以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。本実施形態の要員管理システム1は、物流業で用いられる要員(作業者)の配置等を管理するシステムである。要員管理システム1は、図1に示すように、ディスプレイ(「表示手段」に相当する)2、キーボード3及びマウス4(「入力手段」に相当する)、及び本体(「記憶演算手段」に相当する)5を備えるコンピュータ10で構成されている。コンピュータ10は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)、ノート型パソコン、又はタブレットなどである。タブレットの場合、タッチパネル式となっており、表示手段と入力手段とが一体になっている。コンピュータ10には、下記の各機能を実行するためのソフトウェア(プログラム)がインストールされているともいえる。コンピュータ10の処理(演算や記憶)自体は、公知の技術を利用できる。
ディスプレイ2は、ユーザーが視認できる表示画面である。キーボード3及びマウス4は、ユーザーの入力操作により、本体5に指令を送る部分である。本体5は、CPUやメモリ等を備える部分である。本体5には、各部2〜4が電気的に接続されている。本体5は、機能として、作業者情報記憶部51と、工程情報記憶部52と、配置情報記憶部53と、全体演算部54と、詳細演算部55と、情報表示部56と、を備えている。
作業者情報記憶部51は、作業予定時刻、作業可能工程、作業能力、及び表示用画像が作業者毎に設定された複数の作業者情報を更新可能に記憶する部分である。作業予定時刻は、勤務のいわゆるシフト情報であって、氏名、出勤曜日、業務開始時刻、業務終了時刻、休憩開始時刻、及び休憩終了時刻等の情報を含む。作業可能工程は、実行可能な作業工程の情報である。作業能力は、実行可能な作業工程に対して設定された、実行能力(能率)及び/又は実行レベル(例えば、指導者レベル、単独実行可能レベル、手助け必要レベルなど)の情報である。表示用画像は、作業者の顔写真と氏名等で一体的に構成されており、いわゆるアイコンといえる。
工程情報記憶部52は、1日における終了目標時刻及び作業量が工程毎に設定された複数の工程情報を更新可能に記憶する部分である。配置情報記憶部53は、予め設定された1日における工程に対する作業者の配置情報を更新可能に記憶する部分である。終了目標時刻、作業量、及び作業者の配置は、予めユーザーにより設定される。
全体演算部54は、作業者情報、工程情報、及び配置情報に基づいて、各工程に対して、時刻が終了目標時刻になった際に作業量分の作業が完了することを基準として、過不足時間を演算するように構成されている。詳細演算部55は、作業者情報、工程情報、及び配置情報に基づいて、各工程に対して、作業開始から終了目標時刻までの間における所定時間毎の作業残量、必要工数、及び持ち工数を演算するように構成されている。全体演算部54及び詳細演算部55は、作業者情報、工程情報、及び/又は配置情報の更新(例えばユーザーによる入力・編集)に応じて、各種情報を再演算する。演算の具体例については後述する。
情報表示部56は、図2に示すように、ディスプレイ2に、時刻に対応する時間軸、複数の工程に対応する複数の区画領域、各工程の終了目標時刻、及び各工程の過不足時間を表示させるように構成されている。時間軸は、棒状に形成されており、入力手段で選択された部分にポイント(丸印)が表示されるように構成されている。時間軸は、長手方向一端(図の左側)から長手方向他端(図の右側)に向けて、時刻が進むように設定されている。時間軸は、画面の上方部分に配置され、左右方向に延びている。時間軸の左方(及び/又は右方)には、時間軸上で選択された点/位置に対応する時刻が表示される。
情報表示部56は、ユーザーによるキーボード3及び/又はマウス4の操作により時間軸上の任意の点が選択されると、作業者情報、工程情報、及び配置情報と詳細演算部55の演算結果とに基づいて、当該選択された点に対応する時刻における所定情報をディスプレイ2に表示させる。図2に示すように、情報表示部56は、所定情報の表示として、工程毎の、作業残量、必要工数、及び持ち工数を表示するとともに、各工程の配置された作業者の表示用画像を対応する区画領域内に配置して表示させる。ユーザーは、例えばマウス4により時間軸上の点をクリック(タブレットであれば指でタッチ)することで、その時刻(将来の時刻)における当該所定情報を見ることができる。
また、図3及び図4に示すように、情報表示部56は、ユーザーによるキーボード3及び/又はマウス4の操作に応じて、一の区画領域から他の区画領域に表示用画像を移動させて表示させる。マウス4等により表示用画像を選択すると、選択された表示用画像に対応する作業者の主情報(例えば、所属、担当工程、勤務時間、及び出勤曜日等)と能力情報(例えば多能工であるか否か、及び多能工である場合に作業可能な工程種類)が、選択された表示用画像周辺に(例えば吹き出し式で)表示される。多能工とは、複数の工程を実行する能力があることを意味する。配置情報記憶部53は、表示用画像の移動に応じて配置情報を更新する。つまり、その場で作業者の配置転換後の状態(全体及び各時刻)をシミュレーションすることができる。ユーザー(例えば管理者)は、シミュレーション結果に応じて、当該配置転換(変更)を登録(例えば全端末に反映)することもできる。
コンピュータ10は、ネットワーク(例えばインターネットや社内LAN等)に接続されており、当該配置情報等を、ネットワークに接続された他の端末でも確認することができる。例えば、タブレット等の他の端末を持つ各作業者又は工程管理者が、ディスプレイを確認することで、一目で作業者の配置や作業残量等を確認することができる。また、他の作業現場との情報の共有化も可能となる。つまり、工程間や作業現場間での配置転換により、余剰人員と不足人員とのバランスをとることができる。
より具体的に、本体5によりディスプレイ2に表示される画面(表示画面)の一例について説明する。表示画面において、時間軸の下方には、全工程の各工程における各種情報が表形式で表示される。例えば、工程として、縦に並んで、A工程、B工程、C工程、D工程・・・が表示される。各工程は、独立して又は順番に実行される。そして、当該工程に対応する、終了目標時刻、終了予定、作業残量、目標過不足(「過不足時間」に相当する)、作業量、作業実績、必要工数、持ち工数、欠勤人数が、当該工程の横に並んで表示される。なお、物流事業である本実施形態の工程は、例えば、入荷工程、出庫工程、及び梱包工程などであり、日によって作業量や作業時刻等が異なる。
必要工数は、作業残量に基づいて算出される。持ち工数は、終了目標時刻までに持っている工数である。工数は、配置された作業者の能力と人数で決まる。目標過不足は、終了目標時刻に業務を終えるための過不足時間であって、終了目標時刻までに業務が終わらずT1時間の延長が必要な場合はマイナスT1で表示され、終了目標時刻よりもT2時間だけ早く業務が終わる場合はプラスT2で表示される。初期の作業量及び人員配置は、その日の予定作業に応じて、ユーザーが予め設定する。
表示用画像は、例えば作業者の写真で構成され、氏名、社員番号、及び作業開始時間等の情報が写真と合わせて表示されている。図3及び図4に示す例では、選択された表示用画像は、ドラック・アンド・ドロップによって、C工程の区画領域からD工程の区画領域に移動している。この移動によって、区画領域上に表示されたC工程及びD工程の現在の人数が変更され、ドロップされた時点又は変更の登録の選択等により、各種情報が再演算される。表示用画像の移動後、再演算により、表示される持ち工数は、C工程で減り、D工程で増える。なお、図3では時間軸において時刻16:20を選択されており、図4では図3からの時間の経過により時間軸において時刻16:30を選択されている。つまり、時間軸はユーザーの選択がない場合には、現在時刻及びその時刻における各種情報を、所定時間毎に(例えば5分単位で)更新して表示する。また、図4で表示されている各種情報は、図3の各種情報の10分後の情報(変化し得る情報、例えば作業残量、必要工数、持ち工数、及び人員配置等)である。表示用画像の区画領域間の移動(配置転換)により、詳細演算部55は、持ち工数を再演算する。
また、本体5は、ユーザーが表示用画像を移動させると、作業者の設定された能力(多能工等)に基づいて、移動後の工程での作業が可能であるか否かを判定する。そして、情報表示部56は、移動された作業者が移動後の工程について作業可能と登録されていない場合、能力が設定されていない旨の表示及び/又は本当に移動させるか否かをユーザーに確認する確認表示(窓)をディスプレイ2に表示する。
ここで、本体5で行われる演算の一例について説明する。必要工数(時間)は、その日の作業量に平均能率(作業時間/作業単位)を乗算して算出することができる。作業量や平均能力はユーザーが入力することで変更することができる。持ち工数(時間)は、その工程に配置された(配置予定の)作業者全員の能率及び作業時間に基づいて演算することができる。持ち工数は、その工程が持っている終了予定時間までに実行可能な工数である。持ち工数としては、時間軸上の各時刻(10分単位で表示可能に設定されている)における値が演算されている。例えば、作業者情報に基づいて、A工程の作業者の人数が14時で3名から2名に変更される場合、14:10時点での持ち工数は、2名の作業者の能力及び作業時間により演算(推定)される。必要工数についても同様に、時間軸上の各時刻で演算(推定)される。
作業残量は、設定された1日の作業量と、実行済みの工数とに基づいて演算することができる。実行済みの工数は、上記平均能力から推定したものでも、実際の実行工数を反映したものでも良い。このように、ユーザーの時間軸の選択又は表示用画像の移動により変化し得る、時間軸上の各時刻(所定時間単位)における情報は、各工程における作業残量、必要工数、持ち工数、及び人員配置(区画領域内の表示)である。目標過不足(時間)は、終了目標時刻を基準とし、その日その工程の作業量と作業実績(平均能力と人数と作業時間とから推定)とに基づいて演算(推定)することができる。なお、本実施形態において、ディスプレイ2には、当該要員管理システム1を使用している当日以外の日の情報を表示することもできる。ユーザーは、例えばカレンダー表示等から未来又は過去の日付を選択し、当該選択日の情報を表示させることができる。本体5は、ユーザーにより選択された選択日において、上記当日の表示同様、選択日における時間軸上の点に応じた各種情報をディスプレイ2に表示する(図2参照)。また、情報表示部56は、当日以外の日が選択されている場合、ディスプレイ2の所定位置に、当日ではない旨の通知を表示する。
また、図5に示すように、表示用画像(作業者)の配置を移動させた際、ディスプレイ2の表示を選択することで、その作業者が何時から何時まで移動先の工程を実行するかを設定することができる。本実施形態において応援開始時刻(「何時から」)については、時間軸上で選択された時刻(現在時刻を含む)と一致する時刻に設定される。応援終了時刻(「何時まで」)については、例えば、「最後まで」を含む作業時間の選択や、応援終了時刻の選択により決定する仕組みになっている。詳細演算部55は、当該配置転換に応じて、各工程における作業残量、必要工数、及び持ち工数を再演算する。また、情報表示部56は、再演算結果を、時間軸のポイント位置に応じて、ディスプレイ2に表形式及び区画領域別に表示させる。
このように、配置情報記憶部53は、表示用画像が移動された際の時間軸上の選択された点に対応して、当該移動された表示用画像に対応する作業者の、移動先の工程での作業開始時刻を設定する。つまり、配置情報記憶部53は、表示された時刻(時間軸上の選択点、例えば図4では16:30)を移動先での作業開始時刻に設定する。なお、表示用画像の移動により、自動的に現在の時刻を移動先での作業開始時刻に設定することもできる。そして、情報表示部56は、表示用画像が移動された際、当該移動された表示用画像に対応する作業者の、移動先の工程での作業終了時刻に関する応援時間(作業時間や終了時刻等)を選択させる表示を、ディスプレイ2に表示させる。この構成により、時間軸に対応する表示を利用した配置変更について、詳細且つスムーズな実行が可能となる。
また、本実施形態では、作業者の休憩時間(何時から何時まで休憩)も各種演算や区画領域表示(表示用画像の配置や色分け等)に反映させている。また、将来の時間軸及びそれに対応する演算結果(推定結果)は、日ごとに表示することができる。また、将来の任意の日の作業量は、ユーザーにより設定されるが、過去の傾向(例えば過去数年の作業量情報からの分析結果)から本体5が予測しても良い。
本実施形態によれば、ディスプレイ2に、時間軸及び時間軸上で選択された時刻に対応する持ち工数等の情報が表示されるため、将来の作業状況及び人員配置状況に関する各種情報を、一目で把握することができる。本実施形態によれば、ユーザーは、時間軸上の所望の点をクリックするだけで、その時に(及びその時刻以降で)、どの工程で、何人の作業者が余っているか又は不足しているかを、一覧することができる。そして、ユーザーは、当該過不足が表示されている状態で、作業者の配置を表示用画像の移動により(つまり、ビジュアル的に、直感的に)変更することができ、当該配置変更後の状況も再演算結果の表示により確認することができる。
このように、本実施形態によれば、時間軸を基準とした作業状況及び作業予測の見える化が可能となり、作業者の効率的な配置が可能となる。本実施形態によれば、1日における将来の作業状態を効率良く把握でき、その場で作業者の配置転換をシミュレーションでき、且つ当該配置転換を一目でわかる配置表に反映することができる。時間軸を利用することで、1日の各時刻における作業状況が一目で(且つ直感的に)把握できるシステムが実現される。そして、本実施形態によれば、表示用画像の移動により、直感的な配置変更及び再演算(シミュレーション)が可能であり、適切な配置変更も可能となる。なお、本発明は、上記実施形態に限られず、各種変更が可能である。