JP2019085527A - 樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents

樹脂組成物およびそれからなる成形体 Download PDF

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聡明 平林
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Kotaro Ichino
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Abstract

【解決手段】ブチル系ゴムを60質量部以上含むゴム成分(A)100質量部と、下記の要件(b−1)〜(b−5)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1〜100質量部とを含有することを特徴とする樹脂組成物。(b−1)エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。(b−2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に含まれる全構造単位100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%である。(b−3)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。(b−4)100℃における動粘度が10〜5000mm2/sである。(b−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。【効果】本発明によれば、ブチル系ゴムを含有し、加工性、軟化剤の低揮発性、および耐熱老化性などに優れた架橋成形体を製造し得る樹脂組成物、ならびに前記のような架橋成形体を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ブチル系ゴムを含む樹脂組成物および該樹脂組成物から得られる架橋成形体に関する。
イソブチレンとイソプレンとのランダム共重合体であるブチルゴム、あるいはさらにブチルゴムをハロゲン化した塩素化ブチルゴムまたは臭素化ブチルゴムなどのブチル系ゴムは、汎用の共役ジエン系ゴムに比べて、不飽和結合の含量が少ないため、耐熱性、耐候性に優れており、自動車用部品、工業材部品、電線用材料、建築土木資材などの用途に広く利用されている。
このようなブチル系ゴムは通常、架橋して用いられるが、架橋ゴムの特性はイソプレン成分含量、ハロゲン化量、分子量、ヨウ素価などによって変化するので、それぞれの用途に応じてこれら値の異なるものが用いられている。たとえば分子量の高いブチル系ゴムを用いると、耐熱性に優れた架橋成形体が得られることが知られている。
ところでブチル系ゴムは、混練加工性や押出し成形性を改良したり、架橋ゴムの硬さを調整したりするために、鉱油や植物油のようなオイルを軟化剤として添加して用いるのが通常である。特に分子量の高いブチル系ゴムでは、一般的に混練加工性や成形性、粘着性が悪化する傾向があるため軟化剤を添加して用いられる。また、添加された軟化剤はゴム内部の分子間摩擦を減少させ、架橋ゴムの引張強さや伸び、屈曲性を向上させる役割を持つ。
しかしながら、軟化剤を配合することで物性を調整したブチル系ゴムは、高温条件化で使用すると、軟化剤成分の揮発が起きることで、ゴムの物性が変化することから、耐熱老化性に劣る場合があった。今後益々、過酷な条件下での使用や、性能の更なる向上への要求が高まる中で、軟化剤の揮発性低減による耐熱老化性の更なる改良が求められている。
このような問題を解決する方法として、改良された製法により製造され、高度な蒸留精製や水素化を行った高度精製油を、軟化剤として使用することで、揮発しやすい低分子量成分の割合を減らし、耐熱老化性を高める方法が一般的に用いられている。
しかし、蒸留精製により得られる軟化剤は、分子量には限りがあり、また、ブチル系ゴムからブリードアウトし易い芳香族成分やナフテン成分、極性基成分などの除去が不十分であることから、軟化剤の低揮発性およびブチル系ゴムの耐熱老化性の点で充分満足し得るものではなかった。
ブチル系ゴム組成物を用いる際に、鉱油や植物油の代わりに、結晶性が低く流動性が高いエチレン・α−オレフィン共重合体やPAO(ポリα−オレフィン;デセン等高級α−オレフィンの重合体)などの合成油を軟化剤として用いる例も知られている。例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体を使用する例として、ブチル系ゴムと、特定のエチレン・α−オレフィン共重合体とからなるゴム組成物が、ゴム本来の気体遮断性を損なわずに加工性に優れることが示されている(特許文献1参照)。この特許文献では軟化剤としてエチレン・α−オレフィン共重合体を使用することで鉱油に比較して耐熱老化性が優れることも示されている。
しかしながら、特許文献1ではエチレン・α−オレフィン共重合体について十分な規定がなく、耐熱温度が120℃であり、耐熱性に対する要求を充分満足し得るものではなかった。
特許第4984684号公報
本発明は、上述のような問題を生じることなく、加工性、軟化剤の低揮発性および耐熱老化性に優れた成形体を製造し得る、ブチル系ゴムを含む樹脂組成物およびそれからなる成形体を提供することを課題としている。
本発明は、次の〔1〕〜〔9〕の事項に関する。
〔1〕ブチル系ゴムを60質量部以上含むゴム成分(A)100質量部と、下記の要件(b−1)〜(b−5)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1〜100質量部とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
(b−1)エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
(b−2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に含まれる全構造単位100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%である。
(b−3)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
(b−4)100℃における動粘度が10〜5000mm2/sである。
(b−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
〔2〕前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が、10〜3500mm2/sであることを特徴とする前記〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がさらに下記要件(b−6)を満たすことを特徴とする前記〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
(b−6)下記式(1)から求められるB値が1.06以上である。
B値=[POE]/(2・[PE]・[PO]) …(1)
(式中、[PE]は共重合体中のエチレンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。)
〔4〕前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が、50〜3500mm2/sであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔5〕架橋剤(C)をさらに含むことを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔6〕前記架橋剤(C)がフェノール系樹脂である前記〔5〕に記載の樹脂組成物。
〔7〕前記ゴム成分(A)が、ブチル系ゴム92〜97質量部およびクロロプレンゴム3〜8質量部からなることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の樹脂組成物を架橋して得られる成形体。
〔9〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の樹脂組成物または前記〔8〕に記載の成形体から形成されたゴム層を有することを特徴とする自動車用部品または工業用部品。
本発明によれば、ブチル系ゴムを含有し、加工性、軟化剤の低揮発性、および耐熱老化性などに優れた架橋成形体を製造し得る樹脂組成物、ならびに前記のような架橋成形体を提供することができる。
図1は、本明細書の製造例で得た、軟化剤および架橋成形体それぞれの耐熱老化試験後の重量減少率の関係を示すグラフである。黒三角(▲)は本発明のエチレン・α―オレフィン共重合体(B)の要件を満たす軟化剤およびそれを含む樹脂組成物のプロット、白丸(〇)は軟化剤を含まない樹脂組成物のプロット、白三角(△)は鉱油(プロセスオイル)およびそれを含む樹脂組成物のプロットを示す。
以下、本発明について具体的に説明する。
なお、以下の説明において、数値範囲「N1以上N2以下」(N1およびN2は、それぞれ該数値範囲の下限値および上限値を示す)を、単に「N1〜N2」と記載することもある。例えば、炭素数3以上20以下のα−オレフィンを、「炭素数3〜20のα−オレフィン」と記載することもある。
本発明に係る樹脂組成物は、特定の物性を有するゴム成分(A)100質量部と、特定の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1〜100質量部とを含有する。
ゴム成分(A)
本発明で用いられるゴム成分(A)は、ゴム成分(A)100質量部中にブチル系ゴムを60質量部以上、より好ましくは90質量部以上含む。ブチル系ゴムの含有量が上記の範囲であると、耐熱老化性や耐候性に優れるなどのブチル系ゴムの特徴が十分に得られるため好ましい。
ブチル系ゴムとしては、たとえば、ブチルゴム(IIR)などの非ハロゲン化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム(Br−IIR)、臭素化ブチルゴム(Cl−IIR)などのハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、などがあげられる。これらのブチル系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、高い耐熱性を有する点から、塩素や臭素などのハロゲン成分の含量が3%以下、より好ましくは1%以下であるブチル系ゴムが好ましい。これらのブチル系ゴムは、通常、イソブチレンとイソプレンを共重合させることにより得られる。また、イソブチレンとイソプレンを共重合させることにより得られたブチル系ゴムに、必要に応じ塩素化、臭素化などの変性反応をさせて得られたブチル系ゴムでもよく、また、これらを更に2次変性して得られたブチル系ゴムでもよい。
また、必要に応じて、ゴム成分としてエチレン・α−オレフィン共重合体(EPM)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(EPDM)、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(SR)フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(PUR)などの公知の成分を、ゴム成分(A)100質量部に対して、40質量部を超えない範囲、より好ましくは10質量部を超えない範囲で配合することもできる。ゴム成分(A)は、なかでも、クロロプレンゴムをゴム成分として含むことが好ましく、ブチル系ゴム92〜97質量部およびクロロプレンゴム3〜8質量部からなるゴム成分(A)の形態が、本発明の効果向上という観点から特に好ましい。ブチル系ゴムとクロロプレンゴムが上記範囲内にあると、フェノール系樹脂架橋により耐熱老化性、強度特性、ゴム弾性、及び加工性に優れた架橋成形体を提供できるゴム組成物を得られるという点で優れている。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンとα−オレフィンとからなる共重合体である。つまり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンから導かれる構造単位の含有率とα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率との合計が100モル%である。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、本発明の樹脂組成物において軟化剤として作用する。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、下記の要件(b−1)〜(b−5)を満たす。
(b−1)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11− メチルドデセン−1、12− エチルテトラデセン-1などが挙げられる。中でも、低温での流動性、耐熱安定性のバランスの点で、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。これらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。
(b−2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に含まれる全構造単位100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に含まれる全構造単位100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%、好ましくは40〜80モル%、より好ましくは45〜75モル%、更に好ましくは45〜60モル%であり、α−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が10〜70モル%、好ましくは20〜60モル%、より好ましくは25〜55モル%、更に好ましくは40〜55モル%であり、その他成分から導かれる構造単位の含有率が0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、更に好ましくは0〜1モル%、特に好ましくは0モル%である。エチレンから導かれる構造単位およびα―オレフィンから導かれる構造単位の含有率が上記範囲内にあると、ブチル系ゴムとの相容性を悪化させる成分の含量が少なくなり、ブリードアウトによる揮発量が減少するため好ましい。また、エチレンから導かれる構造単位の含有率が90モル%より多い、または30モル%より少ないと結晶性が高くなり、低温特性が顕著に悪化する場合があるほか、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)をゴム成分(A)と混合した際の相容性が悪化し、ブリードアウトによる揮発量が増加する場合があるため好ましくない。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、発明の効果を阻害しない範囲であればその他成分から導かれる構造単位を含んでいてもよい。その他成分としては具体的には、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどの炭素数3〜30、好ましくは3〜20の環状オレフィン、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等の鎖状非共役ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン等の環状非共役ジエン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、1,3,7-オクタトリエン、1,4,9-デカトリエン等の非共役ジエンあるいはトリエン、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和カルボン酸類、およびこれらのナトリウム塩等の金属塩類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどの不飽和グリシジル類などの極性基含有モノマー、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、アリルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のエチレンから導かれる構造単位の含有率、α−オレフィンから導かれる構造単位の含有率、およびその他成分から導かれる構造単位の含有率は、13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法および「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 発行 P163〜170)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
(b−3)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/g、好ましくは0.07〜0.50dl/g、より好ましくは0.07〜0.21dl/g、さらに好ましくは0.07〜0.15dl/gである。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01dl/g未満では、一般的に用いられるプロセスオイル等の軟化剤と同様に流動性や揮発性の高い低分子量成分の含有量が多くなり、樹脂組成物またはその成形体からのブリードアウト量や揮発量が多くなる場合があるため好ましくない。また、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.50dl/gより高いと、熱や物理的応力によるエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の分子鎖の切断が起こり易くなり、ラジカルが多く発生することで、樹脂組成物またはその成形体の硬化反応が進行する場合があるため好ましくない。言い換えると、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が上記範囲内のであると、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)のブリードアウト量や揮発量が少なく、熱や物理的応力によるラジカルの発生量も少ないため、耐熱老化性に優れた樹脂組成物またはその成形体が得られるため好ましい。
(b−4)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、100℃における動粘度が10〜5000mm2/sである。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、100℃における動粘度が10〜5000mm2/sであり、好ましくは10〜3500mm2/sであり、より好ましくは50〜3500mm2/s、さらに好ましくは50〜2500mm2/s、特に好ましくは50〜700mm2/sである。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が50mm2/s未満では、一般的に用いられるプロセスオイル等の軟化剤と同様に流動性や揮発性の高い低分子量成分の含有量が多くなり、樹脂組成物またはその成形体からのブリードアウト量や揮発量が多くなる場合があるため好ましくない。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が3500mm2/sより高いと、流動性が悪化するため、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)をゴム成分(A)と混合した際に粘着性が増加、加工性が低下する場合があるため好ましくない。言い換えると、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が上記範囲内のであると、耐熱老化性や加工性に優れた樹脂組成物またはその成形体が得られるため好ましい。
(b−5)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜3.0、好ましくは1.4〜2.5である。分子量分布が広く(Mw/Mnが大きく)なると、ブチル系ゴムからの滲み出しおよび揮発が起こりやすい低分子量成分や、熱および物理的応力による分子鎖の切断に伴いラジカルを発生し易い高分子量成分を多く含むことになるため、耐熱老化性の観点から好ましくない。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として求められる。
また本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、特に限定されるものではないが、下記の要件(b−6)を満たすことが好ましい。
(b−6)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、下記式(1)から求められるB値が1.06以上である。
B値=[POE]/(2・[PE]・[PO]) …(1)
(式中、[PE]は共重合体中のエチレンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。)
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、上記式(1)から求められるB値が好ましくは1.06以上、より好ましくは1.06〜1.50、さらに好ましくは1.10〜1.40、特に好ましくは1.15〜1.30である。
このB値は、エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレンとα−オレフィンとの分布状態を表す指標であり、J.C.Randall (Macromolecules,15, 353(1982)) 、J.Ray (Macromolecules, 10,773(1977)) らの報告に基づいて求めることができる。B値は、ブロックネスとも呼ばれる。上記式中の[PE]、[PO]および[POE]は13C−NMRスペクトルから求めることができる。
上記B値が大きいほど、エチレンまたはα−オレフィンのブロック的連鎖が短くなり、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)におけるエチレンから導かれる構造単位およびα−オレフィンから導かれる構造単位の分布が一様であり、共重合体中の構造単位の組成分布が狭いことを示している。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)のB値が1.06よりも小さくなると、結晶性が高くなり、低温特性が顕著に悪化する場合があるほか、ゴム成分(A)と混合した際の相容性が悪化し、ブリードアウト量が増加する場合がある。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の製造方法は特に限定されないが、特公平2−1163号公報、特公平2−7998号公報に記載されているようなバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒を用いる方法が挙げられる。また、高い重合活性で共重合体を製造する方法として特開昭61−221207号、特公平7−121969号公報、特許第2796376号公報に記載されているようなジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)からなる触媒系を用いる方法等を用いてもよく、この方法は、得られる共重合体の塩素含量、およびα−オレフィンの2,1−挿入が低減できるため、より好ましい。バナジウム系触媒を用いる方法では、メタロセン系触媒を用いる方法に比較し、助触媒に塩素化合物をより多く使用するため、得られるエチレン・α−オレフィン共重合体中(B)に微量の塩素が残存する可能性が高い。
一方、メタロセン系触媒を用いる方法では、実質的に塩素を残存させないため、塩素による樹脂組成物の劣化を防止できる点で好ましい。塩素含量は100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、20ppm以下であることがさらに好ましく、5ppm以下であることが特に好ましい。塩素含量は種々の公知の方法で定量することができる。例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック社ICS−1600を用い、エチレン・α−オレフィン共重合体を、試料ボートに入れてAr/O2気流中、燃焼炉設定温度900℃にて燃焼分解しし、このときの発生ガスを吸収液に吸収させ、硫黄ンクロマトグラフ法にて定量する方法などがある。
また、α−オレフィンの2,1−挿入低減は、共重合体分子内のエチレン連鎖をより低減することを可能にし、エチレンの分子内結晶性を抑制できることから、エチレン・α−オレフィン共重合体中(B)とゴム成分(A)との相容性を向上させ、ブリードアウト量および揮発量を低減できる。α−オレフィンの2,1−挿入量は特開平7−145212号公報に記載された方法に従って13C−NMR測定の解析によって求められ、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0〜0.5%、より好ましくは0〜0.1%である。15.0〜17.5ppmの範囲にピークが観察されないものが特に好ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)全体として、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%であり、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gであり、100℃における動粘度が10〜5000mm2/sであり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.0を満たす範囲内において、性状が異なる2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を併用して調製してもよい。
従来、ブチル系ゴムを用いて樹脂組成物を調製する場合には、ブチル系ゴムに、軟化剤として鉱油や植物油を配合することが一般的であったが、これらの軟化剤はブチル系ゴムとの相容性が悪い芳香族成分やナフテン成分、極性基成分を含むことが多い。また、通常100℃における動粘度が100mm2/s以下であることが多く流動性の高い低分子量成分が多く含まれている。そのため、鉱油や植物油などを軟化剤として添加するとブリードアウトや揮発による耐熱老化性の悪化がおこりやすくなる。本発明の樹脂組成物は、これらの軟化剤のすべて、または一部に替えて、100℃における動粘度が10〜5000mm2/sであり、かつ、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%である特定のエチレン・α−オレフィン共重合体(B)を含有し、この樹脂組成物を用いた成形体は、優れた耐熱老化性を示し好ましい。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、上述したゴム成分(A)とエチレン・α−オレフィン共重合体(B)とを必須成分として含有する組成物であって、ゴム成分(A)100質量部に対して、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)を1〜100質量部含有することが好ましく、2〜50質量部含有することがより好ましく、2〜25質量部含有することがさらに好ましく、3〜15質量部含有することが特に好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の含有量が1質量部未満の場合、得られる樹脂組成物の耐熱老化性を良化する効果が十分に発現しないほか、樹脂組成物が軟化せず粘度が高くなるため、混練や成形時の加工性、粘着性が充分に良化しない。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の含有量が100質量部を越えると、樹脂組成物中において、ゴム成分(A)に対するエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の割合が大きくなり過ぎ、可塑化効果が大きくなりすぎてべたつきが生じるほか、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)が樹脂組成物、樹脂組成物を用いて得た成形体あるいは架橋成形体の表面へ析出(ブリード)し、滲み出してしまう場合がある。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、架橋剤(C)およびその他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
架橋剤(C)
本発明の樹脂組成物は、架橋を行う用途に用いられることも好ましく、本発明の樹脂組成物には架橋剤(C)が配合されていることも好ましい。架橋剤(C)としては、硫黄および硫黄化合物やフェノール系樹脂などを用いることができる。特に耐熱性に優れることから、フェノール系樹脂を配合することが好ましい。
・硫黄および硫黄化合物
硫黄としては、具体的には、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等が挙げられる。硫黄化合物としては、具体的には、塩化硫黄、二塩化硫黄、高分子多硫化物、及び架橋温度で活性硫黄を放出して架橋する硫黄化合物、例えばモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。これらの中では硫黄が好ましい。
これらの硫黄または硫黄化合物は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明の樹脂組成物中において、硫黄または硫黄化合物は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
硫黄または硫黄化合物を用いる架橋方法は、フェノール系樹脂などと比較して、汎用的に使用されている架橋方法であり、ハロゲン成分の非存在化でも良好な架橋特性を得ることができるため、設備面や加工工程が容易であり好ましい。
・フェノール系樹脂
フェノール系樹脂としては、具体的には、炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類(メタ−及び/又はパラ−アルキル基置換)とホルムアルデヒド類との縮合によって得られるアルキルフェノール樹脂が好ましく挙げられる。ここで、アルキルフェノール樹脂の原料となる炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類としては、具体的には例えば、p−クレゾール、i−プロピルフェノール、p−t−ブチルフェノール、アミルフェノール、p−t−オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、アリルフェノール、シクロヘキシルフェノール、4,6−ジオクチルレゾルシン等を挙げることができる。これらのうちでも、特にp−t−ブチルフェノール、アミルフェノール、p−t−オクチルフェノールが好適に用いられる。なお、フェノール系樹脂は、市販品、例えば田岡化学工業(株)製タッキロール250−1、タッキロール201等をそのまま用いることができる。
これらのフェノール樹脂は、1種または2種以上組み合わせて用いられる。
本発明の樹脂組成物中において、フェノール系樹脂は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部の割合で用いられるが、要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
また、架橋剤(C)を使用するときは、架橋促進剤(架橋促進剤)を併用することが好ましい。架橋促進剤としては、具体的には、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系化合物;ジフェニルグアニジン(DPG)、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン(DOTG)、オルソトリルバイグアナイド、ジフェニルグアニジンフタレ−ト等のグアニジン系化合物;アセトアルデヒド−アニリン縮合物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン(H)、アセトアルデヒドアンモニア等のアルデヒドアミン又はアルデヒド−アンモニア系化合物;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物;チオカルバニリド、ジエチルチオウレア(EUR)、ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジオルソトリルチオウレア等のチオウレア系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等のチウラム系化合物;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジメチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩;ジブチルキサントゲン酸亜鉛等のキサントゲン酸塩;亜鉛華(酸化亜鉛)等の化合物が挙げられる。これらの架橋促進剤は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の割合で用いられるが、架橋方法や要求される物性に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
その他の成分
本発明の樹脂組成物は、所望の性能等に応じて、一般のゴム組成物に配合される公知の各種配合剤などのその他の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。配合剤としては、例えば、軟化剤、架橋助剤、老化防止剤、加工助剤、アルコキシシラン化合物、架橋剤、架橋助剤、無機フィラー、活性剤、反応抑制剤、着色剤、分散剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、防カビ剤、素練促進剤、粘着付与剤、分散染料や酸性染料を代表例とする各種染料、無機・有機顔料、界面活性剤、および塗料などの配合剤、また必要に応じて、発泡剤、発泡助剤などの発泡のための化合物、脱泡剤を挙げることができ、これらを本発明の目的を損なわない範囲で適宜選定し、適切な配合量で配合することができる。
・軟化剤
軟化剤としては、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に加えて、耐熱老化性が損なわれない範囲で通常ゴムに使用される軟化剤を併用することができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸および脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質などを挙げることができる。中でも石油系軟化剤や植物油が好ましく用いられ、特にプロセスオイルやひまし油が好ましく用いられる。これらの軟化剤の種類および配合量は、樹脂組成物から製造される成形体の所望の性能等により適宜選択できるが、その配合量は通常、ゴム成分(A)100質量部に対して、100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下、特に好ましくは15質量部以下であり、また、その配合量はエチレン・α−オレフィン共重合体(B)の配合量よりも少ないことがより好ましい。
・老化防止剤
老化防止剤を使用すれば、さらに本発明の樹脂組成物の材料寿命を長くすることが可能である。このことは、通常のゴムの場合と同様である。
本発明の樹脂組成物に含まれてもよい老化防止剤としては、具体的には、フェニルナフチルアミン、4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族第二アミン系安定剤;2,6−ジ−t− ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス− [メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系安定剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系安定剤;2−メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系安定剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系安定剤などが挙げられる。これらの老化防止剤は、単独あるいは2種以上が併用して用いられる。このような老化防止剤は、ゴム成分(A)100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
・加工助剤
加工助剤としては、一般のゴム組成物に配合される化合物を特に問題なく使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩、リシノール酸エステル、ステアリン酸エステル、パルチミン酸エステル、ラウリン酸エステル等の高級脂肪酸エステル類などが挙げられる。本発明の樹脂組成物において、このような加工助剤は、ゴム成分(A)100質量部に対して、通常15質量部以下、好ましくは5質量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
・無機フィラー
本発明の樹脂組成物には、任意成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、ゴム補強剤や無機充填剤などの公知の無機フィラーが含まれていてもよい。
ゴム補強剤は、架橋ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このようなゴム補強剤としては、特に限定されないが、たとえば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック、グラファイト、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウムなどの酸化物系フィラー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物系フィラー、珪藻土、石灰岩などの堆積岩系フィラー、カオリナイト、モンモリオナイトなどの粘土鉱物系フィラー、フェライト、鉄、コバルトなどの磁性系フィラー、銀、金、銅、合金などの導電性フィラーなどが挙げられる。
シリカとしては、煙霧質シリカ、沈降性シリカなどが挙げられる。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。また、シリカの比表面積(BET法)は、特に限定されないが、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100〜400m2/gである。
ゴム補強剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、通常、ゴム成分(A)100質量部に対して、最大で300質量部、好ましくは200質量部以下である。
また、無機充填剤としては、特に限定されないが、たとえば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。
無機充填剤の種類および配合量は、その用途により適宜選択できるが、通常、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜10000質量部である。
これらの無機フィラーは、目的に応じて、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
・発泡剤および発泡助剤
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、通常ゴムに使用される発泡剤および発泡助剤が配合されていていてもよく、本発明に係る架橋成形体は、発泡剤および発泡助剤を含有する樹脂組成物を用いて、成形、発泡、架橋を行うことで得ることもできる。
発泡剤としては、具体的には、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'− ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホルニルアジド等のアジド化合物などが挙げられる。これらの発泡剤は、ゴム成分(A)100質量部に対して、通常0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部の割合で用いられる。
必要に応じて、発泡剤と併用される発泡助剤は、発泡剤の分解温度の低下、分解促進、気泡の均一化などの作用をする。このような発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸などの有機酸、尿素またはその誘導体などが挙げられる。これらの発泡助剤は、ゴム成分(A)100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
・脱泡剤
樹脂組成物を架橋する場合、内包する水分により気泡ができたり、発泡度が異なったりすることがある。本発明の樹脂組成物には、これらを防止するために、酸化カルシウム等の脱泡剤が添加されていてもよい。脱泡剤は、ゴム成分(A)100質量部に対して、通常20質量部以下、好ましくは10質量部以下の割合で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
・離型剤
本発明の樹脂組成物には、任意成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の離型剤が含まれていてもよい。離型剤は、樹脂組成物およびその成形体のロール、スクリュー、金型、他の成形体への張り付きを低減し、樹脂組成物の流動性、加工性、成形性、外観、成形時の不良率、樹脂組成物および成形体使用時の操作性などを良化する効果がある。
離型剤としては、具体的には、オリーブ油や大豆油、ひまし油、牛脂、ヤシ油などの油脂、カルナバワックスやミツロウ、ラノリンなどの天然産ワックス、エチレンやプロピレン、α−オレフィンなどのオレフィン系モノマーの単独重合または複数のモノマーの共重合により得られるオレフィンワックスやオレフィン樹脂、シリコン樹脂、シリコーン系化合物、フッ素樹脂、ステアリン酸やオレイン酸、リノール酸などの脂肪酸やアルキルベンゼンスルホン酸、高級脂肪族スルホン酸などと、ナトリウムやカリウム、カルシウムなどからなる金属塩系離型剤、グリコールやポリグリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールとラウリン酸やパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸とで合成されるエステル型離型剤などが挙げられる。これらの離型剤は、ゴム成分(A)100質量部に対して、通常0.5〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の割合で用いられる。
樹脂組成物および架橋成形体の調製
本発明の樹脂組成物は、上述したゴム成分(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、および必要に応じてその他の成分を、従来の同種の樹脂組成物において公知の方法で配合することにより調製することができる。
本発明の樹脂組成物の調製と、成形体、架橋成形体製造用の予備成形体、あるいは本発明の架橋成形体の製造とは、連続して行ってもよく、また、樹脂組成物を調製した後、該樹脂組成物を用いて別途、成形、架橋を行ってもよい。
本発明に係る樹脂組成物から架橋物を製造する場合には、通常一般のゴムを架橋するときと同様に、未架橋の樹脂組成物(配合ゴム)を一度調製し、次いで、この配合ゴムを意図する形状に成形した後に架橋を行なえばよい。
本発明に係る樹脂組成物は、たとえば次のような方法で調製することができる。すなわち、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、上述したゴム成分(A)と、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)と、必要に応じて配合される配合剤等とを、80〜170℃の温度で3〜15分間混練した後、オープンロールのようなロール類、あるいはニーダーを使用して、所望により架橋剤(C)、さらに必要に応じて架橋促進剤または架橋助剤、発泡剤等を追加混合し、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、上記ゴム成分(A)、エチレン・α−オレフィン共重合体(B)、必要に応じて配合される、軟化剤などの配合剤、架橋剤(C)、架橋促進剤または架橋助剤、発泡剤、着色剤、分散剤、難燃剤などを同時に混練してもよい。
上記のようにして調製された架橋可能な本発明に係る樹脂組成物は、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機など種々の成形法より、意図する形状に成形され、成形と同時にまたは成型物を架橋槽内に導入し、架橋することができる。
架橋は通常、120〜270℃の温度で1〜40分間加熱することにより行うことができる。このように熱による架橋で架橋成形体を得る場合には、樹脂組成物が架橋剤(C)を含有していることが好ましい。また架橋は、必要に応じて成形した未架橋の樹脂組成物に、放射線を所定量照射して行うこともできる。放射線としてはα線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線などが用いられる。このうちコバルト-60のγ線、電子線が好ましく用いられる。架橋を電子線などの放射線の照射により行う場合には、樹脂組成物は架橋剤(C)を必ずしも含有していなくてもよい。
このような架橋は金型を用いて実施してもよいし、また金型を用いないで実施してもよい。金型を用いない場合は成形、架橋の工程は通常連続的に実施される。架橋槽における加熱方法としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱槽を用た方法を挙げることができる。
架橋成形体
本発明の架橋成形体は、上述した本発明の樹脂組成物を架橋させて得られる。本発明の架橋成形体は、上述した本発明の樹脂組成物から形成されることにより、軟化剤の揮発量が少なく、耐熱老化性に優れる。
本発明の樹脂組成物およびその架橋成形体の用途は、特には限定されず、種々の用途に使用することができる。具体的には、電線、ケーブル、ライニング、建設資材、シール材、接着剤、耐熱ベルト、耐熱ホース、ブラダー、防振材、制震材、自動車用部品、工業用部品などが挙げられる。本発明の架橋成形体は軟化剤の揮発量が少なく、耐熱老化性に優れることから、その中でも耐熱ベルト、耐熱ホース、ブラダー、防振材、制震材などの自動車用部材や工業用部材などの高温環境下で使用される用途について特に好適である。たとえば、好適例として、本発明の樹脂組成物または成形体から形成されたゴム層を有する自動車用部品および工業用部品を挙げることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、各物性は、以下の方法により測定あるいは評価した。
[エチレン含量、プロピレン含量、ブロックネス(B値)]
製造例で得たエチレン・プロピレン共重合体のブロックネス(B値)は、13C−NMRにより以下の装置および条件で測定したエチレン・プロピレン共重合体中に含有される、エチレン成分のモル分率、プロピレンのモル分率、全ダイアド(dyad)連鎖数に対するエチレン・プロピレン交互連鎖数の割合から以下のようにして求めた。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定を行った。
B値は、共重合モノマー連鎖分布のランダム性を示すパラメータであり、下式により算出した。
B値=[POE]/(2・[PO]・[PE])
(式中、PEおよびPOは、それぞれエチレン・プロピレン共重合体中に含有される、エチレン成分のモル分率およびプロピレンのモル分率であり、POEは、全ダイアド(dyad)連鎖数に対するエチレン・プロピレン交互連鎖数の割合である。)
エチレン含量、プロピレン含量、PE、POおよびPOE値は、上記のようにして測定された13C−NMRスペクトルから、G.J.Ray(Macromolecules,10,773(1977))、J.C.Randall(Macro−molecules,15,353(1982))、K.Kimura(Polymer,25,4418(1984))らの報告に基づいて求めることができる。
[動粘度]
動粘度は、ASTM D 445に基づき、キャノン社製全自動粘度計CAV−4を用いて測定を行った。
[分子量(Mw、Mn)および分子量分布(Mw/Mn)]
分子量(Mw、Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、下記の液体クロマトグラフィー用ポンプ、サンプリング装置、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)用カラム、示差屈折率検出器(RI検出器)を連結し、GPC測定を行い決定した。
液体クロマトグラフィー装置:Waters社製515 HPLC Pump
サンプリング装置:Waters社製717plus Autosampler装置
移動相:THF(安定剤含有、液体クロマトグラフィー用グレード)
カラム:PL社製MIXED-D 1本とPL社製500Å 1本とを直列連結した。
サンプル濃度:5mg/mL
移動相流速:1.0mL/分
測定温度:常温
検量線用標準サンプル:PL社製EasiCal PS-1
[135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]]
極限粘度[η]〔dl/g〕は、離合社製の全自動極限粘度計を用いて、温度135℃、測定溶媒デカリンにて測定した。
[軟化剤単体の重量減少率]
JIS K2540に準拠し、直径53mmの硬質ガラス製ビーカーに軟化剤を20g採取し、空気で満たされた180℃に設定されたオーブン内で24時間加熱した。この試料について、加熱の前および後で、重量を測定し、下記式:
軟化剤単体の重量減少率(%)=[(加熱前の重量−加熱後の重量)/(加熱前の重量)]×100
に従って、軟化剤単体の重量減少率(%)を求めた。
[ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕]
ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕は、JIS K6300に準拠して、100℃の条件下、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて測定した。
[試験片の熱老化]
樹脂組成物を金型でプレス架橋することにより15cm×15cm×0.2cmの大きさの架橋シートを作製し、JIS K5251に準拠し、このシートよりダンベル状3号型試験片を作製した。この試験片をJIS K6257に準拠して、空気で満たされた180℃に設定されたオーブン内で72時間加熱し、加速老化させ、老化の前および後の試験片について、後述の方法に従い重量、表面硬度、引張強度、引張伸びを測定した。
[架橋成形体の重量減少率]
上記条件により熱老化させた試験片について、老化の前および後の重量を測定し、下記式:
架橋成形体の重量減少率(%)=[(老化前の重量−老化後の重量)/(老化前の重量)]×100
に従って、架橋成形体の重量減少率(%)を求めた。この値が小さい程、架橋成形体中の軟化剤成分の揮発量が少ないことを示す。
[耐熱老化性(硬度)・耐熱老化性(引張強度)・耐熱老化性(引張伸び)]
JIS K6253に準拠し、ダンベル状3号型試験片を2枚重ねあわせ、老化の前および後の表面硬度(タイプA)を測定した。
また、JIS K6251に準拠し、老化の前および後のダンベル状3号型試験片について、破断時の引張強度および引張伸びを測定した(試験温度:23℃、引張速度:500mm/分)。
測定した各値について、下記式:
耐熱老化性(%)=[(老化後の測定値)/(老化前の測定値)]×100
に従って、耐熱老化性(硬度)(%)、耐熱老化性(引張強度)(%)、耐熱老化性(引張伸び)(%)を求め、その結果を表1に示した範囲に従い◎、○、△、×の4段階に区分した。
各物性値が◎または○の範囲にあると、熱による物性の変化が小さく、高温環境下で使用した際に、クラック等の問題を発生しにくいため実用性に優れる。◎の範囲では、耐熱老化性が特に優れることから、高温条件化にて長期間使用されるような用途にも好適である。各物性値が×および△の範囲にあると、熱による物性の変化が起きることで成形体の性能が損なわれやすく、高温環境下での使用に好ましくない。各物性値が×の範囲にあると、高温条件化で使用された樹脂組成物およびその成形体が、ゴムの劣化によりクラックを生じ易く特に実用性に劣る。
以下の実施例および比較例において、樹脂成分としては次のものを用いた。
Figure 2019085527
<ゴム成分A>
[ブチル系ゴム](a−1)
ブチル系ゴム(a−1)として、市販されている非ハロゲン化ブチルゴム「Butyl 268」(商品名;日本ブチル株式会社製)を用いた。
「ブチル系ゴム」(a−2)として、市販されている非ハロゲン化ブチルゴム「Butyl065」(商品名;日本ブチル株式会社製)を用いた。
[クロロプレンゴム](a−3)
クロロプレンゴム(a−3)として、市販されているクロロプレンゴム「ショープレン WRT」(商品名;昭和電工株式会社製)を用いた
<エチレン・α−オレフィン共重合体(B)>
[製造例1](エチレン・α−オレフィン共重合体(b−1)の製造)
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン910mLおよびプロピレン45gを装入し、系内の温度を130℃に昇温した後、水素2.24MPa、エチレン0.09MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0006mmolおよびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.006mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、130℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/Lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥した後、さらに神鋼パンテック製2−03型薄膜蒸留装置を用いて、減圧度を400Paに保持し、設定温度180℃、流量3.1ml/minにて薄膜蒸留を行い、エチレン・プロピレン共重合体22.2gを得た。さらに、このエチレン・プロピレン共重合体に対して水添操作を施すことで表2に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体(b−1)を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(b−1)の分析結果を表2に示す。
[製造例2](エチレン・α−オレフィン共重合体(b−2)の製造)
充分窒素置換した容量2リットルの攪拌翼付連続重合反応器に、脱水精製したヘキサン1リットルを張り、96mmol/Lに調整した、エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C251.5・Cl1.5)のヘキサン溶液を500ml/hの量で連続的に1時間供給した後、更に触媒として16mmol/Lに調整したVO(OC25)Cl2のヘキサン溶液を500ml/hの量で、ヘキサンを500ml/hの量で連続的に供給した。一方重合器上部から、重合液器内の重合液が常に1リットルになるように重合液を連続的に抜き出した。次にバブリング管を用いてエチレンガスを35L/hの量で、プロピレンガスを35L/hの量で、水素ガスを80L/hの量で供給した。共重合反応は、重合器外部に取り付けられたジャケットに冷媒を循環させることにより35℃で行った。これにより、エチレン・プロピレン共重合体を含む重合溶液が得られた。得られた重合溶液は、塩酸で脱灰した後に、大量のメタノールに投入して、エチレン・プロピレン共重合体を析出させた後、130℃で24時間減圧乾燥を行い、エチレン・α−オレフィン共重合体(b−2)を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(b−2)の分析結果を表2に示す。
[製造例3](エチレン・α−オレフィン共重合体(b−3)の製造)
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製重合器にヘプタン250mLを装入し、系内の温度を50℃に昇温した後、エチレンを25L/hr、プロピレンを75L/hr、水素を100L/hrの流量で連続的に重合器内に供給し、撹拌回転数600rpmで撹拌した。次にトリイソブチルアルミニウム0.2mmolを重合器に装入し、次いで メチルアルミノキサン、およびトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製した有機アルミニウムオキシ化合物(MMAO)0.688mmolと[エチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド0.00230mmolをトルエン中で15分以上予備混合したものを重合器に装入することにより重合を開始した。その後、エチレン、プロピレン、水素の連続的供給を継続し、50℃で15分間重合を行った。少量のイソブチルアルコールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のモノマーをパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/Lの塩酸100mLで3回、次いで蒸留水100mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られたポリマーを80℃の減圧下で一晩乾燥し、エチレン・プロピレン共重合体1.43gを得た。さらに、このエチレン・プロピレン共重合体に対して水添操作を施すことで表2に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体(b−3)を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(b−3)の分析結果を表2に示す。
[製造例4](エチレン・α−オレフィン共重合体(b−4)の製造)
製造例2において、エチレンガスの供給量、プロピレンガスの供給量、水素ガスの供給量を適宜調整することにより、表2に記載のエチレン・αーオレフィン共重合体(b−4)を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(b−4)の分析結果を表2に示す。
Figure 2019085527
[実施例1]
MIXTRON BB MIXER(神戸製鋼所社製、BB−2型、容積1.7L)を用いて、ブチル系ゴム(a−1)50質量部、ブチル系ゴム(a−2)45質量部、クロロプレンゴム(a−3)5質量部、軟化剤としてエチレン・プロピレン共重合体(b−1)5質量部、補強剤としてカーボンブラック「旭#70」(商品名;旭カーボン株式会社製)60質量部、老化防止剤としてフェノール系老化防止剤「ノクラックNS−5」(商品名;王内新興化学工業株式会社製)1質量部を混練した。混練条件は、ローター回転数が77rpm、混練時間が10分間で行った。その後、その混練物を、6インチオープンロール(前ロールの表面温度50、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)を用いて、再度混練し、A練りコンパウンドとした。
6インチオープンロール(前ロールの表面温度80、後ロールの表面温度80℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)を用いて、得られたA練りコンパウンド166質量部に、架橋剤としてフェノール樹脂「タッキロール201」(商品名;田岡化学工業株式会社製)8質量部、架橋助剤として酸化亜鉛3種(ハクスイテック株式会社製)5質量部、離型剤として「ストラクトールWB16」(商品名:エスアンドエスジャパン株式会社製)1質量部を添加および混練して樹脂組成物を調製し、さらにシート状に分出し後、加熱プレスを用い190℃で30分間加熱し架橋することで、縦15cm、横15cm、厚さ0.2cmの架橋シートを得た。
得られた架橋シートについて、上述した方法にて、架橋成形体の熱老化後の重量減少率および耐熱老化性(硬度)、耐熱老化性(引張強度)、耐熱老化性(引張伸び)を評価した。また、使用した軟化剤(b−1)単体の重量減少率を上述した方法にて評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例1]
軟化剤を添加しないこと以外は実施例1と同条件で樹脂組成物および架橋シートを調製し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例2〜4]
表3に示すとおりに軟化剤の種類を変更し、それ以外は実施例1と同条件で樹脂組成物および架橋シートを調製し、実施例1と同様に評価した。使用した軟化剤単体の重量減少率を上述した方法にて評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例2〜3]
表4に示すとおりに軟化剤の種類を変更し、それ以外は実施例1と同条件で樹脂組成物および架橋シートを調製し、実施例1と同様に評価した。使用した軟化剤単体の重量減少率を 上述した方法にて評価した。評価結果を表4に示す。
使用した鉱油1および鉱油2の詳細を表3に示す。
Figure 2019085527
Figure 2019085527
軟化剤単体の重量減少率と架橋成形体の重量減少率との関係を図1に示す。表4および図1の結果から、実施例1〜4では、軟化剤単体の重量減少率に対する架橋成形体の重量減少率が、比較例2〜3に比較して小さくなっている。これは、鉱油1および鉱油2はブチル系ゴムとの相容性が悪く、ゴム表面にブリードアウトし易く、揮発し易くなったためと考えられる。これに対し、本発明の要件を満たすエチレン・α―オレフィン共重合体(b−1)〜(b−4)は、ブチルゴムとの相容性に優れ、架橋成形体の重量減少率が少なくなったと推察される。
また、表4の結果から、実施例1〜4は比較例2〜3と比較して、耐熱老化性(硬度)、耐熱老化性(引張強度)、耐熱老化性(引張伸び)のバランスに優れることが分かる。これは、実施例1〜4では、架橋成形体の重量減少率が小さく、軟化剤が多く残存しているためと考えられる。
比較例1と実施例1〜4を比較すると、比較例1では軟化剤を配合していないため、ムーニー粘度が高く、加工性が悪いのに対し、実施例1〜4では軟化剤として、エチレン・α―オレフィン共重合体(B)を配合することで、ムーニー粘度が比較例1よりも小さくなっており、加工性に優れることが分かる。
また、実施例2〜4は、比較例1と比較して、耐熱老化性(硬度)、耐熱老化性(引張強度)、耐熱老化性(引張伸び)のバランスに優れる。比較例1では、架橋成形体の重量減少率は小さいが、軟化剤を配合していないため、軟化剤によるゴム内部の分子間摩擦を減少させる効果が得られず、特に耐熱老化性(伸び)が減少しているが、実施例2〜4では、軟化剤によるゴム内部の分子間摩擦を減少させる効果が得られ、また、軟化剤の揮発量も少ないため、耐熱老化性(硬度)、耐熱老化性(引張強度)、耐熱老化性(引張伸び)のバランスに優れると推察される。
実施例1〜4を比較すると、実施例2が優れた耐熱老化性(硬度)、耐熱老化性(引張強度)を示し、最もバランスに優れている。これは、実施例1では、架橋成形体の重量減少率が多く、実施例3〜4では、エチレン・α―オレフィン共重合体(b−3)、(b−4)の粘度および極限粘度[η]が高いために、熱による分解が起きやすく、ラジカルが多く発生することで、劣化が多く進行したためと考えられる。言い換えると、実施例2では、軟化剤が多く残存し、分解によるラジカルも発生しにくいため、優れた耐熱老化性のバランスを示すと言える。
本発明の樹脂組成物およびそれらからなる架橋成形体は、易加工性、耐熱老化性、耐ブリードアウト性が必要とされる分野で好適に使用する事が出来る。例えば、各種マフラーハンガー、エンジンマウント、ダンパープーリー、耐熱ベルト、耐熱ホース、ブラダーなどの自動車用部品、工業用部品、船舶用部品、土木建築用部品、医療用部品、電気・電子用部品、シール製品、シート、シューズ、タイヤサイドウォール、タイヤチューブ、被覆電線、電気絶縁部品、家庭用ゴム製品、レジャー用部品、コーティング材または接着剤が挙げられる。

Claims (9)

  1. ブチル系ゴムを60質量部以上含むゴム成分(A)100質量部と、下記の要件(b−1)〜(b−5)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体(B)1〜100質量部とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
    (b−1)エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位とを有する。
    (b−2)エチレン・α−オレフィン共重合体(B)に含まれる全構造単位100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜90モル%である。
    (b−3)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.01〜0.50dl/gである。
    (b−4)100℃における動粘度が10〜5000mm2/sである。
    (b−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.0〜3.0である。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が、10〜3500mm2/sであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)がさらに下記要件(b−6)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    (b−6)下記式(1)から求められるB値が1.06以上である。
    B値=[POE]/(2・[PE]・[PO]) …(1)
    (式中、[PE]は共重合体中のエチレンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[PO]は共重合体中のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有モル分率であり、[POE]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン・α−オレフィン連鎖数の割合である。)
  4. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体(B)の100℃における動粘度が、50〜3500mm2/sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 架橋剤(C)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記架橋剤(C)がフェノール系樹脂である請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記ゴム成分(A)が、ブチル系ゴム92〜97質量部およびクロロプレンゴム3〜8質量部からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を架橋して得られる成形体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物または請求項8に記載の成形体から形成されたゴム層を有することを特徴とする自動車用部品または工業用部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113527816A (zh) * 2020-04-21 2021-10-22 Jsr株式会社 热塑性弹性体组合物及成形体

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