JP2019084519A - 水性導電性分散体、水性導電性分散体の製造方法、バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法 - Google Patents

水性導電性分散体、水性導電性分散体の製造方法、バイオセンサおよびバイオセンサの製造方法 Download PDF

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小久保奈津子
natsuko Kokubo
啓輔 倉内
Keisuke Kurauchi
啓輔 倉内
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Naoto Ogiwara
直人 荻原
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Abstract

【課題】 本発明は、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度でかつ長期間安定して測定するために非特異吸着を抑制した電極およびそれを用いたバイオセンサを提供することを目的とする。【解決手段】 導電性材料(A)と、ベタインポリマー粒子(B)と、分散剤(C)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体であって、前記ベタインベタインポリマー粒子(B)が、一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)〜(b3)を必須成分としてなるベタインポリマー粒子であり、平均粒子径が50nm以上で前記水性液状媒体(D)に分散しており、前記分散剤(C)が、前記水性液状媒体(D)に溶解しているか、もしくは平均粒子径が50nm未満で前記水性液状媒体(D)に分散している、水性導電性分散体。【選択図】 図1

Description

本発明は、水性導電性分散体、詳しくは生体適合性に優れ、特にバイオセンサ等に利用される電極の形成に好適な水性導電性分散体とその製造方法、およびそれを用いたバイオセンサ並びにその製造方法に関する。
近年いろいろな分野において、センサによる化学物質の計測や検出が行われている。様々な形式のセンサの中で、分子識別機能を利用したバイオセンサは、物質選択性が非常に優れているため、医療・生化学分野にも広く応用されている。
例えば、糖尿病治療の分野においては、バイオセンサによる血糖値測定が行われてきている。糖尿病は、近年急速に増えた疾患であり、安全かつ簡便に連続的もしくは継続的に血糖値を測定することが重要である。従来用いられているバイオセンサでは、血液をサンプリングして血糖値を測定する方法が採用されている。近年では、血液以外の涙や粘液、汗、唾液等の体液中のグルコース濃度を測定する方法も提案され、フレキシブルあるいはウェラブルなバイオセンサとして報告されている。
グルコース濃度を測定するためのバイオセンサは、酵素の反応特異性を利用して、種々の生理活性物質を特異的に検出する酵素電極を使用している。このような酵素電極は、電気化学的手法あるいは光学的手法により試料の分析を行えるように構成されたものが汎用されている。電気化学的手法により試料の分析を行うための酵素電極は、通常、金電極、白金電極、カーボン電極等の電極表面上に酵素や電子受容体が固定化されている。
この酵素電極には、酸化還元酵素としてフラビンアデニンジヌクレオチド(以下、FADと略す)との複合タンパク質であるグルコースオキシダーゼを用い、電子受容体として例えばフェロセンを用いている。電子受容体をメディエータとして用いる反応系により、微量なグルコース濃度でも測定が可能である。また基板上の電極系を安価なカーボンを用いることにより、安価なバイオセンサを作製することができる。
このバイオセンサを血中等のグルコース濃度の計測に使用する場合、酵素電極表面へのタンパク質や血液細胞等の非特異吸着によりグルコースと酵素の反応が阻害され、感度の低下が生じる。さらにこれを、例えば皮下留置型のように生体内において長期間使用することは不可能である。
そこで、酵素電極の表面あるいは内部に生体適合性のある2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)含有ポリマーを被覆または介在することで、非特異吸着を抑制する方法が開示されている(特許文献1、2)。
また、電子受容体部位が結合したMPCポリマーを用いて電極を作製することで、非特異吸着を抑制する方法が開示されている(特許文献3)。
特開平04−283653号公報 WO2010/090271 特開平10−139832号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されるような方法で酵素電極に生体適合性を付与したとしても、非特異吸着を完全には抑えることができない。感度向上および長期間安定な測定をするために、タンパク質等の非特異吸着をより抑えた生体適合性ポリマーが望まれている。
また、生体適合性のある材料とカーボン電極等の電極とが別々に作製されているため、センサの作製が煩雑である。センサをより効率的に作製できることが望まれている。
本発明は、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度でかつ長期間安定して測定するために非特異吸着を抑制した電極およびそれを用いたバイオセンサを提供することを目的とする。
本発明は、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度でかつ長期間安定して測定するために非特異吸着を抑制した電極およびそれを用いたバイオセンサを提供することを目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討したところ、水性液状媒体中に分散しているカルボベタイン構造および/またはスルホベタイン構造を含む生体適合性ポリマー粒子を、導電性材料に対し、バインダーとして使用した導電性水性分散体が低粘度で塗工性に優れ、その保存安定性も良好であり、さらにタンパク質等の非特異吸着を抑制した電極膜を形成することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]に関する。
[1] 導電性材料(A)と、ベタインポリマー粒子(B)と、分散剤(C)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体であって、
前記ベタインポリマー粒子(B)が、下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)〜(b3)を必須の構成成分としてなるベタインポリマー粒子であり、平均粒子径が50nm以上で前記水性液状媒体(D)に分散しており、
前記分散剤(C)が、前記水性液状媒体(D)に溶解しているか、もしくは平均粒子径が50nm未満で前記水性液状媒体(D)に分散している、
水性導電性分散体。



(一般式4〜6中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
21は水素原子またはメチル基を表す。)
[2] 前記導電性材料(A)が炭素材料である、前記[1]記載の水性導電性分散体。
[3] ベタインポリマー粒子(B)を構成する全モノマー100質量%中、ベタインモノマー(b1)が0.1〜20重量%である、前記[1]または[2]記載の水性導電性分散液。
[4] 前記分散剤(C)が、下記(C1)〜(C4)からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする前記[1]〜[3]いずれかに記載の水性導電性分散体。
(C1):下記一般式1〜3で示される少なくともいずれかの構造を含むベタイン構造を有するビニル系ベタインポリマー(C1)。
(C2):下記一般式101〜103で表される少なくともいずれかのアミンオキシド基を有するビニル系アミンオキシドポリマー(C2)。
(C3):下記一般式104〜106で示される少なくともいずれかのアミンオキシド基を有するウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)。
(C4):アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックが下記式(IA)、(IB)又は(IC)のいずれかの構造を介して共有結合で結合されているブロックポリマー(C4)。



(前記一般式1〜3中、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
10〜R14のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)

(前記一般式101〜103中、
Xは2価の結合基、または直接結合、
yは0または1、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は水素原子またはメチル基、
〜Rのうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
*はビニル系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
(前記一般式104〜106中、
10、R12 15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
11 13、R14、R16、R17はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
YはOまたはNを表し、
**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)

[5] 導電性材料(A)と、ベタインポリマー粒子(B)と、分散剤(C)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を含む製造方法。
工程(1):前記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)を必須成分とするモノマーを水性液状媒体(D)中で重合し、平均粒子径が50nm以上のベタインポリマー粒子(B)の水性分散体を得る工程。
工程(2):分散剤(C)を水性液状媒体(D)に溶解し、分散剤(C)の溶液を得るか、分散剤(C)を水性液状媒体(D)に分散し、平均粒子径が50nm未満の分散剤(C)の分散液を得る工程。
工程(3):分散剤(C)の前記溶液もしくは分散剤(C)の前記分散液に導電性材料(A)を分散し、導電性材料(A)の分散体を得る工程。
工程(4):導電性材料(A)の前記分散体と、ベタインポリマー粒子(B)の前記水性分散体とを混合する工程。
[6] ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液に直接接触するための電極とを有するバイオセンサであって、
前記電極が、前記[1]〜[4]いずれかに記載の水性導電性分散体より形成されたバイオセンサ。
[7] ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液に直接接触するための電極とを有するバイオセンサの製造方法であって、
ベース基材の所定の位置に、前記[1]〜[4]いずれかに記載の水性導電性分散体を塗工し、水性液状媒体(D)を除去し、前記電極を形成する、
バイオセンサの製造方法。
本発明によれば、低粘度で塗加工性に優れ、保存安定性が良好な導電性分散体と、それを用いた生体適合性を有する電極を含むバイオセンサ、およびその製造方法を提供できる。
すなわち、水性液状媒体中に分散しているカルボベタイン構造および/またはスルホベタイン構造を含む生体適合性ポリマー粒子の利用により、低粘度で塗加工性に優れ、保存安定性が良好な導電性分散体を提供でき、前記水性導電性分散体を用いて、より効率的に生体適合性のある電極を作製できるようになった。この電極は、導電材と生体適合性のある水分散性樹脂粒子を含むため、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも電極そのものがタンパク質の非特異吸着を十分に抑制できる。その結果、測定対象(例えば、グルコース)の濃度を高感度かつ長期間安定して測定できるバイオセンサを提供することができるようになる。
図1は、本発明のバイオセンサの模式的断面図を表す。 図2は、本発明の別の態様のバイオセンサの模式的断面図を表す。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明の水性導電性分散体、それを用いた電極およびバイオセンサについて説明する。
[導電性材料(A)]
導電性材料(A)は電極での電子伝導性を高めるために含有される。ここでは主に導電性炭素材料、金属材料を挙げるが、これに限るものではない。
本発明に用いる導電性炭素材料としては、特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、グラフェン系炭素材料(グラフェン、グラフェンナノプレートレット)、多孔質炭素、活性炭、ナノポーラスカーボン、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンブラックの酸化処理は、カーボンブラックを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンブラックの分散性を向上させるために一般的に行われている。酸化処理をしていないカーボンブラックの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m/g以上、1500m/g以下、好ましくは50m/g以上、1500m/g以下、更に好ましくは100m/g以上、1500m/g以下のものを使用することが望ましい。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(ライオン社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
カーボンブラック以外の炭素材料としては、グラフェン系炭素材料、多孔質炭素、及びナノポーラスカーボンの使用が比表面積等や導電性の面から好ましい。
グラフェン系炭素材料としては、炭素原子が同一平面上に六角形に配置し、グラファイトを構成する単原子層であるグラフェンが、単層若しくは、多層構造を有している炭素材料であれば良い。単層及び多層グラフェンは、グラファイトを機械的、化学的に剥がしたり、炭化水素系ガスからCVD法でなどにより合成されるが、合成コストや取り扱いを考慮すると、単層グラフェンよりも十数〜数十層積層された多層グラフェンが好ましい場合がある。
市販のグラフェン系炭素材料としては、例えば、xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット等が挙げられる。
カーボンナノチューブは、グラフェンシートが環を巻いたナノスケールのチューブ状の構造を有しており、グラフェンシートの積層数によって、単層、多層に区別される。カーボンナノチューブは、原料や合成方法によって繊維径や長さ、結晶性、集合状態を制御することで、材料の比表面積、導電性等の諸物性を制御することが可能となる。グラフェン系炭素材料と同様、合成コストや取り扱いを考慮すると、単層カーボンナノチューブよりも多層カーボンナノチューブの方が好ましい場合がある。
市販のカーボンナノチューブとしては、VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ、名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ等が挙げられる。
多孔質炭素は、一般的に酢酸マグネシウムなどの鋳型材料と炭素原料を混合して焼成後、鋳型材料を除去することで得られる。鋳型材料の種類、粒径、規則性等を制御することで得られる多孔質炭素の物性を制御することが出来る。
市販の多孔質炭素としては、クノーベルMHグレード、クノーベルP(2)010グレード、クノーベルP(3)010グレード、クノーベルP(4)050、クノーベルMJ(4)030グレード、クノーベルMJ(4)010グレード、クノーベルMJ(4)150グレード等の東洋炭素社製の多孔質炭素等が挙げられる。
ナノポーラスカーボンは、表面にメソポーラス構造を有し粒径20〜50nm程度の球状粒子である。メソポーラス構造に由来する高い表面積、細孔容積により優れた吸着能を有している。
市販のナノポーラスカーボンとしては、Easy−N社製ナノポーラスカーボンが挙げられる。
グラファイトとしては、微粉末状の天然黒鉛および人造黒鉛を特に限定されず用いることができる。天然黒鉛としては、天然の鉱床から出土する薄片状の鱗片状黒鉛や塊状(鱗状)黒鉛、低結晶性の土状黒鉛に加え、鱗片状黒鉛を球状に整形した球状黒鉛、鱗片状黒鉛を硫酸等により化学処理した膨張黒鉛、膨張黒鉛を高温で熱処理して膨張化させた後、微細化した膨張化黒鉛などが挙げられる。人造黒鉛としては、メゾフェーズピッチや粉末コークスを高温で熱処理し黒鉛化したもの、黒鉛電極を粉砕したもの、熱硬化性樹脂ビーズを熱処理し黒鉛化した真球状のもの等が挙げられる。
市販のグラファイトとしては、例えば、J−CPB、CGB−10、SP−10(日本黒鉛社製)などの鱗片状黒鉛、HOP(日本黒鉛社製)、SRP−7(伊藤黒鉛社製)などの鱗状黒鉛、CP2000M、3000M(伊藤黒鉛社製)などの土状黒鉛、9532400A、9950200(伊藤黒鉛社製)などの膨張黒鉛、EC1500、EC1000 、EC500 、EC300 、EC100、EC50(伊藤黒鉛工業社製)等の膨張化黒鉛、SGO−10、SGP−5(SECカーボン社製)等の人造黒鉛が挙げられる。
本発明に用いる金属材料(金属粉末)は特に限定されず、例えば、電気抵抗率が20×10-6Ω・cm以下の金属材料を用いることができる。
上記金属材料としては、具体的には、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属粉末のうち、より低い体積抵抗率の電極等を形成することができる理由から、球状の銀粒子および/または銅粒子を用いるのがより好ましい。なお、銅粒子は、耐酸化性を改善する観点から、有機化合物、無機化合物、無機酸化物、銅以外の金属等で表面を改質または被覆した銅粒子を用いるのが好ましい。
本発明においては、上記金属粉末は、不定形、凝集状、鱗片状、微結晶状、球状、フレーク状等のものを特に限定なく用いることができるが、印刷性(特に、スクリーン印刷性)が良好となる理由から、平均粒子径が0.5〜10μmの金属粉末を用いるのが好ましい
上記銀粒子の市販品の具体例としては、AG2−1C(球状銀粉、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG4−8F(球状銀粉、平均粒子径:2.2μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG3−11F(球状銀粉、平均粒子径:1.4μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AgC−102(フレーク状銀粉、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−103(フレーク状銀粉、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−A(フレーク状銀粉、平均粒子径:6.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−B(フレーク状銀粉、平均粒子径:3.5μm、福田金属箔粉工業社製)、Ag−XF301(フレーク状銀粉、平均粒子径:4.0μm、福田金属箔粉工業社製)、SA−0201(フレーク状銀粉、平均粒子径:2.4μm、METALOR社製)、AA−3462(フレーク状銀粉、平均粒子径:4.3μm、METALOR社製)等が挙げられる。
本発明の水性導電性分散体は、分散体の全重量中に導電性材料(A)を、重量比で0.1重量%以上95重量%以下、より好ましくは1重量%以上90重量%以下を含有させたものであることが好ましい。
[ベタインポリマー粒子(B)]
ベタインポリマー粒子(B)は、下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)〜(b3)をポリマーの必須の構成成分としてなるベタインポリマー粒子であって、後述する水性液状媒体(D)中に分散しており、分散粒子の平均粒子径は50nm以上であり、50nm〜500nmであることが好ましく、70nm〜300nmであることが更に好ましい。平均粒子径が50nm以上であることで、表面エネルギーによる粘度上昇を抑えることができる。また、平均粒子径が500nm以下であることで水性導電性分散体の安定性をより向上することができる。
なお、ベタインポリマー粒子(B)の平均粒子径は、動的光散乱法による測定で求めることができる。具体的には、以下のようにして行うことができる。ベタインポリマー粒子(B)の水性分散体は、その固形分に応じて200〜1000倍に水で希釈し、固形分0.05〜0.2質量%程度に調整しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを本発明の平均粒子径とする。



(一般式4〜6中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
21は水素原子またはメチル基を表す。)
<モノマー(b1)>
モノマー(b1)は、一般式4に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このようなモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアンモニウムメチル−α−カルボキシベタイン、などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−カルボキシベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタイン;N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどが挙げられる。本発明において(メタ)アクリルと表記した場合、メタクリルもしくはアクリルであることを示す。
<モノマー(b2)>
モノマー(b2)も、一般式5に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このようなモノマーとしては、例えば、1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−3−(3−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩、1−ビニル−2−メチル−3−(4−スルホブチル)イミダゾリウム内部塩などの1−ビニル−2−アルキル−3−(4−スルホアルキル)イミダゾリウム内部塩などが挙げられる。
<モノマー(b3)>
モノマー(b3)も、一般式6に示す通り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ベタイン構造とを有する。
このようなモノマーとしては、例えば、2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、2−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの2−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩;4−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩、4−ビニル−1−(3−スルホブチル)ピリジニウム内部塩、などの4−ビニル−1−(3−スルホアルキル)ピリジニウム内部塩が挙げられる。
<ベタインポリマー粒子(B)の水性分散体の製造方法>
本発明のベタインポリマー粒子(B)の水性分散体は、
水性液状媒体(D)中で、必須成分である前記ベタインモノマー(b1)〜(b3)の少なくともいずれかと、他のモノマーとを重合(乳化重合、懸濁重合等)する方法、
前記ベタインモノマー(b1)〜(b3)と、他のモノマーとを溶解し得る有機溶剤中で重合した後(溶液重合)、有機溶剤を水性液状媒体(D)に置換する方法、
前記ベタインモノマー(b1)〜(b3)と、他のモノマーとを溶解し得る有機溶剤と水性液状媒体(D)との混合液中で重合し、ベタインポリマー粒子(B)を水性液状媒体(D)に析出させた後、有機溶剤を除去する方法、
等、種々の方法で得ることができる。
<モノマー(b100)>
ベタインポリマー粒子(B)を得る際に、モノマー(b1)〜(b3)の他に用いられる「他のモノマー」としては、非水溶性(b100)が挙げられる。
非水溶性モノマー(b100)を共重合することにより得られるベタインポリマー粒子(B)の極性を制御でき、水性液状媒体(D)中に分散させることができる。ベタインポリマー粒子(B)自体は高分子量でありながら、ベタインポリマー粒子(B)を水性液状媒体(D)中に分散させることで、低粘度の分散体を得ることができる。その結果、塗加工性に優れる水性導電性分散体を得ることができ、電極膜を形成した際に高耐水性、高耐擦過性が得られる。
非水溶性モノマー(b100)としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー;
(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和モノマー;
1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和モノマー;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどの単官能または多官能アルコキシシリル基含有エチレン性不飽和モノマーなどが挙げられる。
モノマー(b100)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
非水溶性モノマー(b100)は、ベタインポリマー粒子(B)の分散安定性の点から、全モノマー100質量%中、30〜95重量%であることが好ましい。
<モノマー(b200)>
ベタインポリマー粒子(B)を得る際に、モノマー(b1)〜(b3)、(b100)の他にさらにモノマー(b200)を用いることもできる。
このモノマー(b200)としては、特に限定されないが、例えば、
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖含有エチレン性不飽和モノマー;
ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリル酸などの多官能(メタ)アクリル酸エステル類;
ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルなどのジビニル類;
イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルなどのジアリル類などの1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基含有モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基含有エチレン性不飽和モノマー;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボン酸基含有エチレン性不飽和モノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基含有エチレン性不飽和モノマー;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和モノマー;
などが挙げられる。
本発明において、モノマー(b200)の有するエチレン性不飽和結合基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基もしくは芳香族ビニル基であることが好ましい。カルボン酸基含有モノマーを使用する場合は、重合後に水酸化ナトリウムやアミン類等で中和することが好ましい。
また、生体適合性の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
モノマー(b200)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
上記モノマーの内、単官能または多官能アルコキシシリル基を有するモノマー、ジビニル類、多官能(メタ)アクリル酸エステル類は、全モノマー100質量%中、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.2〜3重量%であることが更に好ましい。上記モノマーが0.1重量%以上であることで、ベタインポリマー粒子(B)の分子内に架橋構造が組み込まれ、耐水性、耐擦過性の向上が期待できる。また、上記モノマーが5重量%以下であることで、ベタインポリマー粒子(B)を安定して合成でき、また合成後の分散状態を安定に保持することができる。
<モノマーの質量組成比>
ベタインポリマー粒子(B)は、バイオセンサ用の電極の生体適合性の点から、モノマー(b1)〜(b3)、および他のモノマーとの合計100mol%中、モノマー(b1)〜(b3)の合計は1〜95mol%であることが好ましく、より好ましくは2〜80mol%である。
以下、ベタインモノマー(b1)〜(b3)を水性液状媒体(D)中で重合し、ベタインポリマー粒子(B)の水性分散体を得る際に使用される乳化剤や重合開始剤等について説明する。
<乳化剤>
本発明において乳化重合の際に用いられる乳化剤としては、エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤やエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤など、従来公知のものを任意に使用することができる。
エチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤としては特に限定されないが、具体的には、アルキルエーテル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、KH−20、株式会社ADEKA製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、花王株式会社製ラテムルPD−104など);
スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2など);
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、株式会社ADEKA製アデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、など);
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS−30など);
リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H−3330PL、株式会社ADEKA製アデカリアソープPP−70など)などがあげられる。
エチレン性不飽和基を有するノニオン系反応性乳化剤としては特に限定されないが、具体的には、例えばアルキルエーテル系(市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製ラテムルPD−420、PD−430、PD−450など);
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40など);
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA−564、RMA−568、RMA−1114など)などがあげられる。
非反応性ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;
オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどを例示することができる。
また、非反応性アニオン系乳化剤の例としては、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;
ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;
モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩およびその誘導体類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩類などを例示することができる。
本発明において用いられる乳化剤の使用量は、エチレン性不飽和モノマーの合計100質量部に対して、乳化剤は重合時の安定性の理由から、通常0.1〜30質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、乳化剤は界面活性剤と称されることもある。また、エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤はエチレン性不飽和モノマーには含めないものとする。
乳化重合に際しては、水溶性保護コロイドを併用することもできる。
水溶性保護コロイドとしては、例えば、アクリルポリマー、スチレンアクリルポリマー、スチレンマレイン酸共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体;
グアガムなどの天然多糖類などがあげられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。
水溶性保護コロイドの使用量としては重合時の安定性の理由から、エチレン性不飽和モノマーの合計100質量部に対して0.1〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。
<重合で用いられる重合開始剤>
本発明のベタインポリマー粒子(B)を得る際に用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物などをあげることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これら重合開始剤は、エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、0.1〜10質量部の量を用いるのが好ましい。
本発明においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。
また、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩などの還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、全エチレン性不飽和モノマー100質量部に対して、0.05〜5質量部の量を用いるのが好ましい。
本発明の水性導電性分散体は、導電性材料(A)100質量部に対して、ベタインポリマー粒子(B)を0.1質量部以上500質量部以下含むことが好ましく、5質量部以上400質量部以下含むことが好ましい。導電性材料(A)を結着し耐水性、耐擦過性に優れ、生体適合性に優れる電極を形成するという点から、ベタインポリマー粒子(B)は0.1質量部以上であることが好ましい。また、電極膜の導電性の点からベタインポリマー粒子(B)は500質量部以下であることが好ましい。
また、ベタインポリマー粒子(B)は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
なお、ここでいうベタインポリマー粒子(B)の量には便宜上、乳化剤や重合開始剤の量は含めないものとする。
[分散剤(C)]
分散剤(C)は、導電性材料(A)の凝集を緩和する効果が得られれば特に限定されるものではない。分散剤(C)は、後述する水性液状媒体(D)に25℃で溶解するか、もしくは平均粒子径が50nm未満の状態で後述する水性液状媒体(D)に分散するものである。両者をまとめて、以下、「分散剤(C)が水性液状媒体(D)に溶解(分散)」と略し、「分散剤(C)の溶液(分散液)」と略することがある。
分散剤(C)としては、例えば、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリウレア系、フッ素系等の樹脂が挙げられる。
市販の水溶性分散剤としては、例えば、Disperbyk−180、183、184、185、187、190、191、192、193、194、198、199、2010、2012、2015、2090、2091、2095、2096等(ビックケミー社製)、SOLSPERSE20000、27000、40000、41090、44000、46000、47000、64000、65000、66000等(日本ルーブリゾール社製)、フローレンG−700AMP、G−700DMEA、WK−13E、GW−1500、GW−1640等(共栄社化学社製)、Borchi(R)Gen1350、0851、1253、SN95、WNS等(松尾産業社製)、TEGODispers650、651、652、655、660C、715W、740W、750W、752W、755W、760W等(巴工業社製)、ポリビニルピロリドンPVP−K30、K85、K90等(ISPジャパン社製)、エスレックBL−1、BL−2、BL−5、BL−10、BL−1H、BL−2H、BL−S、BM−S、BM−1、BM−2、BM−5、BH−A、BX−1、BX−3、BX−5等(積水化学工業社製)、カルボキシメチルセルロースCMC1105、1110、1130、1140、1170、1190、1205、1210、1240、1250等(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
形成される電極膜のタンパク質等の非特異吸着をより向上するために、生体適合性を有する分散剤(C)を利用することが好ましい。
生体適合性を有する分散剤(C)としては、下記(C1)〜(C4)からなる群より選ばれるものが挙げられる。
(C1):ベタイン構造を有するビニル系ベタインポリマー。
(C2):アミンオキシド基を有するビニル系アミンオキシドポリマー。
(C3):アミンオキシド基を有するウレタン系アミンオキシドポリマー。
(C4):アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックが下記式(IA)、(IB)又は(IC)のいずれかの構造を介して共有結合で結合されているブロックポリマー。
[<ビニル系ベタインポリマー(C1)>]
ビニル系ベタインポリマー(C1)は、下記一般式1〜3で示される少なくともいずれかの構造を含むベタイン構造を側鎖に有するビニル系ポリマーである。



(前記一般式1〜3中、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
10〜R14のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
*はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)
このようなベタインポリマー(C1)は、以下の方法(1)、(2)で得ることが好ましい。
即ち、
(1)下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかのモノマー(c1)〜(c3)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と炭素数1〜22のアルキル基とを有するモノマー(c100)や他のモノマー(c200)と共重合する。得られる共重合体をビニル系ベタインポリマー(C1−1)という。
(2)下記一般式7〜9で示される少なくともいずれかのモノマー(c4)〜(c6)と、1分子中に1つのエチレン性不飽和基および炭素数1〜22のアルキル基を有するモノマー(c100)や他のモノマー(c200)との共重合体中の**で示された窒素の少なくとも一部と、後述するベタイン化剤(E)とを反応させる。得られるビニル系ベタインポリマー(C1−2)は、モノマー(c1)〜(c3)を用いてなる前記ビニル系ベタインポリマー(C1−1)と同様にベタイン構造を側鎖に有する。






(前記一般式4〜9中、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は炭素数1〜4のアルキレン基
Xは酸素原子または−NH−、
Yは−COOまたは−SO
は水素原子またはメチル基、
は水素原子またはメチル基、
は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
21は水素原子またはメチル基を表し、
**はベタイン化剤(E)との反応部位を表す。)
<モノマー(c100)>
ベタインポリマー(C1)を得る際に、モノマー(c1)〜(c3)やモノマー(c4)〜(c6)の他に用いられる「他のモノマー」としては、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有するモノマー(c100)が挙げられる。モノマー(c100)に基づく構成単位の導入により極性等を調整し、導電性材料(A)への吸着と脱着とを制御しやすくし、導電性材料(A)の分散性・保存安定性の向上が期待できる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有するモノマー(c100)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ )アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等や、1−プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和モノマーなどが挙げられる。
モノマー(c100)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
<モノマー(c200)>
ベタインポリマー(C1)を得る際に、モノマー(c1)〜(c3)やモノマー(c4)〜(c6)、(c100)の他にさらにモノマー(c200)を用いることもできる。モノマー(c200)に基づく構成単位を有することで、導電性材料(A)の分散性・保存安定性を制御するための機能を補助し得る。
このモノマー(c200)としては、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基を有するモノマー;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボン酸基、もしくはその無水物、もしくはそれらカルボン酸基や酸無水物をアミン等で中和した基を有するモノマー;
ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基、もしくはそれらスルホン酸基をアミン等で中和した基を有するモノマー;
(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどの1〜3級アミド基を有するモノマー;
(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、およびトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの1〜4級アミン基を有するモノマー;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するモノマー;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和モノマー;
ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物などの側鎖に高分子構造を有する(メタ)アクリレート系モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼン等の芳香族ビニルモノマー;
(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和モノマー;
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和モノマー;
酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリルモノマー;
シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニルモノマー;
アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニルモノマー;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物等の、(メタ)アクリレートではないエチレン性不飽和結合を有するモノマー;
等が挙げられる。
本発明において、モノマー(c200)の有するエチレン性不飽和結合基は、重合性の観点から(メタ)アクリレート基もしくは芳香族ビニル基であることが好ましい。また、導電性材料(A)の分散性・保存安定性の観点から、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族エステル(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香族ビニル単量体、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸基を含有する単量体を使用することが好ましい。カルボン酸基含有モノマーを使用する場合は、重合後に水酸化ナトリウムやアミン類等で中和することが好ましい。
また、生体適合性の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレートが好ましい。
モノマー(c200)は2種類以上を組み合わせて使用しても良い
モノマー(c4)としては、例えば、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブチル−N,N−ジエチルアミン、
などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリルアミドプロピル−N,N−ジエチルアミン、
などのN−(メタ)アクリルアミドアルキル−N,N−ジアルキルアミン;
N−(メタ)アクリロイルオキシメトキシメトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシプロポキシ−N,N−ジメチルアミン、
N−(メタ)アクリロイルオキシブトキシブトキシ−N,N−ジメチルアミン、
などのN−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアネルコキシ−N,N−ジメチルアミンなどが挙げられる。
モノマー(c5)としては、例えば、
1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、
などの1−ビニル−2−アルキル−イミダゾールが挙げられる。
モノマー(c6)としては、例えば、4−ビニル−ピリジン、2−ビニル−ピリジンなどのビニルピリジンが挙げられる。
<ベタイン化剤(E)>
ベタイン化剤群(E)は、環状スルホン酸エステル(E1)、ω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)、環状カルボン酸エステル(E3)およびω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)からなる群より選択される。一般式化7〜9で示される単量体(c4)〜(c6)の**で示される窒素を重合後に、スルホベタイン化もしくはカルボベタイン化するために用いられる化合物群である。
このような環状スルホン酸エステル(E1)としては、例えば、1,2−エタンスルトン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルスルホン酸金属塩(E2)としては、例えば、2-クロロエタンスルホン酸ナトリウム、2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、3-クロロプロパンスルホン酸ナトリウム、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム、4-クロロブタンスルホン酸ナトリウム、4-ブロモブタンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
このような環状カルボン酸エステル(E3)としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンなどが挙げられる。
このようなω‐ハロゲン化アルキルカルボン酸金属塩(E4)としては、例えば、2−クロロ酢酸ナトリウム、2−ブロモ酢酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−ブロモプロピオン酸ナトリウム、4−クロロ酪酸ナトリウム、4−ブロモ酪酸ナトリウム、5−クロロペンタン酸ナトリウム、5−ブロモペンタン酸ナトリウムなどが挙げられる。
[<ビニル系アミンオキシドポリマー(C2)>]
ビニル系アミンオキシドポリマー(C2)は、下記一般式101〜103で表される少なくともいずれかのアミンオキシド基を側鎖に有するものである。中でも一般式101で表される構造を含むものが特に好ましい。
本発明において、アミンオキシド基を有するビニル系ポリマーは、以下のような2つの方法で得ることができる。即ち、アミンオキシド基を有するモノマーと他のモノマーとを重合して、アミンオキシド基を有するポリマーを得ることができる。
あるいは、アミンオキシド基の前駆官能基とでもいうべき3級アミノ基を有するビニル系ポリマーを得た後、前記3級アミノ基に酸化剤を反応させ、ビニル系ポリマーにアミンオキシド基を導入することができ、副反応を生じ難いという点で後者の方法が好ましい。なお、3級アミノ基に酸化剤を反応させることを、以下「オキシド化」ともいう。


(一般式101〜103中、
Xは2価の結合基、または直接結合、
yは0または1、
は炭素数1〜6のアルキレン基、
、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
は水素原子またはメチル基、
〜Rのうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
*はビニル系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
このような構造を有するビニル系アミンオキシドポリマー(C2)は、前述の通り、2つの方法で得ることができる。
即ち、3級アミノ基含有不飽和モノマーをオキシド化した後に、他のモノマーと重合するか、あるいは3級アミノ基含有不飽和モノマーと他のモノマーとを重合した後にオキシド化する方法である。
<3級アミノ基含有不飽和モノマー>
オキシド化前の前駆体としての3級アミノ基含有不飽和モノマーのうち、一般式101の構造を形成するためものとしては、
例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピオン酸ビニル、N,N−ジエチルアミノプロピオン酸ビニル、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアリルアミン、p−ジメチルアミノメチルスチレン、p−ジメチルアミノエチルスチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジメチルビニルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N,N−ジフェニルビニルアミン、或いは、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和基含有酸無水物と、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン等との反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物とN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン等との反応生成物等が挙げられる。
一般式102の構造を形成するためのものとしては、例えば、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、4−メチル−1−ビニルイミダゾール、5−メチル−1−ビニルイミダゾール、2−ラウリル−1−ビニルイミダゾール、4−(t−ブチル)−1−ビニルイミダゾール等が挙げられる。
一般式103の構造を形成するためのものとしては、例えば、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−3−ビニルピリジン、2−メチル−4−ビニルピリジン、3−メチル−4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、4−メチル−5−ビニルピリジン、2−ラウリル−4−ビニルピリジン、2−ラウリル−5−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−4−ビニルピリジン、2−(t−ブチル)−5−ビニルピリジン等が挙げられる。
<炭素数1〜22のアルキル基を有する不飽和モノマー>
ビニル系アミンオキシドポリマー(C2)を得る際に、前記3級アミノ基含有不飽和モノマーの他に、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有する不飽和モノマーを用いることができる。炭素数1〜22のアルキル基の導入により極性等を調整することで、ビニル系アミンオキシドポリマー(C2)の導電性材料(A)への吸着と脱着とを制御しやすくし、導電性材料(A)の分散性・保存安定性の向上が期待できる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有する不飽和モノマーとしては、モノマー(c100)と同様のものを例示できる。このようなモノマーは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
<他の不飽和モノマー>
本発明におけるビニル系アミンオキシドポリマー(C2)は、前記3級アミノ基含有不飽和モノマー、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数1〜22のアルキル基とを有する不飽和モノマーに加えて、エチレン性不飽和基を有するその他のモノマーに基づく構造をさらに有してもよい。
このモノマーとしては、モノマー(c200)と同様のものを例示できる。このようなモノマーは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
重合前のオキシド化、重合後のオキシド化について説明する。
重合前は3級アミノ基含有不飽和モノマーを含む溶液に、重合後は3級アミノ基含有不飽和モノマーを必須とするモノマーを重合したポリマーを含む溶液に、オキシド化剤を加えて20℃〜100℃の範囲で0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間反応させることによって、3級アミノ基をオキシド化することができる。
オキシド化剤としては、過酸化物又はオゾン等の酸化剤が用いられる。
過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、過酢酸、メタクロロ過安息香酸、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等が挙げられ、過酸化水素が好ましく、通常は水溶液の形で用いられる。程度の違いはあるが、過酸化物にはラジカル発生剤としての機能もあるので、3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)を必須の原料とするビニル系ポリマーの場合には、重合後にオキシド化することが好ましい。また、後述するウレタン系ポリマーの場合にも副反応が生じないように、重合後にオキシド化することが好ましい。
一般的にはオキシド化剤の使用量は、オキシド化可能な官能基、即ち、3級アミノ基に対して、0.2〜3倍モル当量の割合で使用し、更に0.5〜2倍モル当量使用するのがより好ましい。
得られたポリマー溶液は、残存した過酸化物を公知の方法で処理した後、使用することもできる。具体的には還元剤添加処理、イオン交換処理、活性炭処理、金属触媒による処理等があげられる。
得られたビニル系アミンオキシドポリマー(C2)の溶液はそのまま使用することもできるが、必要に応じて再沈殿、溶媒留去等の公知の方法でアミンオキシド基含有ビニル系ポリマーを単離して使用することも出来る。また、単離したアミンオキシド基含有ポリマーは、必要ならば再沈殿や、溶剤洗浄、膜分離、吸着処理等によってさらに精製できる。
本発明におけるビニル系アミンオキシドポリマー(C2)としては、前述の如く、3級アミノ基含有不飽和モノマーをオキシド化した後に他のモノマーと重合したもの、及び、3級アミノ基含有不飽和モノマーを必須とするモノマーを重合し、ポリマーを得た後にオキシド化したものの外、モノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和化合物や2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有不飽和化合物と、ヒドロキシエチル−N,N−ジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド基含有化合物との反応生成物を用いて共重合したものも用いることができる。
[<ウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)>]
本発明におけるウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)は、具体的には、下記一般式104〜106で表される構造を含むものである。



(一般式104〜106中、
10、R12、R15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
11、R13、R14、R16、R17はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
YはOまたはNを表し、
**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)
また、本発明におけるウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入源となるモノマーとを必須成分とし、必要に応じて用いられるポリアミン成分や単官能の水酸基成分や単官能のアミン成分との反応生成物である。
本発明において、前記構造を含むウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)は、前記構造を形成するための前駆体としての3級アミノ基含有モノマーをオキシド化した後に重合するか、又は、前記構造を形成するための前駆体としての3級アミノ基含有モノマーを重合して3級アミノ基を有するポリマーを得た後、前記ポリマーをオキシド化するか等の、いずれの方法によって得られたものであってもよい。
<3級アミノ基含有モノマー>
ここで、オキシド化前の前駆体としての3級アミノ基含有モノマーとしては、炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオールが挙げられる。例えば、N−アルキルジアルカノールアミン、N,N−ジアルキルモノアルカノールアミンが挙げられる。
N−アルキルジアルカノールアミンとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミンが挙げられる。
N,N−ジアルキルモノアルカノールアミンとしては、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンが挙げられる。
その他、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンジルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシルアミン、ジエタノール−p−トルイジン、ジイソプロパノール−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−クロロアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−ピリジンカルボアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−α−アミノピリジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、3−ジエチルアミノプロパン−1,2−ジオール、3−ジメチルアミノプロパン−1,2−ジオール等が、3級アミノ基含有モノマーとして挙げられる。
<ポリオール成分>
ポリオール成分は特に限定されるものではないが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等のグリコール類や、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオールまたはポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物等が挙げられる。
<ポリイソシアネート成分>
ポリイソシアネート成分としては特に限定されるものではないが、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネートにトリメチロールプロパンのような3官能のアルコールを付加してなるいわゆるアダクト体、上記ポリイソシアネートと水とが反応したビュウレット体、上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート環を形成してなる三量体等も併用することができる。前述の多価アルコールポリエーテル付加物とジイソシアネートとの反応物もポリイソシアネート成分として使用することができる。
<ポリアミン成分>
ウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)を得る際には、必要に応じてポリアミン成分を用いることが出来る。ポリアミン成分としては、例えば、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミンを挙げることができる。イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
<単官能の水酸基成分>
ウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)を得る際に末端停止剤の1つとして用いられる単官能の水酸基成分としては特に限定はなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができる。
<単官能のアミン成分>
単官能の水酸基成分と同様に末端停止剤の1つとして用いられる単官能のアミン成分としては特に限定はなく、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
これら単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を末端封止剤として用いることで、ウレタン系ポリマーの経時安定性を向上させることが出来る。
本発明においてウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)の調製は、必須成分であるポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入原となるモノマーとを、必要に応じて用いられるポリアミン成分や単官能の水酸基成分や単官能のアミン成分の全ての成分を同時に反応させてもよいし(ワンショット法)、逐次的に反応させてもよい。所望のウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)を主たる生成物として確実に生成させるために、少なくともこれらの成分のいずれかを逐次的に反応させる逐次反応が好ましい。逐次反応によってウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)を調製する場合、例えば、次の方法を適用することが出来る。
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入原となるモノマーとをポリイソシアネート成分過剰の条件下に反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程、次いで上記ウレタンプレポリマーとポリアミン成分とを反応させて、末端がイソシアネート基であるポリウレタンポリウレアを得る工程、最後に、残るイソシアネート基と単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を反応させる工程を含む方法。
なお、逐次反応の進め方は、先に例示した方法に限定されるものではない。
本発明のウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)は、原料を無溶剤下で反応させて製造しても、有機溶剤中で反応させて製造しても良い。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物などの各種溶剤を使用することができる。
また、ウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)の合成時には、必要に応じて触媒を添加することができ、たとえばジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入原となるモノマーとを、有機溶剤中で触媒の存在下に120℃以下で反応させて得ることが好ましく、70〜110℃で1〜20時間反応させることがより好ましい。110℃よりも高温にすると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得にくくなる。
イソシアネート基とポリアミン成分との反応は、有機溶剤中で60℃以下で行うことが好ましい。それより高温だと反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタン系ポリマーが得にくくなる。
<アミンオキシド基含有量>
親水性に富むアミンオキシド基の導入により、ビニル系アミンオキシドポリマー(C2)またはウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)を水溶性にしたり、微細な水性分散体とすることができ、アミンオキシド基が少ない場合には、親水性に富む他の官能基や他の構造を導入することによりビニル系ポリマー(C2)またはウレタン系ポリマー(C3)を水溶性とすることもできる。親水性に富む他の官能基や他の構造としては、ポリエチレンオキサイド鎖やカルボキシル基をアミン等で中和した構造などが挙げられる。
本発明におけるポリマー(A)のアミンオキシド基含有量は、0.25〜5.7mmol/gであることが好ましく、0.3〜5.3mmol/gであることがより好ましい。0.25mmol/g以上であることにより、生体適合性が向上し、出来、5.7mmol/g以下であることにより、保存安定性を向上できる。
アミンオキシド基を有するモノマーを重合してポリマー(A)を得る場合、ポリマー(A)中のアミンオキシド基含有量は、重合に用いたアミンオキシド基を有するモノマーの量から求めることができる。一方、3級アミノ基含有モノマーを必須とするモノマーを重合した後、得られたポリマーをオキシド化する場合は、下記[数1]によって算出できる。
[<ブロックポリマー(C4)>]
本発明におけるブロックポリマー(C4)は、アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックが下記式(IA)、(IB)又は(IC)のいずれかの構造を介して共有結合で結合されているものである。中でも式(IA)の構造を介して共有結合で結合されているものが好ましい。

<ブロックポリマー(C4−1)>
上記の式(IA)で示される結合構造を有するブロックポリマー(C4−1)の合成方法の一例を挙げる。
例えば、ラジカル重合開始剤として4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(例えば、和光純薬工業株式会社の市販品「V−501」等)を用いてアクリル系ポリマーを合成すると、末端にカルボキシル基を有するアクリル樹脂が得られる。これに、ポリエチレンオキサイドブロックを構成する原料としてポリエチレングリコールを加え、エステル化反応をさせることで、アクリル系ポリマーブロックと、ポリエチレンオキサイドブロックとが上記式(IA)で結合してなるブロックポリマーを得ることができる。
あるいは、上記の式(IA)で示される結合構造を有するブロックポリマーは、アクリル系ポリマーを合成する際のラジカル重合開始剤として、下記式(II)で示される、ポリエチレンオキサイドブロックとアゾ基を含む構造単位を有する高分子アゾ重合開始剤を用いて好ましく合成することができる。式中、m及びnは、それぞれ独立に1以上の整数である。高分子アゾ重合開始剤は、高分子セグメントとアゾ基(−N=N−)が繰り返し結合した構造を有しており、本実施形態では、高分子セグメントとしてポリエチレンオキサイドブロックを含む高分子アゾ開始剤を用いることで、容易にブロックポリマー(C4)を合成できる。
高分子アゾ重合開始剤を用いる場合、該開始剤中に含まれるアゾ基のモル数に対する、アクリル系モノマーの全モル数の比率を適宜変更することによって、ブロックポリマーの質量平均分子量の調整ができる。
高分子アゾ重合開始剤の質量平均分子量は、5,000〜10万程度であることが好ましく、1万〜5万程度であることがより好ましい。また、該開始剤のポリエチレンオキサイドブロックの分子量は、800〜1万程度であることが好ましく、1,000〜8,000程度であることがより好ましい。
また、好ましくはmは15〜200、より好ましくはmは20〜100であり、好ましくはnは3〜50、より好ましくはnは4〜30である。
前記高分子アゾ重合開始剤は、ポリエチレンオキサイドブロックを有しているため、水、アルコール、及び有機溶剤に可溶であり、溶液重合、乳化重合、又は分散重合によりブロックポリマーの合成が可能である。また、分子鎖骨格中に重合開始部分(ラジカル発生部分:―N=N−)を有しているため、別途重合開始剤を使用する必要がなく、さらには末端反応性マクロモノマーに比べてラジカルの反応性、及び安定性が高いという特徴を有している。
前記高分子アゾ重合開始剤は、・C(CH3)CN−(CH22−COO−(CH2CH2O)m−CO−(CH22−C(CH3)CN・にて示されるようなラジカルを生じ、後述するアクリル系モノマーを重合させる。そして、アクリル系モノマーから形成されるアクリル系ポリマーブロックと前記ラジカル由来の部分とが結合した主鎖を形成し、ブロックポリマーを形成する。ポリエチレンオキサイドブロックは、ラジカルの一部に由来する。
高分子アゾ重合開始剤の具体例としては、和光純薬製の高分子アゾ開始剤VPE0201(上記式(II)の(CH2CH2O)の部分の分子量が約2000、nが6程度)などが例示される。
高分子アゾ重合開始剤の他に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ開始剤や、過酸化ベンゾイルのような有機過酸化物開始剤を併用することができる。これらの開始剤を併用することにより、開始効率を高め、効率よくアクリル系ポリマーブロックにPEGに組み込むことができ、残留モノマーを減らすことができる。
ブロックポリマー(C4)の合成時には、用途に応じてラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、リモネン等の連鎖移動剤を使用して、分子量や末端構造を制御しても良い。
<ブロックポリマー(C4−2)>
次に、アクリル系ポリマーブロックと、ポリエチレンオキサイドブロックとが上記式(IB)の構造を介して結合してなるブロックポリマー(C4−2)の合成方法について説明する。
例えば、アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックとが、上記式(IB)の構造を介して結合してなるブロックポリマー(C4)は、アクリル系モノマーを、ヒドロキシ基を有するアゾ重合開始剤を用いて重合し、末端にヒドロキシ基を有するアクリル系ポリマーブロックを得る工程、及び前記アクリル系ポリマーブロックおよびポリエチレングリコールと、2官能のイソシアネート化合物とをウレタン化反応させる工程を含む方法により製造することができる。
例えば、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド](例えば、和光純薬工業株式会社の市販品「VA−086」等)を用いてアクリル系ポリマーを合成すると、末端にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂が得られる。これに、ポリエチレンオキサイドブロックを構成する原料としてポリエチレングリコールを加え、2官能イソシアネート化合物を用いてウレタン化反応させることで、アクリル系ポリマーブロックと、ポリエチレンオキサイドブロックとが結合してなるブロックポリマー(C4)を得ることができる。
ウレタン化反応の際用いられる2官能イソシアネート化合物としては、例えば、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
<ブロックポリマー(C4−3)>
さらに、アクリル系ポリマーブロックと、ポリエチレンオキサイドブロックとが上記式(IC)の構造を介して結合してなるブロックポリマー(C4−3)の合成方法について説明する。
例えば、アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックとが、上記式(IC)の構造により結合してなるブロックポリマーは、アクリル系モノマーを、カルボキシル基を有するアゾ重合開始剤を用いて重合し、カルボキシル基を有するアクリル系ポリマーブロックを得る工程、及び前記アクリル系ポリマーブロックにポリエチレングリコールをエステル化反応させる工程を含む方法により製造することができる。
例えば、ラジカル重合開始剤として2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]4水和物(例えば、和光純薬工業株式会社の市販品「VA−057」等)を用いてアクリル系ポリマーを合成すると、末端にカルボキシル基を有するアクリル樹脂が得られる。これに、ポリエチレンオキサイドブロックを構成する原料としてポリエチレングリコールを加え、エステル化反応をさせることで、アクリル系ポリマーブロックと、ポリエチレンオキサイドブロックとが結合してなるブロックポリマー(C4)を得ることができる。
なお、式(IB)〜(IC)のいずれかの構造を介して結合してなるブロックポリマー(C4−2)、(C4−3)を得る際に、上記のような高分子ではないアゾ重合開始剤を用いる場合も、高分子アゾ重合開始剤を用いる際に併用し得るものとして記載した「他の開始剤」も適宜併用することができる。また、連鎖移動剤も適宜使用できる。
<アクリル系ポリマーブロック>
本発明においてアクリル系ポリマーブロックとは、アクリロイル基およびまたはメタクリロイル基を少なくとも一つ有する(メタ)アクリル系モノマーを全モノマーの内10%以上含むブロック構造部分を指す。アクリル系ポリマーブロックは、水/1−オクタノール分配係数(LogP)の平均値が0以上2以下であるモノマーから構成されることで、得られるポリマーのタンパク質などとの過度な相互作用を抑えることができ、高感度な分析を行うことができる。
LogPは、化学物質の性質を表す数値の一つであり、添加量に依存しない一定の値である。対象とする物質が、水と1−オクタノールの混合液において、水相とオクタノール相が接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度をその常用対数で示したものである。LogPが大きくなると、比較的に疎水性が増大する傾向があり、LogPが小さくなると、比較的に親水性が増大する傾向がある。
LogPの測定は、一般にJIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、LogPは実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。LogPの計算に用いる方法やソフトウェアについては公知のものを用いることができるが、本発明ではCambridgeSoft社のシステム:ChemdrawPro11.0に組み込まれたプログラムを用い、LogPを求めている。
水/1−オクタノール分配係数(LogP)が0以上2以下であるモノマーとしては、特に限定はされないが、
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキルエステル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリルメトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシメチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;
(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、ブタジエン、イソプレンなどのビニル基含有モノマー;
N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、1−ビニルイミダゾール、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、
あるいはエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの繰り返し付加した末端にカルボキシル基を有するアルキレンオキサイド付加系コハク酸(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有モノマーなどが挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの化合物のうち、特にn−ブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレートが経済性や操作性の点から好ましい。また、ブロックポリマー(C4)に架橋基を導入するためにアクリル酸を組み合わせることも好ましい。このような架橋基を後に示す架橋剤と反応させることで、ポリエチレンオキサイドの運動性が保持され、タンパク非吸着性能が保管条件によって変化し難くなる。
本発明では、使用するアクリル系モノマーのLogPが0〜2の範囲であれば、ホモポリマー部分の原料として使用することができる。また、使用する(メタ)アクリル系モノマーのLogPが0〜2の範囲外であっても、その他の(メタ)アクリル系モノマーを含めたLogPの質量平均値が0〜2の範囲であれば、コポリマー部分の原料として使用することができる。
LogPが0〜2の範囲外のモノマーの中で、例えば、アルキル基の炭素数が5〜20のアクリレート、アルキル基の炭素数が4〜20のメタクリレート、スチレンなどのビニル基含有モノマー、マレイン酸等のカルボキシル基含有モノマー、4−ヒドロキシスチレン、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有モノマー、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの側鎖にポリエチレンオキサイド部分を持つモノマーなどが挙げられる。
ブロックポリマー(C4)を構成する親水性に富むポリエチレンオキサイドブロックと疎水性に富むアクリル系ポリマーブロックのバランスにより、体液中の測定対象成分の吸着を効果的に制御し得る。ブロックポリマー(C4)は、PEG部分に対し、アクリル系ポリマーブロックを多く含むものであることが好ましく、ポリエチレンオキサイドブロックの質量/[アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックとの合計の質量]は、0.01〜0.3であり、0.1〜0.25であることが好ましい。即ち、1〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
PEG部分の質量/[ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックとの合計の質量]は、合成に使用したモノマーの質量から計算することができる。
また、PEG部分を有する高分子アゾ重合開始剤を用いた場合は、PEG部分の質量を計算する際、厳密には、アゾ重合開始剤中のPEGの重量のみを計算して求めるべきであるが、本発明においては、PEG部分を有する高分子アゾ重合開始剤の重量をそのまま適用することにする。また、アクリル系ポリマーブロックの質量は、重合に供したアクリル系モノマーの合計量である。
すなわち、アクリル系モノマー90重量部、PEG部分を有する高分子アゾ重合開始剤10重量部を用いて合成した場合、PEG部分の質量/[アクリル系ポリマー部分とPEG部分との合計の質量]は0.1となる。
分散剤(C)の質量平均分子量は、1000〜10000000であることが好ましい。分子量が1000以上であることにより、導電性材料(A)の分散性・保存安定性を向上できる。また10000000以下であることにより、樹脂の後述する水性液状媒体(D)への溶解性が向上し、また得られる水性導電性分散液が粘度を制御しやすくなることから、塗工適性が向上する。
分散剤(C)の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用する。測定装置および測定条件としては、下記条件1によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2とすることを許容する。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア(溶離液)およびそれに適合したカラムを選定して用いてもよい。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008を参照することとする。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定することとする。
また、分散剤(C)そのものの分子量測定が困難な場合は、前駆体ポリマーの質量平均分子量を分散剤(C)の質量平均分子量とすることが出来る。前駆体ポリマーの質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用し、測定装置および測定条件としては、下記条件3によることを基本とする。
(条件1)
カラム:TOSOHTSKgelSuperHZM−H、
TOSOHTSKgelSuperHZ4000 、
TOSOHTSKgelSuperHZ2000
をつないだカラムを用いる
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本つなげる
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1ml
(条件3)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAW4000、
TOSOHTSKgelSuperAW3000 、
TOSOHTSKgelSuperAW2500
をつないだカラムを用いる
キャリア:N,N−ジメチルホルムアミド(1L)、トリエチルアミン(3.04g)、LiBr(0.87g)の混合液
測定温度:40℃
キャリア流量:0.6ml/min
<水酸基価の測定方法>
JISK−1557記載の方法により求めることができる。
分散剤(C)は、導電性材料(A)100質量部に対して、質量比で0.1質量部以上500質量部以下、より好ましくは1質量部以上400質量部以下であることが好ましい。導電性材料(A)の分散性、保存安定性、および生体適合性の点から、分散剤(C)は0.1質量部以上であることが好ましい。また、導電性向上の点から分散剤(C)は500質量部以下であることが好ましい。
<水性液状媒体(D)>
本発明に使用する水性液状媒体としては水を使用することが好ましいが、水と相溶する少量の液状媒体も本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて使用することができる。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で、かつ本発明の目的を損なわない範囲で使用しても良い。
[水性導電性分散体]
本発明の水性導電性分散体は、導電性材料(A)と、ベタインポリマー粒子(B)と、分散剤(C)と、水性液状媒体(D)とを含む。
本発明の水性導電性分散体は、例えば下記工程(1)〜(4)を経て、あるいは工程(1)、(5)を経て得ることができる。
即ち、
工程(1):一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)を必須成分とするモノマーを水性液状媒体(D)中で重合し、平均粒子径が50nm以上のベタインポリマー粒子(B)の水性分散体を得る工程。
工程(2):前述の分散剤(C)を水性液状媒体(D)に溶解し、分散剤(C)の溶液を得るか、分散剤(C)を水性液状媒体(D)に分散し、平均粒子径が50nm未満の分散剤(C)の分散液を得る工程。
工程(3):分散剤(C)の前記溶液もしくは分散剤(C)の前記分散液に導電性材料(A)を分散し、導電性材料(A)の分散体を得る工程。
工程(4):導電性材料(A)の前記分散体と、ベタインポリマー粒子(B)の前記水性分散体とを混合する工程。
あるいは、
工程(5):工程(1)で得たベタインポリマー粒子(B)の水性分散体に、導電性材料(A)と分散剤(C)とを加え、導電性材料(A)を分散する工程。
工程(3)または工程(5)において、導電性材料(A)を分散する際には、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントシェーカー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
また本発明の水性導電性分散体は、さらに酸化還元酵素や電子受容体を含んでいても良い。
<酸化還元酵素>
酸化還元酵素は、検出しようとする成分によって適宜選択される。
例えば、
検出対象成分がアルコールである場合には、酵素としてアルコールオキシダーゼやアルコールデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がグルコースである場合には、酵素としてβ−D−グルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がコレステロールである場合には、酵素としてコレステロールオキシダーゼやコレステロールデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がホスファチジルコリンである場合には、酵素としてホスホリパーゼ及びコリンオキシダーゼを用い、
検出対象成分が尿素である場合には、酵素としてウレアーゼを用い、
検出対象成分が尿酸である場合には、酵素としてウリカーゼを用い、
検出対象成分が乳酸である場合には、酵素として乳酸デヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分が蓚酸である場合には、酵素として蓚酸デカルボキシラーゼを用い、
検出対象成分がピルビン酸である場合には、酵素としてピルビン酸オキシダーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がアスコルビン酸である場合には、酵素としてアスコルビン酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分が乳酸である場合には、酵素として乳酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分がキサンチンである場合には、酵素としてキサンチンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がフルクトースである場合には、酵素としてフルクトースデヒドロゲナーゼを用い、
検出対象成分がクレアチンである場合には、酵素としてクレアチンホスホキナーゼ、クレアチンキナーゼを用い、
検出対象成分がグリセロールである場合には、酵素としてグリセロールオキシダーゼを用い、
検出対象成分がアシル-コエンザイムAである場合には、酵素としてアシル-コエンザイムAオキシダーゼを用い、
検出対象成分がチラミンである場合には、酵素としてチラミンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がアミノ酸である場合には、酵素としてアミノ酸オキシダーゼを用い、
検出対象成分がグリコレートである場合には、酵素としてグリコレートオキシダーゼを用い、
検出対象成分がビリルビンである場合には、酵素としてビリルビンオキシダーゼを用い、
検出対象成分がガラクトースである場合には、酵素としてガラクトースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がピリドキサールである場合には、酵素としてピリドキサール−4−オキシダーゼを用い、
検出対象成分がソルボースである場合には、酵素としてソルボースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がグロノラクトースである場合には、酵素としてグロノラクトースオキシダーゼを用い、
検出対象成分がトリメチルアミンである場合には、酵素としてフラビン含有モノオキシダーゼを用いる。
<電子受容体>
電子受容体は、酵素等の生体触媒の反応に応じて酸化又は還元される低分子の酸化還元物質であり、生体触媒とカーボン基材間の電子移動を媒介する。したがって、電子受容体は、酵素等の生体触媒と電子を授受することができるとともに、カーボン基材とも電子を授受することができる物質である限り何れも使用することができる。
本発明で用いられる電子受容体の具体例としては、一重結合と二重結合が交互に並んだπ共役系化合物であることが好ましい。例えば、特に限定されるものではないが、5-メチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンメトスルファート:PMS)、5-エチルフェナジニウムメチルスルファート(フェナジンエトスルファート:PES)等、のフェナジン系化合物、フェノチアジン系化合物、フェリシアン化カリウム等のフェリシアン化物、フェロセンやジメチルフェロセン、フェロセンカルボン酸等のフェロセン系化合物、ナフトキノン、アントラキノン、ハイロドキノン、ピロロキノリンキノン等のキノン系化合物、シトクロム系化合物、ベンジルビオロゲンやメチルビオロゲン等のビオロゲン系化合物、ジクロロフェノールインドフェノール等のインドフェノール系化合物等が挙げられる。
<バイオセンサ>
本発明のバイオセンサは、ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液と直接接触するため電極とを有し、前記電極が前述の水性導電性分散体から形成されたものである。
図1は本発明のバイオセンサの断面模式図は、本発明の実施形態の一例である。
符号1はポリエステルやPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂で作られた絶縁性のベース基板であり、この上に下地リード電極2が形成されている。リード電極2上には、本発明の水性導電性分散体を用いて形成した電極3、4が設けられ、この一方の電極3は作用極として用いられ、他方の電極4は対極となる。作用極3上には電子受容体、酵素を含む反応層5が設けられている。符号6は、電極3,4間を絶縁する絶縁層である。血液等試料の流路8を形成するためにカバー基板7が設けられている。例えば流路8に血液試料を導入することにより、血液中の被検物質の濃度を電気化学的に分析する。
<電極の作製方法>
電極3、4は、ベース基板1および下地リード電極2上に、本発明の水性導電性分散液を塗工し、水性液状媒体(D)を除去することにより、作製できる。
前記分散液を塗工する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷等の一般的な方法を適用できる。
本発明のバイオセンサは、電極それ自体が生体適合性を発現するため、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも、タンパク質や細胞の吸着抑制、血小板の粘着や活性化を十分に抑制できる。すなわち、より効率的に生体適合性のある電極を作製でき、測定対象の濃度の測定を高感度かつ長期間安定して可能にする。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。
<ベタインポリマー粒子(B)の水性分散体の調製>
[製造例1]
拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製):0.1部とを仕込み、別途、モノマー(b1)としてN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン:10部、モノマー(b100)としてブチルアクリレート:39部、2−エチルヘキシルアクリレート:39部、メチルメタクリレート:10部、モノマー(b200)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート:1部、アクリル酸:1部、イオン交換水53部および乳化剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)0.9部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。
内温を70℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。イオン交換水で固形分を40%に調整して、製造例1のベタインポリマー粒子の水性分散体(B−1)を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
[製造例2〜11]、[比較製造例1〜3]
表1に示す配合組成で、製造例1と同様の方法で、製造例2〜11、比較製造例1〜3の水性分散体を合成した。

表中の記号は以下の通り。
DMBS:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン
DMMC:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−カルボベタイン
VSPI:1−ビニル−3−(3−スルホプロピル)イミダゾリウム内部塩
VSPP:2−ビニル−1−(3−スルホプロピル)ピリジニウム内部塩
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
St:スチレン
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
AAm:アクリルアミド
AA:アクリル酸
TMSPMA:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
<分散剤(C1)の調整>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール107.7部を仕込み、窒素ガスで置換した後、75℃に加熱し攪拌した。次に2,2’−アゾビス(2,4−ジエチルバレロニトリル)を0.5部、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインを90.0部、ブチルアクリレートを10.0部、メタノール74.8部、メチルエチルケトン1.2部、水1.1部からなる溶液を作製し、滴下ロートより2時間かけて滴下し重合反応を行った。滴下終了後、さらに75℃で3時間反応させ、固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して反応を停止した。
その後、ダイヤフラムポンプでイソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、水を除去し、ベタイン構造を有するビニル系ベタインポリマー(C1)を得た。その後、再び水を加えビニル系ベタインポリマー(C1)の水溶液を得た。前記ビニル系ベタインポリマー(C1)の質量平均分子量は40000であった。
<分散剤(C2)の調整>
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、酢酸エチル100部を仕込み、内温を75℃に昇温し十分に窒素置換した。別途用意しておいた、2,2’−アゾジイソブチロニトリルを1.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートを40部、ブチルメタアクリレートを60部混合したものを、内温を75℃に保ちながら3時間滴下を続け、さらに2時間撹拌を続けた。固形分測定によって転化率が98%超えたことを確認後、冷却して3級アミノ基を有するポリマーの溶液を得た。
次に、得られた3級アミノ基を有するポリマーの溶液に、オキシド化剤として35%過酸化水素水を24.7部(用いたN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートと等モル量)加え、70℃で16時間反応させることでアミノ基のオキシド化を行った。アミンオキシド変換率が98%を超えたことを確認後、冷却して取り出し、その後、ダイヤフラムポンプで溶媒を完全に揮発させた後、水を加え、ビニル系アミンオキシドポリマー(B2)の水溶液を得た。なお上記、アミンオキシド変換率は特開平10−182589に開示される方法に従い判断した。
得られたポリマーのアミンオキシド基含有量は、加えたN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート量と上述の[数1]から2.44mmol/gであった。
また得られたビニル系アミンオキシドポリマー(C2)の質量平均分子量は25000であった。
<分散剤(C4)の調整>
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器、滴下管を備えた反応容器に、窒素気流下、有機溶媒としてメチルエチルケトン(以下、MEKと略す)150質量部を仕込み、撹拌下80℃で30分加熱した。滴下管にモノマーとしてメトキシエチルアクリレートを80質量部、2‐エチルヘキシルアクリレートを20質量部、重合開始剤としてVPE0201(和光純薬工業社製:マクロアゾ開始剤)を25質量部、溶媒としてMEKを10質量部仕込み、2時間かけて滴下した。滴下終了後6時間熟成した。その後、室温に冷却し反応を停止した。その後、ダイヤフラムポンプでMEKを除去した後、水を加え、ブロックポリマー(C4)の水溶液を得た。得られたブロックポリマー(C4)のMwは57400であった。
<水性導電性分散体の調整>
[実施例1]
下記の組成の混合物をディスパーで分散し、水性導電性分散体(S−1)を得た。
ケッチェンブラック(KB)EC−300J(ライオン社製) 2.5部
黒鉛 SGO−10(SECカーボン社製) 7.5部
製造例1のベタインポリマー粒子(B−1)の水分散体(固形分40%) 2.0部
PVP―K−30(ナカライテスク社製) 3.0部
純水 85.5部
[実施例2〜16]、[比較例1〜5]
導電性材料(A)、ベタインポリマー粒子(B)、分散剤(C)とその他成分の種類を表2に記載したように変更する以外は、水性導電性分散体(S−1)と同様にして、水性導電性分散体(S−2)〜(S−16)と比較用水性導電性分散体(SH−1)〜(SH−5)を得た。
導電性材料(A)
EC−300J:KB(ライオン社製)
SGO−10:黒鉛(SECカーボン社製)

分散剤(C)
PVP−K−30:ポリビニルピロリドン(ナカライテスク社製)
<バイオセンサ用電極膜の作製>
実施例1〜16の水性導電性分散液(S−1)〜(S−16)と、比較例1〜5の水性導電性分散液(SH−1)〜(SH−5)を、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材上に乾燥後の炭素材料の目付け量が2mg/cmとなるように塗布し、大気雰囲気中25℃、24時間乾燥し、バイオセンサ用電極膜をそれぞれ作製した。
<塗工性評価>
作製したバイオセンサ用電極膜の塗工性評価を、下記に示す方法によって評価した。バイオセンサ用電極膜を、ビデオマイクロスコープVHX−900(キーエンス社製)にて500倍で観察し、塗工ムラ(ムラ:カソード層の濃淡により評価)およびピンホール(カソード層が塗布されていない欠陥の有無により評価)について、下記の基準で判定した。
(ムラ)
○:電極の濃淡が確認されない(良好)。
△:電極の濃淡が1〜3箇所あるが極めて微小領域である(実用上問題なし)。
×:電極の濃淡が4箇所以上確認される、または濃淡の縞の長さが5mm以上のもの1個以上(不良)。
(ピンホ−ル)
○:ピンホールが1つも確認されない(良好)。
△:ピンホールが1〜3個あるが極めて微小である(実用上問題なし)。
×:ピンホールが4箇所以上確認される、または直径1mm以上のピンホールが1個以上(極めて不良)。
<血小板粘着性評価>
上記バイオセンサ用電極膜を15mmφに打ち抜き、24ウェルプレートにシリコーンリングで固定し、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSという。)を各ウェルにそれぞれ1ml添加して、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、ヒト血小板多血漿を各ウェルにそれぞれ0.7ml加えて37℃で2時間培養する。
培養後、各ウェルから電極膜片を取り出し、PBSで3回リンスし、2.5%グルタルアルデヒド溶液にて1時間固定化を行う。固定化後、電極膜片をエタノール水溶液で脱水して、凍結乾燥後、金蒸着をする。これを走査型顕微鏡で観察し、血小板の粘着性を評価した。ここでは、下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:バイオセンサ用電極膜24枚のすべてに血小板の粘着が全くみられない。
〇:バイオセンサ用電極膜24枚のうち一部に血小板の粘着がみられる。
△:バイオセンサ用電極膜24枚のうち多くに血小板の粘着が多くみられるが、フィブリンネットの形成は確認できない。
×:バイオセンサ用電極膜24枚のうち多くに血小板の粘着とともにフィブリンネットの形成も確認できる。
<抗血栓性評価>
上記血小板粘着性評価の場合と同様にして、24ウェルプレート内にてバイオセンサ用電極膜にPBSを添加し、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、下記カルシウム再添加血を各ウェルに0.7mlずつ分注し、1時間培養する。
培養後、各ウェルから電極膜片を取り出し、PBSでリンスして、目視にて血栓塊の剥がれやすさを確認することで、全血接触の評価を行った。ここでは、下記の3段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:バイオセンサ用電極膜24枚のすべてに血栓塊の付着が全くみられない。
〇:バイオセンサ用電極膜24枚のうち一部に少量の血栓塊の付着がみられる。
×:バイオセンサ用電極膜24枚のうち多くに多量の血栓塊の付着がみられる。

カルシウム再添加血:ヒト鮮血クエン酸血10mlに対して、塩化カルシウム水溶液(1mol/l)を178μl実験直前に添加したもの。
<タンパク質吸着性評価>
上記バイオセンサ用電極膜を15mmφに打ち抜き、24ウェルプレートの任意の3つのウエルにシリコーンリングでそれぞれ固定し、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSという。)を各ウェルにそれぞれ1ml添加して、一晩表面を平衡化する。平衡化後、各ウェル内のPBSを吸引除去し、タンパク質として、PBS(リン酸緩衝液)で10000倍に希釈したHRP−IgG(Horseradishperoxidase-ImmunoglobulinG)溶液1mlを、上記試験片上に加え、試験片を浸漬した。室温で1時間インキュベートした後、上記試料片を取り出し別の空ウェルに移し、PBS−T(0.1%Tween20)を用いて4回洗浄した。
洗浄後、上記試料片の入ったウェル内に染色液としてTMBZ(3,3',5,5'-Tetramethylbenzidine)溶液を各々1ml分注し、室温で10分間インキュベートした。次いで、StopSolution(タカラバイオ製WashandStopSolutionforELISAwithoutSulfuric Acid)1mlを各ウェルに分注後、試験片を取り除き、各ウェルの吸光度を測定した。測定機器は、MITHRAS2LD943-M2Mマイクロプレートリーダーを使用し、450nm(副波長650nm)の吸光度を測定し、平均値を求めた。
別途、対照として、PETフィルムを用いて同様の処理および測定を行い、その吸光度の平均値を基準とした。下記の4段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:0.2≧サンプルの吸光度/PETフィルムの吸光度
○:0.5≧サンプルの吸光度/PETフィルムの吸光度>0.2
△:1≧サンプルの吸光度/PETフィルムの吸光度>0.5
×:サンプルの吸光度/PETフィルムの吸光度>1
以上の基準に従い、バイオセンサ用電極の塗工性評価、タンパク質吸着性評価の結果を表3に示す。

表3の結果を見て分かる通り、実施例1〜16の水性導電性分散液からなる電極は、電極表面にムラやピンホールがなく、平滑性の高い均一な電極膜が形成され、かつ血小板、血栓、タンパク質吸着性も低いことが示された。これに対し、比較例1〜5の水性導電性分散液からなる電極は、均一な電極膜が形成されないものがあり、血小板、血栓、タンパク質吸着性の吸着量も多かった。
<グルコースセンサとしての出力特性>
[グルコース分析用生体センサの作製1]
ポリエステル樹脂基板1上にスクリーン印刷技術により下地リード電極2を印刷後、加熱乾燥した。リード電極2上に、実施例1の水性導電性分散液(S−1)を純水で10倍に希釈したものを7.0μL滴下し、大気雰囲気中80℃、10分間乾燥することにより作用極3、対極4を作製した。予め作用極3、対極4の位置に直径400μmの開口部をリソグラフィーにより設けておいた絶縁膜6を、基板1上に重ね、加熱圧着した。
ここに、フェロセン2部、イソプロピルアルコール98部からなる混合液0.05μLを作用極3上の開口部内に均一に滴下、乾燥し、この上にグルコースオキシダーゼ(GOD:1500unit/mLinPBS)溶液を滴下し、これを乾燥させて、グルコース分析用生体センサを作製した。
同様の方法で、実施例1の水性導電性分散液(S−1)を実施例2〜16では水性導電性分散液(S−2)〜(S−16)、比較例1〜5では水性導電性分散液(SH−1)〜(SH−5)にそれぞれ変更して作用極3、対極4を作製し、それぞれグルコース分析用生体センサを作製した。
[試料液1の作製]
リン酸緩衝液(PBS)に、グルコースを溶解し、グルコース濃度が50、100、200、250、300mg/dlとなるように溶液を調整した。合わせて、グルコース濃度が0mg/dlの溶液も準備した。
[試料液2(タンパク質含有)の作製]
リン酸緩衝液(PBS)にアルブミン(4.5g/dl)とγ−グロブリン(1.6g/dl)を溶かし、タンパク質溶液を作製した。その溶液20mlに1.25g/dlのグルコース溶液を5ml添加し、グルコース濃度が250mg/dlとなるように調整した。
同様に、グルコース濃度が50、100、200、300mg/dlとなるように溶液を調整した。合わせて、グルコース濃度が0mg/dlの溶液も準備した。
<グルコースセンサとしての応答感度>
[試料液1の酸化電流の測定]
各実施例、各比較例のグルコース分析用センサをそれぞれ複数(試料液1、2のグルコース濃度の種類に応じた数)用意し、各グルコース分析用センサの酵素反応層5および対極4の両電極を覆うように、各濃度のグルコース溶液を滴下し、対極4を基準にして作用極3に、フェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。
[試料液2の酸化電流の測定]
試料液2についても試料液1の場合と同様に、グルコース濃度が0、50、100、200、250、300mg/dlの場合の酸化電流を測定した。
[評価]
試料液1の酸化電流値を基準に、グルコース濃度が同一の試料液2の酸化電流値を比較し、以下の基準で評価した。
◎:全濃度領域で、試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%以上を保持している
○:100mg/dl以上の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の±50%以上を保持しているが、100mg/dl未満の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%未満である
△:200mg/dl以上の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%以上を保持しているが、200mg/dl未満の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%未満である
×:300mg/dlの濃度では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%以上を保持しているが、250mg/dl以下の濃度領域では試料液2の酸化電流値は試料液1の酸化電流値の50%未満である
<グルコースセンサとしての安定性>
グルコース濃度が250mg/dlの試料液2を酵素反応層5および対極4の両電極を覆うように滴下し、直ちに対極4を基準にして作用極3にフェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。これを初期の電流値とした。
次にグルコース濃度が250mg/dlの試料液2を酵素反応層5および対極4の両電極を覆うように滴下した状態で1日室温で放置した。なお、電極上の試料液が乾燥しないように適宜試料液2を滴下した。1日経過後、対極4を基準にして作用極3にフェロセンの酸化還元電位である+350mVの定電圧を印加し、30秒後の酸化電流を測定した。これを一日経過後の電流値とした。
下記の3段階の評価基準に基づいて評価した。
◎:初期値の90%以上の値を保持している
○:初期値の50%以上の値を保持している
×:初期値の50%未満の値を保持している
以上の基準に従い、グルコースセンサとしての出力特性を評価した結果を表4に示す。

表4の結果を見て分かる通り、実施例1〜16の水性導電性分散液からなる電極を用いたグルコースセンサでは、タンパク質溶液中でも広範囲の濃度領域で高感度な出力特性を示し、かつ一日経過後の感度も保持していた。これより、安定的に高感度測定が可能であることが示された。
これに対し、比較例1〜5の水性導電性分散液からなる電極を用いたグルコースセンサでは、タンパク質溶液中では得られる酸化電流値が低く、特にグルコース濃度が低い領域では出力値が増加しなかった。さらに一日経過後の感度も落ちていた。
以上の結果から、本発明の水性導電性分散液からなる電極を使用したグルコースセンサは、タンパク質等の吸着が抑えられたため、安定的に高感度な分析を行うことができた。また、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも電極そのものがタンパク質等の吸着を抑制できるので、より効率的にグルコースセンサを作製できた。
本発明の水性導電性分散液は、導電性材料の分散性・保存安定性に優れ、生体適合性に優れたバイオセンサ用電極に適用できる。このバイオセンサに試料液を添加することにより、基質濃度を測定することができる。そして、タンパク質や赤血球などの固形成分の吸着による応答への影響がなくなり、長期間安定した高感度な分析が可能となる。さらに、生体適合性のある材料で電極を被覆あるいは介在させなくとも電極そのものがタンパク質の吸着を抑制できるので、より効率的にバイオセンサを作製できる。
1:基材
2:下地リード電極
3:作用電極
4:対電極
5:電子受容体、酵素を含む反応層
6:絶縁層
7:カバー基板
8:流路

Claims (7)

  1. 導電性材料(A)と、ベタインポリマー粒子(B)と、分散剤(C)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体であって、
    前記ベタインポリマー粒子(B)が、下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)〜(b3)を必須の構成成分としてなるベタインポリマー粒子であり、平均粒子径が50nm以上で前記水性液状媒体(D)に分散しており、
    前記分散剤(C)が、前記水性液状媒体(D)に溶解しているか、もしくは平均粒子径が50nm未満で前記水性液状媒体(D)に分散している、
    水性導電性分散体。






    (一般式4〜6中、
    は水素原子またはメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子または−NH−、
    Yは−COOまたは−SO
    は水素原子またはメチル基、
    は水素原子またはメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH=C(R21)を表し、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
    21は水素原子またはメチル基を表す。)
  2. 前記導電性材料(A)が炭素材料である、請求項1記載の水性導電性分散体。
  3. ベタインポリマー粒子(B)を構成する全モノマー100質量%中、ベタインモノマー(b1)が0.1〜20重量%である、請求項1または2記載の水性導電性分散液。
  4. 前記分散剤(C)が、下記(C1)〜(C4)からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の水性導電性分散体。
    (C1):下記一般式1〜3で示される少なくともいずれかの構造を含むベタイン構造を有するビニル系ベタインポリマー(C1)。
    (C2):下記一般式101〜103で表される少なくともいずれかのアミンオキシド基を有するビニル系アミンオキシドポリマー(C2)。
    (C3):下記一般式104〜106で示される少なくともいずれかのアミンオキシド基を有するウレタン系アミンオキシドポリマー(C3)。
    (C4):アクリル系ポリマーブロックとポリエチレンオキサイドブロックが下記式(IA)、(IB)又は(IC)のいずれかの構造を介して共有結合で結合されているブロックポリマー(C4)。






    (前記一般式1〜3中、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子または−NH−、
    Yは−COOまたは−SO
    は水素原子またはメチル基、
    は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    10〜R14のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R10〜R14のうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
    15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
    *はビニル系重合体の主鎖との結合位置を表す。)





    (前記一般式101〜103中、
    Xは2価の結合基、または直接結合、
    yは0または1、
    は炭素数1〜6のアルキレン基、
    、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    は水素原子またはメチル基、
    〜Rのうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R〜Rのうちの1つはビニル系重合体の主鎖との結合位置を表し、
    *はビニル系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)





    (前記一般式104〜106中、
    10、R12 15はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
    11 13、R14、R16、R17はそれぞれ独立してアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
    YはOまたはNを表し、
    **はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)

  5. 導電性材料(A)と、ベタインポリマー粒子(B)と、分散剤(C)と、水性液状媒体(D)とを含む水性導電性分散体の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を含む製造方法。
    工程(1):下記一般式4〜6で示される少なくともいずれかの構造を有するベタインモノマー(b1)を必須成分とするモノマーを水性液状媒体(D)中で重合し、平均粒子径が50nm以上のベタインポリマー粒子(B)の水性分散体を得る工程。
    工程(2):分散剤(C)を水性液状媒体(D)に溶解し、分散剤(C)の溶液を得るか、分散剤(C)を水性液状媒体(D)に分散し、平均粒子径が50nm未満の分散剤(C)の分散液を得る工程。
    工程(3):分散剤(C)の前記溶液もしくは分散剤(C)の前記分散液に導電性材料(A)を分散し、導電性材料(A)の分散体を得る工程。
    工程(4):導電性材料(A)の前記分散体と、ベタインポリマー粒子(B)の前記水性分散体とを混合する工程。

    (一般式4〜6中、
    R1は水素原子またはメチル基、
    R2は炭素数1〜6のアルキレン基、
    R3、R4はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基、
    R5は炭素数1〜4のアルキレン基
    Xは酸素原子または−NH−、
    Yは−COO−または−SO3−、
    R6は水素原子またはメチル基、
    R7は水素原子またはメチル基、
    R8は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基、
    R16〜R20のうち4つは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R16〜R20のうちの1つはCH2=C(R21)を表し、
    R15は炭素数1〜6のアルキレン基または炭素数1〜6のヒドロキシアルキレン基を表し、
    R21は水素原子またはメチル基を表す。)
  6. ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液に直接接触するための電極とを有するバイオセンサであって、
    前記電極が、請求項1〜4いずれか1項に記載の水性導電性分散体より形成されたバイオセンサ。
  7. ベース基材と、該ベース基材上に配置され、測定対象液に直接接触するための電極とを有するバイオセンサの製造方法であって、
    ベース基材の所定の位置に、請求項1〜4いずれか1項に記載の水性導電性分散体を塗工し、水性液状媒体(D)を除去し、前記電極を形成する、
    バイオセンサの製造方法。
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