上述したように、LTE、LTE−Aシステムでは、Duplex modeとしてFDDとTDDの2つが規定されており(上記図1A参照)、TDDでは上記図2に示したDL/UL構成0〜6から選択された所定のDL/UL構成を利用して無線基地局−ユーザ端末間で通信を行う。このように、TDDでは、DL/UL構成毎にDLサブフレームとULサブフレームの送信比率が異なっており、各構成に対して送達確認信号(A/N)のフィードバックメカニズム(HARQメカニズム)等が規定されている。
また、Rel.12以降のシステムでは、複数CC間で異なるDuplex−mode(TDD+FDD)を適用したCAが想定されている(上記図1C参照)。この場合、TDDでは、LTE10と同様にDL/UL構成0〜6を適用することが検討されている。しかし、TDDを適用するセル(以下、「TDDセル」とも記す)を含む複数のセル間でCAを適用する場合、既存のDL/UL構成では、スループットを最適化することが困難となるおそれがある。
例えば、DLトラヒックがULトラヒックより大きい場合を想定する。この場合、CAを適用する複数のセルの中から所定のセルを選択してDL伝送用として利用することが考えられる。一例として、2CCのCAにおいて、一方のCCをDL伝送に特化して利用することが考えられる。
この場合、選択されたセルがFDDを適用するセル(以下、「FDDセル」とも記す)であれば、各サブフレームでDL伝送が可能となる。一方で、選択されたセルがTDDセルである場合には、DLサブフレームの構成比率が最も高いDL/UL構成(図2のDL/UL構成5)を適用することが考えられる。
しかし、DLサブフレームの構成比率が最も高いDL/UL構成5を適用する場合であっても、ULサブフレームと特殊サブフレームが含まれている(SF#1、SF#2)。このため、TDDセルをDL伝送に特化して利用する場合には、DLデータの伝送に利用できないサブフレームが発生してしまう。その結果、スループットの向上を十分に達成することができない。
このように、本発明者等は、TDDセルを含む複数のセルを用いてCAを行う場合に、既存のDL/UL構成では、スループットの最適化が図れないことに着目し、新規のDL/UL構成を利用することを着想した。具体的には、TDDセルにおいて、DL伝送用のDL/UL構成(例えば、DL/UL構成7)を新たに追加して定義し、当該TDDセルがセカンダリセル(SCell)である場合(プライマリセル(PCell)でない場合)に限って当該DL/UL構成7を利用することを着想した。
さらに、本発明者等は、TDDセルにおいてDL伝送用のDL/UL構成(例えば、DL/UL構成7)を利用する場合に、新たにA/Nフィードバックメカニズム(HARQメカニズム)が必要となることに着目した。具体的には、DL/UL構成7を利用するTDDセルをFDDセルとみなして、A/Nフィードバックを制御することを着想した。
以下に、本実施の形態にかかる具体的な無線通信方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、2つのセル(2CC)でCAを行う場合を例に挙げて説明するが、本実施の形態で可能なCAの適用セル数はこれに限られない。また、本実施の形態では、CAを適用するセルに少なくとも一つのTDDセルが含まれていればよく、複数セルにスケジューラが共通して設けられた基地局内CA(Intra−eNB CA)、及び複数セル毎にスケジューラが独立して設けられた基地局間CA(Inter−eNB CA)に適用することができる。
(第1の態様)
第1の態様では、TDDセル(TDD CC)を含むCAにおいて、DL伝送用のDL/UL構成を新たに追加して通信を行う場合について説明する。
本実施の形態では、TDDで利用する既存のDL/UL構成0〜6に加えて、新たに全てのサブフレームでDL伝送が可能となるDL伝送用のDL/UL構成を追加する。例えば、DL伝送用のDL/UL構成を、DL/UL構成7として追加する(図3参照)。そのため、新たに追加するDL伝送用のDL/UL構成(以下、「DL/UL構成7」とも記す)も、DL/UL構成0〜6と同様にTDDバンドにおいて設定されるものとする。
全てのサブフレームでDL伝送が可能となるDL伝送用のDL/UL構成としては、図3に示すように全てのサブフレームをDLサブフレームとする構成を適用することができる。全てのサブフレームをDLサブフレームとする場合には、DL伝送の周波数利用効率をより向上することが可能となる。また、DL伝送用のDL/UL構成7を、TDDセルに設定可能なDL/UL構成の一つとして規定することにより、端末への実装や周波数割当ての影響が小さいため、容易に導入することが可能となる。一方で、TDDバンドにおいてDL/UL構成7を適用した場合、TDD特有のUL−DL干渉が発生しないため、ネットワーク(NW)の同期や装置間(ユーザ端末−基地局間)協調を不要とすることができる。
また、新たに追加されるDL/UL構成7は、TDDセルがプライマリセル(PCell)でなく、セカンダリセル(SCell)に設定される場合に限って利用することができる。これは、プライマルセルとなるTDDセルでは、ユーザ端末からのUL伝送(A/N、CQI等)の受信が必要となるからである。
ここで、プライマリセル(PCell)とは、CAを行う場合にRRC接続やハンドオーバを管理するセルであり、端末からのデータやフィードバック信号を受信するためにUL伝送も必要となるセルである。CAを行う場合、プライマリセルは上下リンクともに常に設定される。セカンダリセル(SCell)とは、CAを適用する際にプライマリセルに加えて設定する他のセルである。セカンダリセルは下りリンクだけ設定することもできるし、上下リンクを同時に設定することもできる。
また、セカンダリセルとなるTDDセルにおけるDL/UL構成7の適用は、トラヒック等に応じて無線基地局(又は、上位局等)が適宜設定することができる。例えば、TDDセルがセカンダリセルに設定され、ユーザ端末に対するDLデータ量が大きい場合に、無線基地局は複数のDL/UL構成0〜7の中から、DL/UL構成7を選択し、各ユーザ端末に利用するDL/UL構成に関する情報を通知する。DL/UL構成に関する情報は、上位レイヤシグナリング(報知信号、RRCシグナリング等)で通知することができる。上位レイヤのシグナリングとしては、例えばシステム情報ブロック1(System Information Block 1)や無線リソース設定共通情報要素(RRC common information element)などが考えられる。あるいは端末個別の無線リソース設定シグナリングであっても良い。
一方、TDDセルをDL/UL構成7として準静的に運用しておき、トラフィック等に応じて無線基地局(又は、上位局等)が適宜ユーザ端末にCAを設定してもよい。例えば、FDDセルまたはDL/UL構成0〜6のTDDセルでセルラネットワークを構築しておき、トラフィックの大きな場所でDL/UL構成7のTDDセルを追加で設置し、無線基地局は、CA可能なユーザ端末に対してDL/UL構成7のTDDセルをセカンダリセルとして設定する。なお、このときCAするユーザ端末には、FDDセルまたはDL/UL構成0〜6のTDDセルをプライマリセルとして設定する。これにより、CAが設定されたユーザ端末のDLデータをセカンダリセルにオフロードすることができる。CAの設定やプライマリセル・セカンダリセルの設定は、上位レイヤシグナリング(報知信号、RRCシグナリング等)で通知することができる。上位レイヤのシグナリングとしては、例えばシステム情報ブロック1(System Information Block 1)や無線リソース設定共通情報要素(RRC common information element)などが考えられる。あるいは端末個別の無線リソース設定シグナリングであっても良い。
なお、本実施の形態では、プライマリセルが、TDDセル又はFDDセルのいずれの場合であってもよく、セカンダリセルがTDDセルとなる場合には当該TDDセルでDL/UL構成7を設定可能である。また、同一又は異なるDL/UL構成のTDDセルや、FDDセルがさらにSCellとして設定され、3CC以上のCAで行う場合も適用することができる。
図4に、DL/UL構成7のTDDセルをセカンダリセルとして含むCAの一例を示す。図4Aは、複数CC(セル)間でDuplex−modeを適用してCAを行う場合(TDD inter−band CA)を示している。プライマリセルをDL/UL構成0〜6のTDDセル、セカンダリセルをDL/UL構成7のTDDセルとしている。図4Bは、複数CC(セル)間で異なるDuplex−modeを適用してCAを行う場合(TDD−FDD CA)を示している。プライマリセルをFDDセル、セカンダリセルをDL/UL構成7のTDDセルとしている。
図4Aでは、プライマリセルとなる第1のTDDセルでは、既存のDL/UL構成0〜6の中から所定のDL/UL構成を選択して適用する。一方で、セカンダリセルとなる第2のTDDセルでは、既存のDL/UL構成0〜6に加えてDL/UL構成7の中から所定のDL/UL構成を選択して適用する。例えば、第2のTDDセルをDL伝送用に特化して利用する場合には、第2のTDDセルに対してDL/UL構成7を設定する。
図4Bでは、プライマリセルとなるFDDセルでは、各サブフレームにおいてUL伝送とDL伝送を行う。一方で、セカンダリセルとなるTDDセルでは、既存のDL/UL構成0〜6+DL/UL構成7の中から所定のDL/UL構成を選択して適用する。例えば、TDDセルをDL伝送用に特化して利用する場合には、TDDセルに対してDL/UL構成7を設定する。
このように、セカンダリセルとなるTDDセルにおいてDL伝送用のDL/UL構成7を新たに定義して利用することにより、プライマリセルに設定されるDuplex modeに関わらず、DL伝送のスループットを向上することが可能となる。
なお、上記図3では、全てのサブフレーム(SF#0〜#9)をDLサブフレームとする場合を示したが、本実施の形態はこれに限られない。DL/UL構成7として、いずれかのサブフレームに特殊サブフレームを設けた構成としてもよい。例えば、図5に示すように、所定のサブフレーム(ここでは、1個のSF#1)に特殊サブフレームを設定してもよい。この場合、セカンダリセルとなるTDDセルにおいて、当該1つの特殊サブフレームを用いることにより、DL伝送に加えて、SRS(サウンディングリファレンス信号)やPRACH信号(ランダムアクセス信号)を送信することができる。
当該特殊サブフレームにおいてSRSやPRACHの送信を可能とすることにより、伝搬路の対称性を利用してプリコーディングや適応変調等のDL適応送信が可能となる。TDDセルでは、同一の周波数リソースを用い、上下リンクで時間的に切り替えて通信を行う。したがって端末・基地局、周辺環境の移動が緩やかである場合、伝搬路の変動も緩やかであることから、伝搬路の対称性を利用した送信が可能となる。例えばユーザ端末が送信するSRSを元に無線基地局で伝搬路状態を推定し、推定した伝搬路状態に適応した送信プリコーディングを行うことなどが想定される。
また、特殊サブフレームでは、SRSやPRACHだけでなくDL/UL構成7が設定されたTDDセルのフィードバック情報を送信としても良い。フィードバック情報としては、ユーザ端末の受信品質を表すCSI(Channel State Information)、当該TDDセルのDL信号に対する送達確認信号などが考えられる。このようにすることで最小限のUL信号を送信可能となるため、当該TDDセルのみでプライマリセルのULリソースを用いることなく、HARQや適用変調に必要な情報を無線基地局側で得ることが可能となる。この結果、DL/UL構成7のTDDセルをセカンダリセルに設定することによりプライマリセルのULリソースがひっ迫される状況を改善できる。
フィードバック情報は、特殊サブフレームのULリソース(UpPTS)で送信されるSRSやPRACHの系列やリソースに結び付けられて伝達されてもよいし、新たな特殊サブフレーム形式を定義し、UpPTSによりPUSCHやPUCCHとして送信されても良い。また、特殊サブフレームによるフィードバックは、DL/UL構成7が設定された場合は必ず適用するものであっても良いし、報知情報やRRCシグナリングによりDL/UL構成7とは独立に設定される(すなわち、DL/UL構成7で通信するユーザ端末ごとに特殊サブフレームによるフィードバックを設定できる)ものであっても良い。独立に設定できる場合、端末ごとにプライマリセルとDL/UL構成7のセカンダリセル、いずれでフィードバックを行うかを無線基地局またはネットワークが制御できるため、端末の状態や数、トラフィック、セルの配置などに応じて柔軟にフィードバックの形式を設定することができる。
なお、セカンダリセルとなるTDDセルにおいて、SRSやPRACH信号の送信が必要ない場合には、DL伝送の周波数利用効率の向上や、ネットワーク(NW)同期及び装置間協調を不要とできる観点から、上記図3に示す構成を利用することが望ましい。
このように、TDDセルを含む複数のセルを用いてCAを行う場合に、セカンダリセルとなるTDDセルにおいて、DL伝送用のDL/UL構成7を利用することにより、DL伝送の周波数利用効率を効果的に向上することが可能となる。また、DL伝送用のDL/UL構成7を新たに定義することにより、TDDセルにおいてDLトラヒック及びULトラヒックに応じた通信が可能となる。さらに、TDDセルにおいてDL/UL構成7を用いた場合、TDD特有のUL−DL干渉が発生しないため、ネットワーク(NW)の同期や装置間(ユーザ端末−基地局間)協調を不要とすることも可能となる。
<変形例>
なお、上記第1の態様において、DL/UL構成7をサポート出来ない(識別できない)レガシー端末(例えば、Rel.11以前のユーザ端末)を考慮して、無線通信方法(例えば、各ユーザ端末が適用するDL/UL構成)を制御してもよい。
例えば、セカンダリセルとなるTDDセルをDL/UL構成7として準静的に運用しておき、トラフィック等に応じて無線基地局(又は、上位局等)が適宜ユーザ端末にCAを設定する場合を想定する。この場合、TDDセルをDL/UL構成7として運用しておき、ユーザ端末に対しては、端末個別の無線リソース設定シグナリングにより、DL/UL構成7を含む任意のDL/UL構成を通知する構成とすることができる。
例えば、複数のユーザ端末の中で、DL/UL構成7を識別できない端末(例えば、Rel.11端末)が存在する可能性がある。このような場合であっても、上述したように端末個別の無線リソース設定シグナリングを用いることで、DL/UL構成7を識別できない端末に対しては、DL/UL構成7と異なるDL/UL構成(例えば、DL/UL構成2やDL/UL構成5)のセカンダリセルとして設定することができる。一方で、DL/UL構成7をサポートしている端末(すなわち、DL/UL構成7を識別できる端末(例えばRel.12以降の端末))に対しては、DL/UL構成7を設定すればよい。
このようにユーザ端末の能力に応じてDL/UL構成を設定することで、DL/UL構成7対応端末に対してはDL比率の高いDL/UL構成7のセカンダリセルとして設定しつつも、DL/UL構成7に対応していない端末も当該TDDセルにセカンダリセルとして接続させることが可能となる。
また、DL/UL構成7をサポート出来ないユーザ端末が、DL/UL構成7として運用されるTDDセルを、プライマリセル又はスタンドアローン(Stand−alone)で動作するセル(非CAセル)として認識する場合が考えられる。この場合、ユーザ端末は、ULサブフレームが設定されないDL/UL構成7で上り信号の送信(例えば、上りランダムアクセス等)を試みるおそれがある。そこで、本実施の形態では、DL/UL構成7をサポート出来ないユーザ端末が、DL/UL構成7を利用するTDDセルを、プライマリセル又は非CAセルとして認識できない構成としてもよい。なお、Stand−aloneで動作するセルは、独立して(つまりCAのセカンダリセル(SCell)でなくとも)ユーザ端末と初期接続が可能となるセルを指す。
例えば、DL/UL構成7として運用されるTDDセルでは、システム情報ブロックの送信を行わない構成とすることができる。このTDDセルはセカンダリセルとしてのみ設定され、プライマリセルもしくは非CAセルとして用いることはない。セカンダリセルとして設定するセルのシステム情報は、プライマリセルによる無線リソース設定シグナリングを用いてユーザ端末個別にシグナリングすることができる。
したがって、ユーザ端末は、セカンダリセルが設定される際に、当該セカンダリセルにおいてシステム情報を受信する必要がない。一方、ユーザ端末が当該TDDセルに対してプライマリセルまたは非CAセルとして接続を行う際には、当該セルにおいてシステム情報の受信が必須である。したがって、システム情報の送信を行わないことにより、DL/UL構成7を識別できない端末(例えば、Rel.11端末)が当該TDDセルに対してプライマリセルまたは非CAセルとして接続を試みる可能性を排除できる。これにより、DL/UL構成7を識別できない端末が当該TDDセルにおいて上り信号を送信することを抑制できる。
あるいは、DL/UL構成7として運用されるTDDセルでは、システム情報ブロックにおいては、既存のDL/UL構成(例えば、DL/UL構成5)という識別情報を送信していても良い。これにより、セル内にDL/UL構成7を識別できないユーザ端末(例えば、Rel.11端末)しかいない場合は既存のDL/UL構成で運用されるプライマリセルまたは非CAセルとして動作し、DL/UL構成7を識別できるユーザ端末がいる場合のみ、実際にDL/UL構成7のセカンダリセルとして運用する構成とすることが可能となる。
また、当該TDDセルのシステム情報ブロックでは既存のDL/UL構成(例えば、DL/UL構成5)を通知する情報を設定し、トラフィックやユーザ端末の分布に応じてL1/L2物理制御チャネル(PDCCHまたはEPDCCH)やMAC制御要素により動的にDL/UL構成の切り替えを指示しても良い。動的なDL/UL構成切り替え有無は、あらかじめユーザ端末にユーザ個別の無線リソース設定シグナリングを用いて通知することができる。そして、システム情報で設定されたDL/UL構成をベースとし、L1/L2物理制御チャネルやMAC制御要素のトリガによって、DL/UL構成を一時的に変更する。ユーザ端末は、上記トリガを検出したら、所定の時間または新たな指示を検出するまで、DL/UL構成を変更して通信を行う。これにより、TDDセルではユーザ端末分布やトラフィックに応じてDL/UL構成を動的に変更することが可能となる。
(第2の態様)
第2の態様では、DL伝送用のDL/UL構成7を適用する場合のA/Nフィードバックメカニズム(HARQメカニズム)について説明する。
上述したように、新たにDL伝送用のDL/UL構成7を定義して、セカンダリセルとなるTDDセルで利用することにより、スループットの向上が可能となる。一方で、DL伝送用のDL/UL構成7を適用する場合、UL伝送(A/Nフィードバック等)を行うサブフレームが存在しないため、各DLサブフレームに対するA/Nをどのようにフィードバックするかが問題となる。
例えば、第1のTDDセルと第2のTDDセルでinter band CAを行う場合、既存のメカニズムでは、各TDDセルのDLサブフレームはそれぞれ各セルのULサブフレームを利用してフィードバックすることができる。しかし、上記図4Aに示すTDD−TDD CAにおいて、第2のTDDセルでDL/UL構成7を利用する場合、当該第2のTDDセルのDLサブフレームに対するULサブフレームが存在しないため、A/NやCQI等のフィードバック等をどのように行うかが問題となる。
そこで、本実施の形態では、A/N等のフィードバックを行う場合に、DL/UL構成7を利用するTDDセルをFDDセルとみなして、A/N等のフィードバックを制御する(HARQメカニズムを適用する)。つまり、セカンダリセルとなるTDDセルがDL/UL構成7を適用する場合に、当該TDDセルをFDDセルとみなして、当該TDDセルのDLサブフレームに対するA/N、CQI等をプライマリセルの所定のULサブフレームに多重する。
例えば、上記図4Bに示すように、FDDセルがプライマリセル、TDDセルがセカンダリセルに設定され、TDDセルでDL/UL構成7を利用する場合を想定する。この場合、当該TDDセルをFDDセルとみなし、FDD−FDD CAのDL HARQメカニズム(例えば、Rel.10のHARQメカニズム)を適用する(図6参照)。
例えば、CAを適用するCC(セル)数が2である場合、PUCCHフォーマット1bに基づくチャネルセレクションを利用して、TDDセルの各DLサブフレームのA/NをFDDセルの所定のULサブフレームに多重することができる(図6参照)。また、CAを適用するCC(セル)数が3以下である場合、PUCCHフォーマット3を利用して、TDDセルの各DLサブフレームのA/NをFDDセルの所定のULサブフレームに多重することができる。
このように、プライマリセルがFDDセルの場合、DL/UL構成7が設定されるTDDセルをFDDセルとみなすことにより、プライマリセルとなるFDDセルと、セカンダリセルとなるFDDセルとによる2DL/1UL CAと同一とみなすことができる。この場合、Rel.10で既に規定されているFDD−FDD CAのメカニズムを利用してA/Nフィードバックを行うことができる。その結果、DL/UL構成7用に新規のDL HARQメカニズムの導入を不要とすることができる。したがって既存の端末・無線基地局装置構成でCAを実現することができ、コストの増加を抑えつつ最短の期間で実運用を行うことが可能となる。
また、上記図4Aに示すように、第1のTDDセルがプライマリセル、第2のTDDセルがセカンダリセルに設定され、第2のTDDセルでDL/UL構成7を利用する場合を想定する。この場合、第2のTDDセルをFDDセルとみなし、2DL/1ULのTDD−FDD CAのDL HARQメカニズム(例えば、Rel.12で規定されるHARQメカニズム)を適用する(図7参照)。
図7では、TDD−FDD CA(TDDセルがPCell)において、TDDセル(第1のTDDセル)のULサブフレームに対してFDDセル(第2のTDDセル)の全てのDLサブフレームに対するA/Nの割当てが可能となるフィードバックメカニズムを示している。具体的に、図7では、PCellとなる第1のTDDセル(PCell)がDL/UL構成2のA/Nフィードバックタイミングを適用する。また、SCellとなる第2のTDDセルがDL/UL構成2をベース(基準)として、第1のTDDのULサブフレームに対して、第2のTDDセルの全てのDLサブフレームにおけるA/Nの割当てを行う(DL/UL構成2+α)。
つまり、DL/UL構成2において通常ULが設定されるサブフレーム(第2のTDDセルのSF#2、#7)に対してもA/Nフィードバックを行うことができる。なお、当該サブフレーム(SF#2、#7)のA/Nのフィードバック先としては、例えば、隣接サブフレームと同じフィードバック先とすることができる。なお、図7では、FDDセルとみなす第2のTDDセルのA/Nフィードバックタイミングとして、DL/UL構成2をベースとして利用する場合を示しているが、本実施の形態はこれに限られない。第2のTDDセルの全てのDLサブフレームにおけるA/Nの割当てが可能となるフィードバックメカニズムであれば適用可能である。
なお、本実施の形態で適用可能なHARQメカニズムは、図7に限られず、TDD−FDD CAで適用されるHARQメカニズムであれば利用することができる。
また、CC数やPCellのDL/UL構成等によっては、PCellの1ULサブフレームでフィードバックするA/Nビット数が既存のPUCCHフォーマット(PUCCHフォーマット1bに基づくチャネルセレクション、PUCCHフォーマット3)で多重可能な値より大きくなる場合も考えられる。かかる場合、SCellの所定DLサブフレームに対するA/Nフィードバックを制限して対応することができる。あるいは、SCellの所定DLサブフレームに対するA/NにA/Nバンドリングを適用して対応することができる。
このように、プライマリセルがTDDセルの場合、DL/UL構成7が設定されるセカンダリセルのTDDセルをFDDセルとみなすことにより、プライマリセルとなるTDDセルと、セカンダリセルとなるFDDセルとによる2DL/1UL CAと同一とみなすことができる。この場合、Rel.12で検討されているTDD−FDD CAのメカニズムを利用してA/Nフィードバックを行うことができる。その結果、DL/UL構成7用に新規のDL HARQメカニズムの導入を不要とすることができる。
<UL HARQ>
また、セカンダリセルとなるTDDセルで当該DL/UL構成7を利用する場合、キャリアアグリゲーションにおいてULの再送制御(UL HARQ)をどのように行うかが問題となる。例えば、上記図4Bに示すように、FDDセルがプライマリセル、TDDセルがセカンダリセルに設定され、TDDセルでDL/UL構成7を利用する場合を想定する。この場合、無線基地局から通知されるPHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)に対して、PUSCHの再送制御をどのように制御するかが問題となる。
本実施の形態では、セカンダリセルのTDDセル(DL/UL構成7)をFDDセルとみなし、キャリアアグリゲーションにおけるULの再送制御を行う。例えば、ユーザ端末が、第nサブフレームで通知されるPHICH(例えば、NACK)に対する再送信を行う場合を想定する。なお、PHICHで通知されるA/Nは、第nサブフレームより前のサブフレーム(例えば、第n−4サブフレーム)の上りリンク信号(PUSCH信号)に対するA/Nに相当する。ユーザ端末は、通知されたPHICHに基づいて、所定のサブフレーム(例えば、第n+4サブフレーム)において、プライマリセルとなるFDDのULサブフレームを用いて、第nサブフレームで通知されたPHICHに対する再送信を行う。なお、PHICHは、プライマリセルからユーザ端末に通知することができる。
このように、TDD−FDD CAにおいてプライマリセルがFDDセルの場合、DL/UL構成7が設定されるTDDセルをFDDセルとみなすことにより、プライマリセルとなるFDDセルと、セカンダリセルとなるFDDセルとによる2DL/1UL CAと同一とみなすことができる。この場合、Rel.10で既に規定されているFDD−FDD CAのメカニズムを利用してUL HARQを制御することができる。その結果、DL/UL構成7用に新規のUL HARQメカニズムの導入を不要とすることができる。したがって既存の端末・無線基地局装置構成でCAを実現することができ、コストの増加を抑えつつ最短の期間で実運用を行うことが可能となる。
また、本実施の形態では、セカンダリセルのTDDセル(DL/UL構成7)を既存のTDDセル(例えば、DL/UL構成5)とみなし、キャリアアグリゲーションにおけるULの再送制御を適用しても良い。例えば、ユーザ端末が、第nサブフレームで通知されるPHICH(例えば、NACK)に対する再送信を行う場合を想定する。なお、PHICHで通知されるA/Nは、第nサブフレームより前のサブフレーム(例えば、第n−6サブフレーム)の上りリンク信号(PUSCH信号)に対するA/Nに相当する。ユーザ端末は、通知されたPHICHに基づいて、所定のサブフレーム(例えば、第n+4サブフレーム)において、プライマリセルとなるFDDのULサブフレームを用いて、第nサブフレームで通知されたPHICHに対する再送信を行う。なお、上記の例においては、上りリンク信号を送信できるサブフレームが1つしか存在しないため、PHICHを送信できるセカンダリセルの下りサブフレームも1つしか存在しない。したがって、これ以外の下りサブフレームに対応する上り信号(例えば、プライマリセルの上り信号)を再送させる場合は、PHICHではなくPDCCHやEPDCCHを用いて行うことが考えられる。なお、PHICHは、プライマリセルからユーザ端末に通知することができる。
このように、TDD−FDD CAにおいてプライマリセルがFDDセルの場合、DL/UL構成7を設定しているTDDセルにDL/UL構成5と同一のULの再送制御を適用することで、DL/UL構成5と同一の下りサブフレームにPHICHが送信されることになる。これにより、DL/UL構成7をサポートしていないユーザ端末(例えば、Rel.11以前のUE)であって、DL/UL構成5を設定されたユーザ端末も適切にサポートすることができる。これは、下りサブフレームにおいてPHICHの有無によってPDCCHのマッピング法が異なるためである。
(第3の態様)
上述したように、全てのサブフレームでDL伝送が可能となるDL伝送用のDL/UL構成(DL/UL構成7)では、ULサブフレームが存在しない。そのため、DL/UL構成7を利用する場合には、既存のDL/UL構成0〜6とは異なる動作を規定することができる。以下に、DL/UL構成7を適用する場合の動作の一例について説明する。
<制御チャネルフォーマットインディケーター>
制御チャネルフォーマットインディケーター(PCFICH:Physical Control Format Indicator Channel)は、サブフレームにおいて下り制御チャネル(PDCCH)に利用されるシンボル数に関する情報を通知する。例えば、TDDにおいて、既存のDL/UL構成0〜6を利用する場合、下りリンクに利用するリソースブロック(RB)数(NDL RB)に応じて、サブフレーム1、6においては、PDCCH用のOFDMシンボル数が2以下に制限される(図13参照)。
例えば、NDL RB>10の場合には、PDCCH用のOFDMシンボル数が1又は2に設定され、NDL RB≦10の場合には、PDCCH用のOFDMシンボル数が2に設定される。これは、既存のTDDのDL/UL構成では、サブフレーム1、6において特殊サブフレームが設定される(サブフレーム6では一部のDL/UL構成に特殊サブフレームが設定)ため、DL伝送用(DwPTS)に利用できるシンボル数が通常のDLサブフレームと比較して少ないためである。
一方で、上記図3に示すように、ULサブフレーム及び特殊サブフレームが設定されないDL/UL構成7を利用する場合には、サブフレーム1、6においてDL伝送用のシンボル数は制限されない。このため、DL/UL構成7を利用する場合には、DL/UL構成0〜6とは異なり、サブフレーム1、6におけるPDCCH用のOFDMシンボル数を2以下に制限せずに規定することができる(図13参照)。例えば、DL/UL構成7を利用する場合、RB数>10であればPDCCH用のOFDMシンボル数を1、2又は3とし、RB数≦10であればPDCCH用のOFDMシンボル数を2、3又は4とすることができる。
このように、DL/UL構成7を適用する場合、サブフレーム1、6においてPDCCHに利用するOFDMシンボル数をDL/UL構成0〜6を適用する場合と異なって設定できる構成とする。これにより、TDDにおいて、DL/UL構成7を適用する場合、DL/UL構成に応じて、PCFICH(PDCCHに利用するOFDMシンボル数)を柔軟に制御することができる。
<CSI−RSマッピング>
CSI−RSは、下りリンクのチャネル状態を推定するための参照信号である。TDDにおいて、既存のDL/UL構成0〜6を利用する場合、ユーザ端末は、特殊サブフレームにCSI−RSが送信されないと仮定して動作する。これは、特殊サブフレームでは、DL伝送用(DwPTS)に利用できるシンボル数が通常のDLサブフレームと比較して少ないためである。
一方、上記図3に示すDL/UL構成7を利用する場合には、特殊サブフレームが設定されない。そこで、本実施の形態では、ユーザ端末は、TDDのDL/UL構成7を除いたDL/UL構成0〜6を利用する場合に、特殊サブフレームにCSI−RSが送信されないと仮定して受信動作を行う。つまり、TDDを適用するユーザ端末は、DL/UL構成0〜6における特殊サブフレームにおいてCSI−RSが設定されないと仮定し、DL/UL構成7ではCSI−RSの送信制限を仮定せずに受信動作を行うことができる。
<非周期CSIフィードバック>
FDDを適用するユーザ端末は、下り制御チャネル(PDCCH/EPDCCH)に、非周期CSI報告(aperiodic CSI report)をトリガするためのCSI要求フィールドが含まれている場合、所定サブフレーム後にPUSCHを利用して報告する。例えば、第nサブフレームで受信した下り制御チャネルに非周期CSI報告のトリガ情報が含まれている場合、第n+4サブフレームのPUSCHで非周期CSIをフィードバックする。
上述したように、DL/UL構成7はULサブフレームが存在しないため、当該DL/UL構成7を利用するユーザ端末は、非周期CSI報告をどのように行うか問題となる。そこで、本実施の形態では、DL/UL構成7を適用するユーザ端末が、FDDを適用するユーザ端末と同様に非周期CSIのフィードバックを制御する構成とすることができる。
例えば、上記図4Bに示すように、FDDセルがプライマリセル、TDDセルがセカンダリセルに設定され、TDDセルでDL/UL構成7を利用する場合を想定する。この場合、第nサブフレームで受信した下り制御チャネルに非周期CSI報告のトリガ情報が含まれている場合、ユーザ端末は、プライマリセル(FDDセル)の第n+4サブフレームのPUSCHで非周期CSIをフィードバックする。
<HARQ−ACK繰り返し動作>
無線基地局は、ユーザ端末に対して、上位レイヤシグナリングを用いて、HARQ−ACK繰り返し(HARQ-ACK repetition)動作を設定することができる。HARQ−ACK繰り返し動作を設定されたユーザ端末は、所定パラメータでA/Nの送信を繰り返し行う。既存のシステムでは、HARQ−ACK繰り返しは、サービングセル(FDDセル又はTDDセル)が1つ設定されるユーザ端末にのみ許容されていた。さらに、TDDにおいては、A/Nバンドリングを行う場合のみ許容されていた。これはバンドリングにより劣化したA/Nの受信品質を改善して、カバレッジを確保するためである。
一方で、DL/UL構成7を利用する場合には、ULサブフレームが存在せずFDDのDLと似た構成となる。このため、TDDであってもDL/UL構成7を利用する場合には、A/Nバンドリングを行う場合に限らずHARQ−ACK繰り返しをサポートする構成とすることができる。これにより、A/Nの受信品質を改善することができる。
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの一例について、詳細に説明する。
図8は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。なお、図8に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域幅を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーション(CA)が適用することができる。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
図8に示す無線通信システム1は、マクロセルC1を形成する無線基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する無線基地局12a及び12bとを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。ユーザ端末20は、無線基地局11及び無線基地局12の双方に接続すること(dual connectivity)ができる。また、無線基地局11と無線基地局12間で基地局内CA(Intra−eNB CA)、又は基地局間CA(Inter−eNB CA)が適用される。また、無線基地局11と無線基地局12間のCAとしては、TDD−TDD CA又はTDD−FDD CA等を適用することができる。
ユーザ端末20と無線基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が狭いキャリア(既存キャリア、Legacy carrier等と呼ばれる)を用いて通信を行うことができる。一方、ユーザ端末20と無線基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHz等)で帯域幅が広いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局11との間と同じキャリアが用いられてもよい。ユーザ端末20と無線基地局12間のキャリアタイプとしてニューキャリアタイプ(NCT)を利用してもよい。無線基地局11と無線基地局12(又は、無線基地局12間)は、有線接続(Optical fiber、X2インターフェース等)又は無線接続されている。
無線基地局11及び各無線基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、各無線基地局12は、無線基地局11を介して上位局装置に接続されてもよい。
なお、無線基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB、マクロ基地局、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。また、無線基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、スモール基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、マイクロ基地局、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局11及び12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、図8に示す無線通信システムで用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、拡張PDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、拡張PDCCH(EPDCCH)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。このEPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重される。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
図9は、本実施の形態に係る無線基地局10(無線基地局11及び12を含む)の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下りリンクの制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
また、ベースバンド信号処理部104は、上位レイヤシグナリング(RRCシグナリング、報知信号等)により、ユーザ端末20に対して、当該セルにおける通信のための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、TDDセルで利用するDL/UL構成に関する情報、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅、フィードバック用のリソース情報等が含まれる。各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。送受信部103は、TDDセルで利用するDL/UL構成に関する情報を上位レイヤシグナリング(報知信号、RRCシグナリング等)で送信する送信部として機能する。
一方、上りリンクによりユーザ端末20から無線基地局10に送信されるデータについては、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、入力されたベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
図10は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。図10に示すように、無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104は、制御部301と、DL信号生成部302と、DL/UL構成選択部303と、マッピング部304と、UL信号復号部305と、判定部306と、を少なくとも含んで構成されている。
制御部301は、PDSCHで送信される下りユーザデータ、PDCCH及び/又は拡張PDCCH(EPDCCH)で伝送される下り制御情報、下り参照信号等のスケジューリングを制御する。また、制御部301は、PUSCHで伝送される上りデータ、PUCCH又はPUSCHで伝送される上り制御情報、上り参照信号のスケジューリングの制御(割当て制御)も行う。上りリンク信号(上り制御信号、上りユーザデータ)の割当て制御に関する情報は、下り制御信号(DCI)を用いてユーザ端末に通知される。
具体的に、制御部301は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて、下りリンク信号及び上りリンク信号に対する無線リソースの割り当てを制御する。つまり、制御部301は、スケジューラとしての機能を有している。また、無線基地局10がTDDを利用する場合には、TDDに利用するDL/UL構成選択部303で選択されたDL/UL構成に基づいて、各サブフレームに対する下りリンク信号及び上りリンク信号の割り当てを制御する。
例えば、制御部301は、セカンダリセルとなるTDDセルにおいてDL/UL構成7が設定される場合、ユーザ端末に対して、全てのサブフレームでDL伝送を行う。また、Inter−eNB CAでは、制御部301は複数CC毎に独立に設けられており、Intra−eNB CAでは、制御部301は複数CCに対して共通に設けた構成とすることができる。
DL信号生成部302は、制御部301により割当てが決定された下り制御信号(PDCCH信号及び/又はEPDCCH信号)や下りデータ信号(PDSCH信号)を生成する。具体的に、DL信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、下りリンク信号の割当て情報を通知するDL割当て(DL assignment)と、上りリンク信号の割当て情報を通知するULグラント(UL grant)を生成する。また、DL信号生成部302は、DL/UL構成選択部303で選択されたDL/UL構成に関する情報を生成する。
DL/UL構成選択部303は、トラヒック等を考慮してTDDで利用するDL/UL構成を選択する。本実施の形態では、TDDセルにおいて、DL伝送用のDL/UL構成(例えば、DL/UL構成7)が新たに追加して定義される(上記図3、図5等参照)。DL/UL構成選択部303は、当該TDDセルがセカンダリセル(SCell)である場合に限ってDL/UL構成7を選択することが可能となる。例えば、DL/UL構成選択部303は、TDDセルがセカンダリセルに設定され、ユーザ端末に対するDLデータ量が大きい場合に、複数のDL/UL構成0〜7の中から、DL/UL構成7を選択する。なお、DL/UL構成選択部303は、上位局装置30等からの情報に基づいてDL/UL構成を選択することができる。
マッピング部304は、制御部301からの指示に基づいて、DL信号生成部302で生成された下り制御信号と下りデータ信号の無線リソースへの割当てを制御する。
UL信号復号部305は、上り制御チャネル(PUCCH)でユーザ端末から送信されたフィードバック信号(送達確認信号等)を復号し、制御部301へ出力する。また、UL信号復号部305は、上り共有チャネル(PUSCH)でユーザ端末から送信された上りデータ信号を復号し、判定部306へ出力する。判定部306は、UL信号復号部305の復号結果に基づいて、再送制御判定(ACK/NACK)を行うと共に結果を制御部301に出力する。
図11は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報もアプリケーション部205に転送される。送受信部203は、ユーザ端末20がTDDセルと接続する場合に、複数のDL/UL構成の中から選択された所定のDL/UL構成に関する情報を受信する受信部として機能する。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(H−ARQ (Hybrid ARQ))の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理等が行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
図12は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。図12に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、DL信号復号部401と、DL/UL構成判断部402と、判定部403と、制御部404と、UL信号生成部405と、マッピング部406と、を少なくとも含んで構成されている。
DL信号復号部401は、下り制御チャネル(PDCCH)で送信された下り制御信号(PDCCH信号)を復号し、スケジューリング情報(上りリソースへの割当て情報)を制御部404へ出力する。また、DL信号復号部401は、下り共有チャネル(PDSCH)で送信された下りデータ信号を復号し、判定部403へ出力する。判定部403は、DL信号復号部401の復号結果に基づいて、再送制御判定(ACK/NACK)を行うと共に結果を制御部404に出力する。
DL/UL構成判断部402は、無線基地局から通知されるDL/UL構成に関する情報を判断する。DL/UL構成判断部402は、検出したDL/UL構成に関する情報を制御部404等に出力する。なお、本実施の形態では、ユーザ端末がセカンダリセルとなるTDDセルに接続する場合に限って、DL/UL構成判断部402が上記DL/UL構成7を検出する。
制御部404は、無線基地局から送信された下り制御信号(PDCCH信号)や、受信したPDSCH信号に対する再送制御判定結果に基づいて、上り制御信号(フィードバック信号)や上りデータ信号の生成を制御する。下り制御信号はDL信号復号部401から出力され、再送制御判定結果は、判定部403から出力される。
また、制御部404は、DL/UL構成判断部402から出力されるDL/UL構成に関する情報に基づいて、上り制御信号や上りデータ信号の送信を制御する。DL/UL構成としては、上記図3、図5に示したDL/UL構成0〜7のいずれかを利用する。なお、DL/UL構成7については、接続したTDDセルがセカンダリセルである場合に限って利用することとなる。
また、制御部404は、PDSCH信号に対する送達確認信号(A/N)のフィードバックを制御するフィードバック制御部としても機能する。具体的に、制御部404は、CAが適用される通信システムにおいて、A/Nをフィードバックするセル(又は、CC)や、A/Nを割当てるPUCCHリソースの選択を制御する。
例えば、プライマリセルがFDDセル、セカンダリセルがTDDセルであり、当該TDDセルにおいてDL/UL構成7が設定される場合、制御部404は、TDDセルをFDDセルとみなして、FDDセル−FDDセルのCAにおけるA/Nフィードバックメカニズムを適用することができる(上記図6参照)。この場合、制御部404は、TDDセルの各DLサブフレームに対するA/Nを、FDDセルの所定のULサブフレームを用いてフィードバックする。
また、プライマリセル及びセカンダリセルがTDDセルであり、セカンダリセルとなるTDDセルにおいてDL/UL構成7が設定される場合、制御部404は、セカンダリセルとなるTDDセルをFDDセルとみなして、TDDセル−FDDセルのCAにおけるA/Nフィードバックメカニズムを適用することができる(上記図7参照)。この場合、制御部404は、プライマリセルのULサブフレームに対して、セカンダリセルとなるTDDセルの全てのDLサブフレームに対するA/Nの割当てが可能となるように、A/Nフィードバックを制御する。
UL信号生成部405は、制御部404からの指示に基づいて上り制御信号(送達確認信号やチャネル状態情報(CSI)等のフィードバック信号)を生成する。また、UL信号生成部405は、制御部404からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。なお、DL/UL構成7が設定される場合、UL信号生成部405は、上りデータ信号の生成は行わずに、DL信号に対する上り制御信号を生成する。
マッピング部406(割当て部)は、制御部404からの指示に基づいて、上り制御信号(送達確認信号等)と上りデータ信号の無線リソース(PUCCH、PUSCH)への割当てを制御する。例えば、マッピング部406は、上り制御信号に対して、CC数に基づいてPUCCHフォーマット1bに基づくチャネルセレクション、PUCCHフォーマット3等を利用した割当てを行う。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。例えば、上述した複数の態様を適宜組み合わせて適用することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。