JP2019086566A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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【課題】耐久性を向上することができる定着装置および画像形成装置を提供する。また、構成の簡素化を図ることのできる定着装置および画像形成装置を提供する。【解決手段】定着装置は、回転軸を中心として回転する無端状の加圧ベルト33と、加圧ベルト33の内側に配置され、内側から加圧ベルト33を押圧し、加圧ベルト33の内周面33aと摺動する押圧部材34と、加圧ベルト33と押圧部材34との摺動部SPに塗布された潤滑剤39とを備える。摺動部SPを定着ニップの長手方向で区分して得られる複数の領域RG1、RG2、およびRG3の各々には、互いに異なる種類の潤滑剤39が塗布されており、互いに異なる種類の潤滑剤39の各々は、定着装置が定着動作を行う温度領域において固体である固体潤滑剤、グリス状であるグリス状潤滑剤、または液体である液体潤滑剤よりなる。【選択図】図3

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。より特定的には、本発明は、ベルトと押圧部材との摺動部に塗布された潤滑剤を備えた定着装置および画像形成装置に関する。
電子写真式の画像形成装置には、スキャナー機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンターとしての機能、データ通信機能、およびサーバー機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンターなどがある。
画像形成装置は一般に、像担持体上に形成した静電潜像を現像装置によって現像してトナー像(未定着画像)を形成し、このトナー像を記録媒体へ転写した後、定着装置によってトナー像を用紙に定着させることにより、記録媒体に画像を形成する。また、画像形成装置の中には、感光体上に形成した静電潜像を現像装置によって現像してトナー像を形成し、一次転写ローラーを用いてトナー像を中間転写ベルトに転写し、二次転写ローラーを用いて中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体へ二次転写するものも存在する。
定着装置は、ヒーターなどにより加熱される定着回転体に対して、加圧部材を押圧して定着ニップを形成した構成を有している。定着装置は、定着ニップで記録媒体を挟持しながら搬送し、記録媒体上のトナー像を定着する。
定着ニップを形成する定着回転体および加圧部材としては、従来、ローラー対が使用されていた。しかし、ウォームアップ時間の短縮や省エネルギーの観点から、近年、定着回転体として、熱容量の小さいベルト部材である定着ベルトを使用したベルト定着システムが広く採用されている。このベルト定着システムでは、定着ベルトと加圧部材との間で定着ニップを形成するための押圧部材(押圧パッド)がさらに設けられている。押圧部材は、定着ベルトの内周面と摺動し、定着ベルトの内周面から定着ベルトを加圧部材に対して押圧する。押圧部材によれば、ローラーよりも熱容量を小さくすることができ、未定着画像を定着するために必要なニップ幅を比較的容易に確保することができる。また、加圧部材側(ヒーターが無い側)にベルトを使用したシステムも存在する。
押圧部材を使用する場合、押圧部材と定着ベルトの内周面との間には摺動シートが設けられ、摺動シートと定着ベルトの内周面との間には潤滑剤が供給される。これにより、押圧部材と定着ベルトとの摺擦による摩擦抵抗が抑制されている。この潤滑剤としては、耐熱性のあるシリコーンオイルや、フッ素グリスなどが使用されている。
定着装置の潤滑剤に関する技術は、例えば下記特許文献1および2などに開示されている。下記特許文献1には、定着ベルトの回転時に潤滑剤が外部に染み出すのを防止する技術が開示されている。下記特許文献1には、長手方向両端部から、定着ベルトの回転方向と平行な中心線に対して傾斜した複数の長溝が設けられた摺動部材が開示されている。
下記特許文献2には、定着ベルトと金属部材とが摺接して磨耗する不具合を軽減する技術が開示されている。下記特許文献2には、幅方向中央部における定着ベルトと金属部材との間に低粘度の潤滑剤を介在させ、幅方向両端部における定着ベルトと金属部材との間に高粘度の潤滑剤を介在させ、冷却手段によって定着ベルトの非通紙領域を冷却する技術が開示されている。
特開2008−26603号公報 特開2011−53380号公報
ベルトと押圧部材とを備えた従来の定着装置には、耐久性が低いという問題があった。
従来、潤滑剤として使用されているシリコーンオイルは、主鎖がシロキサン結合(Si−O−Si)による合成高分子化合物の液体潤滑剤であり、一般的に流動性が高い。また、常温から定着温度まで定着装置を加熱した場合には、シリコーンオイルの流動性は一層高くなる。その結果、押圧部材から受ける押圧力により、ベルトの回転軸方向(押圧部材の長手方向)に沿って潤滑剤が移動し、潤滑剤の偏在を招く。潤滑剤が偏在すると、ベルトの内周面の一部または全体において潤滑剤が減少または枯渇し、ベルトの内周面と押圧部材との摺動性が悪化する。その結果、ベルトおよび押圧部材に摩耗や破損が発生しやすくなり、定着装置の耐久性が低下する。
シリコーンオイルの分子量を調整することにより、シリコーンオイルの粘度をある程度増加させ、流動性を低く抑えることは可能である。しかし、シリコーンオイルの粘度を増加させることには次の理由により限界があった。
シリコーンオイルの流動性を低く抑えた場合には、ベルトと押圧部材との摺擦による摩擦抵抗が増加する。ベルトと押圧部材との摺擦による摩擦抵抗が大きいと、ベルトまたは加圧部材を駆動する駆動モーターに負荷がかかり、回転不良が発生する原因となる。また、ベルトが加圧部材に従動回転する場合には、ベルトのスリップにより定着ニップを通過する記録媒体の搬送速度が変動し、画像ムラや搬送不良によるジャムが発生する原因となる。ベルトのスリップを無くすために定着ニップに加わる圧力を大きくした場合には、駆動モーターの出力を大きくする必要があり、駆動モーターの大型化や定着装置のコストの増加を招く。さらに、定着ニップに加わる圧力が増加するため、潤滑剤の流動性が低くても潤滑剤が移動し、潤滑剤の偏在を招く。
また、従来、潤滑剤として使用されているフッ素グリスは、一般的に、シリコーンオイルよりも低い流動性を有している。潤滑剤としてフッ素グリスを用いた場合には、シリコーンオイルを用いた場合と比較して、ベルトと押圧部材との摺擦による摩擦抵抗が増加するため、上述と同様の理由により、回転不良、画像ムラ、または搬送不良によるジャムが発生する原因となる。
加えて、特許文献1の技術では、ベルトの回転軸方向の中央部に潤滑剤を寄せる効果が得られるものの、潤滑剤の偏在を抑止する効果は限定的であった。また、摺動部材に複数の長溝を形成することが必須であり、定着装置の構成の複雑化および製造コストの増加を招いていた。
特許文献2の技術では、低粘度の潤滑剤と高粘度の潤滑剤とは互いに混じり合う性質を有しているため、低粘度の潤滑剤は、押圧部材から受ける押圧力によって高粘度の潤滑剤と混じり合いながらベルトの回転軸方向に沿って移動する。その結果、潤滑剤の偏在を抑止する効果は限定的であった。また、冷却手段によって定着ベルトの非通紙領域を冷却することが必須であり、定着装置の構成の複雑化および製造コストの増加を招いていた。
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、耐久性を向上することのできる定着装置および画像形成装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、構成の簡素化を図ることのできる定着装置および画像形成装置を提供することである。
本発明の一の局面に従う定着装置は、未定着画像が形成された用紙を定着ニップで把持しながら搬送することにより、未定着画像を用紙に定着する定着装置であって、回転する無端状のベルトと、ベルトの内側に配置され、内側からベルトを押圧し、ベルトの内周面と摺動する押圧部材と、ベルトと押圧部材との摺動部に塗布された潤滑剤と、ベルトの外側に配置され、ベルトとの間で定着ニップを形成するニップ部材とを備え、摺動部を定着ニップの長手方向で区分して得られる複数の領域の各々には、互いに異なる種類の潤滑剤が塗布されており、互いに異なる種類の潤滑剤の各々は、定着装置が定着動作を行う温度領域において固体である固体潤滑剤、定着装置が定着動作を行う温度領域においてグリス状であるグリス状潤滑剤、または定着装置が定着動作を行う温度領域において液体である液体潤滑剤よりなる。
上記定着装置において好ましくは、潤滑剤は、摺動部における長手方向の両端部に存在する第1の領域に塗布された第1の潤滑剤と、摺動部における長手方向の第1の領域の間に存在する第2の領域に塗布された第2の潤滑剤とを含み、第1の潤滑剤は固体潤滑剤またはグリス状潤滑剤よりなり、第2の潤滑剤は液体潤滑剤よりなる。
上記定着装置において好ましくは、第1の潤滑剤はグリス状潤滑剤であるフッ素グリスよりなり、第2の潤滑剤は液体潤滑剤であるシリコーンオイルよりなる。
上記定着装置において好ましくは、潤滑剤は、摺動部における長手方向の両端部に存在する第1の領域に塗布された第1の潤滑剤と、摺動部における長手方向の第1の領域の間に存在する第2の領域に塗布された第2の潤滑剤とを含み、第1の潤滑剤は固体潤滑剤よりなり、第2の潤滑剤はグリス状潤滑剤よりなる。
上記定着装置において好ましくは、複数の領域は5箇所以上の領域であり、複数の領域のうち互いに隣接する2つの領域の各々には、互いに異なる種類の潤滑剤が塗布される。
上記定着装置において好ましくは、ベルトの内周面の表面粗さは、長手方向で互いに異なる。
上記定着装置において好ましくは、ベルトおよび押圧部材のうち少なくともいずれか一方は、摺動部における複数の領域の各々の境界に形成された段差部を含む。
上記定着装置において好ましくは、定着ニップにおける長手方向の両端部に存在する領域に加わる圧力は、定着ニップにおける長手方向の両端部の間に存在する領域に加わる圧力よりも小さい。
上記定着装置において好ましくは、摺動部に潤滑剤を供給する供給部材であって、ベルトの周方向における摺動部とは異なる位置においてベルトの内周面と接触する供給部材をさらに備える。
本発明の他の局面に従う画像形成装置は、未定着画像を用紙に形成する画像形成部と、上記定着装置とを備える。
本発明によれば、耐久性を向上することのできる定着装置および画像形成装置を提供することができる。また本発明によれば、構成の簡素化を図ることのできる定着装置および画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態における画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施の形態における定着装置30の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施の形態の定着装置30における摺動部SP付近の構成を示す断面図である。 固体潤滑剤、グリス状潤滑剤、および液体潤滑剤の各々の相の違いを観念的に示す図である。 本発明の一実施の形態の変形例における摺動シート36の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態の変形例の潤滑剤39の構成を示す断面図であって、定着装置30における摺動部SP付近の構成を示す断面図である。 本発明の一実施の形態の変形例における回転軸R2方向のニップ圧の分布を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の実施の形態では、定着装置が搭載される画像形成装置がプリンターである場合について説明する。定着装置が搭載される画像形成装置はプリンターの他、MFP、ファクシミリ装置、または複写機などであってもよいし、モノクロ用およびカラー用のいずれであってもよい。
なお、図面では、画像形成装置1を正面から見た場合の幅方向をx軸方向、奥行き方向をy軸方向、高さ方向をz軸としている。x軸、y軸、およびz軸の各々は互いに直交している。
図1は、本発明の一実施の形態における画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置1は、カラープリンターであり、用紙搬送部10と、トナー像形成部20(画像形成部の一例)と、定着装置30と、制御部50とを主に備えている。
用紙搬送部10は、搬送経路TRに沿って搬送方向AR1に用紙M(記録媒体の一例)を搬送する。用紙搬送部10は、給紙トレイ11と、給紙ローラー12と、複数の搬送ローラー13と、排紙ローラー14と、排紙トレイ15とを含んでいる。給紙トレイ11は、画像を形成するための用紙Mを収容する。給紙トレイ11は複数であってもよい。給紙ローラー12は、給紙トレイ11と搬送経路TRとの間に設けられている。給紙トレイ11に収容された用紙Mのうち最上位の用紙Mに接触している。複数の搬送ローラー13の各々は、搬送経路TRに沿って設けられている。排紙ローラー14は、搬送経路TRの最も下流の部分に設けられている。排紙トレイ15は画像形成装置本体1aの最上部に設けられている。
トナー像形成部20は、タンデム方式でY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の4色の画像を合成し、搬送される用紙Mにトナー像(非定着画像の一例)を形成する。トナー像形成部20は、YMCK各色についての画像形成ユニット21と、中間転写ベルト22と、YMCK各色についての一次転写ローラー23と、二次転写ローラー24とを含んでいる。
YMCK各色の画像形成ユニット21は、感光体ドラム25と、帯電ローラー26と、露光装置27と、現像装置28と、クリーニング装置29などを含んでいる。感光体ドラム25は、図示しない駆動源によって図1中矢印αで示す方向に回転駆動される。感光体ドラム25の周囲には、感光体ドラム25の回転方向に沿って、帯電ローラー26、現像装置28、およびクリーニング装置29がこの順序で設けられている。帯電ローラー26は、感光体ドラム25に近接して設けられている。露光装置27は、感光体ドラム25の下部に設けられている。露光装置27は、レーザダイオードなどの発光素子とレンズなどを含んでいる。露光装置27は、制御部50からの駆動信号により、レーザー光を変調して感光体ドラム25上を露光走査する。
中間転写ベルト22は、YMCK各色の画像形成ユニット21の上部に設けられている。中間転写ベルト22は、環状であり、回転ローラー22aに架け渡されている。中間転写ベルト22は、図1中矢印βで示す方向に回転駆動される。YMCK各色についての一次転写ローラー23の各々は、中間転写ベルト22を挟んで感光体ドラム25の各々と対向している。二次転写ローラー24は、搬送経路TRにおいて中間転写ベルト22と接触している。
定着装置30は、トナー像が形成された用紙を定着ニップで把持しながら搬送方向AR1に搬送することにより、トナー像を加熱して用紙Mに定着する。
制御部50は、画像形成装置1全体の動作を制御する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成されている。
画像形成装置1は、感光体ドラム25を回転させて、感光体ドラム25の表面を帯電ローラー26によって一様に帯電させる。画像形成装置1は、帯電された感光体ドラム25の表面に対して、露光装置27により画像形成情報に従った露光を行い、感光体ドラム25の表面に静電潜像を形成する。
次に画像形成装置1は、静電潜像が形成された感光体ドラム25に対して、現像装置28からトナーを供給して現像を行い、感光体ドラム25の表面にトナー像を形成する。
次に画像形成装置1は、一次転写ローラー23を用いて、感光体ドラム25に形成されたトナー像を、中間転写ベルト22の表面に順次転写する(一次転写)。各色の画像形成ユニット21の動作は、各色のトナー像が中間転写ベルト22上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるように、互いにタイミングをずらして実行される。これにより、中間転写ベルト22の表面には、YMCK各色のトナー像が合成されたトナー像が形成される。
画像形成装置1は、中間転写ベルト22に転写されずに感光体ドラム25に残留したトナーを、クリーニング装置29により除去する。
続いて画像形成装置1は、中間転写ベルト22の表面に形成されたトナー像を、回転ローラー22aによって二次転写ローラー24と対向する位置まで搬送する。
一方、画像形成装置1は、給紙トレイ11に収容された用紙Mのうち最上位の用紙Mを、給紙ローラー12により給紙し、下流側の搬送経路TRに繰り出す。画像形成装置1は、複数の搬送ローラー13の各々により搬送経路TRに沿って用紙Mを搬送する。画像形成装置1は、中間転写ベルト22の表面に形成されたトナー像が二次転写ローラー24と対向する位置(二次転写位置)に到達するタイミングで、複数の搬送ローラー13のうちタイミングローラー13aを用いて用紙Mを二次転写位置に導く。そして画像形成装置1は、中間転写ベルト22の表面に形成されたトナー像を、二次転写ローラー24により用紙Mに転写する(二次転写)。
画像形成装置1は、トナー像が転写された用紙Mを定着装置30に導き、定着装置30によりトナー像を加熱および加圧することにより、トナー像を用紙Mに定着する。その後画像形成装置1は、トナー像が定着された用紙Mを、排紙ローラー14により排紙トレイ15に排紙する。
図2は、本発明の一実施の形態における定着装置30の構成を模式的に示す断面図である。なお、図2では潤滑剤39の図示が省略されている。
図2を参照して、定着装置30は、定着ローラー31(ニップ部材の一例)と、ヒーター32と、加圧ベルト33(ベルトの一例)と、押圧部材34と、支持部材37と、潤滑剤供給部材38(供給部材の一例)と、温度検知素子41と、ローラー駆動モーター42とを含んでいる。
定着ローラー31は、加圧ベルト33の外側における、加圧ベルト33を介して押圧部材34と対向する位置に配置されている。定着ローラー31は、加圧ベルト33の外側から加圧ベルト33における押圧部材34に押圧された部分を押圧することにより、加圧ベルト33との間で定着ニップNPを形成する。定着ローラー31は、回転軸R1を中心として矢印AR11で示す方向に回転駆動される。定着ローラー31は、中空円筒状の金属よりなる芯金と、芯金の外周面に形成された弾性層と、弾性層の外周面に形成された離型層とを含んでいる。定着ローラー31の回転軸R1方向(定着ニップNPの長手方向に等しい)の両端部は、図示しないフレームに対して回転自在に支持されている。
ヒーター32は、定着ローラー31の内部に設けられている。ヒーター32は、定着ローラー31の回転軸R1の延在方向に対して平行に延在しており、定着ローラー31の内側の中空部に挿通されている。ヒーター32は、電力が供給されると発熱し、定着ローラー31を加熱する。これにより定着ローラー31の温度が上昇する。ヒーター32は、たとえばハロゲンヒーターよりなる。
加圧ベルト33は無端状のベルトであり、回転軸R2を中心として回転する。加圧ベルト33は、回転軸R2方向の両端部において、バネによって定着ローラー31側に付勢された図示しないレバー部材によって挟持されることで、定着ローラー31に圧接して定着ニップNPを形成する位置で支持されている。加圧ベルト33は、基層と、基層の表面に形成された弾性層と、弾性層の表面に形成された離型層とを含んでいる。
押圧部材34は、加圧ベルト33の内側に配置されており、加圧ベルト33の内側から加圧ベルト33を押圧し、加圧ベルト33の内周面33aと摺動する。押圧部材34は、押圧パッド35と、摺動シート36とを含んでいる。
押圧パッド35は、加圧ベルト33の内側において支持部材37に固定されている。押圧パッド35は、図示しないバネなどの付勢力により定着ローラー31に向かう方向に押圧される。これにより、押圧パッド35における定着ニップNP側の面は、定着ローラー31の外周面に倣った形状に変形し、定着ローラー31の外周面に沿った形状の定着ニップNPが形成される。押圧パッド35は、耐熱性のシリコーンゴムなどよりなっている。
摺動シート36は、押圧パッド35における定着ニップNP側の面に固定されている。摺動シート36は、加圧ベルト33の内周面33aと押圧パッド35とに挟まれている。摺動シート36は、たとえば0.2mmの厚さを有している。摺動シート36は、たとえばガラスクロスなどよりなっている。摺動シート36における加圧ベルト33の内周面33aと対向する面36aは、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などのフッ素樹脂で被覆されていてもよい。
加圧ベルト33の内周面33aと摺動シート36の面36aとは互いに摺動する。加圧ベルト33の内周面33aにおける摺動シート36の面36aと接触する部分と、摺動シート36の面36aとは、加圧ベルト33と押圧部材34との摺動部SPを構成している。摺動部SP(具体的には、摺動シート36の面36a)には潤滑剤39(図3)が塗布されている。これにより、加圧ベルト33の回転時に加圧ベルト33の内周面33aと摺動シート36の面36aとの摺擦による摩擦抵抗が低減される。
支持部材37は、加圧ベルト33の内側において押圧パッド35を支持している。支持部材37は、加圧ベルト33の回転軸R2方向に対して平行に延在している。支持部材37は、金属または耐熱性樹脂などよりなっており、定着ニップNPの形状を維持できる強度を有している。
潤滑剤供給部材38は、摺動部SPに潤滑剤39を供給(補充)する。潤滑剤供給部材38は、支持部材37に対して両面粘着テープや接着剤などで固定されている。潤滑剤供給部材38は、加圧ベルト33の周方向における摺動部SPとは異なる位置において、加圧ベルト33の内周面33aと接触している。潤滑剤供給部材38は、加圧ベルト33の回転軸R2に対して平行に延在している。潤滑剤供給部材38は、フェルトなどの潤滑剤を含浸することのできる材料よりなっている。潤滑剤供給部材38における回転軸R2方向の異なる複数の領域には、互いに異なる種類の潤滑剤が塗布(含浸)されている。潤滑剤供給部材38に塗布された潤滑剤は、加圧ベルト33の内周面33aを通じて摺動部SPに供給される。これにより、摺動部SPに対して十分な量の潤滑剤が供給される。
温度検知素子41は、定着ローラー31の表面近傍に設けられている。温度検知素子41は、定着ローラー31の表面温度を検知する。定着ローラー31の温度は、温度検知素子41の検知結果に基づいて、制御部50によって制御される。
ローラー駆動モーター42は、制御部50からの回転指示により定着ローラー31を回転軸R1を中心として矢印AR11で示す方向に回転駆動する。加圧ベルト33は、定着ローラー31の回転に従動して、回転軸R2を中心として矢印AR12で示す方向に回転する。回転軸R1と回転軸R2とは互いに平行である。
図3は、本発明の一実施の形態の定着装置30における摺動部SP付近の構成を示す断面図である。図3は、xy平面で切った場合の断面図に相当する。
図3を参照して、摺動部SPは、回転軸R2方向(図3中横方向)において、互いに異なる3つの領域RG1、RG2、およびRG3に仮想的に区分されている。領域RG1は摺動部SPにおいて回転軸R2方向の右端部の領域である。領域RG2は摺動部SPにおいて回転軸R2方向の左端部の領域である。領域RG3は、摺動部SPにおいて回転軸R2方向の領域RG1と領域RG2との間に存在する領域である。
仮想的に区分して得られた領域RG1、RG2、およびRG3の各々には、潤滑剤39として、互いに異なる種類の潤滑剤が塗布されている。互いに異なる複数の種類の潤滑剤の各々は、固体潤滑剤、グリス状潤滑剤、または液体潤滑剤よりなっている。
本明細書において、固体潤滑剤とは、定着装置30が定着動作を行う温度領域(約150℃)において固体である潤滑剤を意味している。グリス状潤滑剤とは、定着装置30が定着動作を行う温度領域においてグリス状である潤滑剤を意味している。液体潤滑剤とは、定着装置30が定着動作を行う温度領域において液体である潤滑剤を意味している。つまり、固体潤滑剤、グリス状潤滑剤、および液体潤滑剤は、定着装置30が定着動作を行う温度領域における相(状態)が互いに異なっている。固体潤滑剤、グリス状潤滑剤、および液体潤滑剤の各々は、常温から250℃程度まで相が変化しないことが好ましい。
図3では、潤滑剤39は、グリス状潤滑剤39bと、液体潤滑剤39cとを含んでいる(言い換えれば、潤滑剤39として、グリス状潤滑剤39bと液体潤滑剤39cとの組合せが用いられている)。領域RG1およびRG2(第1の領域の一例)の各々にはグリス状潤滑剤39bが塗布されている。領域RG3(第2の領域の一例)には液体潤滑剤39cが塗布されている。
グリス状潤滑剤39bはフッ素グリスよりなっており、液体潤滑剤39cはシリコーンオイルよりなっている。一方で、潤滑剤39としてフッ素グリス以外のグリス状潤滑剤39b(シリコーングリスなど)と、シリコーンオイル以外の液体潤滑剤39c(フッ素オイルなど)との組合せが用いられてもよい。
なお、定着温度では液体潤滑剤39cの流動性が高くなるため、押圧部材34により押圧された場合に、摺動部SPに存在する液体潤滑剤39cの量が少なくなる傾向がある。このため、グリス状潤滑剤39bの単位面積当たりの塗布量よりも液体潤滑剤39cの単位面積当たりの塗布量が多いことが好ましい。
続いて、本実施の形態の効果について説明する。
図4は、固体潤滑剤、グリス状潤滑剤、および液体潤滑剤の各々の相の違いを観念的に示す図である。図4(a)は固体潤滑剤39aを示しており、図4(b)はグリス状潤滑剤39bを示しており、図4(c)は液体潤滑剤39cを示している。
図3および図4を参照して、固体潤滑剤39aは、粒子状である。グリス状潤滑剤39bは、基油としての液体潤滑剤に増稠剤および添加剤が添加されたものである。グリス状潤滑剤39bは、お互いの結合により、半固体または半流動体の状態となっている。液体潤滑剤39cは長鎖の分子により構成されており、高い流動性を有している。
領域RG1と領域RG3との境界、および領域RG2と領域RG3との境界では、押圧部材34から受ける押圧力によって、領域RG1およびRG2に塗布されたグリス状潤滑剤39bは領域RG3の方へ移動しようとし、領域RG3に塗布された液体潤滑剤39cは領域RG1またはRG2の方へ移動しようとする。しかし、グリス状潤滑剤39bは半固体または半流動体であり、液体潤滑剤39cは液体である。グリス状潤滑剤39bと液体潤滑剤39cとは相が互いに異なっているため、互いに混じり合いにくい。
このため、グリス状潤滑剤39bは、液体潤滑剤39cによって領域RG3への移動を阻止されて領域RG1およびRG2の各々に留まる。液体潤滑剤39cは、グリス状潤滑剤39bによって領域RG1またはRG2への移動を阻止されて領域RG3に留まる。これにより、潤滑剤39を構成するグリス状潤滑剤39bおよび液体潤滑剤39cの各々の回転軸R2方向の移動を抑止することができ、潤滑剤39が摺動部SPにおける回転軸R2方向の一部に偏在する事態を回避することができる。その結果、潤滑剤の偏在に起因する加圧ベルト33の内周面33aと押圧部材34との摺動性の悪化を抑止することができ、加圧ベルト33および押圧部材34に発生する摩耗や破損を抑止することができ、定着装置30の耐久性を向上することができる。
また、摺動部材に形成する複数の長溝や冷却手段が必須ではないので、装置構成の簡素化を図ることができる。
特に、摺動部SPにおける両端部の領域RG1およびRG2にグリス状潤滑剤39bを塗布し、摺動部SPにおける領域RG3に液体潤滑剤39cを塗布した場合には、摺動抵抗を低減しつつ、摺動部SPの両端部からの潤滑剤39の漏れを長期にわたって抑止することができる。また、潤滑剤39の漏れによる用紙Mの汚染を抑止することができる。
すなわち、約150℃の定着温度まで定着装置30が加熱された状態では、液体潤滑剤39cは流動性が高くなり、摺動抵抗が小さくなるため、摺動抵抗を低減することができる。一方、グリス状潤滑剤39bの流動性の温度依存性は小さく、約200℃の定着温度まで定着装置30が加熱された状態であってもグリス状潤滑剤39bの流動性は一般的に低いため、冷却ファンなどで摺動部SPの両端部付近を冷却しなくても、領域RG1およびRG2に塗布されたグリス状潤滑剤39bが摺動部SPの両端部から漏れ出すことはない(但し、潤滑剤の漏れをより効果的に防止するために、摺動部SPの両端部を冷却してもよい)。また、液体潤滑剤39cはグリス状潤滑剤39bによって領域RG3に閉じ込められているため、液体潤滑剤39cの流動性が高くなっても、液体潤滑剤39cが摺動部SPの両端部から漏れ出すことはない。
特に、潤滑剤39としてフッ素グリスとシリコーンオイルとの組合せを用いることにより、次の効果を得ることができる。フッ素グリスとシリコーンオイルとは、相溶性が低く、定着装置30が長期間使用された後も混合しにくい。このため、潤滑剤39の回転軸R2方向の移動を効果的に抑止することができる。加えて、ここで使用しているシリコーンオイルの粘度は、約300cst(センチストークス)である。一般的に、シリコーンオイルは、フッ素グリスに対し流動性が高く、摺動抵抗が少ない。このため、潤滑剤39としてシリコーンオイルを用いることで、ローラー駆動モーター42の駆動トルクを低減することができ、ローラー駆動モーター42の小型化を図ることができ、製造コストの低減や省スペース化を図ることができる。また、駆動トルクが低いローラー駆動モーター42を採用しても、定着装置30の起動前に加熱する必要がなく、ウォームアップ時間やファーストプリント時間を短縮することができる。さらに、フッ素グリスはシリコーンオイルに対し流動性が十分に低いため、摺動部SPの両端部からの潤滑剤39の漏れを効果的に抑制することができる。つまり、潤滑剤39として、フッ素グリスとシリコーンオイルとの組合せを用いることにより、高い摺動性を確保することができ、潤滑剤39の漏れを効果的に抑止することができる。
さらに、潤滑剤供給部材38を用いて摺動部SPに潤滑剤を補充することにより、常に十分な量の潤滑剤を摺動部SPに存在させることができ、経時による潤滑剤の揮発や変質などによる潤滑剤の減少に対して長期にわたって対応することができる。
[変形例]
(1) 摺動部SPの複数の領域に同一相の潤滑剤を塗布する場合には、複数の領域の各々で互いに異なる材料よりなる潤滑剤が用いられてもよい。たとえば、一の領域に塗布する液体潤滑剤39cとしてシリコーンオイルが用いられ、他の領域に塗布する液体潤滑剤39cとしてフッ素オイルが用いられ、さらに他の領域に塗布するグリス状潤滑剤39bとしてフッ素グリスが用いられてもよい(潤滑剤39として、液体潤滑材としてのシリコーンオイルおよびフッ素オイルと、グリス状潤滑剤としてのフッ素グリスとの組み合わせが用いられてもよい)。
(2) 潤滑剤39として固体潤滑剤39aと液体潤滑剤39cとの組合せが用いられてもよい。言い換えれば、潤滑剤39は、固体潤滑剤39a(ドライサーフや、アルコールを混合させた粉末状潤滑剤など)と、液体潤滑剤39cとを含んでおり、領域RG1およびRG2の各々には固体潤滑剤39aが塗布されており、領域RG3には液体潤滑剤39cが塗布されていてもよい。この場合にも、固体潤滑剤39aと液体潤滑剤39cとの相の違いを利用して、潤滑剤39が摺動部SPにおける回転軸R2方向の一部に偏在する事態を回避することができる。また、固体潤滑剤39aの流動性の低さを利用して、摺動抵抗を低減しつつ、摺動部SPの両端部からの潤滑剤39の漏れを抑止することができる。特に固体潤滑剤39aは流動性が極めて低いため、液体潤滑剤39cにより摺動抵抗を低減しつつ、固体潤滑剤39aの流動性の低さを利用して摺動部SPの両端部からの潤滑剤39の漏れを抑止することができる。
(3) 潤滑剤39として固体潤滑剤39aとグリス状潤滑剤39bとの組合せが用いられてもよい。言い換えれば、潤滑剤39は、固体潤滑剤39aと、グリス状潤滑剤39bとを含んでおり、領域RG1およびRG2の各々には固体潤滑剤39aが塗布されており、領域RG3にはグリス状潤滑剤39bが塗布されていてもよい。この場合にも、固体潤滑剤39aとグリス状潤滑剤39bとの相の違いを利用して、潤滑剤39が摺動部SPにおける回転軸R2方向の一部に偏在する事態を回避することができる。また、グリス状潤滑剤39bにより摺動抵抗を低減しつつ、固体潤滑剤39aの流動性の低さを利用して摺動部SPの両端部からの潤滑剤39の漏れを抑止することができる。
(4) 摺動部SPを構成する加圧ベルト33の内周面33aおよび摺動シート36の面36aのうち少なくともいずれか一方には、凹凸が形成されていてもよい。固体潤滑剤39aは、擦れて枯渇しやすく、摺動抵抗が高くなりやすい性質を有している。このため、特に潤滑剤39が固体潤滑剤39aを含む場合には、加圧ベルト33の内周面33aや摺動シート36の面36aに凹凸を形成することで、固体潤滑剤39aの保持力を確保することができる。また、潤滑剤39が固体潤滑剤39aを含む場合には、ローラー駆動モーター42の定格トルクが大きく設定されてもよい。
加圧ベルト33の内周面33aや摺動シート36の面36aに凹凸を形成する場合には、凹凸を形成された面の表面粗さは、回転軸R2方向で互いに異なっていることが好ましい。潤滑剤39の種類に応じた表面粗さで凹凸が形成されることが好ましい。固体潤滑剤39aや液体潤滑剤39cは、加圧ベルト33と摺動シート36との圧接および摺動により、摺動部SPの潤滑剤が摺動部SPから押し出され、摺動部SPに介在する潤滑剤が減少したり、枯渇したりするおそれがある。これを防止するために、固体潤滑剤39aや液体潤滑剤39cを塗布した領域に対応する領域の加圧ベルト33の内周面33aや摺動シート36の面36aの表面粗さを、グリス状潤滑剤39bを塗布した領域に対応する領域の加圧ベルト33の内周面33aや摺動シート36の面36aの表面粗さよりも大きくすることが好ましい。これにより、加圧ベルト33の内周面33aや摺動シート36の面36aに形成された凹部により、固体潤滑剤39aや液体潤滑剤39cを保持することができ、枯渇を防止することができる。また、グリス状潤滑剤39bを塗布した領域に対応する領域の加圧ベルト33の内周面33aや摺動シート36の面36aの表面粗さを小さくすることで、この領域の摺動抵抗を低く抑えることができる。
(5) 加圧ベルト33および摺動シート36のうち少なくともいずれか一方は、次の構成を有していてもよい。
図5は、本発明の一実施の形態の変形例における摺動シート36の構成を示す断面図である。図5(a)は第1の変形例の摺動シート36の構成を示している。図5(b)は第2の変形例の摺動シート36の構成を示している。図5(c)は第3の変形例の摺動シート36の構成を示している。図5は、xy平面で切った場合の断面図に相当する。図5では、溝または突起部の縦横の寸法比を、実際のものとは異なる態様で示している。図5では摺動シート36を例として示しており、摺動部SPを構成する摺動シート36の面36aは、図5中上側の面である。
図5を参照して、摺動部SPを構成する加圧ベルト33の内周面33aおよび摺動シート36の面36aのうち少なくともいずれか一方において、領域RG1、RG2、およびRG3の各々の境界に対応する位置には、段差部(溝部361aおよび361b、壁部362aおよび362b、または溝部363)が形成されていてもよい。
図5(a)に示す第1の変形例の摺動シート36の面36aには、領域RG1と領域RG3との境界に溝部361aが設けられており、領域RG2と領域RG3との境界に溝部361bが設けられている。溝部361aおよび361bの各々の深さ(図5中上下方向の長さ)は約0.1mmであり、溝部361aおよび361bの各々の幅(回転軸R2方向(図5中横方向)の長さ)は約1mmである。
第1の変形例の摺動シート36によれば、領域RG1と領域RG3との間で移動しようとした潤滑剤39が溝部361aに溜まり、領域RG2と領域RG3との間で移動しようとした潤滑剤39が溝部361bに溜まる。これにより、潤滑剤39の混合がより抑止され、端部からの漏れを防止することができる。
図5(b)に示す第2の変形例の摺動シート36の面36aには、領域RG1と領域RG3との境界に壁部362aが設けられており、領域RG2と領域RG3との境界に壁部362bが設けられている。壁部362aおよび362bの各々の高さ(図5中上下方向の長さ)は約0.1mmであり、壁部362aおよび362bの各々の幅(回転軸R2方向(図5中横方向)の長さ)は約1mmである。
第2の変形例の摺動シート36によれば、壁部362aは、領域RG1と領域RG3との間での潤滑剤39の移動の障壁となり、壁部362bは、領域RG2と領域RG3との間での潤滑剤39の移動の障壁となる。これにより、潤滑剤39の回転軸R2方向の移動を効果的に抑止することができ、潤滑剤39の回転軸R2方向の偏在を一層抑止することができ、定着装置30の耐久性を一層向上することができる。
なお、溝部361aおよび361bや壁部362aおよび362bが画像領域内にある場合には、用紙Mに形成される画像にノイズが発生しないように、これらの幅および深さが適切に設定される必要がある。また、溝部361aおよび361bや壁部362aおよび362bは、摺動方向(図5中z軸方向)に対して平行に延在していてもよいし、摺動方向に対して傾斜していてもよい。
図5(c)に示す第3の変形例の摺動シート36の面36aの領域RG3には、溝部363が設けられている。摺動シート36における領域RG3の厚さ(図5中上下方向の長さ)(たとえば0.2mm)は、摺動シート36における領域RG1およびRG2の厚さ(たとえば0.2mm)よりも薄くなっている。領域RG1と領域RG3との境界、および領域RG2と領域RG3との境界には段差が生じている。
第3の変形例の摺動シート36によれば、領域RG3に塗布された潤滑剤39を溝部363内に留めることができる。これにより、潤滑剤39の回転軸R2方向の移動を効果的に抑止することができ、潤滑剤39の回転軸R2方向の偏在を一層抑止することができ、定着装置30の耐久性を一層向上することができる。
(6) 潤滑剤39は、以下の構成を有していてもよい。
図6は、本発明の一実施の形態の変形例の潤滑剤39の構成を示す断面図であって、定着装置30における摺動部SP付近の構成を示す断面図である。図6は、xy平面で切った場合の断面図に相当する。
図6を参照して、本変形例では、摺動部SPは、回転軸R2方向(図6中横方向)において、互いに異なる7つの領域RG11、RG12、RG13、RG14、RG15、RG16、およびRG17(5箇所以上の領域の一例)に仮想的に区分されている。領域RG11は摺動部SPにおいて回転軸R2方向の右端部の領域である。領域RG12は摺動部SPにおいて回転軸R2方向の左端部の領域である。領域RG13は、摺動部SPにおける領域RG11の回転軸R2方向の左端部と隣接する領域である。領域RG14は、摺動部SPにおける領域RG12の回転軸R2方向の右端部と隣接する領域である。領域RG15は、摺動部SPにおける領域RG13の回転軸R2方向の左端部と隣接する領域である。領域RG16は、摺動部SPにおける領域RG14の回転軸R2方向の右端部と隣接する領域である。領域RG17は、摺動部SPにおいて回転軸R2方向の領域RG15と領域RG16との間に存在する領域である。
仮想的に区分して得られた領域RG11、RG12、RG13、RG14、RG15、RG16、およびRG17の各々には、潤滑剤39として、互いに異なる種類の潤滑剤が塗布されている。領域RG11、RG12、RG13、RG14、RG15、RG16、およびRG17のうち互いに隣接する2つの領域の各々には、互いに異なる種類の潤滑剤が塗布されている。
潤滑剤39は、グリス状潤滑剤39bと、液体潤滑剤39cとを含んでいる。領域RG11、RG12、RG15、およびRG16の各々にはグリス状潤滑剤39bが塗布されている。領域RG13、RG14、およびRG17の各々には液体潤滑剤39cが塗布されている。
本変形例では、摺動部SPを回転軸R2方向で区分した領域の数が、図3の場合よりも増加する。これにより、1つの領域の回転軸R2方向の長さを短くすることができ、1つの領域に塗布された潤滑剤が回転軸R2方向で移動可能な範囲を狭めることができる。その結果、潤滑剤39の回転軸R2方向の偏在を一層抑止することができる。
加圧ベルト33には、摺動部SPにおける複数の領域の各々に塗布された潤滑剤の粘度の違いによる摺動抵抗差に起因して、ねじれ力が発生することがある。本変形例によれば、1つの領域の回転軸R2方向の長さを短くすることができるため、このねじれ力を小さく抑制することができ、加圧ベルト33のしわや破損を防止できる。
なお、本変形例における潤滑剤39として、固体潤滑剤、グリス状潤滑剤、液体潤滑剤の3種類全てを使用してもよい。たとえば図6において、両端部の領域RG11およびRG12には固体潤滑剤39aが塗布され、領域RG15およびRG16にはグリス状潤滑剤39bが塗布され、領域RG13、RG14、およびRG17には液体潤滑剤39cが塗布されてもよい。
(7) 定着ニップNPに加わる圧力(以降、ニップ圧と記すことがある)は、回転軸R2方向で一定である場合の他、回転軸R2方向で次のような分布を有していてもよい。
図7は、本発明の一実施の形態の変形例における回転軸R2方向のニップ圧の分布を示す図である。
図7を参照して、本変形例では、回転軸R2方向の両端部に存在する領域のニップ圧は、回転軸R2方向の両端部の間に存在する領域のニップ圧よりも小さい。
回転軸R2方向のニップ圧の分布を上述のように調整する方法として、支持部材37の形状により調整する方法や、押圧パッド35の形状により調整する方法が用いられてもよい。具体的には、支持部材37における押圧パッド35と接触する面が、回転軸R2方向の両端部に存在する領域のニップ圧が小さくなる方向に、押圧パッド35の面に対して傾斜していてもよい。また、押圧パッド35の回転軸R2方向の両端部の厚さが、押圧パッド35の回転軸R2方向の中央部の厚さよりも薄くてもよい。
本変形例によれば、摺動部SPの回転軸R2方向の両端部の領域RG1およびRG2に加わる圧力が低減されるので、領域RG1およびRG2に塗布された潤滑剤39の摺動部SPからの漏れを抑止することができる。加えて、摺動部SPの回転軸R2方向の両端部の領域RG1およびRG2の摺動による摩擦抵抗を低減することができ、加圧ベルト33のスリップなどの回転不良を効果的に抑止することができる。
なお、本変形例においてニップ圧を低くする領域は、最大画像領域の端部よりも外側の領域であることが好ましい。画像領域内でニップ圧を低くすると、画像の光沢がニップ圧により変化し、光沢ムラが発生したり、定着不足によるオフセットが発生したりするおそれがあるためである。画像領域内でニップ圧を低くする場合は、画像への影響が発生しない範囲内のニップ圧とされることが好ましい。
[その他]
本発明の対象となる定着装置は、上述のように定着ローラーと加圧ベルトとの組合せによって構成されたものの他、定着ベルトと加圧ローラーとの組合せによって構成されたものであってもよい。この場合、定着装置は、定着ベルト側の構成として、ベルト、押圧部材、潤滑剤、および支持部材などを備えていてもよい。また、本発明の対象となる定着装置は、ベルトの内部に設けられた押圧パッドおよびローラーによってベルトが張架されたものであってもよい。
上述の実施の形態および変形例は適宜組み合わせることが可能である。
上述の実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 画像形成装置
1a 画像形成装置本体
10 用紙搬送部
11 給紙トレイ
12 給紙ローラー
13 搬送ローラー
13a タイミングローラー
14 排紙ローラー
15 排紙トレイ
20 トナー像形成部(画像形成部の一例)
21 画像形成ユニット
22 中間転写ベルト
22a 回転ローラー
23 一次転写ローラー
24 二次転写ローラー
25 感光体ドラム
26 帯電ローラー
27 露光装置
28 現像装置
29 クリーニング装置
30 定着装置
31 定着ローラー(ニップ部材の一例)
32 ヒーター
33 加圧ベルト(ベルトの一例)
33a 加圧ベルトの内周面
34 押圧部材
35 押圧パッド
36 摺動シート
36a 摺動シートの面
37 支持部材
38 潤滑剤供給部材(供給部材の一例)
39 潤滑剤
39a 固体潤滑剤
39b グリス状潤滑剤
39c 液体潤滑剤
41 温度検知素子
42 ローラー駆動モーター
50 制御部
361a,361b,363 摺動シートの溝部
362a,362b 摺動シートの壁部
M 用紙
NP 定着ニップ
R1,R2 回転軸
RG1,RG2,RG3,RG11,RG12,RG13,RG14,RG15,RG16,RG17 摺動部の領域(第1および第2の領域の一例)
SP 摺動部
TR 搬送経路

Claims (10)

  1. 未定着画像が形成された用紙を定着ニップで把持しながら搬送することにより、前記未定着画像を前記用紙に定着する定着装置であって、
    回転する無端状のベルトと、
    前記ベルトの内側に配置され、内側から前記ベルトを押圧し、前記ベルトの内周面と摺動する押圧部材と、
    前記ベルトと前記押圧部材との摺動部に塗布された潤滑剤と、
    前記ベルトの外側に配置され、前記ベルトとの間で前記定着ニップを形成するニップ部材とを備え、
    前記摺動部を前記定着ニップの長手方向で区分して得られる複数の領域の各々には、互いに異なる種類の前記潤滑剤が塗布されており、
    前記互いに異なる種類の前記潤滑剤の各々は、前記定着装置が定着動作を行う温度領域において固体である固体潤滑剤、前記定着装置が定着動作を行う温度領域においてグリス状であるグリス状潤滑剤、または前記定着装置が定着動作を行う温度領域において液体である液体潤滑剤よりなる、定着装置。
  2. 前記潤滑剤は、
    前記摺動部における前記長手方向の両端部に存在する第1の領域に塗布された第1の潤滑剤と、
    前記摺動部における前記長手方向の前記第1の領域の間に存在する第2の領域に塗布された第2の潤滑剤とを含み、
    前記第1の潤滑剤は前記固体潤滑剤または前記グリス状潤滑剤よりなり、前記第2の潤滑剤は前記液体潤滑剤よりなる、請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記第1の潤滑剤は前記グリス状潤滑剤であるフッ素グリスよりなり、前記第2の潤滑剤は前記液体潤滑剤であるシリコーンオイルよりなる、請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記潤滑剤は、
    前記摺動部における前記長手方向の両端部に存在する第1の領域に塗布された第1の潤滑剤と、
    前記摺動部における前記長手方向の前記第1の領域の間に存在する第2の領域に塗布された第2の潤滑剤とを含み、
    前記第1の潤滑剤は前記固体潤滑剤よりなり、前記第2の潤滑剤は前記グリス状潤滑剤よりなる、請求項1に記載の定着装置。
  5. 前記複数の領域は5箇所以上の領域であり、
    前記複数の領域のうち互いに隣接する2つの領域の各々には、互いに異なる種類の前記潤滑剤が塗布される、請求項1〜4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記ベルトの内周面の表面粗さは、前記長手方向で互いに異なる、請求項1〜5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記ベルトおよび前記押圧部材のうち少なくともいずれか一方は、
    前記摺動部における前記複数の領域の各々の境界に形成された段差部を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記定着ニップにおける前記長手方向の両端部に存在する領域に加わる圧力は、前記定着ニップにおける前記長手方向の両端部の間に存在する領域に加わる圧力よりも小さい、請求項1〜7のいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記摺動部に前記潤滑剤を供給する供給部材であって、前記ベルトの周方向における前記摺動部とは異なる位置において前記ベルトの内周面と接触する供給部材をさらに備えた、請求項1〜8のいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記未定着画像を前記用紙に形成する画像形成部と、
    請求項1〜9のいずれかに記載の定着装置とを備えた、画像形成装置。
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