JP2019071249A - 発光素子および画像表示装置 - Google Patents

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Yoshio Aoki
良夫 青木
藤沢 宣
Noburu Fujisawa
宣 藤沢
眞治 小川
Shinji Ogawa
眞治 小川
根岸 真
Makoto Negishi
真 根岸
浩充 貴志
Hiromitsu Kishi
浩充 貴志
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Abstract

【課題】発光効率に優れる発光素子および画像表示装置を提供する。【解決手段】発光素子1は、陽極4と、陽極4と対向して配置された陰極5と、陽極4と陰極5との間に設けられ、発光性を有する発光性ナノ結晶を含む発光層7と、発光層7と陽極4との間に設けられた正孔輸送層6と、発光層7と陰極5との間に設けられた電子輸送層8とを有し、発光層7に注入される単位時間あたりの正孔の量と、発光層7に注入される単位時間あたりの電子の量とがほぼ等しくなるように設定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子および画像表示装置に関する。
LEDや有機EL素子などの電界発光を利用した素子は、各種表示装置等の光源として広く利用されている。近年では、発光材料に量子ドットを用いた発光素子が注目されている。
量子ドットから得られる発光は、有機EL素子よりスペクトル幅が小さく、色域が広がるため、色再現性に優れる。現在、このような発光素子の輝度や発光効率の改善を目的とした種々の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の発光素子では、正孔輸送層が電子ブロック機能を有するように構成し、発光層の正孔輸送層との界面またはその近傍で効率よく発光させようとしている。
特開2009−88276号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、発光層の正孔輸送層との界面またはその近傍で、正孔の量が電子の量より過剰になり、すなわち、発光層中での電子の数と正孔の数とのバランスが悪くなり、期待する程の輝度の改善が見込めない。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、高輝度での発光が可能であり、かつ長寿命な発光素子および画像表示装置を提供することにある。
このような目的は、下記の(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 陽極と、
該陽極と対向して配置された陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられ、発光性を有する発光性ナノ結晶を含む発光層と、
該発光層と前記陽極との間に設けられた正孔輸送層と、
前記発光層と前記陰極との間に設けられた電子輸送層とを有し、
前記発光層に注入される正孔と前記発光層に注入される電子とが拮抗するように設定されていることを特徴とする発光素子。
(2) 前記正孔輸送層中の前記正孔の移動度および前記正孔輸送層と前記発光層との間の注入障壁の大きさのうちの少なくとも一方を調整するとともに、前記電子輸送層中の前記電子の移動度および前記電子輸送層と前記発光層との間の注入障壁の大きさのうちの少なくとも一方を調整することにより、前記発光層に注入される前記正孔と前記電子とが拮抗するように設定されている上記(1)に記載の発光素子。
(3) 当該発光素子は、前記発光層に注入される前記正孔(I)と前記発光層に注入される前記電子(I)との比であり、下記式で表される電荷注入比(r)が−6<r<6なる関係を満足する上記(1)または(2)に記載の発光素子。
=μ・exp((EHAC−HOMOHTL)/kT)
=μ・exp((LUMOETL−EEAC)/kT)
r=Log10(I÷I
[式中、μは、前記正孔輸送層を構成する正孔輸送材料における前記正孔の移動度であり、μは、前記電子輸送層を構成する電子輸送材料における前記電子の移動度であり、HOMOHTLは、前記正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、前記電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、EHACは、正孔受容体の価電帯における最高エネルギー準位であり、EEACは、電子受容体の伝導帯における最低エネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。]
(4) 前記発光層は、さらに、ホスト材料を含む上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の発光素子。
(5) 当該発光素子は、前記発光層に注入される前記正孔(I)と前記発光層に注入される前記電子(I)との比であり、下記式で表される電荷注入比(r)が−6<r<6なる関係を満足する上記(4)に記載の発光素子。
=μ・exp((HOMOhost−HOMOHTL)/kT)
=μ・exp((LUMOETL−LUMOhost)/kT)
r=Log10(I÷I
[式中、μは、前記正孔輸送層を構成する正孔輸送材料における前記正孔の移動度であり、μは、前記電子輸送層を構成する電子輸送材料における前記電子の移動度であり、HOMOHTLは、前記正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、前記電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、HOMOhostは、前記ホスト材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOhostは、前記ホスト材料のLUMOのエネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。]
(6) 前記発光性ナノ結晶の平均粒子径をR[nm]とし、前記発光層の平均厚さをH[nm]としたとき、H/Rが1.1〜1.8である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の発光素子。
(7) 前記電子輸送層は、無機半導体材料で構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の発光素子。
(8) さらに、前記発光層と前記電子輸送層との間に設けられ、前記正孔の前記発光層から前記電子輸送層への移動を規制する正孔ブロック層を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の発光素子。
(9) 前記陽極または前記陰極は、光反射性を有する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の発光素子。
(10) 前記発光層は、赤色の光を発する赤色発光領域と、緑色の光を発する緑色発光領域と、青色の光を発する青色発光領域とを備える上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の発光素子。
(11) 前記発光層は、さらに、黄色の光を発する黄色発光領域を備える上記(10)に記載の発光素子。
(12) 当該発光素子の平面視において、前記青色発光領域の面積は、他の前記発光領域の面積より大きい上記(10)または(11)に記載の発光素子。
(13) 前記青色発光領域中に含まれる前記発光性ナノ結晶の量は、他の前記発光領域中に含まれる前記発光性ナノ結晶の量より多い上記(10)ないし(12)のいずれかに記載の発光素子。
(14) 上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の発光素子と、
前記陽極および前記陰極のうちの少なくとも一方の電極と電気的に接続されたトランジスタ層とを備えることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、発光層に注入される単位時間あたりの正孔の量と発光層に注入される単位時間あたりの電子の量とをほぼ等しくなるように設定したことにより、正孔と電子とが発光層中で無駄なく再結合することができる。よって、高輝度での発光が可能であり、かつ長寿命な発光素子および画像表示装置が得られる。
本発明の発光素子の第1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の発光素子の第2実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の発光素子の第3実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の発光素子の第4実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の画像表示装置の実施形態を示す概略図である。 トランジスタ層の回路構成を示す概略図である。 トランジスタ層の回路構成を示す概略図である。
以下、本発明の発光素子および画像表示装置について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<発光素子>
まず、本発明の発光素子について説明する。
<<第1実施形態>>
図1は、本発明の発光素子の第1実施形態を模式的に示す断面図である。
なお、図1(図2〜図5でも同様)では、便宜上、各部の寸法およびそれらの比率を誇張して示し、実際とは異なる場合がある。また、以下に示す材料、寸法等は一例であって、本発明は、それらに限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更することが可能である。
また、説明の都合上、図1(図2〜図5でも同様)の上側を「上側」または「上方」と、上側を「下側」または「下方」と言う。また、図1(図2〜図5でも同様)では、図面が煩雑になることを避けるため、断面を示すハッチングの記載を省略している。
図1に示す発光素子1は、下基板2と、下基板2と対向して配置された上基板3と、下基板2の上面に設けられた陽極4と、上基板3の下面に設けられた陰極5と、陽極4と陰極5との間に、陽極4側から順次積層された正孔輸送層6、発光性を有する発光性ナノ結晶を含む発光層7および電子輸送層8とを有している。
換言すれば、発光素子1は、陽極4と、陽極4と対向して配置された陰極5と、陽極4と陰極5との間に設けられた発光層7と、発光層7と陽極4との間に設けられた正孔輸送層6と、発光層7と陰極5との間に設けられた電子輸送層8とを有している。
以下、各部について順次説明する。
[下基板2および上基板3]
下基板2および上基板3は、それぞれ発光素子1を構成する各層を支持および/または保護する機能を有する。
発光素子1がトップエミッション型である場合、上基板3が透明基板で構成される。一方、発光素子1がボトムエミッション型である場合、下基板2が透明基板で構成される。
ここで、透明基板とは、可視光領域の波長の光を透過可能な基板を意味し、透明には、無色透明、着色透明、半透明が含まれる。
透明基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅等で構成される金属基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板等を用いることができる。
また、発光素子1に可撓性を付与する場合には、下基板2および上基板3には、それぞれ、プラスチック基板(高分子材料を主材料として構成された基板)、比較的厚さの小さい金属基板が選択される。
下基板2および上基板3の平均厚さは、それぞれ特に限定されないが、100〜1,000μm程度であることが好ましく、300〜800μm程度であることがより好ましい。
なお、発光素子1の使用形態に応じて、下基板2および上基板3のいずれか一方または双方を省略することもできる。
[陽極4]
陽極4は、外部電源から発光層7に向かって正孔を供給する機能を有する。
陽極4の構成材料(陽極材料)としては、特に限定されないが、例えば、金(Au)のような金属、ヨウ化銅(CuI)のようなハロゲン化金属、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)のような金属酸化物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陽極4の平均厚さは、特に制限されないが、10〜1,000nm程度であることが好ましく、10〜200nm程度であることがより好ましい。
陽極4は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法のような乾式成膜法により形成することができる。この際、フォトリソグラフィー法やマスクを用いた方法により、所定のパターンを有する陽極4を形成してもよい。
[陰極5]
陰極5は、外部電源から発光層7に向かって電子を供給する機能を有する。
陰極5の構成材料(陰極材料)としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、銀、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、希土類金属等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
陰極5の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1,000nm程度であることが好ましく、1〜200nm程度であることがより好ましい。
陰極5は、例えば、蒸着法やスパッタリング法のような乾式成膜法により形成することができる。
発光素子1がトップエミッション型である場合、陰極5はITO等で形成される透明電極で構成される。また、この場合、陽極4はアルミニウム等で形成される反射電極で構成してもよい。一方、発光素子1がボトムエミッション型である場合、陽極4はITO等で形成される透明電極で構成される。また、この場合、陰極5はアルミニウム等で形成される反射電極で構成してもよい。
[正孔輸送層6]
正孔輸送層6は、陽極4から正孔を受け取り、発光層7まで効率的に輸送する機能を有する。また、正孔輸送層6は、電子の輸送を防止する機能を有していてもよい。
なお、正孔輸送層6は、必要に応じて設けるようにすればよく、省略することもできる。
正孔輸送層6の構成材料(正孔輸送材料)としては、電子輸送能より正孔輸送能の高い材料を用いることが好ましい。かかる正孔輸送材料としては、例えば、芳香族アミン、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、スチルベン誘導体等が挙げられ、π電子過剰型複素芳香族または芳香族アミン等を好適に用いることができる。
正孔輸送材料の具体例としては、例えば、N,N’−ジ(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、N,N’−ビス{4−[ビス(3−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−N,N’−ジフェニル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン、N,N’−ジ−1−ナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、4,4’,4’’−トリ(9−カルバゾイル)トリフェニルアミン(TCTA)、3−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール、3,6−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−(1−ナフチル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド]、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン]、ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレン−co−N−(4−ブチルフェニル)ジフェニルアミン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシ−5−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン、4−フェニル−3’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン、N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−N−{9,9−ジメチル−2−[N’−フェニル−N’−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)アミノ]−9H−フルオレン−7−イル}フェニルアミン、N−(9,9−ジメチル−2−ジフェニルアミノ−9H−フルオレン−7−イル)ジフェニルアミン、2−[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン、4−フェニル−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン、4,4’−ジフェニル−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン、4−(1−ナフチル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン、4,4’−ジ(1−ナフチル)−4’’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン、4−フェニルジフェニル−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)アミン、N,N’−ビス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,3−ジアミン、N,N’,N’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリス(9−フェニルカルバゾール−3−イル)ベンゼン−1,3,5−トリアミン、N−(4−ビフェニル)−N−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール−3−アミン、N−(1,1’−ビフェニル−4−イル)−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン、9,9−ジメチル−N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]フルオレン−2−アミン、N−フェニル−N−[4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル]スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−アミン、2−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]スピロ−9,9’−ビフルオレン、2,7−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]−スピロ−9,9’−ビフルオレン、N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−(4−フェニル)フェニルアニリン、N,N’−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2,7−ジアミン、3−[4−(1−ナフチル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール、3−[4−(9−フェナントリル)−フェニル]−9−フェニル−9H−カルバゾール、3,3’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン、3,6−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)−9−フェニルカルバゾール、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン、4,4’,4’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリ(ジベンゾフラン)、1,3,5−トリ(ジベンゾチオフェン−4−イル)−ベンゼン、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン又は4−[3−(トリフェニレン−2−イル)フェニル]ジベンゾチオフェンなどが挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
正孔輸送層6の平均厚さは、特に限定されないが、1〜500nm程度であることが好ましく、5〜300nm程度であることがより好ましく、10〜200nm程度であることがさらに好ましい。
また、正孔輸送層6は、単層構成であっても、2層以上が積層された積層構成であってもよい。
また、多層干渉を利用する形態であって、赤色、緑色または青色のうちの少なくとも1つまたは2つの色の表示を優先する形態では、正孔輸送層6の平均厚さは、1〜150nm程度であることが好ましく、10〜100nm程度であることがより好ましく、21〜95nm程度であることがさらに好ましい。また、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、正孔輸送層6の平均厚さは、151nm〜308nm程度であることが好ましく、171〜275nm程度であることがより好ましく、192〜230nm程度であることがさらに好ましい。さらに、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、正孔輸送層6の平均厚さは、310nm〜500nm程度であることが好ましく、342〜470nm程度であることがより好ましく、351〜450nm程度であることがさらに好ましい。
このような正孔輸送層6は、湿式成膜法または乾式成膜法により形成することができる。
正孔輸送層6を湿式成膜法で形成する場合には、通常、正孔輸送材料を含有する液状組成物を各種塗布法により塗布し、得られた塗膜を乾燥する。塗布法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法、キャスト法、LB法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルプリント印刷法等が挙げられる。
一方、正孔輸送層6を乾式成膜法で形成する場合には、真空蒸着法、スパッタリング法等を好適に用いることができる。
[電子輸送層8]
電子輸送層8は、陰極5から電子を受け取り、発光層7まで効率的に輸送する機能を有する。また、電子輸送層8は、正孔の輸送を防止する機能を有していてもよい。
なお、電子輸送層8は、必要に応じて設けるようにすればよく、省略することもできる。
電子輸送層8の構成材料(電子輸送材料)としては、正孔輸送能より電子輸送能の高い材料を用いることが好ましい。かかる電子輸送材料としては、例えば、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族または金属錯体等が挙げられ、例えば、キノリン配位子、ペリレン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、またはチアゾール配位子を有する金属錯体、フラーレン、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体またはピリミジン誘導体等を好適に用いることができる。
電子輸送材料(有機半導体材料)の具体例としては、例えば、Alq(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III))、Almq3(トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III))、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]−1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール、バソフェナントロリン、バソキュプロイン(BCP)、1,3,5−トリ[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン(TpPyPB)、2−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン、2−[3’−(ジベンゾチオフェン−4−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン、2−[3’−(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル−3−イル]ジベンゾ[f、h]キノキサリン、2−[4−(3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン、7−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン、6−[3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン、4,6−ビス[3−(フェナントレン−9−イル)フェニル]ピリミジン、4,6−ビス[3−(4−ジベンゾチエニル)フェニル]ピリミジン、4,6−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリミジンなどのジアジン、2−{4−[3−(N−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−9H−カルバゾール−9−イル]フェニル}−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、3,5−ビス[3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ピリジン、1,3,5−トリ[3−(3−ピリジル)フェニル]ベンゼン、4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベンのような低分子化合物、ポリ(2,5−ピリジンジイル)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)]のような高分子化合物が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。
また、電子輸送材料には、無機半導体材料を用いることもできる。一般に、無機半導体材料は、有機半導体材料より電子輸送能に優れる。このため、電子輸送層8を無機半導体材料で構成することにより、電子輸送層8中における電子の移動度を高め、発光層7への電子の注入効率を向上させることができる。
電子輸送層8の平均厚さは、特に限定されないが、5〜500nm程度であることが好ましく、5〜200nm程度であることがより好ましい。
また、電子輸送層8は、単層構成であっても、2以上が積層されたものであってもよい。
また、多層干渉を利用する形態であって、赤色、緑色または青色のうちの少なくとも1つまたは2つの色の表示を優先する形態では、電子輸送層8の平均厚さは、1〜130nm程度であることが好ましく、12〜120nm程度であることがより好ましく、21〜91nm程度であることがさらに好ましい。また、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、電子輸送層8の平均厚さは、131nm〜305nm程度であることが好ましく、171〜275nm程度であることがより好ましく、192〜230nm程度であることがさらに好ましい。さらに、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、電子輸送層8の平均厚さは、307nm〜500nm程度であることが好ましく、342〜470nm程度であることがより好ましく、351〜450nm程度であることがさらに好ましい。
このような電子輸送層8は、湿式成膜法または乾式成膜法により形成することができる。
電子輸送層8を湿式成膜法で形成する場合には、通常、上述の電子輸送材料を含有する液状組成物を各種塗布法により塗布し、得られた塗膜を乾燥する。塗布法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法、キャスト法、LB法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルプリント印刷法等が挙げられる。
一方、電子輸送層8を乾式成膜法で形成する場合には、真空蒸着法、スパッタリング法等を好適に用いることができる。
[発光層7]
発光層7は、正孔輸送層6および電子輸送層8から注入された正孔および電子の再結合により生じるエネルギーを利用して発光を生じさせる機能を有する。
発光層7は、発光性を有する発光性ナノ結晶(以下、単に「ナノ結晶」と言うこともある。)を含む。ナノ結晶は、励起光を吸収して蛍光または燐光を発光するナノサイズの結晶体(ナノ結晶の1次粒子)であり、例えば、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡によって測定される最大粒子径が100nm以下である結晶体である。
ナノ結晶は、例えば、所定の波長の光エネルギーや電気エネルギーにより励起され、蛍光または燐光を発することができる。
ナノ結晶は、605〜665nmの波長範囲に発光ピークを有する光(赤色光)を発する赤色発光性の結晶であってよく、500〜560nmの波長範囲に発光ピークを有する光(緑色光)を発する緑色発光性の結晶であってよく、420〜480nmの波長範囲に発光ピークを有する光(青色光)を発する青色発光性の結晶であってもよい。また、一実施形態において、発光層7は、これらのナノ結晶のうちの少なくとも1種を含む。
なお、ナノ結晶の発光ピークの波長は、例えば、紫外可視分光光度計を用いて測定される蛍光スペクトルまたは燐光スペクトルにおいて確認することできる。
赤色発光性のナノ結晶は、665nm以下、663nm以下、660nm以下、658nm以下、655nm以下、653nm以下、651nm以下、650nm以下、647nm以下、645nm以下、643nm以下、640nm以下、637nm以下、635nm以下、632nm以下または630nm以下の波長範囲に発光ピークを有することが好ましく、628nm以上、625nm以上、623nm以上、620nm以上、615nm以上、610nm以上、607nm以上または605nm以上の波長範囲に発光ピークを有することが好ましい。
これらの上限値および下限値は、任意に組み合わせることができる。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値および下限値は任意に組み合わせ可能である。
緑色発光性のナノ結晶は、560nm以下、557nm以下、555nm以下、550nm以下、547nm以下、545nm以下、543nm以下、540nm以下、537nm以下、535nm以下、532nm以下または530nm以下の波長範囲に発光ピークを有することが好ましく、528nm以上、525nm以上、523nm以上、520nm以上、515nm以上、510nm以上、507nm以上、505nm以上、503nm以上または500nm以上の波長範囲に発光ピークを有することが好ましい。
青色発光性のナノ結晶は、480nm以下、477nm以下、475nm以下、470nm以下、467nm以下、465nm以下、463nm以下、460nm以下、457nm以下、455nm以下、452nm以下または450nm以下の波長範囲に発光ピークを有することが好ましく、450nm以上、445nm以上、440nm以上、435nm以上、430nm以上、428nm以上、425nm以上、422nm以上または420nm以上の波長範囲に発光ピークを有することが好ましい。
ナノ結晶が発する光の波長(発光色)は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば、ナノ結晶のサイズ(例えば、粒子径)に依存するが、ナノ結晶が有するエネルギーギャップ(バンドギャップ)にも依存する。そのため、構成材料およびサイズを変更することにより、ナノ結晶の発光色を選択(調節)することができる。
ナノ結晶は、半導体材料で構成されていればよく、各種構造とすることができる。例えば、ナノ結晶は、第1の半導体材料で構成されるコアのみから構成されてもよく、第1の半導体材料で構成されるコアと、このコアの少なくとも一部を被覆し、第1の半導体材料と異なる第2の半導体材料で構成されるシェルとを有する構成でもよい。換言すれば、ナノ結晶の構造は、コアのみからなる構造(コア構造)であってよく、コアとシェルとからなる構造(コア/シェル構造)であってもよい。
また、ナノ結晶は、第2の半導体材料で構成されるシェル(第1のシェル)の他に、このシェルの少なくとも一部を被覆し、第1および第2の半導体材料と異なる第3の半導体材料で構成されるシェル(第2のシェル)をさらに有していてもよい。換言すれば、ナノ結晶の構造は、コアと第1のシェルと第2のシェルとからなる構造(コア/シェル/シェル構造)であってもよい。
さらに、コアおよびシェルのそれぞれは、2種以上の半導体材料を含む混晶(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)で構成されてもよい。
ナノ結晶は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体およびI−II−IV−VI族半導体からなる群より選択される少なくとも1種の半導体材料で構成されることが好ましい。
具体的な半導体材料としては、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe2、CuGaSe2、CuInS2、CuGaS2、CuInSe2、AgInS、AgGaSe、AgGaSおよびC等が挙げられる。
半導体材料は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS2、AgInSe2、AgInTe、AgGaS、AgGaSe、AgGaTe、CuInS、CuInSe、CuInTe、CuGaS、CuGaSe、CuGaTe、Si、C、GeおよびCu2ZnSnSからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
これらの半導体材料で構成されるナノ結晶は、発光スペクトルの制御が容易であり、信頼性を確保しつつ、生産コストを低減し、量産性を向上させることができる。
赤色発光性のナノ結晶としては、例えば、CdSeのナノ結晶;CdSeのロッド状のナノ結晶;CdSのシェルとCdSeのコアとを備えるロッド状のナノ結晶;CdSのシェルとZnSeのコアとを備えるロッド状のナノ結晶;CdSのシェルとCdSeのコアとを備えるナノ結晶;CdSのシェルとZnSeのコアとを備えるナノ結晶;ZnSのシェルとInPのコアとを備えるナノ結晶;ZnSのシェルとCdSeのコアとを備えるナノ結晶;CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶;CdSeとZnSとの混晶のロッド状のナノ結晶;InPのナノ結晶;InPのロッド状のナノ結晶;CdSeとCdSとの混晶のナノ結晶;CdSeとCdSとの混晶のロッド状のナノ結晶;ZnSeとCdSとの混晶のナノ結晶;ZnSeとCdSとの混晶のロッド状のナノ結晶等が挙げられる。
緑色発光性のナノ結晶としては、例えば、CdSeのナノ結晶;CdSeのロッド状のナノ結晶;ZnSのシェルとInPのコアとを備えるナノ結晶;ZnSのシェルとCdSeのコアとを備えるナノ結晶;CdSeとZnSとの混晶のナノ結晶;CdSeとZnSとの混晶のロッド状のナノ結晶等が挙げられる。
青色発光性のナノ結晶としては、例えば、ZnSeのナノ結晶;ZnSeのロッド状のナノ結晶;ZnSのナノ結晶;ZnSのロッド状のナノ結晶;ZnSeのシェルとZnSのコアとを備えるナノ結晶;ZnSeのシェルとZnSのコアとを備えるロッド状のナノ結晶;CdSのナノ結晶;CdSのロッド状のナノ結晶等が挙げられる。
黄色発光性のナノ結晶は、例えば、上記赤色発光性のナノ結晶と同様の材料で構成することができ、平均粒子径を調整することで黄色の光を発することができる。例えば、黄色領域として570〜580nmの波長を含む光を発するナノ結晶は、上記赤色発光性のナノ結晶で列挙した、ZnSのシェルとCdSeのコアとを備えるナノ結晶等と同等のコア/シェル構造を有するナノ結晶の平均粒子径を6.9〜7.7nmに調整することにより得られる。
なお、ナノ結晶は、同一の化学組成であっても、それ自体の平均粒子径を設計することにより、ナノ結晶から発光させるべき色を赤色にも緑色にも変更することができる。
また、ナノ結晶は、それ自体として、人体等に対する悪影響が極力低いことが好ましい。したがって、カドミウム、セレン等が極力含まれないナノ結晶を選択して単独で用いるか、上記元素(カドミウム、セレン等)を含有するナノ結晶を用いる場合には、上記元素が極力少なくなるようにその他のナノ結晶と組み合わせて用いることが好ましい。
このようなナノ結晶の発光量子収率は、5〜70%程度であることが好ましく、10〜60%程度であることがより好ましく、20〜50%程度であることがさらに好ましい。
また、ナノ結晶の発光スペクトルの半値全幅Wは、60nm以下であることが好ましく、10〜50nm程度であることがより好ましく、15〜40nm程度であることがさらに好ましい。これにより、より色純度の高い光を得ることができる。
ナノ結晶の形状は、特に限定されず、任意の幾何学的形状であってもよく任意の不規則な形状であってもよい。ナノ結晶の形状としては、例えば、球状、正四面体状、楕円体状、角錐形状、ディスク状、枝状、網状、ロッド状等が挙げられる。しかしながら、ナノ結晶の形状としては、方向性の少ない形状(例えば、球状、正四面体状等)が好ましい。かかる形状のナノ結晶を用いることにより、発光層7を形成するための液状組成物(インク)の均一性および流動性をより高めることができる。
ナノ結晶の平均粒子径(体積平均径)は、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが特に好ましい。かかる平均粒子径を有するナノ結晶は、所望の波長の光を発し易いことから好ましい。
また、ナノ結晶の平均粒子径は、1nm以上であることが好ましく、1.5nm以上であることがより好ましく、2nm以上であることがさらに好ましい。かかる平均粒子径を有するナノ結晶は、所望の波長の光を発し易いのみならず、発光層7を形成するための液状組成物への分散性および保存安定性を向上させ得ることからも好ましい。
ナノ結晶の平均粒子径(1次粒子径)は、一般的に、I:光散乱法、II:液体を用いた沈降式粒度測定法、III:電子顕微鏡によりナノ結晶を直接観察して実測する方法によって測定することができる。ただし、ナノ結晶は、水分などにより劣化しやすいため、IIIの方法が好適に用いられる。具体的には、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により任意の複数個のナノ結晶を直接観察し、投影二次元映像よる長短径比からそれぞれの粒子径を算出し、その平均値を求める。なお、ナノ結晶の大きさや形状は、その化学組成、構造、製造方法や製造条件等に依存すると考えられる。
ナノ結晶は、ナノ結晶に対して親和性を有する化合物(いわゆる、有機リガンド)を担持していてもよい。ナノ結晶に対して親和性を有する化合物とは、ナノ結晶に対して親和性の高い官能基を有する低分子化合物または高分子化合物である。
官能基としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子およびリン原子からなる群から選択される少なくとも1つを含む基であることが好ましい。かかる官能基の具体例としては、例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基、ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、水酸基等が挙げられる。
有機リガンドの市販品としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、LP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等が挙げられる。
また、発光層7は、ホスト材料を含んでもよい。ホスト材料は、発光層7に注入された正孔と電子との再結合の場を提供し、その分子上での正孔−電子対(励起子)の形成を促進する。この励起子(エキシトン)の励起エネルギーは、ナノ結晶に移動(フェルスター共鳴エネルギー移動)し、ナノ結晶が発光する。このような現象を利用することにより、発光層7の発光効率を向上させることができる。
ホスト材料としては、ナノ結晶のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する化合物から選択して用いられる。さらに、ナノ結晶が燐光発光する場合、ホスト材料は、ナノ結晶の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい化合物を選択することが好ましい。
ホスト材料の具体例としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)、バソフェナントロリン、バソキュプロイン、2,6−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン(26DCzPPy)、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール、9,10−ジフェニルアントラセン、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、9−[4−(10−フェニル−9−アントラセニル)フェニル]−9H−カルバゾール、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール、7−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−7H−ジベンゾ[c,g]カルバゾール、6−[3−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)フェニル]−ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]フラン、9−フェニル−10−{4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ビフェニル−4’−イル}アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン、1,3,5−トリ(1−ピレニル)ベンゼン、5,12−ジフェニルテトラセンまたは5,12−ビス(ビフェニル−2−イル)テトラセン等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ナノ結晶の平均粒子径をR[nm]とし、発光層7の平均厚さをH[nm]としたとき、H/Rが1.1〜1.8程度であることが好ましく、1.2〜1.7程度であることがより好ましく、1.3〜1.6程度であることがさらに好ましい。このような平均厚さを有する発光層7では、その厚さ方向にナノ結晶が積み重ならない状態(実質的に単層の状態)で存在する。このため、発光層7に注入された電子と正孔とが再結合に要する距離を短くすることができる。その結果、発光層7の発光効率をより向上させることができる。
発光層7の平均厚さの具体的な値は、ナノ結晶の平均粒子径によっても異なり、特に限定されないが、1〜150nm程度であることが好ましく、3〜50nm程度であることがより好ましい。これにより、前記効果をより向上させることができる。
また、多層干渉を利用する形態であって、赤色、緑色または青色のうちの少なくとも1つまたは2つの色の表示を優先する形態では、発光層7の平均厚さは、1.5〜21nm程度であることが好ましく、4〜17.5nm程度であることがより好ましく、6〜13nm程度であることがさらに好ましい。また、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、発光層7の平均厚さは、22nm〜31nm程度であることが好ましく、24〜30nm程度であることがより好ましく、25〜29nm程度であることがさらに好ましい。さらに、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、発光層7の平均厚さは、31nm〜50nm程度であることが好ましく、34〜47nm程度であることがより好ましく、37〜45.5nm程度であることがさらに好ましい。
このような発光層7は、湿式成膜法により形成することができ、ナノ結晶を含有する液状組成物を、各種塗布法を用いて供給し、得られた塗膜を乾燥する。
塗布法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット印刷法(ピエゾ方式またはサーマル方式の液滴吐出法)、スピンコート法、キャスト法、LB法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルプリント印刷法等が挙げられる。
ここで、ノズルプリント印刷法とは、液状組成物をノズル孔から液柱としてストライプ状に塗布する方法である。
液状組成物は、インクジェット印刷法により好適に塗布することができる。特に、液状組成物は、ピエゾ方式のインクジェット印刷法により塗布することが好ましい。これにより、液状組成物を吐出する際の熱負荷を小さくすることができ、ナノ結晶自体に不具合が発生し難い。したがって、液状組成物の塗布に用いる好適な装置は、ピエゾ方式のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンターである。
なお、発光素子1は、さらに、例えば、正孔輸送層6および発光層7を区画する図示しないバンク(隔壁)を有していてもよい。
バンクの高さは、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であることが好ましく、0.2〜4μm程度であることがより好ましく、0.2〜3μm程度であることがさらに好ましい。
バンクの開口の幅は、10〜200μm程度であることが好ましく、30〜200μm程度であることがより好ましく、50〜100μm程度であることがさらに好ましい。
バンクの開口の長さは、10〜400μm程度であることが好ましく、20〜200μm程度であることがより好ましく、50〜200μm程度であることがさらに好ましい。
また、バンクの傾斜角度は、10〜100°程度であることが好ましく、10〜90°程度であることがより好ましく、10〜80°程度であることがさらに好ましい。
このような発光素子1では、発光効率を向上させるとともに、高輝度な光を取り出しかつ長寿命化するためには、発光層7に多量の正孔および電子を効率よく注入することは勿論のこと、本発明者らの検討によれば、以下の点が重要であることが判明し、本発明を完成するに至った。具体的には、発光層7に注入される正孔と電子とを拮抗させること、特に発光層への電子の注入確率と発光層への正孔の注入確率とを調整すること(例えば、発光層7に正孔と電子とをほぼ同じタイミングでほぼ同量で注入すること)が重要であることが判明した。
すなわち、本発明では、発光層7に注入される正孔と発光層7に注入される電子とが拮抗するように設定した。これにより、発光層7中で励起子を極めて効率よく生成させることができる。
ここで、「拮抗」とは、発光層7全体において、正孔と電子とが相対抗し、両者の効果(量、密度、力など)が同時に働いて互いに束縛し合って、正孔−電子対(励起子)を形成している状態を言い、より具体的には、発光層7全体において、正孔の量と電子の量とが準安定的または安定的に釣りあって互いに束縛し合って、正孔−電子対(励起子)を形成している状態を言う。
この場合、特に、ほぼ同じタイミングで正孔と電子とが発光層7に注入されるようにすれば、励起子が発光層7の正孔輸送層6や電子輸送層8との界面または界面付近ではなく、厚さ方向の中央部で生成されるようになる。これにより、発光に寄与するナノ結晶の数を増大させることができ、よって、発光効率をより高めるとともに、高輝度での発光が可能であり、かつ長寿命な発光素子1を得ることができる。
発光層7に注入される正孔と電子とは、正孔輸送層6中の正孔の移動度(以下、単に「正孔移動度」とも言う。)および正孔輸送層6と発光層7との間の注入障壁(以下、単に「正孔注入障壁」とも言う。)の大きさのうちの少なくとも一方を調整するとともに、電子輸送層8中の電子の移動度(以下、単に「電子移動度」とも言う。)および電子輸送層8と発光層7との間の注入障壁(以下、単に「電子注入障壁」とも言う。)の大きさのうちの少なくとも一方を調整することにより拮抗するように設定することができる。
したがって、発光層7に注入される正孔と電子とが拮抗するように設定するには、I:正孔注入障壁の大きさと電子注入障壁の大きさとを調整すること、特に、正孔移動度と電子移動度とをほぼ等しく、かつ正孔注入障壁の大きさと電子注入障壁の大きさとをほぼ等しくすること、II:電子移動度を正孔移動度より大きく、かつ電子注入障壁の大きさを正孔注入障壁の大きさより大きくすること、III:正孔移動度を電子移動度より大きく、かつ正孔注入障壁の大きさを電子注入障壁の大きさより大きくすることにより行うことができる。
一般に、電子輸送材料の電子輸送能の方が正孔輸送材料の正孔輸送能より高い傾向にあるため、II:電子移動度を正孔移動度より大きく、かつ電子注入障壁の大きさを正孔注入障壁の大きさより大きくすることにより、正孔注入確率と電子注入確率とをほぼ等しくなるように設定することが好ましい。かかる構成によれば、発光層7に注入される正孔と電子とが拮抗するように比較的容易に設定することができる。
なお、「正孔注入障壁の大きさ」とは、発光層7の正孔受容体の価電帯の最高エネルギー順位(例えば、正孔受容体がホスト材料であればホスト材料のHOMO(最高被占有分子軌道)のエネルギー準位であり、正孔受容体が発光性ナノ結晶であれば発光性ナノ結晶の価電帯の最高エネルギー順位である。)と正孔輸送層6を構成する正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位との差を指す。
一方、「電子注入障壁の大きさ」とは、発光層7の電子受容体の伝導帯の最低エネルギー順位(例えば、電子受容体がホスト材料であればホスト材料のLUMO(最低未占有分子軌道)のエネルギー準位であり、電子受容体が発光性ナノ結晶であれば発光性ナノ結晶の伝導帯の最高エネルギー順位である。)と電子輸送層8を構成する電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位との差を指す。
ここで、正孔受容体とは、発光層7において正孔輸送層6から注入される正孔を受容する物質のことを言い、電子受容体は、発光層7において電子輸送層8から注入される電子を受容する物質のことを言う。
このような発光素子1は、発光層7に注入される正孔(正孔注入確率I)と発光層7に注入される電子(電子注入確率I)との比であり、下記式で表される電荷注入比(r)が−6<r<6なる関係を満足することが好ましく、−3<r<3なる関係を満足することがより好ましく、−1<r<1なる関係を満足することがさらに好ましい。
電荷注入比rは、下記式で表される値である。
=μ・exp((EHAC−HOMOHTL)/kT)
=μ・exp((LUMOETL−EEAC)/kT)
r=Log10(I÷I
式中、μは、正孔輸送層6を構成する正孔輸送材料における正孔の移動度であり、μは、電子輸送層8を構成する電子輸送材料における電子の移動度であり、HOMOHTLは、正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、EHACは、正孔受容体の価電帯における最高エネルギー準位であり、EEACは、電子受容体の伝導帯における最低エネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。]
発光層7に注入される正孔と電子との比(電荷注入比r)を調整することで、両者が拮抗して励起子の形成を促進することができる。また、電荷注入比rが前記範囲を満足し、0(ゼロ)に近づく程、正孔注入確率と電子注入確率とがより近接した値になっていると判断することができる。したがって、電荷注入比rが前記範囲を満足するように設計された発光素子1は、高輝度な光を発するとともに、発光寿命が改善する。
また、発光層7における正孔受容体および電子受容体は、発光性ナノ結晶またはホスト材料であることが好ましい。
発光層7における正孔受容体および電子受容体のいずれもがナノ結晶である場合、正孔注入確率(正孔注入係数)Iと電子注入確率(電子注入係数)Iとの比である電荷注入比rは、下記式で表される値である。
=μ・exp((EHQD−HOMOHTL)/kT)
=μ・exp((LUMOETL−EEQD)/kT)
r=Log10(I÷I
式中、μは、正孔輸送層6を構成する正孔輸送材料における正孔の移動度であり、μは、電子輸送層8を構成する電子輸送材料における電子の移動度であり、HOMOHTLは、正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、EHQDは、発光用ナノ結晶の価電帯における最高エネルギー準位であり、EEQDは、発光用ナノ結晶の伝導帯における最低エネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。
本発明に係る発光素子1において、発光層7に注入される正孔と電子との拮抗の設定は、正孔注入障壁の大きさと電子注入障壁の大きさとを調整することにより行われることが好ましい。これにより、発光層7中において正孔と電子との結合を促進させることができる。
前述したように、発光層7がナノ結晶に加えてホスト材料を含有し、発光層7における正孔受容体および電子受容体のいずれもがホスト材料である場合、正孔注入確率(正孔注入係数)Iと電子注入確率(電子注入係数)Iとの比である電荷注入比rは、下記式で表される値である。
=μ・exp((HOMOhost−HOMOHTL)/kT)
=μ・exp((LUMOETL−LUMOhost)/kT)
r=Log10(I÷I
式中、μは、正孔輸送層6を構成する正孔輸送材料における正孔の移動度であり、μは、電子輸送層8を構成する電子輸送材料における電子の移動度であり、HOMOHTLは、正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、HOMOhostは、ホスト材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOhostは、前記ホスト材料のLUMOのエネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。
電荷注入比rが前記範囲を満足し、0(ゼロ)に近づく程、正孔注入確率と電子注入確率とがより近接した値になっていると判断することができる。したがって、電荷注入比rが前記範囲を満足するように設計された発光素子1は、高輝度な光を発するとともに、発光寿命が改善する。
この場合、正孔移動度μの具体的な値は、特に限定されないが、1×10−5cm/Vs以上であることが好ましく、1×10−4〜1×10−2cm/Vs程度であることがより好ましい。
また、正孔注入障壁の大きさ(ホスト材料のHOMOのエネルギー準位HOMOhostと正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位HOMOHTLとの差:HOMOhost−HOMOHTL)の具体的な値も、特に限定されないが、1eV以下であることが好ましく、0.4〜0.8eV程度であることがより好ましい。
一方、電子移動度μの具体的な値は、特に限定されないが、1×10−5cm/Vs以上であることが好ましく、1×10−4〜1×10−2cm/Vs程度であることがより好ましい。
また、電子注入障壁の大きさ(電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位LUMOETLとホスト材料のLUMOのエネルギー準位LUMOhostとの差:LUMOETL−LUMOhost)の具体的な値も、特に限定されないが、1eV以下であることが好ましく、0.4〜0.8eV程度であることがより好ましい。
以上のような範囲で、正孔移動度、正孔注入障壁の大きさ、電子移動度および電子注入障壁の大きさを調整することにより、発光層7に注入される正孔と電子とが拮抗するように、換言すれば正孔注入確率と電子注入確率とをほぼ等しくなるように確実に設定することができる。
なお、正孔輸送層6のHOMOのエネルギー準位が、電子輸送層8のHOMOエネルギー準位より高く、かつ正孔輸送層6のLUMOのエネルギー準位が、電子輸送層8のLUMOのエネルギー準位より高いことが好ましい。これにより、発光層7中において励起子を特に効果的に生成することができる。
また、発光素子1がトップエミッション型である場合、陽極4を光反射性を有する反射電極として構成し、発光素子1がボトムエミッション型である場合、陰極5を光反射性を有する反射電極として構成することができる。このような構成により、発光層7から発せられ、出射面と反対側に向かう光を陽極4または陰極5で反射して、出射面に向かうように光路変更することができる。このため、発光素子1から取り出される光の強度をより増大させ、より高輝度での発光を得ることができる。
この場合、陽極4または陰極5の構成材料としては、光を反射する反射率の高い材料が好適に用いられる。かかる材料としては、例えば、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等が挙げられる。また、陽極4または陰極5は、透明電極と反射電極とを組み合わせて構成するようにしてもよい。
ここで、一般に有機EL素子の発光層が発する光は、その発光スペクトルがブロードである。このため、有機EL素子では、陽極4と陰極5との間における多重干渉を利用したマイクロキャビティー効果を発現する構造(光学的微小共振器構造)を採用している。具体的には、陽極4と陰極5との離間距離や、陽極4と陰極5との間に配置された各層の屈折率を調整し、陽極4と陰極5との間で光を繰り返し反射させることにより、光路長が合致した波長の光のみを共振させて特定波長域の光を強調し、それ以外の光を減弱させる。その結果、急峻かつ高強度の発光スペクトルを有する光を、有機EL素子から外部に取り出す。
これに対して、本発明では、ナノ結晶が発する光を利用する。ナノ結晶が発する光は、そもそも急峻かつ高強度の発光スペクトルを有している。このため、発光素子1では、有機EL素子で要求される特にマイクロキャビティー効果を発揮させなくてもよい。換言すれば、発光素子1をマイクロキャビティー効果を発揮しないような構成とすることができる。
これにより、発光素子1の設計の自由度を高めることができる。また、発光層7から発せられた光が陽極4と陰極5との間で多重反射等されることを防止または抑制して、光が減衰する確率を大幅に低減することができる。その結果、発光素子1から取り出される光の強度をより増大させ、より高輝度でんお発光が得られる。
かかる観点から、ナノ結晶が発する光のピークの半値全幅をW[nm]とし、陽極4と陰極5との平均離間距離をD[nm]としたとき、D/Wが1〜10程度であることが好ましく、2〜7程度であることがより好ましい。このような関係を満たすように陽極4と陰極5との平均離間距離Dを設定すれば、発光層7が発した光の陽極4と陰極5との間での多重反射をより確実に低減または防止することができる。
また、陽極4と陰極5との平均離間距離Dは、ナノ結晶が発する光のピーク波長の0.05〜0.5倍程度であることが好ましく、0.07〜0.3倍程度であることがより好ましい。これにより、発光層7が発した光の陽極4と陰極5との間での多重反射をさらに確実に低減または防止することができる。
このようなことから、陽極4と陰極5との平均離間距離Dの具体的な値は、50〜5000nm程度であることが好ましく、100〜3000nm程度であることがより好ましく、400〜800nm程度であることがさらに好ましい。
また、下基板2と上基板3との間に位置する陽極4および陰極5を含む各層の平均屈折率および各層の平均厚さについては、発光層7および発光層7に対して観察側(光を取り出す側)と反対側に位置する各層の平均屈折率および膜厚が、下記条件式(A)を満たすことが好ましい。
上記式(A)中、nは、下基板2または上基板3(k=0)から発光層7(k=w)までの積層順における各層の平均屈折率であり、k番目の層の平均屈折率を表し、dは、下基板2または上基板3(k=0)から発光層7(k=w)までの積層順における各層の平均厚さであり、k番目の層の平均厚さを表し、mは、1以上の整数を表し、λは、発光層7で発生する光の各色のピーク波長±半値全幅の値を表す。
例えば、図1に示す発光素子1をトップエミッション型とする場合、nが陽極4の平均屈折率、dが陽極4の平均厚さ、nが正孔輸送層6の平均屈折率、dが正孔輸送層6の平均厚さ、nが発光層7の平均屈折率、dが発光層の平均厚さを表す。一方、図1に示す発光素子1をボトムエミッション型とする場合、nが陰極5の平均屈折率、dが陰極5の平均厚さ、nが電子輸送層8の平均屈折率、dが電子輸送層8の平均厚さ、nが発光層7の平均屈折率、dが発光層7の平均厚さを表す。
また、下基板2と上基板3との間に位置する陽極4および陰極5を含む各層の平均屈折率および各層の平均厚さは、下記条件式(B)を満たすことがより好ましい。
上記式(B)中、naqは、下基板2(q=0)から上基板3(q=v+1)までの積層順における各層の平均屈折率であり、q番目の層の平均屈折率を表し、daqは、下基板2(q=0)から上基板3(q=v+1)までの積層順の各層の平均厚さであり、q番目の層の平均厚さを表し、mは、1以上の整数を表し、λは、発光層7で発生する光の各色のピーク波長±半値全幅の値を表す。
例えば、図4に示す発光素子1の場合、na1が陽極4の平均屈折率、da1が陽極4の平均厚さ、na2が正孔輸送層6の平均屈折率、da2が正孔輸送層6の平均厚さ、na3が発光層7の平均屈折率、da3が発光層7の平均厚さ、na4が電子輸送層8の平均屈折率、da4が電子輸送層8の平均厚さ、na5が陰極5の平均屈折率、da5が陰極5の平均厚さを表す。これにより、陽極4と陰極5との間に位置する各層において、発光層7が発した光が散乱、吸収等されることを防止または抑制することができる。その結果、発光素子1から取り出される光の強度をさらに増大させることができる。
さらに、上基板2と下基板3との間に位置する陽極4および陰極5を含む各層の平均屈折率は、1.2〜2.3であることが好ましく、1.4〜2.2であることがより好ましい。低屈折率の層を形成する場合、当該層の平均屈折率が1.2〜1.5であることが好ましく、高屈折率の層を形成する場合、当該層の平均屈折率が1.6〜2.3であることが好ましい。
なお、図4に示す発光素子1が上記条件式(A)を満たす場合、赤色発光領域7R、緑色発光領域7Gおよび青色発光領域7B(必要により黄色発光領域7Y)に対応する部分における各層の平均厚さが異なる。このため、かかる発光素子1では、各発光領域に対応する部分同士の境界部に段差が生じる構成でもよい。
また、陽極4と陰極5を含む各層とは、上基板2と下基板3との間に形成される全ての層を言い、例えば、陽極、正孔輸送層、正孔注入層、発光層、電子注入層、電子輸送層、陰極等が挙げられる。
<発光素子の製造方法>
発光素子の製造方法は、液状組成物を支持体上に供給して塗膜を形成し、塗膜を乾燥することにより発光層7を形成する工程(以下、「発光層形成工程」とも称する。)を有している。液状組成物は、ナノ結晶を分散媒に分散させることにより調製される。
分散媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような芳香族炭化水素化合物、酢酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチルのような芳香族エステル化合物、ジメトキシベンゼン、メトキシトルエン、エチルフェニルエーテルのような芳香族エーテル化合物、アセトフェノン、プロピオフェノン、4’−メチルアセトフェノンのような芳香族ケトン化合物、ペンタン、ヘキサン、オクタンのような脂肪族炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチルのような脂肪族エステル化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセテートのような脂肪族エーテル化合物、ジイソブチルケトン、シクロヘプタノン、イソホロンのような脂肪族ケトン化合物、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール化合物、N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンのようなアミド化合物、水、ジメチルスルホキシド、アセトンのような他の化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
液状組成物中に含まれるナノ結晶の量は、50質量%以下であることが好ましく、0.01〜30質量%程度であることがより好ましく、0.1〜10質量%程度であることがさらに好ましい。液状組成物中に含まれるナノ結晶の量を前記範囲に設定することにより、液状組成物を液滴吐出法により吐出する場合には、その吐出安定性をより向上させることができる。また、ナノ結晶同士が凝集し難くなり、発光層7の発光効率を高めることもできる。
なお、支持体は、図1に示す構成では、正孔輸送層6または電子輸送層8であるが、製造目的の発光素子1の層構成によって異なる。
例えば、陽極4、正孔輸送層6、発光層7および陰極5で構成される発光素子1を製造する場合には、支持体は、正孔輸送層6または陰極5である。また、陽極4、発光層7、電子輸送層8および陰極5で構成される発光素子1を製造する場合には、支持体は、陽極4または電子輸送層8である。
このように、支持体としては、陽極4、正孔輸送層6、電子輸送層8または陰極5であり得る。なお、支持体は、好ましくは陽極4または正孔輸送層6であり、より好ましくは正孔輸送層6である。
なお、支持体には、前述したようなバンクを形成してもよい。バンクを形成することにより、支持体上の所望の箇所にのみ発光層7を形成することができる。
例えば、液滴吐出法では、液状組成物を液滴吐出ヘッドのノズル孔から間欠的に支持体上に所定のパターンで吐出する。液滴吐出法によれば、高い自由度で描画パターニングを行うことができる。中でも、ピエゾ方式の液滴吐出法によれば、分散媒の選択性を高めることができるとともに、液状組成物に対する熱負荷を低減することができる。
この際、液状組成物の吐出量は、特に限定されないが、1〜50pL/回であることが好ましく、1〜30pL/回であることがより好ましく、1〜20pL/回であることがさらに好ましい。
また、ノズル孔の開口径は、5〜50μm程度であることが好ましく、10〜30μm程度であることがより好ましい。これにより、ノズル孔の目詰まりを防止しつつ、吐出精度を高めることができる。
塗膜を形成する際の温度は、特に限定されないが、10〜50℃程度であることが好ましく、15〜40℃程度であることがより好ましく、15〜30℃程度であることがさらに好ましい。かかる温度で液滴を吐出するようにすれば、液状組成物中に含まれる各種成分(ナノ結晶、有機リガンド、ホスト材料等)の結晶化を抑制することができる。
また、塗膜を形成する際の相対湿度も、特に限定されないが、0.01ppm〜80%程度であることが好ましく、0.05ppm〜60%程度であることがより好ましく、0.1ppm〜15%程度であることがさらに好ましく、1ppm〜1%程度であることが特に好ましく、5〜100ppm程度であることが最も好ましい。
相対湿度が前記下限値以上であると、塗膜を形成する際の条件の制御が容易となることから好ましい。一方、相対湿度が前記上限値以下であると、得られる発光層7に悪影響を及ぼし得る塗膜に吸着する水分量を低減することができることから好ましい。
得られた塗膜を乾燥することにより、発光層7が得られる
乾燥は、室温(25℃)で放置して行っても、加熱することにより行ってもよい。乾燥を加熱により行う場合、乾燥温度は、特に限定されないが、40〜150℃程度であることが好ましく、40〜120℃程度であることがより好ましい。
また、乾燥は、減圧下で行うことが好ましく、0.001〜100Paの減圧下で行うことがより好ましい。
さらに、乾燥時間は、1〜90分であることが好ましく、1〜30分であることがより好ましい。
<第2実施形態>
次に、本発明の発光素子の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態の発光素子について説明するが、前記第1実施形態の発光素子との相違点を中心に説明し、同様の事項は、その説明を省略する。
図2は、本発明の発光素子の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、第2実施形態の発光素子1は、さらに正孔注入層9および電子注入層10を有し、それ以外は、第1実施形態の発光素子1と同様である。
正孔注入層9は、陽極4と正孔輸送層6との間に設けられ、電子注入層10は、陰極5と電子輸送層8との間に設けられている。
[正孔注入層9]
正孔注入層9は、陽極4から供給された正孔を受け取り、正孔輸送層6に注入する機能を有する。
なお、正孔注入層9は、必要に応じて設けるようにすればよく、省略することもできる。
正孔注入層9の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンのようなフタロシアニン化合物;4,4’,4’’−トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミンのようなトリフェニルアミン誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタンのようなシアノ化合物;ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)のようなキノキサリン誘導体;酸化バナジウム、酸化モリブデンのような金属酸化物;アモルファスカーボン;ポリアニリン(エメラルディン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)、ポリピロールのような高分子等が挙げられる。
これらの中でも、正孔注入材料としては、高分子であることが好ましく、PEDOT−PSSであることがより好ましい。また、低分子の正孔注入材料としては、ジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルが好ましい。
また、上述の正孔注入材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正孔注入層9の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜500nm程度であることが好ましく、1〜300nm程度であることがより好ましく、2〜200nm程度であることがさらに好ましい。
また、正孔注入層9は、単層構成であっても、2層以上が積層された積層構成であってもよい。
また、多層干渉を利用する形態であって、赤色、緑色または青色のうちの少なくとも1つまたは2つの色の表示を優先する形態では、正孔注入層9の平均厚さは、1〜150nm程度であることが好ましく、10〜100nm程度であることがより好ましく、21〜95nm程度であることがさらに好ましい。また、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、正孔注入層9の平均厚さは、153nm〜310nm程度であることが好ましく、181〜265nm程度であることがより好ましく、192〜235nm程度であることがさらに好ましい。さらに、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、正孔注入層9の平均厚さは、315nm〜500nm程度であることが好ましく、348〜473nm程度であることがより好ましく、361〜451nm程度であることがさらに好ましい。
このような正孔注入層9は、湿式成膜法または乾式成膜法により形成することができる。
正孔注入層9を湿式成膜法で形成する場合には、通常、上述の正孔注入材料を含有する液状組成物を各種塗布法により塗布し、得られた塗膜を乾燥する。塗布法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法、キャスト法、LB法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルプリント印刷法等が挙げられる。
一方、正孔注入層9を乾式成膜法で形成する場合には、真空蒸着法、スパッタリング法等を好適に用いることができる。
[電子注入層10]
電子注入層10は、陰極5から供給された電子を受け取り、電子輸送層8に注入する機能を有する。
なお、電子注入層10は、必要に応じて設けるようにすればよく、省略することもできる。
電子注入層10の構成材料(電子注入材料)としては、特に制限されないが、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaOのようなアルカリ金属カルコゲナイド;CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSeのようなアルカリ土類金属カルコゲナイド;CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaClのようなアルカリ金属ハライド;8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)のようなアルカリ金属塩;CaF、BaF、SrF、MgF、BeFのようなアルカリ土類金属ハライド等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属ハライド、アルカリ金属塩であることが好ましい。
また、上述の電子注入材料は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子注入層10の平均厚さは、特に限定されないが、1〜500nm程度であることが好ましく、5〜300nm程度であることがより好ましく、10〜200nm程度であることがさらに好ましい。
また、電子注入層10は、単層構成であっても、2層以上が積層された積層構成であってもよい。
また、多層干渉を利用する形態であって、赤色、緑色または青色のうちの少なくとも1つまたは2つの色の表示を優先する形態では、電子注入層10の平均厚さは、1.5〜151nm程度であることが好ましく、8〜130nm程度であることがより好ましく、14〜94nm程度であることがさらに好ましい。また、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、電子注入層10の平均厚さは、152nm〜310nm程度であることが好ましく、182〜267nm程度であることがより好ましく、192〜236nm程度であることがさらに好ましい。さらに、上記とは異なる色の表示を優先する形態では、電子注入層10の平均厚さは、311nm〜500nm程度であることが好ましく、338〜463nm程度であることがより好ましく、341〜433nm程度であることがさらに好ましい。
このような電子注入層10は、湿式成膜法または乾式成膜法により形成することができる。
電子注入層10を湿式成膜法で形成する場合には、通常、上述の電子注入材料を含有する液状組成物を各種塗布法により塗布し、得られた塗膜を乾燥する。塗布法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法、キャスト法、LB法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルプリント印刷法等が挙げられる。
一方、電子注入層10を乾式成膜法で形成する場合には、真空蒸着法、スパッタリング法等を好適に用いることができる。
このような第2実施形態の発光素子1においても、前記第1実施形態の発光素子1と同様の作用・効果が発揮される。
特に、第2実施形態の発光素子1では、正孔注入層9および電子注入層10を設けることにより、正孔輸送層6および電子輸送層8を介した発光層7への正孔および電子の注入効率を高めることができる。その結果、発光層7の発光効率をより向上させ、高輝度での発光が可能であり、かつ長寿命な発光素子1が得られる。
<第3実施形態>
次に、本発明の発光素子の第3実施形態について説明する。
以下、第3実施形態の発光素子について説明するが、前記第1および第2実施形態の発光素子との相違点を中心に説明し、同様の事項は、その説明を省略する。
図3は、本発明の発光素子の第3実施形態を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、第3実施形態の発光素子1は、さらに正孔ブロック層11を有し、それ以外は、前記第1実施形態の発光素子1と同様である。
正孔ブロック層11は、発光層7と電子輸送層8との間に設けられている。
正孔ブロック層11は、正孔輸送層6から注入された正孔が発光層7を通過し、電子輸送層8へ移動することを規制する機能を有する。正孔ブロック層11を設けることにより、発光層7中で電子と再結合できなかった正孔を電子輸送層8へ逃すことなく、発光層7中に留めることができる。発光層7中に留まる正孔は、再度電子との再結合の機会を得ることができる。このため、正孔が無駄にならず、よって、発光層7の発光効率をより向上させることができる。
正孔ブロック層11の構成材料(正孔ブロック材料)としては、上記電子輸送材料を好適に使用することができる。これらの化合物は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
正孔ブロック層11の平均厚さは、特に限定されないが、1〜500nm程度であることが好ましく、5〜300nm程度であることがより好ましく、10〜200nm程度であることがさらに好ましい。
また、正孔ブロック層11は、単層構成であっても、2層以上が積層された積層構成であってもよい。
このような正孔ブロック層11は、湿式成膜法または乾式成膜法により形成することができる。
正孔ブロック層11を湿式成膜法で形成する場合には、通常、上述の正孔ブロック材料を含有する液状組成物を各種塗布法により塗布し、得られた塗膜を乾燥する。塗布法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット法(液滴吐出法)、スピンコート法、キャスト法、LB法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ノズルプリント印刷法等が挙げられる。
一方、正孔ブロック層11を乾式成膜法で形成する場合には、真空蒸着法、スパッタリング法等を好適に用いることができる。
このような第3実施形態の発光素子1においても、前記第1実施形態の発光素子1と同様の作用・効果が発揮される。
特に、第3実施形態の発光素子1では、正孔ブロック層11を設けることにより、正孔を発光層7中に留め、発光層7の発光効率のさらなる向上を図ることができる。その結果、より高輝度での発光が可能な発光素子1が得られる
<第4実施形態>
次に、本発明の発光素子の第4実施形態について説明する。
以下、第4実施形態の発光素子について説明するが、前記第1〜第3実施形態の発光素子との相違点を中心に説明し、同様の事項は、その説明を省略する。
図4は、本発明の発光素子の第4実施形態を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、第4実施形態の発光素子1は、発光層7が赤色の光(605〜665nm程度)を発する赤色発光領域7Rと、緑色の光(500〜560nm程度)を発する緑色発光領域7Gと、青色の光(420〜480nm程度)を発する青色発光領域7Bと、黄色の光(570〜590nm程度)を発する黄色発光領域7Yとを備え、それ以外は、前記第1実施形態の発光素子1と同様である。
赤色発光領域7Rは、赤色発光性のナノ結晶を含有し、緑色発光領域7Gは、緑色発光性のナノ結晶を含有し、青色発光領域7Bは、青色発光性のナノ結晶を含有し、黄色発光領域7Yは、黄色発光性のナノ結晶を含有する。
このような構成により、発光素子1は、フルカラー表示が可能となっている。特に、黄色発光領域7Yを設けることにより、青色発光領域7Bが発する青色光の強度が小さい場合でも、補色の関係にある黄色発光領域7Yが発する黄色光が青色光を引き立て(補色調和し)、青色発光領域7Bを視認し易くすることができる。また、発光素子1の発光色の色域を増大させることができ、発光素子1を画像表示装置に適用すれば、より鮮明な画像を表示することができる。
また、青色発光領域7Bの視認性を高める観点からは、I:発光素子1の平面視において、青色発光領域7Bの面積を他の発光領域(特に、赤色発光領域7R、緑色発光領域7G)の面積より大きくするか、II:青色発光領域7B中に含まれるナノ結晶の量を他の発光領域(特に、赤色発光領域7R、緑色発光領域7G)中に含まれるナノ結晶の量より多くすることが好ましい。これらの場合、黄色発光領域7Yを省略するようにしてもよい。
なお、Iの場合、青色発光領域7Bの面積は、他の発光領域の面積の1.1〜2倍程度であることが好ましく、1.3〜1.7倍程度であることがより好ましい。IIの場合、青色発光領域7B中に含まれるナノ結晶の量は。他の発光領域中に含まれるナノ結晶の量の1.1〜3倍程度であることが好ましく、1.5〜2.5倍程度であることがより好ましい。
このような第4実施形態の発光素子1においても、前記第1実施形態の発光素子1と同様の作用・効果が発揮される。
特に、第4実施形態の発光素子1では、発光層7が複数色の発光領域を備えることにより、フルカラー表示が可能である。
また、本実施形態では、発光領域7R、7G、7Bおよび7Y同士の間での混色を防止するために、前述したバンクをブラックマトリックスとして構成してもよい。
さらに、発光領域7R、7G、7Bおよび7Yのうちの1つまたは2つの発光領域を省略するようにしてもよい。
<画像表示装置>
次に、本発明の画像表示装置について説明する。
図5は、本発明の画像表示装置の実施形態を示す概略図、図6および図7は、それぞれトランジスタ層の回路構成を示す概略図である。
図5に示す画像表示装置は、黄色発光領域7Yが省略された第4実施形態の発光素子1と、トランジスタ層700とを有している。発光素子1がトップエミッション型である場合、トランジスタ層700は、図5に示すように、下基板2と陽極4との間に配置される。
図6に示すように、トランジスタ層700は、R、G、Bで示される画素電極を構成する陽極4への電流の供給を制御する信号線駆動回路および走査線駆動回路と、これらの回路の作動を制御する制御回路と、信号線駆動回路に接続された複数の信号線706と、走査線駆動回路に接続された複数の走査線707とを備えている。
また、各信号線706と各走査線707との交差部近傍には、図7に示すように、コンデンサ701と、駆動トランジスタ702と、スイッチングトランジスタ708とが設けられている。
コンデンサ701は、一方の電極が駆動トランジスタ702のゲート電極に接続され、他方の電極が駆動トランジスタ702のソース電極に接続されている。
駆動トランジスタ702は、ゲート電極がコンデンサ701の一方の電極に接続され、ソース電極がコンデンサ701の他方の電極および駆動電流を供給する電源線703に接続され、ドレイン電極が発光素子1の陽極4に接続されている。
スイッチングトランジスタ708は、ゲート電極が走査線707に接続され、ソース電極が信号線706に接続され、ドレイン電極が駆動トランジスタ702のゲート電極に接続されている。
また、本実施形態において、共通電極705は、発光素子1の陰極5を構成している。
なお、駆動トランジスタ702およびスイッチングトランジスタ708は、例えば、薄膜トランジスタ等で構成することができる。
走査線駆動回路は、走査線707を介して、スイッチングトランジスタ708のゲート電極に走査信号に応じた走査電圧を供給または遮断し、スイッチングトランジスタ708のオンまたはオフする。これにより、走査線駆動回路は、信号線駆動回路が信号電圧を書き込むタイミングを調整する
一方、信号線駆動回路は、信号線706およびスイッチングトランジスタ708を介して、駆動トランジスタ702のゲート電極に映像信号に応じた信号電圧を供給または遮断し、発光素子1に供給する信号電流の量を調整する。
したがって、走査線駆動回路から走査電圧がスイッチングトランジスタ708のゲート電極に供給され、スイッチングトランジスタ708がオンすると、信号線駆動回路から信号電圧がスイッチングトランジスタ708のゲート電極に供給される。
このとき、この信号電圧に対応したドレイン電流が電源線703から信号電流として発光素子1に供給される。その結果、発光素子1は、供給される信号電流に応じて発光する。
なお、画像表示装置100は、ボトムエミッション型とすることもでき、この場合、トランジスタ層は、例えば、上基板3と陰極5との間に配置される。また、この場合、陰極5が画素電極R,G、Bを構成し、陽極4が共通電極705を構成する。
また、トランジスタ層700は、陽極4および陰極5のうちの一方の電極のみと電気的に接続されてもよし、双方の電極と電気的に接続されてもよい。
以上、本発明の発光素子および画像表示装置について説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、本発明の発光素子および画像表示装置は、それぞれ、前述した実施形態に構成において、他の任意の構成を追加して有していてもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
また、本発明では、各層の積層順を反転させてもよい。例えば、図1に示す発光素子1において、下基板2上に、順次、陰極5、電子輸送層8、発光層7、正孔輸送層6および陽極4を積層してもよい。
さらに、本発明では、前記第1〜第4実施形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.ホスト材料、正孔輸送材料および電子輸送材料
実施例で使用した材料の構造を以下に示す。
<ホスト材料>
<正孔輸送材料>
<電子輸送材料>
また、各材料のHOMOのエネルギー準位、LUMOのエネルギー準位、および各材料における電荷移動度を、以下の表1に示す。
2.発光素子の製造
(発光素子1)
まず、陽極として平均厚さ150nmのITO膜が形成されたガラス基板を用意した。このガラス基板をチャンバー内に収容し、ITO膜上に、真空蒸着法を用いて1×10−4Paの減圧下に、下記式で示されるジピラジノ[2,3−f:2’,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)を成膜した。これにより、平均厚さ30nmの正孔注入層(HIL)を形成した。
次に、この正孔注入層上に、真空蒸着法を用いて1×10−4Paの減圧下に、上記NPBを成膜した。これにより、平均厚さ30nm正孔輸送層(HTL)を形成した。その後、真空チャンバー内を大気圧に戻し、得られた積層体をチャンバーから取り出した。
次に、乾燥窒素置換されたグローブボックス中で、平均粒子径7.6nmのCdSe/ZnSコア・シェル型のナノ結晶をヘキサン中に分散させた分散液をスピンコートし、真空乾燥させて成膜した。これにより、平均厚さ10nmの発光層を形成した。なお、発光層の厚さは、透過型電子顕微鏡を用いて積層体の断面を観察することにより行った。また、ナノ結晶の発光ピークの波長は、580nm、発光ピークの半値全幅は、30nmであった。
その後、積層体を、再度、チャンバー内に収容し、発光層上に、真空蒸着法を用いて1×10−4Paの減圧下に、上記BCPを成膜した。これにより、平均厚さ35nmの電子輸送層(ETL)を形成した。次いで、同条件で、下記式で示される8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)とアルミニウム(Al)とを順次成膜した。これにより、平均厚さ0.5nmの電子注入層(EIL)と、平均厚さ80nmの陰極とを形成した。
その後、チャンバー内を大気圧に戻し、得られた積層体をチャンバーから取り出し、発光素子を得た。
(発光素子2)
前記発光素子1と同様のナノ結晶と上記26DCzPPy(ホスト材料)とを、質量比1:4でヘキサン中に分散させた分散液に変更したこと以外は、前記発光素子1と同様にして、発光層を形成し、発光素子を製造した。なお、透過型電子顕微鏡を用いて積層体の断面を観察すると、発光層の平均厚さは、15nmであった。
(発光素子3〜6)
正孔輸送材料と電子輸送材料とを、以下の表2に示すように変更したこと以外は、前記発光素子1と同様にして、発光素子を製造した。
3.発光素子の評価
3−1.発光の確認
得られた各発光素子に、直流電圧を印加して100cd/mの輝度で発光させた。その結果、全ての発光素子において、約580nmの波長にピークを有する光が確認された。
3−2.発光寿命の測定および評価
得られた各発光素子について、初期輝度100cd/mが50%になるまでの時間を計測した。なお、発光素子1の発光寿命を100%とし、他の発光素子の発光寿命の相対値を求め、以下の基準に従って評価した。
◎:5%以上の上昇
○:5%未満の上昇
△:同等
×:5%以上の低下
この評価結果を表3に示す。
発光素子1と発光素子2との比較により、ホスト材料を用いても用いなくても、ほぼ同等の発光寿命であることが確認できた。
発光素子3の発光寿命は、発光素子2の発光寿命に対して大幅に改善された。
発光素子4の発光寿命は、発光素子2の発光寿命に対して改善が見られた。
発光素子5の発光寿命は、発光素子4の発光寿命と同等であった。
発光素子6の発光寿命は、発光素子3の発光寿命に対して大幅に短くなった。
以上のように、正孔輸送層と発光層との間における軌道準位のエネルギーギャップ(注入障壁の大きさ)および電子輸送層と発光層との間における軌道準位のエネルギーギャップ(注入障壁の大きさ)を小さくし、かつ正孔輸送層中の正孔の移動度と電子輸送層中の電子の移動度との差をより小さくすることにより、高輝度での発光が可能であり、かつ長寿命な発光素子を製造することができた。
1 発光素子
2 下基板
3 上基板
4 陽極
5 陰極
6 正孔輸送層
7 発光層
7R 赤色発光領域
7G 緑色発光領域
7B 青色発光領域
7Y 黄色発光領域
8 電子輸送層
9 正孔注入層
10 電子注入層
11 正孔ブロック層
12 反射層
700 トランジスタ層
701 コンデンサ
702 駆動トランジスタ
705 共通電極
706 信号線
707 走査線
708 スイッチングトランジスタ

Claims (14)

  1. 陽極と、
    該陽極と対向して配置された陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられ、発光性を有する発光性ナノ結晶を含む発光層と、
    該発光層と前記陽極との間に設けられた正孔輸送層と、
    前記発光層と前記陰極との間に設けられた電子輸送層とを有し、
    前記発光層に注入される正孔と前記発光層に注入される電子とが拮抗するように設定されていることを特徴とする発光素子。
  2. 前記正孔輸送層中の前記正孔の移動度および前記正孔輸送層と前記発光層との間の注入障壁の大きさのうちの少なくとも一方を調整するとともに、前記電子輸送層中の前記電子の移動度および前記電子輸送層と前記発光層との間の注入障壁の大きさのうちの少なくとも一方を調整することにより、前記発光層に注入される前記正孔と前記電子とが拮抗するように設定されている請求項1に記載の発光素子。
  3. 当該発光素子は、前記発光層に注入される前記正孔(I)と前記発光層に注入される前記電子(I)との比であり、下記式で表される電荷注入比(r)が−6<r<6なる関係を満足する請求項1または2に記載の発光素子。
    =μ・exp((EHAC−HOMOHTL)/kT)
    =μ・exp((LUMOETL−EEAC)/kT)
    r=Log10(I÷I
    [式中、μは、前記正孔輸送層を構成する正孔輸送材料における前記正孔の移動度であり、μは、前記電子輸送層を構成する電子輸送材料における前記電子の移動度であり、HOMOHTLは、前記正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、前記電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、EHACは、正孔受容体の価電帯における最高エネルギー準位であり、EEACは、電子受容体の伝導帯における最低エネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。]
  4. 前記発光層は、さらに、ホスト材料を含む請求項1ないし3のいずれかに記載の発光素子。
  5. 当該発光素子は、前記発光層に注入される前記正孔(I)と前記発光層に注入される前記電子(I)との比であり、下記式で表される電荷注入比(r)が−6<r<6なる関係を満足する請求項4に記載の発光素子。
    =μ・exp((HOMOhost−HOMOHTL)/kT)
    =μ・exp((LUMOETL−LUMOhost)/kT)
    r=Log10(I÷I
    [式中、μは、前記正孔輸送層を構成する正孔輸送材料における前記正孔の移動度であり、μは、前記電子輸送層を構成する電子輸送材料における前記電子の移動度であり、HOMOHTLは、前記正孔輸送材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOETLは、前記電子輸送材料のLUMOのエネルギー準位であり、HOMOhostは、前記ホスト材料のHOMOのエネルギー準位であり、LUMOhostは、前記ホスト材料のLUMOのエネルギー準位である。また、kは、ボルツマン定数(8.617×10−5eV/K)であり、Tは、温度298Kである。]
  6. 前記発光性ナノ結晶の平均粒子径をR[nm]とし、前記発光層の平均厚さをH[nm]としたとき、H/Rが1.1〜1.8である請求項1ないし5のいずれかに記載の発光素子。
  7. 前記電子輸送層は、無機半導体材料で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の発光素子。
  8. さらに、前記発光層と前記電子輸送層との間に設けられ、前記正孔の前記発光層から前記電子輸送層への移動を規制する正孔ブロック層を有する請求項1ないし7のいずれかに記載の発光素子。
  9. 前記陽極または前記陰極は、光反射性を有する請求項1ないし8のいずれかに記載の発光素子。
  10. 前記発光層は、赤色の光を発する赤色発光領域と、緑色の光を発する緑色発光領域と、青色の光を発する青色発光領域とを備える請求項1ないし9のいずれかに記載の発光素子。
  11. 前記発光層は、さらに、黄色の光を発する黄色発光領域を備える請求項10に記載の発光素子。
  12. 当該発光素子の平面視において、前記青色発光領域の面積は、他の前記発光領域の面積より大きい請求項10または11に記載の発光素子。
  13. 前記青色発光領域中に含まれる前記発光性ナノ結晶の量は、他の前記発光領域中に含まれる前記発光性ナノ結晶の量より多い請求項10ないし12のいずれかに記載の発光素子。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の発光素子と、
    前記陽極および前記陰極のうちの少なくとも一方の電極と電気的に接続されたトランジスタ層とを備えることを特徴とする画像表示装置。
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