JP2019086267A - プレコートフィン材 - Google Patents

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【課題】コイルのマテリアルハンドリング性が良好であり、耐アルカリ性の低下を回避し、安価に作製することが可能なプレコートフィン材を提供する。【解決手段】プレコートフィン材1は、アルミニウムからなる基板2と、ウレタン系樹脂を含み、基板2上に形成された耐食性塗膜4と、耐食性塗膜4上に積層された親水性塗膜5と、を有している。親水性塗膜5は、アクリル系樹脂と、ポリエチレングリコールと、非イオン性界面活性剤と、重合度500〜700かつけん化度98.0〜99.0mol%のポリビニルアルコールと、を含有している。アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、ポリビニルアルコールの含有量は36〜44質量部である。【選択図】図1

Description

本発明は、プレコートフィン材に関する。
従来、空気調和機や冷蔵庫等に搭載される熱交換器として、多数のフィンと、これらのフィンと交差したチューブとを有する、いわゆるプレートフィンチューブ型熱交換器が多用されている。プレートフィンチューブ型熱交換器は、例えば空気調和機における冷房運転中の室内機のように、低温の冷媒と外気との熱交換を行うことがある。この場合においては、フィンの温度が外気の露点よりも低くなると、フィンの表面に結露水が付着する。この結露水の量が多くなると、フィン間の隙間が狭くなったり、場合によっては閉塞されるため、通風抵抗、すなわちフィン間を気流が通過する際の抵抗の増大を招くおそれがある。その結果、熱交換効率の低下を招くおそれがある。
このような問題を解決するため、表面に親水性皮膜を有するプレコートフィン材が提案されている。このプレコートフィン材にプレス加工等を施すことにより、表面に親水性皮膜を備えたフィンを作製することができる。かかるフィンの表面においては、親水性皮膜の存在により水が濡れ拡がりやすくなっている。それ故、結露水を厚みが均一かつ薄い膜状にしてフィン間の隙間の閉塞を回避するとともに、フィン間からの結露水の排出を促進する技術が種々提案されている。
この種のプレコートフィンとして、例えば、特許文献1には、アルミニウムからなる基板と、基板上に形成された親水性皮膜とを備えたプレコートフィン材が記載されている。また、親水性皮膜上には、プレス加工時の成形性を向上させるための潤滑性皮膜が設けられることがある。
特開2012−187607号公報
近年では、熱交換器をより安価に提供するため、フィンの更なるコストダウンが強く求められている。しかし、特許文献1のプレコートフィン材において親水性皮膜上に潤滑性皮膜を設ける場合には、塗料の塗布と乾燥とを皮膜ごとに行う必要がある。そのため、この場合には、プレコートフィン材の製造工程における工程数が多くなり、コストを低減することが難しい。
プレコートフィン材のコストを低減するためには、例えば、親水性皮膜に潤滑性皮膜としての機能を付与することにより、塗料の塗布および乾燥の回数を削減する方法が考えられる。更に、親水性皮膜に用いる塗料の材料コストを低減する方法も考えられる。しかし、親水性皮膜の潤滑性を高め、かつ、塗料の材料コストを低減した場合には、耐アルカリ性が低下し、アルカリ性の水溶液と接触した場合に親水性皮膜がプレコートフィン材から剥離しやすくなる。
また、プレコートフィン材は、通常、基板表面に親水性皮膜等を積層してプレコートフィン材を完成させた後に巻き取られ、コイルの状態で保管されている。前述したように、親水性皮膜の潤滑性を高め、かつ、塗料の材料コストを低減した場合には、プレコートフィン材をコイル状に巻き取った後に、積層されたプレコートフィン材同士が滑りやすくなる。その結果、例えばコイルの搬送中等に、コイルの巻きずれ、つまり、コイルの端面からプレコートフィン材の一部が突出する現象が起こりやすくなり、コイルのマテリアルハンドリング性の悪化を招くおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、コイルのマテリアルハンドリング性が良好であり、耐アルカリ性の低下を回避し、安価に作製することが可能なプレコートフィン材を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、アルミニウムからなる基板と、
ウレタン系樹脂を含み、前記基板上に形成された耐食性塗膜と、
前記耐食性塗膜上に積層された親水性塗膜と、を有し、
前記親水性塗膜は、
アクリル系樹脂と、
ポリエチレングリコールと、
非イオン性界面活性剤と、
重合度500〜700かつけん化度98.0〜99.0mol%のポリビニルアルコールと、を含有しており、
前記アクリル系樹脂、前記ポリエチレングリコール及び前記ポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、前記ポリビニルアルコールの含有量が36〜44質量部である、
プレコートフィン材にある。
前記プレコートフィン材は、アクリル系樹脂と、ポリエチレングリコールと、前記特定の範囲の重合度及びけん化度を備えたポリビニルアルコールと、非イオン性界面活性剤とを含む親水性塗膜を有している。この親水性塗膜は、ポリエチレングリコールの潤滑作用によってプレス加工時の成形性を向上することができるため、親水性塗膜上に別途潤滑性皮膜などを設ける必要がない。それ故、前記プレコートフィン材によれば、塗料の塗布及び乾燥の回数の増大を回避し、製造コストを低減することができる。また、前記親水性塗膜は、比較的安価な成分から構成されているため、材料コストを低減することもできる。
また、親水性塗膜中は、前記特定の範囲の重合度及びけん化度を有するポリビニルアルコールが含まれている。親水性塗膜は、かかるポリビニルアルコールの含有量を前記特定の範囲とすることにより、耐アルカリ性の低下を回避することができる。
前記親水性塗膜に含まれるアクリル系樹脂は、ポリエチレングリコールとの相溶性が比較的悪い。そのため、親水性塗膜は、ポリエチレングリコールまたはアクリル系樹脂のいずれか一方を主体とする連続相中に他方を主体とする分散相が分散した相分離構造を有している。前記非イオン性界面活性剤及び前記ポリビニルアルコールは、この相分離構造における連続相と分散相との相溶性を良くすることができる。
そして、連続相と分散相との相溶性を改善することにより、連続相と分散相との高さの差を小さくし、プレコートフィン材の表面の凹凸を小さくすることができる。これにより、コイルにおいて互いに積層されたプレコートフィン材同士の接触面積を大きくし、プレコートフィン材同士の滑りを抑制することができる。その結果、コイルの巻きずれの発生を抑制することができる。
以上のように、前記プレコートフィン材は、コイルのマテリアルハンドリング性に優れ、耐アルカリ性の低下を回避し、安価に作製することが可能である。
実施例における、プレコートフィン材の要部を示す一部断面図である。
前記プレコートフィン材において、基板を構成するアルミニウムは、純アルミニウム及びアルミニウム合金の中から所望する機械的特性や耐食性等に応じて適宜選択することができる。基板は、例えば、JIS A1200やJIS A1050から構成されていてもよい。
基板の表面には、必要に応じて下地皮膜を設けることができる。下地皮膜は、その材質に応じて、例えば、基板と耐食性塗膜との密着性を向上させる、基板の耐食性を向上するなどの作用効果を奏することができる。下地皮膜としては、例えば、リン酸クロメートなどのクロメート処理、クロム化合物以外のリン酸チタンやリン酸ジルコニウム、リン酸モリブデン、リン酸亜鉛、酸化ジルコニウムなどによるノンクロメート処理などの化学皮膜処理、いわゆる化成処理により得られる皮膜を採用することができる。なお、前述した化成処理方法には、反応型及び塗布型があるが、いずれの手法でもよい。下地皮膜の付着量は、例えば金属の含有量として100mg/m2以下の範囲から適宜選択することができる。また、下地皮膜の付着量は、蛍光X線分析装置により測定することができる。
基板上には、ウレタン系樹脂を含む耐食性塗膜が配置されている。つまり、耐食性塗膜は、基板上に直接積層されていてもよいし、基板と耐食性塗膜との間に下地皮膜などの他の皮膜や塗膜が介在していてもよい。また、耐食性塗膜は、基板の片面上に設けられていてもよいし、両面上に設けられていてもよい。
ウレタン系樹脂を含む耐食性塗膜は、加工性と耐食性とのバランスに優れており、プレコートフィン材用として好適である。また、ウレタン系樹脂を含む耐食性塗膜は、親水性塗膜との密着性が良好であり、耐食性塗膜からの親水性塗膜の剥離を抑制することができる。
ウレタン系樹脂は、ポリイソシアナートとポリオールとを含む原料を重合させてなる樹脂であり、その分子構造内に、比較的凝集力の弱いポリオール成分から構成されるソフトセグメントと、比較的凝集力の強いウレタン結合及びウレア結合から構成されるハードセグメントとを有している。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族イソシアネート等を使用することができる。また、ポリオールとしては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等を使用することができる。
耐食性塗膜を形成するための塗料は、例えば、ウレタン系樹脂が直径数十〜数百nmの粒子として水中に安定に分散したウレタン樹脂エマルションであってもよい。ウレタン系樹脂の粒子を水中に分散させる方法としては、例えば、乳化剤を使用する方法、ウレタン系樹脂の分子構造中にアニオン性、カチオン性または非イオン性の親水基を導入する方法等がある。
耐食性塗膜中には、ウレタン系樹脂に加えて、耐食性向上を目的として、シリカゲル、コロイダルシリカ等が更に含まれていてもよい。また、耐食性塗膜中には、ウレタン系樹脂に加えて、塗膜密着性向上を目的として、シランカップリング剤が更に含まれていてもよい。
耐食性塗膜の付着量は、0.3〜1.2g/m2とすることができる。耐食性塗膜の付着量を0.3g/m2以上とすることにより、プレコートフィン材の耐食性をより向上させることができる。また、耐食性塗膜の付着量を1.2g/m2以下とすることにより、塗料の使用量の増大を抑制し、ひいては材料コストの増大を抑制することができる。
耐食性塗膜上には、親水性塗膜が積層されている。親水性塗膜中には、アクリル系樹脂と、ポリエチレングリコールと、非イオン性界面活性剤と、重合度500〜700かつけん化度98.0〜99.0mol%のポリビニルアルコールと、が含まれている。
前記親水性塗膜中のアクリル系樹脂は、親水性塗膜の親水性を高める作用を有している。親水性塗膜中のアクリル系樹脂の含有量は特に限定されることはないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、28.5〜56質量部の範囲内から適宜設定することができる。
アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の(メタ)アクリル酸重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル酸誘導体の重合体、(メタ)アクリル酸及びその誘導体からなる群より選択される2種以上の単量体成分を含む共重合体、(メタ)アクリル酸及びその誘導体からなる群より選択される1種以上の単量体成分と、(メタ)アクリル酸及びその誘導体以外の単量体成分とを含む共重合体等を使用することができる。アクリル系樹脂としては、ポリアクリルアミドを使用することが好ましい。この場合には、親水性塗膜の親水性をより高めることができ、フィン表面からの結露水の排出をより促進することができる。
前記親水性塗膜中に含まれるポリエチレングリコールは、親水性塗膜の潤滑性を高める作用を有している。親水性塗膜中のポリエチレングリコールの含有量は特に限定されることはないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、4〜34質量部の範囲内から適宜設定することができる。
前記親水性塗膜中に含まれる非イオン性界面活性剤は、アクリル系樹脂とポリビニルアルコールとの相溶性を改善する作用を有している。親水性塗膜中に非イオン性界面活性剤を添加することにより、プレコートフィン材表面の凹凸を小さくし、コイルの端面からプレコートフィン材の一部が突出することを抑制できる。
親水性塗膜中の非イオン性界面活性剤の含有量は特に限定されることはないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部の範囲内から適宜設定することができる。この場合には、非イオン性界面活性剤の使用量を抑制し、材料コストの増大を回避しつつアクリル系樹脂とポリエチレングリコールとの相溶性を改善する作用を得ることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテル型界面活性剤、前記エステル型界面活性剤に更に酸化エチレンを付加してなるエステル・エーテル型界面活性剤等を使用することができる。
前記親水性塗膜中に含まれるポリビニルアルコールは、500〜700の重合度及び98.0〜99.0mol%のけん化度を有している。また、親水性塗膜中のポリビニルアルコールの含有量は、アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、36〜44質量部の範囲内である。ポリビニルアルコールの重合度、けん化度及び親水性塗膜中の含有量を前記特定の範囲内とすることにより、親水性と耐アルカリ性との両方に優れたプレコートフィン材を得ることができる。
ポリビニルアルコールの重合度が500未満の場合、または、けん化度が98.0mol%未満の場合には、ポリビニルアルコールの吸湿によって耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性が低下しやすくなる。その結果、耐アルカリ性の低下を招くおそれがある。
ポリビニルアルコールの重合度が700を超える場合、または、けん化度が99.0mol%を超える場合には、ポリビニルアルコールの材料コストの増大を招くおそれがある。
また、親水性塗膜中のポリビニルアルコールの含有量が36質量部未満の場合には、親水性塗膜中に占めるポリビニルアルコールの比率が少なくなり、耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性が低下しやすくなる。その結果、耐アルカリ性の低下を招くおそれがある。耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性をより向上させる観点からは、親水性塗膜中のポリビニルアルコールの含有量を39質量部以上とすることが好ましい。
親水性塗膜中のポリビニルアルコールの含有量が44質量部を超える場合には、親水性塗膜中に占めるアクリル系樹脂の比率が少なくなり、親水性の低下を招くおそれがある。親水性をより向上させる観点からは、親水性塗膜中のポリビニルアルコールの含有量を41質量部以下とすることが好ましい。
前記親水性塗膜の付着量は、0.3〜1.2g/m2とすることができる。親水性塗膜の付着量を0.3g/m2以上とすることにより、プレコートフィン材の耐食性をより向上させることができる。また、親水性塗膜の付着量を1.2g/m2以下とすることにより、塗料の使用量の増大を抑制し、ひいては材料コストの増大を抑制することができる。
前記プレコートフィン材の実施例を、図1を用いて説明する。なお、本発明に係るプレコートフィン材の具体的な態様は、実施例の態様に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜構成を変更することができる。
本例のプレコートフィン材1は、図1に示すように、アルミニウムからなる基板2と、ウレタン系樹脂を含み、基板2上に形成された耐食性塗膜4と、耐食性塗膜4上に積層された親水性塗膜5と、を有している。基板2と耐食性塗膜4との間には、下地皮膜3が介在している。
本例においては、まず、アルミニウムからなる基板2を準備し、リン酸クロメート処理を施して基板2の表面に下地皮膜3としてのリン酸クロメート処理皮膜を形成した。次いで、ロールコーターを用いて下地皮膜3上にウレタン系樹脂を含む耐食性塗料を塗布した。この耐食性塗料を加熱して焼き付けることにより、下地皮膜上にウレタン系樹脂を含む耐食性塗膜4を形成した。焼き付け後における耐食性塗膜4の付着量は、表1に示す通りであった。
次に、アクリル系樹脂(A)、ポリエチレングリコール(B)、非イオン性界面活性剤(C)及びポリビニルアルコール(D)を水中に分散させて親水性塗料を調製した。親水性塗料中の各成分の質量比は、表1に示す通りとした。
本例において用いたアクリル系樹脂(A)、非イオン性界面活性剤(C)及びポリビニルアルコール(D)は、具体的には以下のとおりである。
・アクリル系樹脂(A)
ポリアクリルアミドを含む樹脂
・非イオン性界面活性剤(C)
グリセリン脂肪酸エステル
・ポリビニルアルコール(D)
ポリビニルアルコールD1:重合度400、けん化度98.0mol%
ポリビニルアルコールD2:重合度500、けん化度98.0mol%
ポリビニルアルコールD3:重合度700、けん化度99.0mol%
ポリビニルアルコールD4:重合度1000、けん化度96.0mol%
ロールコーターを用いてこれらの親水性塗料を耐食性塗膜4上に塗布した後、加熱して焼き付けることにより、耐食性塗膜4上に親水性塗膜5を形成した。焼き付け後における耐食性塗膜5の付着量は、表1に示す通りであった。以上により、プレコートフィン材(試験材E1〜E12)を作製した。
得られた試験材E1〜E12について、以下の方法により親水性、耐アルカリ性及びマテリアルハンドリング性の評価を行った。
・親水性
自動接触角計(協和界面化学株式会社製FACE自動接触角計「CA−Z」)を用いて水の接触角の測定を行った。具体的には、室温が20±5℃の範囲内に制御された環境において、各試験材の親水性塗膜上に水滴を滴下した。そして、滴下から30秒経過後の水滴の接触角を測定した。得られた接触角の値が20°以下の場合には、表1中の「親水性」欄に記号「A+」を、20°超え30°以下の場合には記号「A」を、30°を超えた場合には記号「B」を記載した。
親水性の評価においては、接触角の値が30°以下である記号「A+」及び「A」の場合を、親水性が高く、結露水による通風抵抗の増大を抑制できるため合格と判定し、30°を超えた記号「B」の場合を、親水性が低く、結露水による通風抵抗の増大を抑制することが難しいため不合格と判定した。
・耐アルカリ性
各試験材から長さ100mm、幅50mmの長方形状試験片を切り出し、この試験片を温度20℃、pH13の水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した。水酸化ナトリウム水溶液から取り出した試験片を目視により観察し、親水性塗膜及び耐食性塗膜の剥離の有無を評価した。親水性塗膜及び耐食性塗膜の剥離が起きなかった場合には、表1の「耐アルカリ性」欄に記号「A」を、親水性塗膜または耐食性塗膜の剥離が起きた場合には記号「B」を記載した。
耐アルカリ性の評価においては、親水性塗膜及び耐食性塗膜の剥離が起きなかった記号「A」の場合を、耐アルカリ性に優れているため合格と判定し、親水性塗膜または耐食性塗膜の剥離が起きた記号「B」の場合を、耐アルカリ性が低いため不合格と判定した。
・マテリアルハンドリング性
スリップテスター(安田精機株式会社製「No.162スリップテスター」)を用い、各試験材の静摩擦係数を測定した。試験材の静摩擦係数が0.10以上の場合には、表1の「マテリアルハンドリング性」欄に記号「A」を、0.10未満の場合には、記号「B」を記載した。
マテリアルハンドリング性の評価においては、試験材の静摩擦係数が0.10以上である記号「A」の場合を、試験材同士が滑りにくく、コイルの巻きずれが起こりにくいため合格と判定し、静摩擦係数が0.10未満である記号「B」の場合を、試験材同士が滑りやすく、コイルの巻きずれが起こりやすいため不合格と判定した。
Figure 2019086267
表1に示した通り、試験材E1〜E6における親水性塗膜は、アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤及び重合度500〜700かつけん化度98.0〜99.0mol%のポリビニルアルコールを含んでいる。また、アクリル系樹脂、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合のポリビニルアルコールの含有量は36〜44質量部の範囲内にある。
それ故、試験材E1〜E6は、親水性、耐アルカリ性及びマテリアルハンドリング性のすべてについて良好な特性を示した。
一方、試験材E7については、親水性塗膜中に非イオン性界面活性剤が含まれていないため、試験材E1〜E6に比べて親水性塗膜の凹凸が大きくなった。その結果、試験材E7の表面の潤滑性が試験材E1〜E6に比べて高くなり、マテリアルハンドリング性の悪化を招いた。
試験材E8については、ポリビニルアルコールの含有量が前記特定の範囲よりも少なかったため、試験材E1〜E6に比べて耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性が低下した。その結果、試験材E8の耐アルカリ性は試験材E1〜E6よりも低くなった。
試験材E9については、ポリビニルアルコールの含有量が前記特定の範囲よりも多かったため、親水性塗膜中のアクリル系樹脂の量が不足した。その結果、試験材E9の親水性は試験材E1〜E6に比べて低くなった。
試験材E10については、親水性塗膜中にポリビニルアルコールが含まれていなかったため、試験材E1〜E6に比べて耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性が低下した。その結果、試験材E10の耐アルカリ性は試験材E1〜E6よりも低くなった。
試験材E11については、重合度及びけん化度が前記特定の範囲よりも小さいポリビニルアルコールを使用したため、試験材E1〜E6に比べて耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性が低下した。その結果、試験材E11の耐アルカリ性は試験材E1〜E6よりも低くなった。
試験材E12については、けん化度が前記特定の範囲よりも小さいポリビニルアルコールを使用したため、試験材E1〜E6に比べて耐食性塗膜と親水性塗膜との密着性が低下した。その結果、試験材E12の耐アルカリ性は試験材E1〜E6よりも低くなった。
1 プレコートフィン材
2 基板
3 下地皮膜
4 耐食性塗膜
5 親水性塗膜

Claims (1)

  1. アルミニウムからなる基板と、
    ウレタン系樹脂を含み、前記基板上に形成された耐食性塗膜と、
    前記耐食性塗膜上に積層された親水性塗膜と、を有し、
    前記親水性塗膜は、
    アクリル系樹脂と、
    ポリエチレングリコールと、
    非イオン性界面活性剤と、
    重合度500〜700かつけん化度98.0〜99.0mol%のポリビニルアルコールと、を含有しており、
    前記アクリル系樹脂、前記ポリエチレングリコール及び前記ポリビニルアルコールの質量の合計を100質量部とした場合に、前記ポリビニルアルコールの含有量が36〜44質量部である、
    プレコートフィン材。
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