JP2019063340A - 人形の関節構造 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、頭の傾き(首の傾き)加減の微調整が図り得るか否かにあっては、リアルな人間の微妙な表情をフィギュア人形に作り出せるかという点において、人間に中実なリアルな可動人形(フィギュア人形)を求める愛好者達にとっては商品選択要件の一つとして大変重要である。
例えば、人間における頭(首)の前後方向の傾きは、左右方向の傾きと比して、その傾き加減が大きいものであるが、頭部と胴部との間を単一のボールジョイントで連結する関節構造を有する従来の可動人形(フィギュア)では、前後方向の傾きと左右方向の傾きとが同じであったため、その微調整などが上手く調整(表現)できていなかった。
このような頭の傾き(首の傾き)加減を大きく調整し得る首関節構造として、例えば特許文献1に開示の構造が提案されている。
前記上下の軸受部に連結される上方側関節部の下端と、前記下方側関節部の上端には、それぞれ円柱部を介して球状の連結部(ボールジョイント)が備えられており、前記上下の軸受部は、前記球状の連結部を収納し、かつ摺動可能な球状内面を有する凹状空間をもって形成されている。すなわち、それぞれの連結部(ボールジョイント)は、それぞれの軸受部内に収納され、それぞれの円柱部が、それぞれの軸受部の開放周面部から外方に突出している。
このような構成からなる特許文献1の首関節構造にあっては、上方側関節部の球状の連結部と軸受部との間、下方側関節部の球状の連結部と軸受部との間で、頭(首)の前後方向と左右方向の傾斜動作を付与していた。すなわち、前後方向の傾斜も左右方向の傾斜もそれぞれ首の長さ方向二箇所での傾斜動作で表現することが可能である。これによれば、単一のボールジョイント構造をもって構成されていた従前の関節構造と比して、頭(首)の前後方向の傾斜も大きく表現することができた。
また、軸受部の開放周面部が円周方向で同一平面上にあることから、最大傾斜角度は前後方向・左右方向を含む360度全てにおいて同一であった。すなわち、それぞれの円柱部が開放周面部に接する状態が360度にわたって全て同じに設定されている。従って、左右方向の頭の傾き(首の傾き)加減に比して前後方向への頭の傾き(首の傾き)加減を大きくするなど、リアルな人間の微妙な表情をフィギュア人形に作り出すことができず、人間に中実なリアルな可動人形(フィギュア人形)を得ることは困難であった。
そこで本願の発明者は、単一のボールジョイント構造を採用しつつもリアルな人間の微妙な表情をフィギュア人形に作り出すことができ、人間に中実なリアルな可動人形(フィギュア人形)を提供することに成功した。
一方の構成部材に対して一端側が連結される第一可動部と、
他方の構成部材に対して一端側が連結されるとともに、他端側が前記第一可動部と連結される第二可動部と、で構成され、
前記第一可動部は、前記一端側に備えられ、前記一方の構成部材に対して、前後方向に傾動可能に連結する第一連結部と、他端側に備えられ、前記第二可動部の他端側を回動可能に連結する上端を開放した球状の凹面領域からなる被ジョイント部と、を備え、
前記第二可動部は、前記一端側に備えられ、前記他方の構成部材に連結する第二連結部と、前記他端側に備えられ、前記第一可動部の前記被ジョイント部の凹面領域に回動可動に連結する球状ジョイント部と、を備え、
前記被ジョイント部の上端の開放領域は、少なくとも前記球状ジョイント部の最大径部よりも小径に形成された開放周面部を備え、
前記開放周面部は、相対向する左右位置に最大高さ部位を有し、前記相対向する最大高さ部位を結ぶ第一仮想対向線と直交する第二仮想対向線上には、前部領域と後部領域とが、前記最大高さ部位よりもそれぞれ深く切り込まれた前後の傾動許容部位を有し、
前記開放周面部は、前記左右の最大高さ部位から前後の傾動許容部位まで、なだらかな曲面をもって形成されており、
前記球状ジョイント部の外周面と前記被ジョイント部の凹面領域とには、前記第二可動部の第二連結部と球状ジョイント部とを同一線上に結ぶ仮想中心線を軸として左右方向への回転を阻止する阻止構造を備えていることを特徴とする人形の関節構造としたことである。
本実施形態では、胴部と、胴部に着脱可能に連結される左右の腕部と、胴部に着脱可能に連結される左右の脚部と、胴部に着脱可能に連結される頭部を備えてなる、いわゆる人形素体と称されるものにおける、胴部と頭部とを連結する首関節構造を本発明の人形の関節構造の一実施形態として説明する。
また、本実施形態では、本発明の人形の関節構造の一実施形態として、首関節構造を用いて以下に説明するが、本発明の人形の関節構造は、腰部の股間位置と大腿部の付根部との間に備えられる股関節構造や、足首の関節構造に採用することも可能である。
本発明において、「人形」とは、胴部と脚部と腕部と頭部を備えた人形全般に限らず、頭部を備えていない所謂人形用素体といわれるものをも含む概念とする。また、少なくとも脚部や腕部などの所要箇所が可動する人形であれば全てが対象とされる。例えば人間の男性・女性を模写した人形に限らず、動物や空想上の生物若しくはロボットなどを模写した人形であってもよい。
「胴部(胴体)」とは、一般的には人形の腕部と脚部と頭部を除いた部分とされるが、胴部は、頭部を備える概念としても、脚部や腕部を備える概念としてもよく、少なくとも頭部は除かれているものであればよい。
「脚部」とは、足部、脛部、膝部、太腿部の付根部(腰部の股間位置と連結される部分)あたりまでをいい、「大腿部」とは、付根部から膝上あたりまでをいい、「脛部」とは、膝下あたりから足首あたりまでをいい、「膝部」とは、大腿部と脛部とを連結する部分をいい、「足部」とは足首から先端(指先)までをいうものとする。
「腕部」とは、胴部に連結される上腕と、上腕と肘部を介して屈曲可能に連結する下腕と、下腕に連結する手部とからなり、「上腕」とは、腕部付根位置(肩位置との連結部)あたりから肘上あたりまでをいい、「下腕」とは、肘下あたりから手首あたりまでをいい、「手部」とは手首あたりから先端(指先)までをいうものとする。
以下、まず、本実施形態の人形の胴部(一方の構成部材)1と、頭部(他方の構成部材)7との概略構成について簡単に説明した後、本発明の人形の関節構造の一実施形態である首関節構造59について説明する。なお、左右の脚部5と左右の腕部3との詳細な説明は省略する。
なお、上胴外皮19と下胴外皮21のそれぞれの外観形態は任意であって特に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、下胴を腹部と腰部とにさらに分割した三分割構成とする胴部であっても本発明の範囲内である。さらに、全く分割しない胴部(一体の胴部外皮)であっても本発明の範囲内である。
また、本実施形態の胴部1は、ソフトビニル製の外皮(上胴外皮19、下胴外皮21)と硬質合成樹脂製の胴部骨格23とで構成しているが、外皮が硬質合成樹脂製であっても本発明の範囲内である。さらに、硬質合成樹脂製で中実体(無垢)に形成された一体若しくは複数分割の胴部を採用することも可能で本発明の範囲内である。なお、硬質合成樹脂製で中実体(無垢)に形成された胴部の場合、骨格は備えていなくてもよい。
スペーサ81は、本実施形態ではネジ41により固定される円筒状に形成されているが、特に本実施形態に限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、後部材43の前面略中央領域には、前部材27の背面部37に当接する縦長板状のリブ43cが突設されている。
そして、本実施形態では、リブ43cの上端に平板状の底面47dを介して左右方向に所定の間隔をあけて一対の支持片47が突設されている。
第一連結部63の軸孔64は先端側に形成されており、また、第一連結部63の先端面は面取りされて円弧状に形成されている。
被ジョイント部65の上端の開放領域は、少なくとも球状ジョイント部91の最大径部よりも小径に形成された開放周面部67を備えている。
また、開放周面部67は、左右の最大高さ部位68a,68bから前後の傾動許容部位70a,70bまで、なだらかな曲面をもって形成されている。
そして、半円筒部72,76の外面から内面にわたってネジ孔93が形成されており、第一構成体71と第二構成体75とを突き合わせてネジ孔93にネジ94を螺合させることにより第一可動部61が一体化される。これにより、第一構成体71と第二構成体75のそれぞれの半円筒部72,76により円筒部62が形成され、それぞれの平板部73,77により第一連結部63が形成され、それぞれの半球部74,78により球状の凹面領域66を有する被ジョイント部65が形成される。
棒状部90は、第二連結部82を構成する第一受け部83の球面部84の中心から下方に向けて一体に短尺円柱状に突出形成される。
なお、球状ジョイント部91と棒状部90との境界領域92と、被ジョイント部65の開放周面部67の最大高さ部位68a,68bとは、略同一平面位置になくてもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、本実施形態では、第一可動部61を、ネジ止めして一体化可能な第一構成体71と第二構成体75とからなる二分割構成としているため、被ジョイント部65を構成する第一構成体71の半球部74と第二構成体75の半球部78との間に球状ジョイント部91を挟んだ状態で、ネジ孔93にネジ94を螺合することにより、第一可動部61と第二可動部80とが一体化される。
本実施形態では、第一構成体71の半球部74に設けられる凹部101より、第二構成体75の半球部78に設けられる凹部102の方が大径の球面状に凹設されている(図9乃至図10参照。)。
また、凸部103は、凹部101の内底面及び内側面との間に、それぞれ所定の隙間A1を形成するようにして収容されている(図10参照。)。凸部104も、凹部102の内底面及び内側面との間に、それぞれ所定の隙間A2を形成するようにして収容されている(図10参照。)。
また、本実施形態では、凸部103は、その先端縁が面取りされているが、凸部104は面取りされていない(図9乃至図10参照。)。
例えば、第一可動部61の凹部101,102内に、第二可動部80の凸部103,104が隙間なく収容されている構造であると、頭部7を前後方向に傾動することしか動作できないが、本実施形態によれば、凸部103,104の外面と凹部101,102の内面との間に形成される隙間A1,A2の領域内で凸部103,104が自由に可動できる。
従って、頭部7を前後方向に傾動させる動きの他に、左右方向に回動させる動きも可能であるため、第一実施形態の首関節構造59の動きと変わらない自由でかつ様々な動き(表現)が提供し得る。
このように、第二可動部80の左右方向への回転を阻止することができるため、第二可動部80を構成している第二連結部82の第二受け部86のヘッドジョイント固定部87に、ヘッドジョイント(頭部連結部)88をネジ89を介して固定したり、あるいはネジ89を外したりする際に、第二可動部80が不用意に回ってしまったりすることもなく、ヘッドジョイント(頭部連結部)88の着脱作業にストレスを感じることがない。
そして、図11の状態から、例えば、第二可動部80を、前方に回動(傾動)させると、頭部7が前方に少し傾いて、うつむいた状態(斜め下方を見下ろしている状態)を表現することができる(図12(a)。)。このとき、第二可動部80の棒状部90は、前側の傾動許容部位70aに摺接している(図12(a)。)。
第二可動部80を、後方に回動(傾動)させると、頭部7が少し後方に傾いて、斜め上方を見上げている状態を表現することができる(図12(b)。)。このとき、第二可動部80の棒状部90は、後側の傾動許容部位70bに摺接している(図12(b)。)。
本実施形態によれば、第二可動部80を回動自在に連結する第一可動部61の被ジョイント部65の開放周面部67が、相対向する左右の最大高さ部位68a,68bと、最大高さ部位68a,68bからなだらかな曲面をもって、最大高さ部位68a,68bよりもそれぞれ深く切り込まれた前後の傾動許容部位70a,70bを有している構成としているため、棒状部90を長くしなくとも(短尺状であっても)、前後方向への傾動を大きく表現することができるとともに、棒状部90が外方から直視される虞も少なく外観的な美観を向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、最大高さ部位68a,68bからなだらかな曲面をもって、最大高さ部位68a,68bよりもそれぞれ深く切り込まれた前後の傾動許容部位70a,70bを有している構成としているため、斜め下向き状態や斜め上向き状態の微妙な角度を、前記なだらかな曲面に沿って表現することが可能となった。
頭部7を前方に傾動させる際に、所定角度以上に傾動させると、この第一抑止部79aに第一可動部61の第一連結部63が当接するように構成した(図13(c)参照。)ため、必要以上の前方への頭部7の傾動を抑えることができる(図13(a)の状態を越えた傾動を抑制する。)。
なお、少なくとも底面47dに対向する上端43d領域のみを高く設定しているものであればよい。
頭部7を後方に傾動させる際に、この第二抑止部79bに第一可動部61の第一連結部63が当接するように構成したため、必要以上の前方への頭部7の傾動を抑えることができる(図13(b)の状態を越えた傾動を抑制する。)。
7 頭部
59 首関節構造
61 第一可動部
63 第一連結部
65 被ジョイント部
67 開放周面部
68a,68b 最大高さ部位
70a 前側の傾動許容部位
70b 後側の傾動許容部位
80 第二可動部
90 棒状部
91 球状ジョイント部
100 阻止構造
101,102 凹部
103,104 凸部
A1,A2 隙間
Claims (5)
- 人形の構成部材同士を可動するように連結する関節構造であって、
一方の構成部材に対して一端側が連結される第一可動部と、
他方の構成部材に対して一端側が連結されるとともに、他端側が前記第一可動部と連結される第二可動部と、で構成され、
前記第一可動部は、前記一端側に備えられ、前記一方の構成部材に対して、前後方向に傾動可能に連結する第一連結部と、他端側に備えられ、前記第二可動部の他端側を回動可能に連結する上端を開放した球状の凹面領域からなる被ジョイント部と、を備え、
前記第二可動部は、前記一端側に備えられ、前記他方の構成部材に連結する第二連結部と、前記他端側に備えられ、前記第一可動部の前記被ジョイント部の凹面領域に回動可動に連結する球状ジョイント部と、を備え、
前記被ジョイント部の上端の開放領域は、少なくとも前記球状ジョイント部の最大径部よりも小径に形成された開放周面部を備え、
前記開放周面部は、相対向する左右位置に最大高さ部位を有し、前記相対向する最大高さ部位を結ぶ第一仮想対向線と直交する第二仮想対向線上には、前部領域と後部領域とが、前記最大高さ部位よりもそれぞれ深く切り込まれた前後の傾動許容部位を有し、
前記開放周面部は、前記左右の最大高さ部位から前後の傾動許容部位まで、なだらかな曲面をもって形成されており、
前記球状ジョイント部の外周面と前記被ジョイント部の凹面領域とには、前記第二可動部の第二連結部と球状ジョイント部とを同一線上に結ぶ仮想中心線を軸として左右方向への回転を阻止する阻止構造を備えていることを特徴とする人形の関節構造。 - 前記阻止構造は、球状ジョイント部の最大径部の対向する位置に突設される左右の突部と、前記左右の突部がそれぞれ収容され、前記被ジョイント部の凹面領域に凹設される左右の凹部とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の人形の関節構造。
- 前記左右の突部は、前記左右の凹部内に隙間領域を形成するように、前記左右の凹部よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項2に記載の人形の関節構造。
- 前記第二可動部の前記第二連結部と前記球状ジョイント部との間には、円柱状の棒状部が備えられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の人形の関節構造。
- 人形の関節構造は首関節構造であって、前記一方の構成部材は人形の胴部で、前記他方の構成部材は人形の頭部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の人形の関節構造。
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