JP2019064495A - ダンパ装置及びステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シャフトに正逆の過大な衝撃荷重が入力されても、衝撃吸収装置によって確実に衝撃を吸収可能なダンパ装置及びダンパ装置を用いたステアリング装置を提供する。【解決手段】ダンパ装置50の衝撃吸収部材53bは、筒部531に対する相対荷重の大きさが所定値Fs未満である場合に軸線方向に筒部531と一体移動する。また、相対荷重の大きさが、所定値Fs以上である場合に筒部531に対して少なくとも一部が滑りを伴い相対移動するよう筒部531の内周面に嵌合される。ハウジング52は、衝撃吸収部材53bと一体移動した筒部531が当接可能な停止面522を備え、所定値Fsは、衝撃吸収部材53bが基部53aと一体で軸線方向に移動し筒部531が停止面522と当接した際における弾性体53cの圧縮荷重F以上で設定される。【選択図】図3
Description
本発明は、ダンパ装置、及びダンパ装置を用いたステアリング装置に関する。
車両のステアリング装置は、タイロッドを介して転舵輪(タイヤ)に連結される転舵シャフト(シャフト)を軸線方向に往復移動させることにより転舵輪の向きを変える。シャフトは、ハウジングに摺動可能に収容される。シャフトがその往復移動範囲の上限に達すると、シャフトの端部に形成された大径部がハウジングに衝突し、シャフトの移動範囲が物理的に規制される。
具体的には、例えば、運転者によるステアリングホイルの操作に伴って、シャフトを軸線方向に移動させる正入力の力が過大に入力された場合に移動が規制される。又、転舵輪が縁石に乗り上げる等の作用により、転舵輪からシャフトに対し、シャフトを軸線方向に移動させる逆入力の力が過大に入力された場合に移動が規制される。このような、正、逆の入力に伴って、大径部がハウジングに衝突するまでシャフトが軸線方向に移動すると、「エンド当て」が生じる。
このような場合、ステアリング装置では、通常、エンド当て部にダンパ装置を配置してエンド当て時の衝撃を吸収する。ダンパ装置としては、大径部を備える上記のシャフト、シャフトを軸線方向に相対移動可能に挿通し大径部の軸線方向の移動を規制するハウジング、及びシャフトの軸部に挿通され、軸線方向の大径部の端面とハウジングとの間に介装される衝撃吸収装置を備えるものが知られている。
例えば、特許文献1に開示されるステアリング装置では、エンド部材(大径部)とハウジングとの間に衝撃吸収装置が介装される。衝撃吸収装置は、大径部を介して衝突を受け衝突衝撃のエネルギーを吸収する。衝撃吸収装置は、大径部に接触して衝突衝撃を受ける金属製のエンドプレート(衝撃受部材)と、弾性変形して衝撃を吸収する弾性部材とを有する。
特許文献1において、衝撃受部材は、ハウジングに当接することなく、ストロークが規制されるよう構成される。つまり、衝撃受部材が所定量ストロークしたときに、弾性体を収容する衝撃受部材とハウジングの規制面とハウジングの内周面との間で形成される空間内に弾性体を変形させ満充填させることで、衝撃受部材がそれ以上移動できないよう規制している。これにより、金属製の衝撃受部材がハウジングに衝突し、ハウジングを破損させることを防止している。
しかしながら、特許文献1のダンパ装置を、SUV等の大型車のステアリング装置に採用しようとした場合、シャフトに入力される正逆の過大な力(衝撃荷重)は、小型車と較べて非常に大きい。このため、大径部から衝突衝撃を受けた衝撃受部材は、空間内に満充填された弾性体を押圧して、さらに前進し、弾性体を介してハウジングを変形させる虞がある。
そこで、本発明では、シャフトに対して正逆の過大な衝撃荷重が入力されても、衝撃吸収装置によって確実に衝撃を吸収可能なダンパ装置及びダンパ装置を用いたステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明のダンパ装置は、軸部及び大径部を備えるシャフトと、筒状に形成され、前記シャフトを軸線方向に相対移動可能に挿通し前記大径部の端面を含む仮想平面と対向する規制面を備えるハウジングと、前記軸部に挿通され、前記軸線方向において前記大径部の前記端面と前記規制面との間に介装される衝撃吸収装置と、を備える。
そして、前記衝撃吸収装置は、前記ハウジングの内周面と対向する筒部、及び前記筒部から径方向外方に延在して前記規制面と対向し、且つ前記大径部の前記端面と当接不能に形成されるフランジ部を備える基部と、前記筒部の内周面に嵌合され、前記大径部側の端面が前記大径部の前記端面と当接可能な筒状の衝撃吸収部材と、前記ハウジングの前記内周面、前記規制面、前記筒部の前記外周面及び前記フランジ部により形成される空間に、前記ハウジングの前記内周面及び前記筒部の前記外周面の少なくとも一方との間に隙間を介して配置され、ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料で成形される弾性体と、を備える。
前記衝撃吸収部材は、前記軸線方向において前記大径部が前記衝撃吸収部材に付与する前記筒部に対する相対荷重の大きさが所定値Fs未満である場合に前記軸線方向に前記筒部と一体移動し、前記相対荷重の大きさが、所定値Fs以上である場合に前記筒部に対して少なくとも一部が滑りを伴い相対移動するよう前記筒部の前記内周面に嵌合され、前記ハウジングは、前記規制面の径方向内方に連続して設けられる領域であり、前記衝撃吸収部材と一体移動した前記筒部の端面が当接可能な停止面を備え、前記所定値Fsは、前記衝撃吸収部材が前記基部と一体で前記軸線方向に移動し前記筒部の前記端面が前記停止面と当接した際における前記弾性体の圧縮荷重F以上で設定される。
これにより、衝撃吸収部材の端面がシャフトの大径部から過大な入力(衝撃荷重)を受けると、内周面に衝撃吸収部材が嵌合された基部の筒部、及び衝撃吸収部材は、ハウジングの規制面の方向に向って一体で移動を開始する。このとき、弾性体は、筒部の軸線方向への移動量に応じて軸線方向に圧縮される。このため、筒部は、弾性体から移動量に応じた圧縮荷重を移動方向と反対方向に受ける。従って、大径部から衝撃荷重を受ける衝撃吸収部材と筒部との間には、所定の相対荷重が生じる。
本発明では、相対荷重が所定値Fs以上となる場合に、衝撃吸収部材の少なくとも一部が筒部に対して滑りを伴って相対移動するよう設定されている。所定値Fsは、筒部の端面がハウジングの停止面に当接したときの弾性体の圧縮荷重Fよりも大きくなるよう設定されている。このため、筒部の端面がハウジングの停止面に当接するまでの間において、筒部と衝撃吸収部材との間では、滑りを伴う相対移動は生じず筒部と衝撃吸収部材とは一体で移動する。
しかし、大径部から衝撃吸収部材に入力された衝撃荷重が、非常に大きい場合には、筒部の端面がハウジングの停止面に当接したのちにも、衝撃吸収部材に対し、さらに衝撃荷重を付与し続ける。このため、筒部との間の相対荷重は上昇し、相対荷重が所定値Fs以上となったときに、衝撃吸収部材と筒部との間で滑りを伴う相対移動が生じる。これにより、衝撃吸収部材に入力された衝撃荷重のエネルギーは、滑りによって運動エネルギー及び熱エネルギー等に変換され良好に減少する。このように、シャフトに非常に大きな正逆の衝撃荷重が入力されても、衝撃吸収装置によって確実に衝撃を吸収することができる。
また、本発明のステアリング装置は、本発明のダンパ装置を備え、両端部がタイロッドを介して転舵輪に連結されると共に前記軸線方向に往復移動して前記転舵輪を転舵するシャフトであり、前記タイロッドに揺動可能に連結される前記大径部を備える前記シャフトと、前記シャフトを収容する前記ハウジングと、前記ハウジングに固定されるモータと、前記モータを駆動源とし、前記シャフトにボールねじ装置を介して操舵補助力を付与する操舵補助装置と、を備える。これにより、シャフトに非常に大きな正逆の衝撃荷重が入力されても、確実に衝撃を吸収することができる衝撃吸収装置を備えた耐久性の高いステアリング装置が得られる。
本明細書において「弾性体」は、一般的に定義される「ゴム状弾性」を発現する材料素材で成形された部材を示し、その限りにおいて限定されるものでない。弾性体としては、ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料を好適に用いることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置(ステアリング装置に相当)の全体を示す図である。電動パワーステアリング装置は、操舵補助力によって操舵力を補助するステアリング装置である。
(1.ステアリング装置の構成)
電動パワーステアリング装置10(以後、ステアリング装置10とのみ称する)は、車両の転舵輪28,28に連結されるシャフト20を、シャフト20の軸線方向と一致するA方向(図1の左右方向)に往復移動させることにより、転舵輪28,28の向きを転舵させる装置である。なお、以下の説明においては、図1中、軸線方向Aに沿った右側を「一方」側、左側を「他方」側として説明する。
電動パワーステアリング装置10(以後、ステアリング装置10とのみ称する)は、車両の転舵輪28,28に連結されるシャフト20を、シャフト20の軸線方向と一致するA方向(図1の左右方向)に往復移動させることにより、転舵輪28,28の向きを転舵させる装置である。なお、以下の説明においては、図1中、軸線方向Aに沿った右側を「一方」側、左側を「他方」側として説明する。
図1に示すように、ステアリング装置10は、シャフト20を収容するハウジング11と、ステアリングホイル12と、ステアリングシャフト13と、トルク検出装置14と、電動モータM(モータに相当。以後、モータMとのみ称す)と、前述したシャフト20と、操舵補助装置30と、ボールねじ装置40と、ダンパ装置50と、を備える。
ハウジング11は、車両に固定される固定部材である。ハウジング11は、筒状に形成され、シャフト20をA方向に往復移動可能に挿通し支持する。ハウジング11は、第一ハウジング11aと、第一ハウジング11aのA方向他方側に固定された第二ハウジング11bと、を備える。
ステアリングホイル12は、ステアリングシャフト13の端部に固定され、車室内において回転可能に支持される。ステアリングシャフト13は、運転者の操作によってステアリングホイル12に加えられるトルクをシャフト20に伝達する。
ステアリングシャフト13のシャフト20側の端部には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン13aが形成される。トルク検出装置14は、ステアリングシャフト13の捩れ量に基づいて、ステアリングシャフト13に加えられるトルクを検出する。
シャフト20は、A方向に延伸している。シャフト20には、ラック22が形成される。ラック22は、ステアリングシャフト13のピニオン13aに噛合し、ピニオン13aとともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックアンドピニオン機構は、ステアリング装置10の用途等に基づいて、ステアリングシャフト13とシャフト20との間で伝達可能な最大軸力が設定される。
また、シャフト20は、両端部にジョイントである大径部51,51を有する。大径部51,51の両端部には、タイロッド26,26が連結される。タイロッド26,26の先端は、ナックルアーム27,27を介して左右の転舵輪28,28に連結される。
これにより、ステアリングホイル12が操舵されると、ラックアンドピニオン機構を介して、シャフト20が直線往復移動される。このA方向に沿った移動がタイロッド26,26を介してナックルアーム27,27に伝達されることにより、転舵輪28,28が転舵され、車両の進行方向が変更される。
ハウジング11のA方向両端には、ブーツ29,29の一端部が固定される。ブーツ29,29は、例えば樹脂製で、主に大径部51,51とタイロッド26,26とのジョイント部分を覆い、A方向に伸縮可能な筒状の蛇腹部を有する。ブーツ29,29の他端部はタイロッド26,26に固定される。ブーツ29,29は、埃や水などの異物が、ハウジング11の内部、及び大径部51,51の内部に侵入することを抑制する。
また、シャフト20は、ラック22とは異なる位置にボールねじ部23が形成される。ボールねじ部23は、後述するナット21のボールナット部15とともにボールねじ装置40を構成し、操舵補助装置30により操舵補助力が伝達される。
操舵補助装置30は、ハウジング11に固定されるモータMを駆動源としてシャフト20にボールねじ装置40を介して操舵補助力を付与する装置である。操舵補助装置30は、モータM,モータMを駆動する制御部ECU及び駆動力伝達装置32を備える。モータM及び制御部ECUは、ハウジング11の第一ハウジング11aに固定されるケース31に固定され収容される。制御部ECUは、トルク検出装置14の出力信号に基づいて、操舵補助トルクを決定し、モータMの出力を制御する。
図2に示すように、駆動力伝達装置32は、駆動プーリ36,従動プーリ34及び歯付きベルト35を備える。駆動プーリ36,及び従動プーリ34は、それぞれ、はす歯の外歯を備える歯付きのプーリである。歯付きベルト35は、はす歯で形成された内歯を内周側に複数有する円環状のゴムベルトである。
駆動プーリ36は、モータMの出力シャフト37に出力シャフト37と一体回転可能に設けられる。出力シャフト37は、シャフト20の軸線と所定量だけ平行にオフセットされて配置される。このとき、オフセットされる所定量は任意に設定すればよい。従動プーリ34は、筒状の部材である。従動プーリ34は、歯付きベルト35を介して駆動プーリ36と連結され、ナット21の外周側にナット21と一体回転可能に設けられる。
歯付きベルト35は、従動プーリ34の外周と駆動プーリ36の外周との間に、各外周に設けられた各はす歯と噛合した状態で掛け渡される。このとき、歯付きベルト35は、従動プーリ34及び駆動プーリ36との噛合が外れないように所定の張力を有した状態で従動プーリ34と駆動プーリ36との間に掛け渡される。
これにより、駆動力伝達装置32は、駆動プーリ36と従動プーリ34との間で回転駆動力(駆動力)を伝達する。また、ナット21の他方側端部は、図略の軸受を介して第二ハウジング11bの内周面11b1に相対回転可能に支持される。これにより、ナット21が軸受を介してハウジング11に相対回転可能に支持される。
図2に示すように、ボールねじ装置40は、前述したシャフト20の外周面に形成されたボールねじ部23,ボールねじ部23の外周側に配置され内周面にボールナット部15が形成された前述のナット21,ボールねじ部23とボールナット部15との間に配列される複数の転動ボール24,及び図略のデフレクタを備える。
シャフト20のボールねじ部23は、外周面に螺旋状に形成された外周転動溝20aを備える。外周転動溝20aは、複数巻き巻回されて形成される。ナット21は、筒状に形成され、ボールねじ部23の外周側にボールねじ部23(シャフト20)と同軸に配置される。前述したように、ナット21は、内周面にボールナット部15を備える。ボールナット部15は、ボールねじ部23(シャフト20)の外周転動溝20aと径方向外方で対向する螺旋状の内周転動溝21aを備える。
内周転動溝21aは、複数巻き巻回されて形成される。ボールねじ部23の外周転動溝20aとナット21の内周転動溝21aとが対向して配置され、それぞれ対応する外周転動溝20aと内周転動溝21aとの間で複数の転動ボール24が転動する転動路R1が形成される。複数の転動ボール24は、転動路R1内に転動可能に配列される。これにより、ボールねじ部23の外周転動溝20aと、ナット21の内周転動溝21aとが、複数の転動ボール24を介して螺合する。
転動路R1を転動する複数の転動ボール24は、ナット21内に配置されたデフレクタ(図略)と、ナット21内に形成され各デフレクタ間を接続する通路(図略)と、を介して無限循環される。デフレクタによる転動ボール24の無限循環については、公知の技術であるので、詳細な説明については省略する。
上記の構成により、操舵補助装置30は、ステアリングホイル12の回転操作に応じてモータMを駆動し、モータMの出力シャフト37及び駆動プーリ36を回転させる。駆動プーリ36の回転は、歯付きベルト35を介して従動プーリ34に伝達され、従動プーリ34を回転させることにより、従動プーリ34に一体的に設けられるナット21が回転する。そして、ナット21が回転することにより、シャフト20の軸線方向への操舵補助力(動力)が、ボールねじ装置40が有する複数の転動ボール24を介してシャフト20に伝達される。これにより、シャフト20が軸方向に往復移動される。
(2.ダンパ装置)
ダンパ装置50について、図3に基づき説明する。ダンパ装置50は、運転者がステアリングホイル12を回転操作(操舵)することに伴い入力される正入力、又は車両の外部から転舵輪28を介して入力される逆入力がシャフト20に入力され、A方向に移動された場合において、シャフト20の大径部51と衝突させ、移動の衝突衝撃(エネルギー)を吸収する装置である。正入力及び逆入力については、後に説明する。
ダンパ装置50について、図3に基づき説明する。ダンパ装置50は、運転者がステアリングホイル12を回転操作(操舵)することに伴い入力される正入力、又は車両の外部から転舵輪28を介して入力される逆入力がシャフト20に入力され、A方向に移動された場合において、シャフト20の大径部51と衝突させ、移動の衝突衝撃(エネルギー)を吸収する装置である。正入力及び逆入力については、後に説明する。
なお、実施形態のダンパ装置50は、図1に示すように、ステアリング装置10のA方向両側の2カ所に装着される。特に断りがなければ、2カ所に装着されるダンパ装置50のうち、他方側であって、図1中で操舵補助装置30に隣接するダンパ装置50の構成について、主に説明する。なお、図1の一方側のダンパ装置50については、以降で説明する他方側のダンパ装置50の説明がそのまま適用できる。
ダンパ装置50は、シャフト20,大径部用ハウジング(ハウジング)52(11),及び衝撃吸収装置53を備える。シャフト20は、上記で説明したステアリング装置10のシャフト20と同じものであり、ステアリング装置10と共用である。シャフト20は、ボールねじ部23及びラック22を備える軸部211及び大径部51を備える。シャフト20の大径部51は、軸部211より大きな外径で形成される。
図3に示すように、大径部51における一方側の端面51aの中央からは、外周面に雄ねじが形成された雄ねじ部51bが突設されている。また、大径部51の一方側の端面51aと対向する軸部211の他方側の端面の中央には、内周面に雌ねじが形成された雌ねじ部213が形成される。そして、図3に示すように、雄ねじ部51bと雌ねじ部213とが螺合し、大径部51の端面51aと、軸部211の他方側の端面とが当接して締結されシャフト20が形成される。
大径部51の端面51aは、雄ねじ部51bの根元から径方向外方に拡径した面で形成される。本実施形態では、端面51aがシャフト20の終端面に相当し、いわゆるラックエンドを形成する。端面51aは、衝撃吸収装置53を介してハウジングの規制面52bに係止可能であり、シャフト20が直線往復移動する際のストッパを担う。詳細については、後に述べる。
また、大径部51は、他方側に、タイロッド26の先端に形成されたボール部26bを収容するソケット部51cを有する。ボール部26bは、球状を呈す。ボール部26bは、緩衝材26cを介してソケット部51cに回動自在に収容される。
このように、大径部51は、タイロッド26、及びナックルアーム27を介して転舵輪28と連結される(図1参照)。シャフト20がA方向に直線往復移動することによって、大径部51に装着されるタイロッド26のボール部26bの中心を回動中心としてタイロッド26が揺動される。これにより、転舵輪28が転舵可能となる。
なお、この場合、シャフト20は、運転者がステアリングホイル12を回転操作することによってA方向に直線(往復)移動される。このように、運転者がステアリングホイル12を回転操作することによってシャフト20に入力される荷重を正入力荷重と称す。これに対し、車両走行時において転舵輪28,28が縁石に乗り上げる等の作用により、転舵輪28,28が強制的に転舵され、これによってシャフト20に入力されシャフト20をA方向に直線移動させる荷重を逆入力荷重と称す。
正入力荷重又は逆入力荷重がシャフト20に過大に入力されると、一方側又は他方側の何れかの大径部51の端面51aが、端面51aと後述する大径部用ハウジング52の規制面52bとの間に介装される衝撃吸収装置53に衝突する。そして、シャフト20は、A方向への移動のエネルギーが衝撃吸収装置53によって吸収されて「0」になるまでA方向に移動する。このようにして、衝撃吸収装置53は、シャフト20のA方向への移動を物理的に規制する。
図2,図3に示すように、大径部用ハウジング52は、ハウジング11の一部分であり、A方向において転舵輪28が配置される側に開口する略有底筒状に形成される。大径部用ハウジング52は、シャフト20を大径部用ハウジング52に対してA方向に相対移動可能に挿通する。大径部用ハウジング52は、シャフト収容部52e,大径部収容部52a,上述した規制面52b,内周面52c,及び逃げ部52fを備える。
シャフト収容部52e及び大径部収容部52aは、A方向に沿って同軸で形成される。シャフト収容部52eは、シャフト20の軸部211を挿通状態で収容する。大径部収容部52aの内径は、シャフト収容部52eの内径より大径である。大径部収容部52aは、シャフト収容部52eを介し、シャフト収容部52eの一方側の空間と連通して形成される。また、大径部収容部52aは、他方側に開口して軸部211及び大径部51を収容する。
大径部用ハウジング52の規制面52bは、大径部収容部52aの底壁の底面に形成される。規制面52bは、シャフト20の大径部51の端面51aを含む仮想平面(図略)と対向するよう形成される。具体的には、端面51aと、規制面52bとを、A方向にそれぞれ投影した場合、端面51aと、規制面52bとは重複しない。つまり、大径部51を規制面52bの方向に移動させても、大径部51の端面51aと規制面52bとは当接不能である。
内周面52cの規制面52b側の隅部には、規制面52bから径方向外方に拡径された環状凹溝52dが凹設される。環状凹溝52dは、弾性体の環状凸部536と嵌合して、衝撃吸収装置53を規制面52bに装着するための凹部である。
逃げ部52fは、シャフト収容部52eの他方側の内周面及び規制面52bの径方向内方に、それぞれ段差を有し連続して設けられる円環形に窪んだ空間領域である。逃げ部52fは、後述する筒部531の端部537がA方向に沿って規制面52bより反大径部側に進入可能に形成される。
図3、図4Aに示すように、逃げ部52fは、後述する筒部531の外周面531bより大径の内周面521を有する。また、逃げ部52fは、筒部の端面531cと対向し、端面531cと当接可能な底面である停止面522を有する。具体的には、内周面521の内径は筒部531の外周面531bの外径よりも1mm程度大きく形成され、規制面52bから底面までの間隔(深さ)は、たとえば、数mm程度である。
(3.衝撃吸収装置)
次に、衝撃吸収装置53について詳細に説明する。前述したように、衝撃吸収装置53は、大径部51の端面51aのエンド当て時において衝突衝撃を吸収する部材である。図3,図4Aに示すように、衝撃吸収装置53は、軸部211に挿通され、A方向において、大径部51の端面51aと大径部用ハウジング52の規制面52bとの間に介装される。
次に、衝撃吸収装置53について詳細に説明する。前述したように、衝撃吸収装置53は、大径部51の端面51aのエンド当て時において衝突衝撃を吸収する部材である。図3,図4Aに示すように、衝撃吸収装置53は、軸部211に挿通され、A方向において、大径部51の端面51aと大径部用ハウジング52の規制面52bとの間に介装される。
衝撃吸収装置53は、基部53aと、衝撃吸収部材53bと、弾性体53cと、を備える。基部53aは、筒状に形成され外周面531bが大径部用ハウジング52の内周面52cと対向する筒部531と、筒部531の他方側端部から径方向外方に延在して規制面52bと対向し、且つ、大径部51の端面51aと当接不能に形成されるフランジ部532と、を備える。
基部53aは、A方向に沿った断面視がL字をなし、筒部531はL字のA方向に沿った1辺を形成し、フランジ部532はA方向と垂直方向に沿った他の1辺を形成する。筒部531は、上述したように、規制面52bより反大径部側の逃げ部52fに進入可能となるよう外径が逃げ部52fの内径より小さく形成される。また、筒部531の端部537の端面531cは、逃げ部52fの底面である停止面522と当接可能に形成される。
筒部531の内周面531aの内径は、前述したように、シャフト20の大径部51がA方向において規制面52b側に向って移動した際、大径部51の端面51aと当接せず当接不能となるよう大径部51の外径より大径に形成される。
また、筒部531の外周面531bは、弾性体53cの内周面534に緩挿される。筒部531は、内周面534における弾性体53cの圧縮変形方向を、A方向に沿うように規制し、弾性体53cが、筒部531を超えて径方向内方にはみ出し変形するのを防止する。
衝撃吸収部材53bは、円筒状(筒状に相当)に形成され、筒部531の内周面531aに衝撃吸収部材53bの外周面が圧入(嵌合)される。このとき、衝撃吸収部材53bは、図4Aに示すように、A方向(軸線方向)における長さL2が、圧入(嵌合)する筒部531のA方向における長さL1よりも短い。また、衝撃吸収部材53bは、筒部531の内周面531aに圧入(嵌合)された状態において、停止面522側の端面53dが、筒部531の停止面522側の端面531cより大径部51側に位置している。
具体的には、衝撃吸収部材53bの停止面522側の端面53dと筒部531の停止面522側の端面531cとの間の距離L3(=L1−L2)は、例えば、規制面52bから逃げ部52fの底面(停止面522)までの深さL4〔mm〕と同程度とする。ただし、この態様に限らず、距離L3は、任意でいくつに設定してもよい。
上記において、衝撃吸収部材53bは、外周面が筒部531の内周面531aに圧入荷重Pで圧入(嵌合)される。このとき、筒部531に対する衝撃吸収部材53bの圧入荷重Pは、次のように設定する。圧入荷重Pは、筒部531(基部53a)をA方向一方側に移動させ、端面531cを停止面522に当接させた際、つまり図4Bの状態における弾性体53cの圧縮荷重F1に基づき設定する。詳細には、圧入荷重Pは、弾性体53cの圧縮荷重Fよりも若干大きな値となるよう設定する(P>F1)。
このため、図4Bに示すように、大径部51の端面51aが、衝撃吸収装置53の衝撃吸収部材53bと当接(衝突)し、その後、筒部531の端面531cが停止面522に当接するまでの間、筒部531(基部53a)には、筒部531の変位に応じた弾性体53cの圧縮荷重Fが衝撃吸収部材53bに対する相対荷重として付与される。
上述したように、このとき、圧入荷重Pは、筒部531の端面531cが停止面522に当接した際の圧縮荷重F1より大きい。従って、筒部531がA方向に移動し端面531cが停止面522に当接するまでは、圧縮荷重Fより圧入荷重Pの方が大きいので、衝撃吸収部材53bと筒部531との間の圧入状態は維持され、衝撃吸収部材53bと筒部531とは一体でA方向一方側に向って移動できる。
また、このとき、圧入荷重Pは、大径部用ハウジング52を破壊する荷重Gよりも小さな荷重で設定される。従って、衝撃吸収部材53bと筒部531とが一体で移動し、筒部531の端面531cが停止面522に当接する際、シャフト20(大径部51)が弾性体53cを介して規制面52bを押圧しても、大径部用ハウジング52が変形し破損する前に、衝撃吸収部材53bと筒部531との間の圧入状態は解除され、衝撃吸収部材53bと筒部531との間で滑りが生じる。これにより、シャフト20が大径部用ハウジング52を押圧する力(エネルギー)が、大幅に減少する(吸収される)ため、大径部用ハウジング52が変形する虞はない。
このように、本実施形態においては、衝撃吸収部材53bに対する相対荷重として弾性体53cが筒部531(基部53a)に付与する圧縮荷重F(相対荷重F)が圧入荷重P以上となるまでは、衝撃吸収部材53bと筒部531とが一体で移動可能である。本実施形態では、圧入荷重Pと等しい相対荷重の所定値を所定値Fsとする。つまり、所定値Fsは、筒部531(基部53a)に対して衝撃吸収部材53b(衝撃吸収部材53bの少なくとも一部に相当)が相対移動を開始する相対荷重の大きさである。
次に、弾性体53cについて説明する。以下の弾性体の説明において、特に断りが無ければ、無変形状態の弾性体53cについて説明する。弾性体53cは、衝撃吸収部材53bが、大径部51の端面51aと直接接触して受けた衝突衝撃が、筒部531(基部53a)を介して伝達され、所定の空間内で変形しながら衝撃吸収する部材である。弾性体53cは、大径部用ハウジング52(大径部収容部52a)の内周面52c、規制面52b、筒部531の外周面531b及びフランジ部532により形成される初期空間S0に配置される。
弾性体53cは、筒状本体部535と、環状凸部536とを備える。筒状本体部535は、A方向において、規制面52bとフランジ部532(円環部)の規制面52b側の面532aとの間に配置される。また筒状本体部535は、外周面535aのA軸方向の中央部にくびれ状の凹部535cが形成され、これにより全体形状は、鼓状を呈する。つまり、筒状本体部535は、大径部用ハウジング52の内周面52c及び筒部531の外周面531bの少なくとも一方(本実施形態では大径部用ハウジング52の内周面52cとの間に隙間を設けた)との間に隙間を介して配置される。
筒状本体部535の端面533aは、フランジ部532の規制面52b側の面532aに接着される。弾性体53cがゴム材料で成形されていれば、接着方法は加硫接着であり、接触可能な面532a全面に接着される。また、筒状本体部535の内周面534には、僅かな隙間を有して筒部531が挿入される。つまり、筒状本体部535の内周面534では、筒部531との接着が行われておらず、筒状本体部535は、フランジ部532の規制面52b側の面532aとのみ接着される。
また、筒状本体部535が有する内周面534の規制面52b側の角部には、規制面52bに向かって拡径するテーパ状の拡径部534aが形成される。拡径部534aは、例えば、筒部531の規制面52b側の端面531cを始点として傾斜形成される。
なお、拡径部534aは、筒状本体部535が圧縮された際(図4B参照)に弾性変形し、筒部531の端面531cと規制面52bとの間にはみ出さないようにすることを形成の目的とする。これによって、端面531cと規制面52bとの間ではみ出した筒状本体部535を咬み込むことを防止できる。
筒状本体部535の外周面535aに形成された凹部535cは、外周面535aのA軸方向の中央部で最もくびれて形成される。また、フランジ部532との接着面である端面533aは、フランジ部532の規制面52b側における端面の全面に接着される。凹部535cは、筒状本体部535の外周面535aにおいて、特に、そのA軸方向における中央部が、圧縮変形時に径方向外方に膨らみ、大径部用ハウジング52の内周面52cと擦れることを抑制する。
環状凸部536は、筒状本体部535の規制面52b側の外周面535aから径方向外方に例えば4箇所突設(図略)し、環状凹溝52dに収容(圧入)される。4箇所の環状凸部536は、外周面535aにおいて周方向に等間隔で配置される。環状凸部536は、前述した大径部用ハウジング52の内周面52cに形成された環状凹溝52dに圧入(収容)され、衝撃吸収装置53の軸方向における位置が固定(規制)される。
なお、本発明に係る弾性体53cは、ゴム状弾性を発現するように成形された部材であれば特に限定されない。例えば、弾性体53cは、架橋ゴム、熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂系エラストマー等の材料を用いて成形できる。架橋ゴムとしては、天然ゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,クロロプレンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム(以下、NBRとも記す)等のジエン系ゴム及びこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたゴム等を例示できる。また、熱硬化性合成樹脂系エラストマーとしては、エチレン‐プロピレンゴム等のオレフィン系ゴム、ブチルゴム,アクリルゴム,ウレタンゴム,シリコンゴム,フッ素ゴム等を例示できる。さらに、熱可塑性合成樹脂系エラストマーとしては、スチレン系,オレフィン系,ポリエステル系,ポリウレタン系,ポリアミド系,塩化ビニル系等のエラストマーを例示できる。
本実施形態では、弾性体53cを、ステアリング装置10の大径部用ハウジング52に装着する衝撃吸収装置53に用いる。このため、弾性体53cの材料としては、耐熱性、耐寒性、耐候性の観点から、上述した材料のうち、NBR、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン-プロピレンゴム等を好適に用いることができる。更に耐油性の観点から、弾性体53cの材料として、極性基を有するNBR、クロロプレンゴム等を好適に用いることができる。
(4.作用)
次に、作用について図4A−図4C、図5のグラフに基づき説明する。第一実施形態のダンパ装置50では、正入力、又は逆入力の過大な荷重がシャフト20に入力された場合を想定して説明する。上記前提において、図4A(第一の作動状態)に示すように、シャフト20にA方向の過大な荷重が入力されると、シャフト20が例えば一方側(図4Aにおいて右方向)に移動し、大径部51の端面51aが、衝撃吸収部材53bの端面53eと当接(衝突)する。
次に、作用について図4A−図4C、図5のグラフに基づき説明する。第一実施形態のダンパ装置50では、正入力、又は逆入力の過大な荷重がシャフト20に入力された場合を想定して説明する。上記前提において、図4A(第一の作動状態)に示すように、シャフト20にA方向の過大な荷重が入力されると、シャフト20が例えば一方側(図4Aにおいて右方向)に移動し、大径部51の端面51aが、衝撃吸収部材53bの端面53eと当接(衝突)する。
衝撃吸収部材53bは、外周面が、基部53aが有する筒部531の内周面531aに圧入荷重Pで圧入(嵌合)されている。このとき、弾性体53cによって、筒部531(基部53a)に付与される衝撃吸収部材53bに対する相対荷重は0であり、圧入荷重Pよりも小さい。これにより、衝撃吸収部材53bは、弾性体53cによる相対荷重によって、筒部531との間でずれることなく一体でA方向における規制面52b側への移動を開始する。
なお、このとき、シャフト20(大径部51)のストローク(移動量)に対する相対荷重の特性を示す図5のグラフにおいて、シャフト20の大径部51の端面51aが衝撃吸収部材53bの他方側端面53eと当接し、衝撃吸収部材53bの基部53aが規制面52b側への移動を開始したストローク位置はQ1に相当する。グラフ中において、Gは前述したようにハウジングの破壊荷重の値である。
次に、衝撃吸収部材53bは、筒部531と一体でA方向において停止面522側に移動しながら、筒部531の端部537(端面531c)が逃げ部52fに進入する。そして、変位を続け、やがて筒部531の端面531cが停止面522と当接する(図4B、及び図5のQ2参照)。このとき、弾性体53cは、衝撃吸収部材53b、及び筒部531の変位に応じて縮小された空間S1において、変位に応じた相対荷重F1を筒部531に付与する。
図4B(第二の作動状態)に示す状態では、弾性体53cは空間S1内において、ほぼ隙間なく充填されている。このため、通常、弾性体53cはこれ以上変形できず、筒部531もA方向に変位不能な状態である。従って、シャフト20に入力された荷重が、過大でなければ、シャフト20のA方向における移動は、図4Bにおける状態で規制される。
しかしながら、本実施形態では、入力された荷重は、過大である。よって、図4Bにおいて、シャフト20に入力された荷重は、未だ消滅しておらず、大径部51の端面51aは衝撃吸収部材53bの端面をさらに押圧するものとする。しかし、上述したように、筒部531の端面531cが停止面522と当接した瞬間においても、相対荷重Fは、圧入荷重Pに相当する所定値Fsには達していない。よって、当接した瞬間には、衝撃吸収部材53bと筒部531との間にずれは発生しない。
しかし、このとき、筒部531の端面531cの位置は、ハウジングの変形等により若干は変位する。そして、端面531cが停止面522と当接した直後から、衝撃吸収部材53bと筒部531とは一体で若干、変位しながら、相対荷重が急上昇する(図5中D部参照)。これにより、相対荷重Fは、所定値Fsに達する。そして、相対荷重Fが所定値Fsに達した時点から衝撃吸収部材53bは筒部531に対して、滑り(摩擦)を伴い相対移動を開始する。このため、シャフト20に入力された過大な荷重は、相対移動中に運動エネルギー及び熱エネルギー等に変換され、減少する(図5中E部参照)。
そして、図4C(第三の作動状態)に示すように、停止面522に当接するまでの間に衝撃吸収部材53bの移動は停止される。ただし、このとき、衝撃吸収部材53bをどの位置で停止させるかは、任意に設定すればよい。例えば、図4Cに示すように、停止面522に当接させて停止させてもよい。また、停止面522に当接させる直前の位置で衝撃吸収部材53bの移動が停止するよう設定してもよい。さらに、停止面522に当接させる手前の位置で衝撃吸収部材53bの移動が停止するよう設定してもよい。
いずれの場合においても、シャフト20に入力が想定される過大荷重の大きさを予め想定する。そして、想定した過大荷重を実際にシャフト20に入力して事前に実験を行ない、衝撃吸収部材53bが筒部531に対して所定の状態で停止できるよう衝撃吸収部材53b及び筒部531の長さ、摩擦係数、圧入荷重P(所定値Fs)等を設定すればよい。
(5.第二実施形態)
次に第二実施形態のダンパ装置150について、図6A-図6C,及び図7のグラフに基づき説明する。ダンパ装置150は、第一実施形態のダンパ装置50に対して、衝撃吸収装置153の衝撃吸収部材153bの形状のみが異なる。よって、第一実施形態のダンパ装置50と異なる部分についてのみ詳細に説明し、同様部分についての説明は省略する。また、同様の構成については、同じ符号を付して説明する場合がある。
次に第二実施形態のダンパ装置150について、図6A-図6C,及び図7のグラフに基づき説明する。ダンパ装置150は、第一実施形態のダンパ装置50に対して、衝撃吸収装置153の衝撃吸収部材153bの形状のみが異なる。よって、第一実施形態のダンパ装置50と異なる部分についてのみ詳細に説明し、同様部分についての説明は省略する。また、同様の構成については、同じ符号を付して説明する場合がある。
ダンパ装置150の衝撃吸収装置153の衝撃吸収部材153bは、円筒状に形成され、外周面の周方向全周に溝154が形成されている(図6A(第一の作動状態)参照)。これにより、軸線方向において、溝154が設けられた位置の内周側には、薄肉部が内周面全周に形成される。
なお、溝154の断面形状は、上記態様に限らず、どのようなものでもよい。溝154の断面形状は、図6Aに示すような矩形に限らず、V字形状でもよい。また、R形状でもよい。また、溝154は、衝撃吸収部材153bの外周面だけではなく、軸線方向において、同じ位置の外周面と内周面とに同時に設けても良い。この場合、衝撃吸収部材153bの円筒全周に形成される薄肉部は、径方向において内周面と外周面の中間近傍に形成される。
そして、筒部531の内周面531aに衝撃吸収部材153bの外周面が圧入荷重Pで圧入(嵌合)される。このとき、衝撃吸収部材153bは、A方向(軸線方向)における長さL2が、圧入(嵌合)される筒部531のA方向における長さL1と等しい。また、衝撃吸収部材153bは、外周面が筒部531の内周面531aに圧入(嵌合)された状態において、停止面522側の端面153dが、筒部531の停止面522側の端面531cと面一である。
第一実施形態と同様、圧入荷重Pは、筒部531(基部53a)をA方向一方側に移動させ筒部531の端面531c及び衝撃吸収部材153bの端面153dを停止面522に当接させた際の弾性体53cの圧縮荷重F1に基づき設定する。詳細には、圧入荷重Pは、弾性体53cの圧縮荷重F1よりも若干大きな値となるよう設定する(P>F1)。
このため、シャフト20に過大な荷重が入力され、大径部51の端面51aが、衝撃吸収装置153の衝撃吸収部材153bの端面153eと当接(衝突)すると、衝撃吸収部材153bは、筒部531と一体で、停止面522側に向って移動を開始する(図7中Q4参照)。その後、筒部531の端部537(端面531c)及び衝撃吸収部材153bの端部が逃げ部52fに進入する。そして、その後も変位を続け、やがて筒部531の端面531c及び衝撃吸収部材153bの端面153dが停止面522と当接する(図6B(第二の作動状態)、及び図7のQ5参照)。
この際、端面531c及び端面153dが停止面522に当接するまでの間において、筒部531(基部53a)には、筒部531のA方向における変位に応じた弾性体53cの圧縮荷重Fが衝撃吸収部材153bに対する相対荷重として付与される(図7のF部参照)。そして、筒部531の端面531c及び衝撃吸収部材153bの端面153dが停止面522に当接する(図6B参照)。
上述したように、このとき、圧入荷重Pは、端面531c及び端面153dが停止面522に当接した際の圧縮荷重F1(=相対荷重F1)より大きい。このため、少なくとも停止面522までの間においては、衝撃吸収部材153bと筒部531との間の圧入状態は維持され、衝撃吸収部材153bと筒部531とは一体でA方向に移動できる。しかしながら、本実施形態では、シャフト20に入力された荷重は、過大である。よって、図6Bにおいて、シャフト20に入力された荷重は、未だ消滅せず、大径部51の端面51aは衝撃吸収部材153bの端面をさらに押圧する。
これにより、端面531c及び端面153dの位置は、ハウジングの変形等により一体で若干、変位する。このため、端面531c及び端面153dが停止面522と当接した直後から、衝撃吸収部材153bと筒部531とは一体で、若干変位しながら、相対荷重が急上昇する(図7中H部参照)。このため、相対荷重Fが所定値Fsに達する(図7中Q6参照)。
そして、相対荷重Fが所定値Fsに達した時点から、溝154よりA方向において大径部51側の円筒部(衝撃吸収部材153bの一部に相当)が、滑り(摩擦)を伴い停止面522側に向って相対移動を開始する。また同時に、衝撃吸収部材153bの溝154の内周側が図6Cに示すように座屈する。
従って、シャフト20に入力された過大な荷重は、相対移動中に運動エネルギー及び熱エネルギー等に変換され減少する(図7中J部参照)。そして、衝撃吸収部材53bの一部及びシャフト20の移動が停止される(図6C(第三の作動状態)参照)。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
(6.第三実施形態)
次に第三実施形態のダンパ装置250について、図8A-図8C,及び図7のグラフに基づき説明する。ダンパ装置250の衝撃吸収装置253は、第二実施形態のダンパ装置150の衝撃吸収装置153に対して、衝撃吸収部材253bの形状のみが異なる。よって、第二実施形態のダンパ装置150と異なる部分についてのみ詳細に説明し、同様部分についての説明は省略する。また、同様の構成については、同じ符号を付して説明する場合がある。
次に第三実施形態のダンパ装置250について、図8A-図8C,及び図7のグラフに基づき説明する。ダンパ装置250の衝撃吸収装置253は、第二実施形態のダンパ装置150の衝撃吸収装置153に対して、衝撃吸収部材253bの形状のみが異なる。よって、第二実施形態のダンパ装置150と異なる部分についてのみ詳細に説明し、同様部分についての説明は省略する。また、同様の構成については、同じ符号を付して説明する場合がある。
図8A(第一の作動状態)に示すように、衝撃吸収部材253bは、A方向(軸線方向)両端に円筒状の第一筒部261及び第二筒部262を備えるとともに、A方向において第一筒部261と第二筒部262との間に筒状の蛇腹部263を備える。蛇腹部263は、例えば金属製のコルゲートパイプである。第一筒部261は大径部51の端面51aと当接可能に配置され、第二筒部262は停止面522側に配置される。
第一筒部261及び第二筒部262は、各外周面が筒部531の内周面531aにそれぞれ圧入(嵌合)される。このとき、衝撃吸収部材253bは、A方向(軸線方向)における長さL2が、圧入(嵌合)される筒部531のA方向における長さL1と等しい。また、衝撃吸収部材253bの第二筒部262は、外周面が筒部531の内周面531aに圧入(嵌合)された状態において、停止面522側の端面253dが、筒部531の停止面522側の端面531cと面一である。
上記において、第一筒部261及び第二筒部262は、各外周面が筒部531の内周面531aにそれぞれ圧入荷重Pで圧入(嵌合)される。ただしこの態様に限らず、少なくとも、第一筒部261が圧入荷重Pで圧入(嵌合)されれば、第二筒部262は、圧入荷重Pより大きな荷重で圧入されてもよいし、圧入荷重Pより小さな荷重で圧入されてもよい。
このとき、圧入荷重Pは、第一,第二実施形態と同様、筒部531(基部53a)をA方向一方側に移動させ端面531cを停止面522に当接させた際の弾性体53cの圧縮荷重F1に基づき設定する。詳細には、圧入荷重Pは、弾性体53cの圧縮荷重F1よりも若干大きな値となるよう設定する(P>F1)。
このため、シャフト20に過大な荷重が入力され、大径部51の端面51aが、衝撃吸収部材253bの第一筒部261の端面253eと当接(衝突)すると、衝撃吸収部材253bは、筒部531と一体で、停止面522側に移動しながら、筒部531の端部537(端面531c)が、衝撃吸収部材253bの第二筒部262と共に逃げ部52fに進入する。そして、変位を続け、やがて筒部531の端面531c及び衝撃吸収部材253bの第二筒部262の端面253dが停止面522と当接する(図8B(第二の作動状態)参照)。
この際、端面531c及び端面253dが停止面522に当接するまでの間において、筒部531(基部53a)には、筒部531のA方向における変位に応じた弾性体53cの圧縮荷重Fが衝撃吸収部材153bに対する相対荷重として付与される(図7中F部参照)。
このとき、圧入荷重Pは、端面531c及び端面253dが停止面522に当接した際の圧縮荷重F1より大きい。従って、筒部531が移動し端面531c及び端面253dが停止面522に当接しても、衝撃吸収部材253bの第一筒部261と筒部531との間の圧入状態は維持され、衝撃吸収部材253bと筒部531とは一体でA方向に移動できる。しかしながら、本実施形態では、シャフト20に入力された荷重は、過大である。
よって、図8Bにおいて、シャフト20に入力された荷重は、未だ消滅せず、大径部51の端面51aは衝撃吸収部材253bの端面をさらに押圧する。これにより、端面531c及び端面253dの位置は、ハウジングの変形等により一体で若干、変位する。そして、端面531c及び端面253dが停止面522と当接した直後から、衝撃吸収部材253bと筒部531とは一体で変位しながら相対荷重が急上昇する(図7中H部参照)。
これにより、相対荷重Fが所定値Fsに達する(図7中Q6参照)。そして、相対荷重Fが所定値Fsに達した時点から、第一筒部261(衝撃吸収部材253bの一部に相当)が、滑り(摩擦)を伴い停止面522側に向って相対移動を開始する。また、同時に、衝撃吸収部材253bの蛇腹部263(衝撃吸収部材253bの一部に相当)が座屈する。このため、シャフト20に入力された過大な荷重は解放され減少する(図7中J部参照)。そして、衝撃吸収部材53bの一部及びシャフト20の移動が停止される(図8C(第三の作動状態)参照)。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
なお、上記第二,第三実施形態においては、衝撃吸収部材153b,253bは、A方向(軸線方向)における長さL2が、圧入(嵌合)される筒部531のA方向における長さL1と等しいものとして説明したが、この態様には限らない。衝撃吸収部材153b,253bの長さL2は、筒部531のA方向における長さL1より短くても良い。このとき、衝撃吸収部材153b,253bの両側端面は、筒部531の両側端面に対し、いずれか一方が面一で配置され、他方がA方向において内側に位置するよう配置されてもよい。また、衝撃吸収部材153b,253bの両側端面の何れも、筒部531の両側端面に対し、A方向において内側に位置するよう配置されてもよい。これによっても同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態では、衝撃吸収部材153b,253bを筒部531に嵌合させる一例として、圧入を挙げたがこの態様には限らない。嵌合の手段としては、溶接でもよい。また、焼き嵌めでも良い。
(7.実施形態による効果)
上記実施形態によれば、ダンパ装置50,150,250の衝撃吸収部材53b,153b,253bは、軸線方向(A方向)において大径部51が衝撃吸収部材53b,153b,253bに付与する筒部531に対する相対荷重の大きさが所定値Fs未満である場合に軸線方向に筒部531と一体移動する。また、相対荷重の大きさが、所定値Fs以上である場合に筒部531に対して少なくとも一部が滑りを伴い相対移動するよう筒部531の内周面に嵌合される。ハウジング52(11)は、規制面52bの径方向内方に連続して設けられる領域であり、衝撃吸収部材53b,153b,253bと一体移動した筒部531の端面531cが当接可能な停止面522を備え、所定値Fsは、衝撃吸収部材53b,153b,253bが基部53aと一体で軸線方向に移動し筒部531の端面531cが停止面522と当接した際における弾性体53cの圧縮荷重F以上で設定される。
上記実施形態によれば、ダンパ装置50,150,250の衝撃吸収部材53b,153b,253bは、軸線方向(A方向)において大径部51が衝撃吸収部材53b,153b,253bに付与する筒部531に対する相対荷重の大きさが所定値Fs未満である場合に軸線方向に筒部531と一体移動する。また、相対荷重の大きさが、所定値Fs以上である場合に筒部531に対して少なくとも一部が滑りを伴い相対移動するよう筒部531の内周面に嵌合される。ハウジング52(11)は、規制面52bの径方向内方に連続して設けられる領域であり、衝撃吸収部材53b,153b,253bと一体移動した筒部531の端面531cが当接可能な停止面522を備え、所定値Fsは、衝撃吸収部材53b,153b,253bが基部53aと一体で軸線方向に移動し筒部531の端面531cが停止面522と当接した際における弾性体53cの圧縮荷重F以上で設定される。
これにより、衝撃吸収部材53b,153b,253bの端面がシャフト20の大径部51から過大な入力(衝撃荷重)を受けると、内周面に衝撃吸収部材53b,153b,253bが嵌合された基部53aの筒部531、及び衝撃吸収部材53b,153b,253bは、ハウジング52(11)の規制面52b側に向って一体で移動を開始する。このとき、弾性体53cは、筒部531の軸線方向への移動量に応じて軸線方向に圧縮される。このため、筒部531は、弾性体53cから移動量に応じた圧縮荷重を移動方向と反対方向に受ける。従って、大径部51から衝撃荷重を受ける衝撃吸収部材53b,153b,253bと筒部531との間には、所定の相対荷重が生じる。
本実施形態では、相対荷重が所定値Fs以上となる場合に、衝撃吸収部材53b,153b,253bの少なくとも一部が筒部531に対して、滑りを伴って相対移動するよう設定されている。所定値Fsは、筒部531の端面531cがハウジング52の停止面522に当接したときの弾性体53cの圧縮荷重Fよりも大きくなるよう設定されている。このため、筒部531の端面531cがハウジング52の停止面522に当接するまでの間において、筒部531と衝撃吸収部材53b,153b,253bとの間では、滑りを伴う相対移動は生じず筒部531と衝撃吸収部材53b,153b,253bとは一体で移動する。
しかし、大径部51から衝撃吸収部材53b,153b,253bに入力された衝撃荷重が、非常に大きい(過大である)場合には、筒部531の端面531cがハウジング52の停止面522に当接したのちにも、衝撃吸収部材53b,153b,253bに対し、さらに衝撃荷重を付与し続ける。このため、筒部531との間の相対荷重は上昇する。そして、相対荷重が所定値Fs以上となったときに、衝撃吸収部材53b,153b,253bと筒部531との間で、滑りを伴う相対移動が生じる。これにより、衝撃吸収部材53b,153b,253bに入力された衝撃荷重のエネルギーは、滑りによって運動エネルギー及び熱エネルギー等に変換され良好に減少する。このように、シャフトに非常に大きな正逆の衝撃荷重が入力されても、衝撃吸収装置53,153,253によって確実に衝撃を吸収することができる。
また、上記実施形態によれば、ハウジング52は、規制面52bの径方向内方に連続して設けられ、筒部531の端面531cが軸線方向(A方向)に沿って規制面52bより反大径部側に進入可能な逃げ部52fを備える。そして、停止面522は、逃げ部52fの底面に形成される。これにより、筒部531の移動長さが長く確保できるので、設計の自由度が増す。
また、上記実施形態によれば、ダンパ装置50,150,250は、筒部531に対して衝撃吸収部材53b,153b,253bの少なくとも一部が相対移動を開始する相対荷重の所定値Fsは、筒部531の端面531cが停止面522に当接したときにおける弾性体53cの圧縮荷重Fより大きく、ハウジング52(11)を破壊する荷重Gよりも小さい。
これにより、衝撃吸収部材53b,153b,253bは、筒部531の端面531cが停止面522に当接するまでの間において、筒部531と一体で移動する。そして、その後、相対荷重が所定値Fs以上となると、筒部531に対して滑り相対移動する。これにより、良好に過大な荷重を吸収する。また、このとき、所定値Fsは、ハウジング52(11)を破壊する荷重Gよりも小さいので、ハウジング52(11)に影響を与えることなく、シャフト20に入力された過大な荷重を吸収できる。
また、上記第一実施形態によれば、ダンパ装置50の衝撃吸収部材53bは、円筒状に形成され、軸線方向における長さL2は、嵌合する筒部531の軸線方向における長さL1よりも短く、且つ衝撃吸収部材53bの停止面522側の端面は、筒部531の停止面522側の端面531cより大径部51側に位置する。これにより、相対荷重が所定値Fs以上となり、衝撃吸収部材53bが筒部531に対し、ずれて相対移動を開始したのちに、衝撃吸収部材53bは、距離(L1−L2)の範囲内を移動しながら過大な荷重を確実に吸収できる。
また、上記第二実施形態によれば、ダンパ装置150の衝撃吸収部材153bは、円筒状に形成され、外周面の周方向全周には溝154が形成され、大径部51が、衝撃吸収部材153bに所定値Fs以上の相対荷重が得られる荷重を付与した場合に溝154の内周側が座屈する。そして、大径部51の端面51aと当接し溝154と大径部51との間に位置する衝撃吸収部材153bの一部が、筒部531に対して軸線方向に相対移動する。これにより、第一実施形態のダンパ装置50と同様の効果が得られる。
また、上記第三実施形態によれば、ダンパ装置250の衝撃吸収部材253bは、軸線方向両端に第一筒部261及び第二筒部262を備えるとともに、第一筒部261と第二筒部262との間に筒状の蛇腹部263を備える。第一筒部261は大径部51の端面51aと当接可能に配置され、第二筒部262は停止面522側に配置される。大径部51が第一筒部261に所定値Fs以上の相対荷重が得られる荷重を付与した場合に、衝撃吸収部材253bの一部である第一筒部261が筒部531に対して相対移動するとともに、衝撃吸収部材253bの一部である蛇腹部263が座屈して軸線方向に相対移動して大径部51を軸線方向に相対移動させる。これにより、第一,第二実施形態のダンパ装置50,150と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態によれば、上記の実施形態の何れかのダンパ装置50,150,250を備えるステアリング装置10は、両端部がタイロッド26,26を介して転舵輪28,28に連結されると共に、軸線方向に往復移動して転舵輪28,28を転舵するシャフト20であり、タイロッド26,26に連結される大径部51,51を備えるシャフトと、シャフト20を収容するハウジング52(11)と、ハウジング52(11)に固定されるモータMと、モータMを駆動源とし、シャフト20にボールねじ装置40を介して操舵補助力を付与する操舵補助装置30と、を備える。よって、上述したダンパ装置50,150,250の効果を有するステアリング装置10を得ることができる。
(8.その他)
なお、上記実施形態によれば、停止面522は、ハウジング52の逃げ部52fの底面に形成した。しかし、この態様には限らず、停止面522は、規制面52bの径方向内方に連続して設けられ、且つ規制面52bと同一面に形成してもよい(図示しない)。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
なお、上記実施形態によれば、停止面522は、ハウジング52の逃げ部52fの底面に形成した。しかし、この態様には限らず、停止面522は、規制面52bの径方向内方に連続して設けられ、且つ規制面52bと同一面に形成してもよい(図示しない)。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態によれば、ダンパ装置50,150,250の衝撃吸収部材53b,153b,253bは、弾性体53cにA方向の荷重が付与されていない無変形状態において、筒部531の停止面522側の端面531cと規制面52bとの間のA方向距離は所定の間隔を有して形成された。しかし、この態様に限らず、弾性体53cの無変形状態において、筒部531の端面531cと規制面52bとの間のA方向の間隔は0であってもよい。つまり、筒部531の端面531cは、大径部51が衝撃吸収部材53b,153b,253bの大径部51側の端面と当接し、筒部531と衝撃吸収部材53b,153b,253bとが停止面522側に向って移動を開始したのち、逃げ部52fの深さ分(L4)だけ移動して停止面522と当接するよう設定してもよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態によれば、弾性体53cが圧縮された圧縮状態では、大径部用ハウジング52(大径部収容部52a)の内周面52c、規制面52b、筒部531の外周面531b及びフランジ部532により形成される空間S1内に弾性体53cが充満するよう形成されている。しかし、この態様には限らない。第一実施形態に対する別の実施形態(図9A(第一の作動状態)参照)として、弾性体353cが圧縮状態となった場合でも、空間S1内に隙間を有していても良い(図9B,図9C参照)。これによっても上記実施形態と同様の効果が期待できる。なお、別の実施形態の作動状態を示す図9A−図9Cは、第一実施形態の図4A−図4Cの各作動状態にそれぞれ対応する図である。
また、上記実施形態では、本発明に係るダンパ装置50,150,250を、ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置10に適用するものとして説明した。しかし、この態様には限らない。他の実施形態として、ダンパ装置50,150,250は、例えば、特開2011−105075号公報に記載されるような、ラック軸とモータとが同軸に配置される、所謂、ラックダイレクト型の電動ステアリング装置に適用してもよい。また、その他、ピニオンアシスト型,及びコラムアシスト型の電動ステアリング装置,アシスト機構のないラックアンドピニオン型のステアリング装置,又はステアリングホイールと機械的に連結されない転舵シャフト(シャフト)をモータで駆動するステアリング装置に適用してもよい。これらによっても相応の効果が期待できる。
10;ステアリング装置(電動パワーステアリング装置)、 20;シャフト、 21;ナット、 50,150,250;ダンパ装置、 51;大径部、 51a;端面、 52;ハウジング(大径部用ハウジング)、 52a;大径部収容部、 52b;規制面、 52c;内周面、 52f;逃げ部、 53,153,253;衝撃吸収装置、 53a;基部、 53b,153b,253b;衝撃吸収部材、 53c,353c;弾性体、 154;溝、 211;軸部、 261;第一筒部、 262;第二筒部、 263;蛇腹部、 522;停止面、 531;筒部、 531c;端面、 F;相対荷重,圧縮荷重、 Fs;相対荷重の所定値。
Claims (7)
- 軸部及び大径部を備えるシャフトと、
筒状に形成され、前記シャフトを軸線方向に相対移動可能に挿通し前記大径部の端面を含む仮想平面と対向する規制面を備えるハウジングと、
前記軸部に挿通され、前記軸線方向において前記大径部の前記端面と前記規制面との間に介装される衝撃吸収装置と、
を備えるダンパ装置であって、
前記衝撃吸収装置は、
前記ハウジングの内周面と対向する筒部、及び前記筒部から径方向外方に延在して前記規制面と対向し、且つ前記大径部の前記端面と当接不能に形成されるフランジ部を備える基部と、
前記筒部の内周面に嵌合され、前記大径部側の端面が前記大径部の前記端面と当接可能な筒状の衝撃吸収部材と、
前記ハウジングの前記内周面、前記規制面、前記筒部の外周面及び前記フランジ部により形成される空間に、前記ハウジングの前記内周面及び前記筒部の前記外周面の少なくとも一方との間に隙間を介して配置され、ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料で成形される弾性体と、を備え、
前記衝撃吸収部材は、前記軸線方向において前記大径部が前記衝撃吸収部材に付与する前記筒部に対する相対荷重の大きさが所定値Fs未満である場合に前記軸線方向に前記筒部と一体移動し、前記相対荷重の大きさが、前記所定値Fs以上である場合に前記筒部に対して少なくとも一部が滑りを伴い相対移動するよう前記筒部の前記内周面に嵌合され、
前記ハウジングは、前記規制面の径方向内方に連続して設けられる領域であり、前記衝撃吸収部材と一体移動した前記筒部の端面が当接可能な停止面を備え、
前記所定値Fsは、前記衝撃吸収部材が前記基部と一体で前記軸線方向に移動し前記筒部の前記端面が前記停止面と当接した際における前記弾性体の圧縮荷重F1以上で設定される、ダンパ装置。 - 前記ハウジングは、前記規制面の径方向内方に連続して設けられ、前記筒部の前記端面が前記軸線方向に沿って前記規制面より反大径部側に進入可能な逃げ部を備え、
前記停止面は、前記逃げ部の底面に形成される、請求項1に記載のダンパ装置。 - 前記筒部に対して前記衝撃吸収部材の前記少なくとも一部が前記相対移動を開始する前記相対荷重の前記所定値Fsは、前記筒部の前記端面が前記停止面に当接したときにおける前記弾性体の前記圧縮荷重F1より大きく、前記ハウジングを破壊する荷重Gよりも小さい、請求項1又は2に記載のダンパ装置。
- 前記衝撃吸収部材は、円筒状に形成され、前記軸線方向における長さは、嵌合する前記筒部の前記軸線方向における長さよりも短く、且つ前記衝撃吸収部材の前記停止面側の端面は、前記筒部の前記停止面側の前記端面より前記大径部側に位置する、請求項1−3のいずれか1項に記載のダンパ装置。
- 前記衝撃吸収部材は、円筒状に形成され、外周面の周方向全周には溝が形成され、前記大径部が前記衝撃吸収部材に前記所定値Fs以上の前記相対荷重が得られる荷重を付与した場合に前記溝の内周側が座屈し、前記大径部の前記端面と当接する前記溝と前記大径部との間に位置する前記衝撃吸収部材の前記一部が、前記筒部に対して前記軸線方向に相対移動する、請求項1−3のいずれか1項に記載のダンパ装置。
- 前記衝撃吸収部材は、前記軸線方向における両端に第一筒部及び第二筒部を備えるとともに、前記第一筒部と前記第二筒部との間に筒状の蛇腹部を備え、
前記第一筒部は前記大径部と当接可能に配置され、前記第二筒部は前記停止面側に配置され、
前記大径部が前記第一筒部に前記所定値Fs以上の前記相対荷重が得られる荷重を付与した場合に、前記衝撃吸収部材の前記一部である前記第一筒部が前記基部の前記筒部に対して相対移動するとともに、前記衝撃吸収部材の前記一部である前記蛇腹部が座屈して前記軸線方向に相対移動して前記大径部を前記軸線方向に相対移動させる、請求項1−3のいずれか1項に記載のダンパ装置。 - 請求項1〜6の何れか一項に記載のダンパ装置を備えるステアリング装置であって、
両端部がタイロッドを介して転舵輪に連結されると共に前記軸線方向に往復移動して前記転舵輪を転舵するシャフトであり、前記タイロッドに連結される前記大径部を備える前記シャフトと、
前記シャフトを収容する前記ハウジングと、
前記ハウジングに固定されるモータと、
前記モータを駆動源とし、前記シャフトにボールねじ装置を介して操舵補助力を付与する操舵補助装置と、を備えるステアリング装置。
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JP2017193035A JP2019064495A (ja) | 2017-10-02 | 2017-10-02 | ダンパ装置及びステアリング装置 |
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JP2021154891A (ja) * | 2020-03-27 | 2021-10-07 | Nok株式会社 | 衝撃吸収部材およびダンパ装置 |
-
2017
- 2017-10-02 JP JP2017193035A patent/JP2019064495A/ja active Pending
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