以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施形態に係る草刈機1の全体構成を示す図である。
先ず、図1〜図3を参照して、草刈機1の全体構成の概要を説明する。
草刈機1は、機体2、草刈部3、車輪4、操縦ハンドル5、駆動機構6を備えている。
以下、説明の便宜上、操縦ハンドル5を把持した状態の作業者の前側(図1、図2の矢印A方向)を前方、作業者の後側(図1、図2の矢印B方向)を後方、作業者の右側(図1、図3の矢印C方向)を右方、作業者の左側(図1、図3の矢印D方向)を左方として説明する。また、前後方向X(図1、図2参照)に直交する方向である水平方向を機体幅方向Y(図1、図3参照)として説明する。また、機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方という。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2の中央部から離れる方向である。また、機体外方とは反対の方向を機体内方という。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2の中央部に近づく方向である。
先ず、草刈機1の全体構成について説明する。
機体2は、ハウジング7とヒンジ8とを有している。ハウジング7は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとを含む。第1ハウジング7Aは、機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。第2ハウジング7Bは、機体幅方向の他方側(左側)に配置されている。ヒンジ8は、前後方向Xに延びており、機体幅方向に並んだ第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとを接続している。第2ハウジング7Bは、第1ハウジング7Aに対して、ヒンジ8の中心軸心(ヒンジ軸心)C1回りに揺動可能である。
草刈部3は、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bとを含んでいる。第1草刈部3Aは、機体幅方向の一方側に配置されており、縦軸(上下方向の軸)回りに回転する第1刈刃33を有している。第2草刈部3Bは、機体幅方向の他方側に配置されており、縦軸(上下方向の軸)回りに回転する第2刈刃38を有している。第1草刈部3Aは、第1ハウジング7Aにカバーされている。第2草刈部3Bは、第2ハウジング7Bにカバーされている。
車輪4は、前輪4Fと後輪4Rとを含んでいる。前輪4Fは、第1前輪4F1と第2前輪4F2とを含んでいる。第1前輪4F1は、第1草刈部3Aの前方に配置されている。第2前輪4F2は、第2草刈部3Bの前方に配置されている。後輪4Rは、第1草刈部3Aの後方に配置されている。
操縦ハンドル5は、作業者が草刈機1を操作するときに把持するためのハンドルである。操縦ハンドル5は、第1ハウジング7Aの後方に向けて延びている。第1ハウジング7A及び後輪4Rを支持している。
駆動機構6は、後輪4R及び草刈部3を駆動するための機構である。駆動機構6は、駆動源としての原動機10と、原動機10から出力される回転動力を後輪4R及び草刈部3に伝達する動力伝達機構と、を有している。
以下、草刈機1の構成要素について詳しく説明する。
先ず、機体2を構成するハウジング7(第1ハウジング7A、第2ハウジング7B)とヒンジ8について説明する。
図2、図4〜図6に示すように、第1ハウジング7Aは、第1ハウジング本体71と第1前カバー72とを有している。
第1ハウジング本体71は、第1上板部71a、第1後板部71b、第1前板部71c、第1側板部71dを有している。第1上板部71a、第1後板部71b、第1前板部71c、第1側板部71dは、金属等の剛性材料より一体に構成されている。
第1上板部71aは、一方面(表面)が上方を向き且つ他方面(裏面)が下方を向いており、第1草刈部3Aの上方をカバーしている。図2に示すように、第1後板部71bは、第1上板部71aの後端部から下方に延設されている。第1後板部71bは、第1上板部71aから下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。図4、図5に示すように、第1後板部71bは、第1草刈部3Aの後方に配置されており、平面視において機体内方(左方)に向かうにつれて後方に移行している。
図2に示すように、第1前板部71cは、第1上板部71aの前端部から上方且つ前方(斜め上前方)に延設されており、第1草刈部3Aの前方に位置している。第1側板部71dは、第1上板部71aの右端部から下方に延設されている。
第1前カバー72は、ゴム等の弾性材からなるシートから構成されている。図2に示すように、第1前カバー72は、第1ハウジング本体71の前端部から下方に延設されている。具体的には、図6に示すように、第1前カバー72は、第1前板部71cの前端部にボルトB1により取り付けられ、当該前端部から下方に延設されている(垂れ下がっている)。第1前カバー72は、下方に向かうにつれて前方に移行するように傾斜している。第1前カバー72の機体幅方向の長さは、第1ハウジング本体71の機体幅方向の長さ以上に設定されている。図4に示すように、本実施形態の場合、機体幅方向において、第1前カバー72の右端部は第1ハウジング本体71の右端部と略同じ位置にあり、第1前カバー72の左端部は第1ハウジング本体71の左端部よりも左方に位置している。
図4〜図6に示すように、第1前カバー72は、下端部から上方に切り込まれた第1切り込み部72aを有している。第1切り込み部72aは、第1前輪4F1の右方、左方及び上方を囲うように略矩形状に形成されている。第1切り込み部72aは、第1前輪4F1を第1前カバー72から前方に露出させている。
図4〜図7に示すように、第2ハウジング7Bは、第2ハウジング本体73と、第2前カバー74と、を有している。尚、図7では、図示及び説明の都合上、第2前カバー74を省略している。
第2ハウジング本体73は、第2上板部73a、第2後板部73b、第2前板部73c、第2側板部73dを有している。第2上板部73a、第2後板部73b、第2前板部73c、第2側板部73dは、金属等の剛性材料より一体に構成されている。
第2上板部73aは、一方面(表面)が上方を向き且つ他方面(裏面)が下方を向いており、第2草刈部3Bの上方をカバーしている。第2後板部73bは、第2上板部73aの後端部から下方に延設されている。第2後板部73bは、第2草刈部3Bの後方に配置されている。第2前板部73cは、第2上板部73aの前端部から上方且つ前方(斜め上前方)に延設されており、第2草刈部3Bの前方に位置している。第2側板部73dは、第2上板部73aの左端部から下方に延設されている。図7に示すように、第2後板部73bは、第2上板部73aから下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜している。
図4、図5に示すように、第2側板部73dと第2後板部73bとの境界部(第2ハウジング本体73の左後部)は、平面視において円弧状に湾曲している。また、第2後板部73bは、平面視において、機体内方(右方)に向かうにつれて後方に移行している。
図4、図5に示すように、第2ハウジング本体73は、第1ハウジング本体71と機体幅方向に並んでいるが、前後方向において第1ハウジング本体71と若干ずれている。具体的には、第2後板部73bは、前後方向において、第1後板部71bよりも後方に配置されている。第2前板部73cは、前後方向において、第1前板部71cよりも後方に配置されている。
第2前カバー74は、ゴム等の弾性材からなるシートから構成されている。第2前カバー74は、第2ハウジング本体73の前端部から下方に延設されている。具体的には、図6に示すように、第2前カバー74は、第2前板部73cの前端部にボルトB2により取り付けられ、当該前端部から下方に延設されている(垂れ下がっている)。第2前カバー72は、下方に向かうにつれて前方に移行するように傾斜している。
図4、図5に示すように、第2前カバー74は、前後方向において、第1前カバー72よりも後方に配置されている。つまり、第2前カバー74の前端部は、第1前カバー72の前端部よりも後方に位置している。第2前カバー74の機体幅方向の長さは、第2ハウジング本体73の機体幅方向の長さ以上に設定されている。本実施形態の場合、第2前カバー74の左端部は第2ハウジング本体73の左端部と機体幅方向において略同じ位置にあり、第2前カバー74の右端部は第2ハウジング本体73の右端部よりも右方に位置している。これにより、第1前カバー72と第2前カバー74とは、機体幅方向の中心付近でオーバーラップしている。
図4〜図6に示すように、第2前カバー74は、下端部から上方に切り込まれた第2切り込み部74aを有している。第2切り込み部74aは、第2前輪4F2の右方、左方及び上方を囲うように略矩形状に形成されている。第2切り込み部74aは、第2前輪4F2を第2前カバー74から前方に露出させている。
図4、図6に示すように、第2ハウジング7Bは、前ガード75を有している。前ガード75は、第2ハウジング本体73の前部に取り付けられている。前ガード75は、金属等の剛性材からなる棒状体を折り曲げて形成されている。前ガード75は、左部材75aと、右部材75bと、前部材75cと、を有している。左部材75aは、第2ハウジング本体73の左端部に固定されて前方に延びている。右部材75bは、第2ハウジング本体73の右端部に固定されて前方に延びている。前部材75cは、第2ハウジング本体73の前方に配置されて機体幅方向に延びている。前部材75cの左部は、左方に向かうにつれて後方に移行しており、左部材75aの前部と繋がっている。前部材75cの右部は、右部材75bの前部と繋がっている。前部材75cは、前後方向において、第1ハウジング本体71よりも前方に配置されている。前部材75cの右端部は、第1ハウジング本体71の前方に位置している。
図4〜図6に示すように、ヒンジ8は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとの間において前後方向に延びている。ヒンジ8は、第1ハウジング本体71の左端部と第2ハウジング本体73の右端部とを接続している。図5に示すように、ヒンジ8は、第1円筒部8aと、第2円筒部8bと、軸部8cとを有している。第1円筒部8aは、第1ハウジング本体71に固定されている。具体的には、2つの第1円筒部8aが、第1上板部71aの前部の左縁と後部の左縁にそれぞれ溶接されている。第2円筒部8bは、第2ハウジング本体73に固定されている。具体的には、2つの第2円筒部8bが、第2上板73aの前部の右縁と後部の左縁にそれぞれ溶接されている。
軸部8cは、前後方向に延びており、第1円筒部8aと第2円筒部8bを貫通している。第1円筒部8aと第2円筒部8bは、前後方向に並んで設けられているが、軸部8cの前後方向の中心付近には設けられていない。そのため、軸部8cは、前後方向の中心付近においては、第1円筒部8a及び第2円筒部8bに覆われずに露出している。このように、円筒部(第1円筒部8a、第2円筒部8b)により軸部8cの前後方向の中心付近を覆わない構成とすることによって、当該円筒部(第1円筒部8a、第2円筒部8b)の全体の長さが短くなるため、機体2を軽量化することができる。
機体2は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bとがヒンジ8により接続されていることによって、第2ハウジング7Bを第1ハウジング7Aに対して軸部8cの軸心(ヒンジ軸心)C1回りに揺動させることができる。これにより、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を変更(調節)することができる。第2ハウジング7Bを第1ハウジング7Aに対して揺動させる操作は、後述する調節レバー150により行うことができる。
次に、草刈部3を構成する第1草刈部3Aと第2草刈部3Bについて説明する。
先ず、第1草刈部3Aについて説明する。
図8〜図11に示すように、第1草刈部3Aは、第1回転軸31と、第1支持体32と、第1刈刃33と、第1草巻付き防止体34と、を有している。
図8に示すように、第1回転軸31は、上下方向に延びる軸(第1縦軸)回りに回転する軸である。第1回転軸31の下部には、円筒状のボス35が取り付けられている。第1支持体32は、ボス35の下方において第1回転軸31の下部に取り付けられている。図9に示すように、第1支持体32は、平面視にて略長方形状の板であって、中心部が第1回転軸31に取り付けられ、第1回転軸31の径外方向(軸心から離れる方向)の一方と他方にそれぞれ延設されている。
図11に示すように、第1支持体32は、中心穴32a、先端穴32b、中間穴32cを有している。中心穴32aは、第1支持体32の中心に設けられている。先端穴32bは、第1支持体32の一端部と他端部にそれぞれ設けられている。中間穴32cは、中心穴32aと先端穴32bとの間に設けられている。
第1回転軸31の下端部には雄ねじが形成されている。第1回転軸31の雄ねじは第1支持体32の中心穴32aを貫通しており、この貫通した部分にナットN1が螺合されている。これにより、第1支持体32は、ナットN1とボス35との間に挟まれて固定されている。
図10、図11等に示すように、第1支持体32には第1刈刃33が取り付けられている。具体的には、第1刈刃33は、第1支持体32の一端側と他端側にそれぞれ取り付けられている。第1刈刃33は、第1支持体32の上方に配置された第1上刃33Uと、第1支持体32の下方に配置された第1下刃33Dとを有している。より詳しくは、第1支持体32の一端側にある第1刈刃33と他端側にある第1刈刃33が、それぞれ第1上刃33Uと第1下刃33Dとを有している。つまり、第1刈刃33は、2つの第1上刃33Uと2つの第1下刃33Dとから構成されている。第1上刃33Uと第1下刃33Dは、同形状であり、第1支持体32を挟んで上下対称に配置されている。
第1刈刃33(第1上刃33U及び第1下刃33D)は、基端部33aと、第1延出部33bと、第2延出部33cを有している。基端部33aは、第1支持体32に取り付けられている。第1延出部33bは、基端部33aから離れる方向(第1回転軸31の径外方向)に延びている。第1延出部33bは、基端部33aに対して上斜め方向又は下斜め方向に傾斜している。具体的には、第1上刃33Uの第1延出部33bは、基端部33aから離れるにつれて上方に移行するように傾斜している。第1下刃33Dの第1延出部33bは、基端部33aから離れるにつれて下方に移行するように傾斜している。第2延出部33cは、第1延出部33bの延出端から、基端部33aから離れる方向であって且つ基端部33aと平行な方向(第1回転軸31と直交する方向)に延びている。第2延出部33cの側縁には、草を刈るための刃先33dが形成されている。第2延出部33cの刃先33d及び先端部33e(第1刈刃33の先端部)は、第1支持体32から突出している。言い換えれば、刃先33d及び先端部33eは、第1支持体32と上下方向においてオーバーラップしていない。
第1刈刃33の基端部33aは、枢支部材11によって第1支持体32に対して枢支されている。これにより、図13に矢印E,F及び仮想線で示すように、第1刈刃33は、枢支部材11を支点として縦軸回りに揺動可能である。図10〜図12に示すように、枢支部材11は、ボルト11aと袋ナット11bとを有している。図11に示すように、ボルト11aのねじ軸は、第1刈刃33(第1上刃33U及び第1下刃33D)の基端部33aに設けられた穴と、第1支持体32の先端穴32bとを、下方から上方に向けて貫通している。ボルト11aの頭部は、第1下刃33Dの下面に当接している。袋ナット11bは、ボルト11aのねじ軸に螺合されている。袋ナット11bは、第1上刃33Uの上面に当接している。
図11に示すように、ボス35の下部には、取付板12が固定されている。取付板12は、ボス35の外周部から第1回転軸31の径外方向の一方と他方にそれぞれ延設されている。取付板12は、第1回転軸31の径外方向の一方側と他方側にそれぞれ取付穴12aを有している。各取付穴12aは、第1支持体32及び第1草巻付き防止体34を取り付けるための穴である。
第1草巻付き防止体34は、第1回転軸31に草が巻き付くことを防止するための部材である。第1草巻付き防止体34は、底板34aと筒状部34bとを有している。
底板34aは、円形の板であって、第1草巻付き防止体34の下部に設けられている。図11に示すように、底板34aは第1穴34cと第2穴34dとを有している。第1穴34cは、底板34aの中心に設けられている。第2穴34dは、底板34aの中心から離れた同心円上に2つ設けられている。第1穴34cには、第1回転軸31の下端部に形成された雄ねじが挿通され、当該雄ねじにナットN1が螺合される。第2穴34dには、ボルトB3のねじ軸が挿通されている。ボルトB3のねじ軸は、底板34aの第2穴34d、第1支持体32の中間穴32c、取付板12の取付穴12aに挿通されている。ボルトB3のねじ軸の先端部は、取付穴12aから突出しており、当該先端部にナットN2が螺合されている。これにより、取付板12に対して、第1支持体32及び第1草巻付き防止体34の底板34aが固定されている。ここで、取付板12は、ボス35を介して第1回転軸31に取り付けられているため、第1回転軸31と共に回転する。そのため、取付板12に固定された第1支持体32及び第1草巻付き防止体34も第1回転軸31と共に回転する。また、第1支持体32の回転に伴って、第1刈刃33が第1回転軸31を中心として回転する。
筒状部34bは、円錐台状に形成されている。具体的には、筒状部34bは、底板34aに近づくにつれて(下方に向かうにつれて)小径となる円錐台状に形成されている。筒状部34bは、第1回転軸31の周囲を囲うように配置されており、第1回転軸31と第1刈刃33の基端部33aとの間に位置している。これにより、第1回転軸31に草等が巻き付くことが防止される。
図11に示すように、第1上刃33Uの延出部(第1延出部33b、第2延出部33c)は、第1草巻付き防止体34の底板34aよりも上方に位置している。また、図12に示すように、第1刈刃33の上刃22Uの先端部33eが位置する高さH1において、第1刈刃33の揺動中心(ボルト11aの軸心)C2と第1刈刃33の先端部33eとの距離L1は、揺動中心C2と筒状部34bとの距離L2に比べて長い(L1>L2)。また、揺動中心C2と第1刈刃33の刃先33dが形成された部分との最小距離L3は、揺動中心C2と筒状部34bとの距離L2に比べて長い(L3>L2)。
第1刈刃33は、第1回転軸31を中心として回転しているとき、遠心力によって第1回転軸31の径外方向(軸心から離れる方向)に延びた第1位置(図13に実線で示す位置)にある。第1刈刃33は、第1位置において第1回転軸31を中心として回転しながら草を刈る。しかし、第1刈刃33は、石等の異物に当たると、枢支部材11を支点として第1回転軸31に接近する内方向に揺動する。例えば、図13に示すように、第1刈刃33が正方向(矢印E方向)に回転しているときに異物Sに当たると、逆方向(矢印F方向)に揺動する(跳ね返る)。これにより、第1刈刃33や第1回転軸31に過大な負荷が加わることが防がれる。
ここで、筒状部34bが第1回転軸31の周囲を囲っており、第1刈刃33が第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに、第1刈刃33が接触する位置に配置されている。そのため、図13の矢印F前方に仮想線で示すように、第1刈刃33が第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに筒状部34bに接触することで、第1刈刃33が第1回転軸31に接触することを防止できる。
また、筒状部34bは、第1刈刃33が第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに、第1刈刃33の先端部33eと基端部33aとの間の中間部が接触する位置に配置されている。詳しく説明すると、図12に示すように、第1刈刃33の揺動中心C2と第1刈刃33の先端部33eとの距離L1は、揺動中心C2と筒状部34bとの距離L2に比べて長い。そのため、図13に示すように、第1刈刃33は、第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに、先端部33eと基端部33aとの間の中間部33fが筒状部34bに接触し、先端部33eは接触しない。尚、図13の符号34eで示す仮想円は、筒状部34bにおける第1上刃33Uと同じ高さにある部分(図12の高さH1に相当する位置)を示している。このように、第1刈刃33の先端部33eが筒状部34bに接触しないことにより、筒状部34bや先端部33eが損傷することを防止できる。
また、図12に示すように、第1刈刃33の揺動中心C2と第1刈刃33の刃先33dが形成された部分との最小距離L3は、揺動中心C2と筒状部34bとの距離L2に比べて長い。そのため、第1刈刃33が第1回転軸31に接近する内方向に揺動したときに、刃先33dが筒状部34bに接触しない。これにより、第1刈刃33の刃先33dが筒状部34bに当たって、筒状部34bや刃先33dが損傷することを防止できる。
次に、第2草刈部3Bについて説明する。
第2草刈部3Bについては、第1草刈部3Aと異なる点を中心に説明し、第1草刈部3Aと共通する点については説明を省略する。
図8に示すように、第2草刈部3Bは、第2回転軸36と、第2支持体37と、第2刈刃38と、第2草巻付き防止体39と、を有している。
第2回転軸36は、上下方向に延びる軸(第2縦軸)回りに回転する軸である。図4に示すように、第2回転軸36は、前後方向において、第1回転軸31よりも後方に配置されている。図9に示すように、第2刈刃38の先端部の回転軌道R2は、機体幅方向において第1刈刃33の先端部33eの回転軌道R1とオーバーラップし、前後方向において回転軌道R1よりも後方にずれた位置にある。
図9に矢印H,Iで示すように、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bとは、互いに反対方向に回転する。より詳しくは、第1草刈部3Aと第2草刈部3Bは共に、機体内方側(機体幅方向の中心付近)において刈刃(第1刈刃33と第2刈刃38)が前方から後方に向かうように回転する。図8に示すように、第1刈刃33と第2刈刃38は、同じ高さに配置されている。そのため、第1刈刃33と第2刈刃38は、回転軌道R1,R2がオーバーラップしている機体内方側における衝突を回避するために、回転の位相が90°ずれている(図9参照)。
第2草刈部3Bの第2刈刃38のその他の構成は、第1刈刃33の構成と同様であるため説明を省略する。また、第2草刈部3Bの第2支持体37の構成は、第1草刈部3Aの第1支持体32の構成と同様であるため説明を省略する。
第2草巻付き防止体39は、第2回転軸36に草が巻き付くことを防止するための部材である。第2草巻付き防止体39の構成は、第1草巻付き防止体34の構成と同様であるため説明を省略する。
次に、車輪4を構成する前輪4Fと後輪4Rについて説明する。
先ず、前輪4Fについて説明する。
図4、図5に示すように、前輪4Fは、一対(2つ)の前輪から構成されている。具体的には、前輪4Fは、第1草刈部3Aの前方(第1刈刃33の前方)に配置された第1前輪4F1と、第2草刈部3Bの前方(第2刈刃38の前方)に配置された第2前輪4F2とを含む。一対の前輪4Fの回転軸41c、43cは、それぞれ別の支持機構13,14によって機体2に対して支持されている。
以下、図14、図15を参照して、一対の前輪4F(第1前輪4F1、第2前輪4F2)及び当該前輪4Fの支持機構13,14について説明する。
先ず、第1前輪4F1と、第1前輪4F1の支持機構13について説明する。
第1前輪4F1は、前輪本体41と突出部42とを有している。前輪本体41と突出部42は、金属等の剛性材により一体的に形成されている。前輪本体41は、円板部41aと周板部41bとを有している。円板部41aの中心には回転軸41cが固定されており、当該回転軸41cは円板部41aの中心から機体幅方向の一方側(右側)と他方側(左側)に突出している。周板部41bは、円板部41aの外周から機体幅方向の他方側(左側)に向けて筒状に延出している。周板部41bは、第1前輪4F1が回転したときに主として地面に接触する部分である。突出部42は、周板部41bの機体幅方向の他方側の端部から、前輪本体41の径外方向(回転軸41cから離れる方向)に突出している。突出部42は、前輪本体41の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられている。突出部42は、第1前輪4F1が回転したときに地面に食い込むことで滑り止めの機能を発揮する。
第1前輪4F1の支持機構13は、第1前輪支持部材15と、第1前輪支持アーム16と、第1レバー17と、を有している。
第1前輪支持部材15は、第1ハウジング本体71に固定される。具体的には、図5、図6に示すように、第1前輪支持部材15は、ボルトB4及びナットN3によって第1ハウジング本体71の第1上板部71aの下面に固定される。第1前輪支持部材15は、第1ハウジング本体71に固定された状態で前後方向に延びる。第1前輪支持部材15の前部には、第1前輪支持アーム16が取り付けられている。
第1前輪支持アーム16は、第1右アーム16aと、第1左アーム16bと、第1接続部16cと、を有している。第1右アーム16aは、第1前輪4F1の右方に設けられている。第1左アーム16bは、第1前輪4F1の左方に設けられている。第1接続部16cは、第1右アーム16aの後端と第1左アーム16bの後端を接続している。
第1前輪支持アーム16の後端側は、第1軸体18を介して第1前輪支持部材15の前部に枢支されている。第1前輪支持アーム16の前端側には、回転軸41cが回転可能に支持されている。第1レバー17の下部は、第1前輪支持アーム16の後端側に固定されている。これにより、第1レバー17と第1前輪支持アーム16は、第1軸体18を支点として一体的に揺動する。
第1レバー17は、第1前輪支持アーム16の後端側から上方且つ後方に延設されている。図4、図6に示すように、第1レバー17の上部は、第1ハウジング本体71を貫通して、第1ハウジング本体71の上方に突出する。詳しくは、第1ハウジング本体71には、第1上板部71aから第1前板部13cに亘って第1長穴71e(図4参照)が形成されており、第1レバー17の上部は第1長穴71eを通って第1ハウジング本体71の上方に突出する。第1ハウジング本体71の第1上板部71aから第1前板部13cに亘る上面には、第1ガイド部材25が取り付けられている。第1ガイド部材25には、第1レバー17を前後方向の複数の位置に選択して係止可能な係止部が設けられている。
図14、図15に示すように、第1前輪支持アーム16は、第1草巻付き防止部23を有している。第1草巻付き防止部23は、第1前輪支持アーム16の第1左アーム16bに設けられている。第1草巻付き防止部23は、第1前輪4F1の径内側から径外側に向かうにつれて(前方から後方に向かうにつれて)幅広となるように形成されている。具体的には、第1草巻付き防止部23は、第1前輪支持アーム16の上部に突出した上突出部23aと、第1前輪支持アーム16の下部に突出した下突出部23bとを有している。上突出部23aは、機体幅方向から見た側面視において、頂点が上部に位置する三角形状に形成されている。下突出部23bは、機体幅方向から見た側面視において、頂点が下部に位置する三角形状に形成されている。上突出部23aの前端部は、下突出部23bの前端部よりも前方に位置している。上突出部23aの突出高さは、下突出部23bの突出高さよりも高い。第1草巻付き防止部23は、第1前輪4F1の後方への草の侵入を防ぐことによって、第1前輪4F1に草が巻き付くことを防止する。
第2前輪4F2は、第1前輪4F1と同様の構成を有している。つまり、草刈機1が備える一対の前輪4F(第1前輪4F1、第2前輪4F2)は、構成が共通している。
具体的には、一対の前輪(第1前輪4F1と第2前輪4F2)は、形状(外径、幅を含む)及び素材が共通している。第2前輪4F2は、第1前輪4F1の前輪本体41、突出部42、円板部41a、周板部41b、回転軸41cと、それぞれ同様の構成をもつ前輪本体43、突出部44、円板部43a、周板部43b、回転軸43cを有している。第2前輪4F2の突出部44は、第1前輪4F1の突出部42と同様に、機体幅方向の他方側に設けられている。つまり、第1前輪4F1の突出部42と第2前輪4F2の突出部44は、機体幅方向の同じ側(左側)に設けられている。
また、一対の前輪(第1前輪4F1と第2前輪4F2)は、機体2に対して当該前輪の回転軸を支持する支持機構13,14が共通している。つまり、第2前輪4F2の支持機構14は、第1前輪4F1の支持機構13と同じ構成である。
図14、図15に示すように、第2前輪4F2の支持機構14は、第2前輪支持部材19と、第2前輪支持アーム20と、第2レバー21と、を有している。
第2前輪支持部材19は、第2ハウジング本体73に固定される。具体的には、図5、図6に示すように、第2前輪支持部材19は、ボルトB5及びナットN4によって第2ハウジング本体72の第2上板部73aの下面に固定される。第2前輪支持部材19は、第2ハウジング本体73に固定された状態で前後方向に延びる。第2前輪支持部材19の前部には、第2前輪支持アーム20が取り付けられている。
第2前輪支持アーム20は、第2右アーム20aと、第2左アーム20bと、第2接続部20cと、を有している。第2右アーム20aは、第2前輪4F2の右方に設けられている。第2左アーム20bは、第2前輪4F2の左方に設けられている。第2接続部20cは、第2右アーム20aの後端と第2左アーム20bの後端を接続している。
第2前輪支持アーム20の後端側は、第2軸体22を介して第2前輪支持部材19の前部に枢支されている。第2前輪支持アーム20の前端側には、回転軸43cが回転可能に支持されている。第2レバー21の下部は、第2前輪支持アーム20の後端側に固定されている。これにより、第2レバー21と第2前輪支持アーム20は、第2軸体22を支点として一体的に揺動する。
第2レバー21は、第2前輪支持アーム20の後端側から上方且つ後方に延設されている。図4、図6に示すように、第2レバー21の上部は、第2ハウジング本体73を貫通して、第2ハウジング本体73の上方に突出する。詳しくは、第2ハウジング本体72には、第2上板部73aから第2前板部73cに亘って第2長穴71f(図4参照)が形成されており、第2レバー21の上部は第2長穴71fを通って第2ハウジング本体73の上方に突出する。第2ハウジング本体72の第2上板部73aから第1前板部73cに亘る上面には、第2ガイド部材26が取り付けられている。第2ガイド部材26には、第2レバー21を前後方向の複数の位置に選択して係止可能な係止部が設けられている。
また、第2前輪支持アーム20は、第2前輪4F2の径内側から径外側に向かうにつれて幅広となる第2草巻付き防止部24を有している。第2草巻付き防止部24は、第2前輪支持アーム20の第2左アーム20bに設けられている。つまり、第2草巻付き防止部24は、第1草巻付き防止部23と同じく機体幅方向の他方側(左側)に設けられている。第2草巻付き防止部24の構成は、第1草巻付き防止部23と同様である。すなわち、第2草巻付き防止部24は、第1草巻付き防止部23の上突出部23a及び下突出部23bと、それぞれ同様の構成をもつ上突出部24a及び下突出部24bを有している。第2草巻付き防止部24は、第2前輪4F2の後方への草の侵入を防ぐことによって、第2前輪4F2に草が巻き付くことを防止する。
上述した支持機構13,14によれば、第1前輪4F1の高さと第2前輪4F2の高さを変更することができる。具体的には、第1レバー17を操作することにより、第1前輪4F1の高さを変更することができる。第2レバー21を操作することにより、第2前輪4F2の高さを変更することができる。つまり、第1前輪4F1の高さと第2前輪4F2の高さとは独立して変更することができる。以下、図7を参照しながら、先ず第2前輪4F2の高さ変更の操作について説明する。
図7に示すように、第2軸体22を支点として第2レバー21を前後方向に揺動することによって、第2前輪4F2の高さを変更することができる。詳しくは、第2レバー21が符号21Aで示す前方位置にあるとき、第2前輪4F2は符号4F2Aで示す下方位置にある。第2レバー21を前方位置から符号21Bで示す中間位置まで後方に揺動させると、第2前輪4F2は下方位置から上昇して符号4F2Bで示す中間位置となる。更に、第2レバー21を中間位置から符号21Cで示す後方位置まで後方に揺動させると、第2前輪4F2は中間位置から上昇して符号4F2Cで示す上方位置となる。
図7に示すように、第2前輪4F2の高さを変更することによって、地面Gから第2刈刃38までの高さを変更することができる。地面Gから第2刈刃38までの高さが所望の高さとなったときに、第2レバー21を第2ガイド部材26の係止部に係止する。これにより、地面Gから第2刈刃38までの高さを所望の高さで維持することができる。
次に、第1前輪4F1の高さ変更の操作について説明する。第1前輪4F1の高さ変更の操作は、第2レバー21に代えて第1レバー17を操作する点以外は、第1前輪4F2の高さ変更の操作と同様である。
図示していないが、第1レバー17を前後方向に揺動することによって、第1前輪支持アーム16が第1軸体18を支点として第1前輪支持部材15に対して揺動する。これにより、第1前輪4F1が昇降する(高さが変更される)。第1前輪4F1の高さを変更することによって、地面Gから第1刈刃33までの高さを変更することができる。地面Gから第1刈刃33までの高さが所望の高さとなったときに、第1レバー17を第1ガイド部材25の係止部に係止すると、地面Gから第1刈刃33までの高さを所望の高さで維持することができる。
図4、図6に示すように、第1前輪4F1は、第1ハウジング7Aの前端部(第1前カバー72の前端部)の前方と後方とに跨って配置されている。詳しくは、第1前輪4F1は、第1前カバー72に形成された第1切り込み部72aの前方と後方とに跨って配置されている。また、第1前輪4F1の回転軸41cは、第1ハウジング7Aの前方(第1前カバー72の前方)に配置されている。具体的には、回転軸41cは、少なくとも第1前輪4F1が前方位置(図7に符号21Aで示す位置)にあるときには、第1ハウジング7Aの前方(第1前カバー72の前方)に位置するように配置されている。
第2前輪4F2は、第2ハウジング7Bの前端部(第2前カバー74の前端部)の前方と後方とに跨って配置されている。詳しくは、第2前輪4F2は、第2前カバー74に形成された第2切り込み部74aの前方と後方とに跨って配置されている。第2前輪4F2の回転軸43cは、前後方向において、第1前輪4F1の回転軸41cよりも後方に配置されている。また、第2前輪4F2の回転軸43cは、第2ハウジング7Bの前方(第2前カバー74の前方)に配置されている。具体的には、回転軸43cは、少なくとも第2前輪4F2が前方位置にあるときには、第2ハウジング7Bの前方(第2前カバー74の前方)に位置するように配置されている。
一対の前輪4F(第1前輪4F1及び第2前輪4F2)は、駆動輪ではなく、後輪4Rの回転によって実現する草刈機1の走行に伴って回転する従動輪である。つまり、前輪4Fには原動機10の動力は伝達されない。
次に、後輪4Rについて説明する。
後輪4Rは、原動機10の動力により駆動する駆動輪(走行輪)である。
図1、図2等に示すように、後輪4Rは、第1草刈部3Aの後方(第1刈刃33の後方)に配置されている。また、後輪4Rは、第1ハウジング7Aの後方に配置されている。図4に示すように、後輪4Rの前部は、前後方向において、第2ハウジング7Bの後部とオーバーラップしている。言い換えれば、後輪4Rの前端部は、第2後板部73bの後端部よりも前方に位置している。
後輪4Rの大きさ(外径及び幅)は、前輪4Fの大きさ(外径及び幅)に比べて大きい。図4に示すように、後輪4Rの幅方向中心C3は、第1草刈部3Aの第1回転軸31よりも機体幅方向の一方側(右側)に位置している。また、後輪4Rの幅方向中心C3は、第1前輪4F1の幅方向中心C4よりも機体幅方向の一方側(右側)に位置している。図2に示すように、後輪4Rは、操縦ハンドル5の一方支持部51(後述する)に設けられた後輪支持部57に回転可能に支持されている。
次に、操縦ハンドル5について説明する。
図1等に示すように、操縦ハンドル5は、機体2の第1ハウジング7Aに取り付けられており、第1ハウジング7Aの後方(第1草刈部3Aの後方)に延設されている。
図1〜図6に示すように、操縦ハンドル5は、一方支持部51、他方支持部52、連結部53、ハンドル支持部54、第1ハンドル部55、第2ハンドル部56を有している。
一方支持部51と他方支持部52は、操縦ハンドル5の前部に位置しており、機体幅方向に間隔をあけて前後方向に延びている。図5、図8に示すように、一方支持部51の前部及び他方支持部52の前部は、第1ハウジング7Aの第1上板部71aの下方に配置されている。これにより、一方支持部51は、第1ハウジング7Aの機体幅方向の一方側(右側)を下方から支持している。他方支持部52は、第2ハウジング7Bの機体幅方向の他方側(左側)を下方から支持している。
図5、図8に示すように、第1ハウジング本体71の第1上板部71aの下面には、2つ(一対)の保持部材27が固定されている。保持部材27は、前後方向に延びる溝を有する部材(溝形鋼等)から構成されている。2つの保持部材27は、機体幅方向に間隔をあけて配置され、共に前後方向に延びている。一方支持部51の前部は、一方の保持部材27の溝に嵌め入れられて固定されている。他方支持部52の前部は、他方の保持部材27の溝に嵌め入れられて固定されている。
図2、図5、図6に示すように、一方支持部51の後部は、第1ハウジング7Aの右後部から当該第1ハウジング7Aの後方に延出されてから上方に延びている。図2、図3に示すように、一方支持部51の後部には、後輪4Rを支持する後輪支持部57が設けられている。後輪支持部57は、一方支持部51の後部から下方に突出し、後輪4Rの回転軸45を回転可能に支持している。尚、一方支持部51に代えて他方支持部52に後輪支持部57を設けてもよい。また、一方支持部51と他方支持部52の両方に後輪支持部57を設けてもよい。
図4〜図6に示すように、他方支持部52の後部は、第1ハウジング本体71の第1上板部71aの左後部に設けられた長穴71gを貫通して後方且つ上方に延びている。一方支持部51の後端部と他方支持部52の後端部とはU字状に連結されており、当該連結部分がハンドル支持部54に接続されている。
ハンドル支持部54は、後輪4Rの上方に配置されており、第1ハンドル部55及び第2ハンドル部56を上方又は下方に揺動可能に支持している。具体的には、第1ハンドル部55の基端部は、ハンドル支持部54の右部に揺動可能に支持されている。第2ハンドル部56の基端部は、ハンドル支持部54の左部に揺動可能に支持されている。第1ハンドル部55と第2ハンドル部56とは、連結部53により連結されている。
図1〜図3に示すように、第1ハンドル部55の先端部には、第1把持部55aが設けられている。第2ハンドル部56の先端部には、第2把持部56aが設けられている。第1把持部55aは、機体幅方向の一方側(右側)に設けられており、作業者が右手で把持する。第2把持部56aは、機体幅方向の他方側(左側)に設けられており、作業者が左手で把持する。
図1、図3に示すように、第1ハンドル部55と第2ハンドル部56は、後輪4Rの幅方向中心C3に対して非対称に形成されている。具体的には、機体幅方向において、後輪の幅方向中心C3と第1把持部55aとの距離L4は、後輪の幅方向中心C3と第2把持部56aとの距離L5よりも大きい(L4>L5)。別の言い方をすれば、機体幅方向における第1把持部55aと第2把持部56aとの間の中心C5は、後輪の幅方向中心C3よりも機体幅方向の一方(右方)にずれている。また、機体幅方向における第1把持部55aと第2把持部56aとの間の中心C5は、第1前輪4F1及び第2前輪4F2よりも機体幅方向の一方側(右側)に位置している。
次に、駆動機構6について説明する。
図16に示すように、駆動機構6は、原動機10と動力伝達機構60を備えている。
原動機10は、草刈部3及び後輪4Rを駆動するための駆動源となる。本実施形態において、原動機10はエンジンであり、詳しくはディーゼルエンジンである。
図3、図6等に示すように、原動機10は、機体2の第1ハウジング7Aに搭載されている。原動機10は、操縦ハンドル5の前方であって且つ第1草刈部3Aの上方に配置されている。図4に示すように、原動機10は、機体幅方向において、一方支持部51とオーバーラップするが、他方支持部52とはオーバーラップしない位置に配置されている。具体的には、原動機10は、他方支持部52よりも機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。図2、図3に示すように、原動機10は、後述する変速装置84を収容する第1伝動ケース(ミッションケース)101の上部に支持されている。
図8に示すように、原動機10は、下向きに延びる出力軸10aを有している。図4、図8に示すように、出力軸10aは、一方支持部51の上方であって、機体幅方向において一方支持部51とオーバーラップする位置に配置されている。また、出力軸10aは、機体幅方向において、後輪4Rとオーバーラップしない位置に配置されている。具体的には、出力軸10aは、後輪4Rよりも機体幅方向の一方側(右側)に配置されている。また、図4に示すように、出力軸10aは、前後方向において、第1前輪4F1の中心軸(回転軸41cの軸心)と後輪4Rの中心軸(回転軸45の軸心)との中間位置C6よりも後方に配置されている。また、出力軸10aは、前後方向において、第1草刈部3Aの第1回転軸31及び第2草刈部3Bの第2回転軸36よりも方向に配置されている。
原動機10の出力軸10aから出力される回転動力は、動力伝動機構60によって後輪4R、第1草刈部3A、第2草刈部3Bに伝達される。
図16に示すように、動力伝達機構60は、後輪動力伝達機構61と、第1動力伝達機構62と、第2動力伝達機構63と、を含む。後輪動力伝達機構61は、原動機10の動力を後輪4Rに伝達する機構である。第1動力伝達機構62は、原動機10の動力を第1草刈部3Aに伝達する機構である。第2動力伝達機構63は、原動機10の動力を第2草刈部3Bに伝達する機構である。
図8、図11、図16、図17に示すように、後輪動力伝達機構61は、遠心クラッチ80、第1軸81、第2軸82、カウンタ軸83、変速装置84、伝動チェーン85を備えている。遠心クラッチ80は、入力側が出力軸10aに連結されている。遠心クラッチ80の出力部材80aは、第1軸81の上端部に連結されている。第1軸81と、原動機10の出力軸10aとは、遠心クラッチ80によって接続又は遮断される。具体的には、遠心クラッチ80は、原動機10がアイドリング状態にあるときには遮断状態となり、出力軸10aから出力される回転動力を第1軸81に伝達しない。一方、原動機10の回転数がアイドリング状態の回転数よりも上昇すると、接続状態となって出力軸10aから出力される回転動力を第1軸81に伝達する。
第1軸81の軸心回りに回転する第1ギヤ86と、第2軸82の軸心回りに回転する第2ギヤ87は噛み合っている。そのため、第1軸81に伝達された回転動力は、第1ギヤ86及び第2ギヤ87を介して第2軸82に伝達される。第2軸82に伝達された回転動力は、第1伝動ギヤ88を介してカウンタ軸83に伝達される。第1伝動ギヤ88は、カウンタ軸83と同一軸心上に配置されており、カウンタ軸83と一体的に回転する。
カウンタ軸83に伝達された回転動力は、歯車機構90を介して変速装置84の入力軸84aに伝達される。図8、図11、図17に示すように、カウンタ軸83及び変速装置84は、第1伝動ケース101に収容されている。第1伝動ケース101は、軸受を介して第1草刈部3Aの第1回転軸31を縦軸回り(上下方向の軸心回り)に回転可能に支持している。
歯車機構90は、ウォームギヤ91とホイールギヤ92とを有している。ウォームギヤ91は、カウンタ軸83と一体的に回転する。ホイールギヤ92は、ウォームギヤ91と噛み合い、入力軸84aと一体的に回転する。入力軸84aには、第1変速ギヤ93と第1スプロケット94が装着されている。
変速装置84は、原動機10から出力される回転動力を変速する。具体的には、変速装置84は、入力軸84aの回転動力を変速して出力軸84bから出力する。図11、図17、図18に示すように、変速装置84は、シフトギヤ95、第2変速ギヤ96、第2スプロケット97、シフトフォーク98を有している。変速装置84は、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96と第2スプロケット97に選択的に係合することによって、高速状態(前進状態)と低速状態(後進状態)に変速操作される。
第2変速ギヤ96には、第1変速ギヤ93からの回転動力を伝達可能である。第2スプロケット97には、チェーン99を介して第1スプロケット94からの回転動力を伝達可能である。従って、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96に係合させると、第1変速ギヤ93からの回転動力が第1変速ギヤ93を介して出力軸84bに伝達され、出力軸84bは入力軸84aと反対方向に回転する。また、シフトギヤ95を第2スプロケット97に係合させると、第1スプロケット94からの回転動力がチェーン99により第1スプロケット94を介して出力軸84bに伝達され、出力軸84bは入力軸84aと同じ方向に回転する。
第1変速ギヤ93と第2変速ギヤ96の歯数比(変速比)は、第1スプロケット94と第2スプロケット97の歯数比(変速比)よりも小さい。そのため、出力軸84bの回転速度は、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96に係合させたときが、シフトギヤ95を第2スプロケット97に係合させたときよりも速くなる。
シフトギヤ95を第2変速ギヤ96と第2スプロケット97に選択的に係合する操作は、後述する変速レバー140による変速操作軸89の操作によって、シフトフォーク98を移動させることにより行われる。変速操作軸89は、後述する第3操作ケーブル180を介して変速レバー140に連結されている。
図17に示すように、変速装置84の出力軸84bは、第1伝動ケース101から突出しており、当該突出方向の前方(第1伝動ケース101の右方)にはチェーンケース100が設けられている。図1〜図4に示すように、チェーンケース100は、第1伝動ケース101の右方に設けられている。チェーンケース100の後部は、後輪4Fの右方において後輪支持部57に支持されている。チェーンケース100には、伝動チェーン85が収容されている。図4、図16、図17に示すように、伝動チェーン85は、出力軸84bに装着された駆動スプロケット103と、後輪4Rの回転軸45に装着された従動スプロケット104に巻き掛けられている。これにより、出力軸84bから出力された回転動力が後輪4Rの回転軸45に伝達され、後輪4Rが回転する。後輪4Rは、シフトギヤ95を第2変速ギヤ96に係合させたときには草刈機1が前進する方向に第1速度で回転し、シフトギヤ95を第2スプロケット97に係合させたときには草刈機1が後進する方向に第1速度よりも低速の第2速度で回転する。
第1動力伝達機構62は、原動機10からの回転動力を第1刈刃33に伝達する。図8、図16、図17に示すように、第1動力伝達機構62は、第1伝動ギヤ88と、第2伝動ギヤ78と、刈刃クラッチ79と、を有している。第1伝動ギヤ88は、カウンタ軸83と一体的に回転する。第2伝動ギヤ78は、第1草刈部3Aの第1回転軸31と同一軸心上に配置されており、第1伝動ギヤ88と噛み合っている。刈刃クラッチ79は、第2伝動ギヤ78から第1回転軸31への動力の伝達を接続する状態(以下、「伝達状態」という)又は遮断する状態(以下、「遮断状態」という)に切り換え可能である。
第2動力伝達機構63は、原動機10からの回転動力を第2刈刃38に伝達する。図8、図16、図17等に示すように、第2動力伝達機構63は、第1ベベルギヤ105、動力取出軸106、第2ベベルギヤ107、ユニバーサルジョイント108、伝動軸109、第3ベベルギヤ110、第4ベベルギヤ111を備えている。第1ベベルギヤ105は、第1回転軸31に装着されており、第1回転軸31と共に回転する。動力取出軸106は、第1回転軸31と直交する方向(機体幅方向)に延びており、一端側に第2ベベルギヤ107が装着されている。第2ベベルギヤ107は、第1ベベルギヤ105と噛み合っている。動力取出軸106の他端側には、ユニバーサルジョイント108を介して伝動軸109の一端側が連結されている。
図8に示すように、ユニバーサルジョイント108は、第1ハウジング7Aと第2ハウジング7Bを接続するヒンジ8の上方を横切るように機体幅方向に延びている。ユニバーサルジョイント108は、2つの蛇腹部108aを有するカバーを有しており、当該カバーは動力取出軸106の他端側と伝動軸109の一端側に亘って装着されている。2つの蛇腹部108aの一方は第1ハウジング7Aの上方に配置され、他方は第2ハウジング7Bの上方に配置されている。ユニバーサルジョイント108は、第1ハウジング7Aに対して第2ハウジング7Bをヒンジ軸心C1回りに揺動させたときに、当該揺動に応じて蛇腹部108aにおいて屈曲可能となっている。
図6、図8に示すように、ユニバーサルジョイント108の上方は、第1カバー112と第2カバー113により覆われている。第1カバー112は、第1ハウジング本体71の上面に取り付けられており、ユニバーサルジョイント108の右部の上方を覆っている。第2カバー113は、第2ハウジング本体73の上面に取り付けられており、ユニバーサルジョイント108の左部の上方を覆っている。
図8、図16に示すように、伝動軸109の他端側には、第3ベベルギヤ110が装着されている。第3ベベルギヤ110には、第4ベベルギヤ111が噛み合っている。第4ベベルギヤ111は、第2草刈部3Bの第2回転軸36の上端部に装着されている。図8に示すように、第2動力伝達機構63のうち、伝動軸109、第3ベベルギヤ110、第4ベベルギヤ111は、第2伝動ケース(伝達機構ケース)102に収容されている。第2伝動ケース102は、第2ハウジング7Bの上方に配置されている。第2伝動ケース102は、軸受を介して第2草刈部3Bの第2回転軸36を縦軸回り(上下方向の軸心回り)に回転可能に支持している。
原動機10からの回転動力は、第1回転軸31から第1ベベルギヤ105と第2ベベルギヤ107を介して動力取出軸106に伝達された後、ユニバーサルジョイント108を介して伝動軸109に伝達される。伝動軸109に伝達された回転動力は、第3ベベルギヤ110と第4ベベルギヤ111を介して第2回転軸36に伝達される。
刈刃クラッチ79が伝達状態にあるとき、原動機10からの動力が第1回転軸31を介して第1刈刃33及び第2刈刃38へと伝達される。そのため、第1刈刃33及び第2刈刃38が回転する。刈刃クラッチ79が遮断状態にあるとき、原動機10からの動力は、第1回転軸31に伝達されないため、第1刈刃33と第2刈刃38へも伝達されない。そのため、第1刈刃33及び第2刈刃38は回転しない。刈刃クラッチ79の伝達状態と遮断状態との切り換え操作は、後述する刈刃クラッチレバー130の揺動により第2操作ケーブル170を操作し、刈刃操作軸64(図11、図17参照)を回動させてシフタ79aを移動させることによって行うことができる。
次に、操縦ハンドル5に設けられたレバーについて説明する。
図1、図2に示すように、操縦ハンドル5には、アクセルレバー120、刈刃クラッチレバー130、変速レバー140、調節レバー150が設けられている。
先ず、図1、図2、図19〜図22に基づいて、アクセルレバー120及び刈刃クラッチレバー130について説明する。
先ず、アクセルレバー120について説明する。
アクセルレバー120及び刈刃クラッチレバー130は、第2ハンドル部56の第2把持部56aの近傍に設けられている。アクセルレバー120は、原動機10の動力を、後輪(走行輪)4Rに伝達しないアイドリング位置と、後輪4Rに伝達する伝達位置とに切り換え操作可能である。
図19、図20に示すように、アクセルレバー120は、アクセルレバー本体121と、第1係止部122と、第1規制部123とを有している。アクセルレバー本体121は、第2把持部56aの下方に配置され、前後方向に延びている。アクセルレバー本体121は、横軸124回りに回動可能に設けられている。図19、図22に示すように、横軸124は、機体幅方向に延びており、筒状部124aと回動軸124bとを有している。筒状部124aは、第2把持部56aの前方において第2ハンドル部56の下部に固定されている。回動軸124bは、筒状部124aに挿入されており、筒状部124aに対して回動可能である。アクセルレバー本体121の前部は、横軸124により回動可能に支持されている。アクセルレバー本体121は、作業者が第2把持部56aと共に把持することによって、横軸124回りに上方に向けて回動する(図20の矢印J参照)。
第1係止部122は、アクセルレバー本体121の前後方向の中途部(横軸124よりも後方位置)から機体内方(右方)に延設されている。第1係止部122は、アクセルレバー本体121と共に横軸124回りに回動可能である。第1係止部122には、バネ125の一端部が係止されている。バネ125の他端部は、操作ケーブル160(以下、「第1操作ケーブル160」という)の一端部と接続されている。
第1操作ケーブル160は、外筒部材(アウター)161とワイヤ(インナー)162とを有している。ワイヤ162は、外筒部材161に対して移動可能に収容されており、外筒部材161から突出した一端部がバネ125の他端部と接続されている。外筒部材161の一端部は、後述するブラケット135に保持されている。ワイヤ162の他端部は、原動機10のアクセル(図示略)と接続されている。バネ125は、第1係止部122を前方に付勢することによって、アクセルレバー本体121の後部が第2把持部56aから離れる方向(アクセルレバー本体121が開く方向)に付勢している。
図20に示すように、第1規制部123は、アクセルレバー本体121の前部から上方に延設されている。図19に示すように、第1規制部123は、第2把持部56aよりも機体外方(左方)に位置している。第1規制部123は、アクセルレバー本体121と共に横軸124回りに回動可能である。具体的には、図19において、矢印Lで示す方向にアクセルレバー本体121を揺動すると、第1規制部123は矢印Mで示す方向に回動する。
作業者がアクセルレバー本体121を把持していないとき、アクセルレバー120は、後部が第2把持部56aから離れた下方位置(図20に実線で示す位置)にある。アクセルレバー120が下方位置(以下、「アイドリング位置」という)にあるとき、第1操作ケーブル160はバネ125の付勢力によって前方に移動した位置にあり、原動機10はアイドリング状態となる。このアイドリング状態においては、遠心クラッチ80が遮断状態となるため、原動機10の動力は後輪4R及び草刈部3に伝達されない。
作業者がバネ125の付勢力に抗してアクセルレバー本体121を把持すると、アクセルレバー120は、後部が第2把持部56aの下面に当接する上方位置(図20に仮想線で示す位置)となる。アクセルレバー120が上方位置(以下、「伝達位置」という)にあるとき、第1操作ケーブル160は後方に移動した位置となり、原動機10はアイドリング状態よりも回転数(回転速度)が上昇する。原動機10の回転数がアイドリング状態の回転数よりも上昇すると、遠心クラッチ80が伝動状態となるため、原動機10の動力は後輪4Rに伝達される。また、この状態(遠心クラッチ80の伝動状態)において、刈刃クラッチ79が伝達状態となると、原動機10の動力は草刈部3にも伝達される。
図20に矢印Kで示すように、第1規制部123は、アクセルレバー120のアイドリング位置から伝達位置への切り換え操作に伴って横軸124回りに回動する。第1規制部123は、アクセルレバー120がアイドリング位置から伝達状態に切り換えられると、前方且つ上方(斜め前上方)に移動する。後述するように、第1規制部123は、アクセルレバー120が伝達位置にあるとき、刈刃クラッチレバー130の切り換えを阻止することができる。
次に、刈刃クラッチレバー130について説明する。
刈刃クラッチレバー130は、刈刃クラッチ79を伝達状態とする第1位置と遮断状態とする第2位置とに切り換え操作可能である。図19〜図21に示すように、刈刃クラッチレバー130は、刈刃クラッチレバー本体131と、グリップ132と、第2係止部133と、第2規制部134と、を有している。
刈刃クラッチレバー本体131は、第2把持部56aの前方において第2ハンドル部56に装着されたブラケット135に回動可能に支持されている。ブラケット135は、上板部135aと、側板部135bと、第1前板部135cと、第2前板部135dとを有している。上板部135a、側板部135b、第1前板部135c、第2前板部135dは、1枚の板を折り曲げて形成されている。
上板部135aは、第2把持部56aの前方且つ上方に配置されている。上板部135aは、一方面が上方を向き且つ他方面が下方を向いている。図19に示すように、上板部135aは、略矩形状の開口部135eを有している。側板部135bは、上板部135aの機体内方側の縁(左縁)から屈曲して下方に向けて延びている。図20に示すように、側板部135bは、前後方向に延びる長穴135fを有している。長穴135fは、第1穴部135f1と、第1穴部135f1よりも前後方向の長さが短い第2穴部135f2とを有している。第2穴部135f2は、第1穴部135f1の下方に位置して第1穴部135f1の後部と繋がっている。
第1前板部135cは、上板部135aの前縁から屈曲して第2ハンドル部56の上面に沿って前方且つ下方に向けて延びている。図19に示すように、第1前板部135cの上面には、原動機10のオンとオフを切り替える原動機スイッチ28が取り付けられている。第2前板部135cは、第1前板部135cの前縁から屈曲して下方に向けて延びている。第2前板部135cは、第1保持部136と第2保持部137とを有している。第1保持部136は、第1操作ケーブル160の外筒部材161の一端部を保持している。第2保持部137は、後述する第2操作ケーブル170の外筒部材171の一端部を保持している。
刈刃クラッチレバー本体131は、ブラケット135の上板部135aに対して縦軸138回りに回動可能に枢支されている。図19、図20に示すように、縦軸138は、横軸124の前方に設けられており、横軸124と交差する上下方向(直交する方向)に延びている。図21等に示すように、刈刃クラッチレバー本体131は、第1部位131aと、第2部位131bと、第3部位131cと、を有している。第1部位131a、第2部位131b、第3部位131cは、1枚の帯状板を折り曲げて形成されている。
第1部位131aの一端部(左端部)は、ブラケット135の上板部135aにボルトB6及びナットN5により取り付けられている。これにより、刈刃クラッチレバー本体131は、ボルトB6の中心軸(縦軸138)回りに回動可能となっている。第1部位131aの一端部は第2ハンドル部56の左上方に位置し、第1部位131aの他端部(右端部)は第2ハンドル部56の右上方に位置している。つまり、第1部位131aは、第2ハンドル部56の上方を横切って設けられている。第2部位131bは、第1部位131aの他端部から屈曲して、上板部135aの開口部135eを通って下方に延びている。第3部位131cは、第2部位131bの下端部から屈曲して、側板部135bの長穴135fを通って機体内方(右方)に延びている。第3部位131cの先端(右端)には、操作時の持ち手となるグリップ132が装着されている。
作業者は、グリップ132を把持して、第3部位131cを長穴135fに沿って前後方向(図19の矢印L方向及び当該方向の反対方向)に揺動することができる。これにより、刈刃クラッチレバー本体131が縦軸138回りに回動する。この刈刃クラッチレバー本体131の回動は、第2ハンドル部56の上方且つ第1規制部123よりも前方において行われる。刈刃クラッチレバー本体131の回動によって、刈刃クラッチ79の伝達状態と遮断状態とを切り換えることができる。具体的には、刈刃クラッチレバー本体131が図19に仮想線で示す前方位置にあるとき(刈刃クラッチレバー130が第1位置にあるとき)、刈刃クラッチ79は伝達状態となる。一方、刈刃クラッチレバー本体131が図19に実線で示す後方位置にあるとき(刈刃クラッチレバー130が第2位置にあるとき)、刈刃クラッチ79は遮断状態となる。
図19、図21に示すように、第2係止部133は、第3部位131cに設けられている。第2係止部133には、バネ139の一端部が係止されている。バネ139の他端部は、操作ケーブル170(以下、「第2操作ケーブル170」という)の一端部と接続されている。
第2操作ケーブル170は、外筒部材(アウター)171とワイヤ(インナー)172とを有している。ワイヤ171は、外筒部材172に対して移動可能に収容されており、外筒部材171から突出した一端部がバネ139の他端部と接続されている。外筒部材171の一端部は、ブラケット135の第2保持部137に保持されている。外筒部材171の他端部は、機体2の上方において後述する第1支持部材201(図6参照)に支持される。図17に示すように、ワイヤ172の他端部は、刈刃操作軸64の端部に設けられた操作部材65に接続されている。刈刃操作軸64は、刈刃クラッチ79のシフタ79aと接続されており、操作部材65に力を作用させることにより回転する。これにより、刈刃クラッチレバー130の操作によってワイヤ172を移動させることで、刈刃操作軸64を回動させてシフタ79aを移動し、刈刃クラッチ79の伝達状態と遮断状態とを切り換えることができる。
バネ139は、刈刃クラッチレバー130の第3部位131cを前方に向けて引っ張るように付勢している。バネ139の付勢力によって、刈刃クラッチレバー本体131が前方位置にあるとき、第3部位131cは第1穴部135f1の前部(長穴135fの前部)に位置する。刈刃クラッチレバー本体131が後方位置にあるとき、第3部位131cは第2穴部135f2の前部(長穴135fの後部)に位置する。図20に示すように、第1穴部135f1と第2穴部135f2との間には後方に突出する凸部135f3が形成されている。そのため、第2穴部135f2に位置する第3部位131cを第1穴部135f1に移動させるためには、バネ139の付勢力に抗して第3部位131cを一旦後方に移動させて凸部135f3を乗り越える必要がある。そのため、作業者が意図しない状況下で、第2穴部135f2にある第3部位131cが第1穴部135f1の前部(長穴135fの前部)に移動して、刈刃クラッチレバー本体131が前方位置に移動し、刈刃クラッチ79が伝達状態となることが防がれる。
図19に示すように、第2規制部134は、刈刃クラッチレバー130の第1部位131aの一端部(左端部)から後方に延びている。これにより、刈刃クラッチレバー130は、平面視にて略L字状を呈している。第2規制部134は、刈刃クラッチレバー本体131と一体に形成されている。そのため、刈刃クラッチレバー130の回動に伴って、第2規制部134は縦軸138回りに回動する。つまり、第2規制部134は、刈刃クラッチレバー130の第1位置と第2位置との切り換え操作に伴って縦軸138回りに回動しながら移動する。図19において、刈刃クラッチレバー130が第1位置(前方位置)にあるときの第2規制部134の位置を仮想線で示し、刈刃クラッチレバー130が第2位置(後方位置)にあるときの第2規制部134の位置を実線で示している。第2規制部134は、刈刃クラッチレバー130が第2位置から第1位置に切り換えられたときに、操縦ハンドル5の第2ハンドル部56の上方を横切る方向(第2ハンドル部56と交差する方向)に移動する。
アクセルレバー120の第1規制部123は、アクセルレバー120が伝達位置にあるときに、刈刃クラッチレバー130の第1位置への切り換えを阻止する。
具体的には、アクセルレバー120の第1規制部123は、アクセルレバー120が伝達位置にあるときに、操縦ハンドル5の第2ハンドル部56より上方に突出して第2規制部134の移動経路を遮る。つまり、アクセルレバー120が伝達位置にあるとき、第1規制部123は、図20の仮想線で示す位置にあって第2規制部134の移動経路を遮ることにより、第2規制部134が図19の実線位置から仮想線位置に移動することを阻止する。そのため、刈刃クラッチレバー130を、第2位置から第1位置に切り換えようとしても、第2規制部134の移動が第1規制部123によって阻止され、第1位置に切り換えることができない。これにより、作業者がアクセルレバー120を把持して伝達位置としているときに、刈刃クラッチレバー130に意図せずに接触した場合でも、刈刃クラッチレバー130が第1位置に切り換わって刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)が回転することがなく安全である。
次に、図1、図2、図23〜図26に基づいて、変速レバー140及び調節レバー150について説明する。
図1、図2に示すように、変速レバー140及び調節レバー150は、第1ハンドル部55の第1把持部55aの近傍に設けられている。
先ず、変速レバー140について説明する。
変速レバー140は、変速装置84を切り換え操作するためのレバーである。図23、図24に示すように、変速レバー140は、変速レバー本体141と第3係止部142とを有している。
図2に示すように、変速レバー本体141は、第1把持部55aの前方に配置されており、上方且つ前方に延びている。変速レバー本体141は、横軸143回りに回動可能に設けられている。横軸143は、第1把持部55aの前方において第1ハンドル部55の下方に配置されており、機体幅方向に延びている。変速レバー本体141は、下部が横軸143回りに回動可能に支持されている。
変速レバー本体141の下部は、横軸143を介してブラケット144に支持されている。図23〜図26に示すように、ブラケット144は、上板部144a、前板部144b、下板部144c、右板部144d、左板部144eを有している。上板部144aは、第1ハンドル部55の上部に取り付けられており、第1把持部55aより前方に位置している。上板部144aは、第1溝穴221と第2溝穴222とを有している。第1溝穴221と第2溝穴222は、機体幅方向に並設されており、前後方向に延びている。
第1溝穴221には、変速レバー本体141が挿通されている。変速レバー本体141は、第1溝穴221を通って上下方向に延びており、変速レバー本体141の上部は第1溝穴221の上方に位置している。図23に示すように、第1溝穴221には、変速レバー本体141を係止可能な複数の係止部が設けられている。当該係止部は、前係止部221aと、後係止部221bと、中間係止部221cと、を含む。前係止部221aは、第1溝穴221の前部に設けられている。後係止部221bは、第1溝穴221の後部に設けられている。中間係止部221cは、前係止部221aと後係止部221bの中間位置に設けられている。
第2溝穴222には、調節レバー150が挿通されている。図23に示すように、第2溝穴222には、後述する調節レバー本体151を係止可能な複数の係止部が設けられている。当該係止部は、第2溝穴222の後部から前部に向けて間隔をあけて順次設けられた係止部222a、222b、222c、222dを含む。
前板部144bは、上板部144aの前縁から屈曲して下方に延びている。前板部144bは、第3保持部145と第4保持部146とを有している。第3保持部145は、後述する第3操作ケーブル180の外筒部材181の一端部を保持する。第4保持部146は、後述する第4操作ケーブル190の外筒部材191の一端部を保持する。下板部144cは、上板部144aから下方に延びており、第1把持部55aより前方に位置している。下板部144cには、横軸143が取り付けられている、変速レバー本体141の下部は、横軸143を介して下板部144cに対して回動可能に取り付けられている。これにより、図24に実線と仮想線で表したように、変速レバー本体141は、横軸143回りに回動可能となっている。
図26等に示すように、右板部144dは、上板部144aの右縁から湾曲して下方に延びている。右板部144dは、第1ハンドル部55の外周面に沿って取り付けられている。左板部144eは、上板部144aの左縁から湾曲して下方に延びている。左板部144eは、前板部144bの左縁と接続されている。
図24に示すように、第3係止部142は、変速レバー本体141の下部に設けられている。第3係止部142は、横軸143の上方であって且つ上板部144aの下方に配置されている。第3係止部142には、バネ148の一端部が係止されている。バネ148の他端部は、操作ケーブル180(以下、「第3操作ケーブル180」という)の一端部と接続されている。第3操作ケーブル180は、外筒部材(アウター)181とワイヤ(インナー)182とを有している。ワイヤ181は、外筒部材182に対して移動可能に収容されており、外筒部材182から突出した一端部がバネ148の他端部と接続されている。外筒部材182の一端部は、ブラケット144の第3保持部145に保持されている。図17に示すように、ワイヤ182の他端部は、変速装置84の変速操作軸89に接続されている。
変速レバー140を横軸143回りに揺動すると、ワイヤ182が移動して変速操作軸89が操作され、シフトフォーク98が移動する。これにより、シフトギヤ95が第2変速ギヤ96と噛み合う高速状態(前進状態)と、第2スプロケット97と噛み合う低速状態(後進状態)と、第2変速ギヤ96及び第2スプロケット97と噛み合わない中立状態(停止状態)とに切り換わる。具体的には、変速レバー本体141を第1溝穴221の前係止部221aに係止したとき、シフトギヤ95が第2変速ギヤ96と噛み合う高速状態(前進状態)となる。変速レバー本体141を第1溝穴221の後係止部221bに係止したとき、シフトギヤ95が第2スプロケット97と噛み合う低速状態(後進状態)となる。変速レバー本体141を第1溝穴221の中間係止部221cに係止したとき、シフトギヤ95が第2変速ギヤ96及び第2スプロケット97と噛み合わない中立状態(停止状態)となる。
次に、調節レバー150について説明する。
調節レバー150は、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を調節するためのレバーである。図23、図25に示すように、調節レバー150は、調節レバー本体151と、ケーブル接続部152と、を有している。
図2に示すように、調節レバー本体151は、第1把持部55aの前方に配置され、上下方向に延びている。図25に示すように、調節レバー本体151は、横軸143回りに回動可能に設けられている。調節レバー本体151は、変速レバー本体141の右方に配置され、下部が横軸143に回動可能に支持されている。
図25に示すように、調節レバー本体151の下部は、横軸143を介してブラケット144に支持されている。調節レバー本体151は、ブラケット144の第1溝穴144eを通って上下方向に延びており、調節レバー本体151の上部は第1溝穴144eの上方に位置している。調節レバー本体151の下部は、横軸143を介して下板部144cに対して回動可能に取り付けられている。これにより、図25に実線と仮想線で表したように、調節レバー本体151は、横軸143回りに回動可能となっている。
調節レバー150を横軸143回りに回動させることにより、調節レバー本体151を第1溝穴144eに沿って前後方向に移動させることができる。調節レバー本体151は、係止部222a、222b、222c、222dに対して選択的に係止されることによって、前後方向の複数の位置に選択的に保持される。調節レバー本体151は、横軸143に装着されたバネ149によって、係止部222a、222b、222c、222dに係止される方向(右方)に向けて付勢されている。このバネ149の付勢力によって、調節レバー本体151は係止部に係止された状態が維持される。調節レバー本体151を揺動させるときには、作業者がバネ149の付勢力に抗して調節レバー本体151を左方に移動させて係止部から離脱させる。
図25に示すように、ケーブル接続部152は、調節レバー本体151の下部に設けられている。ケーブル接続部152は、横軸143の上方であって上板部144aの下方に位置している。ケーブル接続部152には、横軸153を介して操作ケーブル190(以下、「第4操作ケーブル190」という)の一端部(基端部)が接続されている。つまり、第4操作ケーブル190の基端部は、操縦ハンドル5に設けられた操作部としての調節レバー150に接続されている。
第4操作ケーブル190は、外筒部材(アウター)191とワイヤ(インナー)192とを有している。外筒部材191の一端部は、第4保持部146に保持されている。ワイヤ192は、外筒部材191に対して移動可能に収容されており、外筒部材191から突出した一端部(第4操作ケーブル190の基端部)がケーブル接続部152に接続されている。
第4操作ケーブル190の他端部(先端部)であるワイヤ192の他端部は、第2ハウジング7Bの上方に支持されている。具体的には、ワイヤ192の他端部は、後述する揺動リンク193(図1、図6等参照)に接続されている。これにより、第4操作ケーブル190は、操作部としての調節レバー150の操作に基づいて、第2ハウジング7Bを揺動させる引張力の付与又は解除を行うことができる。
図1、図6に示すように、第4操作ケーブル190の中途部(外筒部材191の他端部)は、第1ハウジング7Aの上方に支持部材200によって支持されている。支持部材200は、変速装置84等を収容する第1伝動ケース(ミッションケース)101を第1ハウジング7Aの上方に支持している。図6、図17、図18に示すように、支持部材200は、第1支持部材201と第2支持部材202とを含む。
第1支持部材201は、第1伝動ケース101の機体幅方向の一方側(右側)の下部を支持している。第1支持部材201は、第1ハウジング7Aの上部に固定されている。第1支持部材201は、第1基部201aと第1起立部201bとを有している。第1基部201aは、ボルトB7及びナットN6(図17参照)によって第1ハウジング本体71の第1上板部71aの上面に取り付けられている。第1起立部201bは、第1基部201aから上方に立ち上がっている。図17に示すように、第1起立部201bは、ボルトB8によって第1伝動ケース101の右面下部に取り付けられている。これにより、第1伝動ケース101の右下部が第1支持部材201によって支持されている。図6に示すように、第1支持部材201の前部(第1起立部201bの前部)には、ケーブル支持部201cが設けられている。ケーブル支持部201cは、第2操作ケーブル170の外筒部材171の他端部を支持する。図17に示すように、第1起立部201bの後部には、チェーンケース100の前部がボルト等(図示略)により取り付けられる取付部201dが設けられている。
図6に示すように、第2支持部材202は、第1支持部材201の機体幅方向の一方(右方)に配置されている。図6、図17に示すように、第2支持部材202は、第1伝動ケース101の機体幅方向の他方側(左側)の下部を支持している。第2支持部材202は、第1支持部材201の機体幅方向の一方(右方)に配置されている。第2支持部材202は、第2基部202aと第2起立部202bとを有している。第2基部202aは、ボルトB9及びナットN7(図17参照)によって第2ハウジング本体73の第2上板部73aの上面に取り付けられている。第2起立部202bは、第2基部202aから上方に立ち上がっている。図17に示すように、第2起立部202bは、ボルトB10によって第2伝動ケース102の左面下部に取り付けられている。これにより、第2伝動ケース102の左下部が第2支持部材202によって支持されている。
図6〜図8に示すように、第2支持部材202は、第4操作ケーブル190の中途部(外筒部材191の他端部)を支持するケーブル支持部202cを有している。つまり、第2支持部材202は、第1伝動ケース(ミッションケース)101を支持する部材と、第4操作ケーブル190の中途部を支持する部材とを兼ねている。図6、図7、図18に示すように、ケーブル支持部202cは、第2起立部202bの後部に設けられている。ケーブル支持部202cは、第2起立部202bの後部から上方に延設されており、第4操作ケーブル190の中途部(外筒部材191の他端部)を支持可能な切り欠き202dを有している。切り欠き202dは、第2起立部202bの上部において、前方から後方に向けて切り欠かれている。切り欠き202dには、外筒部材191の他端部が嵌め入れられて支持される。
図1、図8、図27に示すように、第4操作ケーブル190の先端部であるワイヤ192の他端部(先端部)は、外筒部材191の他端部から突出して揺動リンク193の一端部に接続されている。揺動リンク193の他端部は、第2伝動ケース(伝達機構ケース)102に対して枢支軸194を介して揺動可能に枢支されている。図1、図8に示すように、外筒部材191の他端部から突出したワイヤ192は、ヒンジ軸心C1の上方に位置しており、機体幅方向においてヒンジ軸心C1とオーバーラップしている。
以下、調節レバー150による第2ハウジング7Bの揺動操作について説明する。
調節レバー本体151を後方に揺動して第2溝穴222の最後方に位置する係止部222aに係止したとき、第4操作ケーブル190のワイヤ192が操縦ハンドル5側に最も引っ張られた状態となり、外筒部材191の他端部から突出するワイヤ192の突出量が最小となる。図27に実線で示すように、この状態では、ケーブル支持部202cと枢支軸194とワイヤ192の先端部とが同一直線SL上に配置され、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾いていない第1位置に保持される。調節レバー本体151を第2溝穴222の最前方に位置する係止部222dに係止したとき、第4操作ケーブル190のワイヤ192が揺動リンク193側に最も引っ張られた状態となり、外筒部材191の他端部から突出するワイヤ192の突出量が最大となる。図27に仮想線で示すように、この状態では、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して最も傾斜した第2位置に保持される。
また、図示していないが、調節レバー本体151を第2溝穴222の係止部222bに係止したとき、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して第2位置よりも傾斜角度が大きく且つ第2位置よりも傾斜角度が小さい第3位置に保持される。調節レバー本体151を第2溝穴222の係止部222cに係止したとき、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して第3位置よりも傾斜角度が大きく且つ第2位置よりも傾斜角度が小さい第4位置に保持される。
このように、調節レバー150を横軸143回りに回動させて、調節レバー本体151を係止部222a、222b、222c、222dに対して選択的に係止することによって、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を調節することができる。
図8に示すように、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾いていない第1位置に保持された状態では、第1刈刃33と第2刈刃38とが同じ高さに並ぶため、広い面積の平面の草刈りを行うことができる。図28に示すように、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対して傾斜した位置(第2位置〜第4位置)に保持された状態では、第1刈刃33に対して第2刈刃38が傾斜するため、平面部と法面部とを有する畦や土手等において、第1刈刃33によって平面部の草刈り、第2刈刃38によって法面部の草刈りを行うことができる。また、平面部に対する法面部の傾斜角度に応じて、第1ハウジング7Aに対する第2ハウジング7Bの角度を調節することができる。
次に、図3〜図5、図29、図30に基づいて、ハウジング7に取り付けられた草排出カバー210について説明する。
草排出カバー210は、ハウジング7に設けられた切欠部70と共に、第1刈刃33及び第2刈刃38により刈り取られてハウジング7の内部に溜まった草をハウジング7の外部に間欠的に排出する草排出機構を構成している。
ハウジング7に設けられた切欠部70は、第1刈刃33及び第2刈刃38により刈り取られた草を、ハウジング7の外部に向けて後方へ通過させる。図3、図5、図30に示すように、切欠部70は、第1切欠部70aと第2切欠部70bを含む。
第1切欠部70aは、第1ハウジング本体71の第1後板部71bに設けられている。第1切欠部70aは、第1後板部71bの左下部の角を略矩形状に切り欠いて形成されている。図3、図5に示すように、第1後板部71bには、第1切欠部70aの右方に第3切欠部70cが設けられている。第3切欠部70cは、後輪4Rの前方において、第1後板部71bの下部を切り欠いて形成されている。第3切欠部70cの切り欠き高さ(第3切欠部70cの上縁)は、第1切欠部70aの切り欠き高さ(第1切欠部70aの上縁)よりも低い。第3切欠部70cの左部は、第1切欠部70aの右部と繋がっている。第1後板部71bは、右部(第3切欠部70cよりも右方部分)に、切り欠かれていない非切欠部71hを有している。図3に示すように、この非切欠部71hには、ゴム等から形成された弾性板77がボルトB11等により取り付けられている。図2に示すように、弾性板77は、非切欠部71hから下方に向けて延びている。
図3、図30に示すように、第2切欠部70bは、第2ハウジング本体73の第2後板部73bに設けられている。第2切欠部70bは、第2後板部73bの右下部の角を略矩形状に切り欠いて形成されている。図30に示すように、第2切欠部70bは第1切欠部70aよりも後方に位置している。図3に示すように、第2切欠部70bの切り欠き高さ(第2切欠部70bの上縁)は、第1切欠部70aの切り欠き高さ(第1切欠部70aの上縁)と略同じである。
第1切欠部70aは第1ハウジング本体71の左端部に形成され、第2切欠部70bは第2ハウジング本体73の右端部に形成されている。これにより、第1切欠部70aと第2切欠部70bは、機体幅方向においてヒンジ8を挟んで連続している。第2切欠部70bは、後輪4Rの側方(左方)に設けられており、機体幅方向において後輪4Rとオーバーラップしていない。
図3、図29、図30等に示すように、草排出カバー210は、第1部材211と第2部材212とを有している。
第1部材211は、第1ハウジング7Aに取り付けられている。第1部材211は、金属等の剛性材から形成されている。第1部材211は、取付板部211aとカバー板部211bとを有している。図29に示すように、カバー板部211bは取付板部211aに対して傾斜している。取付板部211aとカバー板部211bとは、金属等の剛性材からなる板を折り曲げることにより構成されている。図30に示すように、取付板部211aは、第1ハウジング本体71の第1上板部71aの上面にボルトB12及びナットN8により取り付けられる。取付板部211aの具体的な取り付け位置は、第1上板部71aに設けられた長穴71gとヒンジ8との間である。取付板部211aは、右前部が矩形状に切り欠かれており、この切り欠かれた部分に長穴71gが配置されている。取付板部211aは、第1上板部71aに取り付けられた状態で、第1上板部71aの上方、ヒンジ8の上方、第2上板部73aの上方に跨って配置される。
図29に示すように、カバー板部211bは、取付板部211aの後部から屈曲して下方且つ後方(斜め下後方)に延びており、第2後板部73bの後方に配置されている。これにより、カバー板部211bは、第1切欠部70a及び第2切欠部70bの後方に配置されている。図3、図30に示すように、カバー板部211bの右縁は第1切欠部70aの右縁よりも右方に配置され、カバー板部211bの左縁は第2切欠部70bの左縁よりも左方に配置されている。カバー板部211bの下縁の高さ(第1部材211の下縁の高さ)は、第3切欠部70cの上縁の高さと同じに設定されている。
図29、図30に示すように、第2部材212は、第1部材211に対して取付部材215により取り付けられている。第2部材212は、弾性板213と剛性板214とを有している。弾性板213は、ゴムや軟質樹脂等の弾性材から形成されており、可撓性を有している。弾性板213は矩形状であって、弾性板213の機体幅方向の長さは、カバー板部211bの機体幅方向の長さ以上に設定されている。弾性板213の上部はカバー板部211bの後面に当接しており、弾性板213の下部はカバー板部211bの下縁よりも下方に延びている。剛性板214は、金属等の剛性材から形成されている。剛性板214は弾性板213の上部の後面に当接しており、剛性板214の下縁はカバー板部211bの下縁と略同じ高さに位置している。
剛性板214及び弾性板213は、取付部材215を構成するボルトB13及びナットN9によってカバー板部211bに取り付けられている。ボルトB13及びナットN9は、剛性板214、弾性板213、カバー板部211bを共締めしている。これにより、弾性板213の上部は、剛性板214とカバー板部211bとの間で挟持されている。
図3、図29、図30に示すように、弾性板213は、下部に可動部213aを有している。詳しくは、弾性板213の第1部材211に対する取付部分215(取付部材215が設けられた部分)よりも下方が、第1部材211に対して揺動可能な可動部213aとなっている。可動部213aは、取付部分215を支点として第1部材211に対して前方又は後方に揺動可能である。図29に示すように、第2部材212は、第1部材211に対する取付部分215が、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)よりも上方に配置されている。言い換えると、取付部分215の高さH2は、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)の高さH3よりも高い。また、弾性板213の上下方向の長さL6(弾性板213が屈曲していない状態における上下方向の長さ)は、第1部材211の上下方向の長さL7の2倍以上に設定されている。
図3、図29、図30に示すように、第2部材212(弾性板213、剛性板214)は、切欠部(第1切欠部70a、第2切欠部70b)の後方を覆っている。図29に示すように、第2部材212は、取付部分215から下方に延びるにつれて、後方に移行するとともに、第2後板部73bとの前後方向の距離L8が次第に大きくなるように傾斜している。別の言い方をすれば、取付板部211aに対する第2部材212の傾斜角度は、第2上板部73aに対する第2後板部73bの傾斜角度よりも大きい。
図29に示すように、弾性板213の下端部(草排出カバー210の下端部)は、第2後板部73bの下端部よりも下方に位置しており、地面Gに当接又は近接する。また、弾性板213の下端部は、後輪4Rの回転軸45よりも前方に位置している。
以下、草排出機構(切欠部70、草排出カバー210)の作用について説明する、
草刈部3の第1刈刃33及び第2刈刃38が回転して草が刈り取られると、刈り取られた草は、ハウジング7(第1ハウジング7Aと第2ハウジング7B)の内部で後方に移動する。ここで、第1後板部71bと第2後板部73bは、後方に向かうにつれて機体内方に移行しているため、ハウジング7の内部で後方に移動した草は、第1後板部71bと第2後板部73bの内面に沿って機体内方に移動し、切欠部70に到達するが、切欠部70を覆う草排出カバー210により受け止められる。そのため、草刈りの継続に伴って、刈り取られた草がハウジング7の内部に蓄積していく。
刈り取られた草がハウジング7の内部に蓄積していくと、草排出カバー210の弾性板213は、蓄積した草から後方に向けて押圧力を受ける。草の蓄積量が少ない段階では、弾性板213の可動部213aが草から受ける押圧力が小さい。そのため、弾性板213の可動部213aは揺動せずに、切欠部(第1切欠部70a、第2切欠部70b)の後方が覆われた状態が維持され、草の蓄積が続く。草の蓄積量が多くなると、可動部213aが草から受ける押圧力が大きくなるため、可動部213aが後方に向けて揺動する。これにより、切欠部(第1切欠部70a、第2切欠部70b)の後方が開放され、当該切欠部を通って草がハウジング7の外部に排出される。
これにより、刈り取られた草がハウジング7の内部に一定量蓄積される度に、蓄積された草がハウジング7の外部に排出される。そのため、草刈機1の進行に伴って、草刈機1の後方に一定量の草の塊が一定の間隔で残されることとなり、刈り取られた草の処理(廃棄)を容易に行うことが可能となる。
以下、上記実施形態の草刈機1の効果について説明する。
草刈機1は、原動機10と、原動機10の動力により駆動する走行輪(後輪)4Rと、原動機10の動力により回転する刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)と、原動機10から刈刃33、38への動力を伝達又は遮断する刈刃クラッチ79と、刈刃クラッチ79を伝達状態とする第1位置と遮断状態とする第2位置とに切り換え操作可能な刈刃クラッチレバー130と、原動機10の動力を走行輪4Rに伝達しないアイドリング位置と走行輪4Rに伝達する伝達位置とに切り換え操作可能なアクセルレバー120と、を備え、アクセルレバー120は、当該アクセルレバー120が伝達位置にあるときに刈刃クラッチレバー130の第1位置への切り換えを阻止する第1規制部123を有している。
この構成によれば、アクセルレバー120が伝達位置にある時には、第1規制部123によって刈刃クラッチレバー130を刈刃クラッチ79を伝達状態とする第1位置への切り換えが阻止される。そのため、作業者がアクセルレバー120を伝達位置としているときに、刈刃クラッチレバー130に意図せずに接触した場合でも、刈刃クラッチレバー130が第1位置に切り換わって刈刃33、38が回転することがなく安全である。
また、刈刃クラッチレバー130は、第1位置と第2位置との切り換え操作に伴って移動する第2規制部134を有し、第1規制部123は、アクセルレバー120が伝達位置にあるときに、第2規制部134の移動経路を遮ることによって刈刃クラッチレバー130の第1位置への切り換えを阻止する。
この構成によれば、アクセルレバー120が伝達位置にあるときに、第1規制部123が第2規制部134の移動経路を遮ることで第2規制部134の移動が阻害されるため、刈刃クラッチレバー130が第1位置に切り換わることを確実に阻止できる。
また、第1規制部123は、アクセルレバー120のアイドリング位置から伝達位置への切り換え操作に伴って横軸124回りに回動し、第2規制部134は、刈刃クラッチレバー130の第2位置から第1位置への切り換え操作に伴って横軸124と交差する方向に延びる縦軸138回りに回動する。
この構成によれば、第1規制部123と第2規制部134とを交差する角度で接触させることができるため、第1規制部123と第2規制部134とを確実に接触させて、第2規制部134の移動を阻止することが可能となる。
また、草刈機1は、原動機10が搭載された機体2と、機体2に取り付けられた操縦ハンドル5と、を備え、第2規制部134は、刈刃クラッチレバー130が第2位置から第1位置に切り換えられたときに、操縦ハンドル5の上方を横切る方向に移動し、第1規制部123は、アクセルレバー120が伝達位置にあるときに、操縦ハンドル5より上方において第2規制部134の移動経路を遮る。
この構成によれば、第1規制部123と第2規制部134とを操縦ハンドル5より上方において接触させて、第2規制部134の移動を阻止することができる。そのため、第1規制部123と第2規制部134が正常に動作していること(第2規制部134の移動の阻止が確実に行われていること)を目視で確認することができる。
また、アクセルレバー120は、操縦ハンドル5の下方において横軸回りに回動可能に設けられたアクセルレバー本体121を有し、第1規制部123は、アクセルレバー本体121から上方に延設されている。
この構成によれば、アクセルレバー本体121を操縦ハンドル5と共に把持する動作によって、第1規制部123が規制位置(第2規制部134と接触する位置)へと移動するため、特別な操作を必要とせずに、第1規制部123によって第2規制部134の移動を規制することができる。
また、刈刃クラッチレバー130は、操縦ハンドル5の上方且つ第1規制部123よりも前方において縦軸138回りに回動可能に設けられた刈刃クラッチレバー本体131を有し、第2規制部134は、刈刃クラッチレバー本体131から後方に延設されている。
この構成によれば、刈刃クラッチレバー本体131を縦軸回りに回動させるという簡単な動作で第2規制部134を移動させて、アクセルレバー120が伝達位置にあるときに第1規制部123と接触させることができる。
また、草刈機1は、機体2と、機体2に搭載され且つ下向きに延びる出力軸10aを有する原動機10と、機体幅方向の一方側に配置された第1草刈部3Aと、機体幅方向の他方側に配置された第2草刈部3Bと、第1草刈部3Aの後方に配置された後輪4Rと、第1草刈部3Aの前方に配置された第1前輪4F1と、第2草刈部3Bの前方に配置された第2前輪4F2と、第1草刈部3Aの後方に延設された操縦ハンドル5と、を備え、原動機10は、操縦ハンドル5の前方であって且つ第1草刈部3Aの上方に配置され、出力軸10aは、後輪4Rよりも機体幅方向の一方側に配置されている。
この構成によれば、原動機10の出力軸10aが後輪4Rよりも機体幅方向の一方側に配置されていることによって、重量物である原動機10の重量が後輪4Rよりも機体幅方向の一方側に偏り、後輪4Rよりも機体幅方向の他方側にある第2草刈部3B等の重量とのバランスが良好となる。そのため、後輪4Rを基準とした機体幅方向における重量バランスが良くなり、草刈機1の操作性が向上する。
また、出力軸10aは、前後方向において第1前輪4F1の中心軸と後輪4Rの中心軸との中間位置よりも後方に配置されている。
この構成によれば、原動機10の重心位置を後輪4Rに近づく方向にずらすことができるため、操縦ハンドル5を把持した状態で後輪4Rを支点として機体2の前部を持ち上げる操作を容易に行うことが可能となる。
また、第1草刈部3Aは、原動機10からの動力により回転する第1回転軸31と、第1回転軸31と共に回転する第1刈刃33と、を有し、第2草刈部3Bは、原動機10からの動力により回転する第2回転軸36と、第2回転軸36と共に回転する第2刈刃38と、を有し、出力軸10aは、第1回転軸31及び第2回転軸36よりも後方に配置されている。
この構成によれば、重量物である原動機10の重心位置を、草刈部(第1草刈部3A、第2草刈部3B)の重心位置よりも後方とすることができる。これにより、草刈機1の前後方向の重量バランスが良好となり、草刈機1の操作性が向上する。
また、機体2は、第1草刈部3Aの上方をカバーする第1ハウジング7Aと、第2草刈部3Bの上方をカバーする第2ハウジング7Bと、を有し、操縦ハンドル5は、第1ハウジング7Aの機体幅方向の一方側を下方から支持する一方支持部51と、第1ハウジング7Aの機体幅方向の他方側を下方から支持する他方支持部52と、を有し、出力軸10aは、機体幅方向において一方支持部51とオーバーラップする位置に配置されている。
この構成によれば、重量物である原動機10の重心位置付近において、操縦ハンドル5の一方支持部51によって第1ハウジング7Aを下方から支持することができる。そのため、第1ハウジング7A及び原動機10が操縦ハンドル5によって安定して支持され、草刈機1の操作性が向上する。
また、原動機10は、他方支持部52よりも機体幅方向の一方側に配置されている。
この構成によれば、原動機10の重心位置を他方支持部52よりも機体幅方向の一方側にずらすことができるため、機体幅方向の他方側にある第2草刈部3B等の重量とのバランスが良好となり、草刈機1の操作性が向上する。
また、草刈機1は、機体2と、機体幅方向の一方側に配置された第1草刈部3Aと、機体幅方向の他方側に配置され且つ前後方向に延びるヒンジ軸心C1回りに第1草刈部3Aに対して揺動可能な第2草刈部3Bと、第1草刈部3Aの前方に配置された第1前輪4F1と、第2草刈部3Bの前方に配置された第2前輪4F2とを含む一対の前輪と、を備え、一対の前輪は、外径、幅及び機体2に対して当該前輪の回転軸を支持する支持機構13,14が共通している。
この構成によれば、一対の前輪(第1前輪4F1、第2前輪4F2)の外径、幅及び支持機構13、14が共通しているため、草刈機1の部品の種類を削減することができ、製造効率の向上、修理や交換等のメンテナンス性の向上、製造コストの削減を実現することができる。
また、機体2は、第1草刈部3Aの少なくとも上方をカバーする第1ハウジング7Aと、第2草刈部3Bの少なくとも上方をカバーする第2ハウジング7Bと、を有し、第1前輪4F1は、第1ハウジング7Aの前端部の前方と後方とに跨って配置され、第2前輪4F2は、第2ハウジング7Bの前端部の前方と後方とに跨って配置されている。
この構成によれば、第1ハウジング7A及び第2ハウジング7Bの前後方向の長さを短くすることができて、機体2がコンパクトになるため、草刈機1を軽量化して操作性の向上を実現することができる。
また、第1前輪4F1の回転軸41cは第1ハウジング7Aよりも前方に配置され、第2前輪4F2の回転軸43cは第2ハウジング7Bよりも前方に配置されている。
この構成によっても、第1ハウジング7A及び第2ハウジング7Bの前後方向の長さを短くすることができて、機体2がコンパクトになるため、草刈機1を軽量化して操作性の向上を実現することができる。
また、第1ハウジング7Aは、第1草刈部3Aの上方をカバーする第1ハウジング本体71と、第1ハウジング本体71の前端部から下方に延設された第1前カバー72と、を有し、第2ハウジング7Bは、第2草刈部3Bの上方をカバーする第2ハウジング本体73と、第2ハウジング本体73の前端部から下方に延設された第2前カバー74と、を有し、第1前カバー72は、下端部から上方に切り込まれた第1切り込み部72aを有し、第2前カバー74は、下端部から上方に切り込まれた第2切り込み部74aを有し、第1前輪4F1は、第1切り込み部72aの前方と後方とに跨って配置され、第2前輪4F2は、第2切り込み部74aの前方と後方とに跨って配置されている。
この構成によれば、第1前輪4F1の上方及び側方が第1前カバー72によって覆われ、第2前輪4F2の上方及び側方が第2前カバー74によって覆われる。そのため、第1前輪4F1及び第2前輪4F2の上方や側方から土砂等の異物が第1ハウジング7Aや第2ハウジング7Bの内部に侵入することを防止できる。
また、第1前カバー72及び第2前カバー74は、弾性材からなるシートから構成されている。
この構成によれば、第1前カバー72及び第2前カバー74は負荷が加わったときに弾性変形するため、進行方向の前方にある草を第1ハウジング7A及び第2ハウジング7Bの内部に円滑に取り入れて第1草刈部3A及び第2草刈部3Bへと導くことができる。
また、第1前輪4F1及び第2前輪4F2は、機体幅方向の他方側に、径外方向に突出する滑り止め用の突出部42,44を有している。
この構成によれば、機体幅方向の他方側に設けられた突出部42,44によって、第1前輪4F1を平面上で走行させ且つ第2前輪4F2を法面上で走行させたときに、第2前輪4F2が法面に沿って滑ることが防がれる。そのため、草刈機1が法面上を滑り落ちることが防止できて安全である。また、第1前輪4F1と第2前輪4F2とが同じ側に突出部42,44を有しているため、第1前輪4F1と第2前輪4F2とを代替可能な共通な部品とすることができる。
また、支持機構13,14は、第1ハウジング7Aに取り付けられて第1前輪4F1を支持する第1前輪支持アーム16と、第2ハウジング7Bに取り付けられて第2前輪4F2を支持する第2前輪支持アーム20と、を有し、第1前輪支持アーム16は、第1前輪4F1の径内側から径外側に向かうにつれて幅広となる第1草巻付き防止部23を有し、第2前輪支持アーム20は、第2前輪4F2の径内側から径外側に向かうにつれて幅広となる第2草巻付き防止部24を有している。
この構成によれば、第1草巻付き防止部23及び第2草巻付き防止部24がそれぞれ第1前輪4F1及び第2前輪4F2の後方への草の侵入を防ぐことによって、第1前輪4F1及び第2前輪4F2に草が巻き付くことを防止することができる。また、第1前輪支持アーム16が第1草巻付き防止部23を有し、第2前輪支持アーム20が第2草巻付き防止部24を有するため、前輪4Fへの草の巻き付き防止のための部材を別部材として用意する必要がなく、草刈機1の組み立て工数の削減や軽量化を実現することができる。
また、草刈機1は、縦軸回りに回転する回転軸(第1回転軸31、第2回転軸36)と、回転軸31,36に取り付けられ且つ回転軸31,36の径外方向に延設された支持体(第1支持体32、第2支持体37)と、支持体32,37に対して縦軸回りに揺動可能に枢支された基端部33a,38aと、支持体32,37から突出する先端部33e,38eと、を有する刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)と、回転軸31,36の周囲を囲う筒状部34b,39bを有する草巻き付き防止体(第1草巻き付き防止体34、第2草巻き付き防止体39)と、を備え、筒状部34b,39bは、回転軸31,36と基端部33a,38aとの間であって且つ刈刃33,38が回転軸31,36に接近する内方向に揺動したときに刈刃33,38が接触する位置に配置されている。
この構成によれば、刈刃(第1刈刃33、第2刈刃38)が回転軸(第1回転軸31、第2回転軸36)に接近する内方向に揺動したときに、筒状部34bに接触することによって、刈刃33,38が回転軸31,36に接触することを防止できる。
また、筒状部34bは、刈刃33,38が内方向に揺動したときに、刈刃33,38の先端部33e,38eと基端部33a,38aとの間の中間部が接触する位置に配置されている。
この構成によれば、刈刃33,38の先端部33e,38e(先端部の角等)が筒状部34bに当たることによって、筒状部34b,39bや先端部33e,38eが損傷することを防止できる。
また、草巻付き防止体34,39は筒状部34b,39bの下部に底板34a,39aを有し、支持体32,37は底板34a,39aに取り付けられている。
この構成によれば、支持体32,37を筒状部34b,39bの下部に安定した姿勢で取り付けることができ、筒状部34b,39bに対する刈刃33,38の取り付けを確実に且つ正確に行うことができる。
また、筒状部34b,34bは、底板39a,39aに近づくにつれて小径となる円錐台状に形成されている。
この構成によれば、刈刃33,38の基端部33a,38aを、筒状部34b,34bへの接触を回避しながら回転軸31,36に近づけて配置することができる。
また、刈刃33,38の基端部33a,38aを支持体32,37に対して枢支する枢支部材11を備え、枢支部材11は、刈刃33,38の基端部33a,38aと支持体32,37とを貫通するねじ軸を有するボルト11aと、ボルト11aのねじ軸に螺合される袋ナット11bと、を有している。
この構成によれば、刈刃33,38の基端部33a,38aを支持体32,37に対して枢支された状態で確実に且つ強固に取り付けることができる。また、割りピン等を使用した場合と比べて、支持体32,37に対する刈刃33,38の着脱を容易に行うことができるため、メンテナンス性に優れている。
また、草刈機1は、縦軸回りに回転する刈刃33,38と、刈刃33,38の上方を覆う上板部71a,73aと、上板部71a,73aから下方に延設されて刈刃33,38の後方を覆う後板部71b,73bと、を有するハウジング7と、ハウジング7に取り付けられた第1部材211と、第1部材211に取り付けられると共に第1部材211に対して揺動可能な可動部213aを含む第2部材212と、を有する草排出カバー210と、を備え、後板部71b,73bは、刈刃33,38により刈り取られた草を後方へ通過させる切欠部70a,70bを有し、第2部材212は、切欠部70a,70bの後方を覆い且つ第1部材211に対する取付部分215が刈刃33,38よりも上方に配置されている。
この構成によれば、刈刃33,38によって刈り取られた草がハウジング7の内部に蓄積すると、第2部材212の可動部213aが取付部分215を支点として後方に揺動するため、蓄積した草を切欠部70a,70bを通過させてハウジング7の外部に間欠的に排出することができる。また、第2部材212の第1部材211に対する取付部分215が刈刃33,38よりも上方に配置されているため、第2部材212の可動部213aに適度な可撓性(こし)を持たせることができる。これにより、ハウジング7の内部に草が蓄積したタイミングで可動部213aを後方に揺動させることができる。そのため、ハウジング7の内部に蓄積した草を適当なタイミングで間欠的にハウジング7の外部へと確実に排出することができる。
また、後板部71b,73bは、上板部71a,73aから下方に延びるにつれて後方に移行するように傾斜し、第2部材212は、取付部分215から下方に延びるにつれて後方に移行するとともに後板部71b,73bとの前後方向の距離が次第に大きくなるように傾斜している。
この構成によれば、ハウジング7の後板部71b,73bと草排出カバー210の第2部材212との前後方向の距離を長く確保することができる。そのため、ハウジング7を大型化することなく、ハウジング7内の後部に蓄積される草の量を増加させることができる。これにより、ハウジング7の内部に蓄積した草を、大きな塊としてハウジング7の外部に円滑に排出することが可能となる。
また、刈刃33,38の前方に設けられた前輪4Fと、刈刃33,38の後方に設けられた後輪4Rと、を備え、草排出カバー210の下端部は、後輪4Rの回転軸45よりも前方に位置している。
この構成によれば、ハウジング7内部に蓄積した草の塊を、草排出カバー210を介して後輪4Rの回転軸45よりも前方に排出することができる。そのため、草の塊の排出に後輪4Rの回転が影響を及ぼすことを防止できる。
また、第2部材212は、可動部213aを下部に有する弾性板213と、弾性板213の上部を第1部材211との間で挟持する剛性板214と、を有し、弾性板213の上下方向の長さは、第1部材211の上下方向の長さの2倍以上に設定されている。
この構成によれば、第1部材211に草が引っ掛かってハウジング7の外部への排出が阻害されることが防止され、ハウジング7の内部に蓄積した草をハウジング7の外部に円滑に排出することができる。
また、刈刃は、第1縦軸回りに回転する第1刈刃33と、第2縦軸回りに回転する第2刈刃38と、を含み、ハウジング7は、第1刈刃33の上方を覆う第1上板部71aと、第1上板部71aから下方に延設されて第1刈刃33の後方を覆う第1後板部71bと、を有する第1ハウジング7Aと、第2刈刃38の上方を覆う第2上板部73aと、第2上板部73aから下方に延設されて第2刈刃38の後方を覆う第2後板部73bと、を有する第2ハウジング7Bと、を含み、切欠部は、第1後板部71bに設けられた第1切欠部70aと、第1切欠部70aと連続し且つ第2後板部73bに設けられた第2切欠部70bと、を含む。
この構成によれば、第1刈刃33と第2刈刃38の回転によって刈り取られた草を、第1切欠部70a及び第2切欠部70bを通して、第1ハウジング7A及び第2ハウジング7Bの外部に排出することができる。そのため、刈り取られた草をハウジング内部に多く蓄積してから、大きな塊としてハウジング外部に排出することができる。
また、後輪4Rは第1ハウジング7Aの後方に配置され、第2切欠部70bは第1切欠部70aよりも後方であって且つ後輪4Rの側方に設けられている。
この構成によれば、第1切欠部70aと第2切欠部70bとが前後方向にずれて配置されるため、第2部材212と第1切欠部70aとの前後方向の距離を長くすることができる。これにより、第1ハウジング7Aの前後方向の長さを減少させながら、第2部材212の前方に蓄積される草の量を増加させることができる。
また、草刈機1は、第1ハウジング7Aと、第1ハウジング7Aに対してヒンジ軸心回りに揺動可能な第2ハウジング7Bと、を含む機体2と、機体2に搭載された原動機10と、原動機10の動力により駆動する走行輪(後輪)4Rと、機体幅方向の一方側に配置され且つ第1ハウジング7Aにカバーされた第1刈刃33を有する第1草刈部3Aと、機体幅方向の他方側に配置され且つ第2ハウジング7Bにカバーされた第2刈刃38を有する第2草刈部3Bと、原動機10の回転動力を変速して走行輪4Rに伝達する変速装置84を収容するミッションケース101と、第1ハウジング7Aの後方に延設された操縦ハンドル5と、操縦ハンドル5に設けられた操作部(調節レバー150)に接続された基端部と、第2ハウジング7Bの上方に支持された先端部とを有し、操作部の操作に基づいて第2ハウジング7Bを揺動させる引張力の付与又は解除を行う操作ケーブル(第4操作ケーブル190)と、ミッションケース101を第1ハウジング7Aの上方に支持する支持部材であって、操作ケーブル190の中途部を支持するケーブル支持部202cを有する支持部材(第2支持部材202)と、を備えている。
この構成によれば、ミッションケース101を第1ハウジング7Aの上方に支持する支持部材202が、操作ケーブル190の中途部を支持するケーブル支持部202cを有することから、操作ケーブル190の中途部を支持するための部材を別途用意する必要がない。そのため、部品点数を削減することができ、草刈機1を軽量化することができる。また、ミッションケース101を支持する支持部材202は、ミッションケース101を支持するために十分な強度を有しているため、操作ケーブル190の中途部を長期間にわたって確実に支持することができる。
また、原動機10からの回転動力を第2刈刃38に伝達する動力伝達機構(第2動力伝達機構63)と、動力伝達機構63を収容する伝達機構ケース102と、伝達機構ケース102に対して枢支軸194を介して揺動可能に枢支された揺動リンク193と、を備え、操作ケーブル190は、ケーブル支持部202cに支持された外筒部材191と、外筒部材191に移動可能に収容され且つ外筒部材191から突出する先端部が揺動リンク193に接続されたワイヤ192と、を有している。
この構成によれば、動力伝達機構63を収容する伝達機構ケース102によって、ワイヤ192の先端部が接続された揺動リンク193を支持することができるため、ワイヤ192の先端部を支持するための部材を別途用意する必要がない。そのため、部品点数を削減することができ、草刈機1を軽量化することができる。
また、ワイヤ192の外筒部材191からの突出量が最小であるときに、ケーブル支持部202cと枢支軸194とワイヤ192の先端部とが一直線上(直線SL上)に配置される。
この構成によれば、ワイヤ192を引っ張ったときに、ワイヤ192に対して過剰な曲げ力が加わることが防がれ、ワイヤ192の曲がりや破断を防止することができる。
また、支持部材202は第1ハウジング7Aの上部に固定されており、伝達機構ケース102は第2ハウジング7Bの上方に配置されている。
この構成によれば、操作ケーブル190を第1ハウジング7Aの上方から第2ハウジング7Bの上方にわたって円滑に配策することができる。
また、ヒンジ軸心C1と外筒部材191から突出したワイヤ192は、機体幅方向においてオーバーラップしている。
この構成によれば、第2ハウジング7Bが第1ハウジング7Aに対してヒンジ軸心回りに揺動させたときに、ワイヤ192に対して過剰な曲げ力が加わることが防がれ、ワイヤ192の曲がりや破断を防止することができる。
また、草刈機1は、機体2と、機体幅方向の一方側に配置された第1草刈部3Aと、機体幅方向の他方側に配置された第2草刈部3Bと、第1草刈部3Aの後方に配置された後輪4Rと、第1草刈部3Aの前方に配置された第1前輪4F1と、第2草刈部3Bの前方に配置された第2前輪4F2と、第1草刈部3Aの後方に延設された操縦ハンドル5と、を備え、操縦ハンドル5は、機体幅方向の一方側に設けられた第1把持部55aを有する第1ハンドル部55と、機体幅方向の他方側に設けられた第2把持部56aを有する第2ハンドル部56と、を有し、機体幅方向において、後輪4Rの幅方向中心と第1把持部55aとの距離は、後輪4Rの幅方向中心と第2把持部56aとの距離よりも大きい。
この構成によれば、第1把持部55a及び第2把持部56aを把持する作業者は、後輪4Rの幅方向中心よりも機体幅方向の一方側に寄った位置で草刈機1を操縦することができる。そのため、第2草刈部3Bで草が刈られる地面が第1草刈部3Aで草が刈られる地面に対して傾斜する傾斜面(法面)である場合に、作業者は傾斜面から離れた位置を安全に歩行しながら草刈機1を操作することができ、操作性に優れている。
また、機体幅方向における第1把持部55aと第2把持部56aとの間の中心C5は、第1前輪4F1及び第2前輪4F2よりも機体幅方向の一方側(右側)に位置している。
この構成によれば、第1把持部55a及び第2把持部56aを把持する作業者は、第1前輪4F1及び第2前輪4F2よりも機体幅方向の一方側に寄った位置で草刈機1を操縦することができる。そのため、第1前輪4F1を平面に接地し、第2前輪4F2を傾斜面(法面)に接地して草刈機1を走行させた場合に、作業者は傾斜面から離れた位置を安全に歩行しながら草刈機1を操作することができ、操作性に優れている。
また、機体2に搭載され且つ下向きに延びる出力軸10aを有する原動機10を備え、機体2は、第1草刈部3Aの上方をカバーする第1ハウジング7Aと、第2草刈部3Bの上方をカバーする第2ハウジング7Bと、を有し、操縦ハンドル5は、第1ハウジング7Aの機体幅方向の一方側を下方から支持する一方支持部51と、第1ハウジング7Bの機体幅方向の他方側を下方から支持する他方支持部52と、を有し、出力軸10aは、機体幅方向において一方支持部51とオーバーラップする位置に配置されている。
この構成によれば、重量物である原動機10の重心位置付近において、操縦ハンドル5の一方支持部51によって第1ハウジング7Aを下方から支持することができる。そのため、第1ハウジング7A及び原動機10が操縦ハンドル5によって安定して支持され、草刈機1の操作性が向上する。
また、原動機10は、他方支持部52よりも機体幅方向の一方側に配置されている。
この構成によれば、原動機10の重心位置を他方支持部52よりも機体幅方向の一方側にずらすことができるため、機体幅方向の他方側にある第2草刈部3B等の重量とのバランスが良好となり、草刈機1の操作性が向上する。また、重量物である原動機10の重量中心が加わる位置(重心位置)を、第1把持部55aと第2把持部56aの中間位置に近づけることができ、草刈機1の操作性が向上する。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。