JP2010106174A - インクジェット捺染用インク組成物および捺染方法 - Google Patents
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Abstract
Description
発明の分野
本発明は、インクジェット捺染用インク組成物およびそれを用いた捺染方法に関する。
本発明は、インクジェット捺染用インク組成物およびそれを用いた捺染方法に関する。
背景技術
従来、画像や文字等の図柄を布帛に捺染する方法としては、スクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が一般的に用いられてきた。しかしながら、これらの従来方法では、図柄毎にトレースや製版等を製造する煩雑な作業を必要とするため、低コスト化が難しく、特に少量多品種生産にはなおさらであった。これらの従来技術の欠点を解消するために、スキャナー等の画像入力デバイスにより画像見本を読み取り、コンピュータで画像処理を行い、得られた画像情報に基づきインクジェット方式で布帛を印捺する技術、すなわちインクジェット捺染方法が開発され、実用化されている。このインクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、紙に対するインクジェット記録方法は既に広範に実用化されており、布帛に対しても開発が進んでいる。
従来、画像や文字等の図柄を布帛に捺染する方法としては、スクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が一般的に用いられてきた。しかしながら、これらの従来方法では、図柄毎にトレースや製版等を製造する煩雑な作業を必要とするため、低コスト化が難しく、特に少量多品種生産にはなおさらであった。これらの従来技術の欠点を解消するために、スキャナー等の画像入力デバイスにより画像見本を読み取り、コンピュータで画像処理を行い、得られた画像情報に基づきインクジェット方式で布帛を印捺する技術、すなわちインクジェット捺染方法が開発され、実用化されている。このインクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、紙に対するインクジェット記録方法は既に広範に実用化されており、布帛に対しても開発が進んでいる。
例えば、特開平7−3666号公報(特許文献1)には、インクジェット捺染方法が開示されており、布帛上での色相範囲〔CIE1976(L*a*b*)空間〕において特定の知覚色度指数a、bを有する染料の組合せからなるインクセットが記載されている。
また、特開平8−302266号公報(特許文献2)には、必須成分として染料、水、及びRO(CH2CH2O)nH(式中、Rは炭素数16乃至18のアルキル基であり、nは3以上の数を表す)で表されるソルビタン脂肪酸エステルを含んでなる、潤滑効果に優れ、滑らかな筆感を得ることができるボールペン用水性インキが開示されている。
さらに、特開平8−209048号公報(特許文献3)には、少なくとも水、水溶性有機溶剤、分散染料あるいは顔料、カルボキシル酸価を有するアルカル可溶性水溶性高分子及び/または界面活性剤を含有する水系分散インクにおいて、界面活性剤が燐酸、カルボン酸から選ばれたアニオン性解離基をエチレンオキシド末端に有し、かつHLBが10以上のソルビタン脂肪酸エステルあるいはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルである、普通紙や布帛類に対して定着性、発色性に優れ、堅牢性の良好なインクジェット用水系分散インクが開示されている。
本発明者等は、今般、インクジェット捺染用記録方法において、特定のアントラキノン骨格を有する水溶性染料と特定のソルビタン脂肪酸エステルを組み合わせることにより、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を有する記録物を得ることができるとの知見を得た。本発明はこれらの知見に基づくものである。
従って、本発明は、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を有するインクジェット捺染用インク組成物の提供をその目的としている。
そして、本発明によるインクジェット捺染用インク組成物は、アントラキノン骨格を有する、30℃において水への溶解性が50g/L以下である水溶性染料と、HLB値が11.4〜18.8であり、かつ下記式(I)を有するソルビタン脂肪酸エステルの一種以上とを少なくとも含んでなるインクジェット捺染用インク組成物である:
(I)
(式中、l+m+n=0〜40であり、R=炭素数8〜24の飽和アルキル基である)。
(式中、l+m+n=0〜40であり、R=炭素数8〜24の飽和アルキル基である)。
また、本発明によるインクジェット捺染方法は、前記インクジェット捺染用インク組成物を用いるものである。
本発明によれば、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を実現できるインクジェット捺染用インク組成物を提供することができる。
本発明によるインクジェット捺染用インク組成物は、アントラキノン骨格を有する、30℃において水への溶解性が50g/L以下である水溶性染料と、HLB値が11.4〜18.8であり、かつ上記の式(I)を有するソルビタン脂肪酸エステルの一種以上とを少なくとも含んでなるものである。
〈定義〉
HLB値とは、有機概念図における無機性値(I)と有機性値(O)を下記式に代入することにより算出される値である。
HLB値 = 無機性値(I) / 有機性値(O) × 10
上記無機性値(I)および有機性値(O)は、甲田善生著「有機概念図―基礎と応用―」、藤田穆、赤塚政美著「系統的有機定性分析(混合物編)」に記載の数値である。
HLB値とは、有機概念図における無機性値(I)と有機性値(O)を下記式に代入することにより算出される値である。
HLB値 = 無機性値(I) / 有機性値(O) × 10
上記無機性値(I)および有機性値(O)は、甲田善生著「有機概念図―基礎と応用―」、藤田穆、赤塚政美著「系統的有機定性分析(混合物編)」に記載の数値である。
本発明のインク組成物における水溶性染料は、少なくともアントラキノン骨格を有する、30℃において水への溶解性が50g/L以下である水溶性染料である。本発明の好ましい態様によれば、このような水溶性染料の好ましい例として、C.I.アシッドブルー258、280、および290が挙げられる。さらに好ましくはC.I.アシッドブルー290が挙げられる。
水溶性染料のインク組成物への添加量は、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を実現できる範囲で適宜決定されてよいが、例えば10重量%以下が好ましい。
本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、HLB値が11.4〜18.8であり、かつ上記の式(I)を有するものである。Rが表す飽和アルキル基は直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。
本発明の好ましい態様によれば、本発明に用いられるソルビタン脂肪酸エステルは、HLB値が12.1〜17.9であり、かつ上記式(I)中、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、l+m+n=0〜40であり、より好ましくはHLB値が12.1〜16.4であり、かつ上記式(I)中、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、l+m+n=0〜40であり、さらにより好ましくは上記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、上記式(I)中、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとを混合して用いてもよい。ここで、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物における、上記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、上記式(I)中、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとの含有量比は、好ましくは1:5〜5:1であり、さらに好ましくは、1:2〜2:1である。
ソルビタン脂肪酸エステルのインク組成物中における含有量は、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を実現できる範囲で適宜決定されてよいが、上記式(I)中、ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値が11.4〜18.8、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=0〜40の場合には、7〜15重量%が好ましく、上記式(I)中、ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値が12.1〜17.9、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=0〜40またはHLB値が12.1〜16.4、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=0〜40の場合には、3〜15重量%が好ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物中における、上記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、上記式(I)中、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとの合計含有量は、4重量%以上が好ましい。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物中における、上記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、上記式(I)中、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとの合計含有量は、水溶性染料に対して、2.0倍以上であることが好ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物中における、上記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、上記式(I)中、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとの合計含有量は、4重量%以上が好ましい。
さらに、本発明の好ましい態様によれば、インク組成物中における、上記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、上記式(I)中、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとの合計含有量は、水溶性染料に対して、2.0倍以上であることが好ましい。
本発明のインク組成物における、水溶性染料とソルビタン脂肪酸エステルとの含有量比は、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を実現できる範囲で適宜決定されてよいが、上記式(I)中、ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値が11.4〜18.8、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=0〜40の場合には、それぞれ1.0:3.5〜1.0:7.5が好ましく、上記式(I)中、ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値が12.1〜17.9、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=0〜40またはHLB値が12.1〜16.4、Rが炭素数8〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=0〜40の場合には、それぞれ1.0:1.5〜1.0:7.5が好ましい。
本発明によるインク組成物には、インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることが好ましい。保湿剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に保湿剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトール等のポリオール類、およびそのエーテルまたはエステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、またはε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、または1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、またはマルトース等の糖類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。前記保湿剤の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは4〜40重量%である。
また、本発明によるインク組成物には、布帛への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点から、浸透剤としても機能する水溶性有機溶剤を含有させることが好ましい。そのような浸透剤有機溶剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に浸透剤有機溶剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、エタノールまたはプロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール類;エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、またはトリエチレングリコ−ル−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。前記水溶性有機溶剤(浸透剤)の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは2〜15重量%である。
さらに、同様の観点から、本発明によるインク組成物には、本発明によるソルビタン脂肪酸エステルに加えて、浸透剤としても機能する界面活性剤を更に加えても良い。そのような浸透剤界面活性剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に浸透剤界面活性剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を加えることができる。更に加えても良い前記界面活性剤(浸透剤)の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.2〜2重量%である。
本発明によるインク組成物には、前記のように、前記染料を含有させ、必要に応じて、保湿剤および浸透剤を含有させ、更にバランスとして水を含有させる。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本発明によるインク組成物には、更に必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン)、または溶解助剤等のように、インクジェット捺染用インク組成物において通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。
本発明によるインク組成物は、印字品質とインクジェット捺染用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が25〜40mN/mであることが好ましく、28〜35mN/mであることが更に好ましい。また、同様の観点から、本発明によるインク組成物の20℃における粘度は、1.5〜10mPa・sであることが好ましく、2〜8mPa・sであることが更に好ましい。表面張力および粘度を前記範囲内とするには、前記染料の濃度を調整する方法、前記保湿剤の種類や添加量等を調整する手段等を用いることができる。
本発明のインク組成物を、合成ポリアミド繊維からなる布帛(例えば、織物、網物、または不織布)に対するインクジェット捺染に用いると、良好な水溶性、安定性、良好な印刷特性を有し、かつ良好な色、鮮鋭度、および耐光性その他の堅牢性を有する記録物を得ることができる。本発明のインク組成物を用いる場合には、通常のインクジェット捺染用のインク組成物と同様に、インクジェットプリンタに装填して使用する。前記インクジェットプリンタは特に限定されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンタが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンタには、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があり、いずれの記録方法を採用することもできる。
本発明のインク組成物を用いて前記布帛に対してインクジェット捺染方法を実施する場合には、通常のインクジェット捺染と同様に、予め、前処理剤を用いて前記布帛を前処理しておくことが好ましい。布帛の前処理は、前処理剤中に布帛を浸積するか、前処理剤を布帛に塗布または噴霧する等の手段を用いて、布帛に前処理剤を付着させた後、前記布帛を乾燥することにより行われる。
前記の前処理剤としては、水溶性高分子化合物等の糊剤を0.01〜20重量%の量で含有させた水溶液を用いることができる。前記糊剤としては、例えば、トウモロコシ、または小麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセルロース、またはヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系物質;アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、またはタマリンド種子等の多糖類;ゼラチン、またはカゼイン等のタンパク質;タンニン;リグニン等の天然水溶性高分子や、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系化合物、または無水マレイン酸系化合物等の合成水溶性高分子化合物を挙げることができる。前記前処理剤には、必要に応じて、尿素、またはチオ尿素等の保湿剤、pH調整剤、還元防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、あるいは消泡剤等の各種添加剤を含有させることもできる。
また、本発明のインク組成物を用いて前記布帛に対してインクジェット捺染方法を実施する場合には、前記布帛に対してインク組成物を吐出させて、文字および/または画像を印刷した後に、染料固着処理を行う。染料固着処理方法としては、従来の捺染方法における染料固着処理方法と同様の方法、例えば、常圧スチーム法、高圧スチーム法、またはサーモフィックス法等を挙げることができる。染料固着処理後は、常法通り、布帛を水洗し、乾燥する。必要に応じソーピング処理(未固着の染料を熱石鹸液等で洗い落とす処理)を実施してもよい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
インク組成物の調製
下記の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。インク組成物の調製に使用した界面活性剤1は、上記式(I)を有するソルビタン脂肪酸エステルを用い、表1に記載のRの飽和アルキル基の炭素数、l+m+n、およびHLB値を有する界面活性剤を使用した。
下記の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。インク組成物の調製に使用した界面活性剤1は、上記式(I)を有するソルビタン脂肪酸エステルを用い、表1に記載のRの飽和アルキル基の炭素数、l+m+n、およびHLB値を有する界面活性剤を使用した。
〈例1〉
C.I.アシッドブルー 290 2.0重量%
ブチルトリグリコール 10.0重量%
グリセリン 10.0重量%
オルフィンE1010 1.0重量%
超純水 残量
〈例2〉
C.I.アシッドブルー 290 2.0重量%
ブチルトリグリコール 10.0重量%
グリセリン 10.0重量%
オルフィンE1010 1.0重量%
界面活性剤1 3.0重量%
超純水 残量
C.I.アシッドブルー 290 2.0重量%
ブチルトリグリコール 10.0重量%
グリセリン 10.0重量%
オルフィンE1010 1.0重量%
超純水 残量
〈例2〉
C.I.アシッドブルー 290 2.0重量%
ブチルトリグリコール 10.0重量%
グリセリン 10.0重量%
オルフィンE1010 1.0重量%
界面活性剤1 3.0重量%
超純水 残量
例3〜37
また、上記の例2のインク組成物の界面活性剤1を、同量の上記表1の界面活性剤2〜36に代えた以外は同様にして、それぞれ例3〜37のインク組成物を調製した。
また、上記の例2のインク組成物の界面活性剤1を、同量の上記表1の界面活性剤2〜36に代えた以外は同様にして、それぞれ例3〜37のインク組成物を調製した。
例38〜73
さらに、上記の例2〜37のインク組成物に含まれる界面活性剤の量を3重量%から15重量%に代えた以外は同様にして、それぞれ例38〜73のインク組成物を調製した。
さらに、上記の例2〜37のインク組成物に含まれる界面活性剤の量を3重量%から15重量%に代えた以外は同様にして、それぞれ例38〜73のインク組成物を調製した。
例74〜142
また、上記と同様に、下記の表2〜9の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、下記組成の数値はインク中の含有量(重量基準%)を表す。インク組成物の調製に使用した界面活性剤は、上記式(I)を有するソルビタン脂肪酸エステルを用い、前記表1に記載のRの飽和アルキル基の炭素数、l+m+n、およびHLB値を有する界面活性剤を使用した。
また、上記と同様に、下記の表2〜9の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、下記組成の数値はインク中の含有量(重量基準%)を表す。インク組成物の調製に使用した界面活性剤は、上記式(I)を有するソルビタン脂肪酸エステルを用い、前記表1に記載のRの飽和アルキル基の炭素数、l+m+n、およびHLB値を有する界面活性剤を使用した。
析出量の評価
上記で調製した各インク組成物を孔径1μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製 オムニポアメンブレンフィルタ)にてろ過し、乾燥させないように密閉容器に封入した。この容器に封入したインクを、それぞれ70、60、50、および40℃環境下において1週間放置し、100mlを採取して再度孔径1μmのメンブレンフィルタを通過させた。そして、インクが通過した後のフィルタ上に濾集された染料析出物を計量した。次に、各インク組成物について、70、60、50、40、および25℃の環境にて放置し、濾集された染料の析出量を合計した。この染料の析出量の合計が1.4g以上の場合を7点、1.2g以上1.4g未満の場合を6点、1.0g以上1.2g未満の場合を5点、0.8g以上1.0g未満を4点、0.6g以上0.8g未満を3点、0.4g以上0.6g未満を2点、0.2g以上0.4g未満を1点、そして0.2g未満を0点として析出量を比較した。その結果を下記表10に示す。
上記で調製した各インク組成物を孔径1μmのメンブレンフィルタ(ミリポア社製 オムニポアメンブレンフィルタ)にてろ過し、乾燥させないように密閉容器に封入した。この容器に封入したインクを、それぞれ70、60、50、および40℃環境下において1週間放置し、100mlを採取して再度孔径1μmのメンブレンフィルタを通過させた。そして、インクが通過した後のフィルタ上に濾集された染料析出物を計量した。次に、各インク組成物について、70、60、50、40、および25℃の環境にて放置し、濾集された染料の析出量を合計した。この染料の析出量の合計が1.4g以上の場合を7点、1.2g以上1.4g未満の場合を6点、1.0g以上1.2g未満の場合を5点、0.8g以上1.0g未満を4点、0.6g以上0.8g未満を3点、0.4g以上0.6g未満を2点、0.2g以上0.4g未満を1点、そして0.2g未満を0点として析出量を比較した。その結果を下記表10に示す。
耐光性の評価
下記前処理液をナイロンタフタに塗布し、マングルにてピックアップ率30%で絞って乾燥させた。この前処理を行ったナイロンタフタを用いて、PM−A750プリンタ(セイコーエプソン社製)により印捺を行った。印捺した布を110℃×30分にてスチーミングして定着させた後、オルフィンE1010(日信化学社製)、ラッコールSTA(明成化学社製)0.2%水溶液を用いて、55℃において10分間洗浄し、乾燥させたものを耐光性試験片とした。作成した試験片を用いて、JIS-L0843 A法 キセノンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法に基づき試験を行って等級を得た。上記結果を、下記表11に示す。
〈前処理液〉
アルギン酸ナトリウム 1.0重量%
グアガム 1.0重量%
硫酸アンモニウム 4.0重量%
尿素 10.0重量%
超純水 残量
下記前処理液をナイロンタフタに塗布し、マングルにてピックアップ率30%で絞って乾燥させた。この前処理を行ったナイロンタフタを用いて、PM−A750プリンタ(セイコーエプソン社製)により印捺を行った。印捺した布を110℃×30分にてスチーミングして定着させた後、オルフィンE1010(日信化学社製)、ラッコールSTA(明成化学社製)0.2%水溶液を用いて、55℃において10分間洗浄し、乾燥させたものを耐光性試験片とした。作成した試験片を用いて、JIS-L0843 A法 キセノンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法に基づき試験を行って等級を得た。上記結果を、下記表11に示す。
〈前処理液〉
アルギン酸ナトリウム 1.0重量%
グアガム 1.0重量%
硫酸アンモニウム 4.0重量%
尿素 10.0重量%
超純水 残量
Claims (13)
- 前記水溶性染料が、C.I.アシッドブルー258、280、または290である、請求項1に記載のインク組成物。
- 前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値が12.1〜17.9である、請求項1または2に記載のインク組成物。
- 前記ソルビタン脂肪酸エステルのHLB値が12.1〜16.4である、請求項1または2に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が7〜15重量%である、請求項1または2に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が3〜15重量%である、請求項3または4に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記水溶性染料と、前記ソルビタン脂肪酸エステルとの含有量比が1.0:3.5〜1.0:7.5である、請求項1または2に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記水溶性染料と、前記ソルビタン脂肪酸エステルとの含有量比が1.0:1.5〜1.0:7.5である、請求項3または4に記載のインク組成物。
- 前記ソルビタン脂肪酸エステルが、前記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=5〜10であるソルビタン脂肪酸エステルと、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜40であるソルビタン脂肪酸エステルとからなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記二種類のソルビタン脂肪酸エステルの合計含有量が4重量%以上である、請求項9に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記式(I)中、Rが炭素数8〜10の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=4〜20であるソルビタン脂肪酸エステルと、Rが炭素数12〜24の飽和アルキル基であり、かつl+m+n=10〜60であるソルビタン脂肪酸エステルとの含有量比が、1:5〜5:1である、請求項9または10に記載のインク組成物。
- 前記インク組成物における、前記二種類のソルビタン脂肪酸エステルの合計含有量が前記水溶性染料に対して2.0倍以上である、請求項9〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、インクジェット捺染方法。
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