JP2017140727A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Takeshi Yamagishi
健 山岸
大脇 寛成
Hironari Owaki
寛成 大脇
八十島 健
Takeshi Yasojima
健 八十島
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Abstract

【課題】ノズル面が帯電された状態を緩和できる液体噴射装置を提供する。【解決手段】液体が噴射されるノズル(24)が開口され、液体に対して撥液性を有する撥液膜(25)が設けられたノズル面(16)、及び、ノズル(24)に連通する流路()を備えた液体噴射ヘッド(3)と、電圧が印加されて流路(26)内の液体を帯電させる電極(57)と、電極により帯電された液体を撥液膜(25)上に広げる拡散機構(14)と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置。【選択図】図6

Description

本発明は、ノズル面に形成されたノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に関するものである。
液体噴射ヘッドが搭載された液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を生かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置、バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記の液体噴射装置は、液体噴射ヘッドのノズル面に開口されたノズルからプラテン等の支持部材上に移送された記録媒体(着弾対象の一種)に向けて液体を噴射させて、当該記録媒体に画像等を記録する。ところで、ノズル面には、ノズル内に良好なメニスカスを形成する目的や、付着した液体の濡れ広がりを抑制する目的等のために、例えば、フッ素等を成分に含む撥液膜が形成されている。また、特許文献1では、ノズルに連通する流路内に導電板を備え、この導電板に電圧を印加することで、ノズルから噴射される液体を帯電させる技術が開示されている。
特開2012−228804号公報
ところで、ノズル面に形成される撥液膜は、絶縁性を有するため、帯電し易い。このため、ノズル面と記録媒体との間で電界が形成される虞がある。特に、塩化ビニル等の樹脂からなる記録媒体やポスター等に使用される大型の記録媒体に対して液体を噴射する液体噴射装置においては、当該記録媒体が液体噴射装置の筐体や記録媒体を搬送するローラー等の搬送機構等と擦れて帯電し易いため、ノズル面と記録媒体との間の電界が一層強まる傾向にある。その結果、ノズルから噴射された液体が記録媒体に着弾しない虞があった。
具体的には、図11に示す模式図のように、例えば、塩化ビニル等の樹脂からなる記録媒体91は、筐体や搬送機構等と擦れてプラスに帯電される。一方、液体噴射ヘッド92のノズル面93には、ノズル面93を払拭するワイパーの当接により液体Lq1が付着する。また、液体の噴射に伴って発生するミストや、液体噴射装置の使用環境等により発生する結露等もノズル面93に付着する。このような、ノズル面93に付着した液体Lq1は、ワイパーの払拭動作やノズル面93を封止するキャップの当接等によりノズル面93上を移動する(図11の矢印参照)。また、ノズル94近傍の液体が、ノズル94内の負圧に引き寄せられて移動する場合もある。その他、記録媒体91に対して走査(往復移動)しつつインクの吐出を行う所謂シリアル型の液体噴射ヘッドにおいては、液体噴射ヘッドの移動に伴い発生する気体の流れにより、ノズル面93上の液体が移動する。このように、撥液膜が形成されノズル面93上を液体Lq1が移動すると、図11に示すように、流動帯電によりノズル面93(具体的には、撥液膜(図示せず))がマイナスに帯電される。そして、特許文献1に記載されるような導電板を用いず、ノズル94から噴射される液体を積極的に帯電させない場合、マイナスに帯電されたノズル面93にプラスの電荷が引き寄せられて、ノズル94近傍の液体はプラスに帯電する。このため、図12に示すように、噴射される液体Lq2は、プラスに帯電する。これにより、ノズル94から噴射された液体Lq2は、プラスに帯電された記録媒体91に反発すると共に、マイナスに帯電されたノズル面93に引き寄せられることになる。その結果、図12に示す矢印のように、液体Lq2が記録媒体91に着弾せずに舞い戻って、ノズル面93に付着する虞があった。そして、ノズル面93に付着した液体が、ノズル面93を再び移動することで、さらにノズル面93の帯電量が増加する(電荷が強まる)虞があった。
ところで、特許文献1に開示されるように、ノズルから噴射される液体を積極的に帯電させることも考えられる。しかしながら、単にノズルから噴射される液体を帯電させるだけでは十分ではなかった。例えば、ノズルから噴射される液体をノズル面とは異なる極性(又は記録媒体と同じ極性)に帯電させた場合、当該液体が記録媒体に着弾せずに、ノズル面に付着する虞がある。また、ノズルから噴射される液体をノズル面と同じ極性(又は記録媒体と異なる極性)に帯電させた場合、当該液体が記録媒体に着弾し易くなるものの、この液体の噴射に伴って発生したミスト等がノズル面に付着すると、ノズル面の帯電量を増加させる虞がある。そもそも、特許文献1の構成では、ノズル面の帯電を緩和できないため、ノズルから噴射される液体以外にも、異物等がノズル面に引き寄せられる虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズル面が帯電された状態を緩和できる液体噴射装置を提供することにある。
本発明における実装装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体が噴射されるノズルが開口され、前記液体に対して撥液性を有する撥液膜が設けられたノズル面、及び、前記ノズルに連通する流路を備えた液体噴射ヘッドと、
電圧が印加されて前記流路内の液体を帯電させる電極と、
前記電極により帯電された液体を前記撥液膜上に広げる拡散機構と、
を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、帯電した撥液膜とは異なる極性の電圧を電極に印加することで、撥液膜とは異なる極性の液体を撥液膜上に広げることができる。これにより、ノズル面(具体的には、撥液膜)が帯電した状態を緩和することができる。その結果、ノズル面と記録媒体との間の電界強度を弱めることができ、ノズルから噴射された液体を記録媒体に着弾させ易くすることができる。
また、上記構成において、前記ノズル又は前記ノズル面を清掃するクリーニング動作を実行可能であり、
前記クリーニング動作を行う際に、帯電された液体を前記拡散機構により前記撥液膜上に広げる構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、帯電された液体を撥液膜上に広げる動作をクリーニング動作とは別に行う場合と比べて、効率が良い。このため、記録動作以外の動作時間、すなわち、記録動作に移るまでの待機時間を短縮できる。
さらに、上記構成において、前記クリーニング動作は、前記ノズル面を払拭する払拭動作を含み、
前記拡散機構は、前記払拭動作の際に、前記ノズル面を払拭するワイパーを備え、
前記ノズルから前記ノズル面よりも下方に液体を溢れさせた状態で前記ワイパーにより前記ノズル面を払拭させることで、帯電された液体を前記撥液膜上に広げる構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、ノズル面に付着した紙粉等の異物を除去しつつ、ノズル面が帯電した状態を緩和することができる。
また、上記構成において、前記クリーニング動作は、前記ノズルから液体を吸引する吸引動作を含み、
前記拡散機構は、前記吸引動作の際に、前記ノズルを前記ノズル面側から封止するキャップ及び前記キャップに封止された前記ノズルから液体を吸引する吸引ポンプを備え、
前記キャップにより前記ノズルが封止された状態で前記吸引ポンプにより前記ノズルから帯電した液体を吸引させることで排出された当該液体を前記撥液膜上に付着させる構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、ノズルや流路内の増粘した液体、異物、気泡等を除去しつつ、ノズル面が帯電した状態を緩和することができる。
さらに、上記各構成において、前記ノズル面は、前記ノズルが開口された第1の領域と、前記第1の領域よりも撥液性が低い第2の領域と、を有し、
前記拡散機構は、前記第1の領域と前記第2の領域とに亘って帯電された液体を広げる構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、第2の領域よりも撥液性が高い第1の領域にノズルが設けられるため、ノズル内に良好なメニスカスを形成できる。また、第1の領域に付着した液体が第2の領域に移動し易いため、帯電した液体を効率良くノズル面に広げることができる。
また、上記各構成において、帯電された液体が前記撥液膜上に広がった状態で、ノズルから液体の噴射を行う構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、ノズル面の電荷が中和された状態で、液体を噴射するため、ノズルから噴射された液体を記録媒体に着弾させ易くすることができる。
プリンターの構成を説明する斜視図である。 プリンターの電気的構成を説明するブロック図である。 記録ヘッドの断面図である。 流路基板の平面図である。 払拭動作を説明する模式図である。 払拭動作を説明する模式図である。 吸引動作を説明する模式図である。 吸引動作を説明する模式図である。 吸引動作を説明する模式図である。 第2の実施形態におけるノズルプレートの底面図である。 従来の液体噴射ヘッドの模式図である。 従来の液体噴射ヘッドの模式図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体噴射装置として、液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)3が搭載されたインクジェット式プリンター(以下、プリンター)1を例に挙げて行う。
図1は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図、図2は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図である。なお、図2に示す外部装置50は、例えばコンピューター、デジタルカメラ、携帯電話機などの電子機器である。この外部装置50は、プリンター1と無線又は有線で電気的に接続されており、塩化ビニル等の樹脂や紙からなる記録媒体2(液体の着弾対象の一種)に画像やテキストの記録(吐出処理)を指示・命令するため、指示・命令と共にその画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
本実施形態におけるプリンター1は、記録ヘッド3、キャリッジ移動機構5、搬送機構6等を備えている。図1に示すように、記録ヘッド3は、液体の一種であるインクが貯留されたインクカートリッジ7を搭載したキャリッジ4の底面側に取り付けられている。そして、当該キャリッジ4は、キャリッジ移動機構5によってガイドロッド10に沿って往復移動可能に構成されている。すなわち、プリンター1は、搬送機構6によって記録媒体2をプラテン12上に順次搬送すると共に、記録ヘッド3を記録媒体2の幅方向(主走査方向)に相対移動させながら当該記録ヘッド3のノズル24(図3参照)からインク滴を噴射(吐出ともいう)させて、記録媒体2上に着弾させることにより画像等を記録する。なお、インクカートリッジがプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジのインクが供給チューブを通じて記録ヘッド側に送られる構成を採用することもできる。
プラテン12に対して主走査方向の一端側(図1中、右側)に外れた位置には、記録ヘッド3の待機位置であるホームポジションが設定されている。このホームポジションには、キャップ13が設けられている。キャップ13は、例えば、エラストマー等の弾性部材からなり、上方(記録ヘッド3側)に向けて開口したノズル封止空間13aを有する部材である。このキャップ13は、キャップ移動機構54(図2参照)の駆動によりホームポジションにある記録ヘッド3のノズル面16(図3参照)に対して当接させた封止状態、或いは、当該ノズル面16から離隔させた待避状態に変換可能に構成されている。そして、キャップ13は、記録ヘッド3が、プラテン12上の記録媒体2に対して記録動作を行っていない待機状態、或いは、プリンター1の電源がオフの状態において、記録ヘッド3のノズル面16を封止状態とする。また、キャップ13は、吸引ポンプ55の駆動によりノズル24からインクを吸引する吸引動作においても、記録ヘッド3のノズル面16を封止状態とする。すなわち、吸引動作においては、キャップ13をノズル面16に当接させてノズル24をキャップ13内のノズル封止空間13a内に封止した状態で、ノズル封止空間13aと連通する吸引ポンプ55を駆動させてノズル封止空間13a内を負圧にする。なお、吸引動作に関し、詳しくは後述する。
また、キャップ13の他側(ホームポジションとは反対側)の隣には、ワイパー14が設けられている。このワイパー14は、例えば、エラストマー等の弾性部材からなり、ワイパー移動機構56(図2参照)の駆動により記録ヘッド3のノズル面16に対して当接可能な位置に移動した払拭状態、或いは、当該ノズル面16に当接する位置から離隔させた非払拭状態に変換可能に構成されている。そして、ワイパー14を払拭状態にして、記録ヘッド3を主走査方向に移動させれば、ワイパー14がノズル面16を払拭するように構成されている。なお、払拭動作に関し、詳しくは後述する。さらに、ワイパー14の他側の隣には、フラッシングボックス15が設けられている。このフラッシングボックス15は、後述する圧電素子32を駆動させて、ノズル24から液体を噴射するフラッシング動作において、当該ノズル24から噴射されたインクを捕集する部材である。本実施形態におけるフラッシングボックス15は、上方(記録ヘッド3側)に向けて開口した箱体状に形成されている。なお、フラッシング動作は、吸引動作や払拭動作等が行われるクリーニング動作に含まれ、一般的には一連のクリーニング動作の最後に行われる。
また、図2に示すように、本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー51とプリントエンジン52とを有している。プリンターコントローラー51は、プリンター1における各部の制御を行う制御ユニットである。図2に示すように、本実施形態におけるプリンターコントローラー51は、インターフェース(I/F)部58と、主制御回路59と、記憶部60と、駆動信号発生回路61と、を有する。インターフェース部58は、外部装置50からプリンター1へ印刷データや印刷命令を受け取ったり、プリンター1の状態情報を外部装置50側に出力したりする。記憶部60は、主制御回路59のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。
主制御回路59は、記憶部60に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。また、本実施形態における主制御回路59は、外部装置50からの印刷データに基づき、記録動作時にどのノズル24からどのタイミングでインクを吐出させるかを示す吐出データを生成し、当該吐出データを記録ヘッド3のヘッドコントローラー65に送信する。また、リニアエンコーダー11から出力されるエンコーダーパルスからタイミングパルスPTSを生成する。そして、主制御回路59は、このタイミングパルスPTSに同期させて印刷データの転送や、駆動信号発生回路61による駆動信号の生成等を制御する。また、主制御回路59は、タイミングパルスPTSに基づいて、ラッチ信号LAT等のタイミング信号を生成して記録ヘッド3のヘッドコントローラー65に出力する。
ヘッドコントローラー65は、上記吐出データおよびタイミング信号に基づき駆動信号を選択的に圧電素子32に印加する。これにより圧電素子32が駆動されてノズル24からインクが吐出されたり、インクが吐出されない程度に微振動動作が行われたりする。駆動信号発生回路61は、記録媒体2に対してインクを噴射して画像等を記録するための駆動パルスを含む駆動信号を発生する。また、ヘッドコントローラー65は、主制御回路59からの命令に応じて、ノズル24に連通する流路(具体的には、共通液室26)内のインクを帯電させるために、所定の電圧を電極57に印加する。
次に、プリントエンジン52について説明する。このプリントエンジン52は、図2に示すように、搬送機構6、キャリッジ移動機構5、リニアエンコーダー11、ワイパー移動機構56、キャップ移動機構54、吸引ポンプ55、電極57、及び、記録ヘッド3等を備えている。キャリッジ移動機構5は、タイミングベルト8、このタイミングベルト8を駆動するDCモーター等のパルスモーター9等を備えている(図1参照)。そして、キャリッジ移動機構5は、キャリッジ4に搭載された記録ヘッド3を主走査方向に移動させる。また、搬送機構6は、記録媒体2をプラテン12上に順次送り出し、プラテン12上の記録媒体2を副走査方向に移送する。さらに、リニアエンコーダー11は、キャリッジ4に搭載された記録ヘッド3の走査位置に応じたエンコーダーパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー51に出力する。プリンターコントローラー51の主制御回路59は、リニアエンコーダー11側から受信したエンコーダーパルスに基づいて記録ヘッド3の走査位置(現在位置)を把握することができる。
ワイパー移動機構56は、クリーニング動作の1つである払拭動作を行う際に、ワイパー14を非払拭状態(具体的には、ノズル面16に接触しない下降状態)から払拭状態(具体的には、ノズル面16に接触する上昇状態)に変換させるモーター等からなる機構である。また、キャップ移動機構54は、記録ヘッド3を待機状態に移行する際、プリンター1の電源が切られる際、及び、クリーニング動作の1つである吸引動作を行う際に、ホームポジションに位置する記録ヘッド3に対してキャップ13を待避状態から封止状態に変換させるモーター等からなる機構である。そして、吸引ポンプ55は、吸引動作において、封止状態に変換されたキャップ13のノズル封止空間13a内を負圧にして、当該ノズル封止空間13a内に封止されたノズル24からインクを吸引する。そして、払拭動作、又は、吸引動作において、電極57は、ヘッドコントローラー65から所定の電圧が印加されて、ノズル24に連通する流路(具体的には、共通液室26)内のインクを帯電させる。また、この電極57にかかる電圧又は電極57を流れる電流の情報は、ヘッドコントローラー65を介して主制御回路59に送られ、当該主制御回路59により監視される。そして、主制御回路59は、電極57にかかる電圧又は電極57を流れる電流からノズル24に連通する流路内に破損している箇所があるか否かを判定する。すなわち、主制御回路59は、流路内の破損を判定する判定回路として機能する。
次に、記録ヘッド3の内部構成について説明する。図3は、記録ヘッド3の断面図である。図4は、流路基板29を上方(ヘッドケース19側)から見た平面図である。記録ヘッド3は、図3に示すように、ノズルプレート23、流路基板29、圧電素子32(アクチュエーターの一種)、封止板33、及び、コンプライアンス基板37等が積層された状態で、ヘッドケース19に取り付けられている。なお、便宜上、各部材の積層方向を上下方向として説明する。
本実施形態におけるヘッドケース19は、合成樹脂製の箱体状部材である。図3に示すように、ヘッドケース19の中央部には、ノズル列方向に沿って長尺な空間である挿通空間20が形成されている。挿通空間20は、フレキシブル基板35が挿通される空間であり、ヘッドケース19を板厚方向に貫通した状態に形成されている。この挿通空間20は、ヘッドケース19の下方に接合される封止板33の接続空間36と連通する。なお、図示を省略するが、フレキシブル基板35は、挿通空間20の上面開口から記録ヘッド3の外側まで延在し、記録ヘッド3の上方に設けられたヘッドコントローラー65に接続される。また、ヘッドケース19の内部にはインクが流れる液体導入路21が形成されている。この液体導入路21の下端は、後述する共通液室26と接続されている。本実施形態では、挿通空間20を間に挟んでノズル列方向に直交する方向の両側に液体導入路21が形成されている。さらに、ヘッドケース19の下面のうち共通液室26に対向する部分には、共通液室26の上面を区画する封止膜39(後述)の可撓変形を阻害しない程度のコンプライアンス空間22が設けられている。
圧電素子32が積層される流路基板29は、ノズル列方向に沿って長尺なシリコン製の基板(例えば、シリコン単結晶基板)である。この流路基板29には、図4に示すように、流路基板29の長手方向に沿って長尺な連通部27が2本形成されている。この連通部27は、それぞれ封止板33の貫通部46と連通して共通液室26を構成する。また、流路基板29の2つの連通部27に挟まれた領域には、ノズル列方向に沿って複数の圧力室30が、並設されている。この圧力室30の列は、2つの連通部27に対応して2列に形成されている。各圧力室30は、圧力室30よりも狭い幅に形成された供給路28を介して、連通部27と連通されている。なお、2列に形成された圧力室30の列同士は、ノズル24の配列に対応して、ノズル列方向に、互いに半ピッチずれて配置されている。
流路基板29の下面(圧電素子32とは反対側の面)には、ノズルプレート23が、接着剤等を介して固定されている。このノズルプレート23は、シリコン製の基板(例えば、シリコン単結晶基板)からなり、圧力室30に連通するノズル24が圧力室30毎に複数穿設されている。すなわち、ノズルプレート23には、複数のノズル24(ノズル列という)がノズルプレート23の長手方向に沿って直線状(換言すると、列状)に開設されている。この並設された複数のノズル24(ノズル列)は、一端側のノズル24から他端側のノズル24までドット形成密度に対応したピッチで等間隔に設けられている。本実施形態では、2列に形成された圧力室30の列に対応して、ノズル列が2列形成されている。なお、これらのノズル列同士は、ノズル24の配列方向(すなわち、ノズル列方向)において、互いに半ピッチずれて配置されている。すなわち、一方のノズル列に含まれるノズル24と他方のノズル列に含まれるノズル24とは、ノズル列方向に位置をずらして互い違いに配置されている。また、ノズルプレート23の下面(流路基板29とは反対側)が、ノズル24が開口されたノズル面16となる。
また、ノズル面16には、ノズル24から噴射されるインクに対して撥液性を有する撥液膜25が形成されている。この撥液膜25は、例えば、フッ素等を含む樹脂からなり、固定板45が接続される領域以外のノズル面16の全面に形成されている。このようにノズル面16に撥液膜25を設けることで、当該ノズル面16に開口されたノズル24内に良好なメニスカスを形成することができる。一方で、このような撥液膜25は、絶縁性を有するため、帯電し易い。このため、本発明においては、帯電したノズル面16の電荷を中和或いは除去するように構成されている。この点に関し、詳しくは後述する。
なお、ノズル面16の外周には、電気的に接地された固定板45が当接されている。本実施形態における固定板45は、ステンレス鋼等の導電性を有する板材から作製され、ノズルプレート23から外れた位置で上方(ヘッドケース19側)に屈曲されている。また、この固定板45のノズル面16と平行な部分には、開口が形成されている。そして、固定板45は、この開口にノズル24を露出させた状態でノズル面16の周縁部に当接されている。これにより、固定板45とノズルプレート23とが電気的に導通される。なお、本発明におけるノズル面は、ノズルプレート23のノズル面16だけでなく、固定板45の下面(プラテン12上の記録媒体2に対向する面)をも含む概念である。すなわち、記録ヘッド3の下面が本発明におけるノズル面に相当する。
流路基板29の上面(ノズルプレート23とは反対側の面)には、振動板31が積層されている。この振動板31は、例えば、流路基板29の上面(すなわち、封止板33側とは反対側の面)に形成された二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜と、この弾性膜上に形成された二酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜と、から成る。この振動板31によって、圧力室30となるべき空間の上部開口が封止されている。換言すると、振動板31によって、圧力室30の上面が区画されている。この振動板31における圧力室30(詳しくは、圧力室30の上部開口)に対応する部分は、圧電素子32の撓み変形に伴ってノズル24から遠ざかる方向あるいは近接する方向に変位する変位部として機能する。なお、振動板31のうち連通部27に対応する領域は、振動板31が除去された開口となっている。
振動板31(詳しくは振動板31の絶縁膜)の上面(すなわち、振動板31の流路基板29側とは反対側の面)における各圧力室30に対応する領域には、圧電素子32がそれぞれ積層されている。本実施形態における圧電素子32は、所謂撓みモードの圧電素子である。この圧電素子32は、各ノズル24に対応してノズル列方向に沿って複数並設されている。各圧電素子32は、例えば、振動板31上から順に、個別電極となる下電極層、圧電体層及び共通電極となる上電極層が順次積層されてなる。なお、駆動回路や配線の都合によって、下電極層を共通電極、上電極層を個別電極にすることもできる。このように構成された圧電素子32は、下電極層と上電極層との間に両電極の電位差に応じた電界が付与されると、ノズル24から遠ざかる方向あるいは近接する方向に撓み変形する。
また、図4に示すように、各圧電素子32からは、2列に形成された圧力室30の列間(すなわち、圧電素子32の列間)における振動板31上の領域に向けてリード配線40が延在されている。このリード配線40の圧電素子32とは反対側の端部には、フレキシブル基板35の接続端子(図示せず)と接続される駆動端子41が設けられている。2列の圧電素子32の列のうち一側の圧電素子32の列から延在されたリード配線40と、他側の圧電素子32の列から延在されたリード配線40とは、圧電素子32の配列に対応して、ノズル列方向に沿って互い違いに配置されている。そして、これらのリード配線40の端部に形成される駆動端子41は、両側の圧電素子32の列の略中央においてノズル列方向に沿って等間隔に配置されている。また、これらの駆動端子41は、後述する接続空間36内に露出されている。なお、駆動端子の列を圧電素子の列に対応して2列に形成することもできる。また、この場合、それぞれの駆動端子の列毎にフレキシブル基板を設けても良い。
さらに、図3及び図4に示すように、振動板31の上面における共通液室26の周縁には、電極57が形成されている。すなわち、連通部27に対応する領域が除去された振動板31の開口の周縁に電極57が積層されている。本実施形態においては、共通液室26が2つ形成されているため、これに対応して電極57がノズル列方向に直交する方向に離れて2つ形成されている。そして、この電極57の内側の部分(具体的には、共通液室26に臨む部分)は、共通液室26内に露出されている。すなわち、電極57は、振動板31と封止板33との間における共通液室26の内周面に露出されている。これにより、クリーニング動作の際等において電極57に電圧が印加されることで、共通液室26内のインクを帯電させることができる。そして、この帯電されたインクを用いて、ノズル面16(具体的には、撥液膜25)の電荷を中和或いは除去することができる。この点に関し、詳しくは後述する。なお、両電極57は、電極用リード配線47を介して、両電極57に共通な電極端子48に接続されている。本実施形態における電極端子48は、両電極57の間において、駆動端子41の列の並設方向における延長線上に配置されている。そして、この電極端子48は、フレキシブル基板35の電極用端子(図示せず)と接続されている。
また、振動板31の上面には、圧電素子32に対向する領域にその変位を阻害しない程度の大きさの圧電素子収容空間34を有する封止板33が接合されている。圧電素子収容空間34は、2列に形成された圧電素子32の列に対応して、2列に形成されている。この2つの圧電素子収容空間34の間には、封止板33が板厚方向に除去された接続空間36が形成されている。接続空間36は挿通空間20と連通し、その内部には挿通空間20に挿通されたフレキシブル基板35の端部が配置される。そして、フレキシブル基板35の端部は、この接続空間36内に露出した振動板31上の各端子41、48と接続されている。さらに、封止板33の連通部27に対応する位置には、厚さ方向に貫通したノズル列方向に沿って長尺な貫通部46が設けられている。本実施形態における貫通部46は、2つの連通部27に対応して2つ設けられている。この貫通部46は、連通部27と連通して、共通液室26を構成する。すなわち、貫通部46は共通液室26の上部を構成する空間である。
連通部27の上面を封止して共通液室26を区画するコンプライアンス基板37は、可撓性を有する封止膜39と金属等の硬質な部材からなる固定基板38とが積層された基板である。本実施形態におけるコンプライアンス基板37は、封止膜39を下方(すなわち、封止板33側)に配置した状態で、封止板33の上面に接合されている。このコンプライアンス基板37の挿通空間20に対応する位置には、挿通空間20と接続空間36とを連通させる開口が厚さ方向に貫通した状態に形成されている。また、コンプライアンス基板37の液体導入路21に対応する位置にも、液体導入路21と共通液室26とを連通させる開口が厚さ方向に貫通した状態に形成されている。さらに、コンプライアンス基板37の共通液室26に対向する領域のうち液体導入路21と共通液室26とを連通させる開口以外の領域は、固定基板38が除去された封止膜39のみからなる封止部43となっている。この封止部43は、共通液室26内のインクの圧力変動を吸収するコンプライアンス部として機能する。
そして、上記のように形成された記録ヘッド3は、インクカートリッジ7からインクを導入することで、液体導入路21からノズル24に至るまでの流路(本発明における流路に相当)をインクで満たす。この状態で、ヘッドコントローラー65が、主制御回路59から送られる吐出データおよびタイミング信号に基づき駆動信号を圧電素子32に供給すると、圧電素子32はその駆動信号に応じて変形し、圧力室30の容積を変化させる。この容積の変化に伴う圧力変動を利用することで、圧力室30に連通するノズル24はインクを噴射する。
ところで、上記したように、記録ヘッド3のノズル面16は、絶縁性を有する撥液膜25が形成されているため、帯電し易くなっている。具体的には、ノズル面16上の撥液膜25に付着したインクが当該撥液膜25上を移動することにより、撥液膜25はマイナスに帯電される。このような帯電現象は、流動帯電と呼ばれ、ノズル面16をワイパー14で払拭する払拭動作時やノズル面16にキャップ13を当接する吸引動作時に起こり易いが、これらの動作時以外でも起こり得る。例えば、インクの噴射に伴って発生するミストや、記録ヘッド3の使用環境等により発生する結露等がノズル面16に付着し、これらが記録媒体2の搬送に伴って発生する気流等の影響を受けて移動することで生じる。このため、本発明においては、クリーニング動作、より具体的には、吸引動作又は払拭動作、或いは、吸引動作と払拭動作の両方の動作を連続して行う際に、帯電したノズル面16の電荷を中和或いは除去するように構成されている。このノズル面16の電荷を中和或いは除去する動作について、以下に説明する。
図5及び図6は、ノズル面16の電荷を中和或いは除去する払拭動作を模式的に表した図である。払拭動作は、例えば記録媒体2に対する記録動作が終了した際や所定時間が経過した後等に行われる。まず、記録ヘッド3をホームポジション側に向けて移動させ、ワイパー14が当接可能な位置まで移動させる。この際、電極57には、主制御回路59からの命令に応じて、ヘッドコントローラー65からノズル面16とは異なる極性(具体的には、プラス)の電圧が印加される。これにより、共通液室26内を含む記録ヘッド3の流路内のインクがプラスに帯電される。なお、電極57に印加される電圧は、インクの帯電量の絶対値が流動帯電による帯電量の絶対値よりも大きくなるように設定されている。すなわち、ノズル面16の帯電を抑制できる電圧に設定されている。次に、ノズル24からインクが噴射されない程度に圧電素子32を駆動させる。これにより、図5に示すように、ノズル24から帯電されたインクInが溢れた状態となる。すなわち、帯電されたインクInの一部がノズル面16よりも下方に溢れ出た状態となる。
そして、この状態でワイパー14によりノズル面16を払拭させる。詳しくは、ワイパー移動機構56を駆動させて、ワイパー14を記録ヘッド3のノズル面16に当接可能な位置まで移動させる。すなわち、ワイパー14を払拭状態に変換させる。ワイパー14が払拭状態に変換されたならば、キャリッジ移動機構5を駆動させて、キャリッジ4を主走査方向に移動させる。これにより、ワイパー14がノズル面16に当接すると共に、キャリッジ4の移動に伴って、ワイパー14がノズル面16に対して相対的に移動してノズル面16を払拭する。この際、ノズル24から帯電されたインクInが溢れているため、図6に示すように、ワイパー14がノズル24を通過すると、この帯電されたインクInは、ワイパー14の先端の幅方向に広がって当該ワイパー14に捕獲されつつノズル面16を移動する。すなわち、ワイパー14によるノズル面16の払拭により、帯電されたインクInがノズル面16上(具体的には、撥液膜25上)に広がる。要するに、払拭動作においては、このワイパー14が、帯電されたインクInを撥液膜25上に広げる拡散機構となる。ここで、ノズル面16のマイナスの電荷は、プラスに帯電されたインクInに引き寄せられる。すなわち、ノズル面16の電荷は、ノズル面16に広がったインクInに引き寄せられて、ワイパー14の払拭により当該インクInと共にノズル面16から除去される。また、インクInが完全に除去されずにノズル面16に残ったとしても、このインクInはプラスに帯電されているため、マイナスに帯電されたノズル面16を中和する。いずれにしても、ノズル面16が帯電した状態を緩和することができる。そして、ワイパー14によりノズル面16が1回又は複数回払拭されたならば、電極57への電圧の印加を解除し、ワイパー14を非払拭状態に変換させて払拭動作を終了する。
このように、本実施形態においては、払拭動作において、ノズル面16が帯電した状態を緩和することができ、ノズル面16と記録媒体2との間の電界強度を弱めることができる。その結果、ノズル24から噴射されたインクInを記録媒体2に着弾させ易くすることができる。そして、本実施形態では、払拭動作により帯電されたインクInをノズル面16上に広げたので、ノズル面16に付着した紙粉等の異物を除去しつつ、ノズル面16が帯電した状態を緩和する(或いは、無くす)ことができる。なお、記録動作時においてインクを噴射する際には、電極57への電圧の印加は行われず、噴射されるインクは帯電されない。
また、図7〜図9は、ノズル面16の電荷を中和する吸引動作を模式的に表した図である。吸引動作は、例えば記録媒体2に対する記録動作が終了した際や所定時間が経過した後等に行われる。まず、記録ヘッド3をホームポジションまで移動させると共に、キャップ移動機構54を駆動させて、キャップ13を記録ヘッド3のノズル面16に当接させる。すなわち、図7に示すように、キャップ13を封止状態に変換させる。これにより、ノズル24がキャップ13により封止された状態となる。この際、上記の払拭動作と同様に、電極57にノズル面16とは異なる極性(具体的には、プラス)の電圧が印加される。これにより、共通液室26内を含む記録ヘッド3の流路内のインクがプラスに帯電される。次に、吸引ポンプ55を駆動させて、ノズル封止空間13a内を負圧にさせる。その結果、図8に示すように、帯電されたインクInがノズル24から強制的に排出(或いは吸引)され、キャップ13のノズル封止空間13a内に溜まる。この際、ノズル24から排出されたインクInの一部が飛沫となってノズル面16に付着したり、ノズル24の縁からノズル面16に漏れたりして、ノズル面16に帯電されたインクInが広がる。或いは、一旦ノズル封止空間13a内をインクInで満たすことで、ノズル面16に帯電されたインクInを広げても良い。
その後、ノズル封止空間13a内に溜まったインクInを吸引ポンプ55側に排出した後、キャップ移動機構54を駆動させて、ノズル面16からキャップ13を離隔させる。すなわち、キャップ13を待避状態に変換させる。これとともに、電極57への電圧の印加を解除して、吸引動作を終了する。これにより、図9に示すように、ノズル面16に帯電されたインクInが広がった状態となる。要するに、吸引動作においては、キャップ13及び吸引ポンプ55が、帯電されたインクInを撥液膜25上に広げる拡散機構となる。そして、この状態においては、マイナスに帯電されたノズル面16がプラスに帯電されたインクInにより中和される。すなわち、ノズル面16が帯電した状態を緩和する(或いは、無くす)ことができる。そして、このように、帯電されたインクInが撥液膜25上に広がった状態、すなわちノズル面16の電荷が中和された状態で、インクInを噴射すれば、ノズル面16と記録媒体2との間の電界強度が弱まっているため、ノズル24から噴射されたインクInを記録媒体2に着弾させ易くすることができる。そして、本実施形態では、吸引動作により帯電されたインクInをノズル面16上に広げたので、ノズル24や記録ヘッド3の流路内の増粘したインクIn、異物、気泡等を除去しつつ、ノズル面16が帯電した状態を緩和する(或いは、無くす)ことができる。なお、このような吸引動作の後に払拭動作を行っても良い。払拭動作を行う場合は、帯電されたインクInと共に、ノズル面16の電荷が除去される。
このように、帯電された撥液膜25の極性とは異なる極性の電圧を電極57に印加し、撥液膜25の極性とは異なる極性のインクInを撥液膜25上に広げたので、ノズル面16(具体的には、撥液膜25)が帯電した状態を緩和することができる。その結果、ノズル面16と記録媒体2との間の電界強度を弱めることができ、ノズル24から噴射されたインクInを記録媒体2に着弾させ易くすることができる。また、プリンター1の筐体内を浮遊するゴミなどの異物がノズル面16に付着することも抑制できる。さらに、本実施形態においては、クリーニング動作として、払拭動作、吸引動作、或いは、吸引動作の後に払拭動作を行う一連の動作を行う際に、帯電されたインクInを撥液膜25上に広げたので、帯電されたインクInを撥液膜25上に広げる動作をクリーニング動作とは別に行う場合と比べて、効率が良い。このため、記録動作以外の動作時間、すなわち、記録動作に移るまでの待機時間を短縮できる。なお、クリーニング動作には、払拭動作や吸引動作等の後に行われるフラッシング動作も含まれる。
ところで、上記した第1の実施形態では、撥液膜25は、固定板45が接続される領域以外のノズル面16の全面に形成されたが、これには限られない。図10に示す第2の実施形態においては、ノズル24が形成された第1の領域71よりも外側の第2の領域72の撥液膜25′が除去されている。なお、図10は、第2の実施形態におけるノズルプレート23(より詳しくは、固定板45の開口に露出したノズルプレート23)の底面図、すなわちノズル面16′の下面図である。また、図10においてはハッチングで示す領域が第2の領域72である。
具体的には、図10に示すように、第1の領域71は、ノズル24が開口された領域、すなわち、2つのノズル列が形成されたノズル面16′の長手方向に沿って長尺な領域である。この領域には、撥液膜25′が形成されている。一方、この領域の外側に形成される第2の領域72は、撥液膜25′が形成されず、第1の領域71よりもインクに対する撥液性が低くなっている。そして、このような構成において、払拭動作を行えば、ノズル24から溢れたインクが第1の領域71から第2の領域72に移動し易くなる。すなわち、ワイパー14により、第1の領域71と第2の領域72とに亘って帯電されたインクが広げられる。また、吸引動作においても、ノズル24からのインクの吸引により第1の領域71に付着したインクが第2の領域72に移動し易くなる。すなわち、キャップ13及び吸引ポンプ55により、第1の領域71と第2の領域72とに亘って帯電されたインクが広げられる。
このように、本実施形態においては、第1の領域71に付着したインクが第2の領域72に移動し易いため、帯電したインクを効率良くノズル面16′に広げることができる。その結果、撥液膜25′の全面に亘って帯電した状態を緩和し易くなる。また、撥液膜25′が形成される第1の領域71にノズル24が設けられるため、ノズル24内に良好なメニスカスを形成できる。なお、本実施形態においては、第2の領域72の撥液膜25′が除去されたが、これには限られない。第2の領域72は、第1の領域71よりもインクに対する撥液性が低ければ良い。例えば、第1の領域71に形成された撥液膜よりもインクに対する撥液性が低い膜が第2の領域72に形成さる構成を採用することもできる。なお、その他の構成は上記した第1の実施形態と同じであるため説明を省略する。
また、以上においては、拡散機構として、キャップ13及び吸引ポンプ55、又は、樹脂からなるワイパー14を例示したが、これには限られない。ノズル面16に帯電されたインクを拡散できればどのような構成であっても良い。例えば、ノズル面に風を送る送風機や布からなるワイパーを拡散機構として用いて、ノズルから溢れたインク(或いはノズル面に付着したインク)を拡散させても良い。また、送風機のように、クリーニング動作に使用されないものを拡散機構として用いる場合、クリーニング動作とは別の動作でノズル面が帯電した状態を緩和する。さらに、本実施形態における電極57は、流路内の破損を判定する電極として用いることができる。例えば、主制御回路59の命令に応じて圧電素子32に電圧を印加しつつ、電極57にかかる電圧又は電極57を流れる電流を監視する。そして、振動板31にクラックがある場合には、圧電素子32からインクを介して電流が流れるため、電極57にかかる電圧又は電極57を流れる電流が変化する。この変化から、主制御回路59は、振動板31にクラックがあるか否かを判定する。なお、振動板31にクラックがあると判定したならば、報知機構によりその旨を報知するように構成しても良い。例えば、プリンター1に設けられた画面にその旨を表示したり、LED等のランプを点滅させたり、或いは警告音を発したりして、報知する。
また、以上においては、記録ヘッド3のノズル面16に固定板45が取り付けられた構成を例示したが、これには限られない。固定板45が設けられず、ノズル面が記録ヘッドの最下面となる構成を採用することもできる。この場合、ノズル面のみが本発明におけるノズル面に相当する。さらに、液体噴射ヘッドとして、記録媒体の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に走査(往復移動)しつつインクの噴射を行う所謂シリアルヘッドを例示したがこれには限られない。インクの噴射を行う単位ヘッドを記録媒体の幅方向に複数並べた液体噴射ヘッド(所謂ラインヘッド)にも本発明を適用することもできる。
そして、以上においては、液体噴射装置としてインクジェット式記録ヘッド3を備えたプリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、その他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を備えた液体噴射装置にも本発明を適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドでは液体の一種としてR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液体の一種として液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは液体の一種として生体有機物の溶液を噴射する。
1…プリンター,2…記録媒体,3…記録ヘッド,4…キャリッジ,5…キャリッジ移動機構,6…搬送機構,7…インクカートリッジ,8…タイミングベルト,9…パルスモーター,10…ガイドロッド,11…リニアエンコーダー,12…プラテン,13…キャップ,13a…ノズル封止空間,14…ワイパー,15…フラッシングボックス,16…ノズル面,19…ヘッドケース,20…挿通空間,21…液体導入路,22…コンプライアンス空間,23…ノズルプレート,24…ノズル,25…撥液膜,26…共通液室,27…連通部,28…供給路,29…流路基板,30…圧力室,31…振動板,32…圧電素子,33…封止板,34…圧電素子収容空間,35…フレキシブル基板,36…接続空間,37…コンプライアンス基板,38…固定基板,39…封止膜,40…リード配線,41…駆動端子,43…封止部,45…固定板,46…貫通部,47…電極用リード配線,48…電極端子,50…外部装置,51…プリンターコントローラー,52…プリントエンジン,54…キャップ移動機構,55…吸引ポンプ,56…ワイパー移動機構,57…電極,58…インターフェース部,59…主制御回路,60…記憶部,61…駆動信号発生回路,65…ヘッドコントローラー,71…第1の領域,72…第2の領域,91…記録媒体,92…液体噴射ヘッド,93…ノズル面,94…ノズル

Claims (6)

  1. 液体が噴射されるノズルが開口され、前記液体に対して撥液性を有する撥液膜が設けられたノズル面、及び、前記ノズルに連通する流路を備えた液体噴射ヘッドと、
    電圧が印加されて前記流路内の液体を帯電させる電極と、
    前記電極により帯電された液体を前記撥液膜上に広げる拡散機構と、
    を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記ノズル又は前記ノズル面を清掃するクリーニング動作を実行可能であり、
    前記クリーニング動作を行う際に、帯電された液体を前記拡散機構により前記撥液膜上に広げることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記クリーニング動作は、前記ノズル面を払拭する払拭動作を含み、
    前記拡散機構は、前記払拭動作の際に、前記ノズル面を払拭するワイパーを備え、
    前記ノズルから前記ノズル面よりも下方に液体を溢れさせた状態で前記ワイパーにより前記ノズル面を払拭させることで、帯電された液体を前記撥液膜上に広げることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記クリーニング動作は、前記ノズルから液体を吸引する吸引動作を含み、
    前記拡散機構は、前記吸引動作の際に、前記ノズルを前記ノズル面側から封止するキャップ及び前記キャップに封止された前記ノズルから液体を吸引する吸引ポンプを備え、
    前記キャップにより前記ノズルが封止された状態で前記吸引ポンプにより前記ノズルから帯電した液体を吸引させることで排出された当該液体を前記撥液膜上に付着させることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
  5. 前記ノズル面は、前記ノズルが開口された第1の領域と、前記第1の領域よりも撥液性が低い第2の領域と、を有し、
    前記拡散機構は、前記第1の領域と前記第2の領域とに亘って帯電された液体を広げることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 帯電された液体が前記撥液膜上に広がった状態で、ノズルから液体の噴射を行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置。

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