JP2019063686A - 液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤 - Google Patents

液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤であって、液体炭化水素中の水銀の吸着容量が大きく、添着物の液体炭化水素への溶出の問題のない吸着剤を提供する。【解決手段】活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着してなる液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。硫黄含有有機キレート剤としてはジチオカルバミン酸系キレート剤、特にピペラジンジチオカルバミン酸及び/又はその塩が好ましい。活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着した吸着剤であれば、液体炭化水素への溶出量が少なく、従来の無機担持物を担持した吸着剤に比べて液体炭化水素中の水銀の吸着容量を飛躍的に向上させると共に、液体炭化水素中における水銀吸着量の低減も抑制される。【選択図】図1

Description

本発明は、液体炭化水素に含まれる水銀を吸着除去するための吸着剤に関し、特に、原油やナフサ、液化石油ガス(LPG)に含まれる水銀を除去し、それらを精製するための吸着剤に関する。
本発明はまた、この液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法とこの液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤を用いた液体炭化水素中の水銀の除去方法に関する。
石油製品または石油化学製品の製造に用いられるナフサ等の石油留分および天然ガスコンデンセート等の石油炭化水素油には水銀が含まれており、石油精製や石油化学プラントにおける触媒劣化や移送配管・機器の腐食等を引き起こす原因となっている。このため、石油炭化水素油から水銀を除去してその濃度を低減することが求められている。また、2017年8月の水俣条約発効を控え、水銀を含む製品における水銀濃度を低減する技術に対する要求が高まっている。
従来、シリカゲルやアルミナ、活性炭等に金属硫化物やヨウ素を担持した吸着剤は、液体炭化水素に含まれる水銀の除去性能に優れることが知られている。
しかし、金属硫化物やヨウ素といった無機物を活性炭に担持した吸着剤は、これらの無機担持物が活性炭に不可逆的に吸着する量が少ないため、液体炭化水素の処理中に担持物が脱着してナフサ等の石油製品中に溶出してしまうという課題があった。
このように担持物が溶出すると、液体炭化水素を汚染するだけではなく、担持物の溶出で吸着剤本来の水銀の吸着容量が低減することとなる。
非特許文献1には、安価で高比表面積な椰子殻活性炭に、硫黄アルカリ金属及び塩化物を担持させた吸着剤が、ナフサの性状に影響を与えることなく、水銀を低濃度まで除去できることが開示されている。
しかし、非特許文献1に開示される吸着剤を含めて、従来の吸着剤では、水銀吸着容量が低い、或いは液体炭化水素中で水銀の吸着容量低下の問題があり、実際の液体炭化水素中の水銀の除去処理においては、吸着剤の交換頻度が高いという欠点があった。
Journal of the Japan Petroleum Institute, Vol.49 No.6, P.335-339(2006)「ナフサからの水銀除去装置の開発」(幾島ら)
本発明は、担持物が脱着し難く、液体炭化水素中においても吸着容量が低下せず、吸着剤の交換頻度を低くすることができる液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤と、この液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤を用いた液体炭化水素中の水銀の除去方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題を解決すべく、活性炭に不可逆的に吸着し、活性炭からの脱着、液体炭化水素への溶出の問題が少ない活性炭担持物質について検討し、硫黄含有有機キレート剤が活性炭に添着させる担持物として好適であることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着してなることを特徴とする液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
[2] 前記硫黄含有有機キレート剤がジチオカルバミン酸系キレート剤であることを特徴とする[1]に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
[3] 前記ジチオカルバミン酸系キレート剤が、ピペラジンジチオカルバミン酸及び/又はその塩であることを特徴とする[2]に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
[4] 前記ジチオカルバミン酸系キレート剤が、アミン化合物の二硫化炭素付加物であることを特徴とする[2]又は[3]に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
[5] 前記ジチオカルバミン酸系キレート剤が、ポリエチレンイミンの二硫化炭素付加物であることを特徴とする[4]に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
[6] 前記活性炭が石炭系活性炭であることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
[7] 活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着することを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法。
[8] 活性炭にアミン化合物を添着した後、二硫化炭素を添着することにより該活性炭の細孔内で前記硫黄含有有機キレート剤としてジチオカルバミン酸系キレート剤を生成させて添着することを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法。
[9] 前記活性炭に前記硫黄含有有機キレート剤を添着した後、水又は液体炭化水素で洗浄することを特徴とする[7]又は[8]に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法。
[10] [1]ないし[6]のいずれかに記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤を用いて液体炭化水素中の水銀を除去することを特徴とする液体炭化水素中の水銀の除去方法。
[11] [7]ないし[9]のいずれかに記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法により製造された液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤を用いて液体炭化水素中の水銀を除去することを特徴とする液体炭化水素中の水銀の除去方法。
硫黄含有有機キレート剤は活性炭に不可逆的に吸着し、活性炭から脱着し難い。このため、活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着した吸着剤であれば、液体炭化水素への溶出量が少なく、従来の無機担持物を担持した吸着剤に比べて液体炭化水素中の水銀の吸着容量を飛躍的に向上させると共に、液体炭化水素中における水銀吸着量の低減も抑制される。また、添着物の溶出による製品汚染も抑制することができる。
実施例及び比較例の結果を示すグラフである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤]
本発明の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤(以下、単に「本発明の吸着剤」と称す場合がある。)は、活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着してなるものである。
<活性炭>
活性炭としては、硫黄含有有機キレート剤が細孔内部まで浸透するように、メソ孔ないしマクロ孔が発達した石炭系活性炭が好ましい。ただし、ゼロ価の水銀や有機水銀の吸着の観点では、ミクロ孔が発達していることがより好ましい。
液体炭化水素中の水銀は、無機水銀と有機水銀に分けられ、無機水銀は価数がゼロ価の単体水銀と一価又は二価のイオン状水銀に分けられる。液体炭化水素中の水銀のそれぞれの比率は、当該液体炭化水素の原料により異なる。
活性炭は、ゼロ価の水銀と有機水銀を吸着可能であるが、イオン状水銀の吸着はできない。本発明に従って、硫黄含有有機キレート剤を添着することにより、イオン状水銀も吸着除去できるようになる。
<硫黄含有有機キレート剤>
活性炭に添着させる硫黄含有有機キレート剤としては、ジチオカルバミン酸をキレート官能基とするキレート剤(ジチオカルバミン酸系キレート剤)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チオジアゾールやサリチル酸、ジチゾンをキレート官能基とするキレート剤等が挙げられるが、キレート能の強さの観点からジチオカルバミン酸系キレート剤が好ましい。
ジチオカルバミン酸系キレート剤のジチオカルバミン酸化合物としては、ジメチルジチオカルバミン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、エチレンビスジチオカルバミン酸、メチルジチオカルバミン酸、エチルジチオカルバミン酸、n−ブチルジチオカルバミン酸、n−プロピルジチオカルバミン酸、メチルエチルジチオカルバミン酸、メチルn−ブチルジチオカルバミン酸、エチルn−ブチルジチオカルバミン酸、フェニルジチオカルバミン酸、ベンジルジチオカルバミン酸、ピペラジンジチオカルバミン酸、ポリエチレンイミンの二硫化炭素付加物、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩が挙げられる。
また、ジチオカルバミン酸系キレート剤は、対応するアミン化合物と二硫化炭素を反応させてアミン化合物に二硫化炭素を付加させることによって、容易に生成させることができる。
二硫化炭素との反応に用いるアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等の低分子一級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の低分子2級アミン、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン等の多価アミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヘキサメチレンイミンなどの環状アミン等を挙げることができる。
これらのうち、活性炭に添着するジチオカルバミン酸系キレート剤としては、ピペラジンジチオカルバミン酸、ピペラジンジチオカルバミン酸塩、或いはポリエチレンイミンの二硫化炭素付加物が、得られる吸着剤の水銀吸着量が多く、また、活性炭に不可逆的に添着することができる添着量が多く、活性炭からの脱着量、液体炭化水素への溶出量が少ない点で好ましい。上記ポリエチレンイミンとしては、分子量100〜10,000程度のものが、水銀吸着能の点から好ましく、300〜2,000程度のものが、揮発性と粘度が高すぎず、添着の効率が高くなることからより好ましい。
<硫黄含有有機キレート剤の添着量>
本発明の吸着剤における硫黄含有有機キレート剤の添着量は、活性炭重量に対する添着した硫黄含有有機キレート剤の重量の割合で3重量%以上、特に5重量%以上であることが、水銀の吸着効率、吸着容量の観点から好ましい。この硫黄含有有機キレート剤の添着量の上限には特に制限はないが、有機キレート剤により細孔が閉塞しないように、通常30重量%以下が好ましい。
なお、活性炭に添着した硫黄含有有機キレート剤量は、活性炭への添加量から添着後の洗浄液に残留した量を差し引くこと(添着後に後述の洗浄を行う場合)により求めることができる。燃焼分解法によるCHNS分析を行い、N及び/又はSの含有量から分析的に求めることもできる。
活性炭への硫黄含有有機キレート剤の添着量は、後述の本発明の吸着剤の製造方法において、用いる硫黄含有有機キレート剤水溶液の硫黄含有有機キレート剤濃度や水溶液の使用量により調整することができる。
[吸着剤の製造方法]
本発明の吸着剤は、前述の硫黄含有有機キレート剤の5〜30重量%程度の濃度の水溶液に活性炭を含浸させるか、或いは、この水溶液を活性炭に噴霧した後、40〜200℃で乾燥させることにより、製造することができる。
アミン化合物と二硫化炭素との反応でジチオカルバミン酸系キレート剤を生成させて活性炭に添着する場合は、活性炭に予めアミン化合物を添着し、その後二硫化炭素を添着して40〜80℃程度に加温して活性炭の細孔内でジチオカルバミン酸系キレート剤を生成させることが好ましい。それは、一旦吸着したアミンが、細孔内で嵩高いジチオカルバミン酸基を持つことで、細孔内からキレート剤が脱着しにくくなるからである。アミン化合物を活性炭に添着するには、3〜25重量%程度の濃度のアミン化合物の水溶液に活性炭を含浸させるか、水溶液を活性炭に噴霧する方法が好ましい。また、二硫化炭素をアミン化合物添着活性炭に添着する場合も、3〜20重量%程度の濃度の二硫化炭素水溶液にアミン化合物添着活性炭を含浸させる方法が好ましい。具体的な含浸方法には特に制限はないが、これらの水溶液中に活性炭を添加して撹拌する方法が好ましい。
このようにアミン化合物と二硫化炭素とを二段階で活性炭に添着させることにより、ジチオカルバミン酸系キレート剤を活性炭の細孔内深くまで浸透させて生成させることができ、このようにして得られた吸着剤により活性炭の細孔内で水銀を強固に吸着させて除去することができるようになる。この方法は、アミン化合物として特にポリエチレンイミン等の分子量の大きいアミン含有ポリマーを用いる場合に効果的である。これに対して、アミン化合物と二硫化炭素とを一度に添着したり、逆に二硫化炭素を添着してからアミン化合物を添着する方法では、二硫化炭素付加後のアミン化合物が嵩高くなって、活性炭の細孔内部まで浸透し難くなり、活性炭の細孔内の深い箇所でジチオカルバミン酸系キレート剤を生成し得なくなる。
上記の二段添着処理後は、通常60〜150℃で乾燥させる。
本発明の吸着剤の製造に際して、活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着させた後、或いは活性炭の細孔内でジチオカルバミン酸系キレート剤を生成させた後、水又は液体炭化水素で洗浄してもよく、水又は液体炭化水素で洗浄を行うことで、吸着剤使用時の添着物の脱着、溶出を防止することができる。洗浄は、吸着剤100gに対して0.2〜5L程度(液固比(L/S)が2〜50程度)の水又は液体炭化水素を添加して撹拌した後、固液分離する方法、或いは吸着剤を洗浄塔もしくは洗浄カラムに充填し、液固比(L/S)が2〜50程度の条件で水又は液体炭化水素を通液する方法により行うことができる。上記洗浄操作は複数回繰り返し行ってもよい。洗浄後は60〜150℃で乾燥する。上記洗浄は、添着処理後、乾燥を行った吸着剤に対して行ってもよく、未乾燥の吸着剤に対して行ってもよい。
水で洗浄する場合、洗浄水は、純水等の高清浄な水が好ましい。また、液体炭化水素で洗浄する場合も、洗浄に用いる液体炭化水素は、水銀等の不純物を含まない液体炭化水素、例えば水銀濃度1μg/L以下の液体炭化水素を用いることが好ましい。洗浄に用いる液体炭化水素は、当該吸着剤を水銀除去に用いる液体炭化水素と同一のものであってもよく、異なるものであってもよいが、同一のものを用いることが好ましい。
[液体炭化水素中の水銀の除去方法]
本発明の液体炭化水素中の水銀の除去方法では、上述の本発明の吸着剤を用いて液体炭化水素中の水銀を除去する。
処理対象となる液体炭化水素としては、特に制限はなく、原油やLPG、ナフサ等の石油系液体炭化水素が挙げられる。これらの液体炭化水素に水銀が含まれていると石油精製や石油化学プラントにおいて、触媒劣化や、移送配管・機器の腐食等の問題が起こるため、水銀を除去する必要がある。水銀除去処理前のこれらの液体炭化水素の水銀含有量は、液体炭化水素の種類によっても異なるが、通常1〜100μg/kg程度である。液体炭化水素の用途にもよるが、これらの液体炭化水素は通常0.1〜10μg/kgまで水銀濃度を低減することが望まれる。
本発明の吸着剤により液体炭化水素中の水銀を除去する際の具体的な操作方法としては、液体炭化水素に本発明の吸着剤を投入して振とう又は撹拌し、その後固液分離する方法、本発明の吸着剤を充填したカラムに液体炭化水素を通液する方法などが挙げられる。
液体炭化水素を処理して液体炭化水素中の水銀を吸着除去した後の吸着剤は、通常、再生されることなく、特別管理産業廃棄物として処分される。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の実施例に限定されるものではない。
[使用吸着剤]
以下の実施例及び比較例で用いた吸着剤の仕様は下記表1に示す通りである。
なお、表1における略号は以下の通りである。
PDTC・K:ピペラジンジチオカルバミン酸カリウム
TMT:2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジントリナトリウム塩
MBT:2−メルカプトベンゾチアゾール・ナトリウム塩
また、吸着剤の「水洗浄」の方法は以下の通りである。
<水洗浄方法>
添着処理後の吸着剤をビーカーに入れ、純水を5mL/g−吸着剤(吸着剤100gの場合、純水500mL)を投入して1分撹拌し、その後、吸引濾過で洗浄水を分離した。この純水投入撹拌と、吸引濾過を3回繰り返し、洗浄後の吸着剤を80℃の熱風で乾燥した。
Figure 2019063686
[吸着剤の調製方法]
表1の吸着剤No.2〜10の調製方法は以下の通りである。
<吸着剤No.2の調製>
原料炭No.1(石炭系活性炭)200gを回転式ミキサーに入れ、4gのヨウ化カリウムを溶解した水溶液160mLを噴霧して均一に接触させた後、乾燥器で115℃で乾燥した。
<吸着剤No.3の調製>
吸着剤No.2(ただし、乾燥前)を上記水洗浄方法に従って洗浄した後乾燥した。
<吸着剤No.4の調製>
原料炭(石炭系活性炭)300gを回転式ミキサーに入れ、40重量%PDTC・K水溶液37.5g(純分として15g)を純水で希釈した水溶液240mL(PDTC・Kの濃度5.7重量%)を噴霧して均一に接触させた後、115℃で乾燥した。
<吸着剤No.5の調製>
吸着剤No.4(ただし、乾燥前)を上記水洗浄方法に従って洗浄した後乾燥した。
<吸着剤No.6の調製>
原料炭(石炭系活性炭)300gを回転式ミキサーに入れ、TMT15gとNaOH7.2g(3重量%)を溶解した水溶液240mL(TMTの濃度5.8重量%)を噴霧して均一に接触させた後、115℃で乾燥した。
<吸着剤No.7の調製>
吸着剤No.6(ただし、乾燥前)を上記水洗浄方法に従って洗浄した後乾燥した。
<吸着剤No.8の調製>
原料炭(石炭系活性炭)300gを回転式ミキサーに入れ、MBT15gとNaOH4.8g(2重量%)を溶解した水溶液240mL(MBTの濃度5.8重量%)を噴霧して均一に接触させた後、115℃で乾燥した。
<吸着剤No.9の調製>
吸着剤No.8(ただし、乾燥前)を上記水洗浄方法に従って洗浄した後乾燥した。
<吸着剤No.10の調製>
ポリエチレンイミン(分子量1,200)50gを純水300gに溶解し、これに原料炭(石炭系活性炭)100gを加えて撹拌した後、濾別し(濾過水1)、純水で十分に洗浄した(洗浄水1)。得られたポリエチレンイミン添着炭を、二硫化炭素13gと純水0.5Lとともにゆっくり撹拌し、ゆっくり昇温させながら60℃で3時間撹拌した後、濾別し(濾過水2)、純水にて十分に洗浄した(洗浄水2)。洗浄後の吸着剤を115℃で乾燥した。
[吸着剤評価試験]
以下の手順で吸着剤No.1〜10の評価試験を行った。なお、全ての試験はドラフト内で行った。
(1) 270mgのHgClを100mLのエタノールに溶解し、それに予めHg除去したHg濃度が1μm/L未満のナフサを添加して2Lにした(130mg−Hg/kg−ナフサ)。
50mLガラス瓶31本にHgClを添加したナフサを50mLずつ分取した。
(2) 各ガラス瓶にNo.1〜10の吸着剤を0.05g、0.1g、0.2g添加し、蓋を閉めて、回転式振とう機にて48時間振とうした(サンプル合計30本)。また、吸着剤を添加していない残りのガラス瓶サンプル(ブランク)1本も同様に48時間振とうした。
(3) 振とう後、0.45μmのPTFEメンブレンフィルターで液を濾過し、各サンプルの液相のHg濃度(mg−Hg/kg−液相)を原子蛍光法(UOP938−10)により測定した。
また、振とう後の液相のHg濃度とブランクのHg濃度から吸着剤に吸着されたHg量を求め、吸着剤1kg当たりのHg吸着量(mg/kg)を算出した。
この液相Hg濃度とHg吸着量との関係を図1及び表2に示す。
Figure 2019063686
図1及び表2より、活性炭にPDTC・K(ピペラジンジチオカルバミン酸カリウム)を添着したNo.4,5の吸着剤及び活性炭にポリエチレンイミンを添着した後二硫化炭素(CS)を添着して反応させたN.10の吸着剤、特にNo.10の吸着剤は、水銀の吸着容量が高く、ナフサのHg濃度を十分に低減することができることが分かる。
なお、上記実施例では、通常のナフサ、LPG等の処理対象液体炭化水素よりも高水銀濃度のナフサを処理しているため、処理後の水銀濃度は5mg/kg程度であるが、実際に処理対象となる水銀濃度1〜10μg/kg程度の液体炭化水素であれば、水銀濃度0.1〜10μg/kg程度にまで水銀を高度に除去可能である。

Claims (11)

  1. 活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着してなることを特徴とする液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
  2. 前記硫黄含有有機キレート剤がジチオカルバミン酸系キレート剤であることを特徴とする請求項1に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
  3. 前記ジチオカルバミン酸系キレート剤が、ピペラジンジチオカルバミン酸及び/又はその塩であることを特徴とする請求項2に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
  4. 前記ジチオカルバミン酸系キレート剤が、アミン化合物の二硫化炭素付加物であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
  5. 前記ジチオカルバミン酸系キレート剤が、ポリエチレンイミンの二硫化炭素付加物であることを特徴とする請求項4に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
  6. 前記活性炭が石炭系活性炭であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤。
  7. 活性炭に硫黄含有有機キレート剤を添着することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法。
  8. 活性炭にアミン化合物を添着した後、二硫化炭素を添着することにより該活性炭の細孔内で前記硫黄含有有機キレート剤としてジチオカルバミン酸系キレート剤を生成させて添着することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法。
  9. 前記活性炭に前記硫黄含有有機キレート剤を添着した後、水又は液体炭化水素で洗浄することを特徴とする請求項7又は8に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法。
  10. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤を用いて液体炭化水素中の水銀を除去することを特徴とする液体炭化水素中の水銀の除去方法。
  11. 請求項7ないし9のいずれか1項に記載の液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤の製造方法により製造された液体炭化水素中の水銀除去用吸着剤を用いて液体炭化水素中の水銀を除去することを特徴とする液体炭化水素中の水銀の除去方法。
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