JP2018197004A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の衝撃吸収機能を実現するのに設計上の自由度を上げることが可能なステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング装置1は、軸方向Aへの移動により転舵輪18の向きを変えるラックシャフト13と、ラックシャフト13の軸方向端部に装着された大径部材60と、大径部材60が移動に伴って接離するストッパ部27,28を有し、ラックシャフト13及び大径部材60を軸方向Aに移動可能に保持する筒状のラックハウジング20と、大径部材60とストッパ部27,28との間に配置され、大径部材60とストッパ部27,28とに軸方向Aで挟持されることにより衝撃を吸収するエンドダンパ70と、を備える。エンドダンパ70は、軸方向Aに弾性変形して弾性力を発生する弾性部材72と、大径部材60とストッパ部27,28との互いに接近する軸方向Aへの相対速度が大きいほど大きな減衰力を発生する粘性部材74と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ステアリング装置に関する。
従来、車両の転舵輪を転舵するステアリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このステアリング装置は、転舵シャフトと、ハウジングと、エンドダンパと、を備えている。転舵シャフトは、転舵輪を転舵するための車幅方向に延在するシャフトであって、軸方向への移動により転舵輪の向きを変える軸部材である。ハウジングは、転舵シャフトが挿通される挿通孔を有する円筒状に形成された部材であって、転舵シャフトを軸方向に移動可能に保持している。
転舵シャフトの両端部にはそれぞれ、転舵輪側と連結するジョイントとしてのシャフトエンド部材が装着されている。シャフトエンド部材は、その外径が転舵シャフトの本体の外径に比して大きくなるように形成されている。ハウジングは、シャフトエンド部材が移動に伴って接離するストッパ部を有している。ストッパ部は、ハウジングの内面から径方向内側に向けて突出する壁部材である。ストッパ部は、転舵シャフトが軸方向に所定ストロークを超えて移動するのを規制する機能を有している。
エンドダンパは、シャフトエンド部材とハウジングのストッパ部との間に配置されている。エンドダンパは、シャフトエンド部材とハウジングのストッパ部との間で挟持されることにより両部材間の衝撃を吸収する機能を有している。エンドダンパは、弾性を有する弾性部材と、その弾性部材を保持するプレート部材と、を有している。弾性部材は、ゴムや合成樹脂等の弾性材料により形成されている。プレート部材は、例えば金属材料により形成されている。
プレート部材は、断面L字状に形成されており、円筒部と、その円筒部の軸方向の第1端部から径方向外側に向けて延在するフランジ部と、を有している。プレート部材のフランジ部は、シャフトエンド部材が当接する当接面を形成する。このプレート部材のフランジ部の当接面には、複数の溝が周方向に等間隔に設けられている。この溝は、シャフトエンド部材がプレート部材のフランジ部に当接したときの圧縮空気の逃げ道となり、空間内部の圧力増加を抑える機能や、フランジ部の曲げ強度を高める機能などを有している。また、弾性部材は、シャフトエンド部材とストッパ部とに挟持されることにより軸方向に圧縮変形する。弾性部材が軸方向に圧縮変形すると、シャフトエンド部材とストッパ部との間の衝撃が緩和される。
特開2016−97840号公報
しかしながら、上記したエンドダンパは、弾性部材の圧縮変形のみで衝撃吸収を実現するものであるため、十分な衝撃吸収機能を持たせようとすると、設計上の制約が多くなる。
本発明は、所望の衝撃吸収機能を実現するのに設計上の自由度を上げることが可能なステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明に係るステアリング装置は、転舵輪に連結され、軸方向への移動により前記転舵輪の向きを変える転舵シャフトと、前記転舵シャフトの軸方向端部に装着され、前記転舵シャフトの移動に伴って軸方向に移動するシャフトエンド部材と、前記転舵シャフトが挿通される挿通孔と、前記シャフトエンド部材が移動に伴って接離するストッパ部と、を有し、前記転舵シャフト及び前記シャフトエンド部材を軸方向に移動可能に保持する筒状のハウジングと、前記シャフトエンド部材と前記ストッパ部との間に配置され、前記シャフトエンド部材と前記ストッパ部とに軸方向で挟持されることにより衝撃を吸収するエンドダンパと、を備えるステアリング装置であって、前記エンドダンパは、軸方向に弾性変形して弾性力を発生する弾性部材と、前記シャフトエンド部材と前記ストッパ部との互いに接近する軸方向への相対速度が大きいほど大きな減衰力を発生する粘性部材と、を有する。
この構成によれば、転舵シャフトがシャフトエンド部材とハウジングのストッパ部とが互いに接近する軸方向へストロークされると、シャフトエンド部材とストッパ部との間に配置された弾性部材が軸方向で挟持されることにより弾性変形して弾性力を発生すると共に、その間に配置された粘性部材が荷重を受けて減衰力を発生する。このため、弾性部材の弾性変形と粘性部材の粘性変形とで衝撃吸収を実現することができる。従って、ステアリング装置によれば、エンドダンパにて所望の衝撃吸収機能を実現するのに設計上の自由度を上げることができる。
本発明の一実施形態に係るステアリング装置の全体構成図である。 実施形態のステアリング装置の要部の断面図である。 実施形態のステアリング装置が備えるエンドダンパの分解斜視図(尚、弾性部については一部を切り欠いた状態での斜視図を示す。)である。 実施形態のステアリング装置におけるシャフトエンド部材とストッパ部とが当接する前でのエンドダンパの拡大断面図である。 実施形態のステアリング装置におけるシャフトエンド部材とストッパ部とが当接した後でのエンドダンパの拡大断面図である。 実施形態のエンドダンパと対比構成のエンドダンパとで、シャフトエンド部材がストッパ部に当接した後の軸方向へのストロークと吸収エネルギの大きさとの関係を比較した図である。 実施形態のエンドダンパが有する粘性部材におけるせん断速度と吸収エネルギの大きさとの関係を表した図である。 本発明の第1変形形態に係るステアリング装置におけるシャフトエンド部材とストッパ部とが当接する前でのエンドダンパの拡大断面図である。 第1変形形態のステアリング装置におけるシャフトエンド部材とストッパ部とが当接した後でのエンドダンパの拡大断面図である。 本発明の第2変形形態に係るステアリング装置におけるシャフトエンド部材とストッパ部とが当接する前でのエンドダンパの拡大断面図である。 第2変形形態のステアリング装置におけるシャフトエンド部材とストッパ部とが当接した後でのエンドダンパの拡大断面図である。
(1.ステアリング装置の構成)
本発明の一実施形態に係るステアリング装置1の構成について、図1〜図7を参照して説明する。ステアリング装置1は、転舵シャフトであるラックシャフトをそのラックシャフトの延びる軸方向に沿って移動させることにより、そのラックシャフトの両端それぞれに連結されている転舵輪を転舵させる装置である。
ステアリング装置1は、図1に示す如く、ステアリングシャフト10を有している。ステアリングシャフト10の一端部には、車両運転者による回転操作可能なステアリングホイール11が連結されている。ステアリングシャフト10は、車体に支持されたラックハウジング20に回転可能に保持されており、ステアリングホイール11の回転に伴って回転する。ステアリングシャフト10の他端部には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン12が形成されている。
ステアリング装置1は、車幅方向すなわち軸方向Aに延在する転舵シャフトであるラックシャフト13を備えている。ラックシャフト13の何れか一端に偏った箇所には、上記ピニオン12と共にラックアンドピニオン機構を構成するラック14が形成されている。ステアリングシャフト10のピニオン12とラックシャフト13のラック14とは、互いに噛合している。ステアリングシャフト10は、車両運転者による回転操作(すなわち、ステアリング操作)によってステアリングホイール11に加わったトルクをラックシャフト13に伝達する。ステアリングシャフト10の回転は、上記のラックアンドピニオン機構によりラックシャフト13の軸方向Aへの直線移動に変換される。ラックシャフト13は、ステアリングシャフト10の回転に伴って軸方向Aに移動する。
ラックシャフト13の軸方向両端部には、ボールジョイント15を介してタイロッド16が揺動可能に連結されている。タイロッド16には、ナックルアーム17を介して転舵輪18が連結されている。転舵輪18は、ラックシャフト13の軸方向Aへの移動により転舵される。この転舵輪18の転舵により車両は左右に操舵される。
ステアリング装置1は、ボールネジ機構30と、電動モータ40と、駆動力伝達装置50と、を備えている。ステアリング装置1は、電動モータ40を駆動源として、車両運転者がステアリングホイール11を回転操作するときの操舵トルクを補助することが可能である。ステアリング装置1は、電動モータ40の発生したアシスト回転トルクを、駆動力伝達装置50を介してギヤ装置としてのボールネジ機構30に伝達すると共に、そのボールネジ機構30によってラックシャフト13を軸方向Aに直線移動させる力に変換する。この変換により、ラックシャフト13に転舵輪18の転舵を補助する補助力が付与される。ステアリング装置1は、いわゆるラックパラレル型の電動パワーステアリング装置である。
ボールネジ機構30は、ボールネジ部31と、ボールネジナット(図示せず)と、を有している。ボールネジ部31は、ラックシャフト13の外周面に螺旋状に複数回巻かれて形成されたネジ溝としての外周溝である。ボールネジナットは、円筒状に形成された軸方向Aに延在する円筒部材であって、ラックシャフト13と同軸に配置されている。ボールネジナットは、その内周面に螺旋状に複数回巻かれて形成されたネジ溝としての内周溝を有している。ボールネジ部31の外周溝とボールネジナットの内周溝とは、径方向に対向配置されており、そのボールネジナットに設けられるデフレクタ(図示せず)により無限循環される複数の転動ボールを介して螺合している。
ラックシャフト13は、軸方向Aへ移動可能にラックハウジング20に挿通されてそのラックハウジング20に保持されている。ラックハウジング20は、略筒状に形成された軸方向Aに延在するハウジングであって、ラックシャフト13を軸方向Aに移動可能に覆って保持している。ラックハウジング20は、ラックシャフト13が挿通される挿通孔20aを有している。ラックハウジング20は、アルミニウムなどにより形成されている。ラックハウジング20は、ラックシャフト13の外径に比して僅かに大きな内径を有する小径部21と、小径部21の内径に比して大きな内径を有する大径部22と、を有している。
小径部21には、ステアリングシャフト10が挿通されるステアリングシャフト挿通部23が一体的に形成されている。大径部22には、ボールネジ機構30が収容されると共に、駆動力伝達装置50が収容される。大径部22には、主にボールネジナット及び転動ボールを内包するボールネジ室24が形成されている。大径部22は、ラックハウジング20の略軸方向中央部に配置されている。尚、ラックハウジング20は、大径部22にボールネジ機構30のボールネジナットと駆動力伝達装置50とを容易に収容できるように軸方向Aに分離可能であってよい。
電動モータ40は、ラックハウジング20の大径部22近傍に固定されるケース41に収容されている。電動モータ40は、その出力軸がラックシャフト13の軸方向Aに対して平行となるように配置されている。電動モータ40は、電子制御装置(ECU)からの指令に従ってアシスト回転トルクを発生する。電動モータ40により発生されたアシスト回転トルクは、駆動力伝達装置50に伝達される。
尚、駆動力伝達装置50は、電動モータ40の出力軸に取り付け固定され、外歯を有する駆動プーリと、ボールネジ機構30のボールネジナットに取り付け固定され、外歯を有する従動プーリと、帯状かつ環状に形成され、駆動プーリ及び従動プーリの外歯に噛合する内歯を有する歯付きベルトと、を有すればよい。電動モータ40から駆動力伝達装置50にアシスト回転トルクが伝達されると、ボールネジ機構30のボールネジナットがラックハウジング20の大径部22に対して軸受を介して支持されながら回転駆動されることで、複数の転動ボールを介してラックシャフト13が軸方向Aに移動される。
上記のステアリング装置1において、ステアリングホイール11が回転操作されると、その操舵トルクがステアリングシャフト10に伝達され、ピニオン12とラック14とからなるラックアンドピニオン機構を介してラックシャフト13が軸方向Aに移動される。また、ステアリングシャフト10に入力された操舵トルクは、トルクセンサなどを用いて検出される。電動モータ40の出力は、操舵トルク及び電動モータ40の回転位置などに基づいて制御される。電動モータ40は、電子制御装置からの指令に従ってアシスト回転トルクを発生する。電動モータ40にてアシスト回転トルクが発生されると、その回転トルクが駆動力伝達装置50を介してボールネジ機構30に伝達されて、ラックシャフト13を軸方向Aに移動させる駆動力に変換される。
ラックシャフト13が軸方向Aに移動されると、ボールジョイント15、タイロッド16、及びナックルアーム17を介して転舵輪18の向きが変更される。従って、ステアリング装置1によれば、運転者によるステアリングシャフト10への操舵トルクと共に、その操舵トルクに応じた電動モータ40によるアシスト回転トルクをラックシャフト13に付与して、そのラックシャフト13を軸方向Aに移動させることができるので、運転者がステアリングホイール11を操作する際に必要な操舵力を軽減することができる。
(2.エンドダンパの構成)
図2に示す如く、ステアリング装置1において、ラックシャフト13の軸方向両端部それぞれには、シャフトエンド部材である大径部材60が装着されている。大径部材60は、ラックシャフト13と同軸に連結されており、ラックシャフト13の外径に比して大きな外径を有している。大径部材60には、軸方向Aの第1端部方向(すなわち、図2における軸外方向A+)に向けて開口する略球状の開口穴61が形成されている。開口穴61には、ボールジョイント15を構成するボールスタッドのボール先端が緩衝材62を介して回動自在に収容されている。
ラックハウジング20の軸方向両端部(具体的には、軸方向両端それぞれの小径部21の軸外方向A+の端部)にはそれぞれ、大径部材60を収容可能な大径収容室26が形成されている。ラックハウジング20は、大径収容室26において大径部材60の外径に比して大きな内径を有するように形成されている。この大径収容室26での内径は、ラックハウジング20本体(すなわち、挿通孔20a)の内径に比して大きい。
ラックハウジング20は、内面から径方向内側に向けて突出する第1ストッパ部27を有している。第1ストッパ部27は、ラックハウジング20(具体的には、小径部21)本体の円筒内面から径方向内側に延びており、円環状に形成された壁部材である。第1ストッパ部27は、ラックハウジング20の軸方向両側それぞれに設けられている。第1ストッパ部27は、ラックシャフト13が軸方向Aの第2端部方向(すなわち、図2における軸内方向A−)に所定ストロークを超えて移動するのを規制する機能を有している。ラックシャフト13の大径部材60は、第1ストッパ部27に対して軸外方向A+側に配置されており、軸方向Aへの移動に伴ってその第1ストッパ部27に対して接近又は離間する。
第1ストッパ部27の軸中心には、ラックシャフト13が挿通される挿通孔27aが形成されている。挿通孔27aは、ラックシャフト13の外形に対応して円形に形成されている。挿通孔27aは、ラックシャフト13の外径に比して大きくかつ大径部材60の外径に比して小さな径を有している。第1ストッパ部27は、軸外方向A+に向いた軸方向端面27bを有している。軸方向端面27bは、後述のエンドダンパ70を介して、大径部材60の軸内方向A−に向いた軸方向端面60aと当接する当接面である。第1ストッパ部27は、軸方向端面27bでの大径部材60の軸方向端面60aとのエンドダンパ70を介した当接により、その大径部材60が連結されているラックシャフト13が軸内方向A−にそれ以上移動するのを規制する。第1ストッパ部27は、大径部材60側からの所定押圧力に耐えてラックシャフト13の所定ストロークを超える移動を規制するのに必要な軸方向厚さを有している。
ラックハウジング20は、小径部21に形成された第2ストッパ部28を有している。第2ストッパ部28は、第1ストッパ部27に対して軸外方向A+側に配置されている。第2ストッパ部28は、内径の異なる小径部28aと大径部28bとからなる段差部であり、軸外方向A+に向いた軸方向端面28cを有している。軸方向端面28cは、後述のエンドダンパ70の一部を支持する支持面である。第2ストッパ部28は、軸方向端面28cでの大径部材60の軸方向端面60aとのエンドダンパ70を介した当接により、その大径部材60が連結されているラックシャフト13が軸内方向A−にそれ以上移動するのを規制する。
上記の如く、ステアリング装置1は、ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置である。このラックパラレル型では、ラックシャフト13の移動が急激に停止すると、駆動力伝達装置50のボールネジ機構30のボールネジナット及び従動プーリの回転が停止される一方、駆動プーリ及び電動モータ40が慣性により回転継続される。このとき、駆動プーリと従動プーリとに掛け渡された歯付きベルトの二本の掛け渡し部分のうち一方の掛け渡し部分の張力が過大に上昇し、他方の掛け渡し部分の張力が減少するので、駆動プーリの外歯と歯付きベルトの張力が減少した他方の掛け渡し部分の内歯との噛み合いの歯数が減少して、歯付きベルトの内歯が各プーリの外歯から離脱するベルト歯飛びが発生するおそれがある。
ステアリング装置1は、エンドダンパ70を備えている。エンドダンパ70は、ラックシャフト13の軸内方向A−への移動量が所定ストロークに達する前に大径部材60とラックハウジング20とに挟持されることによりその大径部材60とラックハウジング20との間の衝撃を吸収するための装置である。エンドダンパ70は、その衝撃吸収により駆動力伝達装置50の上記したベルト歯飛びを防止することができる。エンドダンパ70は、ラックハウジング20の軸方向両端部それぞれに設けられている。
各エンドダンパ70は、対応の第1ストッパ部27及び第2ストッパ部28(段差部)に対して軸外方向A+側に配置されている。すなわち、エンドダンパ70は、ラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20のストッパ部27,28との間に配置されている。エンドダンパ70は、弾性部材及び粘性部材の双方を用いてラックシャフト13がラックハウジング20に当接する際の衝撃力を減衰させる。エンドダンパ70は、図3に示す如く、支持プレート71と、弾性部材72と、保持プレート73と、粘性部材74と、カラー部材75と、を有している。
支持プレート71は、第2ストッパ部28の軸方向端面28cに接するように配置されるプレート部材である。支持プレート71は、鉄などの金属材料により板状かつ円環状に形成されている。支持プレート71は、第2ストッパ部28の大径部28bに対応した大きさに形成されている。支持プレート71は、第2ストッパ部28の大径部28bの内径に合致した或いはその内径に比して僅かに小さく、かつ、第2ストッパ部28の小径部28aの内径に比して大きな外径を有している。
支持プレート71の軸中心には、軸方向Aに貫通する貫通孔71aが形成されている。貫通孔71aは、ラックシャフト13の外形に対応して円形に形成されている。貫通孔71aは、ラックシャフト13の外径に比して大きくかつ大径部材60の外径に比して小さな径を有している。支持プレート71は、第2ストッパ部28の軸方向端面28cに接した状態で、後に詳述する弾性部材72の軸内方向A−側の端面を軸方向Aへの圧縮変形時に支持する。
弾性部材72は、主として弾性を有するゴムや樹脂などの材料により形成されている。弾性部材72の材料は、例えば、架橋ゴム、熱硬化性又は熱可塑性を有する合成樹脂系エラストマー等である。弾性部材72は、略円筒状かつ略円環状に形成された部材である。弾性部材72は、軸方向Aに所望の弾性率を得るのに必要な厚さを有している。
弾性部材72は、ラックシャフト13の大径部材60の軸方向端面60aとラックハウジング20の第2ストッパ部28の軸方向端面28cに接する支持プレート71との間に配置されている。弾性部材72は、支持プレート71を介して大径部材60とラックハウジング20とに軸方向Aで挟持されることにより外部から圧縮力を受けて、その軸方向Aに弾性変形(すなわち圧縮変形)することが可能である。弾性部材72は、この圧縮変形によりラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20との間の衝撃を緩和する。
弾性部材72は、保持プレート73に保持されている。弾性部材72は、例えば加硫接着などにより保持プレート73に一体化されている。尚、弾性部材72は、上記の支持プレート71にも保持されていてよく、例えば加硫接着などにより支持プレート71に一体化されていてもよい。また、弾性部材72は、円筒状本体の外周面から径方向外側に向けて突出し、ラックハウジング20の小径部21に形成された溝部に嵌る突部を有するものとし、ラックハウジング20に対して軸方向Aにおいて位置決めされていてよい。この位置決めされた構造によれば、弾性部材72の軸方向Aへの弾性変形後にその弾性部材72がラックハウジング20に対して軸方向Aへ相対移動して抜けるのは防止される。
保持プレート73は、鉄などの金属により形成されている。保持プレート73は、弾性部材72を保持するプレート部材であって、略円筒状かつ断面L字状に形成された部材である。保持プレート73は、ラックシャフト13の大径部材60の軸方向端面60aに当接されることで軸内方向A−に押圧される部材であって、その保持プレート73に一体化された弾性部材72に大径部材60と支持プレート71との挟持による軸内方向A−への圧縮力を付与してその際の衝撃力を伝達する。
保持プレート73は、円筒部73aと、フランジ部73bと、を有している。円筒部73aとフランジ部73bとは、互いに一体に形成されている。円筒部73aは、軸方向Aに延びる円筒状に形成された部位である。円筒部73aは、その外周面側において弾性部材72に接している。円筒部73aは、弾性部材72の径方向内側への弾性変形を規制して、その弾性部材72がラックシャフト13に干渉するのを防止する機能を有している。
円筒部73aには、ラックシャフト13が挿通される貫通孔が形成されている。円筒部73aの内周面は、ラックシャフト13の外周面に径方向で対向している。円筒部73aは、ラックシャフト13の外径に比して大きな内径を有している。円筒部73aの軸内方向A−側の端部は、後に詳述するカラー部材75を介して、ラックハウジング20の第1ストッパ部27に軸方向Aで対向している。
フランジ部73bは、円環状に形成された部位であって、円筒部73aの軸外方向A+側の端部(すなわち、大径部材60に当接し得る軸方向端部)の外面から径方向外側に向けて突出している。フランジ部73bの外径は、ラックハウジング20の小径部21(すなわち、大径収容室26)での内径に比して小さい。フランジ部73bは、弾性部材72と大径部材60との間に介在している。フランジ部73bは、その軸内方向A−の端面側において弾性部材72に接しており、ラックシャフト13の大径部材60に軸方向Aで対向している。フランジ部73bは、その大径部材60に当接される当接部である。フランジ部73bと大径部材60とは、ラックシャフト13の軸内方向A−への移動量が所定ストロークに達する前において、図4に示す如く互いに接触せずに離間している状態からその移動量が増していくと互いに当接し、その当接後に図5に示す如く弾性部材72に変形させる力を付与する。
弾性部材72は、その弾性部材72の本体の内周側には内径が変化するテーパ部72aを有している。テーパ部72aは、弾性部材72の軸内方向A−の端部に設けられており、弾性部材72のその軸内方向A−の端面で最も内径が大きくなるように形成されている。テーパ部72aは、弾性部材72が軸内方向A−に圧縮変形した際に保持プレート73の円筒部73aの軸内方向A−の先端と支持プレート71の内端面との間から径方向内側へはみ出すのを防止するために設けられている。
弾性部材72は、外周面側において径方向内側すなわち軸心側に凹んだ凹部72bを有している。凹部72bは、径方向外側に向けて開口する円環溝である。尚、凹部72bは、弾性部材72の軸方向何れの位置に設けられていてもよいが、弾性部材72の軸方向Aへの圧縮変形に伴う径方向への膨張変形が最も顕著に生じ易い部位(例えば軸方向中央部)に設けられていてよい。凹部72bは、その外周側でラックハウジング20の小径部21により覆われることで閉塞した隙間空間となる。凹部72bは、弾性部材72の軸方向Aへの圧縮変形時にその圧縮変形に伴う体積変化で膨張したその弾性部材72の一部が充填される領域である。
粘性部材74は、主として粘性を有する粘弾性材料により形成されている。粘性部材74は、上記の弾性部材72とは別体に構成された部材である。粘性部材74は、弾性部材72に比して粘性率Cが大きな部材であって、かつ、その弾性部材72に比して弾性率Kが小さな部材である。弾性部材72の弾性率K1は、粘性部材74の弾性率K2に比して大きい。粘性部材74の粘性率C2は、弾性部材72の粘性率C1に比して大きい。
粘性部材74の材料は、例えば、シリコーンオイルなどである。粘性部材74は、略円環状に形成された円環体である。粘性部材74は、粘弾性材料である液体74aを例えば樹脂などの袋74bに封入して密閉した部材である。粘性部材74は、ラックハウジング20の小径部21(具体的には、第2ストッパ部28の小径部28a)の内径に対応した外径を有すると共に、ラックシャフト13の外径に比して大きな内径を有している。上記の液体74aは、所望の粘性率を有する流体である。
粘性部材74は、ラックハウジング20の第1ストッパ部27の軸外方向A+側に隣接して配置されており、その第1ストッパ部27の軸方向端面27bと支持プレート71との間の空間に配置されている。粘性部材74は、その外周面がラックハウジング20の小径部21(具体的には、第2ストッパ部28の小径部28a)に接するように配置されている。
粘性部材74は、後に詳述するカラー部材75を介して大径部材60側とラックハウジング20とに挟持されることにより外部から圧縮力を受けて、袋内の液体が撹拌されて粘性変形することが可能である。粘性変形は、せん断速度に応じてせん断抵抗が変化するものである。粘性部材74は、この粘性変形によりラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20との間の衝撃を吸収するための減衰力を発生する。粘性部材74は、ラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20の第1ストッパ部27との互いに接近する軸方向Aへの相対速度が大きいほど、大きな減衰力を発生する。
カラー部材75は、保持プレート73に隣接しかつ粘性部材74に隣接して配置されている。カラー部材75は、鉄などの金属材料により略円筒状に形成されている。カラー部材75と保持プレート73の円筒部73aとは、全周に亘って軸方向Aで互いに対向している。具体的には、カラー部材75の軸外方向A+に向いた端面と円筒部73aの軸内方向A−に向いた端面とは、軸方向Aで互いに対面している。カラー部材75と保持プレート73の円筒部73aとは、保持プレート73がラックシャフト13の大径部材60に押圧される前において、その両者の間に軸方向隙間なく互いに接するように配置されている。尚、カラー部材75と保持プレート73の円筒部73aとは、その両者の間に軸方向隙間が形成されるように配置されていてもよい。
保持プレート73は、大径部材60から軸内方向A−へ押圧された際に、円筒部73aの軸内方向A−に向いた端面がカラー部材75の軸外方向A+に向いた端面に当接することでそのカラー部材75を軸内方向A−へ押圧して移動させることが可能である。カラー部材75は、保持プレート73の円筒部73aからの押圧により軸内方向A−へ移動して粘性部材74を押圧することが可能である。尚、ラックシャフト13の移動により保持プレート73の円筒部73aとカラー部材75とが当接してからそのカラー部材75が粘性部材74を押圧するまでの間に時間的なずれがあってもよい。
カラー部材75は、軸内方向A−から軸外方向A+にかけて徐々に外径が大きくなるようにテーパ状に形成されている。カラー部材75は、内径がラックシャフト13の外径に比して大きくなるように、かつ、外径が粘性部材74の内径を含む小さい側から大きい側までの範囲内で変化するように形成されている。カラー部材75は、そのテーパ状の外周面が粘性部材74の軸外方向A+の端面と内径方向の端面とが交わる角部に接するように配置されている。カラー部材75は、ラックハウジング20の第1ストッパ部27に対して軸内方向A−へ相対移動することにより、軸方向Aに対して傾斜したテーパ状の外周面で粘性部材74を押圧して圧縮させ、その粘性部材74を第1ストッパ部27や第2ストッパ部28の小径部28aとに囲まれる空間内に閉じ込めて粘性変形させることが可能である。
カラー部材75は、弾性部材72及び粘性部材74が無変形状態にあるときはそのカラー部材75の軸内方向A−の端面と第1ストッパ部27の軸方向端面27bとの間に所定の隙間が空くように形成配置されている。この所定の隙間は、弾性部材72や粘性部材74が想定される最大圧縮力で軸内方向A−に圧縮された際の最大圧縮代よりも大きくなるように設定されている。尚、第1ストッパ部27の内径側端部には、カラー部材75や円筒部73aの軸内方向A−の先端がその第1ストッパ部27に干渉し難くなるように切り欠きが設けられていてもよい。
このようなエンドダンパ70を備えるステアリング装置1においては、図4に示す如きラックシャフト13の軸方向端部に装着された大径部材60の軸方向端面60aがエンドダンパ70の保持プレート73のフランジ部73bに当接していない状態から、そのラックシャフト13の軸内方向A−への移動量が増していくと、まず、その軸方向端面60aがそのフランジ部73bに当接する。これにより、大径部材60から保持プレート73のフランジ部73bへ大きな衝撃力が付与される。上記の衝撃力が保持プレート73のフランジ部73bに付与されると、その保持プレート73がラックハウジング20の第1ストッパ部27や第2ストッパ部28に接近する軸内方向A−へ押圧されて移動する。
保持プレート73が軸内方向A−へ移動すると、図5に示す如く、弾性部材72がその保持プレート73に追従して軸内方向A−へ押圧されることで弾性変形する。この弾性部材72の弾性変形は、その弾性部材72が保持プレート73のフランジ部73bと第2ストッパ部28の軸方向端面28cに接する支持プレート71とにより軸方向Aで挟持される圧縮変形を含むものである。尚、この弾性変形は、上記の圧縮変形に伴って弾性部材72が逃げ場を求めて凹部72bを含む隙間空間を埋めるように径方向内側や径方向外側へ向けて生じる膨張変形を含んでもよい。
また、保持プレート73が軸内方向A−へ移動すると、カラー部材75がその保持プレート73の円筒部73aから軸内方向A−へ押圧される。そして、カラー部材75のテーパ状の外周面が粘性部材74の角部に接している状態でそのカラー部材75の押圧が行われると、図5に示す如く、その粘性部材74が圧縮されて粘性変形する。粘性部材74が軸方向Aに圧縮される量は、保持プレート73ひいてはラックシャフト13の大径部材60が第1ストッパ部27に接近する軸内方向A−へ移動することに伴って増加する。
この粘性部材74の粘性変形は、袋74b内の液体74aがカラー部材75のテーパ状の外周面から軸内方向A−及び径方向外側へ押圧されて、その粘性部材74がラックハウジング20の第1ストッパ部27と第2ストッパ部28の小径部28aとカラー部材75とに囲まれた空間内に閉じ込めた状態で行われる。そして、この粘性変形は、液体74aのせん断速度に応じてせん断抵抗が変化するように、すなわち、ラックハウジング20の第1ストッパ部27に対するラックシャフト13の大径部材60の接近方向への相対速度が大きいほど抵抗が大きくなるように行われる。
弾性部材72に上記の弾性変形が生じると、大径部材60からエンドダンパ70に付与された衝撃がその弾性部材72の弾性変形により緩和される。また、粘性部材74に上記の粘性変形が生じると、大径部材60からエンドダンパ70に付与された衝撃がその粘性部材74の粘性変形により吸収される。この粘性部材74の粘性変形により衝撃を吸収するための減衰力は、ラックハウジング20の第1ストッパ部27に対するラックシャフト13の大径部材60の接近方向への相対速度が大きいほど大きい。
このように、エンドダンパ70全体では、弾性部材72の弾性変形及び粘性部材74の粘性変形の双方が行われる。この場合、大径部材60からエンドダンパ70に付与された衝撃力は、弾性部材72の弾性変形と粘性部材74の粘性変形との双方の作用により緩和・吸収される。
仮に、エンドダンパが、上記の粘性部材74を有さず、主にバネ成分を有する上記の弾性部材72のみを有する構成(以下、対比構成と称す。)では、その弾性部材72の軸方向Aへの圧縮変形のみで衝撃吸収を実現することが必要となるが、その実現は困難である。尚、この対比構成のエンドダンパにおいて、ラックシャフト13の大径部材60と保持プレート73との当接後における軸内方向A−への弾性部材72の移動量がストロークxに達した時点で衝撃を吸収するエネルギは、図6に示す如く、値E1であるとする。
これに対して、本実施形態のエンドダンパ70は、弾性変形する弾性部材72と、粘性変形する粘性部材74と、を有する。弾性部材72は、ラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20の第2ストッパ部28とに支持プレート71を介して軸方向Aで挟持されることにより弾性変形する。また、粘性部材74は、ラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20とにカラー部材75を介して挟持されることにより荷重を受けて粘性変形する。
このため、弾性部材72の弾性変形に加えて粘性部材74の粘性変形をエンドダンパ70による衝撃吸収に寄与させることができ、弾性部材72の弾性変形と粘性部材74の粘性変形とで衝撃吸収を実現することができる。このエンドダンパ70において、ラックシャフト13の大径部材60と保持プレート73との当接後、衝撃を吸収するエネルギは、弾性部材72の弾性変形分と粘性部材74の粘性変形分との和となる。そして、上記当接後における軸内方向A−への弾性部材72の移動量がストロークxに達した時点で衝撃を吸収するエネルギは、図6に示す如く、上記の値E1に比して大きな値E2となる。また、粘性部材74が衝撃を吸収するエネルギは、図7に示す如く、せん断速度が大きいほど大きくなる。
エンドダンパ70においては、上記の対比構成のエンドダンパと比較して、同じ衝撃吸収機能を実現するうえで、弾性部材72の軸方向Aへのストロークを短くすることができ、逆に、弾性部材72の同じ軸方向ストロークで衝撃を吸収する減衰力を上げることができ、衝撃吸収機能を向上させることができる。従って、ステアリング装置1によれば、エンドダンパ70にて所望の衝撃吸収機能を実現するのに設計上の自由度を上げることができる。このため、ステアリング装置1が高出力化され、電動モータ40の慣性がより大きなものとなっても、歯飛びの発生を防止することが可能となる。
(3.ステアリング装置の作用効果)
本実施形態のステアリング装置1は、転舵輪18に連結され、軸方向Aへの移動により転舵輪18の向きを変えるラックシャフト13と、ラックシャフト13の軸方向端部に装着され、ラックシャフト13の移動に伴って軸方向Aに移動する大径部材60と、ラックシャフト13が挿通される挿通孔20aと、大径部材60が移動に伴って接離するストッパ部27,28と、を有し、ラックシャフト13及び大径部材60を軸方向Aに移動可能に保持する筒状のラックハウジング20と、大径部材60とストッパ部27,28との間に配置され、大径部材60とストッパ部27,28とに軸方向Aで挟持されることにより衝撃を吸収するエンドダンパ70と、を備える。エンドダンパ70は、軸方向Aに弾性変形して弾性力を発生する弾性部材72と、大径部材60とストッパ部27との互いに接近する軸方向Aへの相対速度が大きいほど大きな減衰力を発生する粘性部材74と、を有する。
この構成によれば、ラックシャフト13が大径部材60とストッパ部27,28とが互いに接近する軸内方向A−へストロークされると、大径部材60とストッパ部27,28との間に配置された弾性部材72が軸方向Aで挟持されることにより弾性変形して弾性力を発生すると共に、その間に配置された粘性部材74が荷重を受けて減衰力を発生する。このため、弾性部材72の弾性変形と粘性部材74の粘性変形とで衝撃吸収を実現することができる。従って、ステアリング装置1によれば、エンドダンパ70にて所望の衝撃吸収機能を実現するのに設計上の自由度を上げることができる。
ステアリング装置1において、弾性部材72は粘性部材74に比して弾性率が大きな部材であり、粘性部材74は弾性部材72に比して粘性率が大きな部材である。この構成によれば、弾性部材72の弾性変形と粘性部材74の粘性変形との双方で衝撃吸収を実現することができる。
また、ステアリング装置1において、粘性部材74は、大径部材60のストッパ部27に接近する軸内方向A−への移動に伴って軸方向Aに圧縮される量が増加する部材である。この構成によれば、粘性部材74の軸方向Aへの圧縮によりエンドダンパ70に粘性変形を起こして衝撃吸収を実現することができる。
また、ステアリング装置1において、粘性部材74は、所望の粘性率を有する液体74aを封入した円環体である。この構成によれば、粘性部材74の液体74aにより所望の粘性率を確保することができる。
更に、ステアリング装置1において、エンドダンパ70は、大径部材60の軸方向Aへの移動に伴って、軸方向Aに対して傾斜した面で粘性部材74を押圧するテーパ状のカラー部材75を有している。この構成によれば、大径部材60の軸方向Aへの移動に伴って、テーパ状のカラー部材75の傾斜面で粘性部材74が押圧されるので、その粘性部材74の粘性変形で衝撃吸収を実現することができる。
(4.変形形態)
ところで、上記の実施形態においては、エンドダンパ70のうちラックシャフト13の大径部材60に当接される最も軸外方向A+に位置する部材が保持プレート73であり、その保持プレート73の軸方向位置から軸内方向A−にかけて順に弾性部材72、カラー部材75、及び粘性部材74が配置されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図8及び図9に示す如く、エンドダンパ70のうちラックシャフト13の大径部材60に当接される最も軸外方向A+に位置する部材がカラー部材75であるものとし、そのカラー部材75の軸方向位置から軸内方向A−にかけて順に粘性部材74、保持プレート73、及び弾性部材72が配置されていてよい。この場合、弾性部材72は、ラックハウジング20の第1ストッパ部27の軸方向端面27bに接するようにその第1ストッパ部27に対して軸外方向A+に隣接して配置されている。カラー部材75の軸内方向A−の軸方向端面と保持プレート73の軸外方向A+の軸方向端面とが全周に亘って軸方向Aで互いに対向する。また、粘性部材74は、保持プレート73ひいては弾性部材72に対して軸外方向A+に隣接して配置されている。
この第1変形形態においては、図8に示す如きラックシャフト13の大径部材60に軸方向端面60aがカラー部材75の軸外方向A+の軸方向端面に当接していない状態から、そのラックシャフト13の軸内方向A−への移動量が増していくと、まず、その軸方向端面60aがカラー部材75に当接する。これにより、大径部材60からカラー部材75へ大きな衝撃力が付与される。カラー部材75に大径部材60からの衝撃力が付与されると、そのカラー部材75がラックハウジング20の第1ストッパ部27に接近する軸内方向A−へ押圧されて移動する。
かかるカラー部材75の移動が発生すると、図9に示す如く、カラー部材75のテーパ状の外周面が粘性部材74の角部に接してその粘性部材74を押圧することで、その粘性部材74がカラー部材75とラックハウジング20と保持プレート73とに囲まれた空間内でそのカラー部材75に圧縮されて粘性変形する。また、カラー部材75の移動が発生すると、カラー部材75及び粘性部材74が保持プレート73に当接して、その保持プレート73がそのカラー部材75及び粘性部材74から軸内方向A−へ押圧される。そして、その保持プレート73の押圧が継続すると、図9に示す如く、弾性部材72がその保持プレート73のフランジ部73bと第1ストッパ部27の軸方向端面27bとの間に挟持されて弾性変形する。従って、この第1変形形態のエンドダンパ70においても、大径部材60からの衝撃力を弾性部材72の弾性変形と粘性部材74の粘性変形との双方の作用により緩和・吸収することができる。
尚、上記の第1変形形態において、粘性部材74は、ラックハウジング20に対して軸方向Aへ相対移動して抜けるのを防止すべく、円筒状本体の外周面から径方向外側に向けて突出し、ラックハウジング20の小径部21に形成された溝部に嵌る突部を有するものとし、ラックハウジング20に対して軸方向Aにおいて位置決めされていてもよい。或いは、粘性部材74は、上記の実施形態に示したラックハウジング20に設けられた第2ストッパ部28に対して軸外方向A+に隣接して配置されていてもよい。
また、上記の実施形態においては、弾性部材72を挟持して弾性変形させるうえで、ラックハウジング20に段差のある第2ストッパ部28を設けることとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図10及び図11に示す如く、ラックハウジング20の小径部21に設けた溝部29に、弾性部材72に設けた円筒状本体の外周面から径方向外側に向けて突出する突部72cを嵌めて、その弾性部材72をラックハウジング20に対して軸方向Aにおいて位置決めするものとし、第2ストッパ部28を設けることなく弾性部材72を弾性変形させるものであってもよい。
また、上記の実施形態においては、ラックハウジング20が、弾性部材72を弾性変形させるための第2ストッパ部28と、粘性部材74を粘性変形させるための第1ストッパ部27と、を有し、弾性部材72と粘性部材74とがラックシャフト13の大径部材60とラックハウジング20との間に並列接続されるものとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。弾性部材72と粘性部材74とが大径部材60とラックハウジング20との間に並列接続される構造において、弾性部材72を弾性変形させるためのストッパ部と粘性部材74を粘性変形させるためのストッパ部とは、共通或いは共有した同じストッパ部であってもよい。また、弾性部材72と粘性部材74とは、大径部材60とラックハウジング20との間に直列接続されるものであってもよい。
また、上記の実施形態においては、カラー部材75が、軸内方向A−から軸外方向A+にかけて徐々に外径が大きくなるようにテーパ状に形成されており、その軸方向Aに対して傾斜した外周面で粘性部材74を押圧することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。カラー部材75は、粘性部材74を押圧してその粘性部材74に粘性変形を生じさせるものであれば、軸内方向A−から軸外方向A+にかけて外径が同じとなるように形成されていてもよい。この場合、カラー部材75は、粘性部材74に接する軸内方向A−の軸方向端面で粘性部材74を軸内方向A−に押圧して粘性変形させる。
更に、上記の実施形態においては、転舵輪の向きを変える転舵シャフトとして、ラックアンドピニオン機構を構成するラックシャフト13を用いている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。転舵輪の向きを変える転舵シャフトとしてラック歯を有しないシャフトを用いることとし、ステアリングシャフトを有しないステアバイワイヤ装置としてのステアリング装置に適用することとしてもよい。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
1:ステアリング装置、13:ラックシャフト、18:転舵輪、20:ラックハウジング、20a:挿通孔、27:第1ストッパ部、28:第2ストッパ部、60:大径部材、70:エンドダンパ、71:支持プレート、72:弾性部材、73:保持プレート、74:粘性部材、75:カラー部材。

Claims (5)

  1. 転舵輪に連結され、軸方向への移動により前記転舵輪の向きを変える転舵シャフトと、
    前記転舵シャフトの軸方向端部に装着され、前記転舵シャフトの移動に伴って軸方向に移動するシャフトエンド部材と、
    前記転舵シャフトが挿通される挿通孔と、前記シャフトエンド部材が移動に伴って接離するストッパ部と、を有し、前記転舵シャフト及び前記シャフトエンド部材を軸方向に移動可能に保持する筒状のハウジングと、
    前記シャフトエンド部材と前記ストッパ部との間に配置され、前記シャフトエンド部材と前記ストッパ部とに軸方向で挟持されることにより衝撃を吸収するエンドダンパと、
    を備えるステアリング装置であって、
    前記エンドダンパは、
    軸方向に弾性変形して弾性力を発生する弾性部材と、
    前記シャフトエンド部材と前記ストッパ部との互いに接近する軸方向への相対速度が大きいほど大きな減衰力を発生する粘性部材と、
    を有する、ステアリング装置。
  2. 前記弾性部材は、前記粘性部材に比して弾性率が大きな部材であり、
    前記粘性部材は、前記弾性部材に比して粘性率が大きな部材である、請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記粘性部材は、前記シャフトエンド部材の前記ストッパ部に接近する軸方向への移動に伴って軸方向に圧縮される量が増加する部材である、請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  4. 前記粘性部材は、所望の粘性率を有する流体を封入した円環体である、請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  5. 前記エンドダンパは、前記シャフトエンド部材の軸方向への移動に伴って、軸方向に対して傾斜した面で前記粘性部材を押圧するテーパ状のカラー部材を有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のステアリング装置。
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