JP2019065125A - インクジェット捺染インク組成物及び記録方法 - Google Patents

インクジェット捺染インク組成物及び記録方法 Download PDF

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康弘 黄木
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Abstract

【課題】発色性、耐光性、及び目詰まり回復性に優れるインクジェット捺染インク組成物を提供する。【解決手段】アゾビスナフタレンスルホン酸(塩)が金属原子に対して配位している染料と、ラクタム構造を有する化合物と、ポリオール誘導体類と、を含み、当該染料の含有量に対する当該ラクタム構造を有する化合物及び当該ポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で1.8以上3.0以下であり、当該ポリオール誘導体類の含有量に対する当該ラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で3.0以上5.0以下である、インクジェット捺染インク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染インク組成物及び記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中で、より安定して高品質な記録物を得ることについて種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、高粘度インクを必要とする工業用インクジェットヘッドが搭載されたプリンタでの吐出安定性に優れ、かつ、インクの保存安定性及び繊維への固着性に優れたポリアミド系繊維染色染料インクを提供することを目的として、酸性染料、直接染料及び反応染料の3領域の染料から任意に選択される少なくとも1種類の染料、平均分子量が340から2200の化合物及び特定のエチレングリコールを含有する、ポリアミド系繊維染色用の水性インク組成物が開示されている。
国際公開第2010/109867号
しかしながら、特許文献1に開示されているインク組成物は、その保存安定性及び繊維への固着性には優れるものの、配位子が金属原子に対して配位している染料を用いた場合に、インクジェット捺染で得られる捺染物の耐光性及び目詰まり回復性に、まだ改善の余地がある。
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、発色性、耐光性、及び目詰まり回復性に優れるインクジェット捺染インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の配位子が金属原子に対して配位している染料と、ラクタム構造を有する化合物と、ポリオール誘導体類とを含み、染料に対するラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類の含有比と、ポリオール誘導体類に対するラクタム構造を有する化合物の含有比とが、それぞれ所定の範囲にあるインクジェット捺染インク組成物を用いることにより、発色性、耐光性、及び目詰まり回復性に優れることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表される配位子が金属原子に対して配位している染料と、ラクタム構造を有する化合物と、ポリオール誘導体類と、を含み、前記染料の含有量に対する前記ラクタム構造を有する化合物及び前記ポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で、1.8以上3.0以下であり、前記ポリオール誘導体類の含有量に対する前記ラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で、3.0以上5.0以下である、インクジェット捺染インク組成物である。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13はそれぞれ独立にH又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、R7及びR8はOHを示し、R10はSO3X又はSO3 -を示し、XはH、Li、Na、又は、Kを示し、R12はNO2を示す。)
このようなインクジェット捺染インク組成物が本発明の課題を解決できる要因は下記のように考えている。ただし、要因はこれに限定されない。すなわち、従来のインク組成物において、配位子が金属原子に対して配位している染料を用いた場合に、その染料をインク組成物が含むことに起因して、優れた耐光性を得ることができる。しかしながら、優れた耐光性が得られる程度まで染料の含有量を高めてしまうと、乾燥によってインク組成物の粘度が急激に上昇し、例えばインクジェットヘッドのノズル付近に染料起因の異物が生じることによって間欠吐出性や飛行曲がりを生じる。ここで、異物は、染料の種類から、インクジェットプリンターにおけるインク組成物が接触しえるゴム部材からの可塑剤がインク組成物に溶出することが原因と推定される。また、異物によって目詰まりしたノズルをクリーニングにより回復させることが難しくなる。一方、本発明に係るインクジェット捺染インク組成物は、染料の含有量に対するラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で、1.8以上3.0以下であり、かつ、ポリオール誘導体類の含有量に対するラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で、3.0以上5.0以下であるように、配位子が金属原子に対して配位している染料、ラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類を含有することにより、優れた耐光性が得られる程度まで染料の含有量を高めても、ノズル付近に染料起因の異物が生じることを抑制し、仮にノズル付近に異物が生じてもクリーニングにより回復させることが容易である。すなわち、耐光性、及び目詰まり回復性に優れる。
また、本発明に係るインクジェット捺染インク組成物において、前記金属原子が、クロム原子であると好ましく、前記染料が、C.I.アシッドブラック 52、52:1、172、及び194より選ばれる1種以上を含むと好ましく、前記染料の含有量が、前記インクジェット捺染インク組成物の総量に対して、9.0質量%以上12質量%以下であると好ましく、前記ラクタム構造を有する化合物が、2−ピロリドン、2−アセチジノン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、4−エチル−2−アセチジノン、N−メチル−2−ピロリドン、及び3−アミノ−2−ピペリドンより選ばれる1種以上を含むと好ましく、前記ラクタム構造を有する化合物の含有量が、前記インクジェット捺染インク組成物の総量に対して、22質量%以下であると好ましい。
本発明に係る記録方法は、インクジェット捺染インク組成物をインクジェット方式により吐出し、被記録媒体に付着させる記録方法であって、前記被記録媒体が布帛である。
本実施形態の捺染方法の一例を記録工程及び記録工程後について示すフローチャートである。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本明細書において、「捺染」とは、布帛を含む被記録媒体上にインクを記録(印刷)することをいう。また、「インクジェット捺染」とは、インクジェット方式を利用して布帛を含む被記録媒体上にインクを記録(印刷)することをいい、インクジェット記録の一種である。「記録物」とは、布帛を含む被記録媒体上にインクが記録されて画像が形成されたものをいう。
〔インク組成物〕
本実施形態のインクジェット捺染インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、下記式(1)で表される配位子が金属原子に対して配位している染料(以下、「本実施形態の染料」ともいう。)と、ラクタム構造を有する化合物(以下、「ラクタム構造の化合物」ともいう。)と、ポリオール誘導体類と、を含み、染料の含有量に対するラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で、1.8以上3.0以下であり、ポリオール誘導体類の含有量に対するラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で、3.0以上5.0以下である、インクジェット捺染インク組成物である。
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13はそれぞれ独立にH又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、R7及びR8はOHを示し、R10はSO3X又はSO3 -を示し、XはH、Li、Na、又は、Kを示し、R12はNO2を示す。)
ここで、金属原子は、式(1)で表される配位子が配位できる金属原子であれば特に限定されないが、例えばクロム(Cr)原子、鉄(Fe)原子、コバルト(Co)原子、銅(Cu)原子が挙げられ、耐光性をより良好とする観点でクロム(Cr)原子が好ましい。
金属原子と金属原子に対して配位している配位子(1)との比(金属原子:金属原子に対して配位している配位子(式(1)で表される配位子))は、より優れた発色性を得る観点から、物質量比で好ましくは1:2〜2:3である。このような範囲にあることにより、金属原子に対して配位子が配位して錯体化することが容易であり、より優れた発色性が得られる傾向にある。
本実施形態のインク組成物が耐光性、保存安定性、及び目詰まり回復性に優れる要因は下記のように考えている。ただし、要因はこれに限定されない。すなわち、従来のインク組成物において、配位子が金属原子に対して配位している染料を用いた場合に、その染料をインク組成物が含むことに起因して、優れた耐光性を得ることができる。しかしながら、優れた耐光性が得られる程度まで染料の含有量を高めてしまうと、乾燥によってインク組成物の粘度が急激に上昇し、例えばインクジェットヘッドのノズル付近に染料起因の異物が生じることによって間欠吐出性や飛行曲がりを生じる。ここで、異物は、染料の種類から、インクジェットプリンターにおけるインク組成物が接触しえるゴム部材からの可塑剤がインク組成物に溶出することが原因と推定される。また、異物によって目詰まりしたノズルをクリーニングにより回復させることが難しくなる。一方、本実施形態のインク組成物は、染料の含有量に対するラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で、1.8以上3.0以下であり、かつ、ポリオール誘導体類の含有量に対するラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で、3.0以上5.0以下であるように、配位子が金属原子に対して配位している染料、ラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類を含有することにより、優れた耐光性が得られる程度まで染料の含有量を高めても、ノズル付近に染料起因の異物が生じることを抑制し、仮にノズル付近に異物が生じてもクリーニングにより回復させることが容易である。すなわち、耐光性、保存安定性、及び目詰まり回復性に優れる。また、本実施形態のインク組成物は、発色性にも優れる。
<染料>
本実施形態のインク組成物は、本実施形態の染料を含むことにより、発色性及び耐光性に優れる。
具体的な本実施形態の染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.アシッドブラック 172、52、52:1、及び194が挙げられる。染料は、C.I.アシッドブラック 52、52:1、172、及び194より選ばれる1種以上を含むことが発色性及び耐光性を良好とする観点で好ましい。
本実施形態の染料の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは5.0質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは8.0質量%以上13質量%以下であり、さらに好ましくは9.0質量%以上12質量%以下であり、よりさらに好ましくは10質量%以上11質量%以下である。本実施形態の染料の含有量が5.0質量%以上であることにより、色安定性、及び耐光性がより向上する傾向にあり、また、本実施形態の染料の含有量が15質量%以下であることにより、保存安定性、及び目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
本実施形態のインク組成物は、本実施形態の染料以外の染料をさらに含んでもよい。また、染料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のインク組成物は、本実施形態の染料を始めとして、各種の染料及びその他の成分の種類及び含有量を調整することにより、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、レッドインク、ブルーインク、ブラックインク、又はオレンジインクとして用いることができ、好ましくはブラックインクとして用いることができる。
<水>
本実施形態のインク組成物は、水を含むことができる。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、凝集液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。これにより貯蔵安定性がより向上する傾向にある。
水の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。
<ラクタム構造を有する化合物>
本実施形態のインク組成物は、ラクタム構造を有する化合物を含む。ラクタム構造を有する化合物は、ラクタム構造を有するものであれば、特に限定されない。ラクタム構造を有する化合物を含むことにより、インク中における染料の溶解性を良好にすることができ、目詰まり回復性に優れる。
ラクタム構造を有する化合物の種類としては、特に限定されないが、例えば、2−ピロリドン、2−アセチジノン、2−ピペリドン、ε-カプロラクタム、4−エチル−2−アセチジノン、N−メチル−2−ピロリドン、及び3−アミノ−2−ピペリドンが挙げられる。ラクタム構造を有する化合物は、2−ピロリドン、2−アセチジノン、2−ピペリドン、ε-カプロラクタム、4−エチル−2−アセチジノン、N−メチル−2−ピロリドン、及び3−アミノ−2−ピペリドンより選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
ラクタム構造を有する化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラクタム構造を有する化合物の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは22質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、また、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上である。ラクタム構造を有する化合物の含有量が30質量%以下であることにより、保存安定性がより向上する傾向にある。また、ラクタム構造を有する化合物の含有量が5.0質量%以上であることにより、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。
<ポリオール誘導体類>
本実施形態のインク組成物は、ポリオール誘導体類を含む。ポリオール誘導体類は、水酸基を複数有する化合物及び該化合物から合成される化合物であれば特に限定されない。水酸基を複数有する化合物としては後述のアルキルポリオールが挙げられる。水酸基を複数有する化合物から合成される化合物としては、該化合物の縮合物やエーテル化物が挙げられ、より具体的には後述のグリコールエーテルが挙げられる。ポリオール誘導体類を含むことにより、インク中における染料の溶解性を良好に保ちつつ、ラクタム構造を有する化合物がプリンタに用いられるゴム部材(例えば、インクカートリッジの挿入口や、流路内のパッキンに用いられるゴム部材)を溶解することを抑制することができる。その結果、インク中に溶解したゴム部材に起因する異物が生じることを抑制することができるため、保存安定性や目詰まり回復性に優れる。
ポリオール誘導体類の種類としては、特に限定されないが、例えば、アルキルポリオール、及びグリコールエーテルが挙げられる。
アルキルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール(1,3−プロパンジオール)、イソブチレングリコール(2−メチル−1,2−プロパンジオール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、及び1,8−オクタンジオールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、特に限定されないが、例えば、グリコールジエーテル類及びグリコールモノエーテル類が挙げられる。
グリコールジエーテルの具体例としては、特に限定されないが、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、及び、ジプロピレングリコールジエチルエーテルが挙げられる。
グリコールモノエーテルの具体例としては、特に限定されないが、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
ポリオール誘導体類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオール誘導体類の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上7.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。ポリオール誘導体類の含有量が10質量%以下であることにより、目詰まり回復性がより向上する傾向にある。また、ポリオール誘導体類の含有量が0.1質量%以上であることにより、保存安定性がより向上する傾向にある。
ポリオール誘導体類の含有量に対するラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で、3.0以上5.0以下である。好ましくは3.3以上4.5以下であり、より好ましくは3.6以上4.0以下である。上記含有量が、質量比で3.0以上であることにより、目詰まり回復性に優れ、また、上記含有量が、質量比で5.0以下であることにより、保存安定性に優れる。これは、ポリオール誘導体類に対するラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で3.0以上であることで、染料の溶解性がより良好となるためであり、5.0以下であることで、ブリンタに用いられるゴム部材の溶解が良好に抑制されるためである。
本実施形態の染料の含有量に対するラクタム構造を有する化合物及びポリオール誘導体類の含有量合計は、質量比で、1.8以上3.0以下であり、好ましくは2.0以上2.7以下であり、より好ましくは2.2以上2.5以下である。上記含有量合計が、質量比で1.8以上3.0以下であることにより、保存安定性及び目詰まり回復性に優れ、また、上記含有量合計が、質量比で3.0以下であることにより、発色性により優れる。
<界面活性剤>
インク組成物は、濡れ性の観点から、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物から選択される1種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィンPD002W、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)、サーフィノール104、465、61、DF110D(日信化学工業社(Nissin Chemical Industry CO.,Ltd.)製商品名)が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、及びパーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S−144、S−145(以上商品名、旭硝子株式会社製);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(以上商品名、住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(以上商品名、Dupont社製);FT−250、251(以上商品名、株式会社ネオス製)が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン系化合物、及びポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(以上商品名、ビックケミー社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学社製)等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、インク組成物の総量(100質量%)に対し、好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上1.5質量%以下である。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、被記録媒体に付着したインク組成物の濡れ性がより向上する傾向にある。
インク組成物は、その他の成分として、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン)、ワックス、溶解助剤、粘度調整剤、酸化防止剤、防カビ・防腐剤(例えば、proxelXL2(Arch Chemicals社製商品名))、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム)等の、種々の添加剤を適宜含有することもできる。
本実施形態のインク組成物は、後述する捺染方法に用いられることが好ましい。
〔記録方法〕
本実施形態の記録方法は、本実施形態のインク組成物をインクジェット方式により吐出し、被記録媒体に付着させる記録方法であって、かつその被記録媒体が布帛である。具体的には、布帛を含む被記録媒体を搬送する工程(搬送工程)と、上述した本実施形態のインク組成物を該被記録媒体に記録する工程(記録工程)とを有する。また、本実施形態の記録方法は、上記被記録媒体が布帛を含む、捺染方法であってもよい。図1は、本実施形態の捺染方法の一例を記録工程後について示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態の捺染方法は、記録工程に加えて、下記の加熱工程及び洗浄工程をさらに有してもよい。
上記の捺染方法は、インク組成物を、インクジェット装置に装填して使用するインクジェット捺染方法であってもよい。当該インクジェット装置としては、特に限定されないが、例えばドロップオンデマンド型のインクジェット装置が挙げられる。このドロップオンデマンド型のインクジェット装置には、ヘッドに配設された圧電素子を用いたインクジェット捺染方法を採用した装置、及びヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いたインクジェット捺染方法を採用した装置などがあり、いずれのインクジェット捺染方法を採用したものでもよい。以下、インクジェット捺染方法が有する各工程について詳細に説明する。
[搬送工程]
本実施形態の搬送工程は、布帛を含む被記録媒体を搬送する工程である。被記録媒体を搬送手段は、例えばインクジェット方式で公知の搬送手段が挙げられる。
[記録工程]
本実施形態の記録工程は、後述するインク組成物を被記録媒体に記録する工程である。インクジェット方式を利用する場合には、被記録媒体の少なくとも一部である布帛の面(画像形成領域)に向けて、インク組成物をインクジェット方式により吐出し、被記録媒体に付着させて、画像を形成する。なお、吐出条件は、吐出されるインク組成物の物性によって適宜決定すればよい。
[加熱工程]
本実施形態の捺染方法は、記録工程後に、インク組成物が付着した被記録媒体を加熱する加熱工程をさらに有してもよい。加熱工程を有することにより、布帛を構成する繊維に色材をより良好に染着することができる。加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、HT法(高温スチーミング法)、HP法(高圧スチーミング法)、サーモゾル法が挙げられる。
また、加熱工程においては、被記録媒体上のインク組成物付着面を加圧処理しても、加圧処理しなくてもよい。被記録媒体上のインク組成物付着面を加圧処理しない加熱方法としては、オーブン乾燥(コンベアオーブン、バッチオーブン等のプレスをしない方法)が挙げられる。このような加熱工程を有することにより、記録物生産性がより向上する。また、被記録媒体上のインク組成物付着面の加圧処理もする加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒートプレス、ウェットオンドライが挙げられる。なお、「加圧」とは、被記録媒体に対して、固体を接触させることにより圧をかけることをいう。
加熱処理時の温度は、好ましくは80℃以上150℃以下であり、より好ましくは90℃以上110℃以下である。加熱処理時の温度が上記範囲であることにより、布帛を構成する繊維に色材をより良好に染着することができる傾向にある。
[洗浄工程]
本実施形態の捺染方法は、加熱工程後に、インク組成物が付着した被記録媒体を洗浄する洗浄工程をさらに有してもよい。洗浄工程により、繊維に染着していない顔料を効果的に除去することができる。洗浄工程は、例えば水を用いて行うことができ、必要に応じてソーピング処理を行ってもよい。ソーピング処理方法としては、特に限定されないが、例えば、即ち未固着の顔料を熱石鹸液などで洗い落とす方法が挙げられる。
このようにして、布帛を含む被記録媒体上に、上記のインク組成物に由来する画像が形成された、捺染物等の記録物を得ることができる。
<被記録媒体>
本実施形態の被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、吸収性被記録媒体、低吸収性被記録媒体、非吸収性被記録媒体や布帛が挙げられ、中でも、布帛を含むもの(布帛それ自体を包含する。)であることが好ましい。
ここで、「低吸収性被記録媒体」又は「非吸収性被記録媒体」は、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msecまでの水吸収量が10mL/m2以下である被記録媒体をいう。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
また、非吸収性被記録媒体又は低吸収性被記録媒体は、記録面の水に対する濡れ性によって分類することができる。具体的には、被記録媒体の記録面に0.5μLの水滴を滴下し、接触角の低下率(着弾後0.5ミリ秒における接触角と5秒における接触角の比較)を測定することによって被記録媒体を特徴付けることができる。より具体的には、被記録媒体の性質として、「非吸収性被記録媒体」の非吸収性は上記の低下率が1%未満のことを指し、「低吸収性被記録媒体」の低吸収性は上記の低下率が1%以上5%未満のことを指す。また、吸収性とは上記の低下率が5%以上のことを指す。なお、接触角はポータブル接触角計 PCA−1(協和界面科学株式会社製)等を用いて測定することができる。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク組成物の浸透性が高い、布帛を含むもの、電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インク組成物の浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙が挙げられる。
低吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、表面に油性インクを受容するための塗工層が設けられた塗工紙が挙げられる。塗工紙としては、特に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられる。
さらに上記の被記録媒体以外にも、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、ガラスなどのインク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体を用いることもできる。
布帛としては、以下に限定されないが、例えば、絹、綿、羊毛、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンの混紡布、レーヨン等の天然繊維及び合成繊維が挙げられる。布帛としては、1種の繊維からなるものであっても、2種以上の繊維を混紡したものであってもよい。これらのうち、特に浸透性の異なる繊維を混紡したものを用いることによって、本実施形態の効果がより得られやすい傾向にある。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。
布帛を含む被記録媒体としては、布帛そのものであってもよいが、布帛が樹脂粒子を含む前処理液で前処理されたものであることが好ましい。布帛が前処理されていることにより、より摩擦堅牢性に優れた捺染物が得られる傾向にある。樹脂粒子を含む前処理液による布帛の前処理は、従来知られている方法であればよい。
布帛の前処理として、例えば、公知の前処理剤を用いて行うことができる。前処理剤は、一般に、糊剤、pH調整剤、及びヒドロトロピー剤を含み、さらに場合によりシリカを含むことができる。糊剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海草類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、焙焼澱粉、アルファ澱粉、カルボキシメチル澱粉、カルボキシエチル澱粉、ヒドロキシエチル澱粉等の加工澱粉、シラツガム系、ローストビーンガム系等の加工天然ガム、アルギン誘導体、あるいは、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊、エマルジョン等が用いられる。pH調整剤としては、酸アンモニウム塩、例えば硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウムが好ましい。ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、モノメチルチオ尿素、又はジメチルチオ尿素等のアルキル尿素が挙げられる。
前処理液を布帛に付与する方法としては、例えば、前処理液中に布帛を浸漬させる方法、前処理液をロールコーター等で塗布する方法、前処理液を噴射する方法(例えば、インクジェット法、スプレー法)等が挙げられ、いずれの方法も使用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インク組成物用の材料]
下記の記録物の作製において使用したインク組成物用の主な材料は、以下の通りである。
〔染料〕
C.I.アシッドブラック172(Cr原子:Cr原子に対して配位している配位子=1:2。配位子は、式(1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13がHである化合物。)
C.I.アシッドブラック52(Cr原子:Cr原子に対して配位している配位子=2:3。配位子は、式(1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13がHである化合物。)
C.I.アシッドブラック52:1(Cr原子:Cr原子に対して配位している配位子=2:3。配位子は、式(1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13がHである化合物。)
C.I.アシッドブラック194(Cr原子:Cr原子に対して配位している配位子=1:2。配位子は、式(1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13がHである化合物。)
C.I.アシッドブラック34(Cr原子:Cr原子に対して配位している配位子=1:2。配位子は、1−[(2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル)アゾ]−2−ナフタレノール)。
染料A(C.I.アシッドブラック172と同様の配位子をCr原子に対して配位させた染料、Cr原子:Cr原子に対して配位している配位子=3:4)
なお、上記染料のCr原子と配位子の比は、物質量比である。
〔ラクタム構造の化合物〕
2−ピロリドン
2−アセチジノン
2−ピペリドン
ε−カプロラクタム
4−エチル2−アセチジノン
N−メチル−2−ピロリドン
3−アミノ−2−ピペリドン
〔ポリオール誘導体類〕
グリセリン
TEG(トリエチレングリコール)
BTG(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)
〔界面活性剤〕
オルフィン PD002W(エアプロダクツ社(Air Products Japan, Inc.)製商品名)
〔その他の添加剤〕
トリエタノールアミン
プロキセルXL2(Arch Chemicals社製商品名proxelXL2)
〔水〕
イオン交換水
[インク組成物の調製]
各材料を下記の表1〜3に示す組成で混合し、十分に撹拌し、インク組成物を得た。なお、下記の表1〜3中、含有比以外の数値の単位は質量%であり、数値は固形分濃度であり、合計は100.0質量%である。
表中、「(ラクタム+ポリオール誘導体類)/染料の含有比」は、染料の含有量に対するラクタム構造の化合物及びポリオール誘導体類の含有量合計の質量比である。ラクタム構造の化合物及びポリオール誘導体類の含有量合計は、各組成で用いているラクタム構造の化合物の含有量とポリオール誘導体類の含有量の合計量である。
表中、「ラクタム構造の化合物/ポリオール誘導体類の含有比」は、ポリオール誘導体類の含有量に対するラクタム構造の化合物の含有量比であり、質量比である。
〔前処理液の調製〕
ポリオキシエチレンジイソプロピルエーテル(オキシエチレン=30モル)を5質量部、エーテル化カルボキシメチルセルロースを5質量部、尿素を100質量部、m−ベンゼンスルホン酸ナトリウム10質量部をよく混合した後、1000質量部のイオン交換水を少量ずつ添加しながら60℃下で30分攪拌する。その後、炭酸ナトリウム30質量部を攪拌されている溶液にさらに加えて10分攪拌し、この溶液を孔径10μmのメンブレンフィルターで濾過することにより前処理液を得た。
上記のようにして得られた前処理液を布帛に塗布して、マングルにてピックアップ率20%で絞って乾燥させた。
〔捺染物の作製〕
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、製品名「PX−G930」)のカートリッジに上記で調製した各インク組成物を充填し、上記で調製した前処理液によって前処理を行った布帛(絹100%;坪量90g/m2)に各インク組成物を付着させて画像を記録した。記録条件としては、印刷解像度は1440×720dpi。打ち込みDuty100%のベタパターンで、被記録媒体である布帛に画像が形成された(インクが捺染された)捺染物を製造した。画像が印刷された布帛に対して100℃で20分間スチーミングを行った後、ラッコールSTA(明成化学株式会社製製品名の界面活性剤)を0.2質量部含む水溶液を用いて55℃で10分間洗浄し、乾燥させて捺染物を得た。ここで、「ベタパターン」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録するパターンを意味する。
〔発色性〕
得られた捺染物について測色器(商品名「Gretag Macbeth Spectrolino」、X−RITE社製)で画像のOD値を測定し、測定したOD値から下記評価基準により発色性を評価した。得られた結果を、表4に示す。
(評価基準)
A:1.45以上
B:1.40以上1.45未満
C:1.35以上1.40未満
D:1.35未満
〔耐光性〕
Xenon耐光性試験機(株式会社スガ試験機、製品名「XL−75s」)を用い、23℃、相対湿度50%R.H、照度75000luxの条件のもと、得られた捺染物を10日間暴露し、下記式のOD残存率を算出して、算出したOD残存率から下記評価基準により耐光性を評価した。得られた結果を、表4に示す。
OD残存率[%]=暴露後のOD値/初期のOD値×100
(評価基準)
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:70%以上80%未満
D:70%未満
〔保存安定性〕
インクジェットプリンターに用いるゴム部材(商品名:「ゴムノイナキ I7202」、材質:ブチルゴム)2cm角と、20mLの各インク組成物とをテフロン(登録商標)容器に投入して密閉し、70℃15日放置した。放置後、ゴム部材を取り出し、インク組成物を#4300金属メッシュフィルターに20mL通液し、フィルター上の異物(部材由来)を確認して、異物数から下記評価基準により保存安定性を評価した。得られた結果を、表4に示す。なお、ここで用いたゴム部材は、インクジェットプリンターにおいて、カートリッジの挿入口、流路内のパッキン(接合部)等に用いられている。
(評価基準)
A:0〜20個
B:21〜50個
C:51〜100個
D:100個超
〔目詰まり回復性〕
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、製品名「PX−G930」)に、上記で調製した各インク組成物を充填し全ノズルからの吐出を行った。プリントヘッドをキャップから外した状態で、40℃20%RH環境下に7日間放置した。その後、クリーニングの実施と、ノズルチェックの印字とを交互に繰り返し、ドット抜けや曲がりのない正常吐出に回復するまでのクリーニング回数を計測して、クリーニング回数から下記評価基準により目詰まり回復性を評価した。得られた結果を、表4に示す。
(評価基準)
A:1回以下
B:2〜3回
C:4〜5回
D:6回以上
〔評価結果〕
式(1)で表される配位子が金属原子に対して配位している染料と、ラクタム構造を有する化合物と、ポリオール誘導体類と、を含み、前記染料の含有量に対する前記ラクタム構造を有する化合物及び前記ポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で1.8以上3.0以下であり、前記ポリオール誘導体類の含有量に対する前記ラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で3.0以上5.0以下となるように作成した各実施例の組成物は、いずれも、発色性、耐光性、及び、目詰まり回復性がB評価以上であり、優れるものであることがわかった。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される配位子が金属原子に対して配位している染料と、ラクタム構造を有する化合物と、ポリオール誘導体類と、を含み、
    前記染料の含有量に対する前記ラクタム構造を有する化合物及び前記ポリオール誘導体類の含有量合計が、質量比で1.8以上3.0以下であり、
    前記ポリオール誘導体類の含有量に対する前記ラクタム構造を有する化合物の含有量が、質量比で3.0以上5.0以下である、
    インクジェット捺染インク組成物。
    (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R9、R12、及びR13はそれぞれ独立にH又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、R7及びR8はOHを示し、R10はSO3X又はSO3 -を示し、XはH、Li、Na、又は、Kを示し、R12はNO2を示す。)
  2. 前記金属原子が、クロム原子である、
    請求項1に記載のインクジェット捺染インク組成物。
  3. 前記染料が、C.I.アシッドブラック 52、52:1、172、及び194より選ばれる1種以上を含む、
    請求項2に記載のインクジェット捺染インク組成物。
  4. 前記染料の含有量が、前記インクジェット捺染インク組成物の総量に対して、9.0質量%以上12質量%以下である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染インク組成物。
  5. 前記ラクタム構造を有する化合物が、2−ピロリドン、2−アセチジノン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、4−エチル−2−アセチジノン、N−メチル−2−ピロリドン、及び3−アミノ−2−ピペリドンより選ばれる1種以上を含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット捺染インク組成物。
  6. 前記ラクタム構造を有する化合物の含有量が、前記インクジェット捺染インク組成物の総量に対して、22質量%以下である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染インク組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染インク組成物をインクジェット方式により吐出し、被記録媒体に付着させる記録方法であって、
    前記被記録媒体が布帛である、記録方法。
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