JP2019064224A - 複合微多孔膜、その製造方法、電池用セパレータ及び電池 - Google Patents

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一喜 片田
水野 直樹
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直樹 水野
賢司 金子
Kenji Kaneko
賢司 金子
野村 文保
Fumiyasu Nomura
文保 野村
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Abstract

【課題】電池の生産性の向上と製品間の能力ばらつきの抑制に寄与することができる電池用セパレータに好適な複合微多孔膜を提供する。【解決手段】少なくとも一方の表面に、互いに不規則に結合した多数の湾曲した葉状構造の集合体によって形成され表面粗さが40nm以上の表面を有する、ポリオレフィン微多孔膜と、前記表面の少なくとも一方に多孔層を備え、前記多孔層中にフッ素系樹脂と無機粒子を含み、無機粒子の含有量が前記多孔層の固形分を100体積%としたときに40〜80体積%である複合微多孔膜。【選択図】なし

Description

本発明は、複合微多孔膜、その製造方法、電池用セパレータ及び電池に関するものである。
ポリオレフィン微多孔膜及び微多孔膜表面に無機粒子を含む層を有する複合微多孔膜は、物質の分離や選択透過などに用いられる分離膜、アルカリ二次電池、リチウム二次電池、燃料電池及びコンデンサーなど電気化学素子の隔離材等として広く使用されている。特にリチウムイオン二次電池用セパレータとして好適に使用されている。
リチウムイオン二次電池用セパレータは、その多数の孔を通じてイオン伝達制御を行うことで、過剰な反応を制御し、電池としての安全性能を付与している。さらに電池に使用される微多孔膜の重要な機能として、シャットダウン特性がある。これは電池に過剰な負荷がかかり、電池の温度が上昇した際に、セパレータ材料である樹脂が溶融することにより、微多孔がふさがり、イオン伝達を停止させ、電池としての機能を強制終了させるものである。
また、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔質膜にフッ素系樹脂と無機粒子を含む改質多孔層が少なくとも片面に積層され、無機粒子の含有量がフッ素系樹脂と無機粒子の合計に対して40体積%以上70体積%未満であり、フッ素系樹脂の結晶化度が36%以上70%未満である電池用セパレータが開示されている。課題として、電極接着性と低熱収縮性が両立し、且つイオン透過性に優れた電池用セパレータを提供することが記載されている。
国際公開第2015/156127号
微多孔膜を用いた電池においては、上記のような電池の安全性や十分なイオン透過性が求められている他に、製品間の能力ばらつきの点で改善、生産性向上のための電解液浸透性の向上が求められている。そこで、本発明の目的は、電池の生産性の向上と製品間の能力ばらつきの抑制に寄与することができる電池用セパレータを提供することにある。
本発明では、電解液の浸透が高まることで生産性が改善され、さらに、均等に浸透することで製品間の能力ばらつきを改善できることを見出した。
すなわち本発明は、少なくとも一方の表面に、互いに不規則に結合した多数の湾曲した葉状構造の集合体によって形成され表面粗さが40nm以上の表面を有する、ポリオレフィン微多孔膜と、
前記表面の少なくとも一方に多孔層を備え、前記多孔層中にフッ素系樹脂と無機粒子を含み、無機粒子の含有量が前記多孔層の固形分を100体積%としたときに40〜80体積%である複合微多孔膜である。
また本発明は、本発明の複合微多孔膜を用いた電池用セパレータである。
また本発明は、本発明の電池用セパレータを用いた電池である。
また本発明は、ポリオレフィン樹脂と溶剤を含む樹脂溶液を押し出し成形してゲル状シートを形成する工程と、
前記ゲル状シートの一方または両方の表面の表層部分のみを溶融し、該表層部分のみが溶融した状態で該ゲル状シートを延伸する工程と、
前記ゲル状シートから前記溶剤を除去し、ポリオレフィン微多孔膜を得る工程と、
前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に、多孔層を形成する工程を含む、複合微多孔膜の製造方法である。
本発明によれば、電池の生産性の向上と製品間の能力ばらつきの抑制に寄与することができる電池用セパレータ、及び電池用セパレータに好適な複合微多孔膜を提供することができる。
実施例及び比較例のポリオレフィン微多孔膜A〜Fの表面SEM画像である。 実施例及び比較例のポリオレフィン微多孔膜A〜Fの表面AFM画像である。 実施例1のポリオレフィン微多孔膜AのSEM断面画像である。 本発明の実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜を製造するための延伸機の一例の概略図である。 実施例1と比較例1の複合微多孔膜について(a)は電解液溶媒をたらしたときの電解液溶媒の広がり径(mm)を経時変化で示し、(b)は電解液溶媒をたらして10分後の表面写真を示す。 実施例1と比較例1の複合微多孔膜のSEM断面像である。 実施例1と比較例1の複合微多孔膜について表面からの距離と孔面積累積率との関係を示す図である。 実施例及び比較例の電解液溶媒の(a)表面及び、(b)断面浸透イメージを示す。 実施例と比較例のポリオレフィン微多孔膜に対する多孔層形成による熱収縮変化率(%)を示す。 実施例1と比較例1の複合微多孔膜の表面SEM画像である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態による複合微多孔膜は、ポリオレフィン微多孔膜と、このポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に多孔層を有する。
(ポリオレフィン微多孔膜)
本実施形態による複合微多孔膜に用いられるポリオレフィン微多孔膜は、多孔層を形成する表面の表面粗さが40nm以上である。このような表面粗さを持つポリオレフィン微多孔膜の表面が、不定形に湾曲した薄片状構造の複数が不規則に結合した集合体で形成されている。
上記集合体の形成方法は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂組成物を押出成形して得られるゲル状シートの表面を溶融させた後、延伸する方法が挙げられる。また、ゲル状シート表面の溶融の条件を適宜変更することにより、葉状構造(薄片状構造)の厚さ、大きさ、及び湾曲度、並びに集合体全体の厚さ、平均細孔径、及び表面粗さの制御が可能である。
図1の上段の3つの図は、本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜A〜Cの表面(葉状構造(薄片状構造)の集合体の一例)を示す表面SEM画像である。図1に示した微多孔膜表面のSEM画像から、表面を溶融処理したポリエチレン微多孔膜の表面部分は、ポリオレフィン樹脂またはポリオレフィン樹脂組成物からなる互いに不規則に結合した多数の湾曲した葉状(花弁状、シート状)構造(あるいは薄片状構造)の集合体によって形成されていることが分かる。上記葉状構造の集合体は、連続気泡体のように連続した微細孔を有する構造であり、連続気泡体の気泡壁に相当する部分が葉状構造を形成している。この葉状構造は、不定形の湾曲した葉状、花弁状又はシート状等の薄片状の構造をしており、厚みに対して面積が十分に大きい不定形の湾曲した面を有する。複数の葉状構造は、それぞれが互いに入り組みながら、不規則に結合し、例えば、それぞれの面、辺を共有したり、糸状体によって互いに結合されたりして、集合体を形成している(図1参照)。
葉状構造一枚の厚みとしては、10〜100nm程度が好ましい。
本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜の上記葉状構造の集合体が形成されている表面部分の表面粗さは、40nm以上であり、好ましくは50nm以上であり、より好ましくは70nm以上である。表面粗さを40nm以上にすることにより、良好な電解液の浸透性及び保液性をもつ構造を有する多孔層を形成できる。また、表面粗さの上限としては、特に限定されないが、350nm以下であることが好ましく、180nm以下であることがより好ましく、160nm以下であることがさらに好ましく、120nm以下であることがさらにより好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。表面粗さが350nm以下であれば、十分な膜強度を確保できる観点から好ましい。なお、表面粗さは後述する方法で測定した値をいう。上記表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)を示し、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)で測定可能である(図2参照)。
図3は、本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜の一例を示す断面図である。図3に示されるように、葉状構造の集合体は、ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の表面に形成される。ポリオレフィン微多孔膜の厚みに対して、葉状構造の集合体が形成されている表面部分の厚みの比率は、所望の多孔層を得る観点から、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましい。葉状構造の集合体が形成されている表面領域の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)による膜の断面画像(30000倍)から測定することができる(図3参照)。
また、本実施形態による複合微多孔膜は、無機粒子を含む多孔層厚みが微多孔膜厚みより薄い複合微多孔膜であって、表面から多孔層の厚みの2倍の深さ方向の範囲にて孔面積を累積したときに、孔面積累積率を80%に達するのにポリオレフィン微多孔膜の領域にまで深さが必要であることが好ましい。
本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜の平均細孔径は、葉状構造の集合体が形成されている表面領域とそれ以外の領域とで異なっている。葉状構造の集合体が形成されている表面領域の平均細孔径は、0.10μmより大きいことが好ましく、0.12μm以上がより好ましく、0.15μm以上がさらに好ましい。この表面領域の平均細孔径の上限は特に制限されないが、デンドライトの成長を抑制する観点から、2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。一方、葉状構造の集合体が形成されている表面領域以外の領域は、繊維状のフィブリルにより形成された緻密な三次元網目構造を有することができる。表面領域以外の平均細孔径は、十分に低い透気抵抗を確保するために0.01μm以上であることが好ましく、0.03μm以上がより好ましく、平均細孔径の上限は、特に限定されないが、表面領域の平均細孔径より小さいことが好ましく、0.10μm以下であることがより好ましく、0.085μm以下がさらに好ましい。
(ポリオレフィン樹脂)
本明細書において、「ポリオレフィン樹脂」の語は、1種類のポリオレフィン、又は2種以上のポリオレフィンの混合物を意味する。また、「ポリオレフィン樹脂組成物」の語は、ポリオレフィン樹脂がさらにポリオレフィン以外のポリマー、添加剤などの他の成分を含む場合を意味する。さらに、「ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液」は、ポリオレフィン微多孔膜の製造工程において、ポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン樹脂組成物を溶剤と混ぜたものを意味する。
本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン樹脂組成物からなる。
ポリオレフィン微多孔膜中、ポリエチレン樹脂の割合は、ポリオレフィン樹脂全体100質量%とした場合、90質量%以上であるのが好ましく、95質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂中のポリエチレン樹脂の含有量は、ポリオレフィン微多孔膜の強度の観点から、上記範囲にあることが好ましい。
ポリエチレン樹脂は、ホモポリマーであってもよく、他のα−オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外のα−オレフィンの含有量は、共重合体100モル%を基準として10.0モル%以下であることが好ましい。かかる共重合体は、チーグラー・ナッタ触媒又はシングルサイト触媒を用いるプロセス等の、いずれかの都合のよい重合プロセスにより製造することができる。
ポリエチレン樹脂の質量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、通常1×10〜1.5×10の範囲内であり、好ましくは1×10〜5×10の範囲内であり、より好ましくは1×10〜4×10の範囲内である。また、一般的にポリエチレンのMwが1×10よりも大きいとき、超高分子量ポリエチレンと定義される。
ポリオレフィン樹脂組成物中のその他の樹脂成分、または添加剤の含有量は、本発明による所望の効果を妨げない範囲で適宜、調節できる。
(ポリオレフィン微多孔膜の製造方法)
本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜は、例えば、ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液を押出成形してなるゲル状シートを、その一方の表面又は両方の表面部分のみを溶融した後、前記ゲル状シートを延伸処理することにより製造できる。また、ゲル状シートの表面部分のみを溶融した後に延伸処理することによって、ポリオレフィン微多孔膜の厚みに占める葉状構造の集合体により形成されている表面領域の厚みの割合を小さくすることができ、ポリオレフィン微多孔膜の表面が局所的に葉状構造の集合体により形成された状態にすることができる。ゲル状シート中のポリオレフィン樹脂はラメラ構造を多く含むが、ゲル状シートを溶融することによって分子の熱運動が大きくなりラメラ構造が崩れやすくなる。そのため、延伸時に伸びきり結晶の生成が起こりにくくなり、特殊な葉状構造が形成されると考えられる。溶融処理をしない場合には、延伸により分子鎖がラメラ構造から引き抜かれることで、高融点の伸びきり結晶が増加するため、葉状構造が形成されないと考えられる。
(1)ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液の調製
ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液は、ポリオレフィン樹脂又はポリオレフィン樹脂組成物にさらに適当な製膜用溶剤を配合した後、溶融混練することにより調製することができる。ポリオレフィン樹脂に添加する製膜用溶剤としては、ノナン、デカン、デカリン、パラキシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の脂肪族若しくは環式の炭化水素、沸点がこれらに対応する鉱油留分等を用いることができる。
(2)ゲル状シートの形成
ポリオレフィン樹脂(組成物)溶液を押出機からダイに送給し、シート状に押し出して、シート状成形物を得る。同一又は異なる組成の複数のポリオレフィン樹脂組成物を、押出機から一つのダイに送給し、そこで層状に積層させ、シート状に押出してもよい。
押出方法はフラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。
押出し温度は、(使用するポリオレフィン樹脂の融点)〜(使用するポリオレフィン樹脂の融点+120)℃の範囲に設定することが好ましい。
シート状成形物(ゲル状シート)の厚みは、ゲル状シート表面を溶融する際にシート状成形物(ゲル状シート)の全体がポリオレフィンの融点以上の温度になることを避けるために、100μm以上であることが好ましく、より好ましくは300μm以上であり、さらに好ましくは500μm以上である。また、シート状成形物(ゲル状シート)の厚さの上限は、延伸後の膜厚を十分に薄くする観点から1800μm以下であることが好ましく、より好ましくは1500μm以下であり、さらに好ましくは1200μm以下である。
(3)ゲル状シート表面の溶融
上記押出成形により得られたシート状成形物を冷却して得られたゲル状シートは、延伸する前にその一方の表面又は両方の表面の表面部分のみを溶融させる。溶融においては、図4に例示するような加熱炉を備えた延伸機を使用することが好ましい。
図4の延伸機(テンター延伸機40)は、ゲル状シートの搬送方向に3つの炉(以下、搬送方向の上流から順に第一炉10、第二炉20、第三炉30)を備えている。各炉内には、ゲル状シートの上下かつゲル状シートの搬送方向にエアの吹き出し口が並んでおり、ゲル状シートを搬送しながら熱を加えることができる。第一炉10で、ゲル状シート全体を延伸可能な温度領域まで昇温し、ゲル状シートの表面を溶融する。次に、第二炉20で延伸を行う。最後に、第三炉30でゲル状シートの残留応力を除去する。
まず、ゲル状シートを第一炉10に導入し、延伸前の加熱を行う。このときゲル状シート全体を延伸可能な温度領域に加熱するとともにゲル状シートの少なくとも一方の表面部分を溶融させ、表面部分以外の領域はポリオレフィンの融点以下の温度に保持されるようにする。ゲル状シートの温度は、第一炉10の設定温度、搬送速度などの条件を適宜調節することにより調節できる。
なお、製膜用溶剤を含むゲル状シートは、製膜用溶剤がポリエチレンの結晶形成を阻害し、不完全な(融点の低い)結晶を形成するため、ゲル状シート中のポリオレフィン樹脂の融点は、原料として用いたポリオレフィン樹脂そのものよりも10℃程度低くなる。よって、本明細書においては、ゲル状シート中のポリエチレン樹脂の融点(ゲル状シート融点)とは、製膜用溶剤を含まない状態のポリエチレン樹脂の融点−10℃をいう。このため、溶融時の加熱温度の下限としては、好ましくはゲル状シート融点以上であり、より好ましくはゲル状シート融点+5℃以上である。加熱温度の上限としては、ゲル状シート融点+20℃以下が好ましく、より好ましくはゲル状シート融点+15℃以下である。加熱温度は、例えば、第一炉10の設定温度を上記範囲に設定することにより調節することができる。ゲル状シートの表面部分のみの溶融は、搬送速度、炉の温度等を調節して行うことができる。
第一炉10が温度設定可能な複数区間を有する場合、少なくとも1区間が上記温度範囲内であることが好ましく、第一炉全体の平均温度が上記の温度範囲内にあることがより好ましく、第一炉の温度設定可能なすべての区間の設定温度が上記の温度範囲内にあることが特に好ましい。
加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、所定の温度の液体もしくは気体との接触、赤外線の照射、又は、高温のロールもしくはプレートの押しつけが挙げられる。これらのうち好ましくは、ダメージや汚染が生じにくいため所定の温度の気体(エア)との接触であり、上記延伸機で採用しているように、第一炉内で所定の温度のエアをゲル状シート表面に吹き付けることが特に好ましい。なお、この際、上下両面ではなく、ゲル状シートの一方の面のみに所定の温度のエアを吹き付けてもよい。
(4)ゲル状シートの延伸
次いで、ゲル状シートを第一炉10から第二炉20に導入し表面を溶融させたゲル状シートを少なくとも一軸方向に延伸する。ゲル状シートは、加熱した状態で、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。
ゲル状シートを延伸する際の延伸倍率(面積延伸倍率)は、一軸延伸の場合、2倍以上が好ましく、3〜30倍がより好ましい。二軸延伸の場合、9倍以上が好ましく、16倍以上がより好ましく、25倍以上が特に好ましい。
延伸温度は、ポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以上、Tcd+30℃以下が好ましく、Tcd+5℃以上、Tcd+28℃以下がより好ましく、Tcd+10℃以上、Tcd+26℃以下が特に好ましい。延伸温度が前記範囲内であると延伸による破膜がより抑制され、高倍率の延伸がしやすくなる。延伸温度は、延伸炉の設定温度である。
cdは、ASTM D4065による動的粘弾性の温度特性測定により求められる。ポリエチレン及びポリエチレン組成物は約90℃のTcdを有するので、延伸温度は90〜120℃となる。
次いで、延伸後のゲル状シートは、テンターに固定した状態で第三炉30において、ゲル状シート中のポリオレフィン樹脂のTcd−20℃以上、融点未満で熱固定することで残留応力を除去することが好ましい。
(5)製膜用溶剤の除去
洗浄溶媒を用いて、製膜用溶剤の除去(洗浄)を行う。ポリオレフィン相は製膜用溶剤相と相分離しているので、製膜用溶剤を除去すると、ポリオレフィン微多孔膜が得られる。
(6)熱処理
乾燥後のポリオレフィン微多孔膜は、残留応力を除去する目的で融点以下の温度条件で熱処理を行うことができる。
(7)第二延伸
製膜用溶剤の除去及び乾燥を行った後の微多孔膜を、少なくとも一軸方向にさらに延伸する第二延伸をしてもよい。この延伸により、熱による微多孔膜の収縮を抑制できる。
以上のようにして形成した、少なくとも一方の表面が互いに不規則に結合した多数の湾曲した葉状構造の集合体によって形成され、該表面の表面粗さが40nm以上のポリオレフィン微多孔膜に、
前述の多孔層を形成して、本実施形態による複合微多孔膜を得ることができる。
(ポリオレフィン微多孔膜の構造と物性)
本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜について、膜厚、空孔率、孔径、透気抵抗度などの物性は、特に制限されないが、以下の範囲に調整されることが好ましい。
(1)表面粗さ
表面がどの程度溶融されたかの指標として、表面粗さを用いた。ゲル状シートの表面を溶融させた後、延伸・洗浄して得られたポリオレフィン微多孔膜の溶融した面の算術平均粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)により測定した。算術平均粗さ(Ra)の測定は、洗浄工程後のポリオレフィン微多孔膜の面について測定した。例えば、ゲル状シートの片面を溶融した場合は、溶融した面の算術平均粗さを測定して、指標とした。
(2)膜厚
本実施形態による複合微多孔膜に用いるポリオレフィン微多孔膜の膜厚は、1〜30μmの範囲に設定でき、4〜25μmが好ましく、6〜20μmがより好ましい。膜厚の測定方法は後述する。
(多孔層)
多孔層は、ポリオレフィン微多孔膜の一方の表面に形成されていても良く、両面に形成されていてもよい。電池用セパレータとして利用する場合は、ポリオレフィン微多孔膜の両面に多孔層が形成されていることが好ましい。また、多孔層の厚みは、1〜5μmが好ましく、1〜3μmがさらに好ましい。多孔層の厚みがこのような厚みを有することで、電気液の浸透速度が向上十分な多孔層の形成効果が得られ、製品ばらつきを抑えて生産性を向上できる。また、フッ素系樹脂を用いた場合には電極に対する接着性が確保される。
本実施形態による複合微多孔膜に用いる多孔層は、無機粒子と樹脂を含む。
無機粒子としては、耐熱性付与、低熱収縮性、電解液の高浸透性といった機能を有していることが好ましい。例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイトなどが挙げられる。特に二酸化チタン(チタニア)、アルミナ、ベーマイトが好適である。無機粒子の形状は真球形状、略球形状、板状、針状が挙げられるが特に限定されない。
葉状微多孔膜の表面はきわめて粗な状態であり、この表面にフッ素系樹脂を含む粒子濃度40〜80%のコートをすることによって、ポリオレフィン微多孔膜の表面から厚さ1〜4μmの範囲全体にフッ素系樹脂が被覆され、従来のPO微多孔膜コートしたものでは得られない電解液浸透性が得られる。80%以上ではフッ素系樹脂量が少なく、十分な電解液浸透性が得られない。40%未満では十分な耐熱性が得られない。上記の粒子濃度の範囲内であれば均一に、かつ短時間で電解液を浸透させることができる。
樹脂はフッ素系樹脂が好ましい。多孔層に用いるフッ素系樹脂は、電極接着性、耐熱性、電解液浸透性を向上させるものであれば特に制限されないが、耐熱性及び電極接着性の観点からはフッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデン−フッ化オレフィン共重合体、フッ化ビニル単独重合体、及びフッ化ビニル−フッ化オレフィン共重合体からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。特に、フッ化ビニリデン単独重合体及びフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のポリフッ化ビニリデン系樹脂が好ましい。これらの重合体は、電極接着性を有し、非水電解液とも親和性が高く、非水電解液に対する化学的、物理的な安定性が高いため、高温下での使用にも電解液との親和性を十分維持できる。
(多孔層の形成方法)
以下に、多孔層をポリオレフィン微多孔膜の上に積層する方法について説明する。例えば以下のようにして多孔層をポリオレフィン微多孔膜上に形成することができる。
多孔層の形成方法はフッ素系樹脂と無機粒子と溶剤を含む塗布液を、前記ポリオレフィン微多孔膜の表面に塗布する工程と、塗布後のポリオレフィン微多孔膜を凝固浴へ投入して前記フッ素系樹脂を凝固させ、前記多孔層を形成する工程と前記溶剤を除去する洗浄工程を含む。
まず、溶剤でフッ素系樹脂を溶解したフッ素系樹脂溶液と無機粒子を主成分とする塗布液を調製する。溶剤はフッ素系樹脂を溶解でき且つ水と混和可能な溶媒であり、非プロトン性極性溶媒が好ましく、特にN-メチルピロリドン(NMP)が好ましい。
次に、この塗布液をポリオレフィン微多孔膜に塗布法を用いて塗膜を積層する。
凝固浴に投入してフッ素系樹脂を凝固させることによって、目的の多孔層が得る。凝固浴とは、好ましくはフッ素系樹脂を溶解でき且つ水と混和可能な良溶媒を好ましくは20質量%以下含有し、より好ましくは15質量%以下含有し、最も好ましくは0質量%(つまり、水)である。凝固浴はフッ素系樹脂成分と無機粒子が三次元網目状に凝固させるためにある。さらに、溶剤を除去する洗浄工程は純水を用いて洗浄することが好ましい。
上記工程により、目的の複合微多孔膜を得ることができる。
(電池用セパレータ及び電池)
本実施形態による複合微多孔膜は、水系電解液を使用する電池、非水系電解質を使用する電池のいずれにも好適に使用できる。具体的には、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池のセパレータとして好ましく用いることができる。中でも、リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。
本実施形態による複合微多孔膜について、物性は、特に制限されないが、以下の範囲に調整されることが好ましい。
(1)熱収縮率(105℃、8時間)
熱収縮率(105℃、8時間)は、TABAI製クリーンオーブンPVHC−210を使用して測定した。ポリオレフィン微多孔膜を50mm角の正方形に打ち抜き、105℃、8時間オーブン内で熱処理を行う前後の試料のMD及びTD方向の寸法を測定し、下記の式よりMD及びTD方向それぞれの熱収縮率を求めた。また、MDとTDの総合収縮量としてMD×TD収縮量も算出した。
収縮率(%)=(元の寸法−熱収縮後の寸法)÷元の寸法×100
MD×TD収縮率(%)=MD収縮率×TD収縮率×100
(2)膜厚測定
微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック(登録商標))により測定し、膜厚の平均値を求めた。
(3)SEM
微多孔膜表面の観察は、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM-6701F)を用いておこなった。微多孔膜には事前にPt蒸着(イオンスパッタリング:スパッタリング電流20mA、時間20秒)処理を施し、加速電圧2.00keVの条件でその表面を観察した。また、断面観察に使用した測定サンプルは、微多孔膜をイオンミリング装置(株式会社 日立ハイテクノロジーズ、IM4000)によりカットして作製した。Pt蒸着等は表面観察と同様の手法で行った。
(4)SEM断面積の解析
画像解析ソフトHALCON(Ver. 13.0, MVtec社製)にて、まず断面SEM画像データ(加速電圧2.0kV、倍率6000倍)の読み込みを行い、次に、2値化処理を実施した。なお、今回の2値化処理は、グレイ値(輝度値)の閾値の下限0〜上限255の中で範囲を選択し白黒画像化する処理にて値30を設定したが、断面解析に影響を与えない範囲にて変更しても良い。なお、画像コントラストの違いにより、2値化処理をしても評価が困難な場合、絶対値比較ではなく相対値比較に切り替えても良い。例えば、平均輝度を−100に設定するなど。あるいは、HALCONに含まれる画像処理フィルタ処理(輪郭強調(微分フィルタ(emphasize)、エッジ強調フィルタ(shock_filter)の順で処理))を行った後、2値化するという手順で実施しても良い。また、2値化処理により、暗部が空孔部を示す。2値化処理を施した画像を長方形(断面深さ方向0.2μm×画像の幅長さ)に存在する暗部面先を算出する。同じ長方形を0.2μm断面深さ方向にずらしながら、画像最深部まで暗部面積の算出を繰り返すことで、深さ方向に対する孔面積分布を孔面積累積率として算出した。
(5)電解液溶媒の注液性
複合微多孔膜表面に非プロトン性極性溶媒(プロピレンカーボネート)を0.5ml滴下し、10分後の滴下液の拡がり径を評価した。30秒に1回固定カメラにて写真撮影を行い10分間における広がりを観察した。
[実施例1]
Mwが5.6×10であり、分子量分布(MWD)が4.05である高密度ポリエチレン70質量部と、Mwが1.9×10であり、MWDが5.09である超高分子量ポリエチレン30質量部とからなるポリエチレン樹脂(融点135℃、Tcd90℃)にフェノール系酸化防止剤をポリエチレン樹脂100質量部あたり0.08質量部、リン系酸化防止剤をポリエチレン樹脂100質量あたり0.08質量部加え、ポリエチレン樹脂組成物を得た。得られたポリエチレン樹脂組成物28.5質量部を二軸押出機(強混練タイプセグメント)に投入し、この二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン71.5質量部を供給し、190℃、300rpmで溶融混練して、押出機中にてポリエチレン樹脂組成物溶液を調製した。
このようにして調製したポリエチレン樹脂組成物溶液を押出機の先端に設置されたTダイから240℃で押し出し、厚み1200μmで、冷却ロールで引き取りながらゲル状シート(幅330mm)を成形した。
続いて図4に示すような延伸機に導き、得られたゲル状シートを、第一炉の設定温度135℃の下で昇温した。その後、搬送速度25m/min、(設定)温度115℃で5×5倍に同時二軸延伸を行い、延伸したゲル状シートを得た。
この延伸されたゲル状シートを25℃に調整された塩化メチレンの浴槽に浸し、ゲル状シート中に存在する液体パラフィンの量が容量により1%以下になるまで、液体パラフィンを除去した。その後室温での空気流れにより乾燥させた。乾燥した膜をオーブン内で120℃の条件下、10分間熱セットし、ポリオレフィン微多孔膜Aを得た。
(塗布液の調製)
フッ素系樹脂として、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(VdF/HFP=92/8(質量比))(質量平均分子量が100万)を用い、このフッ素系樹脂、平均粒径0.5μmのアルミナ粒子、N−メチル−2−ピロリドンを混合した。その際、アルミナ粒子がフッ素系樹脂とアルミナ粒子の合計に対して50体積%、固形分濃度が50質量%となるように配合し、樹脂成分を完全に溶解させた。その後、酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、「トレセラム」(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共に、ポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させた。次いで、濾過限界5μmのフィルタで濾過し、塗布液(a)を調合した。
(多孔層の形成)
作製したポリオレフィン微多孔膜の両面に前記塗布液(a)を浸漬コート法にて塗布し、引き続き温度25℃、微粒化した水滴が充満した湿潤ゾーン中に2秒間通過させ、連続して0.5秒後に水溶液中(凝固槽)に3秒間進入させ、純水で洗浄した後、70℃の熱風乾燥炉を通過させることで実施例1の複合微多孔膜を得た。
[実施例2]
アルミナ粒子がフッ素系樹脂とアルミナ粒子の合計に対して25体積%、固形分濃度が75質量%となるように配合した塗布液(b)により多孔層を形成させ、塗布液の調整法以外は全て実施例1と同様にして実施例2の複合微多孔膜を得た。
[実施例3]
ゲル状シートの昇温に関し、第一炉の予熱温度を135℃に設定した以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜Bを得た。ポリオレフィン微多孔膜Bを用いたこと以外は全て実施例1と同様にして実施例3の複合微多孔膜を得た。
[実施例4]
ポリオレフィン微多孔膜Bを用いたこと以外は全て実施例2と同様にして実施例4の複合微多孔膜を得た。
[実施例5]
ゲル状シートの厚さを800μmに成形し、搬送速度を45m/minに変更した以外はポリオレフィン微多孔膜Aと同様にしてポリオレフィン微多孔膜Cを得た。ポリオレフィン微多孔膜Cを用いたこと以外は全て実施例1と同様にして実施例5の複合微多孔膜を得た。
[実施例6]
ポリオレフィン微多孔膜Cを用いたこと以外は全て実施例2と同様にして実施例6の複合微多孔膜を得た。
[比較例1]
第一炉の設定温度を125℃とした以外は実施例1と同様にしてポリオレフィン微多孔膜Dを得た。ポリオレフィン微多孔膜Dを用いたこと以外は全て実施例1と同様にして比較例1の複合微多孔膜を得た。
[比較例2]
ポリオレフィン微多孔膜Dを用いたこと以外は全て実施例2と同様にして比較例2の複合微多孔膜を得た。
[比較例3]
ゲル状シートの昇温に関し、第一炉の予熱温度を125℃に設定した以外は実施例5と同様にしてポリオレフィン微多孔膜Eを得た。ポリオレフィン微多孔膜Eを用いたこと以外は全て実施例1と同様にして比較例3の複合微多孔膜を得た。
[比較例4]
ポリオレフィン微多孔膜Eを用いたこと以外は全て実施例2と同様にして比較例4の複合微多孔膜を得た。
[比較例5]
ゲル状シートの昇温に関し、第一炉の予熱温度を123℃に設定した以外は実施例5と同様にしてポリオレフィン微多孔膜であるポリオレフィン微多孔膜Fを得た。ポリオレフィン微多孔膜Fを用いたこと以外は全て実施例1と同様にして比較例5の複合微多孔膜を得た。
[比較例6]
ポリオレフィン微多孔膜Fを用いたこと以外は全て実施例2と同様にして比較例6の複合微多孔膜を得た。
各ポリオレフィン微多孔膜の作製条件及び各種物性を表1に、各実施例及び比較例に係る調製条件と各種物性を測定した結果を表2にそれぞれ示した。
(電解液溶媒の浸透性)
ポリオレフィン微多孔膜及び複合微多孔膜は電解液溶媒が浸透することで白色となり、その境界をもとに電解液溶媒の広がり径を計測した。電解液溶媒をたらして5分を過ぎたあたりで実施例1と比較例1で電解液溶媒の広がりに差が見られ、10分後には、実施例1では5.7mm、比較例1では3.7mmとなった(図5(a))。以上から、実施例1は比較例1に比べ浸透性に優れることを確認した。
また、白色の濃淡は電解液溶剤の浸透の程度を示しているといえるが、比較例1では実施例1には見られない電解液溶媒の広がり径の内側に濃い白色領域を有し、一方で、実施例1は、浸透が明確に2種に分かれることなく広がることを確認した(図5(b))。以上から、実施例1は電解液溶媒の浸透性が均一に進んでいることを確認した。
実施例1では、表面領域に比較的大きな空孔が分布し、その中間領域にはやや小さな(中程度のサイズの)空孔が分布し、内部領域にはより小さな空孔が多数分布していることが分かる(図6)。一方、比較例1では、前記表面領域に相当する多孔層部分と前記内部領域に相当するポリオレフィン微多孔膜部分が存在し、中間領域に相当する部分は存在しない(図6)。このように表面領域から内部領域に向かって段階的に孔サイズが小さくなることにより、電解液溶媒の浸透速度と、浸透均一性が向上すると考えられる。
比較例1では、多孔層部分にて、孔面積累積率がほぼ98%で飽和するのに対して、実施例1では、表面領域と中間領域を合わせても孔面積累積率が80%にも達していない(図7)。このようなポリオレフィン微多孔膜Aであればに複合多孔膜を調製したときに電解液溶媒の浸透性が優れることが想定される。
(電解液溶媒の浸透イメージ)
以上から、実施例では、電解液溶媒が平面方向(横方向)と厚み方向(縦方向)に十分に浸透しているといえる(図8の左図)。一方、比較例1は、表層(多孔層)では平面方向(横方向)にある程度は浸透するが、厚み方向(縦方向)内部においては平面方向(横方向)に浸透しにくいといえる(図8の右図)。したがって、実施例の複合微多孔膜は、電解液溶媒の均一な浸透性に優れ、また全体にわたって浸透するため電解液溶媒の保持性にも優れるといえる。このような複合微多孔膜を電池用セパレータとして用いると、リチウムイオン電池の生産性を向上することができ、また製品間の能力ばらつきを抑えることができる。さらに、長期使用時の電池性能の維持にも寄与することができる。
実施例においては熱収縮の変化量が基材と比較して全て60%以下となり、多孔層の形成による熱収縮量抑制の効果は従来技術と比較して向上していた(図9)。
図10は、実施例1と比較例1の複合微多孔膜の表面SEM画像である。多孔層形成後は実施例と比較例共に違いがないことを示している。このように多孔層表面構造に影響を与えないことから、電極との接着性については従来どおり多孔層として優れた接着性を維持できていることが想定される。
10 第一炉
20 第二炉
30 第三炉
40 テンター延伸機

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の表面に、互いに不規則に結合した多数の湾曲した葉状構造の集合体によって形成され表面粗さが40nm以上の表面を有する、ポリオレフィン微多孔膜と、
    前記表面の少なくとも一方に多孔層を備え、前記多孔層中にフッ素系樹脂と無機粒子を含み、無機粒子の含有量が前記多孔層の固形分を100体積%としたときに40〜80体積%である複合微多孔膜。
  2. 前記多孔層の厚みが前記ポリオレフィン微多孔膜の厚みよりも薄く、前記多孔層の表層から多孔層の厚みの2倍の深さの範囲にて孔面積を累積したときに、孔面積累積率が80%に達する深さが前記ポリオレフィン微多孔膜の領域内となる請求項1に記載の複合微多孔膜。
  3. 前記多孔層がフッ素系樹脂を含む、請求項1または2に記載の複合微多孔膜。
  4. 前記ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂を90質量%以上含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の複合微多孔膜。
  5. 前記ポリエチレン樹脂が超高分子量ポリエチレンを含む、請求項4に記載の複合微多孔膜。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の複合微多孔膜を用いた電池用セパレータ。
  7. 請求項6に記載の電池用セパレータを用いた電池。
  8. ポリオレフィン樹脂と溶剤を含む樹脂溶液を押し出し成形してゲル状シートを形成する工程と、
    前記ゲル状シートの一方または両方の表面の表層部分のみを溶融し、該表層部分のみが溶融した状態で該ゲル状シートを延伸する工程と、
    前記ゲル状シートから前記溶剤を除去し、ポリオレフィン微多孔膜を得る工程と、
    前記ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の面に、多孔層を形成する工程を含む、複合微多孔膜の製造方法。
  9. 前記表層部分の溶融は、前記ゲル状シート中のポリオレフィン樹脂の融点±10℃以内の温度で加熱することにより行う、請求項8に記載の複合微多孔膜の製造方法。
  10. 前記多孔層の形成工程は、
    フッ素系樹脂と無機粒子と溶剤を含む塗布液を、前記ポリオレフィン微多孔膜の前記溶融処理された表面に塗布する工程と、
    塗布後のポリオレフィン微多孔膜を凝固浴へ投入して前記フッ素系樹脂を凝固させ、前記多孔層を形成する工程と
    前記溶剤を除去する洗浄工程を含む、請求項8又は9に記載の複合微多孔膜の製造方法。
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