルを第2ノズルとして内部の液体が増粘され、異常があると判断されたノズルを第1ノズルとして第1クリーニング動作により液体が排出される。したがって、第1クリーニングにおいて液体を排出させるための圧力を異常があるノズルに特に集中させることができる。すなわち、ノズルの異常を解消できるという効果が顕著である。
態様1から態様13の何れかの具体例(態様14)において、前記複数のノズルは、2以上のノズルが所定方向に配列される複数のノズル列を構成し、前記1以上の第1ノズルは、前記複数のノズル列のうち、前記第1判断動作において異常があると判断されたノズルを含むノズル列を構成する前記2以上のノズルであり、前記1以上の第2ノズルは、前記複数のノズル列のうち、前記第1判断動作において異常があると判断されたノズルを含まないノズル列を構成する前記2以上のノズルである。以上の態様では、1以上の第1ノズルは、複数のノズル列のうち異常があると判断されたノズルを含むノズル列を構成する2以上のノズルであり、1以上の第2ノズルは、複数のノズル列のうち異常があると判断されたノズルを含まないノズル列を構成する2以上のノズルである。すなわち、ノズル列毎に第1ノズルであるか第2ノズルであるかが選択される。したがって、例えば、第1ノズルであるか第2ノズルであるかをノズル毎に選択する構成と比較して、液体噴射装置の制御が容易になる。
他の好適な態様(態様15)に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルと、
前記複数のノズルにそれぞれ対応する複数の発熱素子と、を具備し、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記複数のノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記複数の発熱素子のうち前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルにそれぞれ対応する1以上の発熱素子を駆動することで当該1以上の第1ノズルから液体を噴射させ、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。以上の態様によれば、複数のノズルのうち第1ノズルとは異なる1以上のノズルの液体が増粘した状態で、1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作が実行される。すなわち、第1クリーニング動作において、第1ノズル以外のノズルからは液体が排出されにくくなる。その結果、第1クリーニング動作において液体を排出させるための圧力が第1ノズルに集中する。すなわち、異常があるノズルから効率的に液体を排出させることができる。したがって、第1ノズル以外のノズル内の液体を増粘させずに第1ノズルから液体を排出させる構成と比較して、ノズルの異常を効率的に解消させることができる。
前記複数のノズルにそれぞれ対応する複数の発熱素子と、を具備し、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記複数のノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記複数の発熱素子のうち前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルにそれぞれ対応する1以上の発熱素子を駆動することで当該1以上の第1ノズルから液体を噴射させ、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。以上の態様によれば、複数のノズルのうち第1ノズルとは異なる1以上のノズルの液体が増粘した状態で、1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作が実行される。すなわち、第1クリーニング動作において、第1ノズル以外のノズルからは液体が排出されにくくなる。その結果、第1クリーニング動作において液体を排出させるための圧力が第1ノズルに集中する。すなわち、異常があるノズルから効率的に液体を排出させることができる。したがって、第1ノズル以外のノズル内の液体を増粘させずに第1ノズルから液体を排出させる構成と比較して、ノズルの異常を効率的に解消させることができる。
好適な態様(態様16)に係る液体噴射装置の制御方法は、液体を噴射する複数のノズルを具備する液体噴射装置の制御方法であって、前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する。
態様16の具体例(態様17)において、前記増粘動作においては、前記1以上の第2ノズルから前記第1クリーニング動作により液体が排出されない程度に増粘させる。
態様16または態様17の具体例(態様18)において、前記増粘動作においては、液体を噴射させずに前記1以上の第2ノズル内の液体を微振動させることにより液体を増粘させる。
態様18の具体例(態様19)において、前記第1クリーニング動作の実行中は、前記1以上の第2ノズルを微振動させない。
態様18または態様19の具体例(態様20)において、前記増粘動作においては、前記1以上の第2ノズルの各々について液体の増粘の度合いを表す指標を特定し、前記1以上の第2ノズルのうち前記指標が前記所定値よりも小さい第2ノズルについては、前記第1クリーニング動作の実行前に、内部の液体を微振動させる。
100…液体噴射装置、14…液体容器、20…制御ユニット、22…搬送機構、24…移動機構、242…搬送体、244…搬送ベルト、26…ヘッドユニット、261…液体噴射ヘッド、28…固定板、29…クリーニング機構、291…キャップ、293…吸引ポンプ、300…制御部、32…第1流路基板、322…開口部、324…供給流路、326…連通流路、328…中継流路、34…第2流路基板、341…加圧流路、36…振動板、361…第1層、362…第2層、42…筐体部、422…収容部、424…導入口、46…ノズル板、48…コンプライアンス部、481…可撓性部材、482…支持板、50…駆動回路、70…検出回路、C…圧力室、E…駆動素子、N…ノズル、N1…第1ノズル、N2…第2ノズル、Na…異常ノズル、Nb…正常ノズル、O…開口部、R…共通液室、W1…噴射波形、W2…微振動波形、W3…検査波形。
Claims (20)
- 液体を噴射する複数のノズルを具備し、
前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、
前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、
前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する
液体噴射装置。 - 前記第1クリーニング動作は、前記複数のノズルをキャップにより封止した状態で当該キャップの内部空間の圧力を低下させる吸引動作、または、複数のノズルに液体を供給するための共通液室の上流側において液体を加圧する加圧動作である
請求項1の液体噴射装置。 - 前記増粘動作においては、前記1以上の第2ノズルから前記第1クリーニング動作により液体が排出されない程度に増粘させる
請求項1または請求項2の液体噴射装置。 - 前記増粘動作においては、液体を噴射させずに前記1以上の第2ノズル内の液体を微振動させることにより液体を増粘させる
請求項1から請求項3の何れかの液体噴射装置。 - 前記第1クリーニング動作の実行中は、前記1以上の第2ノズルを微振動させない
請求項4の液体噴射装置。 - 前記増粘動作においては、
前記1以上の第2ノズルの各々について液体の増粘の度合いを表す指標を特定し、
前記1以上の第2ノズルのうち前記指標が前記所定値よりも小さい第2ノズルについては、前記第1クリーニング動作の実行前に、内部の液体を微振動させる
請求項4または請求項5の液体噴射装置。 - 前記第1クリーニング動作の実行後に、前記1以上の第2ノズルから液体を排出させる第2クリーニング動作を実行し、
前記第2クリーニング動作により液体を排出させる強度は、前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度よりも強い
請求項1から請求項6の何れかの液体噴射装置。 - 前記第1クリーニング動作の実行後に、前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルについて異常の有無を判断する第2判断動作を実行し、
前記第2判断動作において異常があると判断されたノズルがある場合には、前記第1クリーニング動作を実行する
請求項1から請求項7の何れかの液体噴射装置。 - 前記第2判断動作後の前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度は、前記第2判断動作前の前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度よりも強い
請求項8の液体噴射装置。 - 前記複数のノズルの何れかに異常があるか否かを判断する第3判断動作を実行し、
前記第3判断動作の実行後に、前記複数のノズルから液体を排出させる第3クリーニング動作を実行し、
前記第3クリーニング動作の実行後に、前記第1判断動作を実行する
請求項1から請求項9の何れかの液体噴射装置。 - 前記第3クリーニング動作により液体を排出させる強度は、前記第1クリーニング動作により液体を排出させる強度よりも強い
請求項10の液体噴射装置。 - 前記第1判断動作においては、前記ノズルと連通する圧力室内の液体の圧力を変動させたときの当該圧力室内の残留振動に応じて、前記異常の有無を判断する
請求項1から請求項11の何れかの液体噴射装置。 - 前記1以上の第1ノズルの各々は、前記第1判断動作において異常があると判断されたノズルであり、
前記1以上の第2ノズルの各々は、前記第1判断動作において異常がないと判断されたノズルである
請求項1から請求項12の何れかの液体噴射装置。 - 前記複数のノズルは、2以上のノズルが所定方向に配列される複数のノズル列を構成し、
前記1以上の第1ノズルは、前記複数のノズル列のうち、前記第1判断動作において異常があると判断されたノズルを含むノズル列を構成する前記2以上のノズルであり、
前記1以上の第2ノズルは、前記複数のノズル列のうち、前記第1判断動作において異常があると判断されたノズルを含まないノズル列を構成する前記2以上のノズルである
請求項1から請求項13の何れかの液体噴射装置。 - 液体を噴射する複数のノズルと、
前記複数のノズルにそれぞれ対応する複数の発熱素子と、を具備し、
前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、
前記複数のノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、
前記複数の発熱素子のうち前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルにそれぞれ対応する1以上の発熱素子を駆動することで当該1以上の第1ノズルから液体を噴射させ、
前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する
液体噴射装置。 - 液体を噴射する複数のノズルを具備する液体噴射装置の制御方法であって、
前記複数のノズルの各々について異常の有無を判断する第1判断動作を実行し、
前記第1判断動作において前記異常があると判断されたノズルを含む1以上の第1ノズルとは異なる1以上の第2ノズル内の液体を増粘させる増粘動作を実行し、
前記1以上の第1ノズルから液体を排出させる第1クリーニング動作を実行する
液体噴射装置の制御方法。 - 前記増粘動作においては、前記1以上の第2ノズルから前記第1クリーニング動作により液体が排出されない程度に増粘させる
請求項16の液体噴射装置の制御方法。 - 前記増粘動作においては、液体を噴射させずに前記1以上の第2ノズル内の液体を微振動させることにより液体を増粘させる
請求項16または請求項17の液体噴射装置の制御方法。 - 前記第1クリーニング動作の実行中は、前記1以上の第2ノズルを微振動させない
請求項18の液体噴射装置の制御方法。 - 前記増粘動作においては、
前記1以上の第2ノズルの各々について液体の増粘の度合いを表す指標を特定し、
前記1以上の第2ノズルのうち前記指標が前記所定値よりも小さい第2ノズルについては、前記第1クリーニング動作の実行前に、内部の液体を微振動させる
請求項18または請求項19の液体噴射装置の制御方法。
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Cited By (1)
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2019
- 2019-08-30 JP JP2019158638A patent/JP2021037632A/ja active Pending
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CN115447279A (zh) * | 2021-06-08 | 2022-12-09 | 深圳市汉森软件有限公司 | 图像的异常喷嘴补偿打印方法、装置、设备及存储介质 |
CN115447279B (zh) * | 2021-06-08 | 2023-09-08 | 深圳市汉森软件有限公司 | 图像的异常喷嘴补偿打印方法、装置、设备及存储介质 |
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