JP2019078612A - タイヤ変形量算出装置、過積載検出システム及びタイヤ変形量算出方法 - Google Patents

タイヤ変形量算出装置、過積載検出システム及びタイヤ変形量算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過積載による車両のタイヤの変形をより実用的に検出することのできるタイヤ変形量算出装置、過積載検出システム及びタイヤ変形量算出方法を提供する。【解決手段】タイヤ変形量算出装置は、撮影画像から車両が備える車輪のタイヤの側面輪郭を検出する検出手段と、車両の重量に応じた側面輪郭の荷重変形量を算出する算出手段と、側面輪郭に平行な面内における円形状又は正多角形状の形状又は模様を特定する特定手段と、特定された形状又は模様の撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める変換値取得手段と、を備え、算出手段は、求められた変換値を用いて撮影画像におけるタイヤの荷重変形量に係る所定値を換算して、換算された所定値に基づいて荷重変形量を算出する。【選択図】図5

Description

この発明は、タイヤ変形量算出装置、過積載検出システム及びタイヤ変形量算出方法に関する。
従来、トラックなどの貨物車両による過積載を検出するシステムがある。車両に規定された積載重量を超過した過積載車両の走行は、安全や道路の保全などにとって好ましくなく、各所で監視が行われている。
従来の監視システムとしては、道路に重量計を埋め込んで実際に車両の重量を計測する技術が知られている。しかしながら、この監視システムでは、車両に一時停止を強いることから通行の流れを阻害し、手間がかかる。また、車両が通行する路面に設けられるので、メンテナンス時には通行止めにする必要があるなどの問題がある。これに対し、特許文献1には、通行車両のタイヤを撮影し、その変形量を算出することで過積載を検出する技術が提案されている。
特開平10−272907号公報
しかしながら、道路を走行する車両は、全ての車両のタイヤが同一の位置となるように走行するわけではない。すなわち、車両の走行位置や走行の方向といった撮影装置との位置関係に応じて撮影条件がばらつくので、従来の技術では、全ての車両に対して適正に過積載に係るタイヤの変形を見積もることができず、実用的ではないという課題がある。
この発明の目的は、過積載による車両のタイヤの変形をより実用的に検出することのできるタイヤ変形量算出装置、過積載検出システム及びタイヤ変形量算出方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
撮影画像から車両が備える車輪のタイヤの側面輪郭を検出する検出手段と、
前記車両の重量に応じた前記側面輪郭の荷重変形量を算出する算出手段と、
前記側面輪郭に平行な面内における円形状又は正多角形状の形状又は模様を特定する特定手段と、
特定された前記形状又は模様の前記撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める変換値取得手段と、
を備え、
前記算出手段は、前記変換値取得手段により求められた前記変換値を用いて前記撮影画像における前記タイヤの前記荷重変形量に係る所定値を換算して、当該換算された所定値に基づいて前記荷重変形量を算出する
ことを特徴とするタイヤ変形量算出装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記特定手段は、前記撮影画像における前記側面輪郭の内側で前記形状又は模様を特定することを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項2記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記特定手段は、前記タイヤと同一位置を中心とする前記形状又は模様を特定することを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記特定手段は、前記形状又は模様として車輪のリムを特定することを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項3記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記特定手段は、前記形状又は模様として車輪を固定する複数のボルトを特定することを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記特定手段は、前記タイヤの前記側面輪郭の色と異なる色の前記形状又は模様を特定することを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記変換値取得手段は、前記変換値として前記形状又は模様の長軸方向の長さと短軸方向の長さの比を取得し、
前記算出手段は、当該比を用いて前記所定値を換算する
ことを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記変換値取得手段は、前記側面輪郭と前記撮影画像の撮像面とのなす角に応じた前記変換値を求めることを特徴としている。
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記変換値取得手段は、前記撮影画像の撮像面と前記側面輪郭との間の被写体距離に基づいて前記変換値を求めることを特徴としている。
請求項10記載の発明は、請求項9記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記変換値取得手段は、前記撮影画像における所定の基準位置と前記側面輪郭との距離に基づいて前記被写体距離を求めることを特徴としている。
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭における鉛直方向の長さと水平方向の長さとを用いて前記荷重変形量を算出することを特徴としている。
請求項12記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭のうち変形のない円弧部分を含む円の中心を通り前記側面輪郭上の2点間を結ぶ線分の長さを複数取得し、取得された複数の前記線分の長さに基づいて前記荷重変形量を算出することを特徴としている。
請求項13記載の発明は、請求項12記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記算出手段は、取得された前記線分の長さの最大値と最小値との差に基づいて前記荷重変形量を算出することを特徴としている。
請求項14記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭が路面と接している接地長を用いて前記荷重変形量を算出することを特徴としている。
請求項15記載の発明は、請求項14記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭のうち変形のない円弧部分を含む円の中心と前記側面輪郭上の点との距離がその最大値と異なる角度範囲を求めることで前記接地長を求めることを特徴としている。
請求項16記載の発明は、請求項14又は15記載のタイヤ変形量算出装置において、
前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭のうち変形のない円弧部分を含む円の直径と前記接地長との比により前記荷重変形量を算出することを特徴としている。
請求項17記載の発明は、
請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置と、
前記車両が備える車輪の撮影を行う撮影装置と、
前記撮影装置により撮影された前記車輪について、前記タイヤ変形量算出装置により求められた前記タイヤの前記荷重変形量に基づいて前記車両の過積載の判定を行う判定部と、
を備えることを特徴とする過積載検出システムである。
請求項18記載の発明は、請求項17記載の過積載検出システムにおいて、
前記判定部は、
前記荷重変形量と前記車両の積載重量との対応関係を記憶する記憶部を備え、
当該記憶部を参照して前記荷重変形量に応じた前記車両の前記積載重量を取得する
ことを特徴としている。
請求項19記載の発明は、
撮影画像から車両の重量に応じたタイヤの荷重変形量を算出するタイヤ変形量算出方法であって、
撮影画像から車両が備える車輪のタイヤの側面輪郭を検出する検出ステップ、
前記側面輪郭に平行な面内における円形状又は正多角形状の形状又は模様を特定する特定ステップ、
特定された前記形状又は模様の前記撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める変換値取得ステップ、
前記変換値取得ステップで求められた前記変換値を用いて前記撮影画像における前記タイヤの前記荷重変形量に係る所定値を換算して、当該換算された所定値に基づいて前記荷重変形量を算出する算出ステップ
を含むことを特徴としている。
本発明に従うと、過積載による車両のタイヤの変形をより実用的に検出することができるという効果がある。
本実施形態の過積載検出システムの全体構成を示す模式図である。 過積載検出システムの機能構成を示すブロック図である。 撮影されるタイヤの見かけ上の形状について説明する図である。 タイヤの変形量の算出について説明する図である。 本実施形態の処理装置で実行される過積載検出処理の制御手順を示すフローチャートである。 撮像面と撮影対象のタイヤとの距離の同定について説明する図である。 撮像面と撮影対象のタイヤとの距離の同定に係る他の方法について説明する図である。 本実施形態の過積載検出システムの変形例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の過積載検出システム1の全体構成を示す模式図である。この過積載検出システム1は、撮影装置10と、タイヤ変形量算出装置としての処理装置20とを含む。
撮影装置10としては、二次元面内で動画撮影を行う装置又は静止画を所定の時間間隔で連続撮影を行うものが挙げられる。撮影装置10における撮影画像は、デジタル撮像である。撮影装置10は、撮影により生成されたデジタル画像データをそのまま出力して処理装置20に送る。
処理装置20は、撮影装置10から送られたデジタル画像データを解析してタイヤ変形量を算出し、算出されたタイヤ変形量に基づいて積載重量の規定値(制限積載量)超過有無に係る判定を行う。
図2は、過積載検出システム1の機能構成を示すブロック図である。
撮影装置10は、撮影部11と、制御部12(検出手段、算出手段、特定手段、変換値取得手段、判定部)と、記憶部13と、通信部14などを備える。
撮影部11は、外部から入力された可視光を各画素位置に導く光学装置と、各画素位置でRGB各色の光量を検出する検出部などを備える。検出部は、ここでは、各画素位置の画素値(例えば、RGB各色の光量(輝度値))が取得可能に撮像面上に撮像素子が二次元配列されて、二次元撮影画像データを取得する。制御部12は、撮影部11の撮影タイミングを制御し、撮影部11の動作により得られた光量(輝度値)データは、所定の順番で記憶部13に出力される。制御部12は、適切なタイミングで通信部14を介して記憶部13に一時記憶された画像データを処理装置20に出力する。
処理装置20は、演算処理を行うコンピューターであり、制御部21と、記憶部22と、通信部23などを備える。
制御部21は、処理装置20の動作を統括制御するプロセッサーである。制御部21は、各種演算処理を行うCPU211(Central Processing Unit)と、CPU211に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶するRAM212(Random Access Memory)などを備える。
記憶部22は、各種プログラム、設定データ、記録画像データやその解析結果などを記憶する。記憶部22としては、読み書き更新可能なフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリー、及びHDD(Hard Disk Drive)などが用いられ得る。また、プログラムや初期設定データなどは、マスクROMなどに記憶されていてもよい。
プログラムには、撮影装置10から送られた画像データの解析処理プログラムが含まれる。制御部21のCPU211は、記憶部22からプログラムや設定データを読み出してRAM212に記憶させ、プログラムを実行する。設定データには、積載量換算テーブル221と、制限積載量テーブル222と、路面位置対応テーブル223などが含まれる。
積載量換算テーブル221は、処理装置20により算出されたタイヤの変形量(荷重変形量)に係るパラメーターを積載重量に換算するためのテーブルデータ(荷重変形量と車両の積載重量との対応関係)である。このテーブルは、一種類に限られず、タイヤのサイズ、種別や車両の種別などに応じて各々別個に保持されていてよい。ここでいう荷重には、積荷の重量だけではなく、荷台を含む車体重量が含まれる。
制限積載量テーブル222は、車両の積載重量(車体重量を含む)を車種ごとなどに記憶するテーブルである。
路面位置対応テーブル223は、撮影装置10における撮影画像の各画素位置が撮影される路面上(すなわち二次元面)のどの位置に対応するかを記憶するテーブルである。
通信部23は、外部装置と通信を行うための制御を行う。通信部23は、例えば、ネットワークカードであり、撮影装置10から画像データを受信し、制御部21による画像データの解析結果に応じた信号を外部装置に出力する。出力先の外部装置としては、例えば、過積載の車両の運転手に対して報知動作を行う報知装置、過積載の車両の通行を遮断する遮断機の動作制御装置や、監視員による監視装置などが挙げられる。
次に、本実施形態の処理装置20によるタイヤ変形量の算出動作について説明する。
図3は、撮影されるタイヤTの見かけ上の形状について説明する図である。ここでは、タイヤTの変形を伴わない場合について説明する。
撮影装置10による撮影は、静止画像か動画かを問わず、離散的に行われるので、撮影対象の車両のタイヤが常に撮像面の正面にあるとは限らない。また、タイヤの距離は、一定の値には限られない。このような場合の撮影装置10とタイヤTとの相対配置を図3(a)に示す。撮像面からの距離方向がz方向、撮像面に平行な面内で車両の進行方向(水平方向)がx方向、鉛直上向きがy方向とされている。
ここでは、撮影対象の車両の側面が撮像面に対して正面位置Oで距離z0にあり、正面位置OからタイヤTまでx方向について距離x1であり、車体及び直径(外径)LtのタイヤTが撮像面に対して(xz面内で)角度p(−90<p<90[deg])傾いている。タイヤTの側面輪郭Tsが距離z0の面内にある場合には、焦点距離fの撮影装置10の撮影画像におけるタイヤTの見かけ上の直径La(外径)は、La=Lt・f/z0となる。これに対し、傾き角度pがある場合には、タイヤTの位置(撮像面に平行な面からの距離)は、正面位置Oよりもx方向についての両端でそれぞれ距離差(x1・tan(p)±Lt/2・sin(p))だけずれることになる。これに伴って、タイヤTの側面輪郭Tsの中心を通る水平方向(短軸方向)についての見かけ上の長さLxは、直径La(外径)から変化する。撮像面上では、レンズの焦点距離fを用いて、水平方向についての長さLx=Lt・f・z0・cos(p)/((z0+x1・tan(p))−(Lt/2・sin(p)))となる。z0+x1・tan(p)=z1として、Lt/2・sin(p)がz1よりも十分に小さい場合(すなわち、角度pが小さい場合)には、Lx=f/z1・Lt・(cos(p)−tan(h)・sin(p))と簡略化される。
なお、ここでいう側面輪郭Tsには、タイヤTの表面に設けられた溝などによる凹凸を含む必要はない。また、タイヤTの側面自体は完全な平面ではないが、近似的に平面として取り扱ってよい。
一方、タイヤTの側面輪郭Tsの中心を鉛直方向に通る線分は、撮像面に対して平行である。よって、図3(b)に示すように、タイヤTの側面輪郭Tsの鉛直方向(長軸方向)についての見かけ上の長さLyは、撮像面に平行な面からの距離z1の影響のみを受ける。すなわち、撮像面上では、長さLy=Lt・f/z1となる。
タイヤTは、車輪のホイールのリムRに取り付けられている。ホイールは、側面輪郭Tsの中心に対して対称に配置された複数のホイールボルトB(車輪を固定する複数のボルト)及びホイールナットを用いて車体に取り付けられている。すなわち、ホイールボルトBは、正多角形をなすように配置されている。タイヤTは、接地面において圧縮されて変形が生じる一方で、これらリムRやホイールボルトBの配置には変形が生じず、真円や正多角形が維持される。リムRやホイールボルトBは、それぞれ側面輪郭Tsと平行な面内にあり、中心が同一位置である(ここでいう平行な面や同一位置には、構造上必要な精度内での微妙なずれが含まれていてよい)。したがって、撮影画像におけるこれらの形状や模様の真円や正多角形からのずれは、上述のように車輪と撮像面との位置関係によって生じることになる。なお、ここでは、撮影部11の光学装置による歪み(歪曲収差)は十分に小さいとして無視するが、無視ができない場合には周知の技術により予め補正を行ってもよい。
リムRの直径Lrとして、このリムRの撮像面上でx方向の長さLrx及びy方向の長さLryは、上述の長さLx、LyにおけるタイヤTの直径LtをリムRの直径Lrに置き換えた値となる。ここでは、これら撮影データから長さLrxと長さLryの比を求めることで、焦点距離fなどを消去する。また、条件に応じて適宜解析的又は数値的に近似を行ってもよい。例えば、上述のように、傾きの角度pが十分に小さい場合には、解析的に、比Rab=Lrx/Lry=(cos(p)−x1/z1・sin(p))となる。このような過積載の検出が行われるエリアにおいて、例えば、道路に大きなカーブがなくかつ車線変更が禁止されることで、あまり大きな傾きの角度pは想定されなくなり、当該角度pに応じた近似的な取り扱いが可能となる。
また、中心(車軸の位置)に対して対称に配置された2つのホイールボルトBの間を結ぶ線分(対角線)の長さを直径Lrと等しいとした場合でも上述と同様の各値を求めることができる。この場合、撮影画像における複数のホイールボルトBの位置に対し、楕円でフィッティングを行うことで長さLx、Lyを求めてもよい。あるいは、正多角形のまま鉛直方向及び水平方向のそれぞれ両端に頂点があるものとして求めてもよい。
この比Rabは、直径Lrによらない。すなわち、同心円状の配置(中心が同一位置)となるタイヤTとリムRについて固定値(定数)となる。よって、タイヤTの撮影画像において、側面輪郭Tsの各位置(変形量の算出に必要な位置)のx方向成分をこの比Rabで除す又はy方向成分にこの比Rabを乗ずることにより、具体的な距離x1、z1及び角度pを各々同定せずとも、タイヤTの側面輪郭Tsは、撮像面に平行な面内で見た場合の形状、すなわち、直径Laを定数倍した変換径Lvを直径とする真円に変換される。
図4は、タイヤTの変形量の算出について説明する図である。
処理装置20では、上述のように撮影画像におけるタイヤT(すなわち側面輪郭Ts)を正面から見た形状に変換した変形量の算出がなされる。
タイヤTは、荷重がかかると、図4(a)に示すように、接地部分が圧縮され、タイヤTの接地面と中心(側面輪郭Tsのうち接地しておらず変形していない円弧部分を含む円の中心)とを通る側面輪郭Ts上の2点間を結ぶ線分の長さが本来のタイヤTの直径Ltよりも短くなる。これに伴って、撮影画像におけるタイヤTの中心を通って側面輪郭Ts上の2点間を結ぶ線分の見かけ上の長さを変換した計測変換値Lmのうち、鉛直方向(短軸方向)に伸びる線分である計測変換値Lmyは、上述の変換径Lv(水平方向(長軸方向)に伸びる線分である計測変換値Lmxと等しい)よりも短くなる。また、タイヤTの接地面は、図4(b)に示すように、接地長Lgにわたり直線状(図面に対して奥行き方向を含むので、実際には面状)に延びる。荷重が増大するにつれて計測変換値Lmyは短くなり、接地長Lgは長くなる。すなわち、変形量に応じたパラメーター(所定値)として、これらの計測変換値Lmyや接地長Lg、あるいは、これらに応じた値、例えば、中心から側面輪郭Tsまでの距離Rc、縮小量dLm=Lmx−Lmy(すなわち、線分の長さの最大値と最小値との差)や、接地長Lgがなす中心角である接地角dw(角度範囲)などが求められる。また、これらの値と変換径Lv=Lmxとの比であるLmy/Lmx、dLm/Lmx、Lg/Lmx(直径と接地長との比)など、複数の計測変換値Lm(撮影画像における線分の長さ)に基づいてタイヤTの変形率が求められてもよい。
距離Rcの最小値である最小距離Rcmは、路面が水平であれば、鉛直方向に伸びる線上の計測変換値Lmyの一部となる。撮影部11の撮影画像における鉛直方向が特定できる場合には、直接当該方向における長さRcを求めることができる。鉛直方向が特定できる場合としては、例えば、撮影部11の撮影範囲が鉛直方向及び水平方向に沿って固定されていたり、撮影対象内に鉛直方向を示すものが撮影されていたりする場合が挙げられる。
距離Rcは、タイヤTの側面輪郭Tsの中心位置ORを求めて、当該中心位置ORから側面輪郭Tsまでの距離を求めることで得られる。タイヤTの中心位置OR(撮影画像上では、変形のない円弧部分を含む円の中心)は、ここでは、リムRの中心位置と一致するので、リムRの撮影画像を真円に変換する際に求められるリムRの中心をそのままタイヤTの中心として定めることができる。あるいは、リムRとは別個に、タイヤTにおける側面輪郭Tsの鉛直方向長さが最大となる線分と水平方向長さが最大となる線分の交点を求めてタイヤTの中心としてもよい。
距離x1の同定が不要な場合には、距離Rcは、中心位置ORを特定せずに求められてもよい。すなわち、距離Rc=Lm−(Lmx/2)として求めることもできる。最小距離Rcm=Lmy−(Lmx/2)となる。
また、撮影画像における鉛直方向を厳密に定めて当該鉛直方向に沿って最小距離Rcmを求める代わりに、数値的に最小距離Rcmを算出してもよい。例えば、タイヤTの中心から所定の角度間隔dsで順番に複数、側面輪郭Tsまでの距離Rcを取得する。そして、距離Rcが本来のタイヤ半径(Lt/2)に応じた変換長(Lv/2)=(Lmx/2)(これが最大値となる)よりも小さい(異なる)部分についてのフィッティング(接地面がなす弦の各点への中心からの距離の分布)又は補間により最小距離Rcmを求めることができる。同様に、フィッティングにより得られた弦の両端における角度w1、w2の差により接地角dw=w2−w1が求められる。
処理装置20では、タイヤ変形量の算出において、撮影画像のデータから検出されたタイヤTの側面輪郭Tsのうち、上述の変形量の特定に必要なパラメーターを得るのに必要な位置、長さや角度範囲のみ正面から見た形状に変換されればよい。すなわち、必ずしも側面輪郭Tsの全体を正面から見た形状に変換しなくてもよい。
図5は、本実施形態の処理装置20で実行される過積載検出処理の制御手順を示すフローチャートである。この処理は、ここでは、画像データが撮影装置10から一枚ずつ入力されるごとに起動される。
過積載検出処理が開始されると、制御部21(CPU211)は、解析の対象となる撮影画像データを取得する(ステップS101)。制御部21は、撮影画像から車両が備える車輪のタイヤ(タイヤの側面輪郭)の検出を行う(ステップS102;検出手段としての動作、検出ステップ)。タイヤの検出は、特には限られないが、車両の形状パターンの検出などに基づいて行われる。この検出は、複数枚の連続画像において移動が検出された(差分が生じた)部分に基づいてなされてもよい。
制御部21は、検出されたタイヤの内側から円形状(誤差範囲内での歪みを含み得る)のもの(円形状又は正多角形状の形状又は模様)を検出する(ステップS103;特定手段としての動作、特定ステップ)検出対象は、予め円形状であるものとして特定されているものであり、ここでは、制御部21は、車輪のホイールのリムを検出(特定)する。リムの検出は、例えば、検出されたタイヤの中心付近(ここでは、厳密に中心は定まらない)を中心とした円形状のものであって、タイヤと、当該タイヤとは異なる色の部分の境界を検出(特定)することでなされる。円形状(又は正多角形状)には、完全な円形や正多角形だけでなく、一部が欠けたものが含まれてよい。
制御部21は、リムの形状を真円に補正するためのパラメーターを算出する(ステップS104;変換値取得手段としての動作、変換値取得ステップ)。制御部21は、上述したように、見かけ上真円からずれている形状を真円に戻すパラメーターを求める。制御部21は、求められたパラメーターに基づいてタイヤTの側面輪郭Tsの形状の変換を行う(ステップS105)。制御部21は、変換されたタイヤTの側面輪郭Tsの形状から上述した変形量を示すパラメーターのいずれかを算出する(ステップS106)。ステップS105、S106の処理は、制御部21の算出手段としての動作であり、本実施形態のタイヤ変形量算出方法における算出ステップを構成する。
制御部21は、求められたタイヤのサイズなどからタイヤや車両の種別を判別し、また、変形量のパラメーターを積載重量に換算する(ステップS107)。制御部21は、直接タイヤや車両に記載されている文字や記号などの標識からこれらの種別を判別してもよいし、タイヤや車体の形状をパターンマッチングにより判別してもよい。制御部21は、制限積載量テーブル222を参照して、タイヤ種別及び車種に応じた制限積載量を取得する。制御部21は、得られた積載重量と制限積載量を比較して、制限積載量を超えているか否かを判別する(過積載の判定)(ステップS108)。ステップS107、S108の処理は、制御部21の判定部としての動作である。
制御部21は、得られた積載重量に係る結果を出力する(ステップS109)。そして、制御部21は、過積載検出処理を終了する。
上述の処理では、撮影部11からタイヤ(被写体)までの距離(被写体距離)、すなわち、タイヤTのサイズの絶対値を考慮しなかったが、タイヤの種別やこれに応じた強度情報などを取得するには、タイヤTのサイズを知る必要がある場合もある。図3に示したように、撮影画像におけるタイヤTの大きさ(長さLx、Ly)は、距離z1に(長さLxは、正確には、距離x1にも)依存する。
図6は、撮像面と撮影対象のタイヤTとの距離の同定について説明する図である。
撮影部11及びその画角(焦点距離)が固定であれば、撮影画像の各画素位置に対応する地面の位置が定まる。したがって、撮影画像における基準点(所定の基準位置)、例えば、四隅などとタイヤTの接地点(接地長Lgの線分の中間点)との距離により、距離z1、x1を求めることができる。ここでは、例えば、図6(a)に示すように、撮影画像Im1における右下隅からタイヤTの接地長Lgの中心までの長さは、左に長さpx1、上に長さpy1となっている。
所定のyの値である路面上の位置(x、z)と、この(px1、py1)は、各々対応付けられて、記憶部22に路面位置対応テーブル223として記憶されている。そして、長さpx1、py1が同定されると路面位置対応テーブル223が参照されることでタイヤTの接地長Lgの中心における位置(x、z)=(x1、z1)が同定される。焦点距離fは既知であり、撮影画像Im1におけるタイヤTの直径Laを求めることで、実際のタイヤTの直径Lt=La・z1/fが得られる。
図6(b)では、撮影画像Im2において、長さpy2が長さpy1より大きく、長さpx2が長さpx1より小さくなっている。この場合、車両は、撮像面から図6(a)の場合よりも遠い場所を通過しており、撮影画像中におけるタイヤ半径であるLv/2は、図6(a)の場合よりも小さい。このような場合にタイヤTの直径Ltを求めるには、まず、長さpx1、px2、py1、py2により距離z1、x1を同定する。
図7は、撮像面と撮影対象のタイヤTとの距離の同定に係る他の方法について説明する図である。
図7(a)に示すように、路面上にマーカーMを設けておく。図7(b)に示すように、撮影画像Im3では、このマーカーMとタイヤTとがいずれも含まれる。撮影部11に対するマーカーMの位置(x、z)は、予め記憶部22に保持される。また、このマーカーMとタイヤTとの撮影画像Im3における相対位置(px3、py3)と路面上の位置(x、z)との対応関係が路面位置対応テーブル223に記憶される。これにより、相対位置(px3、py3)を得ることで距離x1、z1が求められる。
図8は、本実施形態の過積載検出システム1の変形例を示す図である。
この図では、下向きが鉛直方向(g方向)である。
ここでは、撮影部11は、路面やタイヤTの中心よりやや高い位置で斜め下向きに撮影を行う。このような場合には、タイヤが撮像面に対してyz面内で、ここでは角度q(側面輪郭Tsと撮像面とのなす角)だけ傾く。これにより、撮影画像におけるy方向の見かけ上の長さLyには、変換径Lvからずれが生じる。このような傾きについても、上述のxz面内での傾きと同様に撮影画像からタイヤTを正面から見た場合のものに変換を行うことができる。
また、xz面内での傾きとyz面内での傾きが同時に存在する場合には、いずれに対しても同様の変換を行うことができる。この場合、側面輪郭Ts全体を変換してから変形量の算出を行うか、中心を通る側面輪郭Tsの2点間の線分を撮影画像から多数取得し、変換後の最大値及び最小値や、長さの分布などに基づいて変形量を取得するなどが行われ得る。
以上のように、本実施形態の処理装置20は、検出手段と、算出手段と、特定手段と、変換値取得手段と、として動作する制御部21を備える。制御部21は、検出手段として、撮影装置10の撮影画像から車両が備える車輪のタイヤTの側面輪郭Tsを検出する。制御部21は、算出手段として、車両の重量に応じた側面輪郭Tsの変形量を算出する。制御部21は、特定手段として、側面輪郭Tsに平行な面内における円形又は正多角形の形状又は模様を特定する。制御部21は、変換値取得手段として、特定された形状又は模様の撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める。
そして、算出手段としての制御部21は、変換値取得手段として求められた変換値を用いて撮影画像におけるタイヤTの変形量に係る所定値(パラメーター)を換算して、当該換算された所定値に基づいて変形量を算出する。
このように、処理装置20では、タイヤTが撮像面に対して傾いている状況であっても適切に座標変換を行ってタイヤTの側面輪郭Tsを正面から見た形状に変換し、当該変換された側面輪郭Tsを用いてタイヤ変形量の算出を行う。これにより、車両の走行中に適切な間隔でタイヤTの撮影を行っていけば、たとえタイヤTが正面に来る瞬間に撮影がなされなくても正確な変形量を求めることが可能となる。したがって、撮影間隔を車両の走行速度に比して極端に短く定める必要がない。また、車両が撮像面に対して平行に走っていない場合であっても正確な変形量を求めることが可能となる。したがって、過積載の計測逃れなどを防ぐことができる。よって、この処理装置20では、過積載による車両のタイヤの変形をより実用的に検出することができる。
また、特定手段としての制御部21は、撮影画像における側面輪郭Tsの内側で円形や正多角形といった形状又は模様を特定する。すなわち、車輪における円形状のもの検出するので、車輪と車体とが異なる向きを向いている場合でも適切にタイヤTの側面輪郭Tsを正面から見た形状に変換することができる。
また、特定手段としての制御部21は、タイヤTと同一位置を中心とする上述の形状又は模様を特定する。これにより、タイヤTと等しい位置でより正確にタイヤTの見かけ上のずれの変換値を取得することができる。また、変形しているタイヤTの中心位置を別途容易に同定することができる。
また、特定手段としての制御部21は、上述の形状又は模様として車輪のリムRを特定する。リムRは、タイヤTと同心であり、半径も大きく異ならないことから、精度良く変換値を求めることができる。
また、特定手段としての制御部21は、上述の形状又は模様として車輪を固定する複数のホイールボルトBを特定する。ホイールボルトBは、タイヤTと同心であって正多角形状に配置されるので、リムRと同様に、精度良く変換値を求めることができる。
また、特定手段としての制御部21は、タイヤTの側面輪郭Tsの色と異なる色の形状又は模様を特定する。したがって、撮影画像から容易かつ正確に当該形状又は模様を抽出することができる。これにより、精度の良い変換値が得られる。
また、制御部21は、変換値取得手段として、変換値として上述の形状又は模様の長軸方向の長さと短軸方向の長さの比を取得し、算出手段として、当該比を用いて変形量に係るパラメーターを換算する。このように、変換値を楕円の二軸の長さの比として単純に求めることで、容易な演算で大きく精度を低下させずに適切に側面輪郭Tsの変形量に係るパラメーターを得ることができる。
また、変換値取得手段としての制御部21は、側面輪郭Tsと撮影画像の撮像面とのなす角度p、qに応じた変換値を求める。すなわち、車両が撮像面に対して斜めに走行している場合に加えて、撮影部11自体を傾けることも可能になる。これにより、地面よりやや高い位置から撮影することで、車両の走行による泥はねなどによる撮影面(撮像面への光入射面)の汚れを避けることができる。また、撮影方向をやや下向きとすることで、雨滴の付着などによる撮影面の汚れを低減させることができる。
また、変換値取得手段としての制御部21は、撮影画像の撮像面と側面輪郭Tsとの間の被写体距離z1に基づいて変換値を求める。すなわち、より正確に変換値を求めることができる。また、接地長Lgや縮小量dLmなどの変形量と変換径Lvとの比などだけではなく、被写体距離z1に基づいて、実際の変換径Lvの絶対値を正確に同定可能とすることで、タイヤのサイズや種別などの判定を容易とし、過積載の判定をより適正に行うことができる。
また、変換値取得手段としての制御部21は、撮影画像(例えば、撮影画像Im1)における所定の基準位置(右下隅)と側面輪郭Ts(ここでは、接地長Lgの中心位置)との距離に基づいて被写体距離z1を求める。カメラの画角を固定しておくことで、相対的に静止している路面上の位置(x、z)を画素位置と対応付けることができるので、容易に側面輪郭Tsのうち路面に接している位置を同定することができる。これにより、被写体距離z1が容易に同定され、適切に変形量に係るパラメーターの変換値を取得することができる。
また、算出手段としての制御部21は、正面から見た形状における値に換算された側面輪郭Tsにおける鉛直方向の長さLyと水平方向の長さLxとを用いて変形量を算出する。これにより、車両の走行方向について撮影装置10の画角の中央からずれたタイヤTについて効率良く適切に変形量を得ることができる。
また、算出手段としての制御部12は、換算された側面輪郭Tsのうち変形のない円弧部分を含む円の中心を通り側面輪郭Ts上の2点間を結ぶ線分の長さを複数取得し、取得された複数の線分の長さに基づいて変形量を算出する。上述のように水平方向と鉛直方向に限らず、複数の線分の長さを取得して数値的にタイヤTの側面輪郭Tsの変形の分布を取得することで、当該変形の分布に応じて柔軟かつ正確に変形量を得ることができる。
また、算出手段としての制御部12は、取得された線分の長さの最大値と最小値との差に基づいて変形量を算出する。このような単純な変形量の算出によって簡便な処理で変形量を見積もり、過積載の判定に用いることができる。
また、算出手段としての制御部12は、換算された側面輪郭Tsが路面と接している接地長Lgを用いて変形量を算出する。このような変形部分を直接検出するのも容易であり、また、適切に変形量を見積もり、過積載の判定に用いることができる。
また、算出手段としての制御部12は、換算された側面輪郭Tsのうち変形のない円弧部分を含む円の中心と側面輪郭Ts上の点との距離Rcがその最大値(Lv/2)と異なる角度範囲である接地角dwを求めることで接地長Lgやこれに対応する値を求める。タイヤTは三次元構造であり、また、溝などもあることから、撮影画像から側面輪郭Tsが必ずしも明確に定まらない場合もある。このような場合に、直接各点の接地有無を判断するのではなく、複数のデータ点からもっともらしい接地範囲を同定することで、判定の恣意性などを含まずに容易かつ適切に接地長Lgに対応する値を取得し、過積載の判定に用いることができる。
また、算出手段としての制御部12は、換算された側面輪郭Tsのうち変形のない円弧部分を含む円の直径に応じた変換径Lvと接地長Lgとの比により変形量を算出する。このように、過積載に係る直接的なパラメーターである接地長Lgを変換径Lvとの比として求めることで、タイヤTの直径に対して適切な荷重の範囲であるかをより反映するパラメーターにより当該タイヤTの直径によらずに適切に過積載の判定に用いることができる。
また、本実施形態の過積載検出システム1は、タイヤ変形量算出装置としての上述の処理装置20と、車両が備える車輪の撮影を行う撮影装置10とを備える。また、処理装置20の制御部21は、撮影装置10により撮影された車輪について求められたタイヤTの変形量に基づいて車両の過積載の判定を行う判定部として動作する。したがって、上述のように車両の走行状態に対してより柔軟に対応してタイヤTの変形量を求められる処理装置20により、より確実に幅広い状態で過積載の判定が可能となる。すなわち、この過積載検出システム1では、過積載の判定漏れを低減させることができ、より実用的に過積載の有無を判定することができる。また、このような過積載検出システム1では、撮影装置10を走行速度に比して高速動作させる必要がなく、撮影や処理の速度の向上にコストを費やす必要がない。また、車両の走行中に道路脇などで過積載の判定が可能となるので、車両の運転手に手間をかけず、また、メンテナンスなどの手間も低減させることができる。
また、判定部としての処理装置20は、変形量と車両の積載重量との対応関係を積載量換算テーブル221として記憶する記憶部22を備える。制御部21は、記憶部22を参照して変形量に応じた車両の積載重量を取得する。
このように処理装置20では、テーブルデータとして保持して参照することで、容易かつ適切に変形量から積載重量を取得することができ、低負荷かつ速やかに過積載の判断を行うことができる。特に、タイヤや車両の種別などに応じて複数の対応パターンがあり得るので、それぞれテーブルデータを保持しておくことで、処理の手間を低減させることができる。
また、本実施形態のタイヤ変形量算出方法は、撮影画像から車両が備える車輪のタイヤTの側面輪郭Tsを検出する検出ステップ、側面輪郭Tsに平行な面内における円形又は正多角形の形状又は模様、例えば、リムRなどを特定する特定ステップ、特定された形状又は模様の撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める変換値取得ステップ、変換値取得ステップで求められた変換値を用いて撮影画像におけるタイヤTの変形量に係る所定値を換算して、当該換算された所定値に基づいて変形量を算出する算出ステップを含む。
このような方法を用いることで、車両の走行中に適宜な間隔で撮影されたタイヤTの撮影画像により、たとえタイヤTが正面に来る瞬間に撮影がなされなくても正確な変形量を求めることが可能となる。したがって、撮影間隔を車両の走行速度に比して極端に短く定める必要がない。また、車両が撮像面に対して平行に走っていない場合であっても正確な変形量を求めることが可能となる。したがって、過積載の計測逃れなどを防ぐことができる。よって、このタイヤ変形量算出方法では、過積載による車両のタイヤの変形をより実用的に検出することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、変形量に係るパラメーターとしては、長さや角度のほか、面積などが用いられてもよい。画素数で面積を得て、当該画素数や画素あたりの単位面積を正面から見た値に変換することで、比較的容易に変形量を得ることが可能である。
また、上記実施の形態では、タイヤTの側面輪郭Tsの内側にあるリムRなどを用いて撮像面に対する側面輪郭Tsの角度などを取得することとしたが、側面輪郭Tsの角度を示すものであれば、すなわち、車軸の向きに連動して動くような構造などであれば、当該側面輪郭Tsの内側になければいけない訳ではない。また、変形しないものであれば、タイヤT自体に設けられた模様を用いてもよい。
また、上記実施の形態では、車輪のリムRやホイールボルトBなどの車輪に元々ある構造を特定し、変換値の算出を行ったが、これに限られない。タイヤTに別途円形状の模様が描かれていてもよい。また、この模様は、車軸を中心とするものでなくてもよい。
また、上記実施の形態では、これらリムRやホイールボルトBの色がタイヤTの色と異なるものとして説明したが、同色であっても検出可能に検出アルゴリズムを構成してもよい。
また、上記実施の形態では、道路の延びる方向に対して垂直方向から水平に又は斜め下向きに撮影する場合について説明したが、これに限られない。例えば、撮影装置10は、車両の進入方向へ斜めを向いて撮影するものであってもよい。
また、上記実施の形態では、撮影画像から被写体距離(側面輪郭Tsまでの距離)を算出することとしたが、被写体距離については別途センサーなどを用いて取得することとしてもよい。
また、上記実施の形態では、撮影装置10と処理装置20とが一体的に設けられた過積載検出システム1について説明したが、別個に設けられた撮影装置10から取得された画像に基づいて過積載の検出を行うタイヤ変形量算出装置が単独であってもよい。
また、上記実施の形態では、変形量と積載重量とをタイヤや車種別に各々テーブルとして保持するものとして説明したが、同一タイヤでタイヤの数だけが異なる場合などについては、共通のテーブルデータに対して各タイヤに係る荷重の比率データに基づいて重み付け計算を行って、変形量を積載重量に変換してもよい。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理内容や処理の手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
1 過積載検出システム
10 撮影装置
11 撮影部
12 制御部
13 記憶部
14 通信部
20 処理装置
21 制御部
22 記憶部
221 積載量換算テーブル
222 制限積載量テーブル
223 路面位置対応テーブル
23 通信部
B ホイールボルト
dLm 縮小量
dw 接地角
f 焦点距離
Im1、Im2、Im3 撮影画像
Lg 接地長
Lm、Lmx、Lmy 計測変換値
La、Lr、Lt 直径
Lv 変換径
R リム
T タイヤ
Ts 側面輪郭
x1、z0、z1 距離

Claims (19)

  1. 撮影画像から車両が備える車輪のタイヤの側面輪郭を検出する検出手段と、
    前記車両の重量に応じた前記側面輪郭の荷重変形量を算出する算出手段と、
    前記側面輪郭に平行な面内における円形状又は正多角形状の形状又は模様を特定する特定手段と、
    特定された前記形状又は模様の前記撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める変換値取得手段と、
    を備え、
    前記算出手段は、前記変換値取得手段により求められた前記変換値を用いて前記撮影画像における前記タイヤの前記荷重変形量に係る所定値を換算して、当該換算された所定値に基づいて前記荷重変形量を算出する
    ことを特徴とするタイヤ変形量算出装置。
  2. 前記特定手段は、前記撮影画像における前記側面輪郭の内側で前記形状又は模様を特定することを特徴とする請求項1記載のタイヤ変形量算出装置。
  3. 前記特定手段は、前記タイヤと同一位置を中心とする前記形状又は模様を特定することを特徴とする請求項2記載のタイヤ変形量算出装置。
  4. 前記特定手段は、前記形状又は模様として車輪のリムを特定することを特徴とする請求項3記載のタイヤ変形量算出装置。
  5. 前記特定手段は、前記形状又は模様として車輪を固定する複数のボルトを特定することを特徴とする請求項3記載のタイヤ変形量算出装置。
  6. 前記特定手段は、前記タイヤの前記側面輪郭の色と異なる色の前記形状又は模様を特定することを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  7. 前記変換値取得手段は、前記変換値として前記形状又は模様の長軸方向の長さと短軸方向の長さの比を取得し、
    前記算出手段は、当該比を用いて前記所定値を換算する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  8. 前記変換値取得手段は、前記側面輪郭と前記撮影画像の撮像面とのなす角に応じた前記変換値を求めることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  9. 前記変換値取得手段は、前記撮影画像の撮像面と前記側面輪郭との間の被写体距離に基づいて前記変換値を求めることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  10. 前記変換値取得手段は、前記撮影画像における所定の基準位置と前記側面輪郭との距離に基づいて前記被写体距離を求めることを特徴とする請求項9記載のタイヤ変形量算出装置。
  11. 前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭における鉛直方向の長さと水平方向の長さとを用いて前記荷重変形量を算出することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  12. 前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭のうち変形のない円弧部分を含む円の中心を通り前記側面輪郭上の2点間を結ぶ線分の長さを複数取得し、取得された複数の前記線分の長さに基づいて前記荷重変形量を算出することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  13. 前記算出手段は、取得された前記線分の長さの最大値と最小値との差に基づいて前記荷重変形量を算出することを特徴とする請求項12記載のタイヤ変形量算出装置。
  14. 前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭が路面と接している接地長を用いて前記荷重変形量を算出することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置。
  15. 前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭のうち変形のない円弧部分を含む円の中心と前記側面輪郭上の点との距離がその最大値と異なる角度範囲を求めることで前記接地長を求めることを特徴とする請求項14記載のタイヤ変形量算出装置。
  16. 前記算出手段は、前記換算された前記側面輪郭のうち変形のない円弧部分を含む円の直径と前記接地長との比により前記荷重変形量を算出することを特徴とする請求項14又は15記載のタイヤ変形量算出装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のタイヤ変形量算出装置と、
    前記車両が備える車輪の撮影を行う撮影装置と、
    前記撮影装置により撮影された前記車輪について、前記タイヤ変形量算出装置により求められた前記タイヤの前記荷重変形量に基づいて前記車両の過積載の判定を行う判定部と、
    を備えることを特徴とする過積載検出システム。
  18. 前記判定部は、
    前記荷重変形量と前記車両の積載重量との対応関係を記憶する記憶部を備え、
    当該記憶部を参照して前記荷重変形量に応じた前記車両の前記積載重量を取得する
    ことを特徴とする請求項17記載の過積載検出システム。
  19. 撮影画像から車両の重量に応じたタイヤの荷重変形量を算出するタイヤ変形量算出方法であって、
    撮影画像から車両が備える車輪のタイヤの側面輪郭を検出する検出ステップ、
    前記側面輪郭に平行な面内における円形状又は正多角形状の形状又は模様を特定する特定ステップ、
    特定された前記形状又は模様の前記撮影画像における形状を真円又は正多角形に変換するための変換値を求める変換値取得ステップ、
    前記変換値取得ステップで求められた前記変換値を用いて前記撮影画像における前記タイヤの前記荷重変形量に係る所定値を換算して、当該換算された所定値に基づいて前記荷重変形量を算出する算出ステップ
    を含むことを特徴とするタイヤ変形量算出方法。
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