JP2019071365A - シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨されたシリコンウェーハ表面のヘイズを低減できるシリコンウェーハ用研磨液組成物、及び当該シリコンウェーハ用研磨液組成物を用いた研磨方法、並びに半導体基板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、シリカ粒子A、塩基性化合物B、及び水溶性高分子Cを含むシリコンウェーハ用研磨液組成物であって、前記水溶性高分子Cのシリコンウェーハ吸着膜硬度が0.13以下である。好ましくは、NMR法で測定した、水溶性高分子Cのシリカ粒子Aへの吸着率が3質量%以下である。水溶性高分子Cの重量平均分子量が、好ましくは500以上である。シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物の25℃におけるpHは、好ましくは9.0以上12.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物、これを用いた研磨方法、並びに半導体基板の製造方法に関する。
近年、半導体メモリの高記録容量化に対する要求の高まりから半導体装置のデザインルールは微細化が進んでいる。このため半導体装置の製造過程で行われるフォトリソグラフィーにおいて焦点深度は浅くなり、シリコンウェーハ(ベアウェーハ)の表面欠陥(LPD:Light point defects)や表面粗さ(ヘイズ)の低減に対する要求はますます厳しくなっている。
シリコンウェーハの品質を向上する目的で、シリコンウェーハの研磨は多段階で行われている。特に研磨の最終段階で行われる仕上げ研磨は、ヘイズの低減とパーティクルやスクラッチ、ピット等の表面欠陥の低減とを目的として行われている。
シリコンウェーハの研磨に用いられる研磨液組成物として、保存安定性の向上、良好な生産性が確保される研磨速度の担保、及びLPDとヘイズの低減を目的とし、シリカ粒子と、含窒素塩基性化合物と、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)等のアクリルアミド誘導体に由来する構成単位を含む水溶性高分子とを含むシリコンウェーハの研磨液組成物が開示されている(特許文献1)。また、ヘイズレベルの改善を目的とし、シリカ粒子と、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)と、ポリエチレンオキサイドと、アルカリ化合物とを含む研磨用組成物が開示されている(特許文献2)。また、ヘイズレベルを低下させることなくウェーハ表面に付着するパーティクルを低減することを目的とし、シリカ粒子、アンモニア等の塩基性化合物、HEC等の水溶性高分子、アルコール性水酸基を1〜10個有する化合物を含む研磨用組成物が開示されている(特許文献3)。
特開2013−222863号公報 特開2004―128089号公報 特開平11―116942号公報
しかし、従来の研磨液組成物を用いた研磨では、研磨されたシリコンウェーハ表面のヘイズの更なる低減が望まれていた。
そこで、本発明は、研磨されたシリコンウェーハ表面のヘイズを低減できるシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物、及びこれを用いた研磨方法、並びに半導体基板の製造方法を提供する。
本発明は、シリカ粒子A、塩基性化合物B、及び水溶性高分子Cを含むシリコンウェーハ用研磨液組成物であって、前記水溶性高分子Cのシリコンウェーハ吸着膜硬度が0.13以下である、シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物に関する。
本発明は、本発明のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、研磨方法に関する。
本発明は、本発明のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本発明によれば、研磨されたシリコンウェーハ表面のヘイズを低減できる、シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物、及び当該シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物を用いた研磨方法、並びに半導体基板の製造方法を提供できる。
本発明は、シリカ粒子A(以下、「成分A」ともいう)、塩基性化合物B(以下、「成分B」ともいう)、及び水溶性高分子C(以下、「高分子C」又は「成分C」ともいう)を含む、シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物において、前記高分子Cのシリコンウェーハ吸着膜硬度が0.13以下であることにより、ヘイズを低減できるという知見に基づく。
前記高分子Cのシリコンウェーハ吸着膜硬度とは、吸着膜のシリコンウェーハ表面からの剥がれ難さを示す指標であり、後述の実施例に記載の方法により測定できる。吸着膜硬度は、その値が小さいほどシリコンウェーハ表面から剥がれ難く、水を通し難い。本発明において、前記高分子Cは、ヘイズの低減の観点から、QCM−D法により測定される前記吸着膜硬度が0.13以下となる水溶性高分子であり、例えば、その0.01質量%高分子C水溶液を用いてQCM−D法により測定される前記吸着膜硬度が、0.13以下、好ましくは0.08以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.03以下となる水溶性高分子である。吸着膜硬度は、実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の効果発現機構の詳細は明らかではないが、以下のように推察される。通常、シリコンウェーハへ吸着する水溶性高分子は、水酸基、アミド基、又はオキシアルキレン基を多く有するため多くの水(水和水)含んだ状態でシリコンウェーハへ吸着する。その結果、シリコンウェーハへ水が作用しやすくなり、ヘイズレベルが悪化する。しかし、本発明では、水溶性高分子Cは、シリカ粒子にはほとんど吸着せずシリコンウェーハ表面へは好適に吸着し、しかも、例えば、ビニルリンポリマー等の水和水の保持能力の小さい水溶性高分子であり、前記吸着膜硬度の値を0.13以下と小さくすることができる。そのため、ヘイズの悪化の原因となるシリカ粒子Aが直接被研磨シリコンウェーハに接触することが抑制され、シリコンウェーハ表面から水溶性高分子膜が剥がれ難くてヘイズの悪化の原因となる塩基性化合物Bによるウェーハ表面の腐食及び水の作用が抑制され、その結果、水溶性高分子Cは、エッチング速度の低減や、ヘイズの低減に寄与しているものと推察される。ただし、本発明は、これらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本発明において、「エッチング速度」とは、研磨されるシリコンウェーハが研磨液組成物に溶解する速度をいう。シリコンウェーハの腐食抑制及びヘイズ低減の観点から、エッチング速度は低いことが好ましい。
[シリカ粒子A(成分A)]
本発明のシリコンウェーハ用研磨液組成物(以下、「本発明の研磨液組成物」ともいう)には、研磨材としてシリカ粒子A(成分A)が含まれる。成分Aの具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ等が挙げられるが、ヘイズ低減の観点から、コロイダルシリカが好ましい。
成分Aの使用形態としては、操作性の観点から、スラリー状が好ましい。本発明の研磨液組成物に含まれる成分Aがコロイダルシリカである場合、アルカリ金属やアルカリ土類金属等によるシリコンウェーハの汚染を防止する観点から、コロイダルシリカは、アルコキシシランの加水分解物から得たものであることが好ましい。アルコキシシランの加水分解物から得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって作製できる。
成分Aの平均一次粒子径は、研磨速度の確保の観点から、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましく、そして、研磨速度の確保及びヘイズ低減の観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、38nm以下が更に好ましい。
特に、成分Aとしてコロイダルシリカを用いた場合、成分Aの平均一次粒子径は、研磨速度の確保及びヘイズ低減の観点から、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、38nm以下が更に好ましい。
本発明において、成分Aの平均一次粒子径は、窒素吸着(BET)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて算出される。比表面積は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
成分Aの平均二次粒子径は、研磨速度の確保の観点から、40nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、60nm以上が更に好ましく、そして、研磨速度の確保及びヘイズ低減の観点から、100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、75nm以下が更に好ましい。
本発明において、平均二次粒子径は、動的光散乱(DLS)法によって測定される値であり、例えば、実施例に記載の装置を用いて測定できる。
成分Aの会合度は、研磨速度の確保及びヘイズ低減の観点から、5.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましく、そして、同様の観点から、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましい。成分Aがコロイダルシリカである場合、その会合度は、研磨速度の確保及びヘイズ低減の観点から、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.3以下が更に好ましく、そして、同様の観点から、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましい。
本発明において、成分Aの会合度とは、成分Aの形状を表す係数であり、下記式により算出される。
会合度=平均二次粒子径/平均一次粒子径
成分Aの会合度の調整方法としては、例えば、特開平6−254383号公報、特開平11−214338号公報、特開平11−60232号公報、特開2005−060217号公報、特開2005−060219号公報等に記載の方法を採用することができる。
研磨液組成物中に存在する成分Aの平均粒径d(以下、「研磨液組成物中での成分Aの平均粒径d」ともいう)と、研磨液組成物と同じ濃度で成分A及び成分Bを含有する水分散液中に存在する成分Aの平均粒径d0(以下、「成分A及び成分Bの水分散液中での成分Aの平均粒径d0」ともいう)との比d/d0は、ヘイズ低減の観点から、1.1以下が好ましく、1.09以下がより好ましく、1.02以下が更に好ましく、そして、1.00以上が好ましい。本発明において、比d/d0は、分散度合いを意味する。比d/d0の値が1に近いほど、分散の度合いがよいことを示す。平均粒径d及びd0はそれぞれ、動的光散乱法により測定される値であり、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
研磨液組成物中の成分Aのゼータ電位は、ヘイズ低減の観点から、−30mV以下が好ましく、−35mV以下がより好ましく、−40mV以下が更に好ましく、そして、研磨速度の観点から、−100mV以上が好ましく、−80mV以上が好ましく、−60mV以上が更に好ましい。
成分Aの形状は、いわゆる球型及び/又はいわゆるマユ型であることが好ましい。
本発明の研磨液組成物に含まれる成分Aの含有量は、研磨速度の確保の観点から、SiO2換算で、0.04質量%以上が好ましく、0.09質量%以上がより好ましく、0.13質量%以上が更に好ましく、そして、ヘイズ低減の観点から、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。
[塩基性化合物B(成分B)]
本発明の研磨液組成物は、保存安定性の向上、研磨速度の確保、及びヘイズ低減の観点から、塩基性化合物B(成分B)を含む。そして、同様の観点から、成分Bは、水溶性であることが好ましく、すなわち水溶性の塩基性化合物であることが好ましい。本発明において、「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいい、「水溶性の塩基性化合物」とは、水に溶解したとき、塩基性を示す化合物をいう。
成分Bとしては、例えば、アンモニア、アミン化合物及びアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の含窒素塩基性化合物が挙げられる。アンモニア、アミン化合物及びアンモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の含窒素塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノ−ルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノ−ルアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン・六水和物、無水ピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、ジエチレントリアミン、及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる1種又は2種以上の組合せが挙げられる。本発明に係る研磨液組成物に含まれうる含窒素塩基性化合物としては、ヘイズ低減、保存安定性の向上、及び、研磨速度の確保の観点から、アンモニアが好ましい。
本発明の研磨液組成物に含まれる成分Bの含有量は、ヘイズ低減、保存安定性の向上、及び研磨速度の確保の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、ヘイズ低減の観点から、0.1質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましく、0.025質量%以下がより好ましい。
本発明の研磨液組成物に含まれる成分Bの含有量に対する成分Aの含有量の比A/Bは、ヘイズ低減の観点から、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、300以下が好ましく、100以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。
[高分子C(成分C)]
本発明の研磨液組成物は、ヘイズ低減、保存安定性の向上、及び研磨速度の確保の観点から、水溶性高分子C(成分C)を含有する。本発明において、成分Cの「水溶性」とは、水(20℃)に対して0.5g/100mL以上の溶解度、好ましくは2g/100mL以上の溶解度を有することをいう。
水溶性高分子Cは、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、エーテル基、ケトン基、リン酸エステル基及びフェニル基から選ばれる少なくとも1種の基を含んだ構成単位aを含んでいると好ましい。これらの構成単位aは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。水溶性高分子Cは、ヘイズ低減の観点から、構成単位aは、下記式(1)で表される構成単位a1であるとより好ましい。
Figure 2019071365
上記式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立して、水素、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ヘキシル基であり、好ましくは水素であり、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1〜4のアルコキシ基、又はフェニル基であり、好ましくは炭素が1〜4のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基であり、より好ましくはメトキシ基であり、Xは、結合手、−CH2−、−C24−又は−Ph−CH2−であり、好ましくは結合手、又は−CH2−、より好ましくは結合手である。
前記式(1)で表される構成単位a1は、例えば、ジメチルビニルホスホナート、ジエチルビニルホスホナート、ジイソプロピルホスホナート、1−(ジメトキシホスフィニル)−1−メチルエテン、1−(ジメトキシホスフィニル)1−1フェニルエテン、1−(ジメトキシホスフィニル)−2−フェニルエテン、ジメチル−p−ビニルベンジルホスホナート、ジメチル−p−ビニルベンジルホスホナート、ジイソプロピル−p−ビニルベンジルホスホナート、ジフェニルビニルホスホナート、2−(ジメトキシホスフィニル)−1−オクテン、ビニルリン酸等に由来の構成単位であり、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、好ましくはジメチルビニルホスホナートに由来の構成単位である。これらは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
高分子Cは、構成単位a以外の構成単位を含まない単独重合体であってもよいが、構成単位a以外に、構成単位bを含む共重合体であってもよい。好ましい構成単位bとしては、例えば、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、例えば、アミド基を含む化合物、オキシアルキレン基を含む化合物及びビニルアルコール基を含む化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物由来の構成単位が挙げられる。
アミド基を含む化合物由来の構成単位bとしては、例えば、下記式(2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019071365
上記式(2)において、研磨液組成物の保存安定性の向上、研磨速度の確保、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、R5、R6は、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり、好ましくは水素であり、R7、R8は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1以上8以下のアルキル基、又は炭素数が1以上5以下のヒドロキシアルキル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、又は炭素数が1以上2以下のヒドロキシアルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ヒドロキシエチル基である。
前記式(2)で表される構成単位bは、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドN−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、n−ブチルアクリルアミド等に由来の構成単位である。これらは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
オキシアルキレン基を含む化合物由来の構成単位bとしては、例えば、下記式(3)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019071365
前記式(3)において、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、R9、R10及びR11は、同一又は異なり、水素原子、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種が好ましい。R9及びR10は、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、水素原子及びメチル基のいずれか一方が好ましく、水素原子がより好ましい。R11は、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、メチル基及びエチル基のいずれか一方が好ましく、メチル基がより好ましい。AOは、オキシアルキレン基を示し、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基が好ましい。AOは、直鎖状及び分岐状のいずれであってもよい。AOは、1種でも2種以上でもよい。AOが2種以上の場合、その付加形式はランダム状でもブロック状でもよい。AOとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数(AOが2種以上のとき、全てのAOに含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数の合計数)を示し、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、1以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、そして、140以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が更に好ましい。
前記式(3)で表される構成単位bの供給源である単量体としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等に由来の構成単位である。これらの中でも、ヘイズ低減及び再利用性の観点から、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(PEGMA)がより好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。これらは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
ビニルアルコール基を含む化合物由来の構成単位bとしては、例えば、下記式(4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2019071365
前記式(4)で表される構成単位bとしては、例えば、ビニルアルコールに由来の構成単位である。
構成単位aと構成単位bとの質量比(a/b)は、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点からは、50/50以上が好ましく、70/30以上がより好ましく、80/20以上が更に好ましく、90/10以上が更により好ましく、100/0が更により好ましい。
成分Cが構成単位a及びbを含む共重合体である場合、構成単位aと構成単位bの配列は、ブロックでもランダムでもよく、ヘイズ低減及び再利用性の観点からの観点から、ランダムが好ましい。
成分Cは、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、シリカ粒子Aに対する吸着基(例えば、水酸基、アミド基、オキシアルキレン基)を含まないと好ましい。
成分Cの重量平均分子量は、エッチング速度の抑制、ヘイズ低減及び研磨速度確保の観点から、3万未満が好ましく、2万以下がより好ましく、1万以下が更に好ましく、5000以下がより更に好ましく、3000以下がより更に好ましく、そして、同様の観点から、500以上が好ましく、800以上がより好ましく、900以上が更に好ましい。成分Cの重量平均分子量は後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明の研磨液組成物に含まれる成分Cの含有量は、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物に含まれる成分Cの含有量に対する成分Aの含有量の比A/Cは、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、50以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物における成分Cの成分Aへの吸着率は、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、1質量%未満が更に好ましく、0.5質量%未満が更により好ましい。本発明において、成分Cの成分Aへの吸着率は、全有機体炭素(Total Organic Carbon;以下、「TOC」ともいう)法又はNMR法により算出でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の研磨液組成物における成分Cのシリコンウェーハに対する吸着量は、エッチング速度の抑制及びヘイズ低減の観点から、750ng/cm2以上が好ましく、800ng/cm2以上がより好ましく、850ng/cm2以上が更に好ましく、900ng/cm2以上が更に好ましく、そして、研磨速度の観点から、2000ng/cm2以下が好ましく、1500ng/cm2以下がより好ましく、1200ng/cm2以下が更に好ましい。成分Cのシリコンウェーハに対する吸着量は、例えば、水晶振動子マイクロバランス(quartz crystal microbalance with dissipation、QCM−D)法により水晶振動子センサーを用いて測定でき、具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。水晶振動子センサーとは、一般的に、水晶振動子(測定基板)の両面にそれぞれ形成された電極に電圧を印加して発振させ、その振動数と波長を測定するセンサーである。
ここで、成分Cのシリコンウェーハに対する吸着量の測定方法の一例を示す。
成分Cの水溶液を水晶振動子センサーに接触させ、水晶振動子センサーの共振周波数を測定する。水晶振動子センサーとしては、水晶振動子の表面がシリコン系材料(例えば、ポリシリコン、単結晶シリコン等)でコーティングされているセンサー(例えば、polysiliconセンサー、siliconセンサー等)が挙げられる。そして、センサー表面への成分Cの吸着により生じる水晶振動子センサーの振動数変化量及び減衰定数変化量を用いて、Sauerbreyの式又はKelvin-Voightの式によってセンサー表面の質量変化量を算出する。この質量変化量を、成分Cのシリコンウェーハに対する吸着量として求めることができる。
[水系媒体(成分D)]
本発明の研磨液組成物は、水系媒体(以下、「成分D」ともいう)を含んでいてもよい。成分Dとしては、例えば、イオン交換水や超純水等の水、又は水と溶媒との混合媒体等が挙げられ、上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が好ましい。成分Dとしては、なかでも、ヘイズ低減の観点から、イオン交換水又は超純水がより好ましく、超純水が更に好ましい。成分Dが水と溶媒との混合媒体である場合、混合媒体全体に対する水の割合は、経済性の観点から、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%が更に好ましい。
本発明の研磨液組成物中の成分Dの含有量は、成分A、成分B、成分C及び後述するその他の任意成分の残余とすることができる。
本発明の研磨液組成物の25℃におけるpHは、研磨速度の確保の観点から、9.0以上が好ましく、9.5以上がより好ましく、10.0以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、12.0以下が好ましく、11.5以下がより好ましく、11.0以下が更に好ましい。pHの調整は、成分B及び後述するpH調整剤から選ばれる1種以上を適宜添加して行うことができる。ここで、25℃におけるpHは、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して1分後の数値とすることができる。
本発明の研磨液組成物は、シリコンウェーハの腐食抑制及びヘイズ低減の観点から、シリコンウェーハのエッチング速度が、50nm/h未満が好ましく、30nm/h以下がより好ましく、13nm/h以下が更に好ましい。
[その他の任意成分]
本発明の研磨液組成物は、本発明の効果が妨げられない範囲で、更に、成分C以外の水溶性高分子(以下「成分E」ともいう)、pH調整剤、防腐剤、アルコール類、キレート剤、アニオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種のその他任意成分が含まれてもよい。前記その他の任意成分は、本発明の効果を損なわない範囲で研磨液組成物中に含有されることが好ましく、研磨液組成物中の前記その他の任意成分の含有量は、0質量%以上が好ましく、0質量%超がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、そして、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
成分Eとしては、ヘイズ低減の観点から、例えば、ポリオキシアルキレン化合物が挙げられる。ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール等のアルキレングリコールアルキレンオキシド付加物;グリセリンアルキレンオキシド付加物;及びペンタエリスリトールアルキレンオキシド付加物から選ばれる1種以上が挙げられ、これらの中でも、ヘイズ低減の観点から、エチレングリコールアルキレンオキシド付加物が好ましく、PEGがより好ましい。
pH調整剤としては、例えば、酸性化合物及びこれらの塩等が挙げられる。前記酸性化合物の塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアミン塩から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、アンモニウム塩である。
酸性化合物としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、シュウ酸、クエン酸、及びリンゴ酸等の有機酸;等が挙げられる。なかでも、汎用性の観点から、塩酸、硝酸及び酢酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、塩酸及び酢酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
防腐剤としては、例えば、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、(5−クロロ−)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、過酸化水素、及び次亜塩素酸塩から選ばれる1種以上が挙げられる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、2−メチル−2−プロパノオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種以上が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムから選ばれる1種以上が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルリン酸エステル等のリン酸エステル塩;から選ばれる1種以上が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油等のポリエチレングリコール型;ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド等の多価アルコール型;及び脂肪酸アルカノールアミド;から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記において説明した研磨液組成物中の各成分の含有量は、研磨液組成物の使用時における含有量である。本発明の研磨液組成物は、その保存安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造及び輸送コストをさらに低くできる点で好ましい。本発明の研磨液組成物が、使用時に希釈して用いられるもの(以下「濃縮液」とも言う。)である場合、使用時に、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して使用すればよい。濃縮倍率は、コスト低減の観点から、体積基準で、2倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、30倍以上が更に好ましく、55倍以上がより更に好ましく、そして、保存安定性の確保の観点から、180倍以下が好ましく、120倍以下がより好ましく、100倍以下が更に好ましく、60倍以下がより更に好ましい。
本発明の研磨液組成物の一態様は、使用時にpHの変化が0.15以上となるように希釈して用いられるもの(濃縮液)であり、希釈された前記シリコンウェーハ用研磨液組成物における水溶性高分子Cの含有量が0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましく、0.1質量%以下である場合、下記関係式から求められる指標Xは、保存安定性の確保の観点から、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは25以下であり、コスト低減の観点から、好ましくは0.9以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上である。
関係式:X=[CA×Cp]/pHc
ただし、前記関係式中、CAは前記シリコンウェーハ用研磨液組成物(濃縮時)中のシリカ粒子Aの含有量(質量%)、Cpは前記シリコンウェーハ用研磨液組成物(濃縮時)中の高分子Cの含有量(質量%)、pHcは前記シリコンウェーハ用研磨液組成物(濃縮時)の25℃におけるpHである。
pHの変化は、低コスト化の観点から、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.25以上であり、保存安定性の確保の観点から、好ましくは1以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.5以下である。
ヘイズの増大を引き起こす因子の1つとして、シリカ粒子Aの凝集があり、シリカ粒子Aの凝集には、少なくとも、シリカ粒子Aの含有量、水溶性高分子Cの含有量、及びpHが関与している。シリカ粒子Aの含有量と水溶性高分子Cの含有量との積が、pH値との相対的関係において、40以下に制限されていると、濃縮液中におけるシリカ粒子Aの保存安定性が良好であるので、濃縮液を、pHの変化が0.15以上となるように希釈して使用した場合に、良好な表面品質(低ヘイズ)を実現できる。
次に、前記研磨液組成物の調製方法の一例について説明する。
前記研磨液組成物は、例えば、成分A、成分B及び成分Cと、必要に応じて上述した成分D及びその他の任意成分とを混合することによって調製できる。
成分Aの水系媒体への分散は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機、湿式ボールミル、又はビーズミル等の撹拌機等を用いて行うことができる。成分Aの凝集等により生じた粗大粒子が水系媒体中に含まれる場合、遠心分離やフィルターを用いたろ過等により、当該粗大粒子を除去すると好ましい。成分Aの水系媒体への分散は、成分Cの存在下で行うと好ましい。
上記の方法により調製された本発明の前記研磨液組成物が、使用時に希釈して用いられる濃縮液である場合、本発明の研磨液組成物の製造方法の一例は、前記濃縮液を、pHの変化が0.15以上となるように希釈する工程を含み、前記濃縮液について、下記関係式から求められる指標Xが、40以下であり、希釈された濃縮液における、水溶性高分子Cの濃度は、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましく、0.1質量%以下である。下記関係式中、CAは前記濃縮液中のシリカ粒子Aの含有量(質量%)、Cpは前記濃縮液中の水溶性高分子Cの含有量(質量%)、pHcは前記濃縮液の25℃におけるpHである。
関係式:X=[CA×Cp]/pHc
[半導体基板の製造方法及び研磨方法]
本発明の研磨液組成物は、例えば、半導体基板の製造方法における、被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程や、被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程を含む研磨方法に用いられうる。本発明の研磨液組成物の研磨対象である被研磨シリコンウェーハとしては、例えば、単結晶100面シリコンウェーハ、111面シリコンウェーハ、110面シリコンウェーハ等が挙げられ、ヘイズ低減の観点から、単結晶100面シリコンウェーハが好ましい。また、前記シリコンウェーハの抵抗率としては、ヘイズ低減の観点から、好ましくは0.0001Ω・cm以上、より好ましくは0.001Ω・cm以上、更に好ましくは0.01Ω・cm以上、更に好ましくは0.1Ω・cm以上であり、そして、好ましくは100Ω・cm以下、より好ましくは50Ω・cm以下、更に好ましくは20Ω・cm以下である。
前記被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程は、例えば、単結晶シリコンインゴットを薄円板状にスライスすることにより得られた単結晶シリコンウェーハを平面化するラッピング(粗研磨)工程と、ラッピングされた単結晶シリコンウェーハをエッチングした後、単結晶シリコンウェーハ表面を鏡面化する仕上げ研磨工程とを含むことができる。本発明の研磨液組成物は、ヘイズ低減の観点から、上記仕上げ研磨工程で好適に用いられる。
本発明の研磨液組成物が、使用時に希釈して用いられる濃縮液である場合、本発明の半導体基板の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略称する場合もある。)及び本発明の研磨方法(以下、「本発明の研磨方法」と略称する場合もある。)は、被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程の前に、前記濃縮液を希釈する希釈工程を含む。希釈媒には、例えば、成分Dを用いることができる。希釈倍率は、希釈した後の研磨時の濃度を確保できれば特に限定されなくてもよく、製造及び輸送コストをさらに低くできる観点から、体積基準で、2倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましく、30倍以上が更に好ましく、55倍以上がより更に好ましく、そして、保存安定性の観点から、180倍以下が好ましく、120倍以下がより好ましく、100倍以下が更に好ましく、60倍以下がより更に好ましい。
前記希釈工程で希釈される濃縮液は、製造及び輸送コスト低減、保存安定性の向上の観点から、例えば、成分Aを1〜20質量%、成分Bを0.1〜5質量%、成分Cを0.1〜30質量%含んでいると好ましい。
前記希釈工程で希釈される濃縮液は、表面欠陥低減の観点から、ニッケル含有量が、100ppb以下が好ましく、20ppb以下がより好ましく、5ppb以下が更に好ましく、1ppb以下がより更に好ましく、そして、コスト低減の観点から、0ppbより大きいことが好ましい。同様の観点から、濃縮液中に含まれる鉄、銅、銀の各含有量も、100ppb以下が好ましく、20ppb以下がより好ましく、5ppb以下が更に好ましく、そして、0ppbより大きいことが好ましい。
前記被研磨シリコンウェーハを研磨する工程では、例えば、研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨シリコンウェーハを挟み込み、3〜20kPaの研磨圧力で被研磨シリコンウェーハを研磨することができる。
上記研磨圧力とは、研磨時に被研磨シリコンウェーハの被研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。研磨圧力は、研磨速度を向上させ経済的に研磨を行う観点から、3kPa以上が好ましく、4kPa以上がより好ましく、5kPa以上が更に好ましく、5.5kPa以上がより更に好ましい。そして、表面品質を向上させ、且つ研磨されたシリコンウェーハにおける残留応力を緩和する観点から、研磨圧力は、20kPa以下が好ましく、18kPa以下がより好ましく、16kPa以下が更に好ましい。
前記被研磨シリコンウェーハを研磨する工程では、例えば、研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨シリコンウェーハを挟み込み、15℃以上40℃以下の研磨液組成物及び研磨パッド表面温度で被研磨シリコンウェーハを研磨することができる。研磨液組成物の温度及び研磨パッド表面温度としては、表面欠陥低減の観点から、15℃以上又は20℃以上が好ましく、ヘイズ低減の観点から、40℃以下又は30℃以下が好ましい。
本発明の製造方法及び本発明の研磨方法は、前記研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程の後に、研磨された被研磨シリコンウェーハを洗浄する工程を更に含むことができる。
[研磨液キット]
本発明は、本発明の研磨液組成物を製造するための研磨液キットであって、成分Aを含有する分散液が容器に収納された容器入りシリカ分散液を含む、研磨液キット(以下、「本発明のキット」と略称する場合もある。)に関する。本発明のキットによれば、ヘイズを低減可能な研磨液組成物が得られうる。
本発明のキットの一実施形態としては、例えば、成分A、成分B及び成分Dを含むシリカ分散液と、成分C及び成分Dを含む添加剤水溶液とを相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合される研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。本発明のキットの他の実施形態としては、例えば、成分A、成分B及び成分Dを含むシリカ分散液と、成分B、成分C及び成分Dを含む添加剤水溶液と、を相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記シリカ分散液及び添加剤水溶液にはそれぞれ、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
1.高分子C(成分C)の合成又はその詳細
(1)実施例1〜10の成分C
実施例1〜4の研磨液組成物の調製には、成分Cとして、ポリビニルリンC1(重量平均分子量:1,000、丸善石油化学社製、「ポリジメチルビニルホスホナート」)を用いた。実施例5〜10の研磨液組成物の調製には、成分Cとして、ポリビニルリンC2(重量平均分子量:3,400、丸善石油化学社製、「ポリジメチルビニルホスホナート」)を用いた。
(2)比較例1〜5の水溶性高分子
比較例1〜5の研磨液組成物の調製には、下記のようにして合成したHEAA単独重合体(p−HEAA)を用いた。
ヒドロキシエチルアクリルアミド150g(1.30moL、興人社製)を100gのイオン交換水に溶解し、モノマー水溶液を調製した。また、別に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド 0.035g(重合開始剤、「V−50」、1.30mmoL、和光純薬社製)を70gのイオン交換水に溶解し、重合開始剤水溶液を調製した。ジムロート冷却管、温度計及び三日月形テフロン(登録商標)製撹拌翼を備えた2Lセパラブルフラスコに、イオン交換水1,180gを投入した後、セパラブルフラスコ内を窒素置換した。次いで、オイルバスを用いてセパラブルフラスコ内の温度を68℃に昇温した後、予め調製した上記モノマー水溶液と上記重合開始剤水溶液を各々3.5時間かけて撹拌を行っているセパラブルフラスコ内に滴下した。滴下終了後、反応溶液の温度及び撹拌を4時間保持し、無色透明の10質量%ポリヒドロキシエチルアクリルアミド(pHEAA、重量平均分子量:700,000)水溶液1,500gを得た。
(3)比較例6,7の水溶性高分子
比較例6の研磨液組成物の調製には、ポリビニルアルコール(重合度500(カタログ値)、クラレ社製「PVA−105」、重量平均分子量4.3万(実測値))を用い、比較例7の研磨液組成物の調製には、ヒドロキシエチルセルロース(HEC、重量平均分子量:25万(カタログ値)、35万(実測値)、ダイセルファインケム社製「SE−400」)を用いた。
2.各種パラメーターの測定方法
(1)高分子C(成分C)及びその比較対象物の重量平均分子量の測定
成分C及びその比較対象物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得たクロマトグラム中のピークに基づき算出した。各成分Cにおける、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:HLC−8320 GPC(東ソー社製、検出器一体型)
カラム:G4000PWXL+G25000PWXL(アニオン)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:ショーデックスRI SE−61示差屈折率検出器
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
(2)シリカ粒子A(成分A)の平均一次粒子径の測定
成分Aの平均一次粒子径(nm)は、BET法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出した。
平均一次粒子径(nm)=2727/S
成分Aの比表面積は、下記の[前処理]をした後、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に110℃の雰囲気下で30分間乾燥した後、比表面積測定装置(マイクロメリティック自動比表面積測定装置、「フローソーブIII2305」、島津製作所製)を用いてBET法により測定した。
[前処理]
(a)スラリー状の成分Aを硝酸水溶液でpH2.5±0.1に調整する。
(b)pH2.5±0.1に調整されたスラリー状の成分Aをシャーレにとり150℃の熱風乾燥機内で1時間乾燥させる。
(c)乾燥後、得られた試料をメノウ乳鉢で細かく粉砕する。
(d)粉砕された試料を40℃のイオン交換水に懸濁させ、孔径1μmのメンブランフィルターで濾過する。
(e)フィルター上の濾過物を20gのイオン交換水(40℃)で5回洗浄する。
(f)濾過物が付着したフィルターをシャーレにとり、110℃の雰囲気下で4時間乾燥させる。
(g)乾燥した濾過物(成分A)をフィルター屑が混入しないようにとり、乳鉢で細かく粉砕して測定サンプルを得た。
(3)シリカ粒子A(成分A)の平均二次粒子径
成分Aの平均二次粒子径(nm)は、成分Aの濃度が0.15質量%となるように成分Aをイオン交換水に添加して得られた水分散液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、シスメックス社製)を用いて測定した。
(4)平均粒径d、d0、及び比d/d0
研磨液組成物中での成分Aの平均粒径dは、成分Aの濃度が0.15質量%、成分Bの濃度が0.01質量%、成分C及びその比較対象物の濃度が0.01質量%の研磨液組成物を調製し、当該研磨液組成物をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、シスメックス社製)を用いて測定した。
成分A及び成分Bを含む水分散液中での成分Aの平均粒径d0は、成分Aの濃度が0.15質量%、成分Bの濃度が0.01質量%となるように、成分Bの水溶液に成分Aを添加して得られた水分散液をDisposable Sizing Cuvette(ポリスチレン製 10mmセル)に下底からの高さ10mmまで入れ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、シスメックス社製)を用いて測定した。平均粒径d0は69.6nmであった。そして、得られた平均粒径d及び平均粒径d0を用いて、比d/d0を求め、表2に示した。
(5)シリカ粒子A(成分A)のゼータ電位
研磨液組成物中での成分Aのゼータ電位は、成分Aの濃度が0.15質量%、成分Bの濃度が0.01質量%、成分C及びその比較対象物の濃度が0.01質量%の研磨液組成物を用意し、当該研磨液組成物をDisposable folded capillary cellsにいれ、動的光散乱法(装置名:「ゼータサイザーNano ZS」、シスメックス社製)を用いて測定し、その結果を表2に示した。
(6)高分子C(成分C)及びその比較対象物のシリカ粒子A(成分A)への吸着率
(6−1)TOC法
成分Aの濃度が0.15質量%、成分Bの濃度が0.01質量%、成分C及びその比較対象物の濃度が0.01質量%の研磨液組成物を調製し、15分静置した。その後、遠心分離処理(25,000rpm、1時間)を行い、シリカを含む沈降物と上澄み液を分離し、上澄み液のTOC値を測定する。別途、各濃度の成分Cの水溶液のTOC値から検量線を作成し、この検量線と上澄み液のTOC値からシリカへ吸着した成分Cの吸着率を計算し、表1に示した。
(6−2)NMR法
成分Aの濃度が0.15質量%、成分Bの濃度が0.01質量%、成分C及びその比較対象物の濃度が0.01質量%であり、残余が重水である研磨液組成物を調製し、15分静置した。尚、重水の含有量が50質量%以下となると正確な測定が困難になるため、各成分の混合の前に、必要に応じて、成分A、成分B、成分C及び比較対象物の原料由来の軽水を除去した。その後、下記条件でNMR測定を行った。別途、各濃度の成分Cの水溶液のNMR測定値から検量線を作成し、この検量線とNMR値からシリカへ吸着した成分Cの吸着率を計算し、表1に示した。
装置:アジレント・テクノロジー社 400−MR
積算回数:32回
緩和時間:10秒
(7)高分子C(成分C)及びその比較対象物のシリコンウェーハ吸着膜硬度
高分子C(成分C)及びその比較対象物のシリコンウェーハ吸着膜硬度は、quartz crystal microbalance with dissipation(QCM-D)法により得た振動数変化(Δf)及び減衰定数変化(ΔD)に基づき算出した。
装置:E-4 (QCM-D Q-sense社製)
センサー:polysilicon (silicon) センサー
参照液:milliQ水
流量:0.1 mL/min
測定温度:25℃
[測定方法]
センサーを、アセトン、5質量%H22水溶液、1質量%フッ酸水溶液でそれぞれ5分間超音波洗浄を行い、MilliQ水ですすいでから窒素ブローで乾燥させた。その後、センサーを測定装置にセッティングしてMilliQ水を流し、系を安定化させた。そして、ポリマー水溶液(高分子C又はその比較対象物を0.01質量%となるように水で希釈した溶液)を流し、定常値のDを-fで割った値を、吸着膜物性値として求めた。D/(-f)が小さいほど吸着膜が硬いことを示す。吸着膜物性の解析は11倍音の周波数(55MHz)を用いた。また、Dは-fが増加するとシリコンウェーハ界面近傍から水との界面近傍の吸着膜物性を表すようになる。今回はシリコンウェーハ界面近傍の-fを採用した。表2には、各水溶性高分子化合物について、D/(-f)、D値及び-f値を示す。
3.研磨液組成物の調製
成分A(コロイダルシリカ、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径70nm、会合度2.0)、成分B含有水溶液(28質量%アンモニア水、キシダ化学(株)、試薬特級)、表1に示す高分子C(成分C)及びその比較対象物、及び超純水を攪拌混合して、実施例1〜10、比較例1〜7の研磨液組成物の濃縮液を得た。濃縮液の濃縮倍率は表2に記載のとおりである。表2における各成分A〜C及びその比較対象物の含有量は、濃縮液を表2に記載の濃縮倍率と等しい倍率で希釈して得た研磨液組成物についての値、すなわち、研磨液組成物の使用時における含有量である。成分A、成分B及び成分C及びその比較対象物を除いた残余は超純水である。なお、成分Aの含有量は、SiO2換算濃度である。
4.研磨方法
上記の研磨液組成物の濃縮液をイオン交換水で、各々、濃縮倍率と等しい倍率で希釈して得た研磨液組成物について、研磨直前にそれぞれフィルター(コンパクトカートリッジフィルター「MCP−LX−C10S」、アドバンテック社製)にてろ過を行い、下記の研磨条件でシリコンウェーハ[直径200mmのシリコン片面鏡面ウェーハ(伝導型:P、結晶方位:100、抵抗率:0.1Ω・cm以上100Ω・cm未満)]に対して仕上げ研磨を行った。当該仕上げ研磨に先立ってシリコンウェーハに対して市販の研磨液組成物を用いてあらかじめ粗研磨を実施した。粗研磨を終了し仕上げ研磨に供したシリコンウェーハのヘイズは、2〜3ppmであった。ヘイズは、KLA Tencor社製「Surfscan SP1−DLS」を用いて測定される暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値である。
<仕上げ研磨条件>
研磨機:片面8インチ研磨機(岡本工作機械製作所製「SPP600S」)
研磨パッド:スエードパッド(東レ コーテックス社製、アスカー硬度:64、厚さ:1.37mm、ナップ長:450um、開口径:60um)
シリコンウェーハ研磨圧力:100g/cm2
定盤回転速度:60rpm
研磨時間:5分
研磨液組成物の供給速度:150g/分
研磨液組成物の温度:23℃
キャリア回転速度:62rpm
5.洗浄方法
仕上げ研磨後、シリコンウェーハに対して、オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を下記のとおり行った。オゾン洗浄では、20ppmのオゾンを含んだ水溶液をノズルから流速1L/min、600rpmで回転するシリコンウェーハの中央に向かって3分間噴射した。このときオゾン水の温度は常温とした。次に希フッ酸洗浄を行った。希フッ酸洗浄では、0.5質量%のフッ化水素アンモニウム(特級、ナカライテクス社製)を含んだ水溶液をノズルから流速1L/min、600rpmで回転するシリコンウェーハの中央に向かって6秒間噴射した。上記オゾン洗浄と希フッ酸洗浄を1セットとして計2セット行い、最後にスピン乾燥を行った。スピン乾燥では1,500rpmでシリコンウェーハを回転させた。
6.評価
(1)エッチング速度の測定方法
成分Aの濃度が0.15質量%、成分Bの濃度が0.01質量%、成分C及びその比較対象物の濃度が0.01質量%の研磨液組成物を用意する。仕上げ研磨で使用したものと同様のシリコンウェーハを4cm×4cmにカットし、用意した研磨液組成物30gに全て浸かる状態で40℃の恒温室で24時間浸漬した。浸漬によって減少したシリコンウェーハの厚みを、減少した重量とシリコンウェーハの比重を用いて算出した。算出した厚みと浸漬時間とから、エッチング速度を算出した。
(2)シリコンウェーハのヘイズの評価
洗浄後のシリコンウェーハ表面のヘイズ(ppm)の評価には、KLA Tencor社製「Surfscan SP1−DLS」を用いて測定される、暗視野ワイド斜入射チャンネル(DWO)での値を用いた。ヘイズの数値は小さいほど表面の平坦性が高いことを示す。ヘイズの測定は、各々2枚のシリコンウェーハに対して行い、各々平均値を表2に示した。
Figure 2019071365
Figure 2019071365
表1には、上記方法により測定された各物性が示されている。表1において、実施例のシリコンウェーハ吸着膜硬度は、比較例のそれと比較すると桁違いに小さく、0.13以下である。
表1と表2の実施例5、比較例1、6,7の結果から分かるように、吸着膜硬度が0.13以下の高分子Cを含む実施例5の研磨液組成物を用いた場合、吸着膜硬度が0.13よりも大きい高分子を含む比較例1、6,7の研磨液組成物を用いた場合よりも研磨されたシリコンウェーハのヘイズが低減されていた。また、表2に示されるように、他の実施例の研磨液組成物を用いた場合も同様に、比較例の研磨液組成物を用いた場合よりも研磨されたシリコンウェーハのヘイズが低減されていた。
また、濃縮液の濃縮倍率が高い場合でも、ヘイズ値が低いことから、濃縮液におけるシリカ粒子Aの保存安定性が良いものと推察される。
本発明の研磨液組成物を用いれば、研磨されたシリコンウェーハ表面のヘイズを低減できる。よって、本発明の研磨液組成物は、様々な半導体基板の製造過程で用いられる研磨液組成物として有用であり、なかでも、シリコンウェーハの仕上げ研磨用の研磨液組成物として有用である。また、本発明によれば、濃縮倍率が高くても、ヘイズの低減が可能であり、保存安定性が良好であるため、本発明は、低コスト化にも寄与する。

Claims (16)

  1. シリカ粒子A、塩基性化合物B、及び水溶性高分子Cを含むシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物であって、
    前記水溶性高分子Cのシリコンウェーハ吸着膜硬度が0.13以下である、シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  2. NMR法で測定した、水溶性高分子Cのシリカ粒子Aへの吸着率が3質量%以下である、請求項1に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  3. 水溶性高分子Cの重量平均分子量が、500以上である、請求項1又は2に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  4. 25℃におけるpHが9.0以上12.0以下である、請求項1から3のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  5. 前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物中に存在するシリカ粒子Aの平均粒径dと、前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物と同じ濃度でシリカ粒子A及び塩基性化合物Bを含有する水分散液中に存在するシリカ粒子Aの平均粒径d0との比d/d0が1.1以下である、請求項1から4のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  6. 研磨液組成物中のシリカ粒子Aのゼータ電位が、−30mV以下である、請求項1から5のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  7. シリコンウェーハのエッチング速度が、50nm/h未満である、請求項1から6のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  8. 水溶性高分子Cの含有量に対するシリカ粒子Aの含有量の比A/Cが、0.1以上である、請求項1から7のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  9. 水溶性高分子Cの含有量に対するシリカ粒子Aの含有量の比A/Cが、50以下である、請求項1から8のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  10. 前記水溶性高分子Cは、下記式(1)で表される構成単位を含む、請求項1から9のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
    Figure 2019071365
    ただし、上記式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立して、水素、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ヘキシル基であり、R3、R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数が1〜4のアルコキシ基、又はフェニル基であり、Xは、結合手、−CH2−、−C24−又は−Ph−CH2−である。
  11. 前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物は、使用時にpHの変化が0.15以上となるように希釈して用いられ、
    下記関係式から求められる指標Xが、40以下であり、
    希釈された状態の前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物における水溶性高分子Cの濃度は、0.001質量%以上である、請求項1から10のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
    関係式:X=[CA×Cp]/pHc
    [ただし、前記関係式中、CAは前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物中のシリカ粒子Aの含有量(質量%)、Cpは前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物中の水溶性高分子Cの含有量(質量%)、pHcは前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物の25℃におけるpHである。]
  12. 前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物は、体積基準で使用時の2倍以上180倍以下に濃縮されている、請求項11に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物。
  13. 請求項1から12のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、被研磨シリコンウェーハの研磨方法。
  14. 前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物が、使用時に希釈して用いられる濃縮液であり、
    前記被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程の前に、前記濃縮液を体積基準で2倍以上180倍以下に希釈する希釈工程を含む、請求項13に記載の被研磨シリコンウェーハの研磨方法。
  15. 請求項1から12のいずれかの項に記載のシリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物を用いて被研磨シリコンウェーハを研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法。
  16. 前記シリコンウェーハ用仕上げ研磨液組成物が、使用時に希釈して用いられる濃縮液であり、
    前記被研磨シリコンウェーハを研磨する研磨工程の前に、前記濃縮液を体積基準で2倍以上180倍以下に希釈する希釈工程を含む、請求項15に記載の半導体基板の製造方法。
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