JP2019065389A - Cr−Fe−Ni系合金製造物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1(特開平6−58218号公報)には、燃料噴射孔を備えたノズルボディと、該ノズルボディ内に形成された案内孔内で滑動する弁を備え、該弁がノズルボディの軸方向に移動することにより前記燃料噴射孔を開閉する燃料噴射装置であって、前記弁及び該弁が着座するノズルボディの少なくとも噴射孔シート部の少なくとも一方が、質量%でC:0.1〜0.5%、Cr:12〜18%、Mo:0.5〜1.5%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.03〜0.75%であり、残りはFe及び不可避不純物からなる冷間鍛造用マルテンサイト系ステンレス鋼である高耐食燃料噴射装置が、開示されている。
また、特許文献2(特開2015−40307号公報)には、質量%で、C:0.60〜0.75%、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.01〜0.30%、Cr:10.00〜12.00%、Cu:0.10〜2.00%、残部Fe及び不可避不純物からなる有機酸に対する耐食性に優れた高硬度マルテンサイト系ステンレス鋼が、開示されている。
近年、燃焼制御技術の進展により、以前よりも高効率な内燃機関が実現してきているが、更なる高効率化の研究開発は激しさを増している。そして、当該研究開発の進展に伴って、使用される部材に対しても従来以上に高い耐食性及び高い機械的特性が求められている。また、使用される部材を製造する際の機械加工性の良否は、製造コストに直結する重要な因子である。
金属部材の研究開発において、求められる諸特性を満たすことは必須条件であるが、そのような金属部材を低コストで製造できるようにすることは、商用化の観点から最重要課題のうちの一つである。
したがって、本発明の目的は、様々な品質の燃料や劣化した潤滑油と直接接触するような厳しい腐食環境に耐えられる耐食性及び機械的特性を有し、かつニッケル基合金よりも低コスト化が可能な合金製造物、および該製造物の製造方法を提供することにある。
Cr:52〜75%、
Fe:10〜29%、
Ni:10〜24%、
Mn:0超〜2%、
Si:0超〜1%、
Al:0.005〜0.2%、
C :0超〜2%、
N :0超〜2%、
O :0超〜0.2%、
P :0超〜0.06%、
S :0超〜0.01%、
の組成を有し、
前記製造物は、α相中に短径20nm以下の析出相(針状組織は除く)を有するCr−Fe−Ni系合金製造物である。
(1)随意成分として、質量%で、
Cu:0.1〜5%、
Mo:0.1〜3%、
Sn:0.02〜0.3%、
のうちの少なくとも一種を更に含む。
(2)V、Nb、Ta及びTiのうちの少なくとも一種を更に含み、
前記V、Nb、Ta及びTiの合計原子含有率が、前記C、N及びOの合計原子含有率の0.8倍以上2倍以下の範囲である。
(3)前記製造物のビッカース硬さが600Hv1以上である。
(4)前記製造物のビッカース硬さが700Hv1以上である。
(5)前記製造物は、鋳造組織を有する鋳造成形体である。
(6)前記製造物は、再結晶組織を有する成形体である。
(7)前記製造物は、急冷凝固組織を有する急冷凝固成形体である。
(8)前記製造物は、急冷凝固組織を有する粉体である。
(9)前記製造物は、基材上に前記急冷凝固組織を有するCr−Fe−Ni系合金の被覆層が形成された複合体である。
(10)前記製造物は、焼結組織を有する粉末冶金成形体である。
なお、本発明において、随意成分とは、含有してもよいし含有しなくてもよい成分を意味
する。
前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解する溶解工程と、
前記溶解した溶湯を鋳造して鋳造成形体を形成する鋳造工程と、
前記鋳造成形体に対して800〜950℃の焼鈍を施す焼鈍工程と、
前記焼鈍した鋳造成形体に対して所望の形状となるように機械加工を施して機械加工成形体を形成する機械加工工程と、
前記機械加工成形体に対して1000〜1300℃の硬化熱処理を施す硬化工程と、
を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法である。
前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解する溶解工程と、
前記溶解した溶湯を鋳造して鋳造成形体を形成する鋳造工程と、
前記鋳造成形体に対して塑性加工を施して塑性加工成形体を形成する塑性加工工程と、
前記塑性加工成形体に対して800〜950℃の焼鈍を施す焼鈍工程と、
前記焼鈍した塑性加工成形体に対して所望の形状となるように機械加工を施して機械加工成形体を形成する機械加工工程と、
前記機械加工成形体に対して1000〜1300℃の硬化熱処理を施す硬化工程と、
を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法である。
前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解する溶解工程と、
前記溶解した溶湯から合金粉末を形成するアトマイズ工程と、
前記合金粉末を用いてプレス成型または射出成型を行って粉末成形体を形成する粉末成型工程と、
前記粉末成形体に対して1000℃以上で前記合金の固相線温度未満の焼結熱処理を施して粉末焼結体を形成する焼結工程と、
前記粉末焼結体に対して1000〜1300℃の硬化熱処理を施す硬化工程と、
を有するCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法である。
(1)前記焼結熱処理は、1000℃以上で前記合金の固相線温度未満かつ500気圧以上3000気圧以下の熱間等方圧加圧処理を含む。
また、本発明は、上記の本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法(II)〜(IV)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(2)前記溶解工程は、前記原料を混合・溶解して溶湯を形成した後に一旦凝固させて原料合金塊を形成する原料合金塊形成素工程と、前記原料合金塊を再溶解して清浄化溶湯を用意する再溶解素工程とからなる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、同義の状態・工程については、同じ符号を付して重複する説明を省略する。また、本発明は、ここで取り挙げた実施形態に限定されるものではなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で公知技術と適宜組み合わせたり公知技術に基づいて改良したりすることが可能である。
前述したように、本発明に係る合金は、Cr、Fe及びNiを主要成分とするCr−Fe−Ni系合金であり、副成分としてMn、Si、Al、C、N及びOを含み、不純物(例えば、P及びS)を含む。随意的にCu、Mo及びSnのうちの一種以上、及び/またはV、Nb、Ta及びTiのうちの一種以上を更に含んでもよい。なお、主要成分と副成分と随意成分との合計含有率は99質量%超が好ましい。言い換えると、不純物の含有率は1質量%未満が好ましい。
以下、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金の組成(各成分)について説明する。
Crは本Cr−Fe−Ni系合金の主要成分の1つであり、高耐食性のフェライト相の形成に寄与すると共に、オーステナイト相においても耐食性の向上に寄与する成分である。前述の効果を得るためにはCrの含有率を52質量%以上75質量%以下とする。Cr含有率の下限は55質量%が好ましく、Cr含有率の上限は65質量%が更に好ましい。Cr含有率が52質量%未満になると、フェライト相中への微細析出物が減少し、Cr−Fe−Ni系合金の耐食性及び機械的特性(例えば、硬さ、延性、靱性)が不十分になる。一方、Cr含有率が75質量%超になると、Cr−Fe−Ni系合金の機械的特性が低下する。
耐食性と材料コストとの観点から、主要3成分(Cr、Fe、Ni)のうちでCrが最大含有率であることが好ましい。言い換えると、本発明のCr−Fe−Ni系合金は、Niよりも安価なCrを最大成分とすることから、Niを最大成分とするNi基合金よりも材料コストを低減できる利点と共に、Ni基合金と同等以上の耐食性を確保できる利点がある。
Feも本Cr−Fe−Ni系合金の主要成分の1つであり、良好な機械的特性を確保するための基本成分である。前述の効果を得るためにはFeの含有率を10質量%以上29質量%以下とする。Fe含有率の下限は11質量%が好ましく、Fe含有率の上限は28質量%が好ましく、更に好ましくは27質量%である。Fe含有率が10質量%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の機械的特性が不十分になる。一方、Fe含有率が29質量%超になると、800℃近傍の温度域で脆性の金属間化合物のσ相が生成し易くなり、Cr−Fe−Ni系合金の延性・靱性が著しく低下する(いわゆるσ相脆化)。言い換えると、Feの含有率を10〜29質量%の範囲に制御することにより、Cr−Fe−Ni系合金のσ相脆化を抑制して良好な機械的特性を確保することができる。
Niも本Cr−Fe−Ni系合金の主要成分の1つであり、良好な加工性を有するオーステナイト相の形成に寄与すると共に、フェライト相においても延性・靱性の向上に寄与する成分である。前述の効果を得るためにはNiの含有率は10質量%以上24質量%以下とする。Ni含有率の好ましい上限は20質量%である。合金の硬さを重要視する場合、Niの含有率は10質量%以上17質量%未満が更に好ましい。Ni含有率が10質量%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の加工性が低下する。一方、Ni含有率が24質量%超になるとフェライト中の微細析出が減少し、Cr−Fe−Ni系合金の硬さが不十分になる。
FeとNiとの合計含有率は、25質量%以上48質量%以下が好ましい。より好ましい合計含有率の下限は26質量%であり、好ましい上限は46質量%である。更に好ましい合計含有率の範囲は34質量%以上44質量%以下である。合計含有率が25質量%未満になると、Cr−Fe−Ni系合金の加工性が不十分になりやすくなる。一方、合計含有率が48質量%超になると、機械的特性が不十分になりやすくなる。
Mnは本Cr−Fe−Ni系合金の副成分の1つであり、脱硫・脱酸素の役割を担って機械的特性の向上及び耐炭酸ガス腐食性の向上に寄与する成分である。前述の効果を得るためにはMnの含有率を0質量%超2質量%以下とする。Mnの効果をより確実に得るための好ましい下限は0.2質量%であり、更に好ましくは1質量%である。Mn含有率が2質量%超になると、硫化物(例えばMnS)の粗大粒子を形成して耐食性や機械的特性の低下要因になる。
Si:0質量%超1質量%以下
Siも本Cr−Fe−Ni系合金の副成分の1つであり、脱酸素の役割を担って機械的特性の向上に寄与する成分である。前述の効果を得るためにはSiの含有率を0質量%超1質量%以下とする。Siの効果をより確実に得るための下限は0.1質量%であり、更に好ましくは0.3質量%である。Si含有率の好ましい上限は0.8質量%である。Si含有率が1質量%超になると、酸化物(例えばSiO2)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になる。
Al:0.005質量%以上0.2質量%以下
Alも本Cr−Fe−Ni系合金の副成分の1つであり、Mn及びSi成分と組み合わせることで脱酸素作用の向上に寄与する成分である。前述の効果を得るためにはAlの含有率は、0.005質量%以上0.2質量%以下とする。Alの効果をより確実に得るための好ましい下限は0.008質量%であり、更に好ましくは0.01質量%である。好ましいAlの上限は0.1質量%であり、更に好ましくは0.05質量%である。Al含有率が0.005質量%未満になると、Alによる作用効果が十分に得られない。また、Al含有率が0.2質量%超になると、酸化物や窒化物(例えば、Al2O3やAlN)の粗大粒子を形成して機械的特性の低下要因になる。
Cは母相中に固溶したり炭化物として晶出または析出したりすることによって合金を硬化させる作用効果がある。前述の効果を得るためにはCの含有率を0質量%超2質量%以下とする。C含有率が2質量%超になると、本Cr−Fe−Ni系合金の構成元素と化合して粗大粒子(例えばCr炭化物)を形成して耐食性や機械的特性の低下要因になる。
ここで、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物において、耐食性をより重要視する場合(例えば、硬さなどの機械的強度よりも耐食性が重要になる場合)、C含有率は0質量%超0.1質量%以下の範囲がより好ましく、0質量%超0.03質量%以下が更に好ましい。一方、機械的強度をより重要視する場合(例えば、耐食性よりも機械的強度が重要になる場合)、C含有率は0.03質量%超2質量%以下がより好ましく、0.05質量%超2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%超2質量%以下が特に好ましい。
Nは、母相中に固溶したり窒化物として晶出または析出したりすることによって機械的特性(例えば硬さ)を向上させる作用効果がある。前述の効果を得るためにはNの含有率は、0質量%超2質量%以下とする。N含有率が2質量%超になると、本Cr−Fe−Ni系合金の構成元素と化合して粗大粒子(例えばCr窒化物)を形成して機械的特性(特に、延性、靱性)の低下要因になる。
ここで、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物において、耐食性をより重要視する場合、N含有率は0質量%超0.1質量%以下がより好ましく、0質量%超0.02質量%以下が更に好ましい。一方、機械的強度をより重要視する場合、N含有率は0.02質量%超2質量%以下がより好ましく、0.06質量%超2質量%以下が更に好ましく、0.2質量%超2質量%以下が特に好ましい。
Oは、本Cr−Fe−Ni系合金の構成成分と化合して微細な酸化物粒子を形成した場合に、機械的特性(例えば硬さ)を向上させる作用効果がある。前述の効果を得るためにはOの含有率を0質量%超0.2質量%以下とする。O含有率が0.2質量%超になると、粗大な酸化物粒子(例えば、Fe酸化物、Si酸化物、Al酸化物)を形成して機械的特性(特に、延性、靱性)の低下要因になる。
ここで、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物において、耐食性をより重要視する場合、O含有率は0質量%超0.05質量%以下がより好ましく、0質量%超0.03質量%以下が更に好ましい。一方、機械的強度をより重要視する場合、O含有率は0.05質量%超0.2質量%以下がより好ましく、0.07質量%超0.2質量%以下が更に好ましい。
P:0質量%超0.06質量%以下
Pは本Cr−Fe−Ni系合金の結晶粒界に偏析し易く、機械的特性や粒界の耐食性を低下させる不純物である。Pの含有率を0.06質量%以下に制御することで、それらの負の影響を抑制することができる。P含有率は0.03質量%以下がより好ましい。
S:0質量%超0.01質量%以下
Sは本Cr−Fe−Ni系合金の構成成分と化合して比較的低融点の硫化物(例えば、Fe硫化物、Mn硫化物)を生成し易く、機械的特性や耐孔食性を低下させる不純物成分である。Sの含有率を0.01質量%以下に制御することで、それらの負の影響を抑制することができる。S含有率は、0.003質量%以下がより好ましい。
Cu:0.1質量%以上5質量%以下
Cuは本Cr−Fe−Ni系合金において耐食性の向上に寄与する随意成分である。Cuを含有する場合、その含有率は、0.1質量%以上5質量%以下とする。前述の効果を得るためにはCuの好ましい上限は4質量%である。Cu含有率が0.1質量%未満になると、Cuに基づく作用効果が十分に得られない(特段の不具合は生じない)。また、Cu含有率が5質量%超になると、フェライト相中にCu析出物を生成し易くなり、合金の延性・靭性の低下要因になる。
Mo:0.1質量%以上3質量%以下
Moは本Cr−Fe−Ni系合金において耐食性の向上に寄与する随意成分である。具体的には、不動態皮膜の安定化に寄与し、耐孔食性の向上が期待できる。Mo成分を含有する場合、その含有率は、0.1質量%以上3質量%以下とする。0.1質量%以上2質量%以下がより好ましい。Mo含有率が0.1質量%未満になると、Mo成分に基づく作用効果が十分に得られない(特段の不具合は生じない)。また、Mo含有率が3質量%超になると、脆化相(例えばσ相)の生成を助長し、合金の延性・靭性の低下要因になる。
Sn:0.02質量%以上0.3質量%以下
Snは本Cr−Fe−Ni系合金において不動態皮膜強化の役割を担い、耐食性・耐摩耗性の向上に寄与する随意成分である。具体的には、塩化物イオンや酸性の腐食環境に対する耐性の向上が期待できる。Snの含有率は、0.02質量%以上0.3質量%以下とする。前述の効果を得るためにはSnの下限を0.05質量%とするのが好ましい。Sn含有率が0.02質量%未満になると、Sn成分に基づく作用効果が十分に得られない(特段の不具合は生じない)。また、Sn含有率が0.3質量%超になると、Sn成分の粒界偏析を生じさせて合金の延性・靱性の低下要因になる。
また、Vは合金の機械的特性(例えば、硬さ)を向上させる副次的な作用効果がある。Nbも合金の機械的特性(例えば、靱性)を向上させる副次的な作用効果がある。TaやTiは、合金の耐食性を向上させる副次的な作用効果がある。
V、Nb、Ta及びTiのうちの一種以上の合計原子含有率(原子%)は、C、N及びO成分の合計原子含有率(原子%)の0.8倍以上2倍以下の範囲となるように制御することが好ましく、0.8倍以上1.5倍以下の範囲がより好ましい。随意成分の合計含有率が、C、N及びOの合計原子含有率の0.8倍未満になると、上記の作用効果が十分に得られない(特段の不具合は生じない)。一方、V、Nb、Ta及びTiのうちの一種以上の合計原子含有率が、C、N及びOの合計原子含有率の2倍超になると、合金の延性・靭性の低下要因になる。
本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の微細組織(金属組織とも言う)について説明する。
一般的に、主要成分にFeを含む合金の微細組織は、体心立方格子の結晶構造を有するフェライト組織(フェライト相、α相とも言う)と、面心立方格子の結晶構造を有するオーステナイト組織(オーステナイト相、γ相とも言う)と、ひずんだ体心立方格子の結晶構造を有するマルテンサイト組織(マルテンサイト相、α’相とも言う)とに大別される。
本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物中のフェライト相は、Cr含有率の高いフェライト相(以下、単純に「高Crフェライト相」や「フェライト相」と称する場合がある)であり、耐食性(例えば、耐SCC性)に優れ、高い機械的強度(例えば、0.2%耐力や硬さ)を有するが、オーステナイト相に比して延性・靭性が相対的に低いとされている。オーステナイト相は、高Crフェライト相に比して相対的に高い延性・靭性を有するが、機械的強度が相対的に低いとされている。また、通常環境において高い耐食性を示すが、腐食環境が厳しくなると耐SCC性が急激に低下するとされている。
本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物は、使用される部材に加工した後の使用時には、微細組織として、オーステナイト相及び高Crフェライト相の二相が混在する二相組織、または高Crフェライト相の単相組織を有する。高Crフェライト相の単相組織の場合、上述した高Crフェライト相の利点(耐SCC性を含む優れた耐食性、高い機械的強度)を存分に享受できる。一方、二相組織の場合、高Crフェライト相の利点とオーステナイト相の利点(優れた延性・靭性)とをバランスよく示すことができる。
なお、フェライト相及びオーステナイト相以外の脆性の金属間化合物などの相(例えば、σ相などの異相)は、本Cr−Fe−Ni系合金製造物中に検出されないことが望ましいが、機械的特性や耐食性に著しい悪影響を及ぼさない範囲(例えば、異相の占有率が断面組織観察における面積率で3%以下)ならば許容される。
また、硬化工程において、1000℃以上から冷却時間を半冷2分以上20分以下に制御した際に、α相内に短径が20nm以下の微細析出相(針状組織は除く)が生じ、高Crフェライト相の硬度を向上できる。なお、本発明で針状組織を除くとしたのは、この組織が高硬度化に寄与しないためである。本発明でいう「針状組織」とは、短径 20nm以下の析出相であって、その長径が100nmを超える直線状の形状を有する析出相を指す。
なお、機械的特性及び耐食性の観点からは、高Crフェライト相及びオーステナイト相の結晶粒径が小さい金属組織(例えば、熱間加工組織、急冷凝固組織、焼結組織)を有する方が有利である。具体的には、平均結晶粒径は40μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
本発明における高Crフェライト相及びオーステナイト相の平均結晶粒径は、微細組織観察像に対する従前の画像処理技術で解析・算出される平均結晶粒径を採用することができる。例えば、合金バルク試料の研磨面の光学顕微鏡観察像または電子顕微鏡観察像(視野面積100μm×100μm以上の観察像)を画像解析ソフト(例えば、ImageJ、パブリックドメインソフト)で読み込んで、当該視野内の結晶粒の平均面積を解析した後、該平均面積と等価面積の円の直径を平均結晶粒径として算出する。
次に、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法について説明する。
(鋳造材の製造方法)
図2は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法の一例であり、鋳造材の製造方法を示す工程図である。図2に示したように、まず、所望の組成(主要成分+副成分+必要に応じて随意成分)となるようにCr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯10を形成する溶解工程(ステップ1:S1)を行う。原料の混合方法や溶解方法に特段の限定はなく、高耐食性・高強度合金の製造における従前の方法を利用できる。溶湯10を精錬してもよい。
また、合金中の不純物成分(O、P及びS)の含有率をより低減する(合金の清浄度を
高める)ため、溶解工程S1が、Cr−Fe−Ni系合金の原料を混合・溶解して溶湯10を形成した後に一旦凝固させて原料合金塊11(消耗電極)を形成する原料合金塊形成素工程(ステップ1a:S1a)と、該原料合金塊11を再溶解して清浄化溶湯12を用意する再溶解素工程(ステップ1b:S1b)とからなることはより好ましい。合金の清浄度を高められる限り再溶解方法に特段の限定はないが、例えば、真空アーク再溶解(VAR)やエレクトロスラグ再溶解(ESR)を好ましく利用できる。
次に、所定の鋳型を用いて溶湯10を鋳造して鋳造成形体20を形成する鋳造工程(ステップ2:S2)を行う。なお、上述したように再溶解工程S1bを行った場合は、鋳造工程S2は、清浄化溶湯12を鋳造して鋳造成形体20を形成する工程となる。なお、精密鋳造の場合(最終製品形状に近い形状となる鋳造成形体を得ようとする場合)は、溶解工程S1で成分調整した溶湯10を一旦鋳造して大型の母合金塊を用意し、該母合金塊を適度な大きさに分割した後、再溶解して、精密鋳造用鋳型で鋳造を行うことがある。その場合、最終製品の機械的特性及び耐食性の観点から凝固時の結晶粒粗大化(粗大な鋳造凝固組織)を抑制できる冷却速度を確保することが好ましい。
次に、焼鈍した鋳造成形体20に対して所望の形状となるように機械加工を施して機械加工成形体30を形成する機械加工工程(ステップ4:S4)を行う。なお、本発明における機械加工とは、所望形状に成形するために工作機械を用いて行う加工(例えば、切削加工、研削加工、放電加工、レーザー加工、ウォータージェット加工)を意味するものとする。
なお、硬化工程S5の後に、仕上加工工程として機械加工(例えば、研磨)を行ってもよい。仕上加工工程は、他の製造物に対しても同様である。
図3は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法の他の一例であり、塑性加工材の製造方法を示す工程図である。図3では、棒状材を作製する工程について示した。また、図面の簡単化のため、原料合金塊形成工程S1a及び再溶解工程S1bの記載を省略したが、当然のことながらそれらの工程を行ってもよい。
図3に示したように、塑性加工材の製造方法は、図2の鋳造材の製造方法における鋳造工程S2と焼鈍工程S3との間に、塑性加工工程(ステップ6:S6)を有する点で異なり、他の工程を同じとするものである。そこで、塑性加工工程S6についてのみ説明する。
塑性加工材の製造方法では、鋳造工程S2で得られた鋳造成形体20に対して、塑性加工を施して塑性加工成形体40を形成する塑性加工工程S6を行う。塑性加工の種類・方法に特段の限定はなく、従前の種類・方法(例えば、鍛造、押出、引抜、圧延、それぞれ熱間、温間、冷間を含む)を利用できる。
塑性加工を施すことにより、鋳造成形体20の鋳造凝固組織を壊して、鋳造組織の結晶粒よりも平均結晶粒径が小さい微細組織を有するCr−Fe−Ni系合金の塑性加工成形体40を得ることができる。
なお、塑性加工成形体40に機械加工を施した機械加工成形体30’は、硬化工程S5を行うことにより、再結晶粒が見られる微細組織(再結晶組織)となる。
図4は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法の他の一例であり、急冷凝固材の製造方法を示す工程図である。図4では、粉体及び肉盛溶接材を作製する工程について示した。肉盛溶接材とは、部材表面に肉盛溶接することで部材が急冷凝固材に被覆された複合体である。また、図面の簡単化のため、原料合金塊形成工程S1a及び再溶解工程S1bの記載を省略したが、当然のことながらそれらの工程を行ってもよい。
図4に示したように、急冷凝固材(ここでは、粉体及び肉盛溶接材)の製造方法は、原料混合溶解工程S1を図2の鋳造材の製造方法と同じとし、鋳造工程S2及び機械加工工程S4の代わりにアトマイズ工程(ステップ7:S7)、分級工程(ステップ8:S8)及び肉盛溶接工程(ステップ9:S9)を行う点で異なる。そこで、アトマイズ工程S7〜肉盛溶接工程S9について説明する。
アトマイズ工程S7を行うことにより、溶湯10または清浄化溶湯11からCr−Fe−Ni系合金の急冷凝固合金粉末50を得ることができる。アトマイズ方法に特段の限定はなく、従前のアトマイズ方法を利用できる。例えば、肉盛用粉末用途では、高清浄・均質組成・球形状粒子が得られるガスアトマイズ法を用いることができる。また、粉末冶金用途では、不規則形状粉末が得られる水アトマイズ法を用いることができる。
アトマイズ工程S7の後、急冷凝固合金粉末50に対して、所望の粒径に揃えるための分級工程S8を行ってもよい。分級工程S8は必須の工程ではないが、急冷凝固合金粉末50の利用性向上の観点からは行うことが好ましい。また、分級する粒径に特段の限定はないが、ハンドリング性の観点から、例えば、10μm以上200μm以下の平均粒径となるように急冷凝固合金粉末50を分級することが好ましい。得られた急冷凝固合金粉末50は、例えば、溶接材料、粉末冶金用材料、積層造形用材料として好適に用いることができる。
次に、急冷凝固合金粉末50を用いて所望の基材61上に肉盛溶接工程S9を行うことにより、基材61上に急冷凝固組織を有する合金被覆層62が形成された肉盛溶接材60を得ることができる。なお、本発明においては、肉盛溶接工程S9は、金属粉末を用いた溶射を含むものとする。
また、肉盛溶接工程S9の後、合金被覆層62の機械的特性を調整するため(例えば、硬さを向上させるため)、硬化工程S5を行ってもよい。
図5は、本発明に係るCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法の他の一例であり、粉末冶金材の製造方法を示す工程図である。図5では、粉末焼結体を作製する工程について示した。
また、図面の簡単化のため、原料合金塊形成素工程S1a及び再溶解素工程S1bの記載を省略したが、当然のことながらそれらの素工程を行ってもよい。
図5に示したように、粉末冶金材の製造方法は、アトマイズ工程S7または分級工程S8までを図4の急冷凝固材の製造方法と同じとし、肉盛溶接工程S9の代わりに粉末成型工程(ステップ10:S10)及び焼結工程(ステップ11:S11)を行う点で異なる。そこで、粉末成型工程S10及び焼結工程S11ついて説明する。
急冷凝固合金粉末50を用いて粉末成型工程S10を行うことにより、所望形状を有するCr−Fe−Ni系合金の粉末成形体70を得ることができる。粉末成型方法に特段の限定はなく、従前の金属粉末成型方法を利用できる。例えば、プレス成型や射出成型を好ましく用いることができる。
なお、前述の他の製造物と同様に、粉末焼結体80に対して、1000℃以上1300℃以下の硬化熱処理を施す硬化工程S5を行うことが好ましい。
上記のようにして製造したCr−Fe−Ni系合金製造物は、マルテンサイト系ステンレス鋼と同等以上の機械的特性と高い耐食性とを有しながら、Niに比して安価なCrを最大成分とすることから、Ni基合金製造物よりも低コスト化を図ることができる。
その結果、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物は、厳しい腐食環境に耐えられる耐食性と高い機械的特性とが要求される種々の部材として好適に利用できる。当該適用部材としては、自動車用部材(例えば、燃料噴射装置部材、ローラーチェーン部材、ターボチャージャー部材、エンジン排気系統部材、ベアリング部材)や、鉄道、新幹線及びリニア新幹線部材(例えば、ベアリング部材、パンタグラフ部材)や、転がり軸受及びすべり軸受部材(例えばリニア軸受部材、風車軸受部材、水車軸受部材、換気扇軸受部材、ミキシング・ドラム軸受部材、コンプレッサー軸受部材、エレベータ軸受部材、エスカレータ軸受部材、惑星探査機軸受部材)や、建設機器部材(例えば、無限軌道部材、ミキシング・ドラム部材)や、船舶及び潜水艦用部材(例えば、スクリュー部材)や、環境機器部材(例えば、ゴミ焼却炉部材)や、自転車、二輪自動車及び水上バイク用部材(例えば、ローラーチェーン部材、スプロケット部材)や、機械加工装置部材(例えば、金型、圧延ロール、切削工具部材)や、油井用機器部材(例えば、回転機械(圧縮機、ポンプ)の部材(軸、軸受))や、海水環境機器部材(例えば、海水淡水化プラント機器部材、アンビリカルケーブル)や、化学プラント機器部材(例えば、液化天然ガス気化装置部材)や、発電機器関連部材(例えば、石炭ガス化装置部材、耐熱配管部材、燃料電池用セパレータ部材、燃料改質機器部材)や、傘の骨などが挙げられる。
図6bは、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物及びそれを利用した工業製品の他の一例であり、ローラーチェーンの平面模式図である。ローラーチェーンにおいては、例えば、チェーンプレート及び/またはチェーンローラとして本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物を好適に利用できる。該チェーンプレートやチェーンローラも、精密鋳造材や熱間加工材や粉末冶金材の形態で製造することができる。
図6cは、本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物及びそれを利用した工業製品の他の一例であり、射出成形金型の断面模式図である。射出成形金型においては、例えば、金型基材表面の合金被覆層として本発明のCr−Fe−Ni系合金製造物を好適に利用できる。該合金被覆層は、肉盛溶接材の形態で製造することができる。
[実験1]
(発明合金F−1〜F−11及び比較合金FC−1〜FC−8の用意)
表1に示す名目化学組成となるように、原料を高周波溶解法(溶解温度1500℃以上、減圧Ar雰囲気中)により溶解して溶湯を形成した後(溶解工程S1)、溶湯を鋳造して鋳造成形体(ここでは塑性加工用インゴット)を用意した(鋳造工程S2)。
表1において、各成分の含有率(単位:質量%)は、記載の成分の総和が100質量%となるように換算してある。またV、Nb、TaおよびTiの合計原子含有量をC,N,Oの合計原子含有量で除した値を原子含有比として記載した。なお、比較合金FC−1、FC−2はマルテンサイト系ステンレス鋼(市販品)であり、比較合金FC−4はスーパー二相鋼と称される二相ステンレス鋼(市販品)であり、比較合金FC−3はNi基合金(市販品)であり、比較合金FC−5〜FC−8は本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni系合金である。
(発明塑性加工材FM−1〜FM−22及び比較塑性加工材FCM−1〜FCM−15の作製)
実験1で用意した塑性加工用インゴットに対して、所定の形状となるように熱間鍛造を行って塑性加工成形体を用意した(塑性加工工程S6)。熱間鍛造条件としては、鍛造温度950〜1250℃、ひずみ速度8mm/s以下、鍛造1回あたりの圧下量10mm以下、鍛造回数6回以上とした。
なお、鍛造温度の範囲は、次のようにして決定したものである。各インゴットから引張試験用の試験片を別途採取して、該試験片に対してグリーブル試験機を用いて高温引張試験(試験温度800〜1350℃、引張速度10mm/s)を行った。高温引張試験の結果、絞りが60%以上となる温度範囲を鍛造温度範囲とした。
塑性加工成形体に対して、800〜950℃の焼鈍熱処理を施した(焼鈍工程S3)。ここで、機械的特性評価用の試験片として、焼鈍した塑性加工成形体から一部を採取した。
次に、機械加工成形体の試料に対して、硬化熱処理(1000〜1300℃で1時間保持した後、冷却)を施した(硬化工程S5)。硬化熱処理の温度は、焼鈍熱処理よりも100℃以上高い温度とした。なお、比較合金FC−1、FC−2、FC−3からなる機械加工成形体に対しては、それぞれの合金に適切な温度の硬化熱処理を行った。FM−1〜FM−22及びFCM−12〜FCM−15は硬化熱処理の冷却時間を半冷2分以上20分以下となるように制御しつつ大気中で冷却した。FCM−1〜FCM−11は、硬化工程S5において半冷時間の制御を行わず油冷した。
以上の工程により、試験・評価用の塑性加工材(発明塑性加工材FM−1〜FM−22及び比較塑性加工材FCM−1〜FCM−15)を作製した。各塑性加工材の作製条件を後述する表2に記す。
(FM−1〜FM−22及びFCM−1〜FCM−15に対する試験・評価)
(1)微細組織評価
各塑性加工材から組織観察用の試験片を採取した後、該試験片の表面を鏡面研磨し、シュウ酸水溶液中で電界エッチングを行った。該研磨表面を光学顕微鏡で観察した。
またツインジェット式電解研磨装置を用い、400nm以下の薄膜試料を作製して走査型透過電子顕微鏡(STEM)で観察した。観察には日本電子株式会社製JEM−2800を用いた。STEM観察による微細析出相(針状組織は除く)の有無は、外接円直径が1nm以上の析出物で判断した。
(2)機械的特性評価
機械的特性評価として、ビッカース硬度計を用いてビッカース硬さ試験(荷重1kg、荷重付加時間10s)を行った。ビッカース硬さHv1は5点測定の平均値として求めた。機械的特性評価用の試料は、硬化させた試料として先の組織観察用試験片を用い、軟化させた試料として焼鈍した熱間加工成形体から採取した試験片を用いた。
ビッカース硬さ試験の結果を以下の表記で示した。
「Hv1<400」をEグレードと評価、
「400≦Hv1<500」をDグレードと評価、
「500≦Hv1<600」をCグレードと評価、
「600≦Hv1<650」をBグレードと評価、
「650≦Hv1<700」をBBグレードと評価、
「700≦Hv1<750」をBBBグレードと評価、
「750≦Hv1<800」をAグレードと評価、
「800≦Hv1<850」をAAグレードと評価、
「850≦Hv1」をAAAグレードと評価した。
硬化させた試料では、Cグレード以上を合格と判定し、Dグレード以下を不合格と判定した。一方、軟化させた試料では、Cグレード以下を合格と判定し、Bグレード以上を不合格と判定した。機械的特性評価の結果を表2に併記する。
耐食性評価として耐硫酸性試験を行った。用意した各製造物から耐硫酸性試験用の試験
片(幅25mm、長さ25mm、厚さ1.5mm)を採取し、硫酸中の腐食速度により評価した。具体的には、pH1の硫酸溶液中に試験片を96時間浸漬する試験を行った。試験前後の各試験片の質量を測定し、腐食による平均質量減少速度m(単位:mg/(cm2・h))を測定し、2測定の平均値で求めた。
平均質量減少速度の測定の結果を以下の表記で示した。
「m<0.02」をAグレードと評価、
「0.02≦m<0.1」をBグレードと評価、
「0.1≦m<0.5」をCグレードと評価、
「0.5≦m」をDグレードと評価した。
Bグレード以上を合格と判定し、Cグレード以下を不合格と判定した。耐食性評価の結果を表2に併記する。
本発明のFM−1〜FM−22は、硬化熱処理を施すと、ビッカース硬さが全てCグレード以上(500≦Hv1)となり、マルテンサイト系ステンレス鋼の塑性加工材であるFCM−6〜FCM−9と同等以上の高い機械的強さを有していることが確認される。これに対し、二相ステンレス鋼の塑性加工材であるFCM−11とNi基合金の塑性加工材であるFCM−10とは、ビッカース硬さが不十分であった。またF−1〜F−3に対して硬化熱処理における冷却方法が異なるFM−1、FM−3及びFM−5とFCM−1〜FCM−3を比較すると、硬化熱処理の冷却時間を制御したFM−1、FM−3及びFM−5は、油冷したFCM−1〜FCM−3と比較して硬さが高かった。1000℃以上からの冷却時間を制御することでフェライト中に生じた微細析出相(針状組織は除く)が硬さを向上した主たる要因であると考える。さらに本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni合金であるFCM−4〜FCM−5とFCM−14〜FCM−15を比較すると、硬化熱処理の冷却時間を制御したFCM−14〜FCM−15は、半冷時間を制御せずに油冷したFCM−4〜FCM−5と比較して硬さが低かった。本発明の組成規定を外れる比較合金FC−7及びFC−8では硬化熱処理の冷却時間を制御しても硬さの向上は認められなかった。また、その金属組織においてもα相中に短径20nm以下の析出相の析出は確認できなかった。
なお、焼鈍工程を行った本発明材は、ビッカース硬さが低くなることから、塑性加工に
対しても高い加工性を有すると考えられる。
耐食性評価に関しては、本発明のFM−1〜FM−22は、全てAグレード(m<0.02)の評価であり、高い耐硫酸性を有していることが確認される。これに対し、比較塑性加工材FCM−6〜FCM−9は、硫酸腐食による平均質量減少速度がCグレード以下(0.1≦m)と、耐食性が不十分であった。
(発明合金C−1〜C−8及び比較合金CC−1〜CC−8の用意)
表4に示す名目化学組成となるように、原料を高周波溶解法(溶解温度1500℃以上、減圧Ar雰囲気中)により溶解して溶湯を形成した後(溶解工程S1)、該溶湯を所定の鋳型に鋳込んで鋳造成形体を用意した(鋳造工程S2)。
(発明合金C−9及びC−10の用意)
上記と同様にして、表4に示す名目化学組成となるように、原料を混合・溶解して溶湯
を形成した後(原料混合溶解工程S1)、ガスアトマイズ法により急冷凝固合金粉末を用意した(アトマイズ工程S7)。その後、急冷凝固合金粉末に対して分級工程S8を行って、平均粒径100μmの急冷凝固合金粉末を用意した。
表4において、各成分の含有率(単位:質量%)は、記載の成分の総和が100質量%となるように換算してある。なお、比較合金CC−1、CC−2はマルテンサイト系ステンレス鋼(市販品)であり、比較合金CC−4はスーパー二相鋼と称される二相ステンレス鋼(市販品)であり、比較合金CC−3はNi基合金(市販品)であり、比較合金CC−5、CC−6は本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni系合金である。
(発明鋳造製造物CM−1〜CM−8及び比較鋳造製造物CCM−1〜CCM−13の作製)
実験4で用意したC−1〜C−8及びCC−1〜CC−8の鋳造成形体に対して、800〜950℃の焼鈍熱処理を施した(焼鈍工程S3)。ここで、機械的特性評価用の試験片として、焼鈍した鋳造成形体から一部を採取した。
次に、焼鈍した鋳造成形体の残部に対して、所定の形状となるように機械加工を行って
機械加工成形体を用意した(機械加工工程S4)。なお、比較合金CC−1〜CC−4の鋳造成形体に対しては、焼鈍工程S3を行わないで機械加工工程S4を行った。
次に、機械加工成形体の試料に対して、硬化熱処理(1000〜1300℃で1時間保持した後、冷却)を施した(硬化工程S5)。硬化熱処理の温度は、焼鈍熱処理よりも100℃以上高い温度とした。なお、比較合金CC−1、CC−2、CC−3からなる機械加工成形体に対しては、それぞれの合金に適切な温度の硬化熱処理を行った。硬化熱処理後にCM−1〜CM−8及びCCM10〜CCM13は冷却時間を半冷2分以上20分以下となるように制御しつつ大気中で冷却した。CCM−1〜CCM−9は、硬化工程S5において半冷時間の制御を行わず油冷した。
以上の工程により、試験・評価用の鋳造製造物(発明鋳造製造物CM−1〜CM−8及び比較鋳造製造物CCM−1〜CCM−13)を作製した。各鋳造製造物の作製条件を後述する表4に記す。
(発明粉末冶金製造物CSM−1〜CSM−2及びCCSM−1〜CCSM−2の作製)
実験4で用意したC9〜C−10の急冷凝固合金粉末を用いて、金属粉末射出成形法により円柱状の粉末成形体(外径30mm、高さ10mm)を用意した(粉末成型工程S10)。
次に、粉末成形体に対して、焼結熱処理(1300℃で1時間保持した後、冷却時間を半冷2分以上20分以下に制御する冷却し、その後、1160℃かつ997気圧で1時間保持のHIP処理)を施して粉末焼結体を用意した(焼結工程S11)。
次に、CSM−1〜CSM−2に対して、硬化熱処理(1100℃で1時間保持した後、冷却時間を半冷2分以上20分以下に制御する冷却)を施して(硬化工程S5)、試験・評価用の発明粉末冶金製造物CSM−1〜CSM−2とした。作製条件を表4併記する。CCSM−1〜CCSM−2は、硬化工程S5において油冷した。
(CM−1〜CM−8、CSM−1〜CSM−2、CCM−1〜CCM−13及びCCSM−1〜CCSM−2に対する試験・評価)
実験5及び実験6で用意したCM−1〜CM−8、CSM−1〜CSM−2、CCM−1〜CCM−13及びCCSM−1〜CCSM−2に対して、実験3と同様の試験・評価を行った。試験・評価の結果を表4に併記する。
表4に示したように、硬化熱処理を施した本発明のCM−1〜CM−8は、ビッカース硬さが全てCグレード以上(500≦Hv1)となり、マルテンサイト系ステンレス鋼の鋳造製造物であるCCM−6〜CCM−7と同等以上の高い機械的強さを有していることが確認される。これに対し、二相ステンレス鋼の鋳造製造物であるCCM−9とNi基合金の鋳造製造物であるCCM−8とは、ビッカース硬さが不十分であった。
また、本発明のCSM−1〜CSM−2も、ビッカース硬さが全てCグレード以上(500≦Hv1)であることが確認される。またC−1〜C−3及びC−9〜C−10の硬化熱処理における冷却方法が異なるCM−1〜CM−3及びCSM−1〜CSM−2とCCM−1〜CCM−3及びCCSM−1〜CCSM−2を比較すると、半冷時間を制御したCM−1〜CM−3及びCSM−1〜CSM−2は半冷時間を制御せずに油冷したCCM−1〜CCM−3及びCCSM−1〜CCSM−2と比較して硬さが高かった。1000℃以上からの冷却時間を制御することでフェライト中に生じた微細析出相(針状組織は除く)が硬さを向上した主たる要因であると考える。さらに本発明の組成規定を外れるCr−Fe−Ni合金であるCCM−4〜CCM−5とCCM−12〜CCM−13を比較すると、硬化熱処理の冷却時間を制御したCCM−12〜CCM−13は半冷時間を制御せずに油冷したCCM−4〜CCM−5と比較して硬さが低かった。
耐食性評価に関しては、本発明のCM−1〜CM−8及びCSM−1〜CSM−2は、全てAグレード(m<0.02)の評価であり、高い耐硫酸性を有していることが確認される。これに対し、比較鋳造製造物CCM−6〜CCP−7は硫酸腐食による平均質量減少速度がCグレード以下(0.1≦m)と、耐食性が不十分であった。
(塑性加工材FHM−1〜FHM−2及び鋳造製造物CHM−1〜CHM−2の作製)
実験1及び実験2の手順で塑性加工材FHM−1〜FHM−2を作製した。ただし、硬化熱処理後の冷却速度を油冷及び半冷2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分で制御した。同様に実験4及び実験5の手順で鋳造製造物CHM1〜CHM2を作製し、硬化熱処理後の冷却速度を油冷及び半冷2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分で制御した。各製造物の作製条件を表5に記す。
(FHM−1〜FHM−2及びCHM−1〜CHM−2の評価)
ビッカース硬度計を用いてビッカース硬さ試験(荷重1kg、荷重付加時間10s)を行った。ビッカース硬さHv1は5点測定の平均値として求めた。油冷と比較してビッカース硬さの大きい試料をAグレードとし、油冷と比較してビッカース硬さの小さいものをBグレードと判定し、Aグレードを合格と判定した。結果を表5に併記する。
本発明のFHM−1及びCHM−1は半冷2〜20分においてAグレードとなり、油冷した場合よりもビッカース硬さが大きかった。またFHM−2及びCHM−2は半冷2〜5分においてAグレードとなった。以上のように合金によって好適な半冷時間が異なるものの、通常の空冷以外の方法であっても半冷時間2〜20分においてフェライト相中に短径20nm以下の微細析出物が生じ、油冷と比較してビッカース硬さが向上する。
10…溶湯、11…原料合金塊、12…清浄化溶湯、
20…鋳造成形体、30,30’…機械加工成形体、40…塑性加工成形体、
50…急冷凝固合金粉末、60…肉盛溶接材、61…基材、62…合金被覆層、
70…粉末成形体、80…粉末焼結体。
Claims (17)
- Cr−Fe−Ni系合金を用いた製造物であって、
前記Cr−Fe−Ni系合金は、質量%で、
Cr:52〜75%、
Fe:10〜29%、
Ni:10〜24%、
Mn:0超〜2%、
Si:0超〜1%、
Al:0.005〜0.2%、
C :0超〜2%、
N :0超〜2%、
O :0超〜0.2%、
P :0超〜0.06%、
S :0超〜0.01%、
の組成を有し、
前記製造物は、α相中に短径 20nm以下の析出相(針状組織は除く)を有することを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
質量%で、
Cu:0.1〜5%、
Mo:0.1〜3%、
Sn:0.02〜0.3%、
のうちの少なくとも一種を更に含むことを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1または2に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
V、Nb、Ta及びTiのうちの少なくとも一種を更に含み、
前記V、Nb、Ta及びTiの合計原子含有率が、前記C、N及びOの合計原子含有率の0.8倍以上2倍以下の範囲であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至3の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物のビッカース硬さが600Hv1以上であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至3の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物のビッカース硬さが700Hv1以上であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至5の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物は、鋳造組織を有する鋳造成形体であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至5の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物は、再結晶組織を有する成形体であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至5の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物は、急冷凝固組織を有する急冷凝固成形体であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至3の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物は、急冷凝固組織を有する粉体であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項8に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物は、基材上に前記急冷凝固組織を有するCr−Fe−Ni系合金の被覆層が形成された複合体であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項1乃至5の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物において、
前記製造物は、焼結組織を有する粉末冶金成形体であることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物。 - 請求項6に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯を得る溶解工程と、
前記溶解した溶湯を鋳造して鋳造成形体を形成する鋳造工程と、
前記鋳造成形体に対して800〜950℃の焼鈍を施す焼鈍工程と、
前記焼鈍した鋳造成形体に対して所望の形状となるように機械加工を施して機械加工成形体を形成する機械加工工程と、
前記機械加工成形体に対して1000〜1300℃の硬化熱処理を施す硬化工程と、
を有することを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。 - 請求項7に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯を得る溶解工程と、
前記溶解した溶湯を鋳造して鋳造成形体を形成する鋳造工程と、
前記鋳造成形体に対して塑性加工を施して塑性加工成形体を形成する塑性加工工程と、
前記塑性加工成形体に対して800〜950℃の焼鈍を施す焼鈍工程と、
前記焼鈍した塑性加工成形体に対して所望の形状となるように機械加工を施して機械加工成形体を形成する機械加工工程と、
前記機械加工成形体に対して1000〜1300℃の硬化熱処理を施す硬化工程と、
を有することを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。 - 請求項11に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
前記Cr−Fe−Ni系合金の原料を溶解して溶湯を得る溶解工程と、
前記溶解した溶湯から合金粉末を形成するアトマイズ工程と、
前記合金粉末を用いてプレス成型または射出成型を行って粉末成形体を形成する粉末成型工程と、
前記粉末成形体に対して1000℃以上で前記合金の固相線温度未満の焼結熱処理を施して粉末焼結体を形成する焼結工程と、
前記粉末焼結体に対して1000〜1300℃の硬化熱処理を施す硬化工程と、
を有することを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。 - 請求項14に記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法であって、
前記焼結工程は、さらに1000℃以上で前記合金の固相線温度未満かつ500気圧以上3000気圧以下の熱間等方圧加圧処理を含む。 - 請求項12乃至15の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法において、
前記溶解工程は、前記原料を溶解して溶湯を形成した後に一旦凝固させて原料合金塊を形成する原料合金塊形成素工程と、
前記原料合金塊を再溶解して清浄化溶湯を用意する再溶解素工程とからなることを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。 - 請求項12乃至14の何れかに記載のCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法において、
前記硬化熱処理は1000℃以上の温度から半冷時間2〜20分で冷却することを特徴とするCr−Fe−Ni系合金製造物の製造方法。
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- 2018-09-21 JP JP2018177164A patent/JP7302152B2/ja active Active
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