以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、撮像用の可動体(光学モジュール)の手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向とし、光軸L(レンズ光軸/光学素子の光軸)に沿う方向をZ軸方向とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸方向の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸方向の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸方
向の一方側(被写体側/光軸方向前側)には+Zを付し、他方側(被写体側とは反対側/光軸方向後側)には−Zを付して説明する。
(撮影用の光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ2000(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、Z軸方向に沿って光軸Lが延在する可動体10を備えた可動体10を固定体20内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(振れ検出センサ)によって手振れを検出した結果に基づいて、可動体10を揺動させる駆動機構(図1では図示せず)が設けられている。光学ユニット100には、可動体10や駆動機構への給電等行うためのフレキシブル配線基板1800、1900が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板1800、1900は、光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。可動体10において、可動体10は、光学素子として、Z軸方向に沿って光軸Lが延在するレンズ1aを備えている。本形態において、光軸Lの方向からみたとき、レンズ1aは円形であるが、可動体10は角形である。
(光学ユニット100の概略構成)
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側(Z軸方向の一方側+Z)からみた説明図であり、図2(a)、(b)は、光学ユニット100を被写体側からみたときの斜視図、および光学ユニット100の分解斜視図である。図3は、本発明を適用した光学ユニット100のYZ断面図である。
図2および図3において、本形態の光学ユニット100は、固定体20と、可動体10(光学モジュール)と、可動体10が固定体20に対して揺動可能に支持された状態とするジンバル機構30等からなる支持機構と、可動体10と固定体20との間で可動体10を固定体20に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる駆動機構50とを有している。また、固定体20と可動体10とは板状バネ70によって接続されている。かかる光学ユニット100において、可動体10は、図2に示すように、固定体20に対してジンバル機構30を介して光軸L方向と交差する第1軸線R1周りに揺動可能に支持されているとともに、光軸L方向および第1軸線R1方向に交差する第2軸線R2周りに揺動可能に支持されている。本形態において、第1軸線R1および第2軸線R2は、光軸L方向に直交している。また、固定体20は、光軸L方向からみたとき、正方形である。従って、第1軸線R1と第2軸線R2とは直交している。
(固定体20の構成)
図2および図3に示すように、固定体20は角形の第1ケース210を備えている。第1ケース210は、可動体10の周りを囲む角筒状の胴部211と、胴部211のZ軸方向の一方側+Zの端部から径方向内側に張り出した矩形枠状の端板部212とを備えており、端板部212には矩形の窓212aが形成されている。また、固定体20は、第1ケース210のZ軸方向の一方側+Zに固定されたカバー220と、カバー220のZ軸方向の他方側−Zに固定されたシート状のクッション部材230とを有している。クッション部材230は、矩形枠状に形成されており、カバー220の外周縁に沿うように配置されている。クッション部材230は、ゴムや弾性樹脂等からなる。
カバー220は、第1ケース210の端板部212に重なる板状部材であり、中央に円形の開口部221が形成されている。本形態において、カバー220のZ軸方向の一方側+Zの面は、光軸L方向と直交するカバー側基準面228として利用される。
カバー220は、第1ケース210の端板部212に重なった状態で第1ケース210に固定されている。クッション部材230は、第1ケース210の端板部212と重ならない状態でカバー220に粘着テープなどで固定されている。また、固定体20は、矩形枠状のストッパ部材240と、ストッパ部材240を第1ケース210の胴部211との間に挟んだ状態で第1ケース210に溶接等により固定された第2ケース250と、第2ケース250のZ軸方向の他方側−Zに重なった状態で第2ケース250に固定された底板260とを有している。第2ケース250は、矩形の底板部251と、底板部251からZ軸方向の一方側+Zに延在する角筒状の胴部255とを有しており、底板部251には開口部252が形成されている。ストッパ部材240において、内周側に位置する部分は、可動体10のホルダ40に対してZ軸方向の他方側−Zで重なる。また、ストッパ部材240において各辺の外周縁には外側に向けて張り出した張り出し部241が形成されている。このため、第2ケース250に第1ケース210をZ軸方向で重ねた際、ストッパ部材240の張り出し部241は、第1ケース210の胴部211と第2ケース250の胴部255との間に保持される。
(駆動機構50の構成)
図4は、本発明を適用した光学ユニット100の駆動機構50の説明図であり、図4(a)、(b)は、駆動機構50の分解斜視図、および駆動機構50をさらに細かく分解した分解斜視図である。
図2、図3および図4に示すように、可動体10は、レンズ1a等を保持するレンズホルダ11(図3参照)と、レンズホルダ11を内側に保持するホルダ40と、ホルダ40のZ軸方向の一方側+Zに固定された円筒状のウエイト12とを有している。ウエイト12は、可動体10のZ軸方向における重心位置を調整する。ここで、レンズホルダ11は、レンズ1a等を直接、保持することがあるとともに、レンズ1aとともにフォカーシング駆動機構等を保持することもある。ウエイト12は非磁性の金属製であり、例えば、真鍮からなる。このため、ウエイト12と磁石52との間には磁気的な吸引力が発生しない。なお、光軸L方向の前側から光を可動体10に取り込む際、ウエイト12で反射した光が可動体10に進入すると、かかる光は迷光となって画像の品位を低下させる。従って、本形態では、少なくとも、ウエイト12のZ軸方向の一方側+Zの縁等には、黒色の塗装等の反射防止処理が施されている。
本形態では、ホルダ40と第1ケース210との間に駆動機構50が構成されている。より具体的には、駆動機構50は、板状の磁石52とコイル56とを利用した磁気駆動機構である。コイル56は、空芯コイルであり、可動体10(ホルダ40)のX軸方向の一方側+X、X軸方向の他方側−X、Y軸方向の一方側+Y、およびY軸方向の他方側−Yに保持されている。また、磁石52は、第1ケース210の胴部211において、X軸方向の一方側+Xに位置する側板部216の内面、X軸方向の他方側−Xに位置する側板部217の内面、Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部218の内面、およびY軸方向の他方側−Yに位置する側板部219の内面に保持されている。従って、ホルダ40と第1ケース210の胴部211との間では、X軸方向の一方側+X、X軸方向の他方側−X、Y軸方向の一方側+Y、およびY軸方向の他方側−Yのいずれにおいても、磁石52とコイル56とが対向している。
本形態において、磁石52は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、磁石52は、光軸L方向の中央で2つに分割されており、コイル56と対向する面側に
おいて光軸L方向で隣り合う部分がS極とN極とになっている。また、コイル56は、磁石52の分極線520に平行に延在してS極に対向する第1有効辺561と、分極線520に平行に延在してN極に対向する第2有効辺562とを備えている。本形態では、可動体10の揺動許容範囲が、後述するストッパ9b(図3参照)により規制されており、揺動許容範囲内では、第1有効辺561がS極に常に対向し、第2有効辺562がN極に常に対向している。なお、4つの磁石52は、外面側および内面側に対する着磁パターンが同一である。このため、周方向で隣り合う磁石52同士が吸着し合うことがないので、組み立て等が容易である。第1ケース210は磁性材料から構成されており、磁石52に対するヨークとして機能する。
(可動体10の構成)
図5は、本発明を適用した光学ユニット100の可動体10を分解した様子を被写体側(Z軸方向の一方側+Z)からみた分解斜視図である。
図3および図5に示すように、可動体10において、ホルダ40の内側には、撮像素子1bが配置されており、撮像素子1bは、信号出力用のフレキシブル配線基板1800の第1実装部1810に直接または実装基板を介して実装されている。フレキシブル配線基板1800は、第1実装部1810のY軸方向の他方側−Yの端部で光軸L方向の後側(Z軸方向の他方側−Z)に向けて湾曲する湾曲部1820と、湾曲部1820にY軸方向の他方側−Yで繋がる矩形の第2実装部1830と、第2実装部1830から外部に引き回された引き回し部1840とを有している。フレキシブル配線基板1800において、第1実装部1810と第2実装部1830との間には補強板15が挟まれている。第2実装部1830のZ軸方向の他方側−Zに向く面には、ジャイロスコープ13やキャパシタ等の電子部品14が実装されている。
本形態において、引き回し部1840は、Y軸方向に延在するスリット1850によってX軸方向で分割されている。引き回し部1840は、Y軸方向の一方側+Yから他方側−Yまで延在する第1延在部1862と、第1延在部1862の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の他方側−Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1863と、第1湾曲部1863からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1864とを有している。また、引き回し部1840は、可動体10からの引き出し部と第1延在部1862との間に光軸方向後側(Z軸方向の他方側−Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1866を備えており、第1延在部1862は、第2湾曲部1866から光軸L方向に直交する状態で延在している。第2延在部1864は、途中から第2ケース250の底板部251の開口部252を通って外部に引き出されており、両面テープ等の可撓性のシート19(図2参照)によって底板部251に固定されている。第2延在部1864のうち、第2ケース250の底板部251の開口部252から外部に引き出された部分は、底板260によって覆われている。
可動体10において、可動体10のZ軸方向の他方側−Zの端部には、コイル56に対する給電用のフレキシブル配線基板1900が接続されている。フレキシブル配線基板1900は、ホルダ40のZ軸方向の他方側−Zで、ホルダ40の外縁に沿って延在する矩形枠部分1910と、矩形枠部分1910から延在する帯状の引き回し部1940とを有しており、矩形枠部分1910には4つのコイル56が接続されている。引き回し部1940は、Y軸方向の一方側+Yから他方側−Yまで延在する第1延在部1962と、第1延在部1962の先端側で光軸方向後側(Z軸方向の他方側−Z)に向けて湾曲する第1湾曲部1963と、第1湾曲部1963からY軸方向の一方側+Yに向けて延在する第2延在部1964とを有している。また、引き回し部1940は、可動体10からの引き出し部と第1延在部1862との間に光軸方向後側(Z軸方向の他方側−Z)に向けて湾曲する第2湾曲部1966を備えており、第1延在部1962は、第2湾曲部1966から
光軸L方向に直交する状態で延在している。
第2延在部1964は、途中から第2ケース250の底板部251の開口部252を通って外部に引き出されており、両面テープ等の可撓性のシート19によって底板部251に固定されている。また、第2延在部1964のうち、第2ケース250の底板部251の開口部252から外部に引き出された部分が底板260によって覆われている。
第2実装部1830のZ軸方向の他方側−Zに向く面には、板状のスペーサ18が接着剤によって固定されている。スペーサ18は、略矩形形状の板材であり、内側にジャイロスコープ13や電子部品14が位置する。また、スペーサ18のY軸方向の一方側+Yの端部には、クランプ部材190が取り付けられており、クランプ部材190は、弾性シート195を介して第1延在部1862、1962をスペーサ18との間に保持している。
(ホルダ40の詳細構成)
図6は、本発明を適用した光学ユニット100の要部を被写体側(Z軸方向の一方側+Z)からみた説明図であり、図6(a)、(b)は、カバー220とホルダ40とをジンバル機構30および板状バネ70を介して接続した状態の斜視図、およびカバー220とホルダ40とを分離した様子を示す分解斜視図である。図7は、本発明を適用した光学ユニット100の要部をさらに細かく分解した様子を被写体側(Z軸方向の一方側+Z)からみた分解斜視図である。図8は、本発明を適用した光学ユニット100の要部を被写体側とは反対側(Z軸方向の他方側−Z)からみた説明図であり、図8(a)、(b)は、カバー220とホルダ40とをジンバル機構30および板状バネ70を介して接続した状態の斜視図、およびカバー220とホルダ40とを分離した様子を示す分解斜視図である。図9は、本発明を適用した光学ユニット100の要部をさらに細かく分解した様子を被写体側とは反対側(Z軸方向の他方側−Z)からみた分解斜視図である。なお、可動体10とカバー220との間にはクッション部材230が配置されているが、図6〜図9では、クッション部材230の図示を省略してある。
図6および図8に示すように、可動体10において、ホルダ40は、可動体10の外周部分を構成しており、概ね、肉厚のベース部42と、ベース部42のZ軸方向の一方側+Zで、図3に示すレンズホルダ11を内側に保持する円筒部41とを有している。
図7および図9に示すように、ホルダ40のベース部42において、円筒部41の径方向外側には、円筒部41を囲むように側板部45が形成されており、側板部45と円筒部41との間には、ジンバル機構30の可動枠39が配置される空間が形成されている。側板部45は、X軸方向の一方側+X、X軸方向の他方側−X、Y軸方向の一方側+Y、およびY軸方向の他方側−Yのいずれにおいても中央に切り欠き451が形成されており、可動枠39や板状バネ70と干渉しにくいようになっている。
図3に示すように、側板部45の径方向外側の面には、2つの凸部からなるコイル保持部44が形成されており、コイル保持部44にコイル56が嵌った状態で、接着等によりコイル56がホルダ40に保持されている。この状態で、コイル保持部44は、コイル56の外面(磁石52と対向する面)から一部が突出し、磁石52と対向している。従って、外力によって、可動体10がX軸方向またはY軸方向に変位した際、コイル保持部44は、磁石52に当接し、その可動範囲を規制する。このようにして、固定体20と可動体10との間には、コイル保持部44と磁石52とによって、可動体10の光軸L方向と直交する方向への可動範囲を規制するストッパ9aが構成されている。
再び図7および図9において、ホルダ40において、Z軸方向の他方側−Zには、Y軸方向の両側に、光軸L方向と直交する2つのホルダ側基準面481が形成されている。
また、ホルダ40において、円筒部41を挟んで第2軸線R2方向で離間する2個所には、ベース部42をZ軸方向に貫通するホルダ側貫通部47が形成されている。また、ホルダ40のZ軸方向の他方側−Zにおいてホルダ側基準面481に隣り合う位置には、ホルダ側基準面481よりZ軸方向の一方側+Zに位置する段部43が形成されている。
(板状バネ70固定用凸部の構成)
ホルダ40において、円筒部41のZ方向の一方側+Zの端面には、周方向の複数個所にZ方向の一方側+Zに突出した接着用凸部49が形成されている。本形態において、接着用凸部49は、X軸方向の一方側+X、X軸方向の他方側−X、Y軸方向の一方側+Y、およびY軸方向の他方側−Yの計4個所に等角度間隔で形成されている。ここで、円筒部41のZ方向の一方側+Zの端面には円筒状のウエイト12が固定されており、ウエイト12のZ軸方向の寸法は、接着用凸部49のZ軸方向の突出寸法より大である。但し、ウエイト12の外径は、円筒部41の外径より小さいとともに、接着用凸部49と重なる位置にはZ方向に延在する溝120が形成されている。このため、接着用凸部49において光軸L方向と交差する方向に向いた側面490のうち、約1/2周に相当する部分は、ウエイト12の外周面から径方向外側に突出している。
(カバー220の詳細構成)
カバー220は略四角形の平面形状を有する樹脂成形品である。カバー220は、外周端部が肉薄部229になっており、図3等に示す第1ケース210の胴部211に重なる。カバー220において、開口部221を第1軸線R1方向の両側で挟む2個所にはカバー側貫通部222が形成され、開口部221を第2軸線R2方向の両側で挟む2個所には貫通部223が形成されている。
図2(b)に示すように、カバー220のZ軸方向の一方側+Zにおいて、カバー側貫通部222に対して径方向外側で隣り合う部分、およびカバー側貫通部222に対して第2軸線R2方向で隣り合う部分は、カバー220のZ軸方向の一方側+Zの面よりZ軸方向の他方側−Zに位置する段部224になっている。
また、図9に示すように、カバー220のZ軸方向の他方側−Zの面には、カバー側貫通部222と開口部221との間からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した板状の第1接点支持部225が形成されている。かかる第1接点支持部225は、後述する第1接点用バネ36の支持部である。本形態において、第1接点支持部225は、カバー側貫通部222に対して開口部221側で隣接する位置からZ軸方向の他方側−Zに向けて突出している。また、2個所の第1接点支持部225のうち、第1軸線R1方向の一方側に位置する第1接点支持部225aは、幅寸法が基端側225cより先端側225dで大になっているのに対して、第1軸線R1方向の他方側に位置する第1接点支持部225bは、幅寸法が基端側225eより先端側225fで小になっている。
カバー220のZ軸方向の他方側−Zの面には、開口部221に対してX軸方向の一方側+X、X軸方向の他方側−X、Y軸方向の一方側+Y、およびY軸方向の他方側−Yに離間する位置にZ軸方向の他方側−Zに向けて突出したバネ支持部226が形成されている。また、バネ支持部226の先端面226a(Z軸方向の他方側−Zの面)には、先端面226aからZ軸方向の他方側−Zに向けて突出した接着用凸部227が形成されている。かかるバネ支持部226は、後述する板状バネ70の支持部である。
(ジンバル機構30の構成)
図6および図8に示すように、本形態の光学ユニット100において、可動体10を第1軸線R1周りおよび第2軸線R2に揺動可能に支持するにあたって、固定体20のカバ
ー220と可動体10のホルダ40との間には、以下に説明するジンバル機構30が構成されている。
本形態では、ジンバル機構30を構成するにあたって、カバー220とホルダ40との間に可動枠39を設ける。また、可動枠39とカバー220との間には、第1軸線R1方向で離間する2個所に第1揺動支点31を設け、可動枠39とホルダ40との間には第2軸線R2方向で離間する2個所に第2揺動支点32を設ける。
図7および図9に示すように、可動枠39は矩形枠であり、光軸L周りに第1角部391、第2角部392、第3角部393および第4角部394を有しており、第1角部391と第2角部392との間、第2角部392と第3角部393との間、第3角部393と第4角部394との間、および第4角部394と第1角部391との間に第1連結部396、第2連結部397、第3連結部398および第4連結部399を有している。本形態では、第1角部391、第2角部392、第3角部393および第4角部394のうち、第1軸線R1方向で対角をなす第2角部392および第4角部394に第1揺動支点31を設け、第2軸線R2方向で対角をなす第1角部391および第3角部393に第2揺動支点32を設ける。
本形態において、第1連結部396、第2連結部397、第3連結部398および第4連結部399は、各々の延在方向およびZ軸方向に対して直交する方向に湾曲した蛇行部を有している。従って、可動枠39は、光軸L方向に直交する方向に弾性変形可能である。
ここで、可動枠39の第1角部391、第2角部392、第3角部393および第4角部394の内側には金属製の球体38が溶接等によって固定されており、かかる球体38は、径方向内側に半球状の凸面を向ける突部を構成している。
(接点用バネの構成)
図7および図9に示すように、本形態では、第1揺動支点31および第2揺動支点32の少なくとも一方の揺動支点には、可動枠39側との接点部(球体38との接点部)に弾性的な荷重を印加する接点用バネが設けられている。本形態において、接点用バネは、2個所の第1揺動支点31の各々に第1接点用バネ36として設けられ、2個所の第2揺動支点32の各々に第2接点用バネ37として設けられている。本形態において、第1接点用バネ36は、カバー220(固定体20側)に設けられ、第2接点用バネ37は、ホルダ40(可動体10側)に設けられている。
第1接点用バネ36は、金属製の板状であり、第1接点用バネ36をカバー220に固定するための固定部361と、固定部361からZ軸方向の他方側−Zに向けて延在する延在部362と、延在部362の固定部361とは反対側の端部(Z軸方向の他方側−Zの端部)で固定部361(Z軸方向の一方側+Z)に向けて折り返された折り返し部363とを備えており、折り返し部363には、可動枠39の第2角部392および第4角部394の内側で、可動枠39に固定された球体38を受ける凹状の接点部365が設けられている。本形態において、接点部365は半球状の凹部になっている。かかる第1接点用バネ36において、延在部362、および延在部362と折り返し部363との間のU字状の屈曲部分は、可動枠39側との接点部365に弾性的な荷重を印加するバネ性を発揮する。
本形態において、固定部361は延在部362に対して直角に屈曲している。このように構成した第1接点用バネ36は、カバー220に形成したカバー側貫通部222に延在部362を挿入することによって、固定部361を段部224にZ軸方向の一方側+Zで
重ね、段部224と固定部361とを固定する。この状態で、延在部362の固定部361の側に位置する根元側は、カバー220からZ方向の他方側−Zに突出した第1接点支持部225に径方向内側から支持される。なお、第1接点用バネ36は接着によって固定してもよい。また、第1接点用バネ36とカバー220とはインサート成形によって一体化させてもよい。
ここで、折り返し部363には、接点部365に対する光軸L方向の一方側(Z軸方向の他方側−Z)から可動枠39の光軸L方向の一方側(Z軸方向の他方側−Z)で光軸L方向と直交する方向に突出した第1凸部366と、接点部365に対する光軸L方向の他方側(Z軸方向の一方側+Z)から可動枠39の光軸L方向の他方側(Z軸方向の一方側+Z)で光軸L方向と直交する方向に突出した第2凸部367とが形成されており、可動枠39は、第1凸部366と第2凸部367との間を通っている。本形態では、第1凸部366および第2凸部367が折り返し部363の幅方向の一方のみに形成されているが、折り返し部363の幅方向の両側に形成されていてもよい。
第2接点用バネ37は、金属製の板状であり、第2接点用バネ37をホルダ40に固定するための固定部371と、固定部371からZ軸方向の一方側+Zに向けて延在する延在部372と、延在部372の固定部371とは反対側の端部(Z軸方向の一方側+Zの端部)で固定部371(Z軸方向の他方側−Z)に向けて折り返された折り返し部373とを備えており、折り返し部373には、可動枠39の第1角部391および第3角部393の内側で、可動枠39に固定された球体38を受ける凹状の接点部375が設けられている。本形態において、接点部375は半球状の凹部になっている。かかる第2接点用バネ37において、延在部372、および延在部372と折り返し部373との間のU字状の屈曲部分は、可動枠39側との接点部375に弾性的な荷重を印加するバネ性を発揮する。
本形態において、固定部371は延在部372に対して直角に屈曲している。このように構成した第2接点用バネ37は、ホルダ40に形成したホルダ側貫通部47に延在部372を挿入することによって、固定部371を段部43にZ軸方向の他方側−Zで重ね、段部43と固定部371とを固定する。この状態で、延在部372の固定部371の側に位置する根元側は、ホルダ側貫通部47の内面からなる第2接点支持部470によって、径方向内側から支持される。なお、第2接点用バネ37は接着によって固定してもよい。また、第2接点用バネ37とホルダ40とはインサート成形によって一体化させてもよい。
ここで、折り返し部373には、接点部375に対する光軸L方向の一方側(Z軸方向の他方側−Z)から可動枠39の光軸L方向の一方側(Z軸方向の他方側−Z)で光軸L方向と直交するに突出した第1凸部376と、接点部375に対する光軸L方向の他方側(Z軸方向の一方側+Z)から可動枠39の光軸L方向の他方側(Z軸方向の一方側+Z)で光軸L方向と直交する方向に突出した第2凸部377とが形成されており、可動枠39は、第1凸部376と第2凸部377との間を通っている。本形態では、第1凸部376および第2凸部377が折り返し部373の幅方向の一方のみに形成されているが、折り返し部373の幅方向の両側に形成されていてもよい。
また、固定部371には、開口部378が形成されているとともに、固定部371において、延在部372とは反対側の端部には、Z軸方向の一方側+Zに屈曲してホルダ側貫通部47の内面に径方向内側から当接するバネ部379が形成されている。従って、延在部372は、ホルダ側貫通部47の内面(第2接点支持部470)に径方向外側から当接するとともに、バネ部379は、ホルダ側貫通部47の内面に径方向内側から当接する。その結果、第2接点用バネ37は、径方向において位置決めされる。それ故、第2接点用
バネ37の径方向の位置をバネ部379によって規定することができる。
このように構成したジンバル機構30において、2個所の第1揺動支点31の各々に用いた第1接点用バネ36の付勢力は等しく、個所の第2揺動支点32の各々に用いた第2接点用バネ37の付勢力は等しい。また、第1接点用バネ36と第2接点用バネ37とは付勢力が等しい。また、本形態では、駆動機構50に磁気駆動機構が用いられていることから、ジンバル機構30に用いた可動枠39、第1接点用バネ36および第2接点用バネ37はいずれも、非磁性材料からなる。
本形態において、可動枠39は、コイル保持部44と同じ高さ位置(Z軸方向における同一の位置)にある。このため、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、駆動機構50と重なる位置に設けられている。特に本形態では、光軸L方向に対して直交する方向からみたとき、ジンバル機構30は、駆動機構50のZ軸方向の中心と重なる位置に設けられている。
このようにして、ジンバル機構30を構成した状態で、可動枠39の弾性力と接点用バネ(第1接点用バネ36および第2接点用バネ37)の弾性力との合成弾性力の光軸L方向の固有振動数をfaとし、合成弾性力の光軸L方向に対して直交する方向の固有振動数をfbとし、外乱(外部から伝わってくる振動)の周波数帯域の最大振動数をfcとしたとき、
振動数fa、fb、fcは、以下の関係
fc<fa<fb
を満たしている。このため、外乱による振動を抑制することができる。
(板状バネ70の構成)
本形態の可動体10は、可動体10と固定体20とに接続して、駆動機構50が停止状態にあるときの可動体10の姿勢を規定する板状バネ70を有している。本形態において、板状バネ70は、金属板を所定形状に加工したバネ部材であり、固定体20に接続される固定体側連結部71と、可動体10に接続される可動体側連結部72と、固定体側連結部71と可動体側連結部72とを連結する板バネ状のアーム部73とを有している。本形態において、アーム部73は、4本であり、固定体側連結部71から周方向の一方側から他方側に折り返しながら可動体側連結部72まで延在している。
ここで、固定体側連結部71は、アーム部73の一方側の端部から周方向に延在しているが、4本のアーム部73に対して1対1の関係をもって4つ設けられており、周方向で途切れている。本形態において、固定体側連結部71は、光軸LをX軸方向の両側で挟む2個所と、光軸LをY軸方向の両側で挟む2個所に配置されており、第1揺動支点31および第2揺動支点32が設けられる個所では途切れている。4つの固定体側連結部71の各々には、カバー220のバネ支持部226に形成された接着用凸部227が嵌る穴からなる貫通部710が形成されている。従って、固定体側連結部71の貫通部710にカバー220のバネ支持部226に形成された接着用凸部227を嵌め、接着用凸部227と固定体側連結部71とを接着剤によって固定することができる。本形態において、貫通部710は、固定体側連結部71においてアーム部73と接続する根元部分に形成されている。
可動体側連結部72は、4本のアーム部73の他方側の端部から周方向に延在し、環状に繋がっている。また、可動体側連結部72の内縁には、ホルダ40の接着用凸部49が嵌る切り欠きからなる貫通部720が形成されている。本形態において、貫通部720は、光軸LをX軸方向の両側で挟む2個所と、光軸LをY軸方向の両側で挟む2個所の計4個所に形成されている。従って、可動体側連結部72の貫通部720にホルダ40に形成
された接着用凸部49を嵌め、この状態で、接着用凸部49と可動体側連結部72とを接着剤によって固定することができる。本形態において、貫通部720は、可動体側連結部72においてアーム部73と接続する根元部分に形成されている。
(駆動機構50等の構成および基本動作)
このように構成した光学ユニット100において、図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープ13によって検出され、制御用IC(図示せず)は、駆動機構50を制御する。すなわち、ジャイロスコープ13で検出した振れを打ち消すような駆動電流をコイル56に供給する。その際、4つのコイル56に供給する電流バランスを制御する。その結果、可動体10は、第1軸線R1周りに揺動するとともに、第2軸線R2周りに揺動し、手振れが補正される。
(板状バネ70の連結方法)
本形態では、駆動機構50においてコイル56に通電しない停止期間中、可動体10の姿勢は、板状バネ70によって光軸LがZ軸に対して傾かない姿勢に保持される。その間、板状バネ70は可動体10に付勢力を印加しない状態にある。かかる構成を実現するため、本形態では、光学ユニット100の組み立て工程のうち、カバー220とホルダ40とを板状バネ70を介して接続する際、板状バネ70を変形させることなく、カバー220とホルダ40とを所定位置関係をもってカバー220とホルダ40とを板状バネ70を介して接続する。
より具体的には、まず、カバー220と板状バネ70と接着部分(第2接続部分)では、固定体側連結部71(第2連結部)の貫通部710にカバー220のバネ支持部226の接着用凸部227を嵌め、この状態で接着剤(第2接着剤)によって、接着用凸部227と固定体側連結部71とを固定する。
次に、カバー220のカバー側基準面228とホルダ40のホルダ側基準面481とが平行となるように、ホルダ40と板状バネ70との相対位置を調整する。
次に、カバー220と板状バネ70との相対位置を調整した状態における板状バネ70の位置に合わせて、ホルダ40と板状バネ70とを接続する。すなわち、ホルダ40と板状バネ70との接続部分(第1接続部分)では、可動体側連結部72(第1連結部)の貫通部720にホルダ40の接着用凸部49を嵌め、板状バネ70の厚さ方向の側面(貫通部720の内周側面)とホルダ40の接着用凸部49の側面490とを接着剤によって固定する。
ここで、ホルダ40の接着用凸部49の側面490の曲率半径は、板状バネ70の可動体側連結部72の貫通部720の曲率半径より小にしてある。それ故、ホルダ40と板状バネ70との接続部分(第1接続部分)では、接着用凸部49および貫通部720の周辺において、光軸L方向に交差する方向で重なる部分、および光軸L方向で重なる部分の少なくとも一方が離間することになる。但し、その場合でも、接着用凸部49および貫通部720の周辺において、光軸L方向に交差する方向で重なる部分、および光軸L方向で重なる部分の間には、ホルダ40と板状バネ70とを固定する接着剤が充填されているため、ホルダ40と板状バネ70とを固定することができる。
(ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462の構成)
図10は、本発明を適用した光学ユニット100において可動体10の揺動許容範囲を規制するストッパの説明図であり、図10(a)、(b)、(c)は、ホルダ40を被写体側(Z軸方向の一方側+Z)からみた平面図、ホルダ40が第1軸線R1周りに揺動した様子を示す説明図、およびホルダ40がX軸に平行な軸線周りに揺動した様子を示す説
明図である。
図4および図10(a)に示すように、ホルダ40は、光軸L方向からみたときに略四角形であり、それ故、可動体10も、光軸L方向からみたときに略四角形である。本形態では、ホルダ40において、側板部45の外面は、光軸L方向からみたときに四角形を構成する4つの辺部40a、40b、40c、40dを有している。辺部40aは、ホルダ40のX軸方向の一方側+Xに位置し、辺部40bは、ホルダ40のY軸方向の一方+Yに位置し、辺部40cは、ホルダ40のX軸方向の他方側−Xに位置し、辺部40dは、ホルダ40のY軸方向の他方側−Yに位置する。
ここで、ホルダ40の光軸L方向の一方側(Z軸方向の一方側+Z)では、4つの辺部40a、40b、40c、40dの各々に、Z軸方向の一方側+Zに向けて突出するストッパ用第1凸部461が2つずつ形成されている。これらのストッパ用第1凸部461のうち、辺部40aに形成されたストッパ用第1凸部461は、辺部40aの延在方向の中央位置を挟む両側2個所に形成されており、2つのストッパ用第1凸部461は、辺部40aの中央位置からの距離が等しく、辺部40aの両側に位置する角部40e、40hからの距離も等しい。他の辺部40a、40b、40c、40dに形成されたストッパ用第1凸部461も、辺部40aに形成されたストッパ用第1凸部461と同様、各辺部40b、40c、40dの中央位置から等しい距離の位置に形成されている。
また、ホルダ40の4つの辺部40a、40b、40c、40dの各々において、ストッパ用第1凸部461と角部40e、40f、40g、40hとの間には、Z軸方向の一方側+Zに突出したストッパ用第2凸部462が形成されている。このため、4つの辺部40a、40b、40c、40dの各々には、ストッパ用第2凸部462が2つずつ形成されている。従って、辺部40aでは、辺部40aの中央位置と角部40eとの間にストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462が1つずつ形成され、辺部40aの中央位置と角部40hとの間には、ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462が1つずつ形成されている。他の辺部40b、40c、40dでも同様である。ここで、ストッパ用第2凸部462は、ストッパ用第1凸部461に比してZ軸方向の一方側+Zへの突出高さが低い。
このようなストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462を構成するにあたって、本形態では、側板部45のZ軸方向の一方側+Zの端部にストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462が形成されている。本形態では、ホルダ40の4つの辺部40a、40b、40c、40dのいずれにおいても、側板部45は、中央部分の切り欠き451によって分割されていることから、切り欠き451によって分割された2つの側板部45の切り欠き451側の縁にストッパ用第1凸部461が形成されている。このため、ホルダ40の辺部40a、40b、40c、40dには、切り欠き451を挟んだ両側にストッパ用第1凸部461が2つずつ形成されている。
また、側板部45には、ホルダ40の4つの角部40e、40f、40g、40hのいずれにも、切り欠き452が形成されており、切り欠き451によって分割された2つの側板部45の切り欠き452側の縁にストッパ用第2凸部462が形成されている。このため、ホルダ40の辺部40a、40b、40c、40dには、ストッパ用第1凸部461と部40e、40f、40g、40hとの間にストッパ用第2凸部462が2つずつ形成されている。
このように構成したストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462は、可動体10が揺動した際、クッション部材230(図2および図3参照)に当接して、可動体10の揺動許容範囲を規制するストッパ9b(図3参照)を構成している。
例えば、図10(b)に示すように、可動体10(ホルダ40)が第1軸線R1周りの一方側に回転して、角部40fの側に設けられたストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462がZ軸方向の一方側+Zに変位すると、辺部40b、40cにおいて角部40f側に形成された2つのストッパ用第1凸部461、または2つのストッパ用第2凸部462がクッション部材230に当接し、可動体10の揺動が規制される。可動体10(ホルダ40)が第1軸線R1周りの他方側や、第2軸線R2周りに回転した際も同様に、可動体10の揺動が規制される。
また、図10(c)に示すように、可動体10(ホルダ40)が、可動体10(ホルダ40)の中心を通ってX軸方向に延在する軸線周りの一方側に回転して、辺部40bの側に設けられたストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462がZ軸方向の一方側+Zに変位すると、辺部40bに形成された2つのストッパ用第1凸部461または2つのストッパ用第2凸部462がクッション部材230に当接し、可動体10の揺動が規制される。可動体10(ホルダ40)が可動体10(ホルダ40)の中心を通ってX軸方向に延在する軸線周りの他方側に回転した際や、可動体10(ホルダ40)の中心を通ってY軸方向に延在する軸線周りに回転した際も同様である。
ここで、ストッパ用第2凸部462は、ストッパ用第1凸部461より揺動中心から離間した位置にあるため、ストッパ用第2凸部462のZ軸方向の一方側+Zへの移動量は、ストッパ用第1凸部461のZ軸方向の一方側+Zへの移動量より大である、但し、ストッパ用第2凸部462のZ軸方向の一方側+Zへの突出高さは、ストッパ用第1凸部461より低い。このため、ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462の双方を利用して、可動体10(ホルダ40)の揺動許容範囲を規制することができる。
例えば、図10(b)、(c)には、ストッパ用第1凸部461の端部およびストッパ用第2凸部462の端部がZ軸方向の一方側+Zにおいて同一の位置に到達した状態を示してあるが、可動体10(ホルダ40)が第1軸線R1周りや第2軸線R2周りに揺動した際、図10(b)に示す状態となる前にストッパ用第1凸部461がクッション部材230に当接するようにホルダ40とクッション部材230との間隔等を設定する。また、可動体10(ホルダ40)が可動体10(ホルダ40)の中心を通ってX軸方向に延在する軸線周りや、Y軸方向に延在する軸線周りに回転した際、図10(c)に示す状態となった後にストッパ用第2凸部462がクッション部材230に当接するようにホルダ40とクッション部材230との間隔等を設定する。かかる条件に設定すれば、可動体10(ホルダ40)が第1軸線R1周りや第2軸線R2周りに揺動した際の揺動許容範囲と、可動体10(ホルダ40)が可動体10(ホルダ40)の中心を通ってX軸方向に延在する軸線周りや、Y軸方向に延在する軸線周りに回転した際の揺動許容範囲とを同一の角度に設定することができる。
なお、本形態においては、外力によって、可動体10がZ軸方向の一方側+Zに変位した際、ストッパ用第1凸部461は、クッション部材230に当接し、その可動範囲を規制する。従って、固定体20と可動体10との間には、ストッパ用第1凸部461とクッション部材230とによって、可動体10のZ軸方向の一方側+Zへの可動範囲を規制するストッパ9c(図3参照)が構成されている。
(ストッパ用第3凸部466の構成)
ホルダ40のZ軸方向の他方側−Zには、X軸方向の両側の端面482に、Z軸方向の他方側−Zに向けて突出したストッパ用第3凸部466が形成されている。本形態において、ストッパ用第3凸部466は、ストッパ用第1凸部461とZ軸方向で重なる位置に形成されている。従って、ホルダ40には、X軸方向の一方側+XおよびX軸方向の他方
側−Xに、Y軸方向で離間するストッパ用第3凸部466が2つずつ形成されている。ここで、ストッパ用第3凸部466は、図2および図4等に示すストッパ部材240とZ軸方向で重なっている。従って、外力によって、可動体10がZ軸方向の他方側−Zに変位した際、ストッパ用第3凸部466は、ストッパ部材240に当接し、その可動範囲を規制する。このようにして、固定体20と可動体10との間には、ストッパ用第3凸部466とストッパ部材240とによって、可動体10の光軸L方向の一方側(Z軸方向の他方側−Z)への可動範囲を規制するストッパ9d(図3参照)が構成されている。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学ユニット100では、可動体10がジンバル機構30からなる支持機構を介して固定体20に支持されているとともに、可動体10および固定体20には板状バネ70が接続されている。このため、駆動機構50の停止期間中、可動体10を板状バネ70によって所定の姿勢に保持することができる。
また、可動体10において四角形を構成する4つの辺部40a、40b、40c、40dの各々には、Z軸方向の一方側+Zに突出した2つのストッパ用第1凸部461が互いに離間した位置に設けられている。このため、可動体10が揺動した際、ストッパ用第1凸部461が固定体20のクッション部材230にZ軸方向の他方側−Zから当接するので、固定体20の内側で可動体10の揺動許容範囲を規制することができる。従って、外部から加わった力によって可動体10が揺動しても、可動体10が過度に揺動することがないので、板状バネ70が塑性変形することを抑制することができる。
また、4つの辺部40a、40b、40c、40dの各々において2つのストッパ用第1凸部461が離間しているため、可動体10が揺動した際、いずれかのストッパ用第1凸部461がクッション部材230に当接するので、光軸L周りの広い角度範囲において、揺動許容範囲を規制することができる。
さらに、4つの辺部40a、40b、40c、40dの各々において2つのストッパ用第1凸部461が切り欠き451を介して離間しているため、2つのストッパ用第1凸部461が繋がった構成に比して、軽量化を図ることができるとともに、切り欠き451付近(ストッパ用第1凸部461付近)に可動枠39や板状バネ70の固定体側連結部71等の部材を配置することができる。
また、4つの辺部40a、40b、40c、40dにおいて、ストッパ用第1凸部461と角部40e、40f、40g、40hとの間に形成に挟まれた2個所には、ストッパ用第1凸部461より低く突出したストッパ用第2凸部462が設けられている。このため、光軸L周りのさらに広い角度範囲において、揺動許容範囲を適正に規制することができる。すなわち、計8個所のストッパ用第1凸部461のみによって可動体10の各方向への揺動許容範囲を同等に規制する構成では、ストッパ用第1凸部461を正八角形の位置に配置するという制約があるが、ストッパ用第2凸部462を設ければ、上記の制約を受けずに、可動体10の各方向への揺動許容範囲を同等に規制することができる。例えば、ストッパ用第1凸部461によって、第1軸線R1周りや第2軸線周りR2に揺動した際の揺動許容範囲を規制することができ、ストッパ用第2凸部462によって、X軸方向に延在する軸線周りや、Y軸方向に延在する軸線周りに揺動した際の揺動許容範囲を規制することができる。従って、各方向への揺動許容範囲を同等とすることができる。
また、固定体20にはクッション部材230が設けられているため、ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462は、クッション部材230に当接する。このため、衝突音等の発生を抑制することができる。
また、可動体10において、ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462によって規制された揺動許容範囲内では、コイル56の第1有効辺561がS極に常に対向し、第2有効辺562がN極に常に対向しているため、可動体10の揺動許容範囲内では常に、可動体10の姿勢を駆動機構50によって制御することができる。
さらに、可動体10は、ホルダ40のZ軸方向の他方側−Zにストッパ用第3凸部466が設けられているため、可動体10のZ軸方向の他方側−Zへの可動範囲を規制することができる。また、ストッパ用第3凸部466は、ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462によって規制された揺動許容範囲内では固定体20と離間しているため、ストッパ用第3凸部466と固定体20との位置関係によって揺動許容範囲が影響を受けないという利点がある。また、ストッパ用第3凸部466は、4つの辺部40a、40b、40c、40dのうち、相対向する2つの辺部40a、40cに2つずつ設けられている。このため、可動体10が揺動した状態でも、2つのストッパ用第3凸部466がストッパ部材240に当接する。しかも、2つのストッパ用第3凸部466がストッパ部材240に当接すれば、1つのストッパ用第3凸部466がストッパ部材240に当接した場合と違って、ストッパ用第3凸部466とストッパ部材240とが当接した個所を支点に可動体10が揺動する等の不要な動きを抑制することができる。
また、本形態において、ジンバル機構30の第1揺動支点31および第2揺動支点32に第1接点用バネ36および第2接点用バネ37が設けられているため、第1揺動支点31において球体38と接する接点部365、および第2揺動支点32において球体38と接する接点部375に適正な荷重を加えることができる。このため、第1揺動支点31および第2揺動支点32では、双方向にスムーズに揺動させることができるとともに、外部から伝わった振動等が原因で可動体10が不要な振動することを抑制することができる。
また、第1接点用バネ36および第2接点用バネ37はいずれも、付勢力が等しいため、第1揺動支点31を中心に可動体10を適正に揺動させることができるとともに、第2揺動支点32を中心に可動体10を適正に揺動させることができる。
また、第1接点用バネ36は固定体20側に設けられ、第2接点用バネ37は可動体10側に設けられているため、可動枠39に接点用バネを設ける場合に比して、構成の簡素化を図ることができる。
また、第1接点用バネ36および第2接点用バネ37は板状であるため、簡素な構成で接点用バネを構成することができる。また、第1接点用バネ36および第2接点用バネ37には、可動枠39の光軸L方向の両側に位置する第1凸部366、376および第2凸部367、377が設けられているため、可動枠39の光軸方向での可動範囲が制限される。従って、外部から伝わった振動等が原因で可動枠39側との接点部365、375が外れる等の不具合が発生しにくい。
また、本形態では、カバー220と可動枠39との間に第1揺動支点31が構成されているため、少ない部材によってジンバル機構30を構成することができる。
また、第1接点用バネ36の延在部362は、カバー側貫通部222を貫通して、固定部361がカバー220の段部224に光軸L方向の一方側から重なって固定されている。このため、第1接点用バネ36については、光軸L方向の位置や、光軸L方向に交差する方向の位置決めを行うことができる。また、第2接点用バネ37の延在部372は、ホルダ側貫通部47を貫通して、固定部371がホルダ40の段部43に光軸L方向の他方側から重なって固定されている。このため、第2接点用バネ37については、光軸L方向の位置や、光軸L方向に交差する方向の位置決めを行うことができる。
また、可動枠39は、光軸L方向に対して直交する方向に弾性変形可能であるため、可動枠39のバネ力によっても、接点部365、375に荷重を印加することができる。また、可動枠39の弾性変形によって振動を吸収することができる。さらに、可動枠39の固有振動数を適正化することによって、可動枠39の弾性力と接点用バネ(第1接点用バネ36および第2接点用バネ37)の弾性力との合成弾性力の光軸L方向の固有振動数fa、合成弾性力の光軸L方向に対して直交する方向の固有振動数fbとし、外乱(外部から伝わってくる振動)の周波数帯域の最大振動数fcを以下の関係
fc<fa<fb
とすることにより、外乱による振動を抑制することができる。
また、駆動機構50は磁気駆動機構であるが、可動枠39、第1接点用バネ36および第2接点用バネ37が非磁性材料からなるため、可動枠39、第1接点用バネ36および第2接点用バネ37が駆動機構50(磁気駆動機構)に磁気的な影響を及ぼすことを防止することができる。
また、本形態では、ホルダ40において光軸L方向に延在する接着用凸部49の側面490と、板状バネ70の側面とが接着剤によって接着されているため、カバー220に対する板状バネ70の姿勢範囲が広いという利点がある。また、板状バネ70には、接着用凸部49が嵌った貫通部720が形成されているため、接着範囲が広い。それ故、ホルダ40と板状バネ70とを確実に接着することができる。
また、板状バネ70において、可動体側連結部72とアーム部73とが繋がる根元部分が接着剤によってホルダ40に固定されている。このため、可動体側連結部72が周方向に延在している構成であっても、アーム部73のみが弾性変形するので、可動体側連結部72が弾性変形して可動体10に付勢力を印加することを回避することができる。
また、板状バネ70において、固定体側連結部71とアーム部73とが繋がる根元部分が接着剤によってカバー220に固定されている。このため、固定体側連結部71が周方向に延在している構成であっても、アーム部73のみが弾性変形するので、固定体側連結部71が弾性変形して可動体10に付勢力を印加することを回避することができる。
また、可動体10側のホルダ40と板状バネ70との接続部分と、固定体20側のカバー220と板状バネ70との接続部分とが光軸Lを中心とする同一の角度位置に設けられている。このため、アーム部73を設けるスペースを十分に確保することができる。
[別の実施の形態]
図11は、本発明の別の実施の形態に係る光学ユニット100に用いた駆動機構50の説明図であり、図11(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)は、曲がっていないコイル56の説明図、曲がっていないコイル56を用いた駆動機構50の説明図、曲がったコイル56の説明図、曲がったコイル56を用いた駆動機構50の説明図、曲がった磁石52を用いた駆動機構50の説明図、および曲がったコイル56と曲がった磁石52とを用いた駆動機構50の説明図である。
上記実施の形態では、図11(a)、(b)に示すように、磁石52が平板状であって、コイル56は曲げ加工を行わない空芯コイルであった。これに対して、本形態では、図11(c)、〜(f)を参照して以下に説明するように、コイル56において磁石52と対向する面、および磁石52においてコイル56と対向する面の少なくとも一方は、可動体10の揺動軌跡に沿う方向に曲がっている。
例えば、図11(c)(d)に示す形態では、固定体20に設けられた磁石52は平板状であって、可動体10に保持されたコイル56において磁石52と対向する面は、可動体10の揺動軌跡に沿う方向に曲がっている。かかる構成は、図11(a)に示すような平板状のコイル56を製作した後、第1有効辺561と第2有効辺562との間で、第1有効辺561および第2有効辺562を磁石52が位置する側とは反対側に折り曲げる。
かかる構成によれば、図11(d)に示すように、可動体10が揺動した際、コイル56は、コイル56が折り曲げられた形状に沿うように移動する。このため、可動体10が揺動しても、コイル56と磁石52との間隔が大きく変化しないので、駆動機構50は、可動体10の駆動を安定して行うことができる。また、可動体10が揺動した際、可動体10に設けられたコイル56が固定体20に設けられた磁石52に向けて変位する距離d1が短い。これに対して、図11(b)に示すように、コイル56が平板状である場合、可動体10が揺動した際、コイル56の端部が磁石52に向けて大きな距離d2を移動する。従って、図11(c)、(d)に示す構成であれば、コイル56と磁石52との間隔を狭く設定しても、コイル56と磁石52とが干渉しにくい。
また、図11(e)に示す形態では、固定体20に設けられた磁石52においてコイル56に対向する面は、可動体10の揺動軌跡に沿う方向に曲がっている。これに対して、可動体10に設けられたコイル56は、平板状である。かかる構成によれば可動体10が揺動した際、コイル56は、磁石52の曲がった形状に沿うように移動する。このため、可動体10が揺動しても、コイル56と磁石52との間隔が大きく変化しないので、駆動機構50は、可動体10の駆動を安定して行うことができる。
また、図11(f)に示す形態では、固定体20に設けられた磁石52においてコイル56に対向する面は、可動体10の揺動軌跡に沿う方向に曲がっている。また、可動体10に設けられたコイル56において磁石52に対向する面は、可動体10の揺動軌跡に沿う方向に曲がっている。このため、可動体10が揺動しても、コイル56と磁石52との間隔が大きく変化しないので、駆動機構50は、可動体10の駆動を安定して行うことができる。また、可動体10が揺動した際、可動体10に設けられたコイル56が固定体20に設けられた磁石52に向けて変位する距離が短い。従って、コイル56と磁石52との間隔を狭く設定しても、コイル56と磁石52とが干渉しにくい。
なお、本形態でも、可動体10において、ストッパ用第1凸部461およびストッパ用第2凸部462によって規制された揺動許容範囲内では、コイル56の第1有効辺561がS極に常に対向し、第2有効辺562がN極に常に対向しているため、可動体10の揺動許容範囲内では常に、可動体10の姿勢を駆動機構50によって制御することができる。
[光学ユニット100の他の構成例]
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100はヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラとして構成してもよい。かかるカメラは、大きな揺れが発生する状況での撮影に使用されるが、本発明によれば、振れを補正することができるので、品位の高い画像を得ることができる。
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能に
しておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のかばん、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダー等の車載用監視装置として用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることも可能である。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。