JP2019064499A - 脱線防止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、飛び上がり脱線とは、地震などの予期しない急激な振動で縦方向及び横方向の衝撃的な力(縦揺れ、横揺れ)が加わり車輪がレールから飛び上がって発生する脱線である。平成16(2004)年10月23日に発生した新潟県中越地震で上越新幹線「とき325号」が、飛び上がり脱線を起こしている。また、地震ではないが、昭和61(1986)年12月28日に余部鉄橋を走行中の列車が日本海からの突風に煽られて落下した事故も飛び上がり脱線に該当する。
例えば、特開2003−138501号公報(特許文献1)には『鉄道線路の曲線区間等の内軌側に複数の脱線防止ガードをレール方向に連続して敷設した脱線防止ガード敷設区間終端の鉄道線路の列車進行方向から見て出口側となる脱線防止ガードのレール側面と平行な車輪案内面を有している平行部に一体化するとともに、前記レール側面との間隔が徐々に狭まるように形成した出口側に向かって所要な区間長の復線用誘導面を有し、該復線用誘導面の端から前記レール側面と平行に形成した出口側に向かって所要な区間長の平行誘導面を有し、該平行誘導面の端から前記レール側面との間隔が徐々に広がるように形成した出口側に向かって所要な区間長の取付誘導面を有することを特徴とした脱線防止ガードアタッチメント。』が開示されている。
また、特許文献2に記載された電磁力式鉄道電車車輪浮き上がり脱線防止装置は、浮き上がり脱線に対応したものであるが、電磁石に供給する電力を必須としているため、送電設備も破損され、給電が停止されるような大震災にあっては対応することができないという問題点がある。
なお、前記凸部320は、センターレール100を設置する部分なので、平坦に形成されている。
かかるセンターレール100は、図1、図8等に示すように、マクラギ300に接する底部110と、この底部110から上方向に延設された腹部120と、この腹部120の上端において横方向に膨張した頭部130とが一定に形成されたものである。
車輪WHが走行する一般のレールR1、R2は、頭部がほぼ平坦に形成されているが、このセンターレール100は頭部130の中心に向かって上がり傾斜の凸状に形成されている。
また、このセンターレール100の底部110は、頭部130より幅広に設定されている。
また、図10に示すように、走行用のレールR1、R2が交差するポイントや道路が横切る踏切りにはセンターレール100を設置しない。ポイントでは走行用のレールR1、R2が交差するため、センターレール100を設けることができないためである。踏切りは、自動車や歩行者、自転車が横切るため、マクラギ300の凸部310に設置されることで一段と高くなったセンターレール100を設けることができないためである。
なお、センターレール100が設けられない部分では、センターレール100が設置される部分である凸部310がない通常型マクラギが使用される。
上述したように、センターレール100は全路線に渡って設置されるものではないので、センターレール銜え具200は車両TRの走行中にセンターレール100に入り込む瞬間がある。センターレール100がセンターレール銜え具200にスムーズに入り込めるように、センターレール100の先端は、図8に示すように、頭部130がテーパ面131として形成されている。
また,このセンターレール100を締結するレール締結装置350は、一対の走行用のレールR1、R2をマクラギ300に締結するものと同一のものを使用すると、使用部品の種類が抑えられるので効率的である。
このセンターレール銜え具200は、図2に示すように、第1分割体210、第2分割体220、第3分割体230及びこれらを結合させる結合手段240とから構成されている。
前記第1分割体210は、車軸AXが貫通する車軸孔211Aが開設された上方部211とこの上方部211から延設されており、保持空間280の一部を構成する凹部212が形成された下方部213とが一体に構成されたものである。
また、下方部213に形成された凹部212の下縁部212Aは、上方部211の内側面211Bより引っ込んだ位置に形成されている。これは、腹部用空間282を形作るためである。
下方部213は、凹部212の下方縁部212Bがテーパ状に形成されている。これは、センターレール銜え具200へのセンターレール100の導入がスムーズに行われるようにするためである。
なお、前記車軸孔221Aは、前記保持用空間280とは干渉しない位置に設けられている。また、前記車軸孔221Aには適宜な軸受(図示省略)がセットされている。
なお、前記連結部231には、結合手段250を構成するボルト251が貫通するボルト用開口231Aが複数個(図面では2個)開設されている。
また、図面には表れていないが、第3分割体230の連結部231のボルト251に対応すべく、前記第1分割体210と第2分割体220には、前記ボルト251に対応した位置にボルト251が螺合する雌ねじ部が形成されている。
また、腹部用空間282の内側幅寸法W3は、センターレール100の腹部120の幅寸法W4より大きく設定されている。
さらに、頭部130の幅寸法と腹部用空間282の内側幅寸法W3とでは、頭部130の幅寸法W2の方が大きく設定されている。このため、頭部130が腹部用空間282を通過して外れることはない。
なお、センターレール銜え具200の保持空間280を構成する頭部用空間281の内面のうち上側を天井面281A、横側を頭部側側面281B、下側を下面281Cとし、腹部用空間282の横側を腹部側側面282Bとする。
前記緩衝装置400は、図1等に示すように、シャフト410をセンターレール銜え具200の第3分割体230の突出部232の貫通孔232Aに貫通させることでセンターレール銜え具200に連結されている。
なお、図5(A)に示すように、付随台車の車軸AXにはブレーキディスクBDが設けられている。
車両TRが通常走行状態にある場合、脱線防止装置1000のセンターレール銜え具200は、図6(A)に示すように、センターレール100の頭部130が頭部用空間281に、腹部120が腹部用空間282にそれぞれ嵌まり込み、センターレール100のいずれの箇所も保持空間280の内面、すなわち頭部用空間281の天井面281A、頭部側側面281B、下面281C、腹部用空間282の腹部側側面282Bに接触していない。
従って、脱線防止装置1000は、脱線のおそれがない走行状態(車輪WHがレールR1、R2から外れるおそれがない状態)である通常走行状態では車両TRの走行に抵抗を加えることはなく、スムーズな走行を阻害しない。
なお、この状態では、センターレール100の頭部130は、頭部用空間280の内面である天井面281A、頭部側側面281B、下面281Cには接触しない。
しかしながら、積み荷や乗客の偏りによって車両TRの左右のバランスが異常に悪い場合、或いは想定外の強い横風が吹きつけた場合など、想定以上に車両TRが傾くことがある。これは車輪WHがレールR1、R2から外れかけて脱線に繋がりかねない非通常走行状態となりかねない。
かかる場合、図6(C)に示すように、センターレール100の頭部130の上面が、保持空間280の頭部用空間281の天井面281Aに接触する。この接触によって、それ以上の傾きが抑制されるので、脱線が未然に防止される。
なお、この状態では、センターレール100の頭部130は、頭部用空間280の内面である頭部側側面281B、下面281Cには接触せず,腹部120も腹部用側面282Bには接触しない。
縦揺れの加えて横揺れがあったとしても、横方向の揺れに対しては頭部130の頭部用空間281の頭部用側面281Bへの接触、腹部120の腹部用空間282の腹部用側面282Bへの接触によってそれ以上の横方向への変位が抑制されるので、脱線が未然に防止される。
しかも、この脱線防止装置1000による浮き上がり脱線の防止には、電磁石を使った従来の脱線防止装置のように外部からの電力の供給を必要としないので、送電設備が破損されて給電が停止されるような場合でも有効に機能する。
なお、この浮き上がり脱線は、レールR1、R2の上に異物を置くいわゆる置き石によっても発生するが、この脱線防止装置1000は置き石に対しても有効に機能することはいうまでもない。
フランジが外側のレールR1に乗り上がる方向に変位すると、図7(B)に示すように、センターレール100の頭部130の側面が頭部用空間281の頭部用側面281Bに、頭部130の下面が頭部用空間281の下面281Cに、腹部120が腹部用空間282の腹部用側面282Bにそれぞれ接触する。この接触によってそれ以上の変位が抑制されるので、車輪WHのフランジは外側のレールR1に乗り上がらず、乗り上がり脱線が未然に防止される。
すなわち、滑り上がり脱線に対しては、図7(C)に示すように、センターレール100の頭部130の上面が頭部用空間281の天井面281Aに、頭部130の下面が頭部用空間281の下面281Cにそれぞれ接触する。この接触によってそれ以上の変位が抑制されるので、車輪WHのフランジは外側のレールR1に乗り上がらず、脱線が未然に防止される。
例えば、図9に示すように、第1分割体210、第2分割体220及び第3分割体230に相当する部分が最初から一体に形成されたセンターレール銜え具900であってもよいのである。
このセンターレール銜え具900は、図9に示すように、略立方体状の本体910の底面側から上側に向かって保持空間920が形成されるとともに、この保持空間920を避けた位置に車軸AXが貫通する車軸孔930Aが形成され、かつ本体910の背面側に上方向の貫通孔941が開設された突出部940とが形成されている。
貫通孔941は、センターレール銜え具900を台車CAに連結する緩衝装置400のシャフト410が貫通される部分である。
120 腹部
130 頭部
200 センターレール銜え具
280 保持空間
281 頭部用空間
282 腹部用空間
300 マクラギ
R1、R2 レール
W2 頭部の幅寸法
W3 腹部用空間の内側幅寸法
TR 車両
1000 脱線防止装置
Claims (5)
- マクラギに設置された一対のレールの間にレールと平行に設置されるセンターレールと、前記レール上を走行する車両の車体に設けられたセンターレール銜え具とを具備しており、前記センターレールは腹部より横方向に膨張した頭部が形成されており、前記センターレール銜え具は、前記頭部が嵌まり込む頭部用空間と、この頭部用空間と連通しかつ前記腹部が嵌まり込む腹部用空間とを有する保持空間が形成されており、前記頭部の幅寸法と腹部用空間の内側幅寸法とでは、頭部の幅寸法の方が大きく設定されており、車両が通常走行状態にある場合は、センターレールは保持空間の内面に接触しないことを特徴とする脱線防止装置。
- 前記センターレール銜え具は、車軸を回転可能に支持することを特徴とする請求項1記載の脱線防止装置。
- 前記センターレール銜え具は、台車から緩衝装置を介して吊り下げられていることを特徴とする請求項1又は2記載の脱線防止装置。
- 前記マクラギは、一対のレールが設置される部分より高くなった凸部を有しており、この凸部にセンターレールが設置されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の脱線防止装置。
- 前記センターレール銜え具は、センターレールの長手方向に沿って分割可能になっていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の脱線防止装置。
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