JP2019088194A - 再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法及びその使用 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛髪を再生可能であり、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法を提供する。【解決手段】再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法は、規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版に、間葉系細胞及び上皮系細胞を同時に播種し、酸素を供給しながら共培養することにより、前記微小凹部内に毛包原基を形成させる毛包原基形成工程と、前記毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを同時に播種し、共培養することにより、培養皮膚を形成させる培養皮膚形成工程と、を備える方法であって、前記マイクロ凹版が酸素透過性を有する材質からなる。【選択図】なし

Description

本発明は、再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法及びその使用に関する。具体的には、本発明は、再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法、培養皮膚含有シート、培養皮膚含有シートの製造方法及び培養皮膚含有シートの製造キットに関する。
臨床応用に足る毛包再生医療の確立には、再生毛包が正常な組織構造を有し、移植部位に適した毛幹を有する毛が、形成、伸長することが必要である。毛等の皮膚付属器を含む外胚葉性付属器官は、通常、胎児期において、上皮系細胞及び間葉系細胞の相互作用により発生する。外胚葉性付属器官の一つである毛包は、個体の生涯にわたって成長及び退行(毛周期)を繰り返し、成長期における毛球部の再生は、毛包器官発生期と同様な分子機構により誘導されることが知られている。また、このような毛周期における毛球部の再生は、間葉系細胞である毛乳頭細胞により誘導されると考えられている。すなわち、成長期において、毛包上皮幹細胞が間葉系細胞である毛乳頭細胞により分化誘導され毛球部が再生される。
一方、従来では、皮膚の細胞を三次元的に培養することで、生体外で培養皮膚を再生し、これを移植することで皮膚を再生する方法が一般的であった。例えば、特許文献1には、毛包に由来する細胞を用いて三次元培養皮膚モデルを構築し、皮膚の機能を評価する方法が開示されている。また、特許文献2には、積層化させた培養皮膚の間に毛乳頭細胞の層を形成し、培養することで得られる皮膚付属器様の構造を有する人工組織が開示されている。
また、本発明者らはこれまで、再生毛包原基の集合体の製造方法を開発してきた(例えば、特許文献3参照)。具体的には、規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版に、間葉系細胞及び上皮系細胞を播種し、酸素を供給しながら共培養することで、毛包原基を形成させる工程を備える方法である。
特開2014−204711号公報 特開平10−136977号公報 国際公開第2017/073625号
しかしながら、特許文献1及び2に記載の技術では、再生した皮膚に毛包を再生させることが非常に困難であり、毛幹が表皮に突出した皮膚を再生することは未だに実現されていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、毛髪を再生可能であり、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法を提供する。また、毛髪を再生可能であり、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な培養皮膚含有シート、その製造方法及びその製造キットを提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法は、規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版に、間葉系細胞及び上皮系細胞を同時に播種し、酸素を供給しながら共培養することにより、前記微小凹部内に毛包原基を形成させる毛包原基形成工程と、前記毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを同時に播種し、共培養することにより、培養皮膚を形成させる培養皮膚形成工程と、を備える方法であって、前記マイクロ凹版が酸素透過性を有する材質からなる。
上記第1態様に係る再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法において、前記マイクロ凹版における前記微小凹部の密度が20個/cm以上500個/cm以下であってもよい。
前記培養皮膚形成工程において、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地を混合した培地を用いてもよい。
前記培養皮膚形成工程において、前記角化細胞及び前記線維芽細胞を、前記毛包原基が形成された前記マイクロ凹版の前記微小凹部内に同時に播種し、共培養してもよい。
本発明の第2態様に係る培養皮膚含有シートの製造方法は、上記第1態様に係る再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法により得られる再生毛包原基を有する培養皮膚を、生体適合性ハイドロゲルに転写する工程を備える方法である。
上記第2態様に係る培養皮膚含有シートの製造方法において、前記生体適合性ハイドロゲルがコラーゲンであってもよい。
本発明の第3態様に係る培養皮膚含有シートは、支持体上に、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞を含む培養皮膚を備える。
上記第3態様に係る培養皮膚含有シートにおいて、前記支持体上における前記培養皮膚の密度が20個/cm以上500個/cm以下であってもよい。
上記第3態様に係る培養皮膚含有シートにおいて、前記支持体がコラーゲンを含んでもよい。
本発明の第4態様に係る培養皮膚含有シートの製造キットは、規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版と、支持体と、を備える。
上記第4態様に係る培養皮膚含有シートの製造キットにおいて、前記マイクロ凹版における前記微小凹部の密度が20個/cm以上500個/cm以下であってもよい。
上記第4態様に係る培養皮膚含有シートの製造キットにおいて、前記支持体がコラーゲンを含んでもよい。
上記第4態様に係る培養皮膚含有シートの製造キットは、更に、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地を備えてもよい。
上記態様の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法によれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚を得られる。また、上記態様の培養皮膚含有シートによれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成することができる。上記態様の培養皮膚含有シートの製造方法及び上記態様の培養皮膚含有シートの製造キットによれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚含有シートが得られる。
本実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法の一例を示す概略工程図である。 本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法の一例を示す概略工程図である。 実施例1におけるマイクロ凹版の作製方法を示す概略工程図である。 実施例1における培養皮膚含有シート(毛包原基あり)及び培養皮膚含有シート(対照群:毛包原基なし)を示す画像である。 試験例1における培養皮膚含有シートのマウスへの移植方法を示す概略工程図である。 試験例1におけるマウスの培養皮膚含有シート(毛包原基あり)及び培養皮膚含有シート(対照群:毛包原基なし)の移植部を経時的に観察した画像である。 試験例1における移植から21日目のマウスの培養皮膚含有シート(毛包原基あり)の移植部での再生毛髪を示す画像である。 試験例1における移植から21日目のマウスの培養皮膚含有シート(毛包原基あり)の移植部の組織切片のHE染色像である。また、画像のスケールバーは50μmである。 試験例1における移植から21日目のマウスの培養皮膚含有シート(毛包原基あり)及び培養皮膚含有シート(対照群:毛包原基なし)の移植部、並びに、非移植部での経皮水分蒸発量(TEWL)の測定値を示すグラフである。 比較例1における従来の培養皮膚含有シートの作製方法を示す概略工程図である。 試験例2における移植から7、14及び21日目のマウスの比較例1で作製した再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートの移植部を示す画像である。
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
≪再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法≫
本実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法は、毛包原基形成工程と、培養皮膚形成工程と、を備える方法である。
毛包原基形成工程では、規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版に、間葉系細胞及び上皮系細胞を同時に播種し、酸素を供給しながら共培養することにより、前記微小凹部内に毛包原基を形成させる。
また、毛包原基形成工程で用いられるマイクロ凹版が酸素透過性を有する材質からなる。
培養皮膚形成工程では、前記毛包原基形成工程で得られた毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを同時に播種し、共培養することにより、培養皮膚を形成させる。
本実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法では、上記構成を有することにより、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚を簡便に得られる。
なお、一般に、「培養皮膚」とは、皮膚を構成する細胞を用いて、人為的に作製した皮膚に類似した構造の組織を意味する。本実施形態の製造方法により得られる培養皮膚は、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞を含む。
従来の培養皮膚は、毛包原基を有しないため、毛包を再生させることが非常に困難であり、毛幹が表皮に突出した皮膚を再生することは未だに実現されていなかった。
これに対し、本実施形態の製造方法では、毛包原基と皮膚を構成する細胞(角化細胞及び線維芽細胞)とを共培養することで、毛髪を効率よく再生可能な培養皮膚を癌便に得ることができる。また、本実施形態の製造方法により得られる培養皮膚は、後述の実施例に示すように、毛包原基を含むことにより、毛包に加えて、皮脂腺様構造を有する。そのため、当該培養皮膚では、皮脂の分泌により、皮膚表面からの水分蒸発が抑えることができ、生体の皮膚と同様のバリア機能を有する。
また、本明細書において、「間葉系細胞」とは、間葉組織由来の細胞又はその細胞を培養して得られる細胞を意味する。間葉系細胞としては、例えば、毛乳頭細胞、真皮毛根鞘細胞、発生期の皮膚間葉系細胞、万能細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、胚性生殖(EG)細胞、人工多能性(iPS)幹細胞等)から誘導された毛包間葉系細胞等が挙げられる。
また、本明細書において、「上皮系細胞」とは、上皮組織由来の細胞及びその細胞を培養して得られる細胞を意味する。上皮系細胞としては、例えば、バルジ領域の外毛根鞘最外層細胞、毛母基部の上皮系細胞、万能細胞万能細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、胚性生殖(EG)細胞、人工多能性(iPS)幹細胞等)から誘導された毛包上皮系細胞等が挙げられる。
また、本明細書において、「角化細胞」とは、表皮を構成する主要な細胞であり、ケラチノサイトとも呼ばれる。
また、本明細書において、「線維芽細胞」とは、結合組織を構成する主要な細胞であり、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の成分を産生する細胞である。
これら細胞の由来としては、動物であり、脊椎動物が好ましく、哺乳動物がより好ましい。
哺乳動物としては、例えば、ヒト、チンパンジー及びその他の霊長類;イヌ、ネコ、ウサギ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ、ラット(ヌードラットも包含する)、マウス(ヌードマウス及びスキッドマウスも包含する)、モルモット等の家畜動物、愛玩動物及び実験用動物等が挙げられ、これらに限定されない。
中でも、細胞の由来としては、ヒトであることが特に好ましい。
本明細書において、「毛包原基」とは、毛包のもととなる組織を意味し、主に、上述の間葉系細胞及び上述の上皮系細胞から構成されている。毛包原基が形成される流れとしては、まず、上皮系細胞が肥厚し、間葉系細胞側に陥入することで、間葉系細胞の細胞集塊(スフェロイド)を包み込む。次いで、間葉系細胞のスフェロイドを包み込んだ上皮性細胞は毛母原基を形成し、間葉系細胞のスフェロイドは毛誘導能を持つ毛乳頭を形成することで、毛母原基及び毛乳頭等からなる毛包原基を形成する。この毛包原基では、毛乳頭が毛母原基に増殖因子を提供しており、毛母原基の分化を誘導し、分化した細胞は毛を形成することができる。
本明細書において、「毛包」とは、表皮が内側に筒状に入り込んだ部分であって、毛を産生する皮膚の付属器官を意味する。
本明細書において、「再生毛包原基」とは、例えば、本実施形態の製造方法における毛包原基形成工程等により作製された毛包原基を意味する。
本明細書において、「再生毛包原基の集合体」とは、上述の再生毛包原基が複数集まった状態のものを意味する。本実施形態の製造方法では、簡便に、複数の上述の毛包原基が哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度で規則的に整列した再生毛包原基の集合体を得ることができる。また、再生毛包原基の集合体は毛包原基が分化し、毛包を形成していてもよい。
従来では、間葉系細胞のスフェロイドを高密度で規則的な配列で培養した後に、上皮系細胞を後から播種し、間葉系細胞のスフェロイドの周囲を覆わせる方法によって、高密度で規則的な配列の再生毛包原基の集合体を得ていた。
これに対し、本実施形態の製造方法における毛包原基形成工程では、間葉系細胞及び上皮系細胞を同時に播種し、マイクロ凹版内で共培養することにより、簡便に、複数の毛包原基が哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度で規則的に整列しており、優れた毛髪再生効率を有する再生毛包原基の集合体を得ることができる。さらに、得られた再生毛包原基の集合体を用いて、培養皮膚を簡便且つ大量に作製することができる。
本明細書において、「規則的」とは、等間隔で毛包原基が配置されている状態を表しており、哺乳動物の皮膚における毛穴と毛穴との間隔と同程度であればよい。また、哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度とは、特に、哺乳動物がヒトを含む霊長類である場合、具体的には、20個/cm以上500個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以上250個/cm以下であることがより好ましく、100個/cm以上200個/cm以下であることがさらに好ましい。密度が上記範囲であることにより、正常な毛包組織の配置をより正確に再現した毛包組織を再生することができる。
図1は、本実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法の一例を示す概略工程図である。図1を参照しながら、本実施形態の製造方法を構成する各工程について、以下に詳細を説明する。
[毛包原基形成工程]
毛包原基形成工程は、間葉系細胞及び上皮系細胞から毛包原基を微小凹部内に形成させる工程である。具体的には、まず、間葉系細胞1及び上皮系細胞2を含む細胞混合懸濁液を調製する。このとき、間葉系細胞1及び上皮系細胞2の混合比は、間葉系細胞:上皮系細胞=1:2〜2:1であることが好ましく、1:1.5〜1.5:1であることがより好ましく、1:1であることがさらに好ましい。
次いで、調製した細胞混合懸濁液をマイクロ凹版3の微小凹部内に注入する。播種する細胞数はマイクロ凹版3の微小凹部4の大きさに応じて適宜調整すればよい。このとき、播種する細胞が多いほど、毛包原基の形成効率が高く、毛包原基の大きさも大きくなる。
次いで、酸素を供給しながら共培養する。培養時間は、1日以上5日以下(好ましくは、3日)とすることができ、培養温度は25℃以上40℃未満(好ましくは、37℃)とすることができる。
酸素を供給しながら培養する方法としては、マイクロ凹版に酸素を直接吹きかける等して供給しながら培養する方法や、酸素透過性を有する材質からなるマイクロ凹版を用いて培養する方法等が挙げられる。中でも、全面から酸素を供給でき、得られた毛包原基が優れた毛髪再生効率を達成できることから、酸素透過性を有する材質からなるマイクロ凹版を用いて培養する方法が好ましい。
本実施形態の製造方法において、毛包原基が形成される流れとしては、まず、上皮系細胞2が肥厚し、間葉系細胞1側に陥入することで、間葉系細胞1のスフェロイドを包み込む。続いて、間葉系細胞1のスフェロイドを包み込んだ上皮性細胞2は毛母原基を形成し、間葉系細胞1のスフェロイドは毛誘導能を持つ毛乳頭を形成する。これにより、マイクロ凹版3の微小凹部4内に毛母原基及び毛乳頭等からなる毛包原基5が形成される。この毛包原基5では、毛乳頭が毛母原基に増殖因子を提供しており、毛母原基の分化を誘導し、分化した細胞は毛を形成することができる。さらに、本実施形態の製造方法において、毛包原基が分化し、毛包を形成していてもよい。
毛包原基形成工程において、さらに、血管を構築しうる細胞を間葉系細胞及び上皮系細胞と同時に播種してもよい(図示せず)。
この場合、毛包原基形成工程は、マイクロ凹版に、間葉系細胞、上皮系細胞及び血管を構築しうる細胞を含む細胞混合懸濁液を播種し、酸素を供給しながら共培養することにより、微小凹部内に毛包原基を形成させる工程である。
細胞混合懸濁液が、さらに、血管を構築しうる細胞を含むことで、内部に毛細血管構造を有する再生毛包原基の集合体が得られる。得られた再生毛包原基の集合体において、毛細血管構造を有することで、各毛包原基内部に栄養成分等を充分に供給することができ、毛髪再生効率をより向上させることができる。さらに、得られた再生毛包原基の集合体を含む培養皮膚を移植に用いた場合において、毛包原基内部の毛細血管構造と移植体の血管とが連通し、栄養成分を得ることにより、移植部において、高い毛包誘導能を発揮することができる。
なお、本明細書において、「血管を構築し得る細胞」とは、血管を構築することができる細胞を意味する。例えば、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞等が挙げられ、これらの細胞を1種単独、又は、2種以上を組み合わせて含有していてもよい。
中でも、血管を構築し得る細胞としては、血管内皮細胞であることが好ましい。
血管を構築しうる細胞の由来としては、上述の間葉系細胞及び上述の上皮系細胞の由来として例示したものと同様のものが挙げられる。
血管を構築し得る細胞を用いる場合、毛包原基形成工程において、まず、間葉系細胞、上皮系細胞及び血管を構築し得る細胞を含む細胞混合懸濁液を調製する。このとき、間葉系細胞、上皮系細胞及び血管を構築し得る細胞の混合比は、間葉系細胞:上皮系細胞:血管を構築し得る細胞=2:2:1〜8:8:1であることが好ましく、4:4:1であることが特に好ましい。
細胞混合懸濁液が間葉系細胞、上皮系細胞及び血管を構築し得る細胞を含む場合での、毛包原基が形成される流れとしては以下に示すとおりである。
まず、上皮系細胞が肥厚し、間葉系細胞側に陥入することで、間葉系細胞及び血管を構築し得る細胞のスフェロイドを包み込み、上皮系細胞、間葉系細胞及び血管を構築し得る細胞からなる混合スフェロイドが形成される。続いて、混合スフェロイド内に置いて、上皮性細胞は毛母原基を形成し、間葉系細胞及び血管を構築し得る細胞のスフェロイドは毛誘導能を持つ毛乳頭を形成する。これにより、毛母原基及び毛乳頭等からなる毛包原基が形成される。この毛包原基では、毛乳頭が毛母原基に増殖因子を提供しており、毛母原基の分化を誘導し、分化した細胞は毛を形成することができる。また、このとき、毛包原基の間葉系細胞側、すなわち毛乳頭の内部では、血管を構築し得る細胞が毛細血管構造を構築している。さらに、本実施形態の製造方法において、毛包原基が分化し、毛包を形成していてもよい。
(マイクロ凹版)
毛包原基を形成させる際に使用するマイクロ凹版3は、複数の微小凹部4が規則的に配置されているものが好ましい。マイクロ凹版3は、市販のものを用いてもよいし、後述の実施例1に記載の方法等で作製してもよい。
また、マイクロ凹版3における微小凹部4の密度は、20個/cm以上500個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以上250個/cm以下であることがより好ましく、100個/cm以上200個/cm以下であることがさらに好ましい。密度が上記範囲であることにより、哺乳動物の毛穴(特に、ヒトを含む霊長類の毛穴)の密度と同程度の密度で毛包原基5を含む培養皮膚10が配置された状態で培養することができる。この規則的な配置且つ高密度の毛包原基5を含む培養皮膚10をそのままの配置を保ちながら、被検体の毛包欠損部に移植することで、正常な皮膚での毛包組織の配置をより正確に再現した皮膚を再生することができる。また、毛包原基を含む培養皮膚の上記密度は、移植に用いた場合における治療的に有効量であると考えられる。
また、微小凹部の開口形状について、特別な限定はない。例えば、円形状、四角状、六角状、ライン状等であってもよく、中でも、毛穴に近い形状であるという観点から、円形状であることが好ましい。
微小凹部の開口部の直径及び深さについて、間葉系細胞及び上皮系細胞を含む混合細胞集塊(以下、「混合スフェロイド」とも呼ぶ。)を収容し培養できる大きさであれば特別な限定はないが、直径については、哺乳動物の毛穴と同程度の大きさであってよく、例えば、20μm以上1mm以下であってよい。また、深さについては、後述の培養皮膚含有シートの移植後の被検体の皮膚への定着の観点から、1mm以下であってよい。
得られる毛包原基の配置及び大きさは、マイクロ凹版の微小凹部の開口形状、直径及び深さ等に依存するため、被検体の種類、移植する部位等に合わせて、適宜マイクロ凹版の微小凹部を調製すればよい。
マイクロ凹版の材質は、細胞培養に適したものであればよく、特別な限定はない。例えば、透明なガラス、ポリマー材等が挙げられる。中でも、酸素透過性を有するポリマー材が好ましい。酸素透過性を有するポリマー材として具体的には、例えば、フッ素樹脂、シリコンゴム(例えば、ポリジメチルシロキサン(poly(dimethylsiloxane):PDMS)等)等が挙げられる。これらの材質を単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。
本明細書において、「酸素透過性」とは、分子状の酸素を透過し、マイクロ凹版の微小凹部内まで到達させる性質を表している。具体的な酸素透過率としては、約100cm/m・24h・atm以上5000cm/m・24h・atm以下であってよく、約1100cm/m・24h・atm以上3000cm/m・24h・atm以下であってよく、約1250cm/m・24h・atm以上2750cm/m・24h・atm以下であってよい。なお、「24h」は24時間を意味し、「atm」とは、気圧をの単位を意味する。すなわち、上記単位「cm/m・24h・atm」は、1気圧の環境下において、24時間で透過する酸素の1mあたりの容量(cm)を表している。酸素透過率が上記範囲である材質からなるマイクロ凹版を使用することにより、十分な量の酸素を混合スフェロイドに供給でき、毛包原基を形成することができる。
(培地)
毛包原基形成工程で用いられる培地6としては、特別な限定はなく、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン)等を含む基本培地であればよい。
培地に含まれる無機塩は、細胞の浸透圧平衡の維持を助けるために、及び、膜電位の調節を助けるためのものである。
無機塩としては、特別な限定はなく、例えば、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。塩は、通常、塩化物、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及び重炭酸塩の形で用いられる。
一般的に、培地の重量オスモル濃度は、例えば200mOsm/kg以上400mOsm/kg以下であればよく、例えば290mOsm/kg以上350mOsm/kg以下、例えば280mOsm/kg以上310mOsm/kg以下であればよく、例えば280mOsm/kg以上300mOsm/kg未満(具体的には、280mOsm/kg)であればよい。
炭水化物としては、特別な限定はなく、例えば、グルコース、ガラクトース、マルトース、フルクトース等が挙げられる。
一般的に、培地中の炭水化物(好ましくは、D−グルコース)の濃度としては、0.5g/L以上2g/Lであることが好ましい。
アミノ酸としては、特別な限定はなく、例えば、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、及びその組み合わせ等が挙げられる。
一般的に、培地に含まれるグルタミンの濃度は0.05g/L以上1g/L以下(通常、0.1g/L以上0.75g/L以下)である。培地に含まれるグルタミン以外の各アミノ酸は、0.001g/L以上1g/L(通常、0.01g/L以上0.15g/L以下)である。アミノ酸は合成由来でもよい。
ビタミンとしては、特別な限定はなく、例えば、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、D−パントテン酸ヘミカルシウム、(ビタミンB5)、ピリドキサール/ピリドキサミン/ピリドキシン(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、アスコルビン酸(ビタミンC)、カルシフェロール(ビタミンD2)、DL−αトコフェロール(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)、メナジオン(ビタミンK)、塩化コリン、myo−イノシトール等が挙げられる。
培地は、さらに抗生物質、血清、成長因子、又はホルモンを含んでいてもよい。
抗生物質としては、例えば、ゲンタマイシン、アンフォテリシン、アンピシリン、ミノマイシン、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタシン、タイロシン、オーレオマイシン等、通常の動物細胞の培養に用いられるものが挙げられる。これらの抗生物質を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。
一般的に、培地に含まれる抗生物質の濃度は、特別な限定はなく、例えば0.1μg/mL以上100μg/mL以下であればよい。
血清としては、例えば、FBS/FCS(Fetal Bovine/Calf Serum)、NCS(Newborn Calf serum)、CS(Calf Serum)、HS(Horse Serum)等が挙げられ、これらに限定されない。
一般的に、培地に含まれる血清の濃度は、例えば2質量%以上10質量%以下であればよい。
成長因子としては、例えば、細胞増殖因子、細胞接着因子等が挙げられ、これらに限定されない。
成長因子としてより具体的には、例えば、上皮成長因子(Epidermal growth factor:EGF)、酸性繊維芽細胞成長因子(acidic fibroblast growth factor:aFGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor:bFGF)、インスリン様成長因子−1(Insulin―like growth factor−1:IGF−1)、マクロファージ由来成長因子(Macrophage−derived growth factor:MDGF)、血小板由来成長因子(Platelet−derived growth factor:PDGF)、腫瘍血管新生因子(Tumor angiogenesis factor:TAF)、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)等が挙げられる。これらの成長因子を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。
一般的に、培地に含まれる成長因子の濃度は、特別な限定はなく、例えば1ng/mL以上10μg/mL以下であればよい。
ホルモンとしては、例えば、インスリン、グルカゴン、トリヨードチロニン、副腎皮質ホルモン(ハイドロコーチゾン等)等が挙げられる。これらのホルモンを単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。
一般的に、培地に含まれるホルモンの濃度は、特別な限定はなく、例えば1ng/mL以上10μg/mL以下であればよい。
また、成長因子及びホルモンを含む培地添加剤として、ウシ脳下垂体抽出物(Bovine Pituitary Extract:BPE)を用いてもよい。
中でも、毛包原基形成工程で用いられる培地としては、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地を混合したものが好ましい。また、毛包原基形成工程において、間葉系細胞及び上皮系細胞に加えて、血管を構築し得る細胞を用いる場合、間葉系細胞増殖用培地、上皮系細胞増殖用培地及び血管内皮細胞増殖用培地を混合したものを用いることが好ましい。
間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地の混合比としては、容量比で、間葉系細胞増殖用培地:上皮系細胞増殖用培地=1:1であることが好ましい。
また、間葉系細胞増殖用培地、上皮系細胞増殖用培地及び血管内皮細胞増殖用培地の混合比としては、容量比で、間葉系細胞増殖用培地:上皮系細胞増殖用培地:血管内皮細胞増殖用培地=1:1:1であることが好ましい。
間葉系細胞増殖用培地としては、任意の抗生物質及び任意の血清、並びに、必要に応じて、任意の成長因子及び任意のホルモンを添加した公知の基本培地を用いればよい。
前記公知の基本培地としてより具体的には、例えば、DMEM、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI−1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F−12(DMEM/F−12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)等が挙げられる。
また、任意の抗生物質、任意の血清、任意の成長因子、及び任意のホルモンを含む間葉系細胞増殖用培地としては、例えば、毛乳頭細胞増殖培地(Follicle Dermal Papilla Cell Growth Medium:DPCGM)(Promo Cell社製)等が挙げられる。
上皮系細胞増殖用培地としては、塩化カルシウムを含み、無血清であって、上皮成長因子、並びに、必要に応じて任意の抗生物質及び任意のホルモンを添加した公知の上皮系細胞用基本培地を用いればよい。
前記公知の皮系細胞用基本培地としてより具体的には、例えば、HuMedia−KB2(クラボウ社製)、角化細胞基本培地2(Keratinocyte Basal Medium 2)(Promo Cell社製)、EpiLife(登録商標) Medium(Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)等が挙げられる。
また、上皮成長因子、任意の抗生物質、及び任意のホルモンを含む上皮系細胞増殖用培地としては、例えば、HuMedia−KG2(クラボウ社製)、角化細胞増殖培地2(Keratinocyte Growth Medium 2)(Promo Cell社製)等が挙げられる。
血管内皮細胞増殖用培地としては、血管内皮細胞増殖因子、並びに、必要に応じて任意の成長因子、任意の抗生物質、任意の血清、及び任意のホルモンを添加した公知の血管内皮細胞用基本培地を用いればよい。
前記血管内皮細胞用基本培地としてより具体的には、例えば、EBM−2 Basal Medium(Lonza社製)、内皮細胞基本培地(Endothelial Cell Basal Medium)(Promo Cell社製)、内皮細胞基本培地2(Endothelial Cell Basal Medium2)(Promo Cell社製)等が挙げられる。
また、血管内皮細胞増殖因子、任意の成長因子、任意の抗生物質、任意の血清、及び任意のホルモンを含む血管内皮細胞増殖用培地としては、例えば、EGM2(Lonza社製)、内皮細胞増殖培地(Endothelial Cell Growth Medium)(Promo Cell社製)、内皮細胞増殖培地2(Endothelial Cell Growth Medium 2)(Promo Cell社製)等が挙げられる。
[培養皮膚形成工程]
培養皮膚形成工程は、前記毛包原基形成工程で得られた毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを同時に播種し、共培養することにより、培養皮膚を形成させる工程である。
図1に示すように、マイクロ凹版3の毛包原基5を有する微小凹部4内に角化細胞7と線維芽細胞8とを同時に播種してもよい。又は、毛包原基形成工程で得られた毛包原基5と角化細胞7と線維芽細胞8とを別の培養容器に同時に播種してもよい。また、別の容器を用いて共培養する際に、細胞接着性の低いU底の培養容器や、多孔質膜、ハイドロゲル等の足場を有する培養容器を利用することで、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞を含む混合スフェロイドを3次元的な状態で培養することができる。
中でも、マイクロ凹版3の微小凹部4の密度を利用して、培養皮膚を形成させることができることから、マイクロ凹版3の毛包原基5を有する微小凹部4内に角化細胞7と線維芽細胞8とを同時に播種することが好ましい。これにより、哺乳動物の毛穴(特に、ヒトを含む霊長類の毛穴)の密度と同程度の密度で毛包原基5を含む培養皮膚10が配置された培養皮膚10の集合体を得ることができる。
培養皮膚形成工程において用いられる培地としては、上記毛包原基形成工程において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、培養皮膚形成工程で用いられる培地としては、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地を混合したものが好ましい。また、培養皮膚形成工程において、毛包原基が間葉系細胞及び上皮系細胞に加えて、血管を構築し得る細胞を含む場合、間葉系細胞増殖用培地、上皮系細胞増殖用培地及び血管内皮細胞増殖用培地を混合したものを用いることが好ましい。
本実施形態の製造方法において、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞が毛包原基を共培養することで、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞を含む混合スフェロイド、すなわち、毛包原基を有する培養皮膚を得ることができる。
≪培養皮膚含有シートの製造方法≫
本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法は、上記実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法から得られた再生毛包原基を有する培養皮膚を用いる方法である。
例えば、図2は、本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法の一例を示す概略工程図である。以下、図2に示す本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法について詳細に説明する。
図2に示す培養皮膚含有シート100aは、再生毛包原基を有する培養皮膚の製造において用いたマイクロ凹版3から必要な量の培養皮膚10を含む部分をシート状に切り出したものである。例えば、マイクロ凹版3の材質がPDMS等の生体適合性を有する材質である場合、微小凹部4内に培養皮膚10を含むシート状に切り出されたマイクロ凹版3をそのまま移植することができる。このとき、切り出したマイクロ凹版3は、移植時に支持体として利用される。
また、例えば、図3は、本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法の一例を示す概略工程図である。図3に示す本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法は、転写工程を備える。以下、図3に示す本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法について詳細に説明する。
[転写工程]
転写工程では、上記実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法から得られた再生毛包原基を有する培養皮膚を生体適合性ハイドロゲルに転写する。
転写工程として具体的には、まず、微小凹部5内の培地6を除去し、生体適合性ハイドロゲル9を含む溶液を添加して、生体適合性ハイドロゲル9をゲル化させる。溶液中の生体適合性ハイドロゲル9の濃度は、必要とするゲルの硬さに応じて、適宜調整することができる。また、ゲル化させるための時間についても、必要とするゲルの硬さに応じて、適宜調整することができる。ゲル化させる温度等の条件については、特別な限定はなく、例えば37℃のC0インキュベーター内で培養する方法等が挙げられる。
次いで、マイクロ凹版から培養皮膚10を含むゲル化した生体適合性ハイドロゲル9を取り外すことで、培養皮膚含有シート100bが得られる。このとき、ゲル化した生体適合性ハイドロゲル9は、移植時に支持体として利用される。
得られた培養皮膚含有シート100bにおいて、培養皮膚10が生体適合性ハイドロゲル9上に規則的且つ哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度で配置されていることが好ましい。規則的とは、等間隔で培養皮膚10が配置されている状態を表しており、哺乳動物の皮膚における毛穴と毛穴との間隔と同程度であればよい。また、哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度とは、特に、哺乳動物がヒトを含む霊長類である場合、具体的には、20個/cm以上500個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以上250個/cm以下であることがより好ましく、100個/cm以上200個/cm以下であることがさらに好ましい。密度が上記範囲であることにより、正常な皮膚での毛包組織の配置をより正確に再現した複数の培養皮膚10を含む培養皮膚含有シート100bを得ることができる。また、培養皮膚含有シート100bにおける培養皮膚10の上記密度は、移植に用いた場合における治療的に有効量であると考えられる。
また、転写工程において、培養皮膚10に含まれる毛包原基は、内部に毛細血管構造を有するものであってもよい。
転写工程において、内部に毛細血管構造を有する毛包原基を含む培養皮膚10を用いた場合、得られる培養皮膚含有シート100bに含まれる培養皮膚10は、内部に毛細血管構造を有する複数の毛包原基を含む。そのため、培養皮膚含有シート100bを移植に用いた場合において、毛包原基内部の毛細血管構造と移植体の血管とが連通し、栄養成分を得ることにより、移植部において、高い毛包誘導能を発揮することができる。
(生体適合性ハイドロゲル)
本明細書において、「生体適合性ハイドロゲル」とは、生体への適合性を有するゲルであって、高分子が化学結合によって網目構造をとり、その網目に多量の水を保有した物質を意味する。より具体的には、天然物由来の高分子や合成高分子の人工素材に架橋を導入してゲル化させたものをいう。
天然物由来の高分子としては、ゲル化する細胞外マトリックス成分等が挙げられる。ゲル化する細胞外マトリックス成分としては、例えば、コラーゲン(I型、II型、III型、V型、XI型等)、マウスEHS腫瘍抽出物(IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン等を含む)より再構成された基底膜成分(商品名:マトリゲル)、フィブリン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン等を例示することができる。その他天然物由来の高分子として、ゼラチン、寒天、アガロース等を使用することもできる。それぞれのゲル化に至適な塩等の成分、その濃度、pH等を選択しハイドロゲルを作製することが可能である。また、これらの天然物由来の高分子を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、合成高分子としては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、poly(II−hydroxyethylmethacrylate)/polycaprolactone等が挙げられる。また、これらの合成高分子を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、生体適合性ハイドロゲルは、天然物由来の高分子であることが好ましく、ゲル化する細胞外マトリックス成分であることがより好ましく、コラーゲン(特に、I型コラーゲン)であることがさらに好ましい。コラーゲンを含有することにより、より皮膚に近しい組成となり、高い毛包再生効率を実現できる。
生体適合性ハイドロゲルを含む溶液は、Ham’s Nutrient Mixtures F−10又はHam’s Nutrient Mixtures F−12等の無血清培地や、生体適合性ハイドロゲル再構成用の緩衝液(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水水素ナトリウム、HEPES−Bufferからなる緩衝液等)等を含んでいてもよい。
本実施形態の製造方法において、生体適合性ハイドロゲルをゲル化させる際に、ゲルの強度を補強するために、補助支持体を内包させてもよい。
補助支持体の材質としては、移植後に、毛包原基の上皮系細胞側の部分と被検体側の上皮系細胞との連結、培養皮膚中の角化細胞と被検体側の角化細胞との連結、及び、培養皮膚中の線維芽細胞と被検体側の線維芽細胞との連結を促進させることができるものであれば、特別な限定はない。補助支持体の材質として具体的には、例えば、ナイロン等のポリマーや合成又は天然の生体吸収可能なポリマーより作られた繊維、ステンレス等の金属繊維、炭素繊維、及びガラス繊維等の化学繊維、並びに天然の動物繊維(生体由来の毛髪等)や植物繊維等を挙げられる。補助支持体の材質としてより具体的には、例えば、ナイロン糸やステンレス線等を挙げられる。
補助支持体の直径及び長さは、再生対象となる部分により適宜設計することができる。直径は、例えば、5μm以上100μm以下であってよく、20μm以上50μm以下であってよい。また、長さは、例えば、1mm以上10mm以下であってよく、4mm以上6mm以下であってよい。
また、図2及び3に示す本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法以外の方法を用いて、培養皮膚含有シートを製造することもできる。
例えば、後述の実施例に示すように、上記実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の毛包原基形成工程において得られた毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを底面に支持体を備える培養容器に同時に播種して、共培養することで、支持体上に毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを含む培養皮膚を形成させる。これにより、支持体上に培養皮膚を備える培養皮膚含有シートが得られる。
≪培養皮膚含有シート≫
本実施形態の培養皮膚含有シートは、支持体上に、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞を含む培養皮膚を備える。
本実施形態の培養皮膚含有シートによれば、移植された箇所において、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成することができる。
また、本実施形態の培養皮膚含有シートは、上述の製造方法により得られる。
支持体としては、生体適合性を有するものであればよく、例えば、上述の培養皮膚の製造方法及び上述の培養皮膚含有シートの製造方法において、マイクロ凹版の材質として例示されたもの、生体適合性ハイドロゲルとして例示されたもの、及び、補助支持体として例示されたものと同様のものが挙げられる。これら支持体を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、支持体としては、生体適合性ハイドロゲルを含むことが好ましく、コラーゲンを含むことがより好ましい。支持体がコラーゲンを含むことにより、より皮膚に近しい組成となり、高い毛包再生効率を実現できる。また、支持体がコラーゲン等の生体吸収性を有する材料のみからなる場合、移植後、支持体を除去する必要なく、移植部に培養皮膚含有シートを生着させることができる。
本実施形態の培養皮膚含有シートでは、支持体上に培養皮膚を1つ以上備えることができる。支持体上の培養皮膚の数は、移植対象及び用途に応じて、適宜選択することができる。
本実施形態の培養皮膚含有シートでは、支持体上における培養皮膚が規則的且つ哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度で配置されていることが好ましい。規則的とは、等間隔で培養皮膚が配置されている状態を表しており、哺乳動物の皮膚における毛穴と毛穴との間隔と同程度であればよい。また、哺乳動物の毛穴の密度と同程度の密度とは、特に、哺乳動物がヒトを含む霊長類である場合、具体的には、20個/cm以上500個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以上250個/cm以下であることがより好ましく、100個/cm以上200個/cm以下であることがさらに好ましい。密度が上記範囲であることにより、正常な皮膚での毛包組織の配置をより正確に再現した培養皮膚を含む培養皮膚含有シートとすることができる。また、培養皮膚含有シートにおける培養皮膚の上記密度は、移植に用いた場合における治療的に有効量であると考えられる。
≪培養皮膚含有シートの製造キット≫
本実施形態の培養皮膚含有シートの製造キットは、規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版と、支持体と、を備える。
本実施形態の培養皮膚含有シートの製造キットによれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚含有シートが簡便に得られる。また、本実施形態の製造キットを用いた培養皮膚含有シートの製造方法としては、上述の培養皮膚含有シートの製造方法に示したとおりである。
マイクロ凹版としては、上述の培養皮膚の製造方法において例示されたものと同様のものが挙げられる。
マイクロ凹版における微小凹部の密度は、20個/cm以上500個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以上250個/cm以下であることがより好ましく、100個/cm以上200個/cm以下であることがさらに好ましい。密度が上記範囲であることにより、正常な皮膚での毛包組織の配置をより正確に再現した培養皮膚を含む培養皮膚含有シートを得ることができる。また、培養皮膚含有シートにおける培養皮膚の上記密度は、移植に用いた場合における治療的に有効量であると考えられる。
支持体としては、生体適合性を有するものであればよく、例えば、上述の培養皮膚の製造方法及び上述の培養皮膚含有シートの製造方法において、マイクロ凹版の材質として例示されたもの、生体適合性ハイドロゲルとして例示されたもの、及び、補助支持体として例示されたものと同様のものが挙げられる。これら支持体を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
中でも、支持体としては、生体適合性ハイドロゲルを含むことが好ましく、コラーゲンを含むことがより好ましい。支持体がコラーゲンを含むことにより、より皮膚に近しい組成となり、高い毛包再生効率を実現できる。また、支持体がコラーゲン等の生体吸収性を有する材料のみからなる場合、移植後、支持体を除去する必要なく、移植部に培養皮膚含有シートを生着させることができる。
本実施形態の培養皮膚含有シートの製造キットは、更に、培地を備えてもよい。
培地としては、上述の培養皮膚の製造方法において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、培地としては、間葉系細胞増殖用培地又は上皮系細胞増殖用培地を備えることが好ましく、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地の両方備えることがより好ましい。
また、毛包原基の形成時に、間葉系細胞及び上皮系細胞に加えて、血管を構築し得る細胞を用いる場合には、培地としては、間葉系細胞増殖用培地、上皮系細胞増殖用培地又は血管内皮細胞増殖用培地を備えることが好ましく、間葉系細胞増殖用培地、上皮系細胞増殖用培地及び血管内皮細胞増殖用培地を全て備えることがより好ましい。
≪培養皮膚含有シートの移植方法≫
本実施形態の培養皮膚含有シートは、当業者に公知の方法で、被検体の対象となる部位に移植することができる。例えば、シャピロ式植毛術やチョイ式植毛器を用いた植毛、空気圧を利用したインプランター等を使用し、移植することができる。シャピロ式植毛術とは、移植部位をマイクロメス等で移植創を作った後に、ピンセットを用いて移植する方法である。
なお、被検体としては、ヒト又は非ヒト動物を含む各種哺乳動物であることが好ましく、ヒトであることがより好ましい。
本実施形態の培養皮膚含有シートの大きさは、被検体の年齢、性別、症状、治療部位、治療時間等を勘案して適宜調節される。
また、移植深度としては、再生対象となる部位により適宜変更することができる。例えば0.05mm以上5mm以下であってよく、例えば0.1mm以上1mm以下であってよく、例えば0.3mm以上0.5mm以下であってよい。
また、移植する部位としては、被検体の真皮層内に移植することが好ましく、毛包形成及びその後の毛髪再生効率が優れることから、真皮及び皮下組織の境界面より上方とすることがより好ましい。また、移植創上端部に毛包原基の上皮系細胞成分の上端部が露出するよう移植深度を調節すると、さらに被検体の上皮系細胞との連続性を高めることができるため、好ましい。
本実施形態の培養皮膚含有シートにおいて、皮膚接合用のテープやバンド、縫合等により、培養皮膚含有シートと移植対象部位とを固定してもよい。
本実施形態の培養皮膚含有シートにおいて、支持体が生体吸収性を有しない材料を含む場合は、培養皮膚含有シートを移植後しばらくして、被検体の上皮系細胞と毛包原基の上皮系細胞由来の側との連続性、被検体の角化細胞と培養皮膚中の角化細胞との連続性、及び、被検体の線維芽細胞と培養皮膚中の線維芽細胞との連続性が確保された後、移植部位より抜くことができる。移植後の状態により適宜設定することができるが、例えば、移植後3日以上7日以下で移植部位から抜くことが好ましい。又は、支持体が、自然と移植部位より抜けるまで放置することもできる。また、生体吸収性の材料の支持体は、自然と移植部位より抜けるか、分解又は吸収されるまで放置することができる。
また、本実施形態の培養皮膚含有シートにおいて、毛包原基の上皮系細胞由来の細胞が、支持体に沿って伸長する。これにより、移植後の被検体側の上皮系細胞と毛包原基の上皮系細胞側との連続性を向上させることができる。特に、支持体が移植部位の表皮より外に維持される場合には、被検体側の上皮系細胞が、異物を排除するように、支持体に沿って移植部位の内側へ伸長するため、連続性をさらに向上させることができる。さらに、意図した方向へ毛包形成を促すことができる。その結果、毛包原基からの毛髪再生効率を向上させることができるとともに、発毛方向の制御も可能となる。また、移植された培養皮膚において皮脂腺様構造の形成が促され、皮脂が分泌されて皮膚表面からの水分蒸発が抑えることができ、通常の皮膚と同様のバリア機能を発揮することができる。
≪皮膚の再生治療方法≫
一実施形態において、本発明は、治療的に有効量の上述の製造方法により得られた培養皮膚含有シートを含む毛包再生治療剤を提供する。
また、一実施形態において、本発明は、前記毛包再生治療剤を含む、医薬組成物を提供する。
また、一実施形態において、本発明は、前記毛包再生治療剤を含む、医薬組成物を製造するための上述の製造方法により得られた培養皮膚の使用を提供する。
また、一実施形態において、本発明は、前記毛包再生治療剤を含む、医薬組成物を製造するための上述の製造方法により得られた培養皮膚含有シートの使用を提供する。
また、一実施形態において、本発明は、上述の製造方法により得られた培養皮膚含有シートの有効量を、治療を必要とする患者に移植することを含む、疾患や事故等による表皮の欠損又は脱毛等の毛髪欠損部位の治療方法を提供する。
本実施形態の皮膚の再生治療方法において、移植対象となる組織としては、毛包を再生し、さらに毛髪を再生したい体表皮であれば、特別な限定はなく、例えば、頭皮等が挙げられる。
また、適用可能な疾患としては、脱毛を伴う任意の疾患であって、例えば男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia:AGA)、女子男性型脱毛症(Female Androgenetic Alopecia:FAGA)、分娩後脱毛症、びまん性脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、牽引性脱毛症、代謝異常性脱毛症、圧迫性脱毛症、円形脱毛症、神経性脱毛症、抜毛症、全身性脱毛症、症候性脱毛症等が挙げられ、これらに限定されない。
治療対象としては、特別な限定はなく、哺乳動物が好ましい、哺乳動物としては、例えば、霊長類、げっ歯類、有蹄類、愛玩動物が挙げられる。
霊長類としては、例えば、ヒト、サル、チンパンジー等が挙げられる。
げっ歯類としては、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター等が挙げられる。
有蹄類としては、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等が挙げられる。
愛玩動物としては、例えば、例えば、イヌ、ネコ、ウサギ等が挙げられる。
中でも、治療対象としては、ヒトが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]再生毛包原基を有する培養皮膚含有シートの調製
1.マイクロ凹版の作製
マイクロ凹版の作製方法の概略図を図4に示す。具体的には、CADソフト(V Carve Pro 6.5)を用いて、作製するマイクロ凹版のパターンをコンピューターで設計した。次いで、切削機を用いて、設計したパターン通りにオレフィン系基板を切削することで、パターンをもつ凹鋳型を作製した(工程(I))。この凹鋳型にエポキシ樹脂(クリスタルリジン:日新レジン社製)を流しこみ(工程(II))、1日硬化させた後(工程(III))、離型することで、パターンをもつ凸鋳型を形成した(工程(IV))。次いで、形成した凸鋳型を6cmディッシュ底面に固定し、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を流し込み(工程(V))、固化した(工程(VI))。次いで、離型することで、PDMSに規則的なパターンが形成されたマイクロ凹版を作製した(工程(VII))。なお、マイクロ凹版のパターンデザインは、日本人の頭髪の平均毛包密度に合わせて作製した。マイクロ凹版のサイズとして具体的には、高さ1cm、2cm×2cm四方の容器の底面に直径約1mm、高さ500μmのウェルが約100ウェル/cmの密度で配置された容器が得られた。
2.毛包原基の形成
(1)間葉系細胞及び上皮系細胞の採取
胎齢18日齢のC57BL/6マウス胎児より背部皮膚を採取し、中尾らが報告した方法(参考文献1:Toyoshima, K., et al., “Fully functional hair follicle regeneration through the rearrangement of stem cells and their niches”, Nat. Commun., vol.3, no.784, 2012.)を一部改変した方法を用いて、間葉系細胞及び上皮系細胞を採取した。より具体的には、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児の背部皮膚を採取し、Dispase(登録商標)II(Wako社製)による処理を4℃で30rpmの振盪条件で1時間行い、上皮層と間葉層とを分離した。次いで、上皮層は100U/mLのコラゲナーゼ(Wako社製)による処理を1時間20分、さらにトリプシンによる処理を10分行い、上皮系細胞を単離した。一方、間葉層は100U/mLのコラゲナーゼ(Wako社製)による処理を1時間20分行い、間葉系細胞を単離した。
(2)毛包原基形成工程
次いで、ポロキサマー処理したマイクロ凹版に、採取した上皮系細胞及び間葉系細胞の細胞混合懸濁液を、それぞれの細胞が1×10cells/ウェルずつ(全細胞数2×10cells/ウェル)となるように注入し、3日間培養した。培地は、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;DMEM)(10%ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum;FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)含有)とHuMedia−KG2培地(倉敷紡績社製)を1:1で混合した培地(以下、「DMEM−KG2混合培地」とも呼ぶ。)を用いた。培地交換は毎日行った。
3.培養皮膚含有シートの形成
次いで、3日間培養した毛包原基約100個を15mLの遠心チューブに回収した。次いで、そこにヒト線維芽細胞(NB1RGB、理研セルバンク)とヒト成人ケラチノサイト(J−TEC)とをそれぞれ1×10cellsずつ加えた。次いで、遠心を行った(1000rpm、3分間)。上澄みを回収した後、300μLのDMEM−KG2混合培地を添加し、よく懸濁した。次いで、得られた細胞懸濁液を、セルカルチャーインサートを設置した24ウェルプレートに添加し、1日培養を行った。この際、セルカルチャーインサートの外側には600μLのDMEM−KG2混合培地をあらかじめ加えておいた。対照群として、毛包原基を加えず、ヒト線維芽細胞とヒトケラチノサイトとをそれぞれ1×10cellsずつを、セルカルチャーインサートを設置した24ウェルプレートに添加し、1日培養を行ったものも準備した。結果を図5に示す。図5において、「毛包原基なし」は、対照群として調製した毛包原基を有しない培養皮膚含有シートを示し、「毛包原基あり」は、毛包原基を有する培養皮膚含有シートを示す。
図5から、毛包原基、線維芽細胞及びケラチノサイトを混合することで、毛包原基を有する培養皮膚含有シートが形成できることが確認された。
[試験例1]マウス表皮への移植により再生した毛包組織の評価試験
1.培養皮膚含有シートの移植
移植の手順について、図6に示す。なお、動物の飼育及び動物実験は横浜国立大学動物実験委員会の指針に遵守して行った。
まず、イソフルラン吸引麻酔下でヌードマウス(SHOマウス、5週齢雄、オリエンタル酵母から購入)の皮膚に移植創を作製した。次いで、移植創に実施例1で作製した毛包原基を有する培養皮膚含有シートを移植した。移植の際は、セルカルチャーインサートのメンブレンを残し、培養皮膚含有シート面が欠損部に密着するように貼り付けた。なお、対照群として毛包原基を有しない培養皮膚含有シートも同様に移植した。次いで、移植部を滅菌ガーゼで覆い、その周囲をサージカルテープで巻きつけることで固定した。移植7日後にサージカルテープ及びメンブレンを回収し、患部を露出させた後、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製)を用いて、経過観察を行った。結果を図7に示す。図7において矢頭は、再生毛髪を示す。また、図8は、図7における移植から21日目のマウスの培養皮膚含有シート(毛包原基あり)の移植部を拡大した画像である。
図7及び8から、毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部において、移植から21日目に毛髪の再生が観察された。一方、対照群である毛包原基を有しない培養皮膚含有シートの移植部では、毛髪の再生は確認されなかった。
2.移植部の組織切片のヘマトキシリン・エオジン(Hematoxylin−Eosin:HE)染色
(1)組織切片の作製
移植から21日目の毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部を含む皮膚を切り出した。次いで、20%ホルマリン(Wako社製)に1日浸漬することで、組織の固定を行った。次いで、10%、20%、30%スクロース溶液(Wako社製のスクロースを希釈して調製した溶液)にそれぞれ1時間ずつ浸した。スクロース置換した切片を凍結組織切片作製用包埋剤(Optimal Cutting Temperature Compound:O.C.T Compound)(サクラファインテック社製)を静かに流し込み、混合スフェロイドを封入した。次いで、クライオミクロトームを用いて微小の厚さにカットした。カットされた切片をスライドガラスに垂直に押し当て、転写した。
(2)HE染色
以下の(i)〜(xvii)に示す手順に従い、切片のHE染色を行った。
(i)切片を固定したスライドガラスにキシレンを1mL滴下し30分間静置した後、溶液を除去した。
(ii)上記(i)と同じ操作をもう一度繰り返した。
(iii)100%エタノールを1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。
(iv)上記(iii)と同じ操作をもう一度繰り返した。
(v)90%エタノール溶液を1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。
(vi)70%エタノール溶液を1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。
(vii)蒸留水を1mL滴下し3分間静置した後、蒸留水を除去した。
(viii)マイヤー・ヘマトキシリン染色液を1mL滴下し6分間静置した後、溶液を除去した。
(ix)流水に13分間浸し、洗い流した。
(x)エオシンYを1mL滴下し3分間静置した後、溶液を除去した。
(xi)90%エタノール溶液を1mL滴下し1分間静置した後、溶液を除去した。
(xii)100%エタノール溶液を1mL滴下し1分間静置した後、溶液を除去した。
(xiii)100%エタノールを1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。
(xiv)上記(xiii)と同じ操作をもう一度繰り返した。
(xv)キシレンを1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。
(xvi)上記(xv)と同じ操作をもう一度繰り返した。
(xvii)スライドガラスが乾いたら、マウントクイック(封入剤)を少量垂らし、気泡が入らないようにマイクロカバーガラスをゆっくりかぶせ、封入した。
HE染色した切片を位相差蛍光顕微鏡(オリンパス社製、IX−71)で観察した結果を図9に示す。図9において、画像のスケールバーは50μmである。
図9から、移植した再生毛包原基を有する培養皮膚は周囲の組織に定着し、毛包及び皮脂腺様構造を形成している様子が観察された。
3.経皮水分蒸発量(transepidermal water loss;TEWL)の評価
次いで、Cutometer DUAL MPA580及びTewameter TM300(それぞれCourage+Khazaka社製)を用いて、「1.」において、移植から21日目の毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部での経皮水分蒸発量(transepidermal water loss;TEWL)を測定した。また、基準値として、非移植部でのTEWL、対照群として、毛包原基を有しない培養皮膚含有シートの移植部でのTEWLも測定した。結果を図10に示す。図10において、縦軸は、非移植部でのTEWLを1としたときの相対比である。また、「Host」とは、非移植部でのTEWLの測定値を示す。「ESS」とは、毛包原基を有しない培養皮膚含有シートの移植部でのTEWLの測定値を示す。「ESS+HFG」とは毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部でのTEWLの測定値を示す。
図10から、非移植部でのTEWLと比較して、毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部でのTEWLは、同等であった。一方、非移植部でのTEWLと比較して、毛包原基を有しない培養皮膚含有シートの移植部でのTEWLは、大きかった。
このことから、毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部では、本来の皮膚に近いバリア機能を有していることが確かめられた。これは、毛包原基を有する培養皮膚含有シートの移植部では、毛包に加えて、皮脂腺様構造が形成され、皮脂が分泌されることで、皮膚表面からの水分の蒸発が抑制されたものと推察された。
[比較例1]再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートの調製
1.マイクロ凹版の作製
実施例1の「1.」と同様の方法を用いて、マイクロ凹版を作製した。
2.毛包原基の形成
実施例1の「2.」と同様の方法を用いて、マイクロ凹版の凹部内に毛包原基を形成させた。
3.再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートの形成
図11は、従来の培養皮膚含有シートの作製方法を示す概略工程図である。この作製方法を応用して、再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートを形成させた。
具体的には、まず、コラーゲン溶液(Collagen type1(Cell Matrix(登録商標)))とハム培地と再考性緩衝液とをコラーゲン溶液:ハム培地:再構成緩衝液=8:1:1の割合で混合し、コラーゲン調整溶液を調製した。次いで、「2.」で得られた毛包原基100個、及び、ヒト線維芽細胞5×10cellsをコラーゲン調整溶液400μLに懸濁して細胞懸濁液を調製した。次いで、細胞懸濁液を、セルカルチャーインサートを設置した12ウェルプレート(FALCON社製)に添加し、37℃、5%COで20分インキュベートし、コラーゲンをゲル化させた。次いで、ゲル化させたコラーゲンの上にヒト成人ケラチノサイト(J−TEC)を1.2×10cells播種した。次いで、DMEM−KG2混合培地をインサート内に400μL、インサート外に1mL加えて、一晩培養して、再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートを得た。
[試験例2]マウス表皮への移植試験
1.培養皮膚含有シートの移植
移植の手順について、試験例1と同様の手順に従い、比較例1で作製した再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートを移植した。具体的には以下に示すとおりである。
まず、イソフルラン吸引麻酔下でヌードマウス(SHOマウス、4週齢雄、オリエンタル酵母から購入)の皮膚に移植創を作製した。次いで、移植創に比較例1で作製した再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートを移植した。移植の際は、セルカルチャーインサートのメンブレンを残し、培養皮膚含有シート面が欠損部に密着するように貼り付けた。次いで、移植部を滅菌ガーゼで覆い、その周囲をサージカルテープで巻きつけることで固定した。さらに、テープが剥がれないように、エルプ糸付縫合針(青ナイロン4−0 50cm A13−40N3、秋山製作所製)を用いて、マウス表皮にサージカルテープを縫合した。移植7日目に抜糸して、サージカルテープ及びメンブレンを回収し、患部を露出させた後、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製)を用いて、経過観察を行った。
図12から、移植後21日目まで観察を行ったが、毛髪の再生は確認されなかった。これは、成体の皮膚を模倣した従来の培養皮膚含有シートに、毛包原基を埋め込んでも、毛包組織を再生することが難しいためであると推察された。
このことから、再生毛包原基を埋め込んだ従来の培養皮膚含有シートでは、毛髪の再生は困難であることが確かめられた。
以上のことから、再生毛包原基を有する培養皮膚が毛包を含む皮膚を再生する組織として有用であることが示された。
本実施形態の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法によれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚を得られる。また、本実施形態の培養皮膚含有シートによれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成することができる。本実施形態の培養皮膚含有シートの製造方法及び製造キットによれば、毛髪を再生し、且つ、皮脂腺様構造を形成可能な再生毛包原基を有する培養皮膚含有シートが得られる。
1…間葉系細胞、2…上皮系細胞、3…マイクロ凹版、4…微小凹部、5…毛包原基、6…培地、7…角化細胞、8…線維芽細胞、9…生体適合性ハイドロゲル、10…培養皮膚、100a、100b…培養皮膚含有シート。

Claims (13)

  1. 規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版に、間葉系細胞及び上皮系細胞を同時に播種し、酸素を供給しながら共培養することにより、前記微小凹部内に毛包原基を形成させる毛包原基形成工程と、
    前記毛包原基と角化細胞と線維芽細胞とを同時に播種し、共培養することにより、培養皮膚を形成させる培養皮膚形成工程と、を備え、
    前記マイクロ凹版が酸素透過性を有する材質からなる再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法。
  2. 前記マイクロ凹版における前記微小凹部の密度が20個/cm以上500個/cm以下である請求項1に記載の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法。
  3. 前記培養皮膚形成工程において、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地を混合した培地を用いる請求項1又は2に記載の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法。
  4. 前記培養皮膚形成工程において、前記角化細胞及び前記線維芽細胞を、前記毛包原基が形成された前記マイクロ凹版の前記微小凹部内に同時に播種し、共培養する請求項1〜3のいずれか一項に記載の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法。
  5. 請求項4に記載の再生毛包原基を有する培養皮膚の製造方法により得られる再生毛包原基を有する培養皮膚を、生体適合性ハイドロゲルに転写する工程を備える培養皮膚含有シートの製造方法。
  6. 前記生体適合性ハイドロゲルがコラーゲンである請求項5に記載の培養皮膚含有シートの製造方法。
  7. 支持体上に、毛包原基、角化細胞及び線維芽細胞を含む培養皮膚を備える培養皮膚含有シート。
  8. 前記支持体上における前記培養皮膚の密度が20個/cm以上500個/cm以下である請求項7に記載の培養皮膚含有シート。
  9. 前記支持体がコラーゲンを含む請求項7又は8に記載の培養皮膚含有シート。
  10. 規則的な配置の微小凹部を備えるマイクロ凹版と、
    支持体と、
    を備える培養皮膚含有シートの製造キット。
  11. 前記マイクロ凹版における前記微小凹部の密度が20個/cm以上500個/cm以下である請求項10に記載の培養皮膚含有シートの製造キット。
  12. 前記支持体がコラーゲンを含む請求項10又は11に記載の培養皮膚含有シートの製造キット。
  13. 更に、間葉系細胞増殖用培地及び上皮系細胞増殖用培地を備える請求項10〜12のいずれか一項に記載の培養皮膚含有シートの製造キット。
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