JP2019073755A - 硬質皮膜、この硬質皮膜が被覆された被覆材、表面処理方法及びアーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材 - Google Patents

硬質皮膜、この硬質皮膜が被覆された被覆材、表面処理方法及びアーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性及び摺動特性に加えて耐酸化性などに優れた硬質皮膜と被覆材、並びに表面処理装置及び表面処理方法を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態にかかる硬質皮膜は、(1)組成が(AlaSibVcCrd)の窒化物からなる上部層と、前記上部層の直下に形成されると共に、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系窒化物からなる下地層と、を含み、前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、13≦a≦41、0.03≦b≦15、0≦c≦15、d=100−(a+b+c)を満足する。【選択図】 図1

Description

本発明は、治工具や切削工具などの工具あるいは金属加工用の金型などの表面に形成される硬質皮膜、この硬質皮膜が形成された被覆材、及びこの被覆材を形成するための表面処理方法並びにこの硬質皮膜を形成するためのアーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材に関する。
工業上において様々な加工用途に用いられる工具や金型は、その特性において極めて優れた耐摩耗性や摺動特性が要求されている。そのため、これら工具や金型の表面には、上記した特性を満足するために硬質皮膜が形成されることが一般的に行われている。
この硬質皮膜を形成する手法としては、従来から以下に例示する種々の方法が提案されている。
まず1つ目のグループとしては、例えばTiCやTiNといった硬質材料を化学蒸着法(CVDとも記す)によって目的の工具や金型の表面に被覆する手法である。しかしながら、近年では耐摩耗性や摺動特性に留まらず厳しい寸法精度が金型や工具に要求されることから、処理時の温度が1000℃以上のCVDではこれらの要求を同時に満たすことが困難となってきた。
そこでCVDに代わる2つ目のグループとして、近年では、CVDに比して低温の環境下で表面処理を実行可能な物理蒸着法(PVDとも記す)の適用が種々提案されている。
より具体的には、例えば特許文献1に示すスパッタリングを用いる手法や、特許文献2乃至4に例示するイオンプレーティング法で形成する手法などが提案されている。
特開2000−144378号公報 特開平10−025566号公報 特開2004−314092号公報 特開2003−321764号公報
しかしながら、例えば鍛造およびプレスなどに用いられる金型の使用環境は年々過酷化しており、上述した特許文献1乃至4を含む現在の技術では市場のニーズを適切に満たしているとは言えない。
例えば特許文献3では、(AlCr)N系皮膜の欠点である硬度を高めることにより耐摩耗性を著しく改善し、優れた潤滑性を付与するローラーによりコイル状圧延鋼帯を回転させることを意図としているが、現状における市場ニーズを満足できる硬度を有していても更に後述するごとき改善の余地がある。
一方で最先端の金型や工具に求められる特性として、上記した耐摩耗性(硬度)及び摺動特性に加えて例えば耐酸化性も重要なファクターとなっている。これに対して上記した各特許文献においては、これらの特性をも同時に満足することを明確に示唆しておらずその課題の認識はないと言わざるを得ない。
本発明は、上記した課題を一例に鑑みて為されたものであり、耐摩耗性及び摺動特性に加えて耐酸化性などにも優れた硬質皮膜及び当該硬質皮膜が被覆された被覆材並びに表面処理方法を提供することを目的とする。加えて、この硬質皮膜が形成可能なアーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる硬質皮膜は、(1)組成が(AlSiCr)の窒化物からなる上部層と、前記上部層の直下に形成されると共に、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系窒化物からなる下地層と、を含み、前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、13≦a≦41、0.03≦b≦15、0≦c≦15、d=100−(a+b+c)を満足することを特徴とする。
なお、上記した(1)に記載の硬質皮膜においては、(2)前記下地層は、組成が(AlCr)の窒化物からなる第1中間層を含み、前記e、f及びgがそれぞれ重量%を示し、0≦e≦20、0≦f≦15、且つ、g=100−(e+f)、を満足することが好ましい。
また、上記した(2)に記載の硬質皮膜においては、(3)前記下地層は前記上部層と前記第1中間層の間に形成される第2中間層を含み、前記第2中間層は、前記(AlSiCr)の窒化物からなる第1組成群と、前記(AlCr)の窒化物からなる第2組成群と、が混在することが好ましい。
また、上記した(3)に記載の硬質皮膜においては、(4)前記第2中間層は、前記第1組成群の層と前記第2組成群の層とが交互に積層された状態であることが好ましい。
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる硬質皮膜が被覆された被覆材は、(5)上記した(1)〜(4)のいずれかに記載の硬質皮膜で被覆されたことを特徴とする。
さらに、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる表面処理方法は、(6)減圧された窒素雰囲気下においてアーク放電式イオンプレーティング法を用いて硬質皮膜を被処理材に被覆する表面処理方法であって、回転テーブル上に載置された被処理材を挟むように、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系第1ターゲット材と、組成が(AlSiCr)からなる第2ターゲット材とを対向させる第1工程と、前記第1工程の後に、前記窒素雰囲気下において少なくとも前記第1ターゲット材と前記被処理材との間に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記被処理材上に前記Al及び前記Crを含むAlCr系の窒化物からなる下地層を形成する第2工程と、前記第2工程の後に、前記窒素雰囲気下において前記第2ターゲット材と前記被処理材との間に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記下地層上に組成が(AlSiCr)の窒化物からなる上部層を形成する第3工程と、を含み、前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、13≦a≦41、0.03≦b≦15、0≦c≦15、d=100−(a+b+c)を満足することを特徴とする。
なお、上記した(6)に記載の表面処理方法においては、(7)前記AlCr系第1ターゲット材は、組成が(AlCr)からなり、前記e、f及びgがそれぞれ重量%を示し、0≦e≦20、0≦f≦15、且つ、g=100−(e+f)、を満足し、前記第2工程では、前記窒素雰囲気下において前記AlCr系第1ターゲット材と前記被処理材との間に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、組成が前記(AlCr)の窒化物からなる第1中間層を前記被処理材上に形成することが好ましい。
また、上記した(7)に記載の表面処理方法においては、(8)前記第2工程と前記第3工程の間に、前記窒素雰囲気下において前記AlCr系第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材と前記被処理材との間にそれぞれ所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記(AlSiCr)の窒化物を主とした第1組成群と、前記(AlCr)の窒化物を主とした第2組成群と、が混在した第2中間層を前記第1中間層の上に形成することが好ましい。
また、上記した(6)〜(8)のいずれかに記載の表面処理方法においては、(9)前記第2工程の前に、ラジカル窒化法を用いて前記被処理材の表面を窒化処理することで窒化処理層を形成することが好ましい。
さらに、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかるアーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材は、アーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材であって、下記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、組成が(AlSiCr)であって、13≦a≦41、0.03≦b≦15、0≦c≦15、d=100−(a+b+c)を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、耐摩耗性及び摺動特性のみならず、これらに加えて耐酸化性などにも優れた硬質皮膜を形成することができる。
第1実施形態にかかる被処理材1上に形成された硬質皮膜10の断面を示す模式図である。 第1実施形態にかかる表面処理装置100の概略構成を説明する模式図である。 第1実施形態にかかる表面処理方法を説明するフローチャートである。 第2実施形態にかかる被処理材1上に形成された硬質皮膜10の断面を示す模式図である。 第2実施形態にかかる表面処理方法を説明するフローチャートである。
次に本発明を実施するための一例としての形態について説明する。
[第1実施形態]
<硬質皮膜10>
第1実施形態にかかる被処理材1上に形成される硬質皮膜10について、図1を参照しながら説明する。
まず図1(a)に示すとおり、第1実施形態にかかる硬質皮膜10は、被処理材1上に形成される複数の層からなる皮膜であって、上部層11と下地層12とを含んで構成されている。
なお、本実施形態では硬質皮膜10は下地層12を含んで構成されているが、下地層12は、目的とする特性を満たす限りにおいて適宜省略してもよい。この場合には、被処理材1の表面を窒化処理して窒化処理層15(後述)が形成されていることが好ましい。
被処理材1は、本実施形態の硬質皮膜10を必要とする材料であり、典型的には公知の治工具や切削工具などの各種工具あるいはプレス用金型などが例示できる。さらに被処理材1の例としては、例えば自動車用ギアやエンジン部品などの車両用部品、プロペラやシャフトなどの航空機用部品、スクリューなどの船舶用部品など各種工業製品に使用される金属部品、押出成形機用スクリュー、あるいは撹拌機用スクリューなどが例示できる。なお、被処理材1の材質については、例えば各種の鋼材やステンレスなど公知の金属材料が例示でき、より好ましくはJIS SKH51等に代表される高速度工具鋼、JIS SKD11およびSKD61等に代表される合金工具鋼である。
上記に例示される被処理材1の表面に硬質皮膜10が形成されることで、本実施形態の被覆材20Aが製造される。
上部層11は、本実施形態では被処理材1の最表面に形成される層であって、その組成が(AlSiCr)の窒化物からなる。
このとき、上記したa、b、c及びdはそれぞれ重量%であることを示し、それぞれ以下の関係式(1)〜(4)を満足する。
13≦a≦41 ・・・式(1)
0.03≦b≦15 ・・・式(2)
0≦c≦15 ・・・式(3)
d=100−(a+b+c) ・・・式(4)
この上部層11の厚みは、例えば1μm〜10μmが好ましく、更にコストと特性確保のバランスから3.5μm〜8μmであることが望ましい。
また、上記した関係式において、a、b及びcはさらに以下の関係式を満たすことがより好ましい。
20≦a≦35 ・・・式(5)
1.5≦b≦10.5 ・・・式(6)
2.5≦c≦8.0 ・・・式(7)
Alは被膜の高硬度化および耐熱性向上のため必要な元素ではあるが、20wt%未満では特性確保には不十分となるケースも場合によっては生じ、一方で35wt%を超えると靱性値が低下するためである。
また、SiはAlの特性に加え結晶粒を微細化することで靱性向上に寄与するものであるが、1.5wt%未満では不十分となるケースも場合によっては生じ、一方で10.5wt%を超えるとターゲット材が脆くなることに加えて成膜時のアーク放電が不安定となる可能性もあるからである。
また、Vは被膜における表層に安定的な酸化膜を生成することで被膜の保護効果を発揮するが、2.5wt%未満では不十分となるケースも場合によっては生じ、一方で添加量が多すぎると被膜の耐熱性が低下する可能性もあるからである。
下地層12は、本実施形態では上部層11の直下に形成されると共に、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系窒化物からなる。換言すれば、この下地層12は、上部層11と被処理材1との間に形成される中間の層であるとも言える。
この下地層12は、本実施形態では複層構成となっており、後述する第1中間層13と第2中間層14とを含んで構成されている。
この本実施形態における下地層12の厚みは、例えば1.1μm〜15μmであってもよい。このとき、本実施形態における上部層11と下地層12との厚みについては、上部層11の厚みの方が下地層12の厚みよりも厚いことが好ましく、例えば厚みの比(上部層11/下地層12)が1.0〜4.0であることがよく、更には2.0〜3.0であることがより好ましい。
本実施形態における下地層12のうち第1中間層13は、後述する第2中間層14に比して被処理材1側に配置される中間層であり、その組成が(AlCr)の窒化物からなる。
このとき、上記したe、f及びgはそれぞれ重量%であることを示し、それぞれ以下の関係式(8)〜(10)を満足する。
0≦e≦20 ・・・式(8)
0≦f≦15 ・・・式(9)
g=100−(e+f) ・・・式(10)
このうち、上記式(8)でe=0であればCrWの窒化物の層となり、式(9)でf=0であればAlCr窒化物の層となり、式(8)と式(9)の双方が0であればCr窒化物の層となる。
この第1中間層13の厚みは、例えば1μm〜10μmが好ましく、更にコストと特性確保のバランスから1μm〜2μmであることが望ましい。
また、上記した関係式において、e及びfはさらに以下の関係式を満たすことがより好ましい。
1.0≦e≦5 ・・・式(11)
0.5≦f≦10.5 ・・・式(12)
Al及びWの添加量が多くなると被膜の靱性値が低下する可能性があり、下地層12としては適さないと考えられるからである。
また、Wは融点が高く、その添加量が過剰に多くなると成膜時のアーク放電が不安定となって正常な成膜が得られない可能性があるからである。
本実施形態における下地層12のうち第2中間層14は、第1中間層13に比して上部層11側に配置される中間層であり、その組成が上記(AlSiCr)の窒化物を主とした第1組成群14aと上記(AlCr)の窒化物を主とした第2組成群14bとが混在する窒化物からなる。
この第2中間層14の厚みは、例えば0.1μm〜5μmが好ましく、更にコストと特性確保のバランスから0.15μm〜0.5μmであることが望ましい。
なお、この第2中間層14は、第1中間層13と上部層11との間に介在することが望ましいが、目的の特性を確保できる限りにおいて適宜省略してもよい。
また、第1中間層13と第2中間層14の厚み比(第1中間層13/第2中間層14)は、例えば2.0〜10.0であることがよく、更には3.0〜4.0であることがより好ましい。
次に、この第2中間層14を模式的に拡大した図を図1(b)に示し、さらにその付近を公知のカロテスト法により膜構造を撮影した写真を図1(c)にそれぞれ示す。
同図のとおり、本実施形態における第2中間層14は、上記した第1組成群14aの層と第2組成群14bの層とが交互に積層された状態となっている。このとき、第1組成群14aの層と第2組成群14bの層の成膜順序に特に制限はないが、第2中間層14における第1中間層13と隣接する最下層は、第2組成群14bの層となっていることが好ましい。また、第2中間層14における上部層11と隣接する最上層は、第1組成群14aの層となっていることが好ましい。
なお第1組成群14aの層と第2組成群14bの層の成膜順序に制限はない理由としては、被処理材1は後述する回転テーブル101上のどの位置・向きにもセットされる可能性があり、そのため被処理材1の回転テーブル101上の初期位置に依って各層の上下関係が決定される性質があるからである。
また、第1組成群14aと第2組成群14bの厚み比(第1組成群14a/第2組成群14b)は、例えば0.8〜1.2であることがよく、更には実質的にほぼ1であることがより好ましい。
第1組成群14aの層は、その組成が上記(AlSiCr)の窒化物を主とするとともに、組成が上記(AlCr)の窒化物を従とした構成となっている。
なお本実施形態でいう「主」および「従」の関係とは、第2中間層14内の各層において一方(例えばCr−Al−Wの窒化物層)と他方(例えばCr−Al−Si−Vの窒化物層)とが特定の割合で混ざり合い、一方が他方よりも多いことを「主」と言い、少ないことを「従」と言うこととする。
よって、第1組成群14aの層においては、「組成が上記(AlSiCr)の窒化物」の割合が、「組成が(AlCr)の窒化物」の割合よりも多くなっている。
また、第2組成群14bの層においては、上記とは反対に、「組成が上記(AlCr)の窒化物」の割合が、「組成が上記(AlSiCr)の窒化物」の割合よりも多くなっている。
なお、第2中間層14において上記の各組成物の割合で主と従の関係が生じるメカニズムについては、後述する。
上記のごとき硬質皮膜10とすることで、被処理材1に近い第1中間層13から上部層11にかけて膜の組成が傾斜的(膜組成差が明確に出ない)になるので、層間の密着力を大きく向上させることができる。
<表面処理装置100>
次に図2を参照しつつ、本実施形態における表面処理装置100の概略構成を説明する。なお、以下で詳述する構成以外については、例えば特開2003−286564号公報や特開2009−144236号公報などに開示される公知のアーク放電式イオンプレーティングを実施可能な装置を適宜参照してもよい。
図2は、表面処理装置100を上方から模式的に俯瞰した図である。
本実施形態における表面処理装置100は、上記した被処理材1に硬質皮膜10を形成する機能を有し、回転テーブル101、第1ターゲット材保持部102、第2ターゲット材保持部103、アノード104、アーク電源105、バイアス電源106、反応ガス導入部107及び排気部108をチャンバ109内に含んで構成されている。
なお、アーク電源105とバイアス電源106は機能統合されて単一の電源として構成されていてもよい。
また、本実施形態では第1ターゲット材保持部102は1つであるが、2個以上を備えていてもよく、この場合にはターゲット材31を複数載置することが可能となる。また、第2ターゲット材保持部103も1つであるが、2個以上を備えていてもよく、この場合にはターゲット材32を複数載置することが可能となる。
回転テーブル101は、被処理材1を載置してZ軸周りに当該被処理材1を公転させる機能を有している。この回転テーブル101は、例えば被処理材1を0.5rpm〜10.0rpmで回転させることができる。
第1ターゲット材保持部102は、後述するターゲット材31(AlCr系第1ターゲット材)を保持するとともに、このターゲット材31を陰極(カソード)としてアーク放電を起こす機能を有する部材である。
また、第2ターゲット材保持部103は、第1ターゲット材保持部102と同様に、後述するターゲット材32(第2ターゲット材)を保持するとともに、このターゲット材32を陰極(カソード)としてアーク放電を起こす機能を有する部材である。
アノード104は、上記したカソードと対となってアーク放電を起こす機能を有する部材である。
アーク電源105は、上記したターゲット材31及びターゲット材32と、アノード104との間に所定の電圧を印加してアーク放電を発生させる機能を有している。このときアーク放電が生じて上記したターゲット材を溶解させる際の電流値(「アーク放電電流値」とも称する)は、例えば50A〜200Aであることが好ましい。
バイアス電源106は、コーティング対象の被処理材1に負の電圧を印加する機能を有している。このバイアス電源106が印加する電圧値は、例えば0V〜200Vであることが好ましい。
反応ガス導入部107は、後述するチャンバ109内に流量調整された反応ガスを導入する機能を有している。本実施形態に適用可能な反応ガスとしては、例えば窒素、あるいはメタンなどの炭化水素などが例示できる。
本実施形態では、上記したとおり窒化物の皮膜を上部層11や下地層12として形成することから、反応ガスとして窒素を所定の圧力(コーティング圧力)で導入する。なお、このコーティング圧力としては、それぞれの層を形成する際に例えば1Pa〜5Paであることが好ましい。
排気部108は、チャンバ109内を排気して所定の減圧された環境を形成する機能を有する。これにより、本実施形態における排気部108は、成膜時にチャンバ109内を真空雰囲気とすることができる。また排気部108は、成膜後に残留する反応ガスなど余剰物を排出する機能も有している。
なお、チャンバ109は温調装置を具備しており、チャンバ109内を所定の成膜温度に維持することができる。この成膜温度としては、本実施形態では例えば250℃〜500℃であることが好ましい。
<ターゲット材31>
本実施形態のターゲット材31は、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系のターゲット材(AlCr系第1ターゲット材)である。より具体的にターゲット材31は、アーク放電式イオンプレーティング用途のターゲット材であり、その組成が(AlCr)であって、下記e、f及びgがそれぞれ重量%を示し、以下の式を満足する。
0≦e≦20 ・・・式(8)
0≦f≦15 ・・・式(9)
g=100−(e+f) ・・・式(10)
このうち、上記式(8)でe=0であればCrWの窒化物の層となり、式(9)でf=0であればAlCr窒化物の層となり、式(8)と式(9)の双方が0であればCr窒化物の層となる。
また、上記した関係式において、e及びfはさらに以下の関係式を満たすことがより好ましい。
1.0≦e≦5 ・・・式(11)
0.5≦f≦10.5 ・・・式(12)
<ターゲット材32>
本実施形態のターゲット材32は、アーク放電式イオンプレーティング用途のターゲット材(第2ターゲット材)であり、その組成が(AlSiCr)であって、下記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、以下の式を満足する。
13≦a≦41 ・・・式(1)
0.03≦b≦15 ・・・式(2)
0≦c≦15 ・・・式(3)
d=100−(a+b+c) ・・・式(4)
また、上記した関係式において、a、b及びcはさらに以下の関係式を満たすことがより好ましい。
20≦a≦35 ・・・式(5)
1.5≦b≦10.5 ・・・式(6)
2.5≦c≦8.0 ・・・式(7)
なお上記したターゲット材31及びターゲット材32を用いて硬質皮膜10を被処理材1に形成する場合、これらターゲット材31及びターゲット材32の組成と硬質皮膜10の組成とは完全に一致してはいないがほぼ同等の組成の皮膜がそれぞれ形成される。
<表面処理方法>
次に図3を用いて本実施形態に係る表面処理方法について説明する。この表面処理方法は、減圧された窒素雰囲気下においてアーク放電式イオンプレーティング法を用いて上記した硬質皮膜10を被処理材1に被覆する方法である。
まずステップS12では、被処理材1を回転テーブル101に設置する。さらに、ターゲット材31は第1ターゲット材保持部102に、ターゲット材32は第2ターゲット材保持部103にそれぞれ取り付ける。
これにより、回転テーブル101上に載置された被処理材1を挟むように、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系第1ターゲット材(ターゲット材31)と、組成が上記した(AlSiCr)からなる第2ターゲット材(ターゲット材32)とを対向させる。
次いでステップS13では、本実施形態では被処理材1にバイアス電圧を印加しつつ、第1ターゲット材31に電圧を印加してアーク放電を発生させる。このとき、第2ターゲット材32への電圧印加はまだ実行されていない。これにより被処理材1上には下地層12(第1中間層13)が形成される。より具体的には、窒素雰囲気下において少なくとも第1ターゲット材31に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材1を回転させることで、被処理材1上にAl及びCrを含むAlCr系窒化物からなる下地層12を形成する。
本実施形態では、このステップS13においては、下地層12として上記した第1中間層13が形成される。
なお、ステップS12とステップS13の間に、更に、真空排気を行った後に被処理材1を加熱してクリーニング処理を行ってもよい。このクリーニング処理においては、例えばArイオンを被処理材1に衝突させてクリーニングする手法などが例示できる。
次いでステップS14では、ステップS13で電圧印加してから所定時間が経過したかが判断され、経過した場合にはステップS15へと移行する。なお、このときの所定時間とは、上記した第1中間層13の層厚が確保される時間であり、実験やシミュレーションなどでこの所定時間がどの程度か事前に検討される。
続くステップS15では、本実施形態では被処理材1にバイアス電圧を継続して印加しつつ、第1ターゲット材31及び第2ターゲット材32に並行して電圧を印加してそれぞれでアーク放電を発生させる。換言すれば、ステップS15においては、第1ターゲット材31への電圧印加は維持しつつ、新たに第2ターゲット材32への電圧印加を開始する。これにより被処理材1に形成された第1中間層13上に更に下地層12(第2中間層14)が形成される。より具体的には、窒素雰囲気下において少なくともAlCr系第1ターゲット材31及び第2ターゲット材32にそれぞれ所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、上記した(AlSiCr)の窒化物を主とした第1組成群14aと、上記した(AlCr)の窒化物を主とした第2組成群14bとが混在した第2中間層14を第1中間層13の上に形成する。
なお、ステップS15においては、第1ターゲット材31と第2ターゲット材32との双方にアーク放電が発生してそれぞれのターゲット材から金属イオンが蒸発してチャンバ109内に飛び出す。
そして図2に示すとおり、本実施形態では公転する被処理材1はこれらターゲット材に挟まれているため、紙面左側の空間(回転テーブル101を中心に−Y側)では第1ターゲット材31から蒸発した成分が濃い空間となる一方で、紙面右側の空間(回転テーブル101を中心に+Y側)では第2ターゲット材32から蒸発した成分が濃い空間となる。
よって、ステップS15では、このような状態のチャンバ109内において回転テーブル101を介して被処理材1が公転することから、第1組成群14aと第2組成群14bとが積層された形態の第2中間層14が形成されることになる。
なお、本実施形態では被処理材1は回転テーブル101に固定されていたが、公知のモーターなど動力を介して回転テーブル101上で自転する構成としてもよい。
次いでステップS16では、ステップS15で電圧印加してから所定時間が経過したかが判断され、経過した場合にはステップS17へと移行する。なお、このときの所定時間とは、ステップS14と同様に、上記した第2中間層14の層厚が確保される時間であり、実験やシミュレーションなどでこの所定時間がどの程度か事前に検討される。
続くステップS17では、本実施形態では被処理材1にバイアス電圧を継続して印加しつつ、第2ターゲット材32に電圧を継続して印加してアーク放電を発生させる。換言すれば、ステップS17においては、第1ターゲット材31への電圧印加は停止される。これにより被処理材1に形成された第2中間層14上に更に上部層11が形成される。より具体的には、窒素雰囲気下において少なくとも第2ターゲット材32に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材1を回転させることで、下地層12(第2中間層14)上に組成が上記した(AlSiCr)の窒化物からなる上部層11を形成する。
次いでステップS18では、ステップS17で電圧印加してから所定時間が経過したかが判断され、経過した場合にはステップS19へと移行する。なお、このときの所定時間とは、ステップS14やステップS16と同様に、上記した上部層11の層厚が確保される時間であり、実験やシミュレーションなどでこの所定時間がどの程度か事前に検討される。
続くステップS19では、被処理材1上に本実施形態の硬質皮膜10が形成されることで被膜材20が製造されたことにより、上記した電圧の印加を停止するとともに当該被膜材を回転テーブル101から取り外して処理が完了する。上述したとおり、ターゲット材31及びターゲット材32を用いて硬質皮膜10を被処理材1に形成する場合には、これらターゲット材の組成と硬質皮膜10の各層における組成とは完全に一致してはいないがほぼ同等の組成の皮膜がそれぞれ形成される。
なお、ステップS18とステップS19の間に、冷却用窒素ガスをチャンバ109内に導入して被処理材1を冷却する冷却工程を更に有していてもよい。
また、ステップS13、ステップS15及びステップS17において、本実施形態では被処理材1にバイアス電圧を印加した。しかしながら本発明は上記に限定されず、硬質皮膜10が充分に成膜可能であれば被処理材1へのバイアス電圧は印加せずともよい。
≪第2実施形態≫
次に図4及び5を参照しつつ、本発明に好適な第2実施形態にかかる硬質皮膜10が形成された被覆材20B及びその表面処理方法を説明する。この第2実施形態における被覆材20Bは、下地層12と接触する被処理材1の表面に窒化処理層15が形成されていることに主とした特徴がある。よって以下では、第1実施形態と同じ機能/構造のものには同一の参照番号を付してその説明は適宜省略する。
図4に示すように、被覆材20Bは、被処理材1の表面に形成された窒化処理層15、当該窒化処理層15上に形成された下地層(第1中間層13及び第2中間層14)、及び上部層11を含んで構成されている。
なお、下地層12については、第1実施形態と同様に、第1中間層13及び第2中間層14のうち少なくとも1つを有していればよい。
窒化処理層15は、被処理材1の表面に対して、例えば公知のプラズマを用いたラジカル窒化法(光輝窒化法、光輝プラズマ窒化法、光輝拡散窒化法などとも称される)によって窒化処理を施すことで形成できる。かようなラジカル窒化法により被処理材1と硬質皮膜10間での急激な硬さ変化を緩和することができ、傾斜的な硬度変化を持たせることで硬質皮膜10の密着力を向上させることができる。また、何らかの要因で外部応力が硬質皮膜10に対して加わったとしても、この硬質皮膜10の表面近傍における変形量抑制も可能となり、硬質皮膜10が有する本来の特性を十分に発揮することが可能となる。
この窒化処理層15の厚みとしては、特に制限はないが、例えば1μm〜300μmの範囲であることが好ましく、さらに5μm〜200μmであることがより好ましい。窒化処理層15の厚みが5μm未満では窒化された層が浅すぎることにより十分な特性が得られない場合があり、200μmを超えると被処理材1の靱性値が大きく低下する可能性があるとともに窒化処理時間が増加することでコスト性も悪くなるからである。
図5には第2実施形態における表面処理方法に関するフローチャートを示す。
同図に示すように、まずステップS10では、硬質皮膜10が形成される前に、ラジカル窒化法を用いて被処理材1の表面を窒化処理する。
次いでステップS11では、窒化処理を開始して所定の時間が経過したか否かが判断される。この所定の時間は、目的とする窒化処理層15の厚みが確保されるまでの時間を指すが、実験やシミュレーションなどによって事前に計測される。
以上のステップS10及びステップS11を経ることで、被処理材1の表面に窒化処理層15が形成される。
ステップS12以降の処理については第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
≪実施例≫
以下により具体的な実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
まず被処理材1としてSKD61(合金工具鋼鋼材)からなるプレス用金型を用い、硬度は焼入れ焼戻しにより50±1HRC(ロックウェル硬さ)に調整した。
このプレス用金型に対して公知の洗浄処理等の事前準備を実施した後で、厚みが70μmとなるようにプラズマを用いたラジカル窒化法によってプレス用金型の表面に窒化処理層15を形成した。
次いで、上記した表面処理装置100のチャンバ109内にこのプレス用金型を搬入して回転テーブル101上に載置固定した。また、第1ターゲット材保持部102には上記ターゲット材31を、第2ターゲット材保持部103には上記ターゲット材32をそれぞれ設置した。
そして回転テーブル101を3.0rpmの速度で回転させてプレス用金型(被処理材1)を公転させつつ、アーク放電型イオンプレーティング法を用いて膜厚が1.6μmとなるように、第1中間層13として(Al3.21.8Cr95.0)の窒化物層を形成した。なお下付き数値は、上述のとおり重量%を示している。
このとき、アーク電源105によって発生させたアーク放電電流値[A]は、150Aであった。また、バイアス電源106によってプレス用金型には30Vのバイアス電圧を印加した。また、チャンバ109内に導入した窒素の導入圧力(コーティング時の炉内圧力であり、成膜圧力とも称する)は3.99Paとし、成膜時のチャンバ109内における雰囲気温度が400℃となるように調整した。
第1中間層13が形成された後に、同様にアーク放電型イオンプレーティング法を用いて、この第1中間層13上に膜厚が0.9μmとなるように第2中間層14を形成した。この第2中間層14は、第1組成群14aとして(Al27.3Si7.16.4Cr59.2)の窒化物を主とする組成の層と、第2組成群14bとして(Al3.21.8Cr95.0)の窒化物を主とする組成の層とが積層された形態とした。
このとき、回転テーブル101の回転数は上記と同様に3.0rpmの速度とし、アーク電源105によって発生させたアーク放電電流値[A]は150Aであった。また、バイアス電源106によってプレス用金型には30Vのバイアス電圧を印加した。また、チャンバ109内に導入した窒素の導入圧力は2.66Paとし、成膜時のチャンバ109内における雰囲気温度が400℃となるように調整した。
そして第2中間層14が形成された後に、同様にアーク放電型イオンプレーティング法を用いて、この第2中間層14上に膜厚が5.2μmとなるように上部層11を形成した。この上部層11としては、上記した(Al27.3Si7.16.4Cr59.2)の窒化物層とした。
このとき、回転テーブル101の回転数は上記と同様に3rpmの速度とし、アーク電源105によって発生させたアーク放電電流値[A]は150Aであった。また、バイアス電源106によってプレス用金型には30Vのバイアス電圧を印加した。また、チャンバ109内に導入した窒素の導入圧力は2.66Paとし、成膜時のチャンバ109内における雰囲気温度が400℃となるように調整した。
<ビッカース硬さ>
以上により得られた硬質皮膜10が形成されたプレス用金型(被膜材20)におけるビッカース硬さ(HV)は、3559HVであった。なお、このビッカース硬さは、株式会社マツザワ製のマイクロビッカース硬度計 WHT−1を用い、試験荷重を0.01Kgfとして測定した(表2中では「HV 0.01」と表記した。以下、同様の表記形態を使用。)。
なお、後述する実施例2以降も含めてビッカース硬さの測定については実際に測定した例を表2に記載するほか、測定が未実施の実施例については括弧付きで予測値を記載した(以下の各評価でも同様)。
加えて表2では、「耐摩耗性」の一つの指標として、ビッカース硬さが3300Hv以上の例を◎とし、3000Hv以上〜3300Hv未満を〇とし、2000Hv以上3000Hv未満を△とし、2000Hv未満を×としてそれぞれ評価した。
<摺動特性(摩擦係数μ)>
また、摺動特性として、ボールオンディスク試験により摩擦係数を算出した。試験に際しては、CSM Instruments社の「TRIBOMETER」を用いて以下の条件下で実施した。
・ボール:材質をJIS SUJ2とし、母材硬さを850±50Hv(0.1)とした。
・ディスク:材質をJIS SKD61とし、母材硬さを50±1HRCとし、面粗さRaを0.1μm以下とした。
・荷重:10N
・摺動距離:150m
・摺動速度:0.1m/s
・摺動円直径:30mm
・温度:室温(試験中は±2℃を維持)
・湿度:25〜50%(試験中は±5%を維持)
<耐酸化性>
耐酸化性として、600、700、800、900、950、1000、1050、1100および1150℃の各温度で、30分間だけ大気中で加熱した後のビッカース硬度を測定し、2000Hv(0.01)以上のビッカース硬さが得られる最大温度を耐酸化性の指標とした。例えば表2中の実施例1においては、予測値として、2000Hv(0.01)以上のビッカース硬さが得られる最大温度が1150℃であるとの指標を示している。
なお、この耐酸化性の評価に際しては、試験機器として、ヤマト科学株式会社製のマッフル炉 FP42と、株式会社マツザワ製のマイクロビッカース硬度計 WHT−1をそれぞれ使用した。
<室温密着力>
密着力を評価する1つの指標として、日本機械学会が推奨する「皮膜に局所的な剥離」が初めて発生する荷重を臨界荷重(N)として測定するため、室温下でのスクラッチ試験を行った。
なお、この室温密着力の評価に際しては、CSM Instruments社の「SCRARCH−TESTER REVETEST」を用いた。
<高温密着力>
密着力を評価する他の1つの指標として、高温環境下に所定時間だけ晒された後における密着力を測定するための高温密着力を評価した。評価に際しては、一例として大気中で850℃程度の加熱環境下で5分程度置き、その後に室温まで自然冷却させた状態でスクラッチ試験を行った。
この高温密着力の評価としては、特に実施例1、2、5〜8における予測値が優れた結果を示していることが分かる。
また、得られたプレス用金型は、上記各評価に加え、耐摩耗性(ビッカース硬さ、実際の金型寿命をもとに予測し、表2内に相対的に評価した結果を◎〜×で記入)にも優れた特性を有していた。
<実施例2>
第1中間層13の膜厚を1.5μmとした。また、第2中間層14を、第1組成群14aとして(Al31.7Si7.3Cr61.0)の窒化物を主とする組成の層と、第2組成群14bとして(Al3.21.8Cr95.0)の窒化物を主とする組成の層とが積層された形態とした。
また、上部層11としては、(Al31.7Si7.3Cr61.0)の窒化物層とし、膜厚を5.8μmとした。
その他は、実施例1と同様にした。
<実施例3>
被処理材1に対して窒化処理層15の形成は省略した。
その他は、実施例1と同様にした。
<実施例4>
被処理材1に対して窒化処理層15の形成は省略した。
その他は、実施例2と同様にした。
<実施例5>
下地層のうち第1中間層13の形成は省略した。なお、第2中間層14と上部層11の膜厚は未測定とした。
その他は、実施例1と同様にした。
<実施例6>
下地層のうち第1中間層13の形成は省略した。なお、第2中間層14と上部層11の膜厚は未測定とした。
その他は、実施例2と同様にした。
<実施例7>
下地層のうち第2中間層14の形成は省略した。なお、第1中間層13と上部層11の膜厚は未測定とした。
その他は、実施例1と同様にした。
<実施例8>
下地層のうち第2中間層14の形成は省略した。なお、第1中間層13と上部層11の膜厚は未測定とした。
その他は、実施例2と同様にした。
<比較例1>
被処理材1に対して窒化処理層15の形成は省略し、下地層12は形成せず、上部層11としてCrN膜を膜厚が8.8μmとなるように形成した。また、このCrN膜の成膜圧力を3.99Paとした。
その他は、実施例1と同様にした。
<比較例2>
被処理材1に対して厚みが70μmとなるように窒化処理層15を形成した。
その他は、比較例1と同様にした。
<比較例3>
上部層11として、(Al3.21.8Cr95.0)の窒化物層を膜厚が7.5μmとなるように形成した。
その他は、比較例2と同様にした。
<比較例4>
被処理材1に対し、第1中間層13としてCrN膜を膜厚が1.8μmとなるように形成した。また、第2中間層14として、第1組成群14aとして(Si5.7Cr94.3)の窒化物を主とする組成の層と、第2組成群14bとしてCrN層とが積層された形態とし、この第2中間層14の膜厚を1.1μmとした。さらに上部層11として、(Si5.7Cr94.3)の窒化物層を膜厚が8.1μmとなるように形成した。
その他は、比較例1と同様にした。
<比較例5>
被処理材1に対して厚みが70μmとなるように窒化処理層15を形成した。また、第1中間層13の膜厚を1.7μmとし、第2中間層14の膜厚を1.0μmとし、上部層11の膜厚を8.0μmとした。
その他は、比較例4と同様にした。
<比較例6>
第1中間層13として(Al3.21.8Cr95.0)の窒化物層を膜厚が1.4μmとなるように形成した。また、第2中間層14として、第1組成群14aとして(Si5.7Cr94.3)の窒化物を主とする組成の層と、第2組成群14bとして(Al3.21.8Cr95.0)の窒化物を主とする組成の層とが積層された形態とし、この第2中間層14の膜厚を0.8μmとした。さらに上部層11の膜厚を5.3μmとした。
その他は、比較例4と同様にした。
<比較例7>
被処理材1に対して厚みが70μmとなるように窒化処理層15を形成した。第1中間層13の膜厚を1.5μmとし、第2中間層14の膜厚を0.9μmとし、上部層11の膜厚を6.0μmとした。
その他は、比較例6と同様にした。
<比較例8>
第1中間層13の膜厚を1.5μmとした。また、第2中間層14として、第1組成群14aとして(Al31.7Si7.3Cr61.0)の窒化物を主とする組成の層と、第2組成群14bとしてCrN層とが積層された形態とし、この第2中間層14の膜厚を0.9μmとした。さらに上部層11として、(Al31.7Si7.3Cr61.0)の窒化物層を膜厚が5.9μmとなるように形成した。また、各層における成膜圧力を2.66Paとした。さらに、上部層11の成膜圧力を2.66Paとした。
その他は、比較例4と同様にした。
<比較例9>
被処理材1に対して厚みが70μmとなるように窒化処理層15を形成した。第1中間層13の膜厚を1.6μmとし、上部層11の膜厚を6.2μmとした。
その他は、比較例8と同様にした。
以上の実施例で用いた各種パラメータを表1に示すとともに、これら実施例に対する各評価結果を表2に示す。
なお上記した実施形態や実施例は一例であって、本願の趣旨を逸脱しない限りにおいて、実施形態および実施例などで説明した要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば実施例において成膜圧力は2.66Paとしたが、本発明はこれに限られない。成膜圧力は皮膜結晶構造、硬さ、密着力などに影響する因子であり、例えば0.2〜10.0Paの範囲の中で成膜圧力を変化させ、皮膜硬度と密着力でバランスの取れた成膜圧力を選択してもよい。
また、上記した実施形態や実施例では上部層11の上には特に皮膜を形成しなかったが、当該上部層11の上に公知の皮膜を適宜形成してもよい。
以上説明したように、本発明の硬質皮膜や被膜材は、耐摩耗性や摺動特性などの諸特性を高次元で両立しており、種々の金型や工具などに適用が可能であって産業上の利用可能性が極めて高い。
1 被処理材
10 硬質皮膜
11 上部層
12 下地層
13 第1中間層
14 第2中間層
15 窒化処理層
20 被膜材
31、32 ターゲット材
100 表面処理装置
101 回転テーブル
102 第1ターゲット材保持部
103 第2ターゲット材保持部
104 アノード
105 アーク電源
106 バイアス電源
107 反応ガス導入部
108 排気部
109 チャンバ
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる硬質皮膜は、(1)組成が(AlSiCr)の窒化物からなる上部層と、前記上部層の直下に形成されると共に、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系窒化物からなる下地層と、を含み、前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、13≦a≦41、0.03≦b≦15、0c≦15、d=100−(a+b+c)を満足することを特徴とする。
さらに、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる表面処理方法は、(6)減圧された窒素雰囲気下においてアーク放電式イオンプレーティング法を用いて硬質皮膜を被処理材に被覆する表面処理方法であって、回転テーブル上に載置された被処理材を挟むように、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系第1ターゲット材と、組成が(AlSiCr)からなる第2ターゲット材とを対向させる第1工程と、前記第1工程の後に、前記窒素雰囲気下において少なくとも前記第1ターゲット材と前記被処理材との間に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記被処理材上に前記Al及び前記Crを含むAlCr系の窒化物からなる下地層を形成する第2工程と、前記第2工程の後に、前記窒素雰囲気下において前記第2ターゲット材と前記被処理材との間に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記下地層上に組成が(AlSiCr)の窒化物からなる上部層を形成する第3工程と、を含み、前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、13≦a≦41、0.03≦b≦15、0c≦15、d=100−(a+b+c)を満足することを特徴とする。

Claims (10)

  1. 組成が(AlSiCr)の窒化物からなる上部層と、
    前記上部層の直下に形成されると共に、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系窒化物からなる下地層と、
    を含み、前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、
    13≦a≦41、
    0.03≦b≦15、
    0≦c≦15、
    d=100−(a+b+c)
    を満足することを特徴とする硬質皮膜。
  2. 前記下地層は、組成が(AlCr)の窒化物からなる第1中間層を含み、
    前記e、f及びgがそれぞれ重量%を示し、
    0≦e≦20、
    0≦f≦15、且つ、
    g=100−(e+f)、
    を満足する請求項1に記載の硬質皮膜。
  3. 前記下地層は前記上部層と前記第1中間層の間に形成される第2中間層を含み、
    前記第2中間層は、前記(AlSiCr)の窒化物を主とした第1組成群と、前記(AlCr)の窒化物を主とした第2組成群と、が混在する請求項2に記載の硬質皮膜。
  4. 前記第2中間層は、前記第1組成群の層と前記第2組成群の層とが交互に積層された状態である請求項3に記載の硬質皮膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬質皮膜で被覆された被覆材(金型、工具)。
  6. 減圧された窒素雰囲気下においてアーク放電式イオンプレーティング法を用いて硬質皮膜を被処理材に被覆する表面処理方法であって、
    回転テーブル上に載置された被処理材を挟むように、金属成分としてAl及びCrを含むAlCr系第1ターゲット材と、組成が(AlSiCr)からなる第2ターゲット材とを対向させる第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記窒素雰囲気下において少なくとも前記第1ターゲット材に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記被処理材上に前記Al及び前記Crを含むAlCr系窒化物からなる下地層を形成する第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記窒素雰囲気下において少なくとも前記第2ターゲット材に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記下地層上に組成が(AlSiCr)の窒化物からなる上部層を形成する第3工程と、
    を含み、
    前記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、
    13≦a≦41、
    0.03≦b≦15、
    0≦c≦15、
    d=100−(a+b+c)
    を満足することを特徴とする表面処理方法。
  7. 前記AlCr系第1ターゲット材は、組成が(AlCr)からなり、
    前記e、f及びgがそれぞれ重量%を示し、
    0≦e≦20、
    0≦f≦15、且つ、
    g=100−(e+f)、
    を満足し、
    前記第2工程では、前記窒素雰囲気下において少なくとも前記AlCr系第1ターゲット材に所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、組成が前記(AlCr)の窒化物からなる第1中間層を前記被処理材上に形成する請求項6に記載の表面処理方法。
  8. 前記第2工程と前記第3工程の間に、前記窒素雰囲気下において少なくとも前記AlCr系第1ターゲット材及び前記第2ターゲット材にそれぞれ所定の電圧を印加しつつ当該被処理材を回転させることで、前記(AlSiCr)の窒化物を主とした第1組成群と、前記(AlCr)の窒化物を主とした第2組成群と、が混在した第2中間層を前記第1中間層の上に形成する請求項7に記載の表面処理方法。
  9. 前記第2工程の前に、ラジカル窒化法を用いて前記被処理材の表面を窒化処理することで窒化処理層を形成する請求項6〜8のいずれか一項に記載の表面処理方法。
  10. アーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材であって、下記a、b、c及びdがそれぞれ重量%を示し、
    組成が(AlSiCr)であって、
    13≦a≦41、
    0.03≦b≦15、
    0≦c≦15、
    d=100−(a+b+c)
    を満たすことを特徴とするアーク放電式イオンプレーティング用ターゲット材。
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