以下、本発明の実施の形態に係る導光体を備えるスイッチボックス1について、図面を参照して説明する。前面から見た場合、スイッチボックス1は、図1に示すような外観を持つ。スイッチボックス1は、例えば建築機械等の車両に搭載される装置である。
スイッチボックス1の前面には、スイッチボックス1を搭載した前記車両を起動するイグニッションキーが挿入される鍵穴60が開口している。鍵穴60は環状の発光面を備える発光リング270に囲われている。この発光部としての発光リング270は、後述するように、導光体20の一部であり、光源であるLED(Light Emitting Diode)バルブ40が発する光を受けて環状に発光する。
スイッチボックス1の前面にはパネル50が配置されている。
なお、以下において、スイッチボックス1の横方向をx軸方向、縦方向をy軸方向、奥行き方向をz軸方向として説明する。x軸、y軸、及び、z軸はそれぞれ互いに直交するものとする。なお、スイッチボックス1のうち、鍵穴60が露出している、ユーザが操作する側を前面(+z方向)とする。
図1におけるA1−A2線で切断したスイッチボックス1の断面を含む斜視図を図2に示す。また、図1におけるA3−A4線で切断した場合の内部構造の概念図を図3に示す。図2及び3に示すように、スイッチボックス1は、前面及び側面に上ケース10を、後面に下ケース80を、内部に中ケース30を、それぞれ備える。
上ケース10と下ケース80とは、例えば着色されたアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)やポリピレン樹脂、アルミニウム合金といった光不透過性の材料により形成される、スイッチボックス1の外殻を成す部材である。上ケース10と下ケース80とは、例えばフックやネジ等により互いに固定されている。図2、図3に示すように、上ケース10の前面部には開口部が設けられている。上ケース10の開口部の側面には平板状の部材である導光体20を挿入可能な凹部10aが設けられている。
上ケース10の凹部10aには平板上の部材である導光体20が挿入される。この結果、導光体20がスイッチボックス1の前面部を形成する。導光体20は、アクリル樹脂といった光を透過する材料で形成され、入射部210において入射されたLEDバルブ40の光を、照明すべき部位である鍵穴60の周囲まで導き、発光リング270の形状に照明する。本実施形態では、後述のように発光リング270にまで導光する物理構造を工夫することで、発光リング270における発光ムラを減少させている。
中ケース30は、上ケース10及び下ケース80と同様に光不透過性の材料により形成される、スイッチボックス1の内部構造を保持する部材である。具体的には、中ケース30は、図2、図3に示すように、光源であるLEDバルブ40を入射部210に対応する部位(例えば、−z軸方向の直下)に保持する。中ケース30は例えばネジによって上ケース10及び下ケース80に固定される。また、中ケース30は、スイッチボックス1の内部のうち鍵穴60に対応する位置にイグニッションスイッチを保持する。
LEDバルブ40は、図示しない制御部による制御のもと発光する光源である発光素子(LED)を備える。LEDバルブ40は、後述するように導光体20の光路部220を介して、発光リング270を照明する。本実施形態においては、コスト低減及び省スペースのために、スイッチボックス1において導光体20に光を入射させるための光源は、LEDバルブ40一つとする。さらに、LEDバルブ40の光を導光体20に入射する入射部210は一ヶ所とする。
図3に示すように、導光体20の前面側(+z軸側)の平面部のうち、発光リング270以外の部分には、パネル50が密着している。本実施形態では、パネル50は、接着剤で導光体20の前面(特に後述する光路部220の部分)に貼り付けられている。パネル50が導光体20の前面に固定される方法はこれに限らず、ネジを用いて固定されていても良い。また、上ケース10の凹部10aに導光体20と共に挿入することにより導光体20の前面に固定しても良い。
パネル50は光不透過性の材料で形成された平板状の部材であり、導光体20の前面のうち発光リング270以外の部分を遮光することで、発光リング270における照明を強調する。また、パネル50には、鍵穴60の機能を示す文字やマークを含む意匠が施されていてもよい。さらに、パネル50のうち意匠の部分については光を透過可能とし、意匠をLEDバルブ40の光により照明させる構成を採用してもよい。
導光体20は、図4に示すように、全体として板形状を有する部材である。本実施形態では、導光体20は、入射部210と、光路部220と、光路部220の周縁部に設けられた溝部230と、発光リング270と、を備える。また、溝部230は、光路部220の外縁を定義する機能を有し、溝部230の内側の壁面には、凹状に形成される複数の凹部250a、250b、250c、…が設けられている。凹部250を溝部230の形状で説明した場合、溝部230が凸状に光路部220に対して食い込んでいる。換言すれば、光路部220には、溝部230からの複数の凸状部が食い込んだ形状に形成されている。凹部250a、250b、250c、…は、平面視で中空の略半円柱状をなしている。なお、複数の凹部を区別しない場合には、単に凹部250と呼ぶ。以下同様である。
導光体20は、三面図である図5に示す形状を持つ。なお、図5(a)は導光体20の正面図、(b)は図5(a)のA5−A6線断面図、(c)は側面図、(d)は下面図である。
入射部210は、導光体20のうち、LEDバルブ40に対面する位置(例えば、+z軸方向に隣接する位置)に配置される、LEDバルブ40の光を光路部220に入射する機能を有する部位である。入射部210は、後述するように、反射面210aと反射面210bとを含む。
光路部220は、光透過性の平板部材である導光体20のうち、内周を発光リング270に、外周を溝部230に、それぞれ囲まれた領域である。言い換えると、光路部220は、発光リング270の外周部に位置する。また、光路部220の外周部(外縁部)には環状の溝部230(及び、後述する溝部230の内壁に設けられた反射面240)が連続して設けられている。
光路部220の前面(+z方向側の板面)は鏡面加工された平面部である。また、光路部220の背面(−Z方向側の板面)は鏡面加工された平面部である。上ケース10に固定された状態において、光路部220の前面及び後面は、共にxy平面と略平行であり、光路部220の厚みは光路部220の全域においてほぼ等しい。光路部220の前面及び背面は、入射部210に入射された光を反射して光路部220が延在する方向に反射する反射面として機能する。
光路部220は入射部210と一体形成されており、LEDバルブ40の光が入射部210に入射したときに、この光がさらに光路部220に入射可能に設けられている。また、光路部220と発光リング270とは一体形成されており、光路部220を透過し反射面240により反射された光が発光リング270に到達可能な構造を有する。
溝部230は、光路部220の外縁部(外周部)を囲うように連続して設けられた窪みである。溝部230の内側(発光リング270側)の側壁には、入射部210に入射された光を光路部220の延在方向、及び、発光リング270の方向に向かって反射する反射面240が設けられている。反射面240には鏡面処理が施されており、効率よく光を反射する。また、反射面240には複数の凹部250a、凹部250b、凹部250c、…が設けられている。この反射面240に設けられた複数の凹部250が、光路部220を透過した光を乱反射(拡散して反射)することにより発光リング270がムラなく発光する。
発光リング270は、光透過性の部材で形成された導光体20において光路部220に対して前面(+z軸方向)に突出しており、延在方向に沿って連続し弧状に湾曲した(環状の)発光面が形成されている。
光路部220の背面には、内周の発光リング270に対応する部位に沿って反射面260が設けられている。この反射面260は、反射面240及び凹部250が光路部220の内周部まで到達させた光を前方(+z方向)に反射させることで、発光リング270の発光面に光が到達する。発光リング270に到達した光は発光面から導光体20の外部に放出される。このように、発光リング270の前面に設けられた平面を発光面とすることができる。
溝部230は、図6及び図7に示す構造を持つ。図6は凹部250が設けられていない部位における溝部230の断面図である。図7は凹部250が設けられた部位における溝部230の断面図である。図6に示すように、溝部230のうち、内側の壁面(発光リング270に面する壁面)に、鏡面処理を施された反射面240が設けられている。凹部250は、図7に示すように、反射面240のうち凹部250以外の部分に比して発光リング270側に向けて円弧状に窪んだ構造を有する。この構造により、凹部250は、入射部210に入射され光路部220の延在方向に沿って透過された光を乱反射させる。
次に、LEDバルブ40から発光リング270に至るまでの光の経路について説明する。図8に示すように、LEDバルブ40の光は、まず+z軸方向の直上に存在する入射部210に入射される。そして、入射部210が備える反射面210a及び反射面210bによって、環状部位である光路部220の延在方向に反射される。具体的には、反射面210aは+x方向に、反射面210bは+y方向に、それぞれLEDバルブ40が発する光を反射させる。なお、図8において、光が進む方向を点線矢印で示している。以下、特に説明が無い場合は同じである。このようにして、入射部210において、光路部220に対してLEDバルブ40の光が入射される。
本実施形態では、溝部230は、図4及び5に示すように、直線と曲線を組み合わせた経路にそって延在する。この溝部230の形状は、構造解析に基づき、入射部210から導入された光が光路部220の経路を延在方向に効率よく進むように設計されている。具体的には、光路部220を透過し反射面240に入射した光が、屈折光となって溝部230の外部に放出される割合が少なくなるように設けられている。また、反射面240に到達した光のうち所定の割合が、発光リング270に向けて反射するように溝部230の形状が設計されている。このような構造により、光路部220は、入射部210において入射された光を、発光リング270を囲む全経路にわたって効率よく透過させ、発光リング270まで導く。
入射部210により光路部220に入射された光は、図9に示したように、光路部220の前面及び背面と、反射面240と、により反射されながら、光路部220の延在方向に進む。
入射部210において光路部220に入射された光は、一部は(特に入射部210から近い部分で)光路部220の内周に直接達し、発光リング270を発光させる(図9の点線矢印La)。一方、他の光は、溝部230の反射面240に到達する(入射する)。入射した角度と部位により、一部はさらに光路部220の延在方向へ反射される(点線矢印Lb)。一部は発光リング270に向かう方向に反射される(点線矢印Lc)。特に、凹部250が設けられている部位に到達した場合は、乱反射するため、発光リング270に向かう方向に反射される割合が高い(点線矢印Ld)。一部の光は、反射を繰り返して光路部220が延在する方向を進み、光路部220のうち入射部210から遠い部位(入射部210に対して光路部220の光路上で鍵穴60及び発光リング270を迂回した裏側に当たる部位)まで到達する(点線矢印Le)。
光路部220は、連続した環状の発光面を有する発光リング270全体に入射部210から入射された光を導くため、入射部210から見て発光リング270及び鍵穴60を迂回して延在する光路を備える。このため、入射部210から距離が離れるほど光路部220を透過する光の量は少なくなる。また、光路部220を長く光が進行するほど、光が進むベクトルの方向の差が小さくなる傾向がある。この結果、発光リング270に到達する光の量は、入射部210から光路部220が成す光路を進むほど小さくなる傾向にある。
特に、本実施形態のように、一つの光源で環状の発光リング270全体を照明し、かつ、発光リング270の外周に設けられた光路部220を光路とする構成では、光路部220が鍵穴60及び発光リング270を迂回して導光する経路を取る必要が生じるため、発光ムラが生じやすい。すなわち、発光リング270のうち入射部210からの距離が短い部位がより強く発光し、長い部位では(光を強く湾曲しなければ届かないため)発光する強さが小さくなる。そこで、本実施形態では、光路部220の外周に設けられた反射面240に複数の凹部250を設けて光を乱反射させることで、入射部210からの距離に基づく発光ムラを低減させている。
本実施形態では、図9に示すように、光路部220の外周部のうち、入射部210から近い部位に比べて遠い部位において、反射面240に設けられた凹部250の数が多い。ここで、「数が多い」とは、光路部220の外周部が延在する方向についての単位長さあたり(例えば反射面240の接線方向の長さ1cmあたり)に設けられた凹部250の数が多いことを示す。本実施形態では、入射部210から距離が短い部位を入射部210から近い部位、入射部210からの距離が長い部位を入射部210から遠い、と表現する。また、入射部210からの距離は、一例として、光路部220の延在方向における外周の長さによって定義すればよい。以下同様とする。
具体的な凹部250の配置については、光路部220、溝部230、及び、発光リング270の形状等を変数とした構造解析の結果に基づき、発光リング270において発光量が低い部分に、内周側に向けてより多くの量の光が反射されるように、凹部250の位置及び数を決定する。
例えば、図9の両矢印ARRで示された領域は、他の領域と比べて、光路部220において入射部210から入射された光が透過する距離が長い。また、この領域は、光路上、入射部210から見て鍵穴60の陰に隠れているため、この部分に至るまでの光路の湾曲度合も大きい。そのため、この部分の内周では発光リング270の発光量が少なくなることが予想される。そこで、反射面240のうちこの領域には他の領域よりも多くの凹部250を設けて、より多くの光が発光リング270側に反射されるようにする。例えば、両矢印ARRの領域では光路部220の長さ外周1cmあたりにつき2つの凹部250を設ける一方、その他の領域では外周1cmあたりにつき1つの凹部250を設ける。
さらに、本実施形態では、反射面240において、入射部210から遠い部位では、近い部位に比べて、凹部250の凹量(凹部250の反射面240における最大深さ)を大きくしている。
図10に示すように、入射部210に入射され光路部220を透過してきた光は、反射面240のうち凹部250が無い部分に到達した場合、乱反射する程度が低い。凹部250が設けられていない部位では、反射面240の光路部220の延在方向の接線は、溝部230の延在方向と一致する。溝部230の経路は、屈折光として光路部220の外側に飛び出す光が少なくなるように入射光の角度が低くなるように設計されているため、凹部250が設けられていない部位においては、反射面240で反射され光路部220の内周に位置する発光リング270に到達する光の量は少ない。
図11は、入射部210からの距離が短い部位に設けられた、凹量が小さい凹部250における乱反射の様子を示している。凹部250が設けられている場合、光が進行するベクトルが同じでも、境界面の曲面の効果により乱反射が発生する。内周側(発光リング270側)に窪んだ凹部250の曲面により乱反射された光は、乱反射されない場合よりも多い割合で光路部220の内側方向(発光リング270の方向)に反射される。すなわち、凹部250による乱反射により、凹部250が設けられていない場合よりも多い割合で入射部210に導入され光路部220を透過してきた光が発光リング270の方向に到達する。
図12に示すように、入射部210からの距離が遠い部位では、図11で例示した場合よりも凹量が大きい(より大きく曲面が内周側に湾曲している)凹部250が反射面240に設けられている。このため、光が到達した部位のわずかなズレで、凹量が小さい場合より大きく乱反射する。乱反射の程度を大きくすることで、入射部210からの距離が長い部位においても、凹部250一つにつき発光リング270方向に反射される光の割合を多くすることができる。なお、本実施形態では、入射部210からの距離に関わらず、複数の凹部250の凹の直径Rは共通である。
具体的な凹部250の凹量は、光路部220、溝部230、及び、発光リング270の形状等を変数とする構造解析の結果に基づき、発光リング270において発光量が低い部分に、内周側に向けてより多くの量の光が反射されるように決定する。例えば、反射面240のうち、図9の両矢印ARRで示した領域に設けられた凹部250については、凹量を1ミリメートルとする一方、他の部分については、凹量を0.5ミリメートルとする。
上述したように、発光リング270のうち、入射部210からの距離が長い部位においては、距離が短い部位よりも発光が小さくなる傾向がある。そこで、反射面240のうち、入射部210から遠い部位については、距離が短い部位に比べて凹部250の数を増やすことで乱反射が生じる程度を増やしている。さらに、本実施形態では反射面240のうち、入射部210からの距離が長い部位については、距離が短い部位に比べて凹部250の凹量を大きくすることで、入射部210からより距離が長い部位において乱反射が生じる程度を増やしている。このため、本実施形態の導光体20を用いたスイッチボックス1は発光のムラが少ない。
本実施形態では導光体20の裏面の少なくとも一部に、入射部210から遠い領域は、近い領域よりも、粗い面から構成されるように、粗面処理、例えば、シボ処理を施している。具体的には、図13に示すように、導光体20を背面(−z方向)から見た場合の、表面(−Z方向の面)の一部(シボ処理領域280)にシボ処理が施され、粗面が形成されている。シボ処理領域280は、反射面240のうち入射部210から所定条件遠い領域を含み、光路部220の背面と、光路部220の前面と、反射面260と、を含む。
シボ処理は反射面260における光の乱反射を発生させる。このため、反射面240において入射部210から所定条件遠い部分においてシボ処理を施すことにより、発光リング270における発光ムラを低減することができる。
なお、シボ処理領域280の範囲は、光路部220及び溝部230、発光リング270や凹部250の形状等を変数とする構造解析に基づき決定する。
本実施形態の導光体20では、光路部220の外周部に形成された反射面240に、光を乱反射させる凹部250が複数設けられている。そのため、発光リング270においてムラが少ない照明が可能となる。一方、凹部250を設けない場合、発光リング270のうち入射部210に近い部分が、他の部分よりも明るくなり、発光ムラが強く発生する。このように、本実施形態の導光体20によれば、見栄えの良い照明を容易に提供することができる。また、本実施形態のスイッチボックス1は、鍵穴60の周囲をムラなく照明するため、見栄えが良い。また、導光体20の前面のうち、発光リング270以外の部分は、パネル50により遮光されているため、発光リング270における照明が他の部分と比して際立ち、より見栄えが良い。
また、本実施形態において、光路部220に光源の光を入射する部位は、入射部210の一ヶ所に限定されている。このため、複数の入射部210から光を入射する構成に比べて、コストが低い。また、設計の自由度が高い。一方、一ヶ所のみから光を入射する構成において、発光リング270全体を発光させるためには、光路部220を、発光リング270を迂回する光路を設ける必要が生じるため、発光リング270における発光ムラが大きくなる傾向がある。本実施形態では、光路部220の外周部に形成された反射面240に複数の凹部250を設けて発光リング270における発光ムラを低減させているため、一ヶ所のみから光を入射させる構成でも見栄えが低下する程度が小さい。
さらに、本実施形態の導光体20においては、光路部220の外周部の単位長さあたりについて、反射面240において凹部250が形成される数が、入射部210から近い部位よりも遠い部位で多い。このため、凹部250による乱反射により、発光リング270のうち本来発光が少ない部分に集まる光を多くすることができ、発光ムラを低減させることができる。
また、反射面240に形成される凹部250の凹量が、入射部210から近い部位よりも遠い部位で大きい。このため、凹部250による乱反射の量を、入射部210から近い部位よりも遠い部位で大きくすることができ、発光リング270のうち本来発光量が少ない部分に光を集めることができる。
また、本実施形態の導光体20は、入射部210に入射された光により環状の部位である発光リング270を発光させている。湾曲の大きい環状の部位を発光させると、照明の形状が優れているため美観が向上する。しかし、光源からの光路についても、発光部位全体に対応して湾曲した光路を設ける必要が生じるため、発光ムラが発生しやすくなる。本実施形態の構成によれば、凹部250による乱反射によりこのような条件でも発光ムラの程度を低減することができる。
さらに、反射面240のうち入射部210から所定条件離れた領域にシボ加工を施されているため、入射部210から遠い領域の少なくとも一部は、近い領域よりも、粗い面から構成されている。このため、凹部250による乱反射に加え、粗い面(シボ加工を施した部分)による乱反射に基づき発光ムラの発生を低減させることができる。
(変形例)
本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態はこれに限られず、さまざまな変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、LEDバルブ40の光を受けて発光する部位として発光リング270を例に挙げて説明した。しかし、光源の光を受けて発光する部位はリング状に限らず、延在方向に沿って連続し、かつ所定程度以上湾曲した発光面を有する場合において応用可能である。例えば、光源であるLEDバルブ40の光を受けて発光する部位は、楕円形であってもよいし、正五角形状であっても良いし、一部に直線を含む環状の部位であっても良いし、馬蹄形であってもよい。この場合、発光部の外周に設けられる光路部を、発光部の形状に応じて決定する。例えば、発光部が馬蹄形であれば、発光部の形状に合わせて光路部の形状も馬蹄形とすればよい。
また、光路部の構造に対応して、溝部230の形状及び経路も任意に変形可能である。例えば、溝部の経路は円形であってもよいし、楕円形であってもよい。あるいは、発光部及び光路部が馬蹄形であれば、溝部についても、光路部の外周に馬蹄形に設けても良い。
さらに、上記実施形態では、溝部230は、光透過性の部材である導光体20に設けられた窪みであり、外側の壁面も導光体20により形成されていた。しかし、光路部220の外周部の構造は、光の反射率を一定以上確保できるという条件で、他の構造に代替可能である。例えば、図14に示すように、変形例の導光体21において、光路部220の外周縁に段差を形成し、この外周縁の段差の側壁に反射面240を設けても良い。この場合、光路部220の外縁部の段差に設けられた反射面240に対して少し空間を開けて上ケース11が配置されるようにして、光路部220の外縁に溝部231を形成すればよい。溝部230を設ける場合でも、溝部231を設ける場合でも、光路部220の外周には、入射部210に入射された光を発光リング270に向けて反射させる反射面が形成されている。
また、凹部250を反射面240に設置する数、配置、及びその場合の凹量は上記実施形態に限られず、光源の光を受けて発光する部位の意図せぬ発光ムラを低減させることで、美観が向上する範囲で任意に変更可能である。
光を発光リング270に向けて乱反射するために、溝部230が光路部220内に突出する形状を有する凹部250を反射面240に形成する例を示した。これは光路部220の外縁の反射面240が溝部230内に突出していることにも相当する。また、凹部250に限らず、反射面240で様々な方向への反射を起こし、且つ、入射点から遠ざかる程、光の拡散の程度が大きくならば、どのような形状でもよい。例えば、反射面240を平面視で波状に形成し、位置に応じて波のサイズ・周期・曲率などを変更する等してもよい。いずれの場合も、何らかの凹凸形状が形成されるため、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。また、反射面240を、入射部210から遠い部分と近い部分に分割し、遠い部分では近い部分に比べて多くの凹部250を設けた。また、遠い部分では近い部分に比べて凹部250の凹量を大きくした。これに限らず、入射部210からの距離の変化に対して連続的に凹部250の数や凹量を変化させても良い。すなわち、乱反射の程度が変化する態様は、距離に対して連続的であっても段階的であってもよい。
また、導光体20の入射部210から遠い領域一箇所が、近い領域よりも、粗い面から構成されるように、粗面処理を施す例を示したが、複数箇所に粗面化処理を施し、或いは、位置に応じて粗面の粗さを変化させてもよい。例えば、入射部210から遠い領域或いは光の回り込みの少ない領域、等の所定の基準で定まる領域(何もしなければ他よりも暗くなってしまう領域)ほど強い粗面化処理を施しても良い。
また、光路部220と発光リング270と入射部210とを含む導光体20を一体形成する構成について説明した。しかし、これに限定されず、一定程度均一かつ高い光透過度を担保できるかぎり、接着剤や密着、融着などの手段を用いて何れかの部分を接続する構成を採用しても良い。
また、上記実施形態においては、導光体20をスイッチボックス1に用いる構成について説明した。しかし、導光体20の利用法はこれに限定されず、LED等の光源を導光して所定部位を照明する任意の照明器具に用いることができる。例えば車両の速度計測器のパネル周辺を照明する場合に用いる導光体に応用しても良い。
なお、光源の数および入射部の数は一つが好適であるが、これに限定されず、2つ以上であっても良い。複数の光源および入射部から光路部に光を入射させる場合、入射部の位置が相対的に接近している場合に、より凹部250を設けた効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、導光体として、アクリル樹脂により形成された導光体20を用いた。しかし、光透過性が十分に確保できる範囲で、他の既知の光透過性の材料を用いて導光体を形成しても良い。例えば、導光体として、光高透過ガラス製のインサートガラスを上ケース10に挿入する構成を採用しても良い。
また、入射部210からの遠近の定義として、凹部250の数及び凹量の変化については光路部220の延在方向における外周の長さを用いた。一方、シボ加工を施す領域についてはxy平面(板部材である光路部220がなす面)上における発光リング270の中心と入射部210の中心とを通る直線と、シボ処理領域280を通り入射部210に最も近い直線と、が成す角を用いて遠近を表した。これに限らず、凹部250の数又は凹量の変化について、発光リング270の中心と入射部210の中心とを通る直線と、光路部220の外周部と発光リング270の中心部とを通る直線と、が成す角を用いて遠近を定義しても良い。また、シボ加工を施す領域を、光路部220の外周部の長さに基づき決定しても良い。あるいは、入射部210の中心からの直線距離を用いて、入射部210からの遠近を定義するなど、光路部220における遠近を定義可能な他の指標を用いても良い。
なお、上記実施形態ではスイッチボックス1は、ケース部材として、上ケース10、中ケース30、及び、下ケース80の3つの部材を有していた。これに限らず、上ケース10、中ケース30、及び、下ケース80のうち2つ、あるいは3つを一体に形成しても良い。あるいは、導光体20と、LEDバルブ40と、を保持し得る範囲で、4つ以上のケース部材によりスイッチボックス1の外殻及び内部を構成しても良い。何れの場合でも、導光体20及びLEDバルブ40を保持するケース部材は、遮光のため光不透過性の材料(少なくとも光透過性が導光体20よりも小さい材料)で構成することが望ましい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。