JP2019085548A - 隔膜 - Google Patents

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Yasushi Yamaki
泰 山木
康介 角倉
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Abstract

【課題】イオン選択性またはイオン透過性に優れ、かつ、耐久性に優れる隔膜の提供。【解決手段】スルホン酸型官能基を有するポリマーを含むイオン交換膜と、補強材と、を含む隔膜。【選択図】なし

Description

本発明は、隔膜に関する。
各種電池、電解プロセスおよびイオン等の分離プロセスにおいて、イオン交換膜が使用されている。特許文献1には、レドックスフロー電池に使用する隔膜として、イオン交換膜の使用が開示されている(段落0059等)。
特開第2015−097219号公報
近年、隔膜は多様な用途に用いられることから、イオン選択性またはイオン透過性に優れるとともに、耐久性にも優れることが求められている。
本発明は、上記実情に鑑みて、イオン選択性またはイオン透過性に優れ、かつ、耐久性に優れる隔膜の提供を目的とする。
本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できるのを見出した。
[1] スルホン酸型官能基を有するポリマーを含むイオン交換膜と、補強材と、を含む隔膜。
[2] 上記イオン交換膜の膜厚が、220〜240μmである、[1]に記載の隔膜。
[3] 上記ポリマーのイオン交換容量が、1.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂である、[2]に記載の隔膜。
[4] 上記イオン交換膜の膜厚が、170〜190μmである、[1]に記載の隔膜。
[5] 上記ポリマーのイオン交換容量が、1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂または1.25ミリ当量/グラム乾燥樹脂である、[4]に記載の隔膜。
[6] 上記ポリマーが含フッ素ポリマーである、[1]〜[5]のいずれかに記載の隔膜。
[7] 含水率が10質量%以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の隔膜。
[8] 上記イオン交換膜が単層である、[1]〜[7]のいずれかに記載の隔膜。
本発明によれば、イオン選択性またはイオン透過性に優れ、かつ、耐久性に優れる隔膜を提供できる。
本明細書における下記の用語の意味は以下の通りである。
「イオン交換基」とは、この基に含まれるイオンの少なくとも一部を、他のイオンに交換しうる基であり、下記のスルホン酸型官能基等が挙げられる。
「スルホン酸型官能基」とは、スルホン酸基(−SOH)、またはスルホン酸塩基(−SO。ただし、Mはアルカリ金属または第4級アンモニウムカチオンである。)を意味する。
「隔膜前駆体膜」とは、イオン交換基に変換できる基を有するポリマーを含む膜である。
「イオン交換基に変換できる基」とは、加水分解処理、酸型化処理等の処理によって、イオン交換基に変換できる基を意味する。
「スルホン酸型官能基に変換できる基」とは、加水分解処理、酸型化処理等の処理によって、スルホン酸型官能基に変換できる基を意味する。
「ペルフルオロ炭化水素基」とは、水素原子の全てがフッ素原子で置換された炭化水素基を意味する。
「ペルフルオロ脂肪族炭化水素基」とは、水素原子の全てがフッ素原子で置換された脂肪族炭化水素基を意味する。
ポリマーにおける「単位」は、モノマーが重合することによって形成された、該モノマー1分子に由来する原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを処理することによって該原子団の一部が別の構造に変換された原子団であってもよい。
「補強材」は、イオン交換膜の強度を向上させるために用いられる材料を意味する。補強材は、補強布に由来する材料である。
「補強布」は、イオン交換膜の強度を向上させるための補強材の原料として用いられる布を意味する。
「補強糸」は、補強布を構成する糸であり、補強布をアルカリ性水溶液(例えば、濃度が32質量%の水酸化ナトリウム水溶液)に浸漬しても溶出しない材料からなる糸である。
「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
イオン交換膜の膜厚は、イオン交換膜を90℃で2時間乾燥させた後、イオン交換膜断面を光学顕微鏡にて観察し、画像解析ソフトを用いて求める。
「イオン交換容量」は、次のようにして算出される値である。まず、イオン交換基に変換できる基を有するポリマーの約0.5mgを平板プレスしてフィルム状にし、得られたフィルム状のサンプルを透過型赤外分光分析装置によって分析する。得られたスペクトルのCFピーク、CHピーク、OHピーク、CFピーク、SOFピークの各ピーク高さを用いて、スルホン酸型官能基に変換できる基を有する構成単位の割合を算出し、これを加水分解処理後に得られるポリマーにおけるスルホン酸型官能基を有する構成単位の割合とし、イオン交換容量が既知のサンプルを検量線として用いてイオン交換容量を求める。なお、末端基が酸型(例:−SOH)またはカリウム型もしくはナトリウム型であるイオン交換基を有するフィルムに関しても、同様に測定が可能である。
[隔膜]
本発明の隔膜(以下、「本隔膜」ともいう。)は、スルホン酸型官能基を有するポリマー(以下、「ポリマー(S)ともいう。)と、補強材と、を含む。本隔膜は、補強材を有するので、耐久性に優れる。
本隔膜の形状および大きさは、本隔膜を装着する電解槽のサイズや電極のタイプに応じて適宜決定すればよい。
<イオン交換膜>
(スルホン酸型官能基を有するポリマー)
ポリマー(S)は、イオン交換膜のイオン選択性またはイオン透過性により優れる点から、スルホン酸型官能基を有する含フッ素ポリマー(以下、「含フッ素ポリマー(S)」ともいう。)が好ましい。
含フッ素ポリマー(S)は、含フッ素オレフィンに基づく単位ならびにスルホン酸型官能基およびフッ素原子を有するモノマーに基づく単位を含むのが好ましい。
含フッ素オレフィンとしては、例えば、分子中に1個以上のフッ素原子を有する炭素数が2〜3のフルオロオレフィンが挙げられる。フルオロオレフィンの具体例としては、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレンが挙げられる。なかでも、モノマーの製造コスト、他のモノマーとの反応性、得られる含フッ素ポリマー(S)の特性に優れる点から、TFEが好ましい。
含フッ素オレフィンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
スルホン酸型官能基およびフッ素原子を有するモノマーに基づく単位としては、式(1)で表される単位が好ましい。
式(1) −[CF−CF(−L−SOM)]−
Lは、酸素原子を含んでいてもよい2価のペルフルオロ炭化水素基である。
酸素原子は、ペルフルオロ炭化水素基中の末端に位置していても、炭素原子−炭素原子間に位置していてもよい。
2価のペルフルオロ炭化水素基中に炭素数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
Lとしては、酸素原子を含んでいてもよい2価のペルフルオロ脂肪族炭化水素基が好ましく、酸素原子を含んでいてもよい2価のペルフルオロアルキレン基がより好ましい。
上記2価のペルフルオロアルキレン基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよい。
Mは、水素原子、アルカリ金属または第4級アンモニウムカチオンである。
nは、1または2である。
式(1)で表される単位としては、式(1−1)で表される単位、式(1−2)で表される単位、または、式(1−3)で表される単位が好ましい。
式(1−1) −[CF−CF(−O−Rf1−SOM)]−
式(1−2) −[CF−CF(−Rf1−SOM)]−
f1は、炭素原子−炭素原子間に酸素原子を含んでいてもよいペルフルオロアルキレン基である。上記ペルフルオロアルキレン基中の炭素数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、20以下が好ましく、10以下がより好ましい。
Mは水素原子、アルカリ金属または第4級アンモニウムカチオンである。
式(1)で表される単位としては、式(1−3)で表される単位がより好ましい。
式(1−3) −[CF−CF(−(CF−(OCFCFY)−O−(CF−SOM)]−
xは0または1であり、yは0〜2の整数であり、zは1〜4の整数であり、YはFまたはCFである。Mは、上述した通りである。
式(1−1)で表される単位の具体例としては、以下の単位が挙げられる。式中のwは1〜8の整数であり、xは1〜5の整数である。式中のMの定義は、上述した通りである。
−[CF−CF(−O−(CF−SOM)]−
−[CF−CF(−O−CFCF(CF)−O−(CF−SOM)]−
−[CF−CF(−(O−CFCF(CF))−SOM)]−
式(1−2)で表される単位の具体例としては、以下の単位が挙げられる。式中のwは1〜8の整数である。式中のMの定義は、上述した通りである。
−[CF−CF(−(CF−SOM)]−
−[CF−CF(−CF−O−(CF−SOM)]−
スルホン酸型官能基およびフッ素原子を有するモノマーは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含フッ素ポリマー(S)は、含フッ素オレフィンに基づく単位、並びに、スルホン酸型官能基およびフッ素原子を有するモノマーに基づく単位以外の、他のモノマーに基づく単位を含んでいてもよい。
他のモノマーの具体例としては、CF=CFRf5(ただし、Rf5は炭素数2〜10のペルフルオロアルキル基である。)、CF=CF−ORf6(ただし、Rf6は炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)、CF=CFO(CFCF=CF(ただし、vは1〜3の整数である。)が挙げられる。
他のモノマーに基づく単位の含有量は、イオン交換性能の維持の点から、含フッ素ポリマー(S)中の全単位に対して、30質量%以下が好ましい。
ポリマー(S)のイオン交換容量は、イオン選択性またはイオン透過性により優れる点から、1.00ミリ当量/グラム乾燥樹脂以上が好ましい。また、1.25ミリ当量/グラム乾燥樹脂以下が好ましい。
なお、上記ミリ当量/グラム乾燥樹脂は、イオン交換膜中のポリマー(S)を含む樹脂の乾燥質量(1g)当たりのミリ当量を表す。イオン交換膜中のポリマー(S)を含む樹脂の乾燥質量とは、1/10気圧(76mmHg)以下の減圧下でイオン交換膜を90℃で16時間放置した後の質量を意図する。
(イオン交換膜の物性)
イオン交換膜の膜厚は、170〜240μmが好ましい。なお、本明細書において、イオン交換膜の膜厚には、補強材の厚みを含まない。
(イオン交換膜の構造)
イオン交換膜は、単層構造であっても、多層構造であってもよい。多層構造である場合、例えば、ポリマー(S)を含み、イオン交換容量が互いに異なる層を複数積層させる態様が挙げられる。
イオン交換膜は、ポリマー(S)を含む単層であるのが好ましい。ポリマー(S)を含む単層のイオン交換膜は、カルボン酸型官能基を有するポリマーを含む層をさらに含む複層のイオン交換膜と比較して、膜抵抗を小さくできる。そのため、本隔膜を電気分解装置や電池に適用した際に、電解電圧の上昇を抑制できる。
<補強材>
本隔膜は、補強材を含む。補強材は、イオン交換膜の内部に含まれているのが好ましい。
補強材の具体例としては、補強布(好ましくは、織布)、フィブリル、多孔体が挙げられ、これらの中でも補強布が好ましい。
補強布は、経糸と緯糸とからなり、経糸と緯糸とが直交しているのが好ましい。
補強布の具体例としては、45〜55デニールのPTFE製スリットヤーンを75〜85メッシュの密度で平織した織布が挙げられる。
補強糸は、アルカリ性水溶液に溶出しない材料からなる糸である。
補強糸としては、ポリテトラフルオロエチレンからなる補強糸、ポリフェニレンサルファイドからなる補強糸、ナイロンからなる補強糸およびポリプロピレンからなる補強糸からなる群より選択される少なくとも1種の補強糸が好ましい。
<親水化層>
本隔膜は、少なくとも一方の最表層に親水化層を含んでいてもよい。具体的には、親水化層は、イオン交換膜の少なくとも一方の表面に設けられるのが好ましく、両表面に設けられるのが特に好ましい。本隔膜が親水化層を含んでいる場合、本隔膜の表面におけるガスの付着が抑制される結果、アルカリ水電解の際に電解電圧の向上を抑制できる。
親水化層の具体例としては、無機物粒子を含む無機物粒子層が挙げられる。
無機物粒子は、酸またはアルカリに対する耐食性に優れ、親水性を有するのが好ましい。具体的には、第4族元素または第14族元素の酸化物、窒化物および炭化物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、SiO、SiC、ZrOおよびZrCからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ZrOが特に好ましい。
親水化層はバインダーを含んでいてもよい。バインダーとしては、公知の親水化層(ガス解放層)に用いられる公知のバインダーを採用でき、例えば、メチルセルロース、スルホン酸基を有する含フッ素ポリマーが挙げられる。
本隔膜における無機物粒子の含有量は、本隔膜の単位面積あたり、0.5〜50g/mが好ましく、0.5〜30g/mがより好ましく、0.5〜25g/mが特に好ましい。無機物粒子の含有量が0.5g/m以上であれば、ガス付着抑制効果がより優れる。無機物粒子の含有量が50g/m以下であれば、膜抵抗が低く抑えられ、アルカリ水電解する際の電解電圧がより低く抑えられる。
親水化層中の無機物粒子およびバインダーの合計質量に対する、バインダーの含有比は、0.15〜0.3が好ましく、0.15〜0.25がより好ましく、0.16〜0.20が特に好ましい。バインダーの含有比が0.15以上であれば、無機物粒子の脱落耐性に優れる。バインダーの含有比が0.3以下であれば、ガス付着抑制効果がより優れる。
<隔膜の物性>
本隔膜は、各種装置の電解液等に浸漬する前に湿潤状態にあってもよく、この場合、含水率が10質量%以上であるのが好ましい。含水率が10質量%以上という湿潤状態にある本隔膜を各種装置(例えば、電池、電気分解装置)に装着すれば、各種装置の電圧上昇を抑制できる。
本隔膜の含水率は、湿潤状態の本隔膜の質量と、乾燥状態の本隔膜の質量とに基づいて、以下の式により算出できる。なお、乾燥状態の本隔膜は、湿潤状態の本隔膜を90℃で5時間乾燥させて得られる。
本隔膜の含水率(質量%)=100×{(湿潤状態の本隔膜の質量)−(乾燥状態の本隔膜の質量)}/(乾燥状態の本隔膜の質量)
<用途>
本隔膜は、ポリマー(S)を含み、かつ補強材を含むため、各種電池、電解プロセスおよび分離プロセスにおいて優れたイオン選択性またはイオン透過性を有するとともに、過酷な使用環境に長期間耐えうる優れた耐久性(化学的耐久性または高機械強度)を有する。
本隔膜の用途の具体例としては、固体高分子型燃料電池、メタノール直接型燃料電池、レドックスフロー電池、空気電池などの各種電池用途、固体高分子型水電解、アルカリ型水電解、オゾン水電解、食塩電解、有機物電解や、塩化物または酸化物等の各種電気分解装置が挙げられる。上記用途以外にも様々なタイプの電気化学セルでのセパレーターや固体電極として、セルの結合部分での選択的なカチオン輸送に用いることができる。また、電気化学関連の用途以外にも、センサー用途として各種ガスセンサー、バイオセンサー、発光デバイス、光学デバイス、有機物センサー、および、カーボンナノチューブの可溶化、アクチュエーター、触媒用途等に用いることができる。
<隔膜の好適態様>
本隔膜の第1の実施態様としては、イオン交換膜の膜厚が220〜240μmである態様が挙げられる。第1の実施態様において、ポリマー(S)のイオン交換容量は、1.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂がイオン選択性の観点から好ましい。
本隔膜の第2の実施態様としては、イオン交換膜の膜厚が170〜190μmである態様が挙げられる。第2の態様において、ポリマー(S)のイオン交換容量は、1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂または1.25ミリ当量/グラム乾燥樹脂であるのがイオン導電性の観点から好ましい。
隔膜の別の態様として、スルホン酸型官能基を有するポリマーを含むイオン交換膜であり、補強材を含まない隔膜であっても、場合によっては好適に使用できる。補強材を含まない隔膜は、イオンの透過性が向上するため、より高いイオン透過性が求められる場合に特に好適である。このような補強材を含まない隔膜の実施態様としては、膜厚が90〜240μm、イオン交換容量が1.0〜1.25ミリ当量/グラム乾燥樹脂の膜が挙げられる。より具体的には、例えばイオン交換容量が1.25ミリ当量/グラム乾燥樹脂であり、膜厚が90μm、180μmのイオン交換膜が挙げられる。
上記隔膜の好ましい態様や製造方法は、補強材を含まない以外は、本隔膜と同様である。
上記隔膜の用途としては、本隔膜の用途として前記の<用途>に記載と同様の用途が挙げられる。
[隔膜の製造方法]
本隔膜は、スルホン酸型官能基に変換できる基を有するポリマーを含むイオン交換膜前駆体に補強材が埋め込まれた隔膜前駆体膜を製造し(以下、「工程(a)」ともいう。)、次に、隔膜前駆体膜中のスルホン酸型官能基に変換できる基をスルホン酸型官能基に変換して(以下、「工程(b)」ともいう。)、製造されるのが好ましい。
スルホン酸型官能基に変換できる基を有するポリマーとしては、含フッ素オレフィンと、スルホン酸型官能基に変換できる基およびフッ素原子を有するモノマー(以下、「含フッ素モノマー(S’)」とも言う。)との共重合ポリマー(以下、「含フッ素ポリマー(S’)」とも言う。)が好ましい。
共重合の方法は、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など公知の方法を採用できる。
含フッ素オレフィンとしては、先に例示したものが挙げられ、モノマーの製造コスト、他のモノマーとの反応性、得られる含フッ素ポリマー(S)の特性に優れる点から、TFEが好ましい。
含フッ素オレフィンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含フッ素モノマー(S’)としては、分子中に1個以上のフッ素原子を有し、エチレン性の二重結合を有し、かつ、スルホン酸型官能基に変換できる基を有する化合物が挙げられる。
含フッ素モノマー(S’)としては、モノマーの製造コスト、他のモノマーとの反応性、得られる含フッ素ポリマー(S)の特性に優れる点から、式(2)で表される化合物が好ましい。
式(2) CF=CF−L−A
式(2)中のLの定義は、上述した通りである。
Aは、スルホン酸型官能基に変換できる基である。スルホン酸型官能基に変換できる基は、加水分解によってスルホン酸型官能基に変換し得る官能基が好ましい。スルホン酸型官能基に変換できる基の具体例としては、−SOF、−SOCl、−SOBrが挙げられる。
式(2)で表される化合物としては、式(2−1)で表される化合物および式(2−2)で表される化合物が好ましい。
式(2−1) CF=CF−O−Rf1−A
式(2−2) CF=CF−Rf1−A
式中のRf1およびAの定義は、上述した通りである。
式(2)で表される化合物としては、式(2−3)で表される化合物がより好ましい。
式(2−3) CF=CF−(CF−(OCFCFY)−O−(CF−SO
式中のM、x、y、zおよびYの定義は、上述した通りである。
式(2−1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。式中のwは1〜8の整数であり、xは1〜5の整数である。
CF=CF−O−(CF−SO
CF=CF−O−CFCF(CF)−O−(CF−SO
CF=CF−[O−CFCF(CF)]−SO
式(2−2)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。式中のwは、1〜8の整数である。
CF=CF−(CF−SO
CF=CF−CF−O−(CF−SO
含フッ素モノマー(S’)は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含フッ素ポリマー(S’)の製造には、含フッ素オレフィンおよび含フッ素モノマー(S’)に加えて、さらに他のモノマーを用いてもよい。他のモノマーとしては、先に例示したものが挙げられる。
含フッ素ポリマー(S)のイオン交換容量は、含フッ素ポリマー(S’)中の含フッ素モノマー(S’)に基づく単位の含有量を変化させて、調整できる。含フッ素ポリマー(S)中のスルホン酸型官能基の含有量は、含フッ素ポリマー(S’)中のスルホン酸型官能基に変換できる基の含有量と同一であるのが好ましい。
イオン交換膜前駆体の製造方法の具体例としては、押し出し法が挙げられる。イオン交換膜前駆体は、膜状であってもよい。
また、上述した多層構造のイオン交換膜を製造する際には、共押し出し法によってスルホン酸型官能基に変換できる基を有する含フッ素ポリマーからなる複数の層を積層させる態様が挙げられる。
補強材は、公知の方法によってイオン交換膜前駆体中に埋め込むことができる。例えば、複層のイオン交換膜を形成する場合、含フッ素ポリマー(S)を含むフィルムで補強材を挟み込む方法が挙げられる。また、含フッ素ポリマー(S)を補強材の両面にコーティングする方法によっても、イオン交換膜前駆体中に補強材を埋め込むことができる。
隔膜前駆体膜中のスルホン酸型官能基に変換できる基をスルホン酸型官能基に変換する方法の具体例としては、隔膜前駆体膜に加水分解処理または酸型化処理等の処理を施す方法が挙げられる。
なかでも、隔膜前駆体膜とアルカリ性水溶液とを接触させる方法が好ましい。
隔膜前駆体膜とアルカリ性水溶液とを接触させる方法の具体例としては、隔膜前駆体膜をアルカリ性水溶液中に浸漬する方法、隔膜前駆体膜の表面にアルカリ性水溶液をスプレー塗布する方法が挙げられる。
アルカリ性水溶液の温度は、膜の生産性の観点から30℃以上100℃未満が好ましく、隔膜前駆体膜とアルカリ性水溶液との接触時間は、3〜300分間が好ましい。
アルカリ性水溶液は、アルカリ金属水酸化物、水溶性有機溶剤および水を含むのが好ましい。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられ、水酸化カリウムが好ましい。アルカリ金属水酸化物は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本明細書において、水溶性有機溶剤とは、水に容易に溶解する有機溶剤であり、具体的には、水1000ml(20℃)に対する溶解性が、0.1g以上の有機溶剤が好ましく、0.5g以上の有機溶剤がより好ましい。水溶性有機溶剤は、非プロトン性有機溶剤、アルコール類およびアミノアルコール類からなる群より選択される少なくとも1種を含むのが好ましく、非プロトン性有機溶剤を含むのがより好ましい。水溶性有機溶剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
非プロトン性有機溶剤の具体例としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンが挙げられ、ジメチルスルホキシドが好ましい。
アルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メトキシエトキシエタノール、ブトキシエタノール、ブチルカルビトール、ヘキシルオキシエタノール、オクタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールが挙げられる。
アミノアルコール類の具体例としては、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−3−プロパノール、2−アミノエトキシエタノール、2−アミノチオエトキシエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが挙げられる。
アルカリ金属水酸化物の含有量は、アルカリ性水溶液中、1〜60質量%が好ましい。
水溶性有機溶剤の含有量は、アルカリ性水溶液中、1〜60質量%が好ましい。
アルカリ金属水酸化物および水溶性有機溶剤の含有量が上記範囲内であれば、加水分解処理が速やかに完了して、本隔膜の生産性が向上する。
水の含有量は、アルカリ性水溶液中、39〜80質量%が好ましい。
隔膜前駆体膜とアルカリ性水溶液との接触後に、アルカリ性水溶液を除去する処理を行ってもよい。アルカリ性水溶液を除去する方法としては、例えば、アルカリ性水溶液に接触させた本隔膜を水洗する方法が挙げられる。
隔膜前駆体膜とアルカリ性水溶液との接触後に、得られたイオン交換膜を乾燥する処理をしてもよい。乾燥処理としては加熱処理が好ましく、その際の加熱温度は50〜160℃が好ましい。加熱時間は、0.1〜24時間が好ましい。
隔膜前駆体膜中のスルホン酸型官能基に変換できる基をスルホン酸型官能基に変換した後、本隔膜をカリウムイオン、ナトリウムイオン、または水素イオンを含む水溶液に接触させ、スルホン酸型官能基の対イオン(カチオン)を置換してもよい。スルホン酸型官能基のカチオンを、アルカリ水中に存在するカチオンと同じカチオンに置換することによって、置換したカチオンが存在する環境下でのアルカリ水電解に供することができ、さらに本隔膜の寸法安定性が向上する。
本隔膜は、使用環境に合わせて、湿潤状態および乾燥状態のいずれの態様を採用してもよい。
本隔膜を湿潤状態(含水率が10質量%以上)にする方法の具体例としては、上記各種水溶液との接触または水洗後において、乾燥処理を実施しない方法が挙げられる。この場合、本隔膜は、湿潤状態を維持したまま各種装置に装着する。
上記工程(a)または上記工程(b)と同時または後に、隔膜前駆体膜または本隔膜の表面に親水化層を形成してもよい。親水化層は、隔膜前駆体膜または本隔膜の表面の少なくとも一方の面に形成すればよい。
親水化層の形成方法の具体例としては、無機物粒子およびバインダーを含む溶液を隔膜前駆体膜または本隔膜に塗布する方法が挙げられる。
[包装物品]
本隔膜は、各種装置に装着する前において、収容体に収容されていてもよい。すなわち、本隔膜と、本隔膜を収容する収容体と、を有する包装物品の形態で、保管および流通されてもよい。特に、本隔膜が湿潤状態にある場合には、本隔膜の乾燥を抑制するために、本隔膜が収容体中に密封されているのが好ましい。
収容体は、フィルム等で構成された袋であっても、板状の構造体で構成された容器であってもよい。
収容体の材質の具体例としては、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリカーボネート等の樹脂、アルミニウム等の金属が挙げられる。
なかでも、本隔膜の乾燥がより抑制できる点から、収容体は、本隔膜との接触部が樹脂を含む材料から構成されており、接触部の外側(大気との接触部分)がアルミニウムで構成されているのが好ましい。

Claims (8)

  1. スルホン酸型官能基を有するポリマーを含むイオン交換膜と、補強材と、を含む隔膜。
  2. 前記イオン交換膜の膜厚が、220〜240μmである、請求項1に記載の隔膜。
  3. 前記ポリマーのイオン交換容量が、1.0ミリ当量/グラム乾燥樹脂である、請求項2に記載の隔膜。
  4. 前記イオン交換膜の膜厚が、170〜190μmである、請求項1に記載の隔膜。
  5. 前記ポリマーのイオン交換容量が、1.1ミリ当量/グラム乾燥樹脂または1.25ミリ当量/グラム乾燥樹脂である、請求項4に記載の隔膜。
  6. 前記ポリマーが含フッ素ポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の隔膜。
  7. 含水率が10質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の隔膜。
  8. 前記イオン交換膜が単層である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の隔膜。
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