JP2019083439A - 可変インピーダンス回路、フィルタおよび増幅器 - Google Patents
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Abstract
【課題】よりコストが低い可変インピーダンス回路と、この可変インピーダンス回路を用いたフィルタおよび増幅器とを提供する。【解決手段】同一のノードにインピーダンスが異なる複数の容量性回路を、それぞれ複数のスイッチを介して並列に接続し、これら複数のスイッチの導通状態および遮断状態を切り替え可能なインピーダンス切替回路を設ける。ここで、複数のスイッチは、少なくとも1つが他とは異なるオン抵抗を有する。スイッチ側から見たインピーダンスが最小である容量性回路に、オン抵抗が最小であるスイッチを接続する。【選択図】図1
Description
本発明は可変インピーダンス回路と、この可変インピーダンスを用いたフィルタおよび増幅器とに関する。
近年、無線通信のブロードバンド化が進んでおり、無線周波数の不足が問題とされている。ブロードバンド無線通信に必要とされる周波数帯域を一括して確保することが困難であるため、複数の周波数帯域から使用可能な周波数帯域を選んで無線通信に使用する運用が一般的である。このため、無線通信の端末および基地局は、複数の周波数帯域に対応する複数の送受信機を備えている。しかしながら、無線通信に使用される周波数帯域の総数は増加する一方であり、使用する周波数帯域と同じ数の送受信機を備えることは無線通信端末の小型化を妨げるばかりか、コストアップにも繋がる。そこで、一つの無線通信回路で複数の周波数帯域に対応可能な、リコンフィギャラブル無線通信回路を用いて送受信機を構成することが考えられている。
リコンフィギャラブル無線通信回路としては、増幅器の周波数を可変とするものや、フィルタの中心周波数を可変とするものが知られている。例えば、非特許文献1(Design and Fabrication of Three−Bit Reconfigurable Bandpass Filter Using Branch−Line Type Variable Resonator)には、UHF帯で8つの中心周波数を切り替え可能なリコンフィギャラブルバンドパスフィルタに係る記載が開示されている。このフィルタは4分の1波長伝送線路共振器を2段縦続接続したものである。各共振器は、長さが異なる枝伝送線路が可変インピーダンス回路である。
また、非特許文献2(SHF帯3ビットリコンフィギャラブル帯域阻止フィルタ)には、可変インピーダンス回路を用いたリコンフィギャラブル帯域阻止フィルタに係る記載が開示されている。
さらに、非特許文献3(リコンフィギャラブルBPFにおけるRFスイッチの寄生素子の影響)には、リコンフィギャラブル帯域阻止フィルタの回路では、スイッチのオン抵抗を十分に小さくする必要性に係る記載が開示されている。これは、オン抵抗が大きければ大きいほど各共振器のQ値が低下し、したがってフィルタの通過損失が増加するからである。
Ryosuke KOBAYASHI, Takumi KATO, Kazuhiro AZUMA, Yasushi YAMAO、「Design and Fabrication of Three−Bit Reconfigurable Bandpass Filter Using Branch−Line Type Variable Resonator」、IEICE Transactions on Electronics, Vol. E98−C、2015年7月発行、pp. 636−643
今井祐介、加田ゆうき、山尾泰、「SHF帯3ビットリコンフィギャラブル帯域阻止フィルタ」、電子情報通信学会2017大会C02−45、2017年3月発行
阿久津直人、山尾泰、「リコンフィギャラブルBPFにおけるRFスイッチの寄生素子の影響」、電子情報通信学会2017総合大会C02−01、2017年3月発行
よりコストが低い可変インピーダンス回路と、この可変インピーダンス回路を用いたフィルタおよび増幅器とを提供する。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施す
るための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
るための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
一実施の形態によれば、可変インピーダンス回路(1)は、入力ノード(11)と、出力ノード(12)と、第1中間ノード(13)と、第2中間ノード(21)と、インピーダンス切替回路(30)と、制御回路(50)とを具備する。ここで、出力ノード(12)は、入力ノード(11)に電気的に接続されている。第1中間ノード(13)は、入力ノード(12)および出力ノード(12)の間に電気的に接続されている。第2中間ノード(21)は、第1中間ノード(13)に電気的に接続されている。インピーダンス切替回路(30)は、第2中間ノード(21)に電気的に接続されている。制御回路(50)は、インピーダンス切替回路(30)のインピーダンスを調整する。インピーダンス切替回路(30)は、複数の容量性回路(31)と、複数のスイッチ(32)とを具備する。ここで、複数の容量性回路(31)は、第2中間ノード(21)に電気的に、かつ、個別に遮断可能に、かつ、互いに並列に接続されている。複数のスイッチ(32)は、第2中間ノード(21)および複数の容量性回路(31)の間にそれぞれ電気的に接続されている。複数の容量性回路(31)は、少なくともそのひとつが他とは異なる容量を有する。複数のスイッチ(32)は、少なくともそのひとつが他とは異なるオン抵抗を有する。複数の容量性回路(31)のうちで、複数のスイッチ(32)の側から見て最も小さなインピーダンスを有する容量性回路(31C)は、複数のスイッチ(32)のうちで最も小さいオン抵抗を有するスイッチ(32C)を介して中間ノード(21)に接続されている。制御回路(50)は、複数のスイッチ(32)のそれぞれにおける導通状態および遮断状態を個別に切り替えることでインピーダンス切替回路(30)のインピーダンスを調整する。
前記一実施の形態によれば、可変インピーダンス回路に用いるスイッチのオン抵抗を、そのスイッチによって接続される回路または伝送線路をスイッチ側から見たインピーダンスに応じて異なる値に設定することで、全てのスイッチのオン抵抗が同じ値である場合と比較して、スイッチの合計サイズを小さくしてコストを低減することが出来、またはスイッチの合計サイズを拡大せずに効率を向上することで同じ性能を有する可変インピーダンス回路と比較してコストを低減することが出来る。
添付図面を参照して、本発明による可変インピーダンス回路、フィルタおよび増幅器を実施するための形態を以下に説明する。
(第1実施形態)
図1は、一実施形態による可変インピーダンス回路1Aの一構成例を示す回路図である。
図1は、一実施形態による可変インピーダンス回路1Aの一構成例を示す回路図である。
(構成要素)
図1の可変インピーダンス回路1Aの構成要素について説明する。図1の可変インピーダンス回路1Aは、入力ノード11と、出力ノード12と、中間ノード13と、インピーダンス回路14および15と、中間ノード21と、伝送線路22と、インピーダンス切替回路30と、伝送線路42と、制御回路50とを備える。インピーダンス切替回路30は、容量性回路31A〜31Cと、スイッチ32A〜32Cとを備える。なお、制御回路50は、インピーダンス切替回路30の一部として構成されても良い。また、伝送線路22は、省略可能であり、その場合は中間ノード13および21を一体化しても良いし、短絡しても良い。
図1の可変インピーダンス回路1Aの構成要素について説明する。図1の可変インピーダンス回路1Aは、入力ノード11と、出力ノード12と、中間ノード13と、インピーダンス回路14および15と、中間ノード21と、伝送線路22と、インピーダンス切替回路30と、伝送線路42と、制御回路50とを備える。インピーダンス切替回路30は、容量性回路31A〜31Cと、スイッチ32A〜32Cとを備える。なお、制御回路50は、インピーダンス切替回路30の一部として構成されても良い。また、伝送線路22は、省略可能であり、その場合は中間ノード13および21を一体化しても良いし、短絡しても良い。
それぞれを区別する必要が無い場合には、容量性回路31A〜31Cを単に容量性回路31と記し、同様にスイッチ32A〜32Cを単にスイッチ32と記す。
図1の構成例では、容量性回路31およびスイッチ32の総数はそれぞれ3である。ただし、この総数はあくまでも一例にすぎず、2以上の他の整数であっても良い。なお、後述するように、容量性回路31およびスイッチ32は一対一で対応するように接続されるので、それぞれの総数は同じであることが好ましい。
容量性回路31のそれぞれは、例えば、所定の長さを有し、かつ、端部が開放された伝送線路であっても良いし、所定の容量を有し端部が接地されたキャパシタであっても良い。言い換えれば、所望する特性を有する容量性回路31を伝送線路として構成することが困難である場合に、これを同じ特性を有するキャパシタに置き換えても良い。容量性回路31を伝送線路として構成することが困難である場合として、例えば、その寸法が非常に小さい場合などが挙げられる。
ここでは、全ての容量性回路31を、端部が開放された伝送線路として構成している場合について説明する。
容量性回路31A、31Bおよび31Cとしての伝送線路の長さをそれぞれl21、l22およびl23と置く。また、伝送線路42の長さをl1と置く。伝送線路22の長さをl20と置く。ただし、伝送線路22を省略した場合は、以下の説明において伝送線路22の長さl20=0として読み替えることが出来る。
スイッチ32のそれぞれは、例えば、トランジスタまたはダイオードなどの半導体素子を用いて構成しても良い。このとき、複数のスイッチ32を、複数のトランジスタまたは複数のダイオードがワンチップ化された半導体素子で構成しても良い。複数のトランジスタまたは複数のダイオードをワンチップ化することで、回路上の実装面積を節約出来たり、または、実装面積が同じであればスイッチとして動作する際のオン抵抗を低減出来たり、などの作用効果が得られることが知られている。これらの作用効果は、効率の向上およびコストの低減につながる。
(接続関係)
図1の可変インピーダンス回路1Aの構成要素の接続関係について説明する。出力ノード12は、入力ノード11に電気的に接続されている。中間ノード13は、入力ノード11および出力ノード12の間に、電気的に接続されている。中間ノード21は、中間ノード13に、電気的に接続されている。伝送線路22は、中間ノード13および中間ノード21の間に、電気的に接続されている。インピーダンス切替回路30は、中間ノード21に、電気的に接続されている。インピーダンス回路14は、入力ノード11および中間ノード13の間に、電気的に接続されている。インピーダンス回路15は、中間ノード13および出力ノード12の間に、電気的に接続されている。伝送線路42の一端は、中間ノード13に電気的に接続されている。伝送線路42の他端は、グランド41に接地されていても良いし、解放されていても良い。伝送線路42の他端が設置されている場合は、インピーダンス切替回路30、伝送線路22および伝送線路42の集合体は、4分の1波長共振器として動作する。また、伝送線路42の他端が開放されている場合は、インピーダンス切替回路30、伝送線路22および伝送線路42の集合体は、2分の1波長共振器として動作する。ここで、伝送線路22は、中間伝送線路と呼んでも良い。また、伝送線路42は、端部伝送線路と呼んでも良い。
図1の可変インピーダンス回路1Aの構成要素の接続関係について説明する。出力ノード12は、入力ノード11に電気的に接続されている。中間ノード13は、入力ノード11および出力ノード12の間に、電気的に接続されている。中間ノード21は、中間ノード13に、電気的に接続されている。伝送線路22は、中間ノード13および中間ノード21の間に、電気的に接続されている。インピーダンス切替回路30は、中間ノード21に、電気的に接続されている。インピーダンス回路14は、入力ノード11および中間ノード13の間に、電気的に接続されている。インピーダンス回路15は、中間ノード13および出力ノード12の間に、電気的に接続されている。伝送線路42の一端は、中間ノード13に電気的に接続されている。伝送線路42の他端は、グランド41に接地されていても良いし、解放されていても良い。伝送線路42の他端が設置されている場合は、インピーダンス切替回路30、伝送線路22および伝送線路42の集合体は、4分の1波長共振器として動作する。また、伝送線路42の他端が開放されている場合は、インピーダンス切替回路30、伝送線路22および伝送線路42の集合体は、2分の1波長共振器として動作する。ここで、伝送線路22は、中間伝送線路と呼んでも良い。また、伝送線路42は、端部伝送線路と呼んでも良い。
容量性回路31Aは、スイッチ32Aを介して、中間ノード21に、電気的に接続されている。ここで、容量性回路31Aおよび中間ノード21は、スイッチ32Aによって遮断可能に接続されている。また、スイッチ32Aの制御端には、制御回路50の出力が電気的に接続されている。
一例として、容量性回路31Aが伝送線路で構成されており、かつ、スイッチ32Aがトランジスタで構成されている場合の接続関係についてより詳細に説明する。この場合は、中間ノード21にはトランジスタのソースまたはドレインの一方が電気的に接続されている。トランジスタのソースまたはドレインの他方には伝送線路の一端が電気的に接続されている。伝送線路の他端は開放されている。トランジスタのゲートには制御回路50の出力が接続されている。
容量性回路31Bおよびスイッチ32Bに係る接続関係と、容量性回路31Cおよびスイッチ32Cに係る接続関係とは、それぞれ、容量性回路31Aおよびスイッチ32Aに係る接続関係と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
(動作)
図1の可変インピーダンス回路1Aの動作について説明する。
図1の可変インピーダンス回路1Aの動作について説明する。
まず、制御回路50が、3つのスイッチ32のそれぞれを導通状態または遮断状態に設定するために、3つの制御信号を生成する。ここで、制御回路50が生成する制御信号の総数は、スイッチ32の総数に等しいことが好ましい。
制御回路50は、外部から受信する所定の信号に応じてこれらの制御信号を生成しても良い。また、制御回路50は、プログラムを格納するメモリと、このプログラムを実行する演算装置とを備えていて、このプログラムの演算結果に応じてこれらの制御信号を生成しても良い。
次に、スイッチ32のそれぞれが、これらの制御信号に応じて、導通状態または遮断状態になる。その結果、容量性回路31のそれぞれにおいて、中間ノード21に導通している状態か、中間ノード21から遮断されている状態かが切り替わり、インピーダンス切替回路30全体としてのインピーダンスが切り替わる。ここで、インピーダンス切替回路30のインピーダンスが取り得る値は、最大で2の3乗=8通りある。
インピーダンス切替回路30全体としてのインピーダンスが切り替わることで、可変インピーダンス回路1A全体としてのインピーダンスが切り替わる。可変インピーダンス回路1Aのうち、インピーダンス切替回路30以外の構成要素については、インピーダンスが固定されているので、可変インピーダンス回路1A全体としてのインピーダンスが取り得る値も、最大で2の3乗=8通り存在する。
(インピーダンスの値)
可変インピーダンス回路1A全体としてのインピーダンスは、可変インピーダンス回路1Aに含まれる全ての伝送線路の長さの総和と同じ長さを有する一本の伝送線路のインピーダンスに近似できる。この近似について説明する。
可変インピーダンス回路1A全体としてのインピーダンスは、可変インピーダンス回路1Aに含まれる全ての伝送線路の長さの総和と同じ長さを有する一本の伝送線路のインピーダンスに近似できる。この近似について説明する。
図1に示した容量性回路31A〜31Cとしての3本の伝送線路のうち、容量性回路31Aおよび31Bとしての2本の伝送線路が中間ノード21に導通しており、残る容量性回路31Cとしての伝送線路は中間ノード21から遮断されている場合を考える。容量性回路31Aおよび31Bとしての伝送線路の長さは、それぞれ、l21およびl22である。容量性回路31Aおよび31Bのインピーダンスを、それぞれ、Z21およびZ22と置く。中間ノード21から見て、容量性回路31Aおよび31Bは並列に接続されているので、容量性回路31Aおよび31Bの全体としてのインピーダンスZは、
Z=Z21・Z22/(Z21+Z22) …(1)
である。
Z=Z21・Z22/(Z21+Z22) …(1)
である。
一般的に、先端開放伝送線路のインピーダンスZopは、その長さlの関数として表すことが出来る。
Zop=Z0/(j・tan(β・l)) …(2)
ここで、「Z0」は特性インピーダンスであり、「j」は虚数であり、「β」は位相定数である。
Zop=Z0/(j・tan(β・l)) …(2)
ここで、「Z0」は特性インピーダンスであり、「j」は虚数であり、「β」は位相定数である。
位相定数βは、以下のように定義される。
β=(2・π)/λg=(2・π・√ε・f)/c …(3)
ここで、「π」は円周率であり、「λg」は伝送線路に印加される信号の波長であり、「ε」は伝送線路が形成されている誘電体基板の実効誘電率であり、「f」は伝送線路に印加される信号の周波数であり、「c」は光速である。
β=(2・π)/λg=(2・π・√ε・f)/c …(3)
ここで、「π」は円周率であり、「λg」は伝送線路に印加される信号の波長であり、「ε」は伝送線路が形成されている誘電体基板の実効誘電率であり、「f」は伝送線路に印加される信号の周波数であり、「c」は光速である。
上記の式(1)〜(3)から、下記の式(4)が得られる。
Z=Z0/(j・(tan(β・l21)+tan(β・l22))) …(4)
Z=Z0/(j・(tan(β・l21)+tan(β・l22))) …(4)
上記の式(4)の分母は、下記の式(5)の様に変形出来る。
j・(tan(β・l21)+tan(β・l22))=j・(tan(β・l21+β・l22))(1−tan(β・l21)・tan(β・l22)) …(5)
j・(tan(β・l21)+tan(β・l22))=j・(tan(β・l21+β・l22))(1−tan(β・l21)・tan(β・l22)) …(5)
ここで、伝送線路の長さl21およびl22がともに4分の1波長よりも十分に短い場合は、下記の式(6)が得られる。
tan(β・l21)・tan(β・l22)<<1 …(6)
tan(β・l21)・tan(β・l22)<<1 …(6)
上記の式(5)および(6)から、下記の式(7)が得られる。
tan(β・l21)+tan(β・l22)≒tan(β・(l21+l22)) …(7)
tan(β・l21)+tan(β・l22)≒tan(β・(l21+l22)) …(7)
上記の式(7)を上記の式(4)に入れて、上記の式(2)と比較すると、2本の伝送線路が並列に接続されたノードのインピーダンスが、2本の伝送線路の長さの総和に等しい長さを有する1本の伝送線路だけが接続されたノードのインピーダンスに近似出来ることが分かる。ただし、この近似は、前述のとおり、各伝送線路の長さがいずれも4分の一波長よりも十分に短い場合に有効である。十分に短いと判断する基準としては、上記の式(5)における2つの正接関数の積が1よりも十分に小さいことが挙げられる。したがって、一例として、2つの正接関数の積が好ましくは10%以下であり、より好ましくは5%以下であれば、近似が有効と考えられる。
同様に、中間ノード21に並列に接続されている伝送線路の総数が3以上であっても、それぞれの伝送線路の長さがいずれも4分の1波長よりも十分に短い場合は、上記の近似が有効となる。その結果、インピーダンス切替回路30のインピーダンスは、中間ノード21に並列に接続されている全ての伝送線路の長さの総和に等しい長さを有する1本の伝送線路だけが接続された中間ノード21のインピーダンスに近似できる。
この近似により、容量性回路31A〜31Cとしての3本の伝送線路のそれぞれの長さを適宜に設定することで、最大で8通りの異なる長さを有する1本の伝送線路としてインピーダンス切替回路30を動作させられることが分かる。言い換えれば、インピーダンス切替回路30の共振周波数は、制御回路50によって適宜に制御されることで、最大で8通りの異なる値に切り替え可能である。
インピーダンス切替回路30の共振周波数を切り替えて得られる値の分布をなるべく均一化したい、という観点から、3本の伝送線路の幅が同一であれば、これらの長さの比率l21対l22対l23を、例えば1対2対4に設定しても良い。
(スイッチのオン抵抗)
ここで、可変インピーダンス回路1Aのコストを低減することについて考える。可変インピーダンス回路1Aのコストには、設計に係るコスト、製造に係るコスト、動作に係るコスト、などが含まれる。通常は、設計に係るコストの観点から、同一モデルとして大量生産される部品がスイッチ32として使用される。しかし、本実施形態では、動作に係るコストを優先し、スイッチ32A、32Bおよび32Cとして、特性がそれぞれ異なるスイッチをあえて使用する。
ここで、可変インピーダンス回路1Aのコストを低減することについて考える。可変インピーダンス回路1Aのコストには、設計に係るコスト、製造に係るコスト、動作に係るコスト、などが含まれる。通常は、設計に係るコストの観点から、同一モデルとして大量生産される部品がスイッチ32として使用される。しかし、本実施形態では、動作に係るコストを優先し、スイッチ32A、32Bおよび32Cとして、特性がそれぞれ異なるスイッチをあえて使用する。
一般的に、スイッチ32にはオン抵抗が存在する。オン抵抗とは、スイッチ32が導通状態にあっても両端部の間に存在する抵抗である。スイッチ32が導通状態であっても、両端部の間に電流が流れれば、オン抵抗によってジュール熱が生じ、結果的に可変インピーダンス回路1Aを用いるフィルタや増幅器の効率が低下してしまう。特に、図1の可変インピーダンス回路1Aでは3つのスイッチ32が用いられており、後述する図2のバンドパスフィルタ1Bでは6つのスイッチ32が用いられているので、スイッチ32のオン抵抗の影響は非常に大きいと言える。
一般的に、オン抵抗の低減と、製造に係るコストの低減とは、トレードオフの関係にある。すなわち、スイッチ32としてトランジスタを用いる場合、オン抵抗はトランジスタのゲート幅に依存し、ゲート幅が広ければ広いほどオン抵抗は小さい。また、スイッチ32としてダイオードを用いる場合は、オン抵抗はダイオードのPNまたはPIN接合界面の面積に依存し、接合界面が広ければ広いほどオン抵抗は小さい。しかし、トランジスタのゲート幅をより広くすることも、ダイオードの接合界面をより広くすることも、半導体チップの大型化に繋がるので、結果的に可変インピーダンス回路1Aの製造コストが上昇してしまう。
そこで、発明者は、インピーダンス切替回路30のスイッチ32のオン抵抗を、そのスイッチ32を介して中間ノード21に接続される容量性回路31としての伝送線路をスイッチ32の側から見たインピーダンスに応じて異なる値に設定することを提案する。こうすることで、全てのスイッチ32のオン抵抗を同じ値に設定する場合と比較して、インピーダンス切替回路30に含まれるスイッチ32の合計サイズを小さくすることが出来、したがって製造および動作に係るコストを低減することが出来る。なお、ここではインピーダンス切替回路30で切り替え可能なインピーダンスが取り得る複数の値が使用される確率が実質的に同じであることを前提にしていることに注目されたい。
具体的には、中間ノード21に接続されている複数の容量性回路31のうち、スイッチ32の側から見たインピーダンスが最小である容量性回路31を、オン抵抗が最小であるスイッチ32で中間ノード21に接続する。図1の構成例では、最も長い伝送線路で構成される容量性回路31Cを中間ノード21に接続するスイッチ32Cのオン抵抗を最小にする。スイッチ32Cのオン抵抗を最小にすれば、スイッチ32Cの実装面積は他のスイッチ32よりも広くなってしまうので、その分、残るスイッチ32Aおよび32Bにおいては実装面積が小さくなり、オン抵抗は大きくなる。言い換えれば、スイッチ32の側から見たインピーダンスがより小さな容量性回路31に、オン抵抗がより小さいスイッチ32を組み合わせ、反対に、スイッチ32の側から見たインピーダンスがより大きな容量性回路31に、オン抵抗がより大きいスイッチ32を組み合わせることで、可変インピーダンス回路1Aの全体的なコストが下がり、可変インピーダンス回路1Aを用いるフィルタまたは増幅器の効率が向上する。ここで、複数のスイッチ32のオン抵抗は、必ずしもそれぞれ異ならなくても良い。言い換えれば、複数のスイッチ32は、少なくともその一つが他とは異なるオン抵抗を有していれば良い。
オン抵抗が異なる複数のスイッチ32を用いることによる作用効果のシミュレーション結果については、次のバンドパスフィルタ1Bに係る実施形態として具体的に説明する。
発明者は、さらに、これらのスイッチ32を、単独の半導体装置としてワンチップ化することを提案する。こうすることで、半導体装置としての実装面積が同じであれば、ゲート幅がより広いトランジスタを実現出来、または接合界面がより広いダイオードを実現出来、すなわちオン抵抗に係るコストをさらに低減することが出来る。
(第2実施形態)
図1に示した第1実施形態による可変インピーダンス回路1Aを2段縦続接続することで、バンドパスフィルタ1Bが得られる。図2は、一実施形態によるバンドパスフィルタ1Bの一構成例を示す回路図である。なお、図2のバンドパスフィルタ1Bも、広義の可変インピーダンス回路と呼ぶことが出来る。
図1に示した第1実施形態による可変インピーダンス回路1Aを2段縦続接続することで、バンドパスフィルタ1Bが得られる。図2は、一実施形態によるバンドパスフィルタ1Bの一構成例を示す回路図である。なお、図2のバンドパスフィルタ1Bも、広義の可変インピーダンス回路と呼ぶことが出来る。
(構成要素)
図2のバンドパスフィルタ1Bの構成要素について説明する。図2の左側の約半分に注目すると、図1の可変インピーダンス回路1Aと同じ構成であるので、この部分についてはさらなる詳細な説明を省略する。また、図2の右側の約半分に注目すると、符号の区別を無視すれば、これも図1の可変インピーダンス回路1Aと同じ構成である。ここでは、図2のバンドパスフィルタ1Bの構成が、図1の可変インピーダンス回路1Aに別の可変インピーダンス回路を付け足したものとして表現できる、という観点から構成の説明を続ける。
図2のバンドパスフィルタ1Bの構成要素について説明する。図2の左側の約半分に注目すると、図1の可変インピーダンス回路1Aと同じ構成であるので、この部分についてはさらなる詳細な説明を省略する。また、図2の右側の約半分に注目すると、符号の区別を無視すれば、これも図1の可変インピーダンス回路1Aと同じ構成である。ここでは、図2のバンドパスフィルタ1Bの構成が、図1の可変インピーダンス回路1Aに別の可変インピーダンス回路を付け足したものとして表現できる、という観点から構成の説明を続ける。
図2のバンドパスフィルタ1Bは、図1の可変インピーダンス回路1Aの各構成要素に加えて、中間ノード16および23と、インピーダンス回路17と、伝送線路24および44と、インピーダンス切替回路60とを備える。伝送線路24および44は、その寸法やインピーダンスの観点から、伝送線路22および42とそれぞれ同様に構成されていることが好ましい。なお、伝送線路22を省略した場合は、伝送線路24も省略されるべきであり、この場合は中間ノード16および23を一体化しても良いし、短絡しても良い。
インピーダンス切替回路60は、インピーダンス切替回路30と同様に、容量性回路61A〜61Cと、スイッチ62A〜62Cとを備える。インピーダンス切替回路60も、インピーダンス切替回路30と同様に、容量性回路61A〜61Cおよびスイッチ62A〜62Cを備えている。インピーダンス切替回路30は、その寸法や、インピーダンスの値や、インピーダンスを切り替える動作などの観点から、インピーダンス切替回路30と同様に構成されていることが好ましい。言い換えれば、容量性回路61A〜61Cは、それぞれ、容量性回路31A〜31Cと同様に構成されていることが好ましく、スイッチ62A〜62Cも、それぞれ、スイッチ32A〜32Cと同様に構成されていることが好ましい。
(接続関係)
図2のバンドパスフィルタ1Bの構成要素の接続関係について説明する。中間ノード16は、インピーダンス回路15の出力ノード12側端部と、出力ノード12との間に、電気的に接続されている。インピーダンス回路17は、中間ノード16と、出力ノード12との間に、電気的に接続されている。中間ノード23は、中間ノード16に、電気的に接続されている。伝送線路24は、中間ノード16および中間ノード23の間に電気的に接続されている。伝送線路44の一端は、中間ノード16に電気的に接続されている。伝送線路44の他端は、グランド43に接地されていても良いし、解放されていても良い。伝送線路44の他端が設置されている場合は、インピーダンス切替回路60、伝送線路24および伝送線路44の集合体は、4分の1波長共振器として動作する。また、伝送線路44の他端が開放されている場合は、インピーダンス切替回路60、伝送線路24および伝送線路44の集合体は、2分の1波長共振器として動作する。ここで、伝送線路24は、中間伝送線路と呼んでも良い。また、伝送線路44は、端部伝送線路と呼んでも良い。なお、バンドパスフィルタ1Bとしては、インピーダンス切替回路60、伝送線路24および伝送線路44の集合体が、インピーダンス切替回路30、伝送線路22および伝送線路42の集合体と同様に構成されて、かつ、同様に動作することが好ましい。したがって、伝送線路44の他端は、伝送線路42の他端と同様に構成されていることが好ましい。
図2のバンドパスフィルタ1Bの構成要素の接続関係について説明する。中間ノード16は、インピーダンス回路15の出力ノード12側端部と、出力ノード12との間に、電気的に接続されている。インピーダンス回路17は、中間ノード16と、出力ノード12との間に、電気的に接続されている。中間ノード23は、中間ノード16に、電気的に接続されている。伝送線路24は、中間ノード16および中間ノード23の間に電気的に接続されている。伝送線路44の一端は、中間ノード16に電気的に接続されている。伝送線路44の他端は、グランド43に接地されていても良いし、解放されていても良い。伝送線路44の他端が設置されている場合は、インピーダンス切替回路60、伝送線路24および伝送線路44の集合体は、4分の1波長共振器として動作する。また、伝送線路44の他端が開放されている場合は、インピーダンス切替回路60、伝送線路24および伝送線路44の集合体は、2分の1波長共振器として動作する。ここで、伝送線路24は、中間伝送線路と呼んでも良い。また、伝送線路44は、端部伝送線路と呼んでも良い。なお、バンドパスフィルタ1Bとしては、インピーダンス切替回路60、伝送線路24および伝送線路44の集合体が、インピーダンス切替回路30、伝送線路22および伝送線路42の集合体と同様に構成されて、かつ、同様に動作することが好ましい。したがって、伝送線路44の他端は、伝送線路42の他端と同様に構成されていることが好ましい。
制御回路50の出力は、スイッチ62A〜62Cのそれぞれにおける制御端にも接続されている。ここで、スイッチ62Aは、スイッチ32Aと連動して動作することが好ましいので、制御回路50が有する複数の出力のうち、同じ第1出力が、スイッチ32Aおよびスイッチ62Aの制御端に共通接続されていても良い。同様に、制御回路50の第2出力が、スイッチ32Bおよびスイッチ62Bの制御端に共通接続されてして、かつ、制御回路50の第3出力がスイッチ32Cおよびスイッチ62Cの制御端に共通接続されていても良い。
(動作)
図2のバンドパスフィルタ1Bの動作について説明する。図1の可変インピーダンス回路1Aの場合と同様に、まず、制御回路50が制御信号を生成して、スイッチ32およびスイッチ62に向けて送信する。次に、スイッチ32が制御信号を受信して、中間ノード21および容量性回路31の間の導通状態または遮断状態を、受信した制御信号に応じて切り替える。同様に、スイッチ62も制御信号を受信して、中間ノード23および容量性回路61の間の導通状態または遮断状態を、受信した制御信号に応じて切り替える。
図2のバンドパスフィルタ1Bの動作について説明する。図1の可変インピーダンス回路1Aの場合と同様に、まず、制御回路50が制御信号を生成して、スイッチ32およびスイッチ62に向けて送信する。次に、スイッチ32が制御信号を受信して、中間ノード21および容量性回路31の間の導通状態または遮断状態を、受信した制御信号に応じて切り替える。同様に、スイッチ62も制御信号を受信して、中間ノード23および容量性回路61の間の導通状態または遮断状態を、受信した制御信号に応じて切り替える。
インピーダンス切替回路30の切り替え後のインピーダンスと、インピーダンス切替回路60の切り替え後のインピーダンスとは、一致することが好ましい。その結果、図2の可変インピーダンス回路は、入力ノード11および出力ノード12の間でバンドパスフィルタ1Bとして動作する。
(シミュレーション)
発明者は、図2のバンドパスフィルタ1Bの挿入損失(|S21|)を、第1の場合および第2の場合についてコンピュータシミュレーションで算出し、それらの比較を行った。ここで、第1の場合とは、スイッチ32およびスイッチ62として、全て同じオン抵抗を有するトランジスタを用いた場合である。また、第2の場合とは、よりインピーダンスが小さな容量性回路31および61に、より小さいオン抵抗を有するトランジスタをスイッチ32および62として用いた場合である。
発明者は、図2のバンドパスフィルタ1Bの挿入損失(|S21|)を、第1の場合および第2の場合についてコンピュータシミュレーションで算出し、それらの比較を行った。ここで、第1の場合とは、スイッチ32およびスイッチ62として、全て同じオン抵抗を有するトランジスタを用いた場合である。また、第2の場合とは、よりインピーダンスが小さな容量性回路31および61に、より小さいオン抵抗を有するトランジスタをスイッチ32および62として用いた場合である。
なお、このコンピュータシミュレーションでは、3つの容量性回路31として用いられる伝送線路の長さの比率l21対l22対l23を、1対2対3に設定した。
図3Aは、図2のバンドパスフィルタ1Bの挿入損失をシミュレーションするために用いた回路の一構成例を示す回路図である。図3Aの回路は、図2のバンドパスフィルタ1Bに、以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、入力ノード11と、グランドとの間に、電源Vinおよび抵抗Rinが、直列に接続されている。また、出力ノード12と、グランドとの間に、抵抗Routが接続されている。
図3Bは、第1の構成によるバンドパスフィルタ1Bの挿入損失をシミュレーションした結果の一例を示すグラフである。図3Bのグラフには、第1のグラフG11〜第8のグラフG18が描かれている。第1のグラフG11〜第8のグラフG18は、インピーダンス切替回路30のスイッチ32の状態を切り替えて得られる、バンドパスフィルタ1Bの通過帯域の中心周波数にそれぞれ対応している。以降、これらの中心周波数を、f1〜f8と記す。
図3Cは、第2の構成によるバンドパスフィルタ1Bの挿入損失をシミュレーションした結果の一例を示すグラフである。図3Cのグラフには、第1のグラフG21〜第8のグラフG28が描かれている。第1のグラフG21〜第8のグラフG28は、それぞれ、上記の中心周波数f1〜f8にそれぞれ対応している。
図3Dは、図3Bおよび図3Cに示したシミュレーション結果を比較するグラフである。図3Dのグラフには、第1のグラフG10および第2のグラフG20が描かれている。第1のグラフG10は、図3Bで周波数f1〜f8にそれぞれ対応するグラフG11〜G18の、通過帯域の中心周波数における挿入損失(|S21|)の値を示している。同様に、第2のグラフG20は、図3Cで周波数f1〜f8にそれぞれ対応するグラフG21〜G28の、通過帯域の中心周波数における挿入損失(|S21|)の値を示している。
図3Dのグラフによれば、低い周波数f1〜f4では、第2のグラフG20が第1のグラフG10を大きく下回っていることが分かる。反対に、高い周波数f5〜f8では、第1のグラフG10が第2のグラフG20を小さく下回り、または第1のグラフG10および第2のグラフG20がほぼ重なっていることが分かる。
低い周波数f1〜f4における比較結果について説明する。周波数がより低いことは、伝送線路の実質的な長さがより長いことを表している。すなわち、低い周波数f1〜f4では、容量性回路31としての伝送線路の中で最も長い容量性回路31Cが、中間ノード21に導通している。そして、第2のグラフG20に対応する第2の場合のインピーダンス切替回路30では、最も長い容量性回路31Cを中間ノード21に接続するスイッチ32Cが、スイッチ32の中で最も小さいオン抵抗を有している。つまり、低い周波数f1〜f4において、第2のグラフG20が第1のグラフG10を大きく下回っていることは、伝送線路が最も長い容量性回路31Cに、最も小さいオン抵抗を有するスイッチ32Cが接続される構成が、挿入損失を低減するためには有効であることを示している。
高い周波数f5〜f8における比較結果について説明する。低い周波数の場合とは反対に、高い周波数f5〜f8では、伝送線路が最も長い容量性回路31Cが中間ノード21から遮断されており、残る容量性回路31Aまたは31Bだけが中間ノード21に導通され得る。そして、第2のグラフG20に対応する第2の場合のインピーダンス切替回路30では、容量性回路31Aおよび31Bを中間ノード21にそれぞれ接続するスイッチ32Aおよび32Bは、スイッチ32Cと比較して、オン抵抗が大きい。その為、図3Dの例では特に周波数f5において、第1の場合の挿入損失が第2の場合の挿入損失を下回るという逆転現象が起こっている。
それでも、周波数f1〜f8の全体としては、オン抵抗が異なる複数種類のスイッチ32をあえて用い、その中で最も低いオン抵抗を有するスイッチ32を伝送線路が最も長い容量性回路31に接続する構成を採用することによって、挿入損失を低減する効果が得られていることが分かる。なお、この作用効果は、最も高いオン抵抗を有するスイッチ32を伝送線路が最も短い容量性回路31に接続することでさらに向上する。
(第3実施形態)
図4は、一実施形態によるノッチフィルタ1Cの一構成例を示す回路図である。
図4は、一実施形態によるノッチフィルタ1Cの一構成例を示す回路図である。
図4のノッチフィルタ1Cの構成について説明する。図4のノッチフィルタ1Cは、図1の可変インピーダンス回路1Aから、伝送線路42と、インピーダンス回路14および15とを取り除き、入力ノード11および出力ノード12を中間ノード13に短絡したものに等しい。なお、伝送線路22も省略可能であり、その場合には中間ノード13および21を一体化しても良いし、短絡しても良い。
なお、図4のノッチフィルタ1Cも、インピーダンス切替回路30を備えているので、広義の可変インピーダンス回路と呼ぶことが出来る。
図4のノッチフィルタ1Cの動作について説明する。ノッチフィルタ1Cは、入力ノード11から入力する信号のうち、所定の周波数の成分を遮断し、残る成分を出力ノード12から出力する。ここで、所定の周波数とは、伝送線路22およびインピーダンス切替回路30の集合における共振周波数であり、この共振周波数は制御回路50の制御によって切り替え可能である。この切り替え動作については、図1の可変インピーダンス回路1Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、遮断周波数を複数の値の間で切り替え可能なノッチフィルタ1Cを実現できる。
(第4実施形態)
図5は、一実施形態による増幅器1Dの一構成例を示す回路図である。
図5は、一実施形態による増幅器1Dの一構成例を示す回路図である。
図5の増幅器1Dの構成について説明する。図5の増幅器1Dは、図4のノッチフィルタ1Cに、以下の変更を加えたものに等しい。すなわち、入力ノード11および中間ノード13の間に、入力側整合回路71および増幅回路72としてのトランジスタを電気的に接続し、中間ノード13および出力ノード12の間に出力側整合回路75を電気的に接続する。ここで、入力ノード11は、入力側整合回路71の入力に接続されており、入力側整合回路71の出力は増幅回路72としてのトランジスタのゲートに接続されている。トランジスタのソースまたはドレインの一方は、インダクタ73を介して電源Vcに接続されており、トランジスタのソースまたはドレインの他方は、グランド74に接地されている。
なお、図5の増幅器1Dも、インピーダンス切替回路30を備えているので、広義の可変インピーダンス回路と呼ぶことが出来る。
図5の増幅器1Dの動作について説明する。増幅器1Dは、入力ノード11から入力する信号を増幅して出力ノード12から出力する。伝送線路22およびインピーダンス切替回路30の集合の共振周波数が、増幅する信号の周波数の2倍の値になるように、インピーダンス切替回路30のスイッチ32を制御する。こうすることで、2倍波に対してショートとなる整合を取ることが出来るので、結果的に増幅器1Dの高効率化が図れる。また、この2倍波の周波数は、制御回路50の制御によって切り替え可能である。この切り替え動作については、図1の可変インピーダンス回路1Aの場合と同様であるので、さらなる詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、2倍波の周波数を複数の値の間で切り替え可能な高効率増幅器を実現することが出来る。
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、前記実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
1A 可変インピーダンス回路
1B バンドパスフィルタ
1C ノッチフィルタ
1D 増幅器
11 入力ノード
12 出力ノード
13 中間ノード
14 インピーダンス回路
15 インピーダンス回路
16 中間ノード
17 インピーダンス回路
21 中間ノード
22 伝送線路
23 中間ノード
24 伝送線路
30 インピーダンス切替回路
31、31A、31B、31C 容量性回路
32、32A、32B、32C スイッチ
41 グランド
42 伝送線路
43 グランド
44 伝送線路
50 制御回路
60 インピーダンス切替回路
61、61A、61B、61C 容量性回路
62、62A、62B、62C スイッチ
71 入力側整合回路
72 増幅回路
73 インダクタ
74 グランド
75 出力側整合回路
G10〜G18、G20〜G28 グラフ
Rin 抵抗
Rout 抵抗
Vc 電源
Vin 電源
1B バンドパスフィルタ
1C ノッチフィルタ
1D 増幅器
11 入力ノード
12 出力ノード
13 中間ノード
14 インピーダンス回路
15 インピーダンス回路
16 中間ノード
17 インピーダンス回路
21 中間ノード
22 伝送線路
23 中間ノード
24 伝送線路
30 インピーダンス切替回路
31、31A、31B、31C 容量性回路
32、32A、32B、32C スイッチ
41 グランド
42 伝送線路
43 グランド
44 伝送線路
50 制御回路
60 インピーダンス切替回路
61、61A、61B、61C 容量性回路
62、62A、62B、62C スイッチ
71 入力側整合回路
72 増幅回路
73 インダクタ
74 グランド
75 出力側整合回路
G10〜G18、G20〜G28 グラフ
Rin 抵抗
Rout 抵抗
Vc 電源
Vin 電源
Claims (13)
- 入力ノードと、
前記入力ノードに電気的に接続された出力ノードと、
前記入力ノードおよび前記出力ノードの間に電気的に接続された第1中間ノードと、
前記第1中間ノードに電気的に接続された第2中間ノードと、
前記第2中間ノードに電気的に接続された第1インピーダンス切替回路と、
前記第1インピーダンス切替回路のインピーダンスを調整する制御回路と
を具備し、
前記第1インピーダンス切替回路は、
前記第2中間ノードに電気的に、かつ、個別に遮断可能に、かつ、互いに並列に接続された複数の第1容量性回路と、
前記第2中間ノードおよび前記複数の第1容量性回路の間にそれぞれ電気的に接続された複数の第1スイッチと
を具備し、
前記複数の第1容量性回路は、少なくともその一つが他とは異なる容量を有し、
前記複数の第1スイッチは、少なくともその一つが他とは異なるオン抵抗を有し、
前記複数の第1容量性回路のうちで、前記複数の第1スイッチの側から見て最も大きいインピーダンスを有する第1容量性回路は、前記複数の第1スイッチのうちで最も小さいオン抵抗を有する第1スイッチを介して前記第2中間ノードに接続されており、
前記制御回路は、前記複数の第1スイッチのそれぞれにおける導通状態および遮断状態を個別に切り替えることで前記第1インピーダンス切替回路のインピーダンスを調整する
可変インピーダンス回路。 - 請求項1に記載の可変インピーダンス回路において、
前記複数の第1容量性回路のうち、少なくとも1つの第1容量性回路は、一端が前記第1中間ノードに電気的に接続され、かつ、他端が開放された伝送線路である
可変インピーダンス回路。 - 請求項1または2に記載の可変インピーダンス回路において、
前記第1インピーダンス切替回路は、
前記複数の第1スイッチとしてそれぞれ機能する複数の第1トランジスタ
をさらに具備し、
前記複数の第1トランジスタは、少なくともその一つが他とは異なるゲート幅を有し、
前記複数の第1容量性回路のうちで、前記複数の第1スイッチの側から見て最も小さいインピーダンスを有する第1容量性回路は、前記複数の第1トランジスタのうちで最も広いゲート幅を有する第1トランジスタを介して前記第2中間ノードに接続されている
可変インピーダンス回路。 - 請求項3に記載の可変インピーダンス回路において、
前記第1インピーダンス切替回路は、
前記複数の第1トランジスタのうち、少なくとも2つの第1トランジスタをワンチップ化した半導体素子
をさらに具備する
可変インピーダンス回路。 - 請求項1または2に記載の可変インピーダンス回路において、
前記第1インピーダンス切替回路は、
前記複数の第1スイッチとしてそれぞれ機能する複数の第1ダイオード
をさらに具備し、
前記複数の第1ダイオードは、少なくともその一つが他とは異なるPNまたはPIN接合界面面積を有し、
前記複数の第1容量性回路のうちで、前記複数の第1スイッチの側から見て最も小さなインピーダンスを有する第1容量性回路は、前記複数の第1ダイオードのうちで最も広いPNまたはPIN接合界面を有する第1ダイオードを介して前記第2中間ノードに接続されている
可変インピーダンス回路。 - 請求項5に記載の可変インピーダンス回路において、
前記第1インピーダンス切替回路は、
前記複数の第1ダイオードのうち、少なくとも2つの第1ダイオードをワンチップ化した半導体素子
をさらに具備する
可変インピーダンス回路。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の可変インピーダンス回路において、
前記第1中間ノードおよび前記第2中間ノードの間に電気的に接続された中間伝送線路
をさらに具備する
可変インピーダンス回路。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の可変インピーダンス回路において、
前記入力ノードおよび前記第1中間ノードに間に電気的に接続された第1インピーダンス回路と、
前記第1中間ノードおよび前記出力ノードの間に電気的に接続された第2インピーダンス回路と、
一端が前記第1中間ノードに電気的に接続され、かつ、他端がグランドに短絡、または開放された第1端部伝送線路と
をさらに具備する
可変インピーダンス回路。 - 請求項8に記載の可変インピーダンス回路において、
前記第1中間ノードおよび前記第2中間ノードの間に電気的に接続された中間伝送線路
をさらに具備する
可変インピーダンス回路。 - 請求項8に記載の可変インピーダンス回路と、
前記第2インピーダンス回路における前記出力ノードの側の端部および前記出力ノードの間に電気的に接続された第3中間ノードと、
前記第3中間ノードおよび前記出力ノードの間に電気的に接続された第3インピーダンス回路と、
前記第3中間ノードに電気的に接続された第4中間ノードと、
前記第4中間ノードに電気的に接続され、前記第1インピーダンス切替回路と同じ構成を有する第2インピーダンス切替回路と、
一端が前記第3中間ノードに電気的に接続され、かつ、他端がグランドに短絡、または開放された第2端部伝送線路と
を具備し、
前記第2インピーダンス切替回路は、
前記第4中間ノードに電気的に、かつ、個別に遮断可能に、かつ、互いに並列に接続され、前記複数の第1容量性回路と同じ構成を有する複数の第2容量性回路と、
前記第4中間ノードおよび前記複数の第2容量性回路の間にそれぞれ電気的に接続され、前記複数の第1スイッチと同じ構成を有する複数の第2スイッチと
を具備し、
前記制御回路は、前記複数の第2スイッチのそれぞれにおける導通状態および遮断状態を、前記複数の第1スイッチのそれぞれにおける導通状態および遮断状態に連動してさらに切り替えることで、前記第2インピーダンス切替回路のインピーダンスを前記第1インピーダンス切替回路と同じインピーダンスに切り替え、
前記第1インピーダンス切替回路のインピーダンスおよび前記第2インピーダンス切替回路のインピーダンスを切り替えることで通過帯域の中心周波数を切り替える
フィルタ。 - 請求項10に記載のフィルタにおいて、
前記第1中間ノードおよび前記第2中間ノードの間に電気的に接続された第1中間伝送線路と、
前記第3中間ノードおよび前記第4中間ノードの間に電気的に接続され、前記第1中間伝送線路と同じ構成を有する第2中間伝送線路と
をさらに具備する
フィルタ。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の可変インピーダンス回路
を具備し、
前記第1インピーダンス切替回路のインピーダンスを切り替えることで遮断周波数を切り替える
フィルタ。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の可変インピーダンス回路と、
前記入力ノードおよび前記第1中間ノードの間に電気的に接続された入力側整合回路と、
前記入力側整合回路の出力信号を増幅した増幅信号を前記第1中間ノードに入力する増幅回路と、
前記第1中間ノードおよび前記出力ノードの間に電気的に接続された出力側整合回路と
を具備し、
前記第1インピーダンス切替回路のインピーダンスを切り替えることで特性インピーダンスを切り替える
増幅器。
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