従来、発光装置の一種として、LED等の発光素子を有するものが知られている。発光素子を搭載した発光素子基板LTを備えた発光装置の基本構成のブロック回路図を図10に示す。また、図10における一つの発光素子14と発光制御部22の回路図を図11(a)に示し、図11(a)のC1−C2線における断面図を図11(b)に示す。発光装置は、ガラス基板等から成る基板1と、基板1上の所定の方向(例えば、行方向)に配置された走査信号線2と、走査信号線2と交差させて所定の方向と交差する方向(例えば、列方向)に配置された発光制御信号線3と、走査信号線2と発光制御信号線3によって区分けされた画素部(Pmn)15の複数から構成された表示部11と、を有する構成である。走査信号線2および発光制御信号線3は、基板1の側面に配置された側面配線1sを介して、基板1の裏面、発光装置の外部等にあるIC,LSI等の駆動素子に電気的に接続される。あるいは、走査信号線2および発光制御信号線3は、側面配線1sを介して隣接する発光装置と電気的に接続され、複数の発光装置が連動して駆動されるように構成される。そして、一つの発光装置あるいは複数の発光装置が、駆動素子6によって表示が駆動制御される。
駆動素子は、基板1の裏面に設置される場合、基板1の裏面にCOG(Chip On Glass)方式等の手段によって搭載される。またその場合、基板1の裏面に駆動素子との間で引き出し線を介して駆動信号、制御信号等を入出力するためのフレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit:FPC)が設置される場合がある。また側面配線1sに替えてスルーホール等の貫通導体を用いる場合がある。
それぞれの画素部15(Pmn)には、発光素子14(LDmn)の発光、非発光、発光強度等を制御するための発光制御部22が配置されている。この発光制御部22は、発光素子14のそれぞれに発光信号を入力するためのスイッチ素子としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)12(図11(a)に示す)と、発光制御信号(発光制御信号線3を伝達する信号)のレベル(電圧)に応じた、正電圧(アノード電圧:3〜5V程度)と負電圧(カソード電圧:−3V〜0V程度)の電位差(発光信号)から発光素子14を電流駆動するための駆動素子としてのTFT13(図11(a)に示す)と、を含む。TFT13のゲート電極とソース電極とを接続する接続線上には容量素子43(図11(a)に示す)が配置されており、容量素子43はTFT13のゲート電極に入力された発光制御信号の電圧を次の書き換えまでの期間(1フレームの期間)保持する保持容量として機能する。
発光素子14は、表示部11を覆う絶縁層31(図11(b)に示す)を貫通するスルーホール等の貫通導体23a,23bを介して、発光制御部22、正電圧入力線16、負電圧入力線17に電気的に接続されている。即ち、発光素子14の正電極は、貫通導体23a及び発光制御部22を介して正電圧入力線16に接続されており、発光素子14の負電極は、貫通導体23bを介して負電圧入力線17に接続されている。
図11(b)は、図11(a)のC1−C2線における断面図であって、TFT13及び発光素子14の部位を透視した断面図である。図11(b)に示すように、基板1上には複数の絶縁層31が配置され、複数の絶縁層31の層間にはTFT13がある。複数の絶縁層31は、基板1側から順に第1絶縁層31a、第2絶縁層31b、第3絶縁層31c、第4絶縁層31dが積層されており、第1絶縁層31a、第2絶縁層31b、第3絶縁層31cは、それぞれ酸化珪素(SiO2),窒化珪素(SiNx)等から成り、第4絶縁層31dはアクリル系樹脂,ポリカーボネート等から成る。基板1上にはMo層/Al層/Mo層(Mo層上にAl層、Mo層が順次積層された積層構造を示す)等から成る正電圧入力線16が配置されており、正電圧入力線16はTFT13のソース電極13sにスルーホール52を介して接続されている。TFT13のゲート電極13gは、第1絶縁層31aと第2絶縁層31bとの層間に配置され、TFT13の半導体層13aは、第2絶縁層31bと第3絶縁層31cとの層間に配置され、TFT13のソース電極13sとドレイン電極13dは、第3絶縁層31cと第4絶縁層31dとの層間に配置されている。ソース電極13sは半導体層13aにスルーホール53を介して接続され、ドレイン電極13dは半導体層13aにスルーホール54を介して接続され、またドレイン電極13dは、正電極44aを構成する電極層42aにスルーホール55を介して接続されている。
発光素子14は、絶縁層31上に配置された正電極44aと負電極44bにハンダ等の導電性接続部材を介して電気的に接続されて、絶縁層31上に搭載される。正電極44aは、Mo層/Al層/Mo層等から成る電極層42aと、それを覆う酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide:ITO)等から成る透明電極43aと、から成る。負電極44bも同様の構成であり、Mo層/Al層/Mo層等から成る電極層42bと、それを覆うITO等から成る透明電極43bと、から成る。絶縁層31と、透明電極43a,43bのそれぞれの一部(発光素子14が重ならない部位)と、を覆って、絶縁層45が配置されており、この絶縁層45は酸化珪素(SiO2),窒化珪素(SiNx)等から成る。
図12は、発光素子基板LTを有する自動車用の前照灯、所謂ヘッドライトHLを示すものであり、(a)はヘッドライトHLの正面図、(b)はヘッドライトHLの断面図である。ヘッドライトHLは、アルミニウム,ステンレススチール等の金属、合金から成るか、あるいはプラスチック等の絶縁基体の表面に白銀色の色合いを呈する銀等から成る光反射層が形成されて成る反射部材、所謂リフレクタ60と、リフレクタ60の貫通孔60kの部位に設置されたプラスチック等から成る基材61と、基材61の第1主面61aの側に接着等の手段によって設置された発光素子基板LTと、を有している。これらのリフレクタ60、基材61及び発光素子基板LTは、集光機能(レンズ機能)を有する透明カバー体によって覆われるとともに密閉され、その密閉空間内に収容される。基材61は、発光素子基板LTを設置する側の第1主面61aと、第1主面61aに対向する第2主面61bと、を有している。基材61の第1主面61aは、発光素子基板LT上の発光素子14から放射された光62がある程度の放射角を有するように、凸型に湾曲された形状を有している。そして、基材61の第2主面61bが貫通孔60kを覆うとともに、第2主面61bの周縁部がリフレクタ60に接着、螺子止め、突起及び突起係合孔による係合等の手段によって設置される。あるいは、基材61が貫通孔60kに嵌め合わされるとともに接着等の手段によって固定され設置される。
また、基材61は、その表面及び/又は内部に配線61Lが配置されており、配線61Lは、発光素子基板LTに搭載された発光素子14と、IC,LSI等から成る駆動素子65と、を電気的に接続する。配線61Lを基材61の表面に配置する場合、公知のメッキ法、導体ペーストを塗布し焼成する厚膜形成法、CVD法等の薄膜形成法等によって形成する。また、配線61Lを基材61の内部に配置する場合、例えば、基材61をセラミック多層積層技術によって作製するに際して、セラミック層間に配線を形成するとともにセラミック層を貫通する貫通導体を形成し、セラミック層間の配線と貫通導体を接続させることによって、配線61Lを形成する。基材61の第2主面61bの側には、配線61Lに接続されるFPC63が貫通孔60kを通して設置されており、リフレクタ60の裏面側の外部から視認されない収容空間に、FPC63を介して配線61Lに電気的に接続される駆動素子65等が配置されている。収容空間には、駆動素子65および抵抗素子,容量素子等の電子素子66等を搭載するとともに回路配線が形成されている回路基板64などが、配置されている。
また他の従来例として、光放出システムであって、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含んでおり、2つ以上の発光素子における各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスとそれを駆動する専用のスイッチング回路とを含んでおり、2つ以上の発光素子における少なくとも1つの発光素子は、発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を含む、光放出システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、図10〜図12に示す構成の上記従来の発光装置においては、以下の問題点があった。図12に示すように、基材61上に一つの広面積の発光素子基板LTを設置しているために、発光素子基板LT上の発光素子14を駆動した際に発光素子14で発生した熱が、基材61の中央部61cに蓄熱されやすいという問題点があった。これは、発光素子基板LTの周辺部で発生した熱はリフレクタ60に伝熱される等して放熱されやすいのに対して、発光素子基板LTの中央部で発生した熱は放熱されにくいことによると考えられる。また、発光素子基板LTの周辺部で発生した熱は、発光素子基板LTの中央部の側へも伝熱されるために、発光素子基板LTの中央部に熱が集中しやすいことも原因と考えられる。さらに、発光素子基板LTを薄型化した場合、その中央部と周辺部で温度が異なるために、熱的ストレスによって歪、変形が生じたり、発光素子基板LTを構成する絶縁層31(図11(b)に示す)に熱的ストレスによる応力が加わって層間剥離、クラック等が生じやすくなるという、信頼性の低下の問題点があった。また、特許文献1には、上記の熱的ストレスにより発生する種々の問題点を解消する構成については記載されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、熱的ストレスによって発光素子基板に歪、変形が生じることを抑えることであり、また熱的ストレスによる応力によって発光素子基板を構成する絶縁層に層間剥離、クラック等が生じることを抑えて、高い信頼性及び長寿命を有するものとすることである。
本発明の発光装置は、非平面の第1主面および前記第1主面に対向する第2主面を有する基材と、前記基材の前記第1主面の側に複数設置され、それぞれ発光素子を複数搭載している発光素子基板と、を有している構成である。
本発明の発光装置は、好ましくは、前記発光素子基板は、前記発光素子の点灯を制御する薄膜トランジスタを備えている。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記基材は、前記発光素子に電気的に接続される配線を有している。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記第1主面は、曲面形状または複数の平面から構成された多面体形状である。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記第1主面は、凸形に湾曲している。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記第2主面は、凹形に湾曲している。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記基材の前記第2主面の側に放熱部材が設置されている。
また本発明の発光装置は、好ましくは、前記発光素子の輝度を前記発光素子基板ごとに制御する輝度制御装置を有している。
また本発明の発光装置は、好ましくは、複数の前記発光素子基板は、前記第1主面の中央部にあるものと周辺部にあるものを含んでおり、前記第1主面の中央部にある前記発光素子基板に搭載された第1の発光素子の発光効率が、前記第1主面の周辺部にある前記発光素子基板に搭載された第2の発光素子の発光効率よりも高い。
また本発明の発光装置は、好ましくは、複数の前記発光素子基板は、前記第1主面の中央部にあるものと周辺部にあるものを含んでおり、前記第1主面の中央部にある前記発光素子基板に備わった第1の薄膜トランジスタに含まれる第1の半導体層の抵抗が、前記第1主面の周辺部にある前記発光素子基板に備わった第2の薄膜トランジスタに含まれる第2の半導体層の抵抗よりも小さい。
また本発明の発光装置は、好ましくは、複数の前記発光素子基板は、前記第1主面の中央部にあるものと周辺部にあるものを含んでおり、前記第1主面の中央部にある前記発光素子基板に備わった第1の薄膜トランジスタに含まれる第1の半導体層の電子移動度が、前記第1主面の周辺部にある前記発光素子基板に備わった第2の薄膜トランジスタに含まれる第2の半導体層の電子移動度よりも大きい。
本発明の発光装置は、非平面の第1主面および前記第1主面に対向する第2主面を有する基材と、前記基材の前記第1主面の側に設置され、発光素子を搭載している発光素子基板と、を有しており、前記発光素子基板と前記基材との間に部分的に存在する隙間部がある構成である。
本発明の発光装置は、好ましくは、複数の前記発光素子基板が前記基材の前記第1主面の側に設置されており、それぞれの前記発光素子基板は、複数の前記発光素子を搭載しているとともに前記発光素子の点灯を制御する薄膜トランジスタを備えている。
本発明の乗物用前照灯は、上記本発明の構成の発光装置を有する構成である。
本発明の乗物は、上記本発明の構成の乗物用前照灯を有する構成である。
本発明の発光装置は、非平面の第1主面および前記第1主面に対向する第2主面を有する基材と、前記基材の前記第1主面の側に複数設置され、それぞれ発光素子を複数搭載している発光素子基板と、を有している構成であることから、以下の効果を奏する。基材の第1主面の側に複数の発光素子基板が設置されているので、発光素子基板間での伝熱を抑えることができる。即ち、基材の周辺部における発光素子基板で発生した熱が、基材の中央部における発光素子基板の側へ伝熱されることを抑えることができ、その結果基材の中央部における発光素子基板に熱が集中することを抑えることができる。従って、熱的ストレスによって発光素子基板に歪、変形が生じることを抑えることができる。また、熱的ストレスによる応力によって発光素子基板を構成する絶縁層に層間剥離、クラック等が生じることを抑えることができ、高い信頼性を有する発光装置となる。
本発明の発光装置は、前記発光素子基板は、前記発光素子の点灯を制御する薄膜トランジスタを備えている場合、それぞれの発光素子の輝度(発光強度)を制御することによって、発光装置に輝度分布を付与することができるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御することもできる。
また本発明の発光装置は、前記基材は、前記発光素子に電気的に接続される配線を有している場合、基材が発光素子基板の支持体としてだけではなく配線基板としても機能するので、発光素子の輝度の制御が容易になる。
また本発明の発光装置は、前記第1主面は、曲面形状または複数の平面から構成された多面体形状である場合、発光素子から放射される光を直前方を含む様々な方向へ放射させることができるとともに、基材の第1主面における伝熱経路を長くして特定の部位に熱が集中することを抑えることができる。
また本発明の発光装置は、前記第1主面は、凸形に湾曲している場合、発光素子から放射される光を前方を含むある程度の放射角の範囲内に放射させることができるので、乗物用前照灯等としてより好適なものとなる。また、基材の第1主面における伝熱経路を長くして特定の部位に熱が集中することを抑えることができる。
また本発明の発光装置は、前記第2主面は、凹形に湾曲している場合、基材の主面の面方向への伝熱が促進されるとともに、第2主面の表面積が増大するので第2主面の側の空間への熱の放射が促進される。その結果、基材の中央部に熱が集中することをより抑えることができる。
また本発明の発光装置は、前記基材の前記第2主面の側に放熱部材が設置されている場合、基材の熱を放熱部材によって効率的に放熱することができる。
また本発明の発光装置は、前記発光素子の輝度を前記発光素子基板ごとに制御する輝度制御装置を有している場合、発光装置に輝度分布を付与することがより容易になるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御することも容易にできる。
また本発明の発光装置は、複数の前記発光素子基板は、前記第1主面の中央部にあるものと周辺部にあるものを含んでおり、前記第1主面の中央部にある前記発光素子基板に搭載された第1の発光素子の発光効率が、前記第1主面の周辺部にある前記発光素子基板に搭載された第2の発光素子の発光効率よりも高い場合、発光素子から放射される光を、直前方において最も輝度が高くなるようにすることが容易になる。また、基材の中央部に熱が集中することを抑えることがより容易になる。
また本発明の発光装置は、複数の前記発光素子基板は、前記第1主面の中央部にあるものと周辺部にあるものを含んでおり、前記第1主面の中央部にある前記発光素子基板に備わった第1の薄膜トランジスタに含まれる第1の半導体層の抵抗が、前記第1主面の周辺部にある前記発光素子基板に備わった第2の薄膜トランジスタに含まれる第2の半導体層の抵抗よりも小さい場合、発光素子から放射される光を、直前方において最も輝度が高くなるようにすることが容易になる。また、基材の中央部に熱が集中することを抑えることがより容易になる。
また本発明の発光装置は、複数の前記発光素子基板は、前記第1主面の中央部にあるものと周辺部にあるものを含んでおり、前記第1主面の中央部にある前記発光素子基板に備わった第1の薄膜トランジスタに含まれる第1の半導体層の電子移動度が、前記第1主面の周辺部にある前記発光素子基板に備わった第2の薄膜トランジスタに含まれる第2の半導体層の電子移動度よりも大きい場合、発光素子から放射される光を、直前方において最も輝度が高くなるようにすることが容易になる。また、基材の中央部に熱が集中することを抑えることがより容易になる。
本発明の発光装置は、非平面の第1主面および前記第1主面に対向する第2主面を有する基材と、前記基材の前記第1主面の側に設置され、発光素子を搭載している発光素子基板と、を有しており、前記発光素子基板と前記基材との間に部分的に存在する隙間部がある構成であることから、以下の効果を奏する。発光素子基板と基材との間に部分的に存在する隙間部があるので、発光素子基板の空間に露出する表面積が増大し、発光素子基板の空間への放熱性が向上する。
本発明の発光装置は、複数の前記発光素子基板が前記基材の前記第1主面の側に設置されており、それぞれの前記発光素子基板は、複数の前記発光素子を搭載しているとともに前記発光素子の点灯を制御する薄膜トランジスタを備えている場合、それぞれの発光素子基板に搭載された発光素子の輝度を制御することによって、発光装置に輝度分布を付与することができるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御することもできる。
本発明の乗物用前照灯は、上記本発明の構成の発光装置を有する構成であることから、高い信頼性と長寿命のものとなる。
本発明の乗物は、上記本発明の構成の乗物用前照灯を有する構成であることから、高い信頼性と長寿命の乗物用前照灯を有するので、高い信頼性と長寿命の乗物となる。
以下、本発明の発光装置、乗物用前照灯及び乗物の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、本発明の発光装置等の実施の形態における構成部材のうち、発光装置等を説明するための主要部を示している。従って、本発明に係る発光装置等は、図に示されていない配線導体、回路基板、制御IC,LSI等の周知の構成部材を備えていてもよい。なお、本発明の発光装置としての乗物用前照灯の実施の形態を示す図1〜図9において、図10〜図12と同じ部位には同じ符号を付しており、それらの詳細な説明は省く。また、本発明の発光装置は、乗物用前照灯に限らず、LED表示装置、有機EL表示装置、無機EL表示装置等の各種の自発光型の表示装置、屋内の照明装置、屋外の照明装置、自動車等の車両の内部若しくは外部の照明装置、信号機等に適用し得る。
本発明の発光装置は、例えば図1(a),(b),(c)示すヘッドライトHL,HLa,HLb、図2に示すように、非平面の第1主面61aおよび第1主面61aに対向する第2主面61bを有する基材61と、基材61の第1主面61aの側に複数設置され、それぞれ発光素子を複数搭載している発光素子基板LT1〜LT12と、を有している構成である。この構成により以下の効果を奏する。基材61の第1主面61aの側に複数の発光素子基板LT1〜LT12が設置されているので、発光素子基板LT1〜LT12間での伝熱を抑えることができる。即ち、基材61の周辺部における発光素子基板(例えば、発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12)で発生した熱が、基材61の中央部における発光素子基板(例えば、発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11)の側へ伝熱されることを抑えることができ、その結果基材61の中央部における発光素子基板に熱が集中することを抑えることができる。従って、熱的ストレスによって発光素子基板LT1〜LT12に歪、変形が生じることを抑えることができる。また、熱的ストレスによる応力によって発光素子基板LT1〜LT12を構成する絶縁層に層間剥離、クラック等が生じることを抑えることができ、高い信頼性を有する発光装置となる。
また、図1(b)に示すように、基材61の第1主面61aの側に複数の発光素子基板LT1〜LT6が設置されており、基材61の周辺部における発光素子基板LT1,LT4と、基材61の中央部における発光素子基板LT2,LT3,LT5,LT6と、の間隔が、基材61の中央部における発光素子基板LT2,LT3,LT5,LT6の隣接間の間隔よりも大きい構成としても良い。この場合、基材61の周辺部における発光素子基板LT1,LT4で発生した熱が、基材61の中央部における発光素子基板LT2,LT3,LT5,LT6の側へ伝熱されることをより抑えることができ、その結果基材61の中央部における発光素子基板LT2,LT3,LT5,LT6に熱が集中することをより抑えることができる。このような構成は、基材61の周辺部における発光素子基板LT1,LT4のそれぞれで発生する熱量が、基材61の中央部における発光素子基板LT2,LT3,LT5,LT6のそれぞれで発生する熱量よりも大きい場合、より有効な構成である。
また、図1(c)に示すように、基材61の第1主面61aの側に複数の発光素子基板LT1〜LT5が設置されており、基材61の周辺部における発光素子基板LT1,LT2,LT3,LT4と、基材61の中央部における発光素子基板LT5と、の間隔が、基材61の周辺部における発光素子基板LT1,LT2,LT3,LT4の隣接間の間隔よりも大きい構成としても良い。この場合、複数の発光素子基板LT1〜LT5で発生した熱の拡散が促進される。すなわち、放熱部材としても機能し得るリフレクタ60に近接している、基材61の周辺部における発光素子基板LT1,LT2,LT3,LT4の数が、基材61の中央部における発光素子基板LT5の数よりも多いことも、放熱性をより高めることに寄与している。従って、基材61の中央部における発光素子基板LT5に熱が集中することをより抑えることができる。
本発明の発光装置において、複数の発光素子基板LT1〜LT12は、それらの隣接間に間隔があることが好ましい。この場合、複数の発光素子基板LT1〜LT12間での伝熱をより抑えることができる。上記間隔は、5mm以上が良く、より好ましくは10mm程度以上であることが良い。5mm未満では、複数の発光素子基板LT1〜LT12間での伝熱を抑える効果は低下する傾向がある。
基材61は、ガラス、プラスチック、セラミック、アルミニウム,銅等の金属、ステンレススチール,銅−亜鉛合金等の合金等から成る。発光装置が乗物用前照灯等の高輝度の照明装置に適用される場合、基材61は、白色、銀色、銀白色、金色等の光反射性が良好な色合いのものであることが好ましい。また、基材61は、ガラス基板、プラスチック基板、セラミック基板、金属基板及び合金基板のうちの複数種の基板を積層した複合基板であってもよい。基材61が金属基板、合金基板を含む複合基板である場合、放熱性が向上し好適である。
発光素子基板LTを構成する基板1は、ガラス、摺りガラス等の不透明で白色のガラス、白色等に着色したガラス、プラスチック、セラミック、透光性セラミック、アルミニウム,銅等の金属、ステンレススチール,銅−亜鉛合金等の合金等から成る。発光装置が乗物用前照灯等の高輝度の照明装置に適用される場合、基板1は、白色等の光反射性が良好な色合いのものであることが好ましい。
本発明の発光装置において、発光素子としては、マイクロチップ型の発光ダイオード(LED)、モノリシック型の発光ダイオード、有機EL、無機EL、半導体レーザ素子等の自発光型のものであれば採用し得る。
発光素子は、白色光を発光する発光素子であれば、乗物用前照灯等の照明装置として好適に使用できるが、白色光を発光する発光素子に限らず、例えば赤色光を発光する発光素子14R(発光波長660nm程度)、緑色光を発光する発光素子14G(発光波長520nm程度)、青色光を発光する発光素子14B(発光波長450nm程度)であってもよく、さらには黄色光を発光する発光素子、燈色光を発光する発光素子、紫色光を発光する発光素子等であってもよい。本発明の発光装置を表示装置として用いる場合、三原色の発光素子14R,14G,14Bを備えるものであってもよい。発光素子がLEDから成る場合、発光素子14Rの発光部は、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、リン化ガリウム(GaP)、ペロブスカイト半導体等の材料から成る。同様に、発光素子14Gの発光部は、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、リン化ガリウム(GaP)、セレン化亜鉛(ZnSe)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)、ペロブスカイト半導体等の材料から成る。同様に、発光素子14Bの発光部は、インジウム窒化ガリウム(InGaN)、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、セレン化亜鉛(ZnSe)等の材料から成る。
基材61の非平面の第1主面61aは、発光素子から放射される光を直前方を含む様々な方向へ放射させる目的、また基材61の第1主面61aにおける伝熱経路を長くして特定の部位に熱が集中することを抑える目的、のための構成である。従って、基材61の非平面の第1主面61aは、好適には曲面形状または複数の平面から構成された多面体形状から成る。例えば第1主面61aは、図2(a)に示すような凸形に湾曲した形状であって、凸形の部分球面、凸形の部分楕円体面、凸形の部分円筒面、凸形の部分双曲面等の凸形の曲面形状であってもよい。また第1主面61aは、図2(b)に示すような凸形に湾曲した形状であって、凸形の多面体形状であり、全体的に、凸形の部分球面、凸形の部分楕円体面、凸形の部分円筒面、凸形の部分双曲面等の形状であってもよい。多面体形状は、切削加工装置等の機械的加工装置によって近似的な曲面を形成することが容易である点で好適である。主面61aが図2に示す形状である場合、発光素子基板LT1〜LT12に搭載された発光素子から放射された光を、全体としてある程度の放射角、例えば放射中心軸LA1に対して±45°(θ=45°)程度の放射角の範囲内(放射軸L2〜L3の範囲内)でもって放射させることができる。このような第1主面61aの形状は、乗物用前照灯、信号機、照明装置等に好適である。なお、図2(a)において、符号LA12,LA13は、それぞれ放射中心軸LA1に平行な方向である。
また第1主面61aは、図5(a)に示すような凹形に湾曲した形状であって、凹形の部分球面、凹形の部分楕円体面、凹形の部分円筒面、凹形の部分双曲面等の凹形の曲面形状であってもよい。また第1主面61aは、図5(b)に示すような凹形に湾曲した形状であって、凹形の多面体形状であり、全体的に凹形の部分球面、凹形の部分楕円体面、凹形の部分円筒面、凹形の部分双曲面等の形状であってもよい。主面61aが図5に示す形状である場合、発光素子基板LT1〜LT12に搭載された発光素子から放射された光を、集光させることができる。このような第1主面61aの形状は、スポットに集光させる乗物用前照灯、照明装置等に好適である。
また第1主面61aは、図6(a)に示すような凸形に湾曲した形状と凹形に湾曲した形状が繋がった形状、所謂S字状の形状であってもよい。凸形に湾曲した形状は、凸形の部分球面、凸形の部分楕円体面、凸形の部分円筒面、凸形の部分双曲面等の凸形の曲面形状であってもよい。凹形に湾曲した形状は、凹形の部分球面、凹形の部分楕円体面、凹形の部分円筒面、凹形の部分双曲面等の凹形の曲面形状であってもよい。また第1主面61aは、図6(b)に示すようなS字状の形状であって、凸形に湾曲した形状は、全体的に、凸形の部分球面、凸形の部分楕円体面、凸形の部分円筒面、凸形の部分双曲面等とされた、凸形の多面体形状であり、凹形に湾曲した形状は、全体的に、凹形の部分球面、凹形の部分楕円体面、凹形の部分円筒面、凹形の部分双曲面等とされた、凹形の多面体形状であってもよい。主面61aが図6に示す形状である場合、発光素子基板LT1〜LT12に搭載された発光素子から放射された光を、集光させることができる。このような第1主面61aの形状は、拡散性と集光性を併せ持つ乗物用前照灯、照明装置等に好適である。
図7に示すように、基材61の第1主面61aは凸形に湾曲しており、第2主面61bは凹形に湾曲していることが好ましい。この場合、基材61の第1主面61a及び第2主面61bの面方向への伝熱が促進されるとともに、第2主面61bの表面積が増大するので第2主面61bの側の空間への熱の放射が促進される。その結果、基材61の中央部に熱が集中することをより抑えることができる。図7(a)は、基材61の第1主面61aが、凸形の部分球面、凸形の部分楕円体面、凸形の部分円筒面、凸形の部分双曲面等の凸形の曲面形状であり、第2主面61bが、凹形の部分球面、凹形の部分楕円体面、凹形の部分円筒面、凹形の部分双曲面等の凹形の曲面形状である構成を示している。図7(b)は、基材61の第1主面61aが、全体的に、凸形の部分球面、凸形の部分楕円体面、凸形の部分円筒面、凸形の部分双曲面等の凸形の多面体形状であり、第2主面61bが、全体的に、凹形の部分球面、凹形の部分楕円体面、凹形の部分円筒面、凹形の部分双曲面等の凹形の多面体形状である構成を示している。
本発明の発光装置は、図10、図11に示すように、発光素子基板LTは、発光素子14の点灯を制御する薄膜トランジスタ(Thine Film transistor:TFT)12,13を備えていることが好ましい。この場合、それぞれの発光素子14の輝度(発光強度)を制御することによって、発光装置に輝度分布を付与することができるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子14の輝度を制御することもできる。
また本発明の発光装置は、図9に示すように、基材61は、発光素子に電気的に接続される配線61Lを有していることが好ましい。この場合、基材61が発光素子基板LTの支持体としてだけではなく配線基板としても機能するので、発光素子の輝度の制御が容易になる。配線61Lは基材61の表面及び/又は内部に配置されており、配線61Lは、発光素子基板LTに搭載された発光素子と、IC,LSI等から成る駆動素子65と、を電気的に接続する。配線61Lを基材61の表面に配置する場合、基材61がプラスチック等の絶縁性のものから成る場合、公知のメッキ法、導体ペーストを塗布し焼成する厚膜形成法、CVD法等の薄膜形成法等によって形成し得る。また、配線61Lを基材61の内部に配置する場合、例えば、基材61をセラミック多層積層技術によって作製するに際して、セラミック層間に配線を形成するとともにセラミック層を貫通する貫通導体を形成し、セラミック層間の配線と貫通導体を接続させることによって、配線61Lを形成し得る。
また本発明の発光装置は、発光素子の輝度を発光素子基板LTごとに制御する輝度制御装置を有していることが好ましい。この場合、発光装置に輝度分布を付与することがより容易になるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御することも容易にできる。輝度制御装置は、例えば図9に示す構成の場合、駆動素子65に相当する。駆動素子65は、FPC63及び配線61Lを介して、発光素子基板LT1〜LT12のそれぞれに電気的に接続されており、発光素子基板LT1〜LT12のそれぞれに搭載された発光素子の輝度を制御する。この輝度制御装置は、駆動素子65とは別体のIC,LSI等の駆動素子であってもよく、FPC63に配置された駆動素子であってもよい。またこの場合、発光素子基板LT1〜LT12のそれぞれに複数の発光素子が搭載されている場合、さらにそれら複数の発光素子のそれぞれの輝度を制御してもよい。その場合、発光装置により細かな輝度分布を付与することが容易になるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御することもより容易になる。
熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御する場合、基材61の第1主面61aの中央部における発光素子基板LT(例えば、発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11)の個々の輝度が、基材61の第1主面61aの周辺部における発光素子基板LT(例えば、発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12)の個々の輝度と同等以下となるように制御することができる。即ち、基材61の第1主面61aの中央部における発光素子基板LTの個々の発熱量が、基材61の第1主面61aの周辺部における発光素子基板LTの個々の発熱量と同等以下となることから、基材61の中央部に熱が集中しにくくなり、熱的ストレスが低減される。
基材61の第1主面61aの中央部は、図1のように或る方向(図1では横方向)に長く発光素子基板LTが配列されている構成である場合、第1主面61aの横方向の長さをLYとすると、第1主面61aの中心に対して−0.15LY〜+0.15LY程度の長さの部位(合計で0.3LY程度の長さの部位)から、第1主面61aの中心に対して−0.35LY〜+0.35LY程度の長さの部位(合計で0.7LY程度の長さの部位)である。従って、基材61の第1主面61aの周辺部は、中心部の残余の部位であって、第1主面61aの端から0.35LY〜0.15LY程度の長さの部位(合計で0.7LY〜0.3LYの長さの部位)である。また、第1主面61aの形状が正方形状、円形状等の略等方的な形状である場合、第1主面61aの中央部は、第1主面61aの面積をSとすると、第1主面61aの中心点を中心とする0.3S〜0.7S程度の面積の相似形状の部位である。従って、基材61の第1主面61aの周辺部は、中心部の残余の0.7S〜0.3S程度の部位である。
また本発明の発光装置は、図8に示すように、基材61の第2主面61bの側に放熱部材63が設置されていることが好ましい。この場合、基材61の熱を放熱部材63によって効率的に放熱することができる。図8(a)は、銅,アルミニウム,ステンレススチール等の熱伝導性の良好な金属、合金等から成る板状の放熱部材63を有する構成を示し、図8(b)は、上記の熱伝導性の良好な金属、合金等から成り、放熱フィンを有する放熱部材63を有する構成を示している。図8の構成において、発光装置が図9に示すリフレクタ60を有する乗物用前照灯である場合、放熱部材63からリフレクタ60への伝熱性を向上させるために、放熱部材63におけるリフレクタ60との接触部の厚みを他の部位の厚みよりも薄くすることが好適である。即ち、放熱部材63におけるリフレクタ60との接触部の厚みを他の部位の厚みと同じにした場合と比較して、基材61の周辺部にある発光素子基板LT1,LT6からリフレクタ60に至る伝熱経路が短くなるからである。
また本発明の発光装置は、複数の発光素子基板LT1〜LT12は、第1主面61aの中央部にあるもの(例えば、発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11)と周辺部にあるもの(例えば、発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12)を含んでおり、第1主面61aの中央部にある発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11に搭載された第1の発光素子の発光効率が、第1主面61aの周辺部にある発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12に搭載された第2の発光素子の発光効率よりも高いことが好ましい。この場合、第1主面61aの中央部にある発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11に搭載された第1の発光素子に供給する駆動電力と、第1主面61aの周辺部にある発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12に搭載された第2の発光素子に供給する駆動電力と、を同じにしても、第1の発光素子の輝度が第2の発光素子の輝度よりも高くなる。即ち、発光素子群から放射される光を、直前方において最も輝度が高くなるようにすることが容易になる。これは、直前方の視認性が重要視される乗物用前照灯等において有利である。第1の発光素子に供給する駆動電力を第2の発光素子に供給する駆動電力よりも大きくせずとも、第1の発光素子の輝度を第2の発光素子の輝度よりも高くすることができるので、基材61の中央部に熱が集中することを抑えることがより容易になる。
発光素子がLEDである場合、その発光効率としての外部量子効率は、(外部量子効率ηe)=(内部量子効率ηi)×(光取り出し効率E)で表される。内部量子効率ηiを向上させるためには、主にpn接合部の改良を行うことによって達成できる。例えば、p層、発光層及びn層の結晶性を向上させること、例えば結晶の転移密度を低減させることによって、pn接合部の改良を行うことができる。また、pn接合部のヘテロ接合構造を改良すること、例えばシングルヘテロ接合構造をダブルヘテロ接合構造とすることによって、pn接合部の改良を行うことができる。また、pn接合部の量子井戸構造を改良すること、例えば量子井戸構造の歪を解消して電子と正孔との重なりを増加させて再結合効率を向上させることによって、pn接合部の改良を行うことができる。さらには、発光層に対する電子注入効率を向上させること、例えばp層の正孔濃度を向上させることによって、pn接合部の改良を行うことができる。
光取り出し効率Eを向上させるためには、LED内の光吸収部の除去、LED内の内部多重反射部の低減等の手段によって行うことができる。LED内の光吸収部を除去するためには、LEDを構成する基板として透明基板を用いること等の手段がある。LED内の内部多重反射部を低減するためには、反射部の表面を粗面化すること等の手段がある。
従って、内部量子効率ηi及び光取り出し効率Eの少なくとも一方について、第1の発光素子の方が第2の発光素子よりも高くなるように調整することによって、第1の発光素子の発光効率が第2の発光素子の発光効率よりも高くなるように設定することができる。
また本発明の発光装置は、複数の発光素子基板LT1〜LT12は、第1主面の中央部にあるもの(例えば、発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11)と周辺部にあるもの(例えば、発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12)を含んでおり、第1主面61aの中央部にある発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11に備わった第1のTFTに含まれる第1の半導体層の抵抗が、第1主面61aの周辺部にある発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12に備わった第2のTFTに含まれる第2の半導体層の抵抗よりも小さいことが好ましい。この場合、発光素子から放射される光を、直前方において最も輝度が高くなるようにすることが容易になる。また、基材61の中央部に熱が集中することを抑えることがより容易になる。
2つの半導体層の抵抗の大小は、それらの抵抗率(ρ:電子移動度に反比例する)が同じである場合、帯状の半導体層であれば、その厚み(St)、幅(Sw)、長さ(Sl)によって規定される。2つの半導体層のSw,Slが同じであれば、Stが厚い方が半導体層の抵抗は小さくなる。2つの半導体層のSt,Slが同じであれば、Swが広い方が半導体層の抵抗は小さくなる。2つの半導体層のSt,Swが同じであれば、Slが短い方が半導体層の抵抗は小さくなる。2つの半導体層のSt,Sw,Slが同じであれば、抵抗率ρが小さい方が半導体層の抵抗は小さくなる。従って、第1の半導体層及び第2の半導体層について、それらのSt,Sw,Sl,ρを調整することによって、第1の半導体層の抵抗が第2の半導体層の抵抗よりも小さくなるように設定できる。なお、半導体層のρを小さくするためには、例えば、半導体層に含まれる電子、正孔(キャリア)の密度、所謂キャリア密度を大きくすればよい。
また本発明の発光装置は、複数の発光素子基板LT1〜LT12は、第1主面61aの中央部にあるもの(例えば、発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11)と周辺部にあるもの(例えば、発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12)を含んでおり、第1主面61aの中央部にある発光素子基板LT2〜LT5,LT8〜LT11に備わった第1のTFTに含まれる第1の半導体層の電子移動度が、第1主面61aの周辺部にある発光素子基板LT1,LT6,LT7,LT12に備わった第2のTFTに含まれる第2の半導体層の電子移動度よりも大きいことが好ましい。この場合、発光素子から放射される光を、直前方において最も輝度が高くなるようにすることが容易になる。また、基材61の中央部に熱が集中することを抑えることがより容易になる。
上述したように、第1の半導体層の電子移動度が第2の半導体層の電子移動度よりも大きくなるように設定するためには、第1の半導体層のキャリア密度が第2の半導体層のキャリア密度よりも大きくなるように設定すればよい。また、キャリア密度を調整する手段に限らず、第1の半導体層が低温多結晶シリコン(Low-temperature Poly Silicon:LTPS)から構成されたものとし、第2の半導体層がアモルファスシリコンから構成されたものとする手段も採用できる。LTPSの電子移動度は100〜200cm2/Vs以上であり、アモルファスシリコンの0.5cm2/Vs程度よりも非常に高いからである。
本発明の発光装置は、図3、図4(a),(b)に示すように、非平面の第1主面61aおよび第1主面61aに対向する第2主面61bを有する基材61と、基材61の第1主面61aの側に設置され、発光素子を搭載している発光素子基板LT3と、を有しており、発光素子基板LT3と基材61との間に部分的に存在する隙間部70がある構成である。この構成により、発光素子基板LT3と基材61との間に部分的に存在する隙間部70があるので、発光素子基板LT3の空間に露出する表面積が増大し、発光素子基板LT3の空間への放熱性が向上する。
図4(a),(b)に示すように、発光素子基板LT3は、その基材61側の主面の一部が接着材等の固定部材71を介して基材61の第1主面61aに固定されている。その結果、発光素子基板LT3と基材61との間に部分的に存在する隙間部70がある構成となる。図4(a)は、発光素子基板LT3の基材61側の主面の中央部が固定部材71によって基材61に固定されている構成であり、図4(b)は、発光素子基板LT3の基材61側の主面の縁部が固定部材71によって基材61に固定されている構成である。図4(b)の構成において、固定部材71は、発光素子基板LT3の基材61側の主面の縁部の全周にわたって配置されていてもよいが、発光素子基板LT3の基材61側の主面の縁部に互いに間隔をあけて複数配置されていることが良い。この場合、発光素子基板LT3の基材61側の主面に外気が入り込んで流通することから、発光素子基板LT3が効率的に空間に放熱される。このような構成の発光素子基板LTは、基材61上に一つあってもよいが、図3に示すように複数の発光素子基板LT1〜LT12が上記の構成とされていてもよい。また、固定部材71は、熱伝導性に優れた銀粒子等の金属微粒子を含む樹脂材料等から成るものであってもよい。この場合、発光素子基板LT3で発生した熱を基材61に効率的に放熱できる。また、発光素子基板LT3の放熱性をより向上させるために、発光素子基板LT3に冷却用エアを送風する送風ファン等の送風機が備わっていてもよい。
図3の構成の発光装置において、複数の発光素子基板LT1〜LT12が基材61の第1主面61aの側に設置されており、それぞれの発光素子基板LTは、複数の発光素子を搭載しているとともに発光素子の点灯を制御するTFTを備えていることが好ましい。この場合、それぞれの発光素子基板LTに搭載された発光素子の輝度を制御することによって、発光装置に輝度分布を付与することができるとともに、熱的ストレスを低減するように発光素子の輝度を制御することもできる。
本発明の発光装置は表示装置等に適用できる。本発明の発光装置が適用された表示装置は、一つの画素部15に、異なる発光波長(発光色)の発光素子14が複数配置されており、それぞれに接続される発光制御部22がある構成であってもよい。例えば、一つの画素部15に、赤色LED(RLED)等から成る赤色発光素子と緑色LED(GLED)等から成る緑色発光素子と青色LED(BLED)等から成る青色発光素子と、が配置されており、それぞれに接続される発光制御部(Rドライバ、Gドライバ、Bドライバ)がある構成であってもよい。この場合、例えば、画素部15の中心部にRLED、GLED、BLEDが集約的に正三角形の各頂点に位置するように配置されており、RドライバとGドライバとBドライバが、RLEDとGLEDとBLEDよりも基板1の内側に配置される構成とし得る。また、画素部15の中心部にRLED、GLED、BLEDが、走査信号線2または発光制御信号線3に平行な一直線上、すなわち行方向または列方向に平行な一直線上、に配列された構成とすることもできる。
また、隣接する3つの画素部15のそれぞれに、互いに異なる発光波長(発光色)の発光素子14が配置されており、それぞれに接続される発光制御部22がある構成であってもよい。例えば、第1の画素部15に赤色LED(RLED)等から成る赤色発光素子が配置され、第2の画素部15に緑色LED(GLED)等から成る緑色発光素子が配置され、第3の画素部15に青色LED(BLED)等から成る青色発光素子が配置されており、それぞれに接続される発光制御部(Rドライバ、Gドライバ、Bドライバ)が各画素部15にある構成であってもよい。第1の画素部15と第2の画素部15と第3の画素部15は、行方向に並んでいてもよく、列方向に並んでいてもよい。
本発明の乗物用前照灯は、上記本発明の構成の発光装置を有する構成である。この構成により、高い信頼性と長寿命のものとなる。例えば、本発明の乗物用前照灯(ヘッドライト)HLは、図1に示すようにリフレクタ60を備えている。リフレクタ60は、アルミニウム,ステンレススチール等の金属、合金から成るか、あるいはプラスチック等の絶縁基体の表面に白銀色の色合いを呈する銀,アルミニウム等から成る光反射層が形成されて成る。そして、これらのリフレクタ60、基材61及び発光素子基板LT1〜LT12は、集光機能すなわちフレネルレンズ等のレンズ機能を有する、ガラス,プラスチック等から成る透明被覆体によって覆われるとともに密閉され、その密閉空間内に収容される。
本発明の乗物は、上記本発明の構成の乗物用前照灯を有する構成である。この構成により、高い信頼性と長寿命の乗物用前照灯を有するので、高い信頼性と長寿命の乗物となる。乗物としては、自動車、自転車、自動二輪車(バイク)、バス、トラック、電車等の列車、船舶、飛行機等がある。
なお、本発明の発光装置、乗物用前照灯及び乗物は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜の変更、改良が施されていてもよい。