JP2019073764A - 腐食防止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膜性アミンによる防食皮膜の形成で冷却水系に接する金属部材の腐食を抑制する、環境負荷を低減した腐食防止方法において、水質調整のための薬剤添加量を大幅に低減する。【解決手段】冷却水系に皮膜性アミンとMアルカリ度成分を共存させて冷却水系に接する金属部材の表面に防食皮膜を形成して腐食を抑制する腐食防止方法。Mアルカリ度成分として中和性アミンを用い、防食皮膜を形成する初期処理時の冷却水系のMアルカリ度を90mg/L as CaCO3以上に調整する。或いは、Mアルカリ度成分として無機アルカリを用い、初期処理時の冷却水系のMアルカリ度を120mg/L as CaCO3以上、pHを9.5以上に調整する。【選択図】なし

Description

本発明は、冷却水系に接した金属部材、特に炭素鋼等の鉄系金属部材の表面に防食皮膜を形成してその腐食を抑制する腐食防止方法に関する。
開放循環冷却水系に設けられた金属部材、例えば、炭素鋼、銅、又は銅合金製の熱交換器、反応釜や配管は、冷却水と接触することにより腐食を受けることから、一般に、薬剤添加による防食処理が施されている。
例えば、炭素鋼製の熱交換器、反応釜や配管の腐食を抑制するために、オルトリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ヒドロキシエチリデンホスホン酸塩、ホスホノブタントリカルボン酸塩等のリン化合物が冷却水系に添加されている。亜鉛塩や重クロム酸塩のような重金属塩を単独で又は併用して添加する場合もある。
しかし、このようなリン化合物や亜鉛塩などを添加する防食処理では、水質を汚染し、環境に重篤な影響を与える可能性がある。
一方、環境負荷を低減した処理方法として、リン化合物や亜鉛塩に頼らず、水質成分を調整することにより、防食効果を改善する方法が、以下の特許文献1〜3に提案されている。
特許文献1には、開放循環冷却水系において、ランゲリア指数が1.5以上でかつシリカ濃度とカルシウム硬度の積が2000以上となるように水質を調整し、マレイン酸とイソブチレンとの共重合体を添加する金属の腐食抑制方法が開示されている。
特許文献2には、ランゲリア指数が1.5以上で、かつシリカ濃度とカルシウム硬度の積が2000以上となるように調整された水系に、マレイン酸系重合体Aと、マレイン酸系単量体と非イオン性モノエチレン系不飽和単量体との共重合体Bとを特定の割合で添加する金属の腐食抑制方法が開示されている。
特許文献3には、リン酸塩と亜鉛塩とMアルカリ度成分とが添加され、全リン酸濃度及び全亜鉛濃度をそれぞれ1mg/L以下、かつ30℃におけるランゲリア指数を1.2以上とする水系の金属腐食抑制方法が開示されている。
しかし、特許文献1〜3の方法は、いずれもカルシウム硬度が低い水質においては、カルシウム硬度やシリカ濃度、ランゲリア指数を一定値にするために、多量の薬剤を添加する必要がある。
腐食を抑制する他の方法として、皮膜性アミンを用いる方法があり、この方法は主としてボイラ水系における金属の腐食抑制に適用されている。皮膜性アミンによる防食のメカニズムは、皮膜性アミンが金属の表面にアミノ基を介して吸着して単分子又は多分子層の緻密な皮膜を形成することにより金属と水の接触を防止することで、金属の腐食を抑制するというものである(非特許文献1)。
特公平4−33868号公報 特開2007−119835号公報 特開2009−299161号公報
腐食センターニュース No.054(2010年8月) 水処理技術(1)「ボイラおよび周辺設備の腐食・防食」川村 文夫
前述の通り、リン化合物や亜鉛塩などを添加する防食処理では、水質を汚染し環境に重篤な影響を与える可能性がある。一方、これらの物質を使用せずに水質調整を行って防食効果を改善する場合、特にカルシウム硬度の低い冷却水系で防食効果を発揮させるためには、多量の薬剤を添加する必要があり、経済的ではない。
皮膜性アミンを用いて金属の表面に防食皮膜を形成する方法は、皮膜性アミンの必要量は基本的には金属の表面積に比例し、一旦防食皮膜が形成された後の皮膜性アミンの必要量は少なくて足りるため、薬剤コストを抑えることができるが、腐食抑制効果を発揮し得る緻密な防食皮膜の形成の可否は、水系の水質に大きく影響されるため、冷却水系等への適用は困難であった。
本発明は、リン化合物、亜鉛塩といった環境負荷となる薬剤を用いることなく、皮膜性アミンによる防食皮膜の形成で冷却水系に接する金属部材の腐食を抑制する腐食防止方法であって、水質調整のための薬剤添加量を大幅に低減することができる腐食防止方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、皮膜性アミンによる防食処理では、皮膜性アミンのみでは防食皮膜を形成し得ず、防食皮膜の形成、防食効果の維持にはMアルカリ度成分を必要とすることを知見した。そして、皮膜性アミンとMアルカリ度成分との併用による防食処理について更に検討した結果、皮膜性アミンによる処理を開始する初期処理時にのみ、冷却水系のMアルカリ度、更にはpHを所定の条件にすれば、その後の保持処理時には薬剤の添加を不要或いはごく少量の薬剤添加で防食効果を維持することができることを見出した。
本発明に従った皮膜性アミンによる防食皮膜の形成による腐食防止方法では、所定以上のMアルカリ度と皮膜性アミン濃度があれば防食皮膜を形成して防食効果を得ることができるため、環境負荷を低減し、安価な防食処理が可能となる。特に、冷却水系では、補給水由来のMアルカリ度が濃縮されるため、防食皮膜形成のためのMアルカリ度の調整のためには、濃縮が上がる前の初期段階だけ不足するMアルカリ度成分を投入すれば良い。よって、その後は、薬剤としては通常皮膜性アミンの添加のみで済む。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 冷却水系に皮膜性アミンとMアルカリ度成分を共存させて該冷却水系に接する金属部材の表面に防食皮膜を形成して該金属部材の腐食を抑制する腐食防止方法であって、
該Mアルカリ度成分として中和性アミンを用い、該防食皮膜を形成する初期処理時の該冷却水系のMアルカリ度を90mg/L as CaCO以上に調整することを特徴とする腐食防止方法。
[2] [1]において、前記初期処理時の前記冷却水系のpHを9.5以上とすることを特徴とする腐食防止方法。
[3] 冷却水系に皮膜性アミンとMアルカリ度成分を共存させて該冷却水系に接する金属部材の表面に防食皮膜を形成して該金属部材の腐食を抑制する腐食防止方法であって、
該Mアルカリ度成分として無機アルカリを用い、該防食皮膜を形成する初期処理時の該冷却水系のMアルカリ度を120mg/L as CaCO以上、pHを9.5以上に調整することを特徴とする腐食防止方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記初期処理時に前記冷却水系に前記皮膜性アミンを10mg/L以上添加し、その後、該初期処理時の該冷却水系の皮膜性アミン濃度を0.1mg/Lを超える濃度に維持することを特徴とする腐食防止方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記初期処理後、形成された防食皮膜を保持する保持処理時において、前記冷却水系のMアルカリ度を30mg/L as CaCO以上、皮膜性アミン濃度を0.1mg/L以上に維持することを特徴とする腐食防止方法。
本発明によれば、皮膜性アミンとMアルカリ度成分を用いて、リン化合物や亜鉛塩といった環境負荷となる薬剤を必要とすることなく、防食皮膜の形成で高い防食効果を得ることができる。本発明によれば、防食皮膜形成までの初期処理時に水質調整用の薬剤の添加が必要とされるが、防食皮膜が形成された後の保持処理時には水質調整のために薬剤を添加する必要はなく、或いは少ない薬剤添加量で防食効果を維持することができる。
このようなことから、本発明によれば、環境負荷を低減すると共に薬剤コストを抑えた経済的な処理で、高い防食効果を長期間安定に得ることができる。
以下に、本発明の腐食防止方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の腐食防止方法では、冷却水系に皮膜性アミンとMアルカリ度成分を共存させてこの冷却水系に接する金属部材の表面に防食皮膜を形成して金属部材の腐食を抑制するに当たり、防食皮膜を形成する初期処理時において、Mアルカリ度成分として中和性アミンを用いる場合は、冷却水系のMアルカリ度を90mg/L as CaCO以上に調整し、Mアルカリ度成分として無機アルカリを用いる場合は、冷却水系のMアルカリ度を120mg/L as CaCO以上、pHを9.5以上に調整する。
<初期処理・保持処理>
本発明において、初期処理とは、皮膜性アミンにより、処理対象となる冷却水系内の該冷却水系と接する金属部材の表面全体に防食皮膜を形成させる処理をさす。
ここで、金属部材の表面全体とは、配管、熱交換器、反応釜などをいう。
また、初期処理とは、中和性アミンや無機アルカリを用いて十分にMアルカリ度を上げ、高濃度の皮膜性アミンを添加することで金属部材の表面全体に防食皮膜が形成される処理のことである。
また、保持処理とは、上記の初期処理後、冷却水系内の金属部材の表面全体に形成された防食皮膜を保持(維持)する処理である。
<水質調整>
本発明においては、初期処理時に冷却水系の水質調整を行うことにより、冷却水系に接する金属部材の表面に安定な防食皮膜を効率的に形成する。
防食皮膜を形成する初期処理時には十分なMアルカリ度が必要であり、Mアルカリ度成分として後述の中和性アミンを使用する場合は、冷却水系のMアルカリ度が90mg/L as CaCO以上、pHが好ましくは9.5以上となるように水質調整する。通常の場合、中和性アミンを冷却水系のMアルカリ度が90mg/L as CaCO以上となるように添加した場合、pHは9.5以上となるため、別途アルカリ剤を添加する必要はない。
一方、Mアルカリ度成分として後述の無機アルカリを使用する場合には、冷却水系のMアルカリ度が120mg/L as CaCO以上、pHが9.5以上となるように水質調整する。この場合、後述の炭酸塩、重炭酸塩によりMアルカリ度成分120mg/L as CaCO以上に調整し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物によりpHを9.5以上に調整することが好ましい。
なお、中和性アミンと無機アルカリを併用してもよく、この場合は、冷却水系のMアルカリ度が120mg/L as CaCO以上、pHが9.5以上となるように水質調整する。
Mアルカリ度成分として中和性アミンを用いる場合、一般的には、皮膜性アミンと共に、必要量の中和性アミンを冷却水系に添加してMアルカリ度を調整する。
Mアルカリ度成分として無機アルカリを用いる場合は、重炭酸ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の補給水中のMアルカリ度を利用することもできる。冷却水系の補給水中にこれらのMアルカリ度成分が含まれる場合は、Mアルカリ度120mg/L as CaCO以上、pH9.5以上の水質とするための不足分の無機アルカリを添加すればよい。
Mアルカリ度成分として中和性アミン、無機アルカリのいずれを用いる場合も、皮膜性アミンは、冷却水系の皮膜性アミン濃度として10mg/L以上を目安に添加することが好ましい。皮膜性アミンの添加で金属部材表面に防食皮膜が形成されることで、冷却水系の皮膜性アミン濃度が低下するが、初期処理時は、冷却水系の皮膜性アミン濃度が2mg/L以下とならないように皮膜性アミン濃度を維持することが好ましい。従って、皮膜性アミンの消耗が激しい場合は、必要に応じて適宜皮膜性アミンを追加添加する。
このような初期処理後の保持処理時においては、Mアルカリ度30mg/L as CaCO以上、皮膜性アミン濃度0.1mg/L以上の水質を維持することで、既に形成された防食皮膜を安定に維持して防食効果を持続させることができる。
この保持処理時においては、冷却水系の濃縮でMアルカリ度が上昇する傾向があるため、通常、Mアルカリ度成分の追加添加は不要である。また、皮膜性アミンについても、追加添加することなく通常1mg/L以上の濃度を維持し得るが、皮膜性アミン濃度が低下する傾向がある場合は適宜必要量の皮膜性アミンを追加添加する。
このように、本発明によれば、初期処理時に必要量の薬剤を添加するのみで、その後の保持処理時には、薬剤を全く添加することなく、或いはごく少量の薬剤添加で防食効果を持続させることができる。
なお、上記の水質調整の説明において、皮膜性アミン濃度やMアルカリ度は、下限のみで、上限を特に限定していないが、初期処理、保持処理のいずれにおいても、Mアルカリ度、皮膜性アミン濃度は低い程防食効果が低下し、高い程防食効果が向上する。Mアルカリ度、皮膜性アミン濃度を高くするためには、薬剤添加量が多くなり、薬剤コストが高くつくため、Mアルカリ度、皮膜性アミン濃度の上限は防食効果と薬剤コストの兼ね合いで適宜決定される。なお、保持処理時のpHについては、作業環境の安全性、薬剤コスト、銅防食等の観点から10以下とすることが好ましい。
<冷却水系>
本発明において、処理対象とする冷却水系は、密閉循環冷却水系でも良いし、開放循環冷却水系でも良い。また、冷却水系の水は純水、軟水、工業用水など特に限定されない。いずれの冷却水系でもブローや飛散水などで抜けた分、破壊された皮膜の再形成などで消耗した分を補うため、上記の水質となるように薬剤の追加添加を行う。
なお、処理対象とする冷却水系のMアルカリ度成分、pH、皮膜性アミン濃度以外の水質については、特に制限はないが、一般的に冷却水で採用される水質であることが好ましい。
<金属部材>
本発明において、防食対象とする金属部材には特に制限はなく、炭素鋼等の鉄系金属部材であっても良く、銅系金属部材であっても良いが、皮膜性アミンにより腐食抑制に有効な防食皮膜を形成し易いことから、本発明は炭素鋼等の鉄系金属部材の腐食抑制に有効である。
<皮膜性アミン>
皮膜性アミンとは、金属表面に防食性の皮膜を形成し得るアミンである。本発明で用いる皮膜性アミンとしては特に制限はなく、通常、ボイラ水系の防食処理等に用いられている皮膜性アミンをいずれも好適に用いることができる。一般的な皮膜性アミンは、長鎖脂肪族アミン類(脂肪族アミンやジアミン類)等の1種又は2種以上が用いられる。
これらのうち、特に長鎖脂肪族アミン類が、腐食抑制効果の観点から好ましい。長鎖脂肪族アミンの長鎖脂肪族基の炭素数は10〜22、特に12〜20であることが好ましい。この炭素数が10未満の場合は、金属部材に対して皮膜を形成しにくく、腐食抑制機能が不十分になる可能性がある。逆に、炭素数が22を超えるものは、薬注時の取り扱い性に劣る傾向がある。
長鎖脂肪族アミンを構成する長鎖脂肪族基は、不飽和結合を含んでいてもよい。また、この長鎖脂肪族アミンを構成するアミノ基は、その水素部分がメチル基やエチル基などの炭化水素基により適宜置換されていてもよい。さらに、この長鎖脂肪族アミンは、脂肪酸塩であってもよい。この場合、脂肪酸塩を構成する脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸およびステアリン酸を挙げることができる。
長鎖脂肪族アミンのうち、好ましいものとしては、例えば、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘプタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミンなどの飽和脂肪族アミン、オレイルアミン、リシノレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミンなどの不飽和脂肪族アミン、ヤシ油アミン、硬化牛脂アミンなどの混合アミンなどを挙げることができる。また、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、N−タロウ−1,3−ジアミノプロパン、N−ココ−1,3−ジアミノプロパン等のアミノ基に長鎖脂肪族基を有するものであってよい。また、N−タロウ−1,3−ジアミノプロパン−エチレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド付加物であってもよい。
これらの皮膜性アミンは水に溶けにくいため、溶剤に溶かして使用しても良いし、水中にエマルションとして分散させて使用しても良い。
<Mアルカリ度成分>
本発明で用いるMアルカリ度成分としては、無機アルカリでも、有機アルカリである中和性アミン(酸成分を中和し得るアミン)でもよい。
無機アルカリとしては、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)等の炭酸塩、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸カリウム(KHCO)等の重炭酸塩や、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム(Ca(OH))等のカルシウム化合物の1種又は2種以上が挙げられるが、Mアルカリ度の調整のために炭酸塩、重炭酸塩を用い、これらの弱アルカリ性化合物と共に、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ性化合物を併用してpH調整することが好ましい。
中和性アミンとしては、ジメチルアミノエタノール(DMEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、モノエタノールアミン(MEA)、シクロへキシルアミン(CHA)、モルホリン(MOR)、メトキシプロピルアミン(MOPA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)等の1種又は2種以上を用いることができる。
なお、前述の通り、無機アルカリと中和性アミンとを併用してもよい。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
以下の実施例及び比較例では、試験水中に試験片を浸漬して回転させることにより、試験片を腐食させる回転腐食試験装置を用いて、以下の手順で腐食試験を行った。腐食速度の単位はmdd(mg/dm/day)とし、10mdd以下を防食効果十分として判断した。
[腐食試験手順]
(1) 1Lビーカーに純水1.0Lを入れた。
(2) (1)のビーカーに塩化ナトリウム水溶液(塩化物イオン濃度0.1重量%)5ml、硫酸ナトリウム水溶液(硫酸イオン0.1重量%)5mlを添加した。またMアルカリ度成分として重炭酸ナトリウム(NaHCO)水溶液(Mアルカリ度として5%)、ジメチルアミノエタノール(DMEA)溶液(Mアルカリ度として5%)、又はモノイソプロパノールアミン(MIPA)溶液(Mアルカリ度として5%)を所定量添加した(ただし、比較例9,10では添加せず。)。また皮膜性アミンとしてN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンを10mg/L添加した(ただし、比較例7,8,10では添加せず。)。ビーカー内の水は常に撹拌子で混ぜながら各成分を添加した。
同じMアルカリ度溶液でpHを変える場合は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)溶液で設定したMアルカリ度となるよう調整し、水酸化ナトリウム溶液の添加でpHを調整した。
(3) (2)で作成したビーカーを50℃の恒温水槽に入れた。
(4) 支持棒に軟鋼試験片(50mm×30mm×1mm)を取り付け、(3)のビーカー内の試験水に浸るようにした。
(5) (4)の支持棒を145rpmの回転速度で回転させて試験を開始した。
(6) 7日間の試験後、試験片を取り出して腐食減量から腐食速度を算出した。
[実施例1〜7、比較例1〜10]
実施例1〜7及び比較例1〜10では、上記腐食試験手順のうち、(3)の工程において、表1に示すMアルカリ度成分を表1に示すMアルカリ度となるように添加し、必要に応じて水酸化ナトリウム溶液を添加して表1に示す初期pHに調整した。
各例で求められた腐食速度を表1に示す。
Figure 2019073764
表1より明らかなように、皮膜性アミンを添加しても、初期Mアルカリ度、初期pHが本発明の条件を満たさない比較例1〜6,9では、十分な腐食抑制効果は得られない。皮膜性アミンを添加していない比較例7,8,10では、防食皮膜を形成し得ないため、やはり腐食抑制効果は得られない。これに対して、皮膜性アミンを添加すると共に初期処理時の水質を本発明の規定範囲に調整した実施例1〜7では、金属部材の腐食を効果的に抑制することができる。
なお、上記実施例では、いずれもビーカー内での腐食試験を行っているため、(3)の工程後、7日間のビーカー内の試験水のMアルカリ度には殆ど変化はなかったが、7日間の試験後のN−オレイル−1,3−ジアミノプロパンの濃度は1mg/L程度にまで低下していた。
また、初期処理後、試験水を入れ替えて保持処理も含めた試験を実施した。試験水のMアルカリ度を30〜150mg/L as CaCO、pHを8〜9で更に5日間同様の試験を継続したが、腐食速度は、いずれの実施例でも10mdd以下であり、防食効果の持続効果を確認することができた。

Claims (5)

  1. 冷却水系に皮膜性アミンとMアルカリ度成分を共存させて該冷却水系に接する金属部材の表面に防食皮膜を形成して該金属部材の腐食を抑制する腐食防止方法であって、
    該Mアルカリ度成分として中和性アミンを用い、
    該防食皮膜を形成する初期処理時の該冷却水系のMアルカリ度を90mg/L as CaCO以上に調整することを特徴とする腐食防止方法。
  2. 請求項1において、前記初期処理時の前記冷却水系のpHを9.5以上とすることを特徴とする腐食防止方法。
  3. 冷却水系に皮膜性アミンとMアルカリ度成分を共存させて該冷却水系に接する金属部材の表面に防食皮膜を形成して該金属部材の腐食を抑制する腐食防止方法であって、
    該Mアルカリ度成分として無機アルカリを用い、
    該防食皮膜を形成する初期処理時の該冷却水系のMアルカリ度を120mg/L as CaCO以上、pHを9.5以上に調整することを特徴とする腐食防止方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記初期処理時に前記冷却水系に前記皮膜性アミンを10mg/L以上添加し、その後、該初期処理時の該冷却水系の皮膜性アミン濃度を0.1mg/Lを超える濃度に維持することを特徴とする腐食防止方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記初期処理後、形成された防食皮膜を保持する保持処理時において、前記冷却水系のMアルカリ度を30mg/L as CaCO以上、皮膜性アミン濃度を0.1mg/L以上に維持することを特徴とする腐食防止方法。
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