本発明の態様に係る基板処理装置、デバイス製造システム、デバイス製造方法、および、パターン形成装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。なお、本発明の態様は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、多様な変更または改良を加えたものも含まれる。つまり、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれ、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態の基板処理装置は、基板に露光処理を施す露光装置であり、露光装置は、露光後の基板に各種処理を施して電子デバイスを製造するデバイス製造システムに組み込まれている。まず、デバイス製造システムについて説明する。
<デバイス製造システム>
図1は、第1の実施の形態のデバイス製造システム1の構成を示す図である。図1に示すデバイス製造システム1は、電子デバイス(デバイスと呼ぶ場合もある)としてのフレキシブル・ディスプレイを製造するライン(フレキシブル・ディスプレイ製造ライン)である。フレキシブル・ディスプレイとしては、例えば有機ELディスプレイ等がある。このデバイス製造システム1は、可撓性の基板(シート基板)Pをロール状に巻回した供給用ロールFR1から、該基板Pが送り出され、送り出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、処理後の基板Pを回収用ロールFR2で巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式となっている。第1の実施の形態のデバイス製造システム1では、フィルム状のシートである基板Pが供給用ロールFR1から送り出され、供給用ロールFR1から送り出された基板Pが、順次、n台の処理装置U1、U2、U3、U4、U5、…Unを経て、回収用ロールFR2に巻き取られるまでの例を示している。まず、デバイス製造システム1の処理対象となる基板Pについて説明する。
基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂のうち1または2以上を含んだものを用いてもよい。また、基板Pの厚みや剛性(ヤング率)は、搬送される際に、基板Pに座屈による折れ目や非可逆的なシワが生じないような範囲であればよい。電子デバイスとして、フレキシブルなディスプレイパネル、タッチパネル、カラーフィルター、電磁波防止フィルタ等を作る場合、厚みが25μm〜200μm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂シートが使われる。
基板Pは、例えば、基板Pに施される各種処理において受ける熱による変形量が実質的に無視できるように、熱膨張係数が顕著に大きくないものを選定することが望ましい。また、ベースとなる樹脂フィルムに、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素略の無機フィラーを混合すると、熱膨張係数を小さくすることもできる。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、またはアルミや銅等の金属層(箔)等を貼り合わせた積層体であってもよい。
ところで、基板Pの可撓性とは、基板Pに自重程度の力を加えてもせん断したり破断したりすることはなく、その基板Pを撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、基板Pの材質、大きさ、厚さ、基板P上に成膜される層構造、温度、湿度とともにの環境等に応じて、可撓性の程度は変わる。いずれにしろ、本実施の形態によるデバイス製造システム1内の搬送路に設けられる各種の搬送用ローラ、回転ドラム等の搬送方向転換用の部材に基板Pを正しく巻き付けた場合に、座屈して折り目がついたり、破損(破れや割れが発生)したりせずに、基板Pを滑らかに搬送できれば、可撓性の範囲と言える。
このように構成された基板Pは、ロール状に巻回されることで供給用ロールFR1となり、この供給用ロールFR1が、デバイス製造システム1に装着される。供給用ロールFR1が装着されたデバイス製造システム1は、電子デバイスを製造するための各種の処理を、供給用ロールFR1から送り出される基板Pに対して繰り返し実行する。このため、処理後の基板Pは、複数の電子デバイスが連なった状態となる。つまり、供給用ロールFR1から送り出される基板Pは、多面取り用の基板となっている。なお、基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは、表面に精密パターニングのための微細な隔壁構造(凹凸構造)を形成したものでもよい。
処理後の基板Pは、ロール状に巻回されることで回収用ロールFR2として回収される。回収用ロールFR2は、図示しないダイシング装置に装着される。回収用ロールFR2が装着されたダイシング装置は、処理後の基板Pを、電子デバイスごとに分割(ダイシング)することで、複数個の電子デバイスにする。基板Pの寸法は、例えば、幅方向(短尺となる方向)の寸法が10cm〜2m程度であり、長さ方向(長尺となる方向)の寸法が10m以上である。なお、基板Pの寸法は、上記した寸法に限定されない。
図1を参照し、引き続きデバイス製造システム1について説明する。図1では、X方向、Y方向およびZ方向が直交する直交座標系となっている。X方向は、水平面内において、基板Pの搬送方向であり、供給用ロールFR1および回収用ロールFR2を結ぶ方向である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、基板Pの幅方向である。Y方向は、供給用ロールFR1および回収用ロールFR2の軸方向となっている。Z方向は、X方向とY方向とに直交する方向(鉛直方向)である。
デバイス製造システム1は、基板Pを供給する基板供給装置2と、基板供給装置2によって供給された基板Pに対して各種処理を施す処理装置U1〜Unと、処理装置U1〜Unによって処理が施された基板Pを回収する基板回収装置4と、デバイス製造システム1の各装置を制御する上位制御装置5とを備える。
基板供給装置2には、供給用ロールFR1が回転可能に装着される。基板供給装置2は、装着された供給用ロールFR1から基板Pを送り出す駆動ローラR1と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC1とを有する。駆動ローラR1は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを供給用ロールFR1から回収用ロールFR2へ向かう搬送方向(+X方向)に送り出すことで、基板Pを処理装置U1〜Unに供給する。このとき、エッジポジションコントローラEPC1は、基板Pの幅方向の端部のエッジにおける位置が、目標位置に対して±十数μm〜数十μm程度の範囲に収まるように、基板Pを幅方向に移動させて、基板Pの幅方向における位置を修正する。
基板回収装置4には、回収用ロールFR2が回転可能に装着される。基板回収装置4は、処理後の基板Pを回収用ロールFR2側に引き寄せる駆動ローラR2と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC2とを有する。基板回収装置4は、駆動ローラR2により基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向に引き寄せるとともに、回収用ロールFR2を回転させることで、基板Pを巻き上げる。このとき、エッジポジションコントローラEPC2は、エッジポジションコントローラEPC1と同様に構成され、基板Pの幅方向の端部のエッジが幅方向においてばらつかないように、基板Pの幅方向における位置を修正する。
処理装置U1は、基板供給装置2から供給された基板Pの表面に感光性機能液を塗布する塗布装置である。感光性機能液としては、例えば、フォトレジスト、感光性シランカップリング剤、UV硬化樹脂液、感光性メッキ還元溶液等が用いられる。処理装置U1は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、塗布機構Gp1と乾燥機構Gp2とが設けられている。塗布機構Gp1は、基板Pが巻き付けられる圧胴ローラDR1と、圧胴ローラDR1に対向する塗布ローラDR2とを有する。塗布機構Gp1は、供給された基板Pを圧胴ローラDR1に巻き付けた状態で、圧胴ローラDR1および塗布ローラDR2により基板Pを挟持する。そして、塗布機構Gp1は、圧胴ローラDR1および塗布ローラDR2を回転させることで、基板Pを搬送方向に移動させながら、塗布ローラDR2により感光性機能液を塗布する。乾燥機構Gp2は、熱風またはドライエアー等の乾燥用エアーを吹き付け、感光性機能液に含まれる溶質(溶剤または水)を除去し、感光性機能液が塗布された基板Pを乾燥させることで、基板P上に感光性機能層を形成する。
処理装置U2は、基板Pの表面に形成された感光性機能層を安定にすべく、処理装置U1から搬送された基板Pを所定温度(例えば、数10℃〜120℃程度)まで加熱する加熱装置である。処理装置U2は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、加熱チャンバHA1と冷却チャンバHA2とが設けられている。加熱チャンバHA1は、その内部に複数のローラおよび複数のエア・ターンバーが設けられており、複数のローラおよび複数のエア・ターンバーは、基板Pの搬送経路を構成している。複数のローラは、基板Pの裏面に転接して設けられ、複数のエア・ターンバーは、基板Pの表面側に非接触状態で設けられる。複数のローラおよび複数のエア・ターンバーは、基板Pの搬送経路を長くすべく、蛇行状の搬送経路となる配置になっている。加熱チャンバHA1内を通る基板Pは、蛇行状の搬送経路に沿って搬送されながら所定温度まで加熱される。冷却チャンバHA2は、加熱チャンバHA1で加熱された基板Pの温度が、後工程(処理装置U3)の環境温度と揃うようにすべく、基板Pを環境温度まで冷却する。冷却チャンバHA2は、その内部に複数のローラが設けられ、複数のローラは、加熱チャンバHA1と同様に、基板Pの搬送経路を長くすべく、蛇行状の搬送経路となる配置になっている。冷却チャンバHA2内を通る基板Pは、蛇行状の搬送経路に沿って搬送されながら冷却される。冷却チャンバHA2の搬送方向における下流側には、駆動ローラR3が設けられ、駆動ローラR3は、冷却チャンバHA2を通過した基板Pを挟持しながら回転することで、基板Pを処理装置U3へ向けて供給する。
処理装置(基板処理装置)U3は、処理装置U2から供給された、表面に感光性機能層が形成された基板Pに対して、ディスプレイパネル用の回路または配線等のパターンを投影露光する露光装置である。詳細は後述するが、処理装置U3は、透過型のマスクMに照明光束を照明し、照明光束がマスクMにより照明されることで得られる投影光束を、回転ドラム(支持ドラム)25の外周面の一部に巻き付けられる基板Pに投影露光する。処理装置U3は、処理装置U2から供給された基板Pを搬送方向の下流側に送る駆動ローラR4と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC3とを有する。駆動ローラR4は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向の下流側に送り出すことで、基板Pを露光位置へ向けて供給する。エッジポジションコントローラEPC3は、エッジポジションコントローラEPC1と同様に構成され、露光位置における基板Pの幅方向が目標位置となるように、基板Pの幅方向における位置を修正する。また、処理装置U3は、露光後の基板PにたるみDLを与えた状態で、基板Pを搬送方向の下流側へ送る2組の駆動ローラR5、R6を有する。2組の駆動ローラR5、R6は、基板Pの搬送方向に所定の間隔を空けて配置されている。駆動ローラR5は、搬送される基板Pの上流側を挟持して回転し、駆動ローラR6は、搬送される基板Pの下流側を挟持して回転することで、基板Pを処理装置U4へ向けて供給する。このとき、基板Pは、たるみDLが与えられているため、駆動ローラR6よりも搬送方向の下流側において生ずる搬送速度の変動を吸収でき、搬送速度の変動による基板Pへの露光処理の影響を縁切りすることができる。また、処理装置U3内には、マスクMのマスクパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)するために、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AM1、AM2が設けられている。
処理装置U4は、処理装置U3から搬送された露光後の基板Pに対して、湿式による現像処理、無電解メッキ処理等を行う湿式処理装置である。処理装置U4は、その内部に、鉛直方向(Z方向)に階層化された3つの処理槽BT1、BT2、BT3と、基板Pを搬送する複数のローラとを有する。複数のローラは、基板Pが3つの処理槽BT1、BT2、BT3の内部を通過するように配置される。処理槽BT3の搬送方向における下流側には、駆動ローラR7が設けられ、駆動ローラR7は、処理槽BT3を通過した基板Pを挟持しながら回転することで、基板Pを処理装置U5へ向けて供給する。
図示は省略するが、処理装置U5は、処理装置U4から搬送された基板Pを乾燥させる乾燥装置である。処理装置U5は、処理装置U4において湿式処理された基板Pに付着する水分含有量を、所定の水分含有量に調整する。処理装置U5により乾燥された基板Pは、幾つかの処理装置を経て、処理装置Unに搬送される。そして、処理装置Unで処理された後、基板Pは、基板回収装置4の回収用ロールFR2に巻き上げられる。
上位制御装置5は、基板供給装置2、基板回収装置4および複数の処理装置U1〜Unを統括制御する。上位制御装置5は、基板供給装置2および基板回収装置4を制御して、基板Pを基板供給装置2から基板回収装置4へ向けて搬送させる。また、上位制御装置5は、基板Pの搬送に同期させながら、複数の処理装置U1〜Unを制御して、基板Pに対する各種処理を実行させる。この上位制御装置5は、コンピュータと、プログラムが記憶された記憶媒体とを含み、該コンピュータが記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することで、本第1の実施の形態の上位制御装置5として機能する。
なお、第1の実施の形態のデバイス製造システム1では、供給用ロールFR1から送り出された基板Pが、順次、n台の処理装置U1〜Unを経て、回収用ロールFR2に巻き取られるまでの例を示したが、この構成に限らない。例えば、デバイス製造システム1は、供給用ロールFR1から送り出された基板Pが、1台の処理装置を経て、回収用ロールFR2に巻き取られる構成であってもよい。このとき、基板Pに対して異なる処理を行う場合は、基板供給装置2および基板回収装置4を用いて、異なる処理装置に再び基板Pを供給することになる。
<簡略化したデバイス製造システム>
続いて、本発明の特徴部分を容易に把握するために、図1のデバイス製造システム1を簡略化したデバイス製造システム1について、図2を参照しながら説明する。図2は、第1の実施の形態のデバイス製造システム1を簡略化したときの構成を示す図である。図2に示すように、簡略化したデバイス製造システム1は、基板供給装置2と、露光装置としての処理装置U3(以下、露光装置という)と、基板回収装置4と、上位制御装置5とを有する。なお、図2では、X方向、Y方向、および、Z方向が直交する直交座標系となっており、図1と同様の直交座標系となっている。また、簡略化したデバイス製造システム1において、基板供給装置2は、エッジポジションコントローラEPC1を省いた構成となっている。これは、露光装置U3において、エッジポジションコントローラEPC3が設けられているからである。まず、図2を参照し、基板供給装置2について説明する。
<基板供給装置>
基板供給装置2は、供給用ロールFR1が装着される第1軸受部111と、第1軸受部111を昇降させる第1昇降機構112とを有する。また、基板供給装置2は、進入角度検出部114を有しており、進入角度検出部114は、上位制御装置5に接続されている。ここで、第1の実施の形態において、上位制御装置5は、基板供給装置2の制御装置(制御部)として機能する。なお、基板供給装置2の制御装置として、基板供給装置2を制御する下位制御装置を設け、下位制御装置が基板供給装置2を制御する構成にしてもよい。
第1軸受部111は、供給用ロールFR1を回転可能に軸支している。第1軸受部111に軸支された供給用ロールFR1は、基板Pが露光装置U3へ向けて供給される(送り出される)と、基板Pが送り出された分、供給用ロールFR1の巻径が小さくなっていく。このため、供給用ロールFR1から基板Pを送り出す位置は、基板Pが送り出された送出量に応じて変化することになる。
第1昇降機構112は、設置面Eと第1軸受部111との間に設けられている。第1昇降機構112は、第1軸受部111を供給用ロールFR1ごとZ方向(鉛直方向)に移動させる。第1昇降機構112は、上位制御装置5に接続されており、上位制御装置5は、第1昇降機構112により第1軸受部111をZ方向に移動させることで、供給用ロールFR1から基板Pを送り出す位置を所定の位置にすることができる。
進入角度検出部114は、後述する露光装置U3の搬送ローラ127に進入する基板Pの進入角度θ1を検出する。進入角度検出部114は、搬送ローラ127周りに設けられている。ここで、進入角度θ1は、XZ面内において、搬送ローラ127の中心軸を通る鉛直方向に延びる直線(Z軸と平行)と、搬送ローラ127の上流側の基板Pとがなす角度である。進入角度検出部114は、接続された上位制御装置5に検出結果を出力する。
上位制御装置5は、進入角度検出部114の検出結果に基づいて第1昇降機構112を制御する。具体的に、上位制御装置5は、進入角度θ1が予め規定された目標進入角度となるように、第1昇降機構112を制御する。つまり、供給用ロールFR1からの基板Pの送出量が多くなると、供給用ロールFR1の巻径が小さくなることで、目標進入角度に対する進入角度θ1は大きくなる。このため、上位制御装置5は、第1昇降機構112をZ方向の下方側に移動させる(降下させる)ことで、進入角度θ1を小さくし、進入角度θ1を目標進入角度となるように補正する。このように、上位制御装置5は、進入角度検出部114の検出結果に基づいて、進入角度θ1が目標進入角度となるように、第1昇降機構112をフィードバック制御する。このため、基板供給装置2は、搬送ローラ127に対し、常に目標進入角度で基板Pを供給できることから、進入角度θ1の変化によって基板Pに与えられる影響を低減できる。なお、フィードバック制御としては、P制御、PI制御、PID制御等、いずれの制御であってもよい。
<露光装置(基板処理装置)>
次に、図2に示す露光装置U3について、図3も参照して説明する。露光装置U3は、位置調整ユニット120と、露光ユニット121と、駆動ユニット122(図3参照)と、押圧機構130と、除振台(防振装置)131とを含んでいる。除振台131は、設置面E上に設けられており、設置面Eからの振動(所謂、床振動)が露光ユニット121本体に伝わるのを低減する。位置調整ユニット120は、設置面E上に設けられており、図1に示す上記のエッジポジションコントローラEPC3を含んで構成されている。位置調整ユニット120は、X方向において基板供給装置2に隣接して設けられている。露光ユニット121は、除振台131上に設けられており、X方向において位置調整ユニット120を挟んで基板供給装置2の反対側に設けられている。駆動ユニット122(図3参照)は、設置面E上に設けられており、Y方向において露光ユニット121に隣接して設けられている。つまり、位置調整ユニット120、露光ユニット121および駆動ユニット122は、設置面Eにおいて異なる位置に設けられている。また、露光ユニット121と、位置調整ユニット120および駆動ユニット122(図3参照)とは、機械的に非結合状態(非接触な独立状態)となっている。
以上から、位置調整ユニット120および駆動ユニット122は、設置面E上に設けられる一方で、露光ユニット121は、除振台131を介して設置面E上に設けられる。このため、露光ユニット121は、位置調整ユニット120および駆動ユニット122とは異なる振動モードとなる。換言すれば、露光ユニット121は、位置調整ユニット120および駆動ユニット122から、振動伝搬上で縁切りされた状態(振動が相互に伝搬し難い状態、すなわち振動が有効に絶縁される状態)で設けられる。
また、露光装置U3は、基板Pの位置を検出する第1基板検出部123および第2基板検出部124を有している。第1基板検出部123および第2基板検出部124は、上位制御装置5に接続されている。なお、露光装置U3においても、基板供給装置2と同様に、上位制御装置5は、露光装置U3の制御装置(制御部)として機能する。なお、露光装置U3の制御装置として、露光装置U3を制御する下位制御装置を設け、下位制御装置が露光装置U3を制御する構成にしてもよい。
<位置調整ユニット>
図2に示すように、位置調整ユニット120は、基台125と、上記のエッジポジションコントローラEPC3(幅移動機構)と、固定ローラ126とを有する。基台125は、設置面E上に設けられ、エッジポジションコントローラEPC3および固定ローラ126を支持する。基台125は、除振機能を有する除振台としてもよい。この基台125には、基台125の位置をY方向またはZ軸回りの回転方向に調整する基台位置調整機構128が設けられている。基台位置調整機構128は、上位制御装置5に接続され、上位制御装置5は、基台位置調整機構128を制御することで、基台125上に設置されたエッジポジションコントローラEPC3および固定ローラ126の位置をともに調整できる。つまり、基台位置調整機構128は、露光ユニット121に対して固定ローラ126の位置をY方向に調整するローラ位置調整機構として機能する。
エッジポジションコントローラEPC3は、基台125上を基板Pの幅方向(Y方向)に移動可能となっている。エッジポジションコントローラEPC3は、基板Pが搬送される搬送方向の最上流側に設けられた搬送ローラ127を含む複数のローラを有している。搬送ローラ127は、基板供給装置2から供給された基板Pを、位置調整ユニット120の内部に案内する。エッジポジションコントローラEPC3は、上位制御装置5に接続され、第1基板検出部123の検出結果に基づいて上位制御装置5に制御される。
固定ローラ126は、エッジポジションコントローラEPC3で幅方向に位置調整された基板Pを露光ユニット121へ向けて案内する。固定ローラ126は、回転可能となっており、基台125に対する位置が固定されている。このため、エッジポジションコントローラEPC3によって基板Pを幅方向に移動させることで、固定ローラ126に進入する基板Pの幅方向における位置を調整できる。
第1基板検出部123は、エッジポジションコントローラEPC3から固定ローラ126に搬送される基板Pの幅方向における位置を検出する。第1基板検出部123は、基台125上に固定されている。このため、第1基板検出部123は、エッジポジションコントローラEPC3および固定ローラ126と同じ振動モードとなる。第1基板検出部123は、固定ローラ126に転接する基板Pの端部のエッジの位置を検出する。第1基板検出部123は、接続された上位制御装置5に検出結果を出力する。
第2基板検出部124は、位置調整ユニット120から露光ユニット121に供給される基板Pの位置を検出する。第2基板検出部124は、露光ユニット121が設置される除振台131上に固定されている。このため、第2基板検出部124は、露光ユニット121と同じ振動モードとなる。第2基板検出部124は、露光ユニット121の基板Pが導入される導入側に設けられている。具体的に、第2基板検出部124は、露光ユニット121に設けられた搬送方向の最上流側のガイドローラ28の上流側における位置に、ガイドローラ28に隣接して設けられている。第2基板検出部124は、露光ユニット121に供給される基板Pの幅方向(Y方向)および鉛直方向(Z方向)における位置を検出する。第2基板検出部124は、接続された上位制御装置5に検出結果を出力する。
上位制御装置5は、第1基板検出部123の検出結果に基づいてエッジポジションコントローラEPC3を制御する。具体的に、上位制御装置5は、第1基板検出部123により検出された固定ローラ126に転接(進入)する基板Pの両端部のエッジ(Y方向の両エッジ)の位置から求まるY方向の中心位置と、予め規定された第1目標位置(目標中心位置)との差分を算出する。そして、上位制御装置5は、該差分がゼロとなるようにエッジポジションコントローラEPC3をフィードバック制御して、基板Pを幅方向に移動させ、固定ローラ126に対する基板Pの幅方向における中心位置を第1目標中心位置に補正する。このため、エッジポジションコントローラEPC3は、固定ローラ126に対する基板Pの幅方向における位置を第1目標位置に維持できることから、固定ローラ126に対する基板Pの幅方向における位置ズレを低減できる。なお、この場合も、フィードバック制御としては、P制御、PI制御、PID制御等、いずれの制御であってもよい。
また、上位制御装置5は、第2基板検出部124の検出結果に基づいて基台位置調整機構128を制御する。具体的に、上位制御装置5は、第2基板検出部124により検出された基板Pの幅方向の両端の位置から求まる中心位置と、予め規定された第2目標中心位置との差分を算出する。そして、上位制御装置5は、該差分がゼロとなるように基台位置調整機構128をフィードバック制御して、基台位置調整機構128により基台125の位置を調整することで、ガイドローラ28に対する固定ローラ126のY方向の位置を調整する。このとき、上位制御装置5は、基板Pに捩れおよび幅方向の位置ズレが生じないように、固定ローラ126の位置を調整する。例えば、上位制御装置5は、ガイドローラ28の軸方向に対して固定ローラ126の軸方向が平行となるように位置を調整する。そして、上位制御装置5は、基台位置調整機構128により固定ローラ126の位置をY方向またはZ軸回りの回転方向に調整することで、露光ユニット121に供給される基板Pの幅方向の中心位置を第2目標中心位置に維持できることから、基板Pの捩れおよび幅方向の位置ズレを低減できる。なお、この場合も、フィードバック制御としては、P制御、PI制御、PID制御等、いずれの制御であってもよい。
このように、位置調整ユニット120は、固定ローラ126に供給される基板Pの幅方向における位置を第1目標位置に補正でき、露光ユニット121のガイドローラ28に供給される基板Pの位置を第2目標位置に補正することができる。
なお、第1の実施の形態では、位置調整ユニット120から露光ユニット121に供給される基板Pの位置を補正したが、この構成に限らず、例えば、基板供給装置2から位置調整ユニット120に供給される基板Pの位置を補正してもよい。この場合、搬送ローラ127の搬送方向における上流側に基板検出部を設けるとともに、供給用ロールFR1の位置を調整するロール位置調整機構を設ける。そして、上位制御装置5が、基板検出部の検出結果に基づいてロール位置調整機構を制御することで、供給用ロールFR1を調整してもよい。同様に、露光ユニット121から基板回収装置4に供給される基板Pの位置を補正してもよい。
<露光ユニット>
次に、第1の実施の形態の露光装置U3の露光ユニット121の構成について、図2から図7を参照して説明する。図3は、第1の実施の形態の露光装置(基板処理装置)U3の一部の構成を示す図であり、図4は、図3中の基板支持機構12の駆動部の構成を示す図である。図5は、第1の実施の形態の露光ユニット121の全体構成を示す図である。図6は、図5に示す露光ユニット121の照明領域IRおよび投影領域PAの配置を示す図である。図7は、図5に示す露光ユニット121の投影光学系PLの構成を示す図である。
図2から図5に示す露光ユニット121は、いわゆる走査露光装置であり、基板支持機構(基板搬送機構)12を構成する複数のガイドローラ28と回転可能な円筒状の回転ドラム25とによって、基板Pを搬送方向(走査方向)に搬送しながら、平面状のマスクMに形成されたマスクパターンの像を、基板Pの表面に投影露光する。なお、図3および図4は、露光ユニット121を−X側から見た図であり、図5および図7は、X方向、Y方向およびZ方向が直交する直交座標系となっており、図1と同様の直交座標系となっている。
まず、露光ユニット121に用いられるマスクMについて説明する。マスクMは、例えば平坦性のよいガラス板の一方の面(マスク面P1)にクロムとともにの遮光層でマスクパターンを形成した透過型の平面マスクとして作成され、後述するマスクステージ21上に保持された状態で使用される。マスクMは、マスクパターンが形成されていないパターン非形成領域を有し、パターン非形成領域においてマスクステージ21上に取付けられている。マスクMは、マスクステージ21に対してリリース可能である。
なお、マスクMは、1個の表示デバイスに対応するパネル用パターンの全体または一部が形成されていてもよいし、複数個の表示デバイスに対応するパネル用パターンが形成された多面取りであってもよい。また、マスクMには、パネル用パターンがマスクMの走査方向(X方向)に繰り返し複数個形成されていてもよいし、小型のパネル用パターンが走査方向に直交する方向(Y方向)に繰り返し複数形成されていてもよい。さらに、マスクMは、第1の表示デバイスのパネル用パターンと、第1の表示デバイスとサイズ等が異なる第2の表示デバイスのパネル用パターンとが形成されていてもよい。
図3、図5に示すように、除振台131上に設置された露光ユニット121は、上記したアライメント顕微鏡AM1、AM2の他に、装置フレーム132と、マスクステージ21を支持するマスク保持機構11と、基板支持機構12と、投影光学系PLと、下位制御装置16とを有する。この露光ユニット121は、照明機構13からの照明光束EL1の照射を受けて、マスク保持機構11に保持されたマスクMのマスクパターンから発生する透過光(結像光束)を、基板支持機構12の回転ドラム25に支持された基板Pに投射し、マスクパターンの一部分の投影像を基板Pの表面に結像する。
下位制御装置16は、露光装置U3の各部を制御し、各部に処理を実行させる。下位制御装置16は、デバイス製造システム1の上位制御装置5の一部または全部であってもよい。また、下位制御装置16は、上位制御装置5に制御され、上位制御装置5とは別の装置であってもよい。下位制御装置16は、例えば、コンピュータを含む。
除振台131は、設置面E上に設けられ、装置フレーム132を支持する。具体的に、図3に示すように、除振台131は、Y方向において外側に設けられた第1除振台131aと、第1除振台131aの内側に設けられた第2除振台131bとを含んでいる。
装置フレーム132は、第1除振台131aおよび第2除振台131b上に設けられ、マスク保持機構11、基板支持機構12、照明機構13および投影光学系PLを支持する。装置フレーム132は、マスク保持機構11、照明機構13および投影光学系PLを支持する第1フレーム132aと、基板支持機構12を支持する第2フレーム132bとを有している。第1フレーム132aおよび第2フレーム132bは、それぞれ独立して設けられ、第1フレーム132aが第2フレーム132bを覆うように配置されている。第1フレーム132aは、第1除振台131a上に設けられ、第2フレーム132bは、第2除振台131b上に設けられる。
第1フレーム132aは、第1除振台131a上に設けられた第1下方フレーム135と、第1下方フレーム135のZ方向の上方に設けられた第1上方フレーム136と、第1上方フレーム136に立設するアーム部137とで構成されている。第1下方フレーム135は、第1除振台131a上に立設する脚部135aと、脚部135aに支持される上面部135bとを有し、上面部135bに保持部材143を介して投影光学系PLが支持される。保持部材143はXY面内でみると、上面部135b上の3ヶ所に配置される金属ボール等による座金部材145で、キネマチックに支持される。脚部135aは、その所定の部位に、後述する回転ドラム25の回転軸AX2がY方向に挿通されるように配置される。
第1上方フレーム136も、第1下方フレーム135と同様に、上面部135b上に立設する脚部136aと、脚部136aに支持される上面部136bとを有し、上面部136bにマスク保持機構11(マスクステージ21)が支持される。アーム部137は、上面部136b上に立設し、マスク保持機構11の上方に照明機構13が位置するように、照明機構13を支持する。
第2フレーム132bは、第2除振台131b上に設けられた下面部139と、下面部139上にY方向に離れて立設する一対の軸受部140とで構成されている。一対の軸受部140には、回転ドラム25の回転中心となる回転軸AX2を軸支するエアベアリング141が設けられる。
マスク保持機構11は、マスクMを保持するマスクステージ(マスク保持部材)21と、マスクステージ21を移動させるための図示しない移動機構(リニアガイド、エアベアリング等)と、移動機構に動力を伝達するための伝達部材23とを有している。マスクステージ21は、マスクMのパターン形成領域を囲むような枠状に構成され、駆動ユニット122に設けられたマスク側駆動部(モータ等の駆動源)22により第1上方フレーム136の上面部136bにおいて、走査方向となるX方向に移動する。伝達部材23から伝達される駆動力は、移動機構によりマスクステージ21の直線駆動に供される。
本実施の形態では、マスクステージ21が走査露光のためにX方向に直線運動することから、マスク側駆動部(駆動源)22は、支柱フレーム146にX方向に延設するように固定されるリニアモータの磁石トラック(固定子)を含み、伝達部材23は、その磁石トラックと一定のギャップで対向するリニアモータのコイルユニット(可動子)を含む。なお、図3において、投影光学系PLを装置フレーム132側に支持する保持部材143には、回転ドラム25の外周面(または基板Pの表面)のうち、投影光学系PLによる露光位置に対応した表面の高さの変化を計測する変位センサーSG1と、マスクステージ21の下側からマスクMのZ方向の位置変化を計測する変位センサーSG2とが設けられている。
一方、図2、図3に示すように、基板Pを略半周に渡って巻き付けて支持する回転ドラム25は、図3に示す駆動ユニット122に設けられた基板側駆動部(回転モータ等の駆動源)26により回転する。図5にも示すように、回転ドラム25は、Y方向に延びる回転軸AX2を中心とする曲率半径Rfaとなる外周面(円周面)を有する円筒形状に形成されている。ここで、回転軸AX2の中心線を含み、YZ面と平行な面を中心面CLとする(図5参照)。回転ドラム25の円周面の一部は、所定のテンションで基板Pを支持する支持面P2となっている。つまり、回転ドラム25は、その支持面P2に基板Pを一定のテンションで巻き付けることで、基板Pを安定した円筒曲面状に支持する。
回転軸AX2を両側の軸受部140で軸支する各エアベアリング141は、回転軸AX2を非接触の状態で回転自在に軸支する。なお、本実施の形態では、回転ドラム25の両端で回転軸AX2をエアベアリング141で支持するが、高精度に加工されたボールやニードルを使った通常のベアリングであってもよい。図2および図5に示すように、複数のガイドローラ28は、回転ドラム25を挟んで、基板Pの搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ設けられている。例えばガイドローラ28は4つ設けられ、搬送方向の上流側に2つ、搬送方向の下流側に2つそれぞれ配置されている。
したがって、基板支持機構12は、位置調整ユニット120から搬送された基板Pを、2つのガイドローラ28により回転ドラム25に案内する。基板支持機構12は、基板側駆動部26により回転軸AX2を介して回転ドラム25を回転させることで、回転ドラム25に導入した基板Pを、回転ドラム25の支持面P2で支持しながら、ガイドローラ28へ向けて搬送する。基板支持機構12は、ガイドローラ28に搬送された基板Pを、基板回収装置4へ向けて案内する。
ここで、基板側駆動部26の構成の一例を、図4を参照して説明する。図4において、基板Pが巻き付けられる回転ドラム25の少なくとも一端側には、回転ドラム25の外周表面25aの半径Rfaと略同一径の円板状のスケール板25cが回転軸AX2と同軸に固設されている。このスケール板25cの外周面には周方向に一定ピッチで回折格子が形成され、その回折格子をエンコーダ計測用の読取りヘッドEHが光学的に検出することによって、回転ドラム25の回転角度、或いは回転ドラム25の表面25aの周方向の移動量が計測される。読取りヘッドEHによって計測される回転ドラム25の回転角度情報等は、回転ドラム25を回転させるモータのサーボ制御のフィードバック信号としても使われる。なお、図4において、変位センサーSG1は、基板Pの表面の高さ位置の変位(径方向変位)を計測するように配置したが、基板Pで覆われない回転ドラム25の端部側の領域25bの表面の高さ位置の変位(径方向変位)を計測するように配置してもよい。
エアベアリング141で軸支される回転軸AX2の端部側には、回転軸AX2回りのトルクを発生する回転モータの磁石ユニットMUrが環状に配列された回転子RTと、回転軸AX2に軸方向の推力を与えるボイスコイルモータ用の磁石ユニットMUsとが設けられる。図3中の支柱フレーム146に固定される固定子側には、回転子RTの周囲の磁石ユニットMUrと対向するように配置されたコイルユニットCUrと、磁石ユニットMUsを取り巻くように巻かれたコイルユニットCUsとが設けられている。このような構成により、回転軸AX2と一体化された回転ドラム25(およびスケール板25c)を、回転子RTに付与されるトルクによって滑らかに回転させることができる。
また、ボイスコイルモータ(MUs、CUs)は、回転ドラム25が回転中であっても、回転軸AX2の方向(Y方向)の推力を発生するので、回転ドラム25(およびスケール板25c)をY方向に微動させることができる。これにより、走査露光中における基板PのY方向の微小な位置ずれを逐次補正することができる。
なお、図4の構成では、回転軸AX2の端面TpのY方向の変位を計測する変位センサーDT1、またはスケール板25cの端面のY方向の変位を計測する変位センサーDT2が設けられ、走査露光中の回転ドラム25のY方向の位置変化をリアルタイムに逐次計測することができる。したがって、それらの変位センサーDT1、DT2からの計測信号に基づいて、ボイスコイルモータ(MUs、CUs)をサーボ制御するようにすれば、回転ドラム25のY方向の位置を精密に位置決めすることができる。
ここで、図6に示すように、第1の実施の形態の露光装置U3は、いわゆるマルチレンズ方式を想定した露光装置である。なお、図6には、マスクステージ21に保持されたマスクM上の照明領域IR(IR1〜IR6)を−Z側から見た平面図(図6の左図)と、回転ドラム25に支持された基板P上の投影領域PA(PA1〜PA6)を+Z側から見た平面図(図6の右図)とが図示されている。図6中の符号Xsは、マスクステージ21および回転ドラム25の走査方向(回転方向)を示す。マルチレンズ方式の露光装置U3は、マスクM上の複数(第1の実施の形態では例えば6つ)の照明領域IR1〜IR6に照明光束EL1をそれぞれ照明し、各照明光束EL1が各照明領域IR1〜IR6に照明されることで得られる複数の投影光束EL2を、基板P上の複数(第1の実施の形態では例えば6つ)の投影領域PA1〜PA6に投影露光する。
まず、照明機構13により照明される複数の照明領域IR1〜IR6について説明する。図6に示すように、複数の照明領域IR1〜IR6は、中心面CLを挟んで基板Pの走査方向に2列に配置され、走査方向の上流側のマスクM上に照明領域IR1、IR3、およびIR5が配置され、走査方向の下流側のマスクM上に照明領域IR2、IR4、および、IR6が配置される。各照明領域IR1〜IR6は、マスクMの幅方向(Y方向)に延びる平行な短辺および長辺を有する細長い台形状の領域となっている。このとき、台形状の各照明領域IR1〜IR6は、その短辺が中心面CL側に位置し、その長辺が外側に位置する領域となっている。奇数番の照明領域IR1、IR3、および、IR5は、Y方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、偶数番の照明領域IR2、IR4、および、IR6は、Y方向に所定の間隔を空けて配置されている。このとき、照明領域IR2は、Y方向において、照明領域IR1と照明領域IR3との間に配置される。同様に、照明領域IR3は、Y方向において、照明領域IR2と照明領域IR4との間に配置される。照明領域IR4は、Y方向において、照明領域IR3と照明領域IR5との間に配置される。照明領域IR5は、Y方向において、照明領域IR4と照明領域IR6との間に配置される。各照明領域IR1〜IR6は、マスクMの走査方向からみて、隣り合う台形状の照明領域の斜辺部の三角部が重なるように(オーバーラップするように)配置されている。なお、第1の実施の形態において、各照明領域IR1〜IR6は、台形状の領域としたが、長方形状の領域でもあってよい。
また、マスクMは、マスクパターンが形成されるパターン形成領域A3と、マスクパターンが形成されないパターン非形成領域A4とを有する。パターン非形成領域A4は、照明光束EL1を吸収する低反射領域であり、パターン形成領域A3を枠状に囲んで配置されている。照明領域IR1〜IR6は、パターン形成領域A3のY方向の全幅をカバーするように、配置されている。
照明機構13は、マスクMに照明される照明光束EL1を出射する。照明機構13は、光源装置および照明光学系ILを備える。光源装置は、例えば水銀ランプ等のランプ光源、レーザーダイオード、または、発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。光源装置が射出する照明光は、例えばランプ光源から射出される輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等である。光源装置から射出された照明光は、照度分布が均一化されて、例えば光ファイバー等の導光部材を介して照明光学系ILに導かれる。
照明光学系ILは、複数の照明領域IR1〜IR6に応じて複数(第1の実施の形態では例えば6つ)の照明モジュールIL1〜IL6が設けられている。複数の照明モジュールIL1〜IL6には、光源装置からの照明光束EL1がそれぞれ入射する。各照明モジュールIL1〜IL6は、光源装置から入射された照明光束EL1を、各照明領域IR1〜IR6にそれぞれ導く。つまり、照明モジュールIL1は、照明光束EL1を照明領域IR1に導き、同様に、照明モジュールIL2〜IL6は、照明光束EL1を照明領域IR2〜IR6に導く。複数の照明モジュールIL1〜IL6は、中心面CLを挟んでマスクMの走査方向に2列に配置される。照明モジュールIL1、IL3、および、IL5は、中心面CLに対して、照明領域IR1、IR3、および、IR5が配置される側(図5の左側)に配置される。照明モジュールIL1、IL3、および、IL5は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。また、照明モジュールIL2、IL4、および、IL6は、中心面CLに対して、照明領域IR2、IR4、および、IR6が配置される側(図5の右側)に配置される。照明モジュールIL2、IL4、および、IL6は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。このとき、照明モジュールIL2は、Y方向において、照明モジュールIL1と照明モジュールIL3との間に配置される。同様に、照明モジュールIL3は、Y方向において、照明モジュールIL2と照明モジュールIL4との間に配置される。照明モジュールIL4は、Y方向において、照明モジュールIL3と照明モジュールIL5との間に配置される。照明モジュールIL5は、Y方向において、照明モジュールIL4と照明モジュールIL6との間に配置される。また、照明モジュールIL1、IL3、および、IL5と、照明モジュールIL2、IL4、および、IL6とは、Y方向からみて中心面CLを中心に対称に配置されている。
複数の照明モジュールIL1〜IL6のそれぞれは、例えばインテグレータ光学系、ロッドレンズ、フライアイレンズ等の複数の光学部材を含み、均一な照度分布の照明光束EL1によって各照明領域IR1〜IR6を照明する。第1の実施の形態において、複数の照明モジュールIL1〜IL6は、マスクMのZ方向における上方側に配置されている。複数の照明モジュールIL1〜IL6のそれぞれは、マスクMの上方側からマスクMに形成されたマスクパターンの各照明領域IRを照明する。
次に、投影光学系PLにより投影露光される複数の投影領域PA1〜PA6について説明する。図6に示すように、基板P上の複数の投影領域PA1〜PA6は、マスクM上の複数の照明領域IR1〜IR6と対応させて配置されている。つまり、基板P上の複数の投影領域PA1〜PA6は、中心面CLを挟んで搬送方向に2列に配置され、搬送方向(走査方向)の上流側の基板P上に投影領域PA1、PA3、および、PA5が配置され、搬送方向の下流側の基板P上に投影領域PA2、PA4、および、PA6が配置される。各投影領域PA1〜PA6は、基板Pの幅方向(Y方向)に延びる短辺および長辺を有する細長い台形状の領域となっている。このとき、台形状の各投影領域PA1〜PA6は、その短辺が中心面CL側に位置し、その長辺が外側に位置する領域となっている。投影領域PA1、PA3、および、PA5は、幅方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、投影領域PA2、PA4、および、PA6は、幅方向に所定の間隔を空けて配置されている。このとき、投影領域PA2は、回転軸AX2の軸方向において、投影領域PA1と投影領域PA3との間に配置される。同様に、投影領域PA3は、回転軸AX2の軸方向において、投影領域PA2と投影領域PA4との間に配置される。投影領域PA4は、回転軸AX2の軸方向において、投影領域PA3と投影領域PA5との間に配置される。投影領域PA5は、回転軸AX2の軸方向において、投影領域PA4と投影領域PA6との間に配置される。各投影領域PA1〜PA6は、各照明領域IR1〜IR6と同様に、基板Pの搬送方向からみて、隣り合う台形状の投影領域PAの斜辺部の三角部が重なるように(オーバーラップするように)配置されている。このとき、投影領域PAは、隣り合う投影領域PAの重複する領域での露光量が、重複しない領域での露光量と実質的に同じになるような形状になっている。そして、投影領域PA1〜PA6は、基板P上に露光される露光領域A7のY方向の全幅をカバーするように、配置されている。
ここで、図5において、XZ面内で見たとき、マスクM上の照明領域IR1(およびIR3、IR5)の中心点から照明領域IR2(およびIR4、IR6)の中心点までの長さは、支持面P2に倣った基板P上の投影領域PA1(およびPA3、PA5)の中心点から投影領域PA2(およびPA4、PA6)の中心点までの周長と、実質的に等しく設定されている。
また、図5に示すように、投影光学系PLは、複数の投影領域PA1〜PA6に応じて複数(第1の実施の形態では例えば6つ)の投影モジュールPL1〜PL6が設けられている。複数の投影モジュールPL1〜PL6には、複数の照明領域IR1〜IR6からの複数の投影光束EL2がそれぞれ入射する。各投影モジュールPL1〜PL6は、マスクMからの各投影光束EL2を、各投影領域PA1〜PA6にそれぞれ導く。つまり、投影モジュールPL1は、照明領域IR1からの投影光束EL2を投影領域PA1に導き、同様に、投影モジュールPL2〜PL6は、照明領域IR2〜IR6からの各投影光束EL2を投影領域PA2〜PA6に導く。複数の投影モジュールPL1〜PL6は、中心面CLを挟んでマスクMの走査方向に2列に配置される。投影モジュールPL1、PL3、および、PL5は、中心面CLに対して、投影領域PA1、PA3、および、PA5が配置される側(図5の左側)に配置される。投影モジュールPL1、PL3、および、PL5は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。また、投影モジュールPL2、PL4、および、PL6は、中心面CLに対して、投影領域PA2、PA4、および、PA6が配置される側(図5の右側)に配置される。投影モジュールPL2、PL4、および、PL6は、Y方向に所定の間隔を空けて配置される。このとき、投影モジュールPL2は、回転軸AX2の軸方向において、投影モジュールPL1と投影モジュールPL3との間に配置される。同様に、投影モジュールPL3は、回転軸AX2の軸方向において、投影モジュールPL2と投影モジュールPL4との間に配置される。投影モジュールPL4は、回転軸AX2の軸方向において、投影モジュールPL3と投影モジュールPL5との間に配置される。投影モジュールPL5は、回転軸AX2の軸方向において、投影モジュールPL4と投影モジュールPL6との間に配置される。また、投影モジュールPL1、PL3、および、PL5と、投影モジュールPL2、PL4、および、PL6とは、Y方向からみて中心面CLを中心に対称に配置されている。
複数の投影モジュールPL1〜PL6は、複数の照明モジュールIL1〜IL6に対応して設けられている。つまり、投影モジュールPL1は、照明モジュールIL1によって照明される照明領域IR1のマスクパターンの像を、基板P上の投影領域PA1に投影する。同様に、投影モジュールPL2〜PL6は、照明モジュールIL2〜IL6によって照明される照明領域IR2〜IR6のマスクパターンの像を、基板P上の投影領域PA2〜PA6に投影する。
次に、図7を参照して、各投影モジュールPL1〜PL6について説明する。なお、各投影モジュールPL1〜PL6は、同様の構成となっているため、投影モジュールPL1を例に説明する。
投影モジュールPL1は、マスクM上の照明領域IR(照明領域IR1)におけるマスクパターンの像を、基板P上の投影領域PAに投影する。図7に示すように、投影モジュールPL1は、照明領域IRにおけるマスクパターンの像を中間像面P7に結像する第1光学系61と、第1光学系61により結像した中間像の少なくとも一部を基板Pの投影領域PAに再結像する第2光学系62と、中間像が形成される中間像面P7に配置された投影視野絞り63とを備える。また、投影モジュールPL1は、フォーカス補正光学部材64と、像シフト用光学部材65と、倍率補正用光学部材66と、ローテーション補正機構67とを備える。
第1光学系61および第2光学系62は、例えばダイソン系を変形したテレセントリックな反射屈折光学系である。第1光学系61は、その光軸(以下、第2光軸BX2という)が中心面CLに対して実質的に直交する。第1光学系61は、第1偏向部材70と、第1レンズ群71と、第1凹面鏡72とを備える。第1偏向部材70は、第1反射面P3と第2反射面P4とを有する三角プリズムである。第1反射面P3は、マスクMからの投影光束EL2を反射させ、反射させた投影光束EL2を第1レンズ群71を通って第1凹面鏡72に入射させる面となっている。第2反射面P4は、第1凹面鏡72で反射された投影光束EL2が第1レンズ群71を通って入射し、入射した投影光束EL2を投影視野絞り63へ向けて反射する面となっている。第1レンズ群71は、各種レンズを含み、各種レンズの光軸は、第2光軸BX2上に配置されている。第1凹面鏡72は、フライアイレンズにより生成された多数の点光源が、フライアイレンズから照明視野絞りを介して第1凹面鏡72に至る各種レンズによって結像する瞳面に配置されている。
マスクMからの投影光束EL2は、フォーカス補正光学部材64および像シフト用光学部材65を通過し、第1偏向部材70の第1反射面P3で反射され、第1レンズ群71の上半分の視野領域を通って第1凹面鏡72に入射する。第1凹面鏡72に入射した投影光束EL2は、第1凹面鏡72で反射され、第1レンズ群71の下半分の視野領域を通って第1偏向部材70の第2反射面P4に入射する。第2反射面P4に入射した投影光束EL2は、第2反射面P4で反射され、投影視野絞り63に入射する。
投影視野絞り63は、投影領域PAの形状を規定する開口を有する。すなわち、投影視野絞り63の開口の形状が投影領域PAの形状を規定することになる。
第2光学系62は、第1光学系61と同様の構成であり、中間像面P7を挟んで第1光学系61と対称に設けられている。第2光学系62は、その光軸(以下、第3光軸BX3という)が中心面CLに対して実質的に直交し、第2光軸BX2と平行になっている。第2光学系62は、第2偏向部材80と、第2レンズ群81と、第2凹面鏡82とを備える。第2偏向部材80は、第3反射面P5と第4反射面P6とを有する。第3反射面P5は、投影視野絞り63からの投影光束EL2を反射させ、反射させた投影光束EL2を第2レンズ群81を通って第2凹面鏡82に入射させる面となっている。第4反射面P6は、第2凹面鏡82で反射された投影光束EL2が第2レンズ群81を通って入射し、入射した投影光束EL2を投影領域PAへ向けて反射する面となっている。第2レンズ群81は、各種レンズを含み、各種レンズの光軸は、第3光軸BX3上に配置されている。第2凹面鏡82は、第1凹面鏡72において結像した多数の点光源像が、第1凹面鏡72から投影視野絞り63を介して第2凹面鏡82に至る各種レンズによって結像する瞳面に配置されている。
投影視野絞り63からの投影光束EL2は、第2偏向部材80の第3反射面P5で反射され、第2レンズ群81の上半分の視野領域を通って第2凹面鏡82に入射する。第2凹面鏡82に入射した投影光束EL2は、第2凹面鏡82で反射され、第2レンズ群81の下半分の視野領域を通って第2偏向部材80の第4反射面P6に入射する。第4反射面P6に入射した投影光束EL2は、第4反射面P6で反射され、倍率補正用光学部材66を通過し、投影領域PAに投射される。これにより、照明領域IRにおけるマスクパターンの像は、投影領域PAに等倍(×1)で投影される。
フォーカス補正光学部材64は、マスクMと第1光学系61との間に配置されている。フォーカス補正光学部材64は、基板P上に投影されるマスクパターンの像のフォーカス状態を調整する。フォーカス補正光学部材64は、例えば、2枚のクサビ状のプリズムを逆向き(図7ではX方向について逆向き)にして、全体として透明な平行平板になるように重ね合わせたものである。この1対のプリズムを互いに対向する面間の間隔を変えずに斜面方向にスライドさせることにより、平行平板としての厚みを可変にする。これによって第1光学系61の実効的な光路長を微調整し、中間像面P7および投影領域PAに形成されるマスクパターンの像のピント状態が微調整される。
像シフト用光学部材65は、マスクMと第1光学系61との間に配置されている。像シフト用光学部材65は、基板P上に投影されるマスクパターンの像を像面内において移動可能に調整する。像シフト用光学部材65は、図6のXZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスと、図7のYZ面内で傾斜可能な透明な平行平板ガラスとで構成される。その2枚の平行平板ガラスの各傾斜量を調整することで、中間像面P7および投影領域PAに形成されるマスクパターンの像をX方向やY方向に微少シフトさせることができる。
倍率補正用光学部材66は、第2偏向部材80と基板Pとの間に配置されている。倍率補正用光学部材66は、例えば、凹レンズ、凸レンズ、凹レンズの3枚を所定間隔で同軸に配置し、前後の凹レンズは固定して、間の凸レンズを光軸(主光線)方向に移動させるように構成したものである。これによって、投影領域PAに形成されるマスクパターンの像は、テレセントリックな結像状態を維持しつつ、等方的に微少量だけ拡大または縮小される。なお、倍率補正用光学部材66を構成する3枚のレンズ群の光軸は、投影光束EL2の主光線と平行になるようにXZ面内では傾けられている。
ローテーション補正機構67は、例えば、アクチュエータ(図示略)によって、第1偏向部材70を第2光軸BX2と垂直な軸周りに微少回転させるものである。このローテーション補正機構67は、第1偏向部材70を回転させることによって、中間像面P7に形成されるマスクパターンの像を、その面P7内で微少回転させることができる。
このように構成された投影モジュールPL1〜PL6において、マスクMからの投影光束EL2は、照明領域IRからマスク面P1の法線方向に出射し、第1光学系61に入射する。第1光学系61に入射した投影光束EL2は、フォーカス補正光学部材64および像シフト用光学部材65を透過して、第1光学系61の第1偏向部材70の第1反射面(平面鏡)P3で反射され、第1レンズ群71を通って第1凹面鏡72で反射される。第1凹面鏡72で反射された投影光束EL2は、再び第1レンズ群71を通って第1偏向部材70の第2反射面(平面鏡)P4で反射されて、投影視野絞り63に入射する。投影視野絞り63を通った投影光束EL2は、第2光学系62の第2偏向部材80の第3反射面(平面鏡)P5で反射され、第2レンズ群81を通って第2凹面鏡82で反射される。第2凹面鏡82で反射された投影光束EL2は、再び第2レンズ群81を通って第2偏向部材80の第4反射面(平面鏡)P6で反射されて、倍率補正用光学部材66に入射する。倍率補正用光学部材66から出射した投影光束EL2は、基板P上の投影領域PAに入射し、照明領域IR内に現れるマスクパターンの像が投影領域PAに等倍(×1)で投影される。
<駆動ユニットの制御>
次に、図3を参照して、駆動ユニット122の制御について説明する。駆動ユニット122は、設置面E上に設置される支柱フレーム146に取り付けられたマスク側駆動部22と、基板側駆動部26とを含んで構成されている。
先に説明した通り、マスク側駆動部22は、支柱フレーム146にX方向に延設するように固定されるリニアモータの磁石トラック(固定子)と、マスクステージ21に結合される伝達部材23に固定されて、その磁石トラックと一定のギャップで対向するリニアモータのコイルユニット(可動子)とで構成される。また、基板側駆動部26は、先の図4に示したように、支柱フレーム146側に固定子として固定されたコイルユニットCUrと、回転ドラム25の回転軸AX2側の回転子RTに可動子として固定された磁石ユニットMUrとで構成される回転モータと、支柱フレーム146側から回転ドラム25に回転軸AX2の方向(Y方向)への推力を付与するボイスコイルモータ(MUs、CUs)とを含む。このように、マスク側駆動部22および基板側駆動部26は、非接触で伝達部材23および回転軸AX2に直接的に動力を伝達可能な構成(ダイレクトドライブ方式)であるが、上記の構成に限らない。例えば、基板側駆動部26は、電動モータと磁気歯車とを有し、電動モータを支柱フレーム146側に固定し、電動モータの出力軸と回転軸AX2との間に磁気歯車を介設してもよい。
以上のような駆動ユニット122の構成において、図5に示した下位制御装置16は、マスクステージ21と回転ドラム25とを同期させて移動させる。このため、マスクMのマスク面P1に形成されたマスクパターンの像が、回転ドラム25の支持面P2(図4中の25a)に巻き付けられた基板Pの表面(円周面に倣って湾曲した面)に連続的に繰り返し投影露光される。第1の実施の形態の露光装置U3では、マスクMの+X方向への同期移動で走査露光を行った後、−X方向の初期位置にマスクMを戻す動作(巻戻し)が必要となる。そのため、回転ドラム25を一定速度で連続回転させて基板Pを等速で送り続ける場合、マスクMの巻戻し動作の間、基板P上にはパターン露光が行われず、基板Pの搬送方向に関してパネル用パターンが飛び飛びに(離間して)形成されることになる。しかしながら、実用上、走査露光時の基板Pの速度(ここでは周速)とマスクMの速度は50mm/s〜100mm/sと想定されていることから、マスクMの巻戻しの際にマスクステージ21を、例えば500mm/sの最高速で駆動すれば、基板P上に形成されるパネル用パターン間の搬送方向に関する余白を狭くすることができる。
本実施の形態においては、マスクステージ21のX方向の移動位置や速度をレーザ干渉計またはリニアエンコーダによって精密に計測し、回転ドラム25の外周面の移動位置や速度を図4中のスケール板25cの読取りヘッドEHによって精密に計測することによって、マスクMと基板Pとの走査露光方向に関する位置的な同期や速度同期を正確に確保することができる。
<押圧機構>
次に、図2を参照し、押圧機構130について説明する。押圧機構130は、位置調整ユニット120と露光ユニット121との間に設けられている。押圧機構130は、位置調整ユニット120から露光ユニット121に供給される基板Pにテンションが付与されるように押圧する。押圧機構130は、押圧部材151と、押圧部材151を昇降させる昇降機構152とを有している。押圧部材151は、基板Pに対して、接触または非接触の状態で基板Pを押圧する。押圧部材151としては、例えば、基板Pと非接触な状態を作るためのエア噴出し口および吸込み口を有するエア・ターンバー、または基板Pに対して接触する摩擦ローラ等が用いられる。昇降機構152は、押圧部材151を、基板Pの一方の面(裏面)から他方の面(表面)に押し付ける方向、つまりZ方向に昇降させる。昇降機構152は、上位制御装置5に接続され、第2基板検出部124の検出結果に基づいて上位制御装置5に制御される。
上位制御装置5は、第2基板検出部124の検出結果に基づいて押圧機構130を制御する。具体的に、上位制御装置5は、第2基板検出部124により検出された基板Pの位置から、基板Pの単位時間(例えば数ミリ秒)当たりの位置の変位量を算出する。上位制御装置5は、算出した変位量に応じて、押圧部材151のZ方向における移動量を調整する。つまり、上位制御装置5は、算出した変位量が大きければ、基板Pの振動が大きいとして昇降機構152を制御して、押圧部材151をZ方向に上昇させる。上位制御装置5は、押圧部材151をZ方向に上昇させることで、基板Pにテンションを付与し、基板Pの振動が押圧部材151によって制振される。
<基板回収装置>
次に、再び図2を参照し、基板回収装置4について説明する。基板回収装置4は、位置調整ユニット160と、回収用ロールFR2が装着される第2軸受部161と、第2軸受部161を昇降させる第2昇降機構162とを有する。また、基板回収装置4は、排出角度検出部164と、第3基板検出部165とを有しており、排出角度検出部164および第3基板検出部165は、上位制御装置5に接続されている。ここで、第1の実施の形態において、上位制御装置5は、基板供給装置2と同様に、基板回収装置4の制御装置(制御部)として機能する。なお、基板回収装置4の制御装置として、基板回収装置4を制御する下位制御装置を設け、下位制御装置が基板回収装置4を制御する構成にしてもよい。
位置調整ユニット160は、図1に示す上記のエッジポジションコントローラEPC2を含んで構成されている。なお、位置調整ユニット160は、露光装置U3の位置調整ユニット120の構成と略同様であり、基台170と、エッジポジションコントローラEPC2とを有する。基台170は、設置面E上に設けられ、エッジポジションコントローラEPC2を支持する。基台170は、除振機能を有する除振台としてもよい。
エッジポジションコントローラEPC2は、基台170上を基板Pの幅方向(Y方向)に移動可能となっている。エッジポジションコントローラEPC2は、基板Pの搬送方向の最下流側に設けられた搬送ローラ167を含む複数のローラを有している。搬送ローラ167は、位置調整ユニット160から排出される基板Pを回収用ロールFR2に案内する。エッジポジションコントローラEPC2は、上位制御装置5に接続され、第3基板検出部165の検出結果に基づいて上位制御装置5に制御される。
第3基板検出部165は、エッジポジションコントローラEPC2から回収用ロールFR2に回収される基板Pの幅方向における位置を検出する。第3基板検出部165は、第2昇降機構162上に固定されている。このため、第3基板検出部165は、回収用ロールFR2と同じ振動モードとなる。第3基板検出部165は、回収用ロールFR2に回収される基板Pの端部のエッジの位置を検出する。第3基板検出部165は、接続された上位制御装置5に検出結果を出力する。
上位制御装置5は、第3基板検出部165の検出結果に基づいてエッジポジションコントローラEPC2を制御する。具体的に、上位制御装置5は、第3基板検出部165により検出された回収用ロールFR2に回収される基板Pの端部のエッジの位置と、予め規定された第3目標位置との差分を算出する。そして、上位制御装置5は、該差分がゼロとなるようにエッジポジションコントローラEPC2をフィードバック制御して、基板Pを幅方向に移動させ、回収用ロールFR2に対する基板Pの幅方向における位置を第3目標位置とする。このため、エッジポジションコントローラEPC2は、回収用ロールFR2に対する基板Pの幅方向における位置を第3目標位置に維持できる。よって、回収用ロールFR2に対する基板Pの幅方向における位置を一定にできることから、回収用ロールFR2の軸方向における端面を揃えることができる。なお、この場合も、フィードバック制御としては、P制御、PI制御、PID制御等、いずれの制御であってもよい。
第2軸受部161は、回収用ロールFR2を回転可能に軸支している。第2軸受部161に軸支された回収用ロールFR2は、基板Pが回収されると、基板Pが回収された分、回収用ロールFR2の巻径が大きくなっていく。このため、回収用ロールFR2において基板Pが回収される位置は、基板Pの回収量に応じて変化することになる。
第2昇降機構162は、設置面Eと第2軸受部161との間に設けられている。第2昇降機構162は、第2軸受部161を回収用ロールFR2ごとZ方向(鉛直方向)に移動させる。第2昇降機構162は、上位制御装置5に接続されており、上位制御装置5は、第2昇降機構162により第2軸受部161をZ方向に移動させることで、回収用ロールFR2によって基板Pが回収される位置を所定の位置にすることができる。
排出角度検出部164は、エッジポジションコントローラEPC2の搬送ローラ167から排出される基板Pの排出角度θ2を検出する。排出角度検出部164は、搬送ローラ167周りに設けられている。ここで、排出角度θ2は、XZ面内において、搬送ローラ167の中心軸を通る鉛直方向に延びる直線と、搬送ローラ167の下流側の基板Pとがなす角度である。排出角度検出部164は、接続された上位制御装置5に検出結果を出力する。
上位制御装置5は、排出角度検出部164の検出結果に基づいて第2昇降機構162を制御する。具体的に、上位制御装置5は、排出角度θ2が予め規定された目標排出角度となるように、第2昇降機構162を制御する。つまり、回収用ロールFR2への基板Pの回収量が多くなると、回収用ロールFR2の巻径が大きくなることで、目標排出角度に対する排出角度θ2は小さくなる。このため、上位制御装置5は、第2昇降機構162をZ方向の上方側に移動させる(上昇させる)ことで、排出角度θ2を大きくし、排出角度θ2を目標排出角度となるように補正する。このように、上位制御装置5は、排出角度検出部164の検出結果に基づいて、排出角度θ2が目標排出角度となるように、第2昇降機構162をフィードバック制御する。このため、基板回収装置4は、常に目標排出角度で搬送ローラ167から基板Pを排出できることから、排出角度θ2の変化によって基板Pに与えられる影響を低減できる。なお、この場合も、フィードバック制御としては、P制御、PI制御、PID制御等、いずれの制御であってもよい。
<デバイス製造方法>
次に、図8を参照して、デバイス製造方法について説明する。図8は、第1の実施の形態のデバイス製造方法を示すフローチャートである。
図8に示すデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL等の自発光素子による表示パネルの機能・性能設計を行い、必要な回路パターンや配線パターンをCAD等で設計する(ステップS201)。次いで、CAD等で設計された各種レイヤー毎のパターンに基づいて、必要なレイヤー分のマスクMを製作する(ステップS202)。また、表示パネルの基材となる可撓性の基板P(樹脂フィルム、金属箔膜、プラスチック等)が巻かれた供給用ロールFR1を準備しておく(ステップS203)。なお、このステップS203にて用意しておくロール状の基板Pは、必要に応じてその表面を改質したもの、下地層(例えばインプリント方式による微小凹凸)を事前形成したもの、光感応性の機能膜や透明膜(絶縁材料)を予めラミネートしたものでもよい。
次いで、基板P上に表示パネルデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、TFT(薄膜半導体)等によって構成されるバックプレーン層を形成するとともに、そのバックプレーンに積層されるように、有機EL等の自発光素子による発光層(表示画素部)が形成される(ステップS204)。このステップS204には、先の各実施の形態で説明した露光装置U3を用いて、フォトレジスト層を露光する従来のフォトリソグラフィ工程も含まれるが、フォトレジストの代わりに感光性シランカップリング剤を塗布した基板Pをパターン露光して表面に親撥水性によるパターンを形成する露光工程、光感応性の触媒層をパターン露光し無電解メッキ法によって金属膜のパターン(配線、電極等)を形成する湿式工程、或いは、銀ナノ粒子等の導電材料を含有した導電性インク、絶縁材料を含有したインク、または半導体材料(ペンタセン、半導体ナノロッド等)を含有するインク等によってパターンを描画する印刷工程、等による処理も含まれる。
次いで、ロール方式で長尺の基板P上に連続的に製造される表示パネルデバイス毎に、基板Pをダイシングしたり、各表示パネルデバイスの表面に、保護フィルム(対環境バリア層)やカラーフィルターシート等を貼り合せたりして、デバイスを組み立てる(ステップS205)。次いで、表示パネルデバイスが正常に機能するか、所望の性能や特性を満たしているかの検査工程が行われる(ステップS206)。以上のようにして、表示パネル(フレキシブル・ディスプレイ)を製造することができる。
以上、第1の実施の形態は、設置面Eに除振台131を介して露光ユニット121を設置するとともに、露光ユニット121と、位置調整ユニット120および駆動ユニット122とをそれぞれ独立状態で設けることができる。つまり、第1の実施の形態は、除振台131により、露光ユニット121と、位置調整ユニット120および駆動ユニット122とを縁切り、すなわち異なる振動モードにすることができる。このため、露光ユニット121は、除振台131により、位置調整ユニット120および駆動ユニット122からの振動を低減できる。
また、第1の実施の形態は、固定ローラ126に対する基板Pの幅方向における位置を第1目標位置に維持することができる。このため、基板Pは、固定ローラ126に対して同じ位置に供給されることから、固定ローラ126から供給される基板Pの幅方向における位置を一定にすることができる。これにより、第1の実施の形態は、固定ローラ126から送り出される基板Pの幅方向における位置を一定にできるため、基板Pの幅方向における位置の変動によって基板Pに与えられる振動等の影響を低減することができる。
また、第1の実施の形態は、搬送ローラ127に対する基板Pの位置を第2目標位置に維持することができる。このため、第1の実施の形態は、露光ユニット121に供給される基板Pの位置を一定にすることができる。これにより、第1の実施の形態は、搬送ローラ127に供給される基板Pの位置を一定にできるため、基板Pの位置の変動によって基板Pに与えられる振動等の影響を低減することができる。
また、第1の実施の形態は、押圧機構130により基板Pを押圧することで、位置調整ユニット120から露光ユニット121に供給される基板Pの振動をより低減することができる。
また、第1の実施の形態は、装置フレーム132を、第1フレーム132aと第2フレーム132bとに分離し、第1フレーム132aにおいてマスクステージ21を支持し、第2フレーム132bにおいて回転ドラム25を支持することができる。このため、第1フレーム132aと第2フレーム132bとをそれぞれ独立状態で設けることができる。つまり、第1フレーム132aと第2フレーム132bとを縁切り、すなわち異なる振動モードにすることができる。このため、第1フレーム132aおよび第2フレーム132bの相互の振動の伝達を低減できる。
また、第1の実施の形態は、供給用ロールFR1から露光装置U3の位置調整ユニット120の搬送ローラ127に供給される基板Pの、搬送ローラ127に対する進入角度θ1を一定にできる。このため、進入角度θ1の変位による基板Pへの影響を低減することができる。
また、第1の実施の形態は、基板回収装置4の位置調整ユニット160の搬送ローラ167から回収用ロールFR2に供給される基板Pの、搬送ローラ167に対する排出角度θ2を一定にできる。このため、排出角度θ2の変位による基板Pへの影響(回収用ロールFR2への基板Pの巻きムラ等)を低減することができる。
[第2の実施の形態]
次に、図9を参照して、第2の実施の形態の露光装置U3について説明する。なお、第2の実施の形態では、重複する記載を避けるべく、第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、第1の実施の形態と同様の構成要素については、第1の実施の形態と同じ符号を付して説明する。図9は、第2の実施の形態の露光装置(基板処理装置)U3の一部の構成を示す図である。第1の実施の形態の露光装置U3の露光ユニット121は、装置フレーム132が第1フレーム132aと第2フレーム132bとに分離されていたが、第2の実施の形態の露光装置U3の露光ユニット121aは、単体の装置フレーム180となっている。
第2の実施の形態の露光ユニット121aにおいて、装置フレーム180は、除振台131上に設けられ、透過型の円筒マスクMAを保持するマスク保持機構11、基板支持機構12、照明機構13および投影光学系PLを支持する。装置フレーム180は、除振台131上に設けられた下面部181と、下面部181上に立設する一対の軸受部182と、一対の軸受部182上に支持される中間部183と、中間部183上に立設する脚部184と、脚部184に支持される上面部185と、上面部185に立設するアーム部186とで構成されている。
一対の軸受部182には、基板支持機構12の回転ドラム25の回転軸AX2を軸支するエアベアリング141がそれぞれ設けられている。各エアベアリング141は、回転軸AX2を非接触の状態で回転自在に軸支する。中間部183には、保持部材143を介して投影光学系PLが設置される。保持部材143と中間部183との間の3ヶ所には、座金部材145が介設されている。保持部材143は、3ヶ所の座金部材145により、中間部183上にキネマチックに支持されている。上面部185には、マスク保持機構11(中空の円筒体)を支持するとともに、円筒マスクMAを回転中心線AX1の回りに回転駆動するための駆動ローラ(キャプスタンローラ)94が設けられている。照明機構13は、マスク保持機構11の内部に配置され、図6中の左図に示すような配列で円筒マスクMA上の照明領域IR(IR1〜IR6)を内側から照明する。
さらに、上面部185には、駆動ローラ94の回転軸を回転可能に軸支するためのベアリング187が設けられ、駆動ローラ94を回転駆動するマスク側駆動部22は、先の図4に示した基板側駆動部26と同様に構成される。不図示ではあるが、円筒体状のマスク保持機構11の回転中心線AX1方向の両端部には、先の図4と同様のエンコーダ計測用のスケール(回折格子)またはスケール板25cが設けられ、それと対向するように配置された読取りヘッドEHによって、円筒マスクMAの周方向の位置が精密に計測される。
以上、第2の実施の形態では、単体の装置フレーム180で、マスク保持機構11、基板支持機構12、照明機構13および投影光学系PLを支持することができる。このため、第2の実施の形態は、マスク保持機構11、基板支持機構12、照明機構13および投影光学系PLの位置関係を固定できることから、これらの位置関係を大幅に調整することなく、容易に設置することが可能となる。
次に、図10を参照して、図9に示した第2の実施の形態の露光装置U3(露光ユニット121a)について、さらに詳細を説明する。図10の露光ユニット121aにおいて、マスク保持機構11は、透過型のマスクMAを円筒状に保持するマスク保持ドラム21aと、マスク保持ドラム21aを支持するガイドローラ93と、マスク保持ドラム21aを中心線AX1の回りに駆動する駆動ローラ94と、マスク側駆動部22と、を備える。
マスク保持ドラム21aは、マスクMA上の照明領域IRが配置されるマスク面P1を形成する。本実施の形態において、マスク面P1は、線分(母線)をこの線分に平行な軸(円筒形状の中心軸)周りに回転した面(以下、円筒面という)を含む。円筒面は、例えば、円筒の外周面、円柱の外周面等である。マスク保持ドラム21aは、例えばガラスや石英等で構成され、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)がマスク面P1を形成する。すなわち、本実施の形態において、マスクMA上の照明領域IRは、第1軸AX1から一定半径Rmを持つ円筒面状に湾曲している。マスク保持ドラム21aのうち、マスク保持ドラム21aの径方向から見てマスクMAのマスクパターンと重なる部分、例えばマスク保持ドラム21aのY方向の両端側以外の中央部分は、照明光束EL1に対して透光性を有する。
マスクMAは、例えば平坦性のよい短冊状の極薄ガラス板(例えば厚さ100〜500μm)の一方の面にクロム等の遮光層でパターンを形成した透過型の平面状シートマスクとして作成され、それをマスク保持ドラム21aの外周面に倣って湾曲させ、この外周面に巻き付けた(貼り付けた)状態で使用される。マスクMAは、パターンが形成されていないパターン非形成領域A4を有し、パターン非形成領域A4においてマスク保持ドラム21aに取付けられている。マスクMAは、マスク保持ドラム21aに対してリリース可能である。マスクMAは、透明円筒母材によるマスク保持ドラム21aに巻き付ける代わりに、透明円筒母材によるマスク保持ドラム21aの外周面に直接クロム等の遮光層によるマスクパターンを描画形成して一体化してもよい。この場合も、マスク保持ドラム21aがマスクMAの支持部材として機能する。
ガイドローラ93および駆動ローラ94は、マスク保持ドラム21aの中心軸に対して平行なY方向に延びている。ガイドローラ93および駆動ローラ94は、中心軸と平行な軸周りに回転可能に設けられている。ガイドローラ93および駆動ローラ94は、それぞれ、軸方向の端部の外径が他の部分の外形よりも大きくなっており、この端部がマスク保持ドラム21aに外接している。このように、ガイドローラ93および駆動ローラ94は、マスク保持ドラム21aに保持されているマスクMAに接触しないように、設けられている。駆動ローラ94は、マスク側駆動部22と接続されている。駆動ローラ94は、マスク側駆動部22からの動力をマスク保持ドラム21aに伝えることによって、マスク保持ドラム21aを中心軸AX1周りに回転させる。
なお、マスク保持機構11は、1つのガイドローラ93を備えているが数は限定されず、2以上でもよい。同様にマスク保持機構11は、1つの駆動ローラ94を備えているが数は限定されず、2以上でもよい。ガイドローラ93と駆動ローラ94のうち少なくとも1つは、マスク保持ドラム21aの内側に配置されており、マスク保持ドラム21aと内接していてもよい。また、マスク保持ドラム21aのうち、マスク保持ドラム21aの径方向から見てマスクMAのマスクパターンと重ならない部分(Y方向の両端側)は、照明光束EL1に対して透光性を有していてもよいし、透光性を有していなくてもよい。また、ガイドローラ93および駆動ローラ94の一方または双方は、例えば円錐台状であって、その中心軸(回転軸)が中心軸AX1に対して非平行であってもよい。
照明機構13は、第1の実施の形態と同様に構成され、照明機構13の複数の照明モジュールILa1〜ILa6は、マスク保持ドラム21aの内側に配置されている。複数の照明モジュールILa1〜ILa6のそれぞれは、光源から射出された照明光束EL1を案内し、案内された照明光束EL1をマスク保持ドラム21aの内部からマスクMAに照射する。照明機構13は、マスク保持機構11に保持されたマスクMAの照明領域IRを、照明光束EL1によって均一な明るさで照明する。なお、光源は、マスク保持ドラム21aの内側に配置されていてもよいし、マスク保持ドラム21aの外側に配置されていてもよい。また、光源は、露光装置U3と別の装置(外部装置)であってもよい。
このように、第2の実施の形態は、露光ユニット121aのマスクMAが、円筒状の透過型のマスクであっても、露光ユニット121aと、位置調整ユニット120および駆動ユニット122とをそれぞれ独立状態(振動の伝達が絶縁される状態)で設けることができる。このため、露光ユニット121aは、除振台131により、位置調整ユニット120および駆動ユニット122からの振動を低減でき、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施の形態]
次に、図11を参照して、第3の実施の形態の露光装置U3について説明する。なお、第3の実施の形態でも、重複する記載を避けるべく、第1の実施の形態や第2の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様の構成要素については、第1または第2の実施の形態と同じ符号を付して説明する。図11は、第3の実施の形態による露光ユニット121bの全体構成を示し、円筒状の反射型のマスクMBを用いるとともに、基板Pを平面状に支持する構成となっている。
まず、第3の実施の形態の露光装置U3に用いられるマスクMBについて説明する。マスクMBは、例えば金属製の円筒体を用いた反射型のマスクとなっている。マスクMBは、Y方向に延びる第1軸AX1を中心とする曲率半径Rmとなる外周面(円周面)を有する円筒体に形成され、径方向に一定の肉厚を有している。マスクMBの円周面は、所定のマスクパターンが形成されたマスク面P1となっている。マスク面P1は、所定方向に光束を高い効率で反射する高反射部と、所定方向に光束を反射しないまたは低い効率で反射する反射抑制部とを含み、マスクパターンは、高反射部および反射抑制部により形成されている。このようなマスクMBは、金属製の円筒体であることから、安価に作成することができる。
なお、マスクMBは、第1軸AX1を中心とする曲率半径Rmとなる円周面を有していればよく、円筒体の形状に限定されない。例えば、マスクMBは、円周面を有する円弧状の板材であってもよい。また、マスクMBは薄板状であってもよく、薄板状のマスクMBを湾曲させて、円周面を有するようにしてもよい。
マスク保持機構11は、マスクMBを保持するマスク保持ドラム21bを有している。マスク保持ドラム21bは、マスクMの第1軸AX1が回転中心となるようにマスクMBを保持する。マスク側駆動部22は、下位制御装置16に接続され、第1軸AX1を回転中心にマスク保持ドラム21bを回転させる。
なお、マスク保持機構11は、円筒体のマスクMをマスク保持ドラム21bで保持したが、この構成に限らない。マスク保持機構11は、マスク保持ドラム21bの外周面に倣って薄板状のマスクMBを巻き付けて保持してもよい。また、マスク保持機構11は、円弧状の板材となるマスクMBをマスク保持ドラム21bの外周面において保持してもよい。
基板支持機構12は、基板Pが掛け渡された一対の駆動ローラ196と、基板Pを平面状に支持するエアステージ197と、複数のガイドローラ28とを有している。一対の駆動ローラ196は、基板側駆動部26により回転し、基板Pを走査方向に移動させる。エアステージ197は、一対の駆動ローラ196の間に設けられ、一対の駆動ローラ196の間に一定のテンションを持って掛け渡された基板Pの裏面側に設けられ、非接触状態または低摩擦状態で基板Pを平面状に支持する。複数のガイドローラ28は、一対の駆動ローラ196を挟んで、基板Pの搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ設けられている。例えばガイドローラ28は4つ設けられ、搬送方向の上流側に2つ、搬送方向の下流側に2つそれぞれ配置されている。
したがって、基板支持機構12は、位置調整ユニット120から搬送された基板Pを、2つのガイドローラ28により一方の駆動ローラ196に案内する。一方の駆動ローラ196に案内された基板Pは、他方の駆動ローラ196に案内されることで、一対の駆動ローラ196に一定のテンションで掛け渡される。基板支持機構12は、基板側駆動部26により一対の駆動ローラ196を回転させることで、一対の駆動ローラ196に掛け渡された基板Pを、エアステージ197で支持しながら、ガイドローラ28へ向けて搬送する。基板支持機構12は、ガイドローラ28に搬送された基板Pを、基板回収装置4へ向けて案内する。
照明機構13は、円筒状の反射型のマスクMBを用いる場合、マスク保持ドラム21bの外周側から照明光束EL1を照明する。つまり、照明機構13は、光源装置および照明光学系ILがマスク保持ドラム21bの外周に設けられている。照明光学系ILは、偏光ビームスプリッタPBSを用いた落射照明系となっている。照明光学系ILの各照明モジュールIL1〜IL6とマスクMBとの間には、偏光ビームスプリッタPBSと、1/4波長板198とが設けられている。つまり、光源装置からの照明光束EL1の入射側から順に、照明モジュールIL1〜IL6と、偏光ビームスプリッタPBSと、1/4波長板198とが設けられている。
ここで、光源装置から出射された照明光束EL1は、照明モジュールIL1〜IL6を通って、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。偏光ビームスプリッタPBSに入射した照明光束EL1は、偏光ビームスプリッタPBSにより反射された後、1/4波長板198を通過して、照明領域IRに照明される。照明領域IRから反射された投影光束EL2は、1/4波長板198を再び通過することで、偏光ビームスプリッタPBSにおいて透過する光束に変換される。1/4波長板198を通過した投影光束EL2は、偏光ビームスプリッタPBSを通過し、投影光学系PLに入射する。
以上、第3の実施の形態は、露光ユニット121bのマスクMBが、円筒状の反射型のマスクであり、基板Pが平面状に支持される場合であっても、露光ユニット121bと、位置調整ユニット120および駆動ユニット122とをそれぞれ独立状態(振動の伝達が絶縁される状態)で設けることができる。このため、露光ユニット121bは、除振台131により、位置調整ユニット120および駆動ユニット122からの振動を低減でき、上記第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態の露光装置(パターン形成装置)U3について説明する。なお、第4の実施の形態でも、重複する記載を避けるべく、第1〜第3の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、第1〜第3の実施の形態と同様の構成要素については、第1〜第3の実施の形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
図12は、第4の実施の形態による露光装置U3の構成を示す図、図13は、図12に示す露光装置U3内で搬送される基板Pを上方(+Z方向)側から見たときの図である。図14は、図13に示す位置調整ユニット120a側の最後のローラ126と露光ユニット121c側の最初のローラAR1との間で搬送される基板Pを−Y方向側から見たときの図、図15は、図12に示す回転ドラム25によって搬送される基板Pを−X方向側から見たときの図である。露光装置(処理装置)U3は、位置調整ユニット120aと、位置調整ユニット120aに対して基板Pの搬送方向の下流側(+X方向側)に設けられた露光ユニット121cとを備える。位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとは、別体として設けられている。つまり、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとは、非接触となる独立状態、或いは位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの間の基板Pの搬送路や露光ユニット121cの後の基板Pの搬送路を覆う蛇腹式等の防塵カバー121dを介して相互に接触していてもよいが、位置調整ユニット120aで発生する振動成分を露光ユニット121cに直接伝えない状態(振動の伝達を抑制した状態)で設けられている。露光ユニット121cは、パッシブまたはアクティブな除振台(除振装置、防振装置)131を介して設置面(基台面)E上に設けられている。位置調整ユニット120aは、基台200を介して設置面E上に設けられている。これにより、設置面Eを介して他の処理装置U1、U2、U4〜Un等からの振動や位置調整ユニット120aからの振動が露光ユニット121cに伝達することがない。つまり、露光ユニット121cと、位置調整ユニット120aおよび他の処理装置U等との間における振動伝搬を縁切り(絶縁)することができる。言い換えるならば、位置調整ユニット120aおよび他の処理装置U等の振動と、露光ユニット121cとの振動とが相互に絶縁された状態となる。なお、基台200は、除振・防振機能を有する除振台(除振装置、防振装置)であってもよい。
位置調整ユニット(位置調整装置)120aは、エッジポジションコントローラEPC3a、固定ローラ(案内ローラ)126、第1基板検出部202、および、下位制御装置204を備える。エッジポジションコントローラEPC3a、固定ローラ126、および、第1基板検出部202は、基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)から前記の順で設けられている。エッジポジションコントローラEPC3aは、長尺方向に所定のテンション(例えば、20〜200Nの範囲の一定値)を伴って搬送される基板Pの幅方向の位置が目標位置となるように基板Pの幅方向における位置を調整(修正)する。エッジポジションコントローラEPC3aは、位置調整ユニット120a内で基板Pの幅方向(Y方向)に移動可能となっている。エッジポジションコントローラEPC3aは、アクチュエータ206(図13参照)が駆動することでY方向に移動し、基板Pの幅方向における位置を調整する。エッジポジションコントローラEPC3aは、基板Pを固定ローラ126へ向けて搬送するための、ガイドローラRs1、Rs2、および、駆動ローラNRを有する。ガイドローラRs1、Rs2は、搬送される基板Pを案内するものであり、駆動ローラNRは、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転して、基板Pを搬送するものである。なお、図13の参照符号207aは、ガイドローラRs1、Rs2、および、駆動ローラNRを回転可能に支持する支持部材(エッジポジションコントローラEPC3aのフレーム)である。また、参照符号207bは、第1基板検出部202を支持するとともに、固定ローラ126を回転可能に支持する支持部材(位置調整ユニット120aの本体フレーム)であり、この本体フレーム207bの上にエッジポジションコントローラEPC3aのフレーム207aがY方向移動可能に搭載されている。
固定ローラ126は、エッジポジションコントローラEPC3aで幅方向に位置調整された基板Pを露光ユニット121cへ向けて案内する。このガイドローラRs1、Rs2、駆動ローラNR、および、固定ローラ126によって、基板Pは、長尺方向に折り曲げられて案内搬送される。第1基板検出部(基板誤差計測部、変化計測部)202は、固定ローラ126から露光ユニット121cへ向けて搬送される基板Pの幅方向の位置を検出する。具体的には、図13に示すように、第1基板検出部202は、基板Pの幅方向の−Y側のエッジ部EaのY方向位置を検出する検出部202aと、+Y側のエッジ部EbのY方向位置を検出する検出部202bとで構成され、両検出部202a、202bからの検出信号に基づいて、基板Pの幅方向の位置変化を計測する。さらに、第1基板検出部202(202a、202b)は、基板Pの幅方向の位置検出以外に、基板Pの姿勢変化(微少な傾斜)、基板Pの変形(幅方向の伸縮)等に関する変化情報を検出(計測)するようなセンサー構成としてもよい。第1基板検出部202が検出した基板Pの幅方向における位置や基板Pの変化情報は、下位制御装置204に送られる。なお、第1基板検出部202は、エッジポジションコントローラEPC3aから固定ローラ126に向けて搬送される基板Pの幅方向の位置を検出してもよい。
第1基板検出部202によって、基板Pの姿勢変化、特に固定ローラ126から露光ユニット121cに至る水平面(XY面)と平行な搬送路における基板PのX軸回り(YZ面内)の微少な傾斜を計測する場合は、図14に示すように、検出部202a、202bの各々に、基板Pのエッジ部Ea、Ebの各々のZ位置(基板Pの表面の法線方向の高さ位置)Ze1、Ze2の変化を計測可能なZセンサーを組み込む。検出部202a、202bが基板Pの搬送方向に関して固定ローラ126から一定距離だけ離れて配置されるので、固定ローラ126に対して露光ユニット121c側(ローラAR1)がXY面に対して微少傾斜した場合、検出部202aによって検出されるZ位置Ze1と、検出部202bによって検出されるZ位置Ze2との差分値が傾斜量に応じて変化する。このように差分値を求めることにより、固定ローラ126(位置調整ユニット120a)と露光ユニット121c(ローラAR1)との相対的なZ方向への位置変化ΔZsは相殺され、検出部202a、202bが配置された位置での基板Pの微少傾斜(X軸回り)が正確に求まる。
基板Pの実際の傾斜量(角度Δψ)は、検出部202a、202bのZセンサー部のY方向の距離をLz(一定値)とすると、tanΔψ=(Ze1−Ze2)/Lzで算出できる。このように、検出部202a、202bに組み込まれたZセンサーによって計測される基板Pの微少傾斜の変化は、固定ローラ126すなわち位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的なZ軸回りの傾斜変化にも対応している。Zセンサーとしては、光学式や静電容量式の非接触型のギャップセンサー等が利用できる。また、図14の固定ローラ126と露光ユニット121c側の最初のローラ(AR1)との間の基板Pにも、長尺方向に一定のテンションが付与されている。そのため、その間で基板Pが撓む可能性は少ないが、テンションが小さい場合には撓みが発生することもあり、Zセンサーによる計測に誤差が生じ得る。このことから、検出部202a、202b(Zセンサー部)は、基板Pの長尺方向(搬送方向)に関して、露光ユニット121c側の最初のローラ(AR1)に近い位置に配置するのがよい。
なお、図14のように、固定ローラ126から見て、露光ユニット121c(最初のローラAR1)がYZ面内で傾いた状態のまま基板Pが搬送されると、ローラAR1で折り曲げられた後の基板Pの搬送方向(−Z方向)は、XZ平面との平行性が損なわれるとともに、テンションの作用によって、基板Pは幅方向の一方側(+Y方向か−Y方向)に徐々に変位していくことになり、結果的に回転ドラム25に支持される基板Pも徐々にY方向に変位していくことになる。位置調整ユニット120a(エッジポジションコントローラEPC3a)は、基板PのそのようなY方向の変位を補正するように機能するが、露光ユニット121c側に設けられたローラAR1を含む基板調整部214(詳しくは後述する)によっても補正可能である。したがって、検出部202a、202bによって検出される基板Pの微少傾斜(X軸回り)に関する変化情報に基づいて、位置調整ユニット120aと基板調整部214のいずれか一方、または双方を制御することにより、回転ドラム25に支持される基板PのY方向の位置を高精度に維持することができる。また、回転ドラム25に達するまでの基板Pの幅方向の位置調整に関し、位置調整ユニット120aを粗調整、基板調整部214を微調整として使うこともできる。
下位制御装置204は、位置調整ユニット120aのエッジポジションコントローラEPC3a、または基板調整部214等を制御して、基板Pの幅方向の位置を制御するものである。この下位制御装置204は、上位制御装置5の一部または全部であってもよいし、上位制御装置5に制御される、上位制御装置5とは別のコンピュータであってもよい。
露光ユニット(パターニング装置)121cは、基板支持機構12a、第2基板検出部208、照明機構13a、露光ヘッド(パターン形成部)210、および下位制御装置212を備える。露光ユニット121cは、温調チャンバECV内に格納されている。この温調チャンバECVは、内部を所定の温度に保つことで、内部において搬送される基板Pの温度による形状変化を抑制する。この温調チャンバECVは、パッシブまたはアクティブな除振台131を介して設置面Eに配置されている。
基板支持機構(搬送部)12aは、位置調整ユニット120aから送られてきた基板Pを支持しながら、下流側(+X方向)に搬送するものであり、基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)から順に、基板調整部214、ガイドローラRs3、テンションローラRT1、回転ドラム25、テンションローラRT2、および、駆動ローラR5、R6を有する。
基板調整部214は、複数のローラ(AR1、RT3、AR2)を有し、基板Pの幅方向の位置を調整することで、基板Pに生じている捩れや皺を補正しながら、基板Pを搬送方向(+X方向)に搬送する。この基板調整部214の構成については後で説明する。ガイドローラRs3は、基板調整部214によって基板Pの幅方向の位置が調整された基板Pを回転ドラム25に搬送する。回転ドラム25は、回転しながら基板P上で所定のパターンが露光される部分を円周面で保持しつつ、基板Pを駆動ローラR5、R6側へ搬送する。駆動ローラR5、R6の機能については上記第1の実施の形態で述べた通りである。テンションローラRT1、RT2は、回転ドラム25に巻き付けられて支持されている基板Pに所定のテンションを与えるものである。なお、図13の参照符号215は、基板調整部214の複数のローラ、ガイドローラRs3、テンションローラRT1、回転ドラム25、テンションローラRT2、および、駆動ローラR5、R6を回転可能に支持する支持部材(露光ユニット121cの本体フレーム)である。
図16は、基板調整部214の構成を示す図である。基板調整部214は、調整ローラAR1、AR2と、テンションローラRT3を備える。調整ローラAR1、テンションローラRT3、および、調整ローラAR2は、基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)から前記の順で設けられている。この調整ローラAR1、AR2は、所定のテンション(張力)が掛けられた状態で、基板Pの搬送経路を折り曲げるように配置されている。具体的には、調整ローラAR1、AR2より下方側(−Z方向側)にテンションローラRT3を設けることで、調整ローラAR1、AR2によって所定のテンションが掛けられた状態で搬送経路が折り曲げられる。これにより、位置調整ユニット120aから+X方向に搬送される基板Pは所定のテンションが掛けられた状態で調整ローラAR1によって下方(−Z方向)に折り曲げられてテンションローラRT3に導かれ、テンションローラRT3から上方(+Z方向)に搬送される基板Pは所定のテンションが掛けられた状態で調整ローラAR2によって+X方向に折り曲げられてガイドローラRs3に導かれる。なお、テンションローラRT3は、Z方向に平行移動可能なようにY方向の両端で軸支され、基板Pが搬送される間は、−Z方向に所定の付勢力を発生して基板Pにテンションを与える。
調整ローラAR1は、ベアリング214aによって回転軸AX3aに対して回転可能となっており、調整ローラAR2も同様に、ベアリング214bによって回転軸AX3bに対して回転可能となっている。回転軸AX3a、AX3bは、Y方向に沿って平行に設けられている。調整ローラAR1、AR2は、Y方向に沿って平行な軸に対して傾斜可能でる。つまり、調整ローラAR1の回転軸AX3aの一端側(−Y方向側)は、他端側(+Y方向側)を支点としてZ方向およびX方向に微少移動可能である。調整ローラAR2も同様に、回転軸AX3bの一端側(−Y方向側)は、他端側(+Y方向側)を支点としてX方向およびZ方向に移動可能である。回転軸AX3a、AX3bの一端側(−Y方向側)の微少移動は、図示しないピエゾ素子等のアクチュエータによって駆動される。調整ローラAR1、AR2を微少に傾斜させることで、基板Pの長尺方向の搬送に伴って基板Pの幅方向の位置を微調整することができ、基板Pに生じている僅かな捩れや基板Pの内部応力による僅かな面内変形(或いは皺)を補正することができる。なお、図16では、2つの調整ローラAR1、AR2をXY面内またはYZ面内で微少に傾けられるようにしたが、調整ローラAR1、AR2は傾斜させずにテンションローラRT1を傾斜可能としてもよい。さらに、調整ローラAR1は傾斜させずに、調整ローラAR2とテンションローラRT1を傾斜可能としてもよい。
第2基板検出部(基板誤差計測部、変化計測部)208は、テンションローラRT1から回転ドラム25に向かって+Z方向に搬送される基板Pの幅方向における位置を検出する。具体的には、図15に示すように、第2基板検出部208は、基板Pの幅方向の両端側にそれぞれ設けられ、基板Pの幅方向の両端部のエッジを検出する。図17Aは、第2基板検出部208の構成を示す図、図17Bは、第2基板検出部208によって基板Pに照射されたビーム光Bmを示す図、図17Cは、第2基板検出部208によって受光されるビーム光Bmを示す図である。第2基板検出部208は、ビーム光Bmを照射する照射系216と、ビーム光Bmを受光する受光系218とを備える。照射系216は、投光部220、シリンドリカルレンズ222、および、反射ミラー224を有し、受光系218は、反射ミラー226、結像光学系228、および、撮像素子230を有する。投光部220は、ビーム光Bmを発光する光源を含み、発光したビーム光Bmを基板Pに向けて照射する。投光部220が照射したビーム光Bmは、シリンドリカルレンズ222および反射ミラー224を介して、基板P上に照射される。シリンドリカルレンズ222は、図17Bに示すように、基板P上で基板PのY方向と平行なスリット状のビーム光Bmとなるように、入射したビーム光BmをZ方向に関して収斂する。この基板Pに向かって照射されるビーム光Bmの長さをLbmとする。基板P側に向かって照射したビーム光Bmの少なくとも一部は基板Pによって反射され、基板Pに当らなかった残部のビーム光Bmは、基板Pで反射されることはなくそのまま直進する。
基板Pを反射したスリット状のビーム光Bmは反射ミラー226を介して結像光学系228に入射する。結像光学系228は、反射ミラー226から反射されたビーム光Bmを撮像素子230上で結像させ、撮像素子230は、入射したビーム光Bmを撮像する。この撮像素子230で撮像されるビーム光Bmの長さは、図17Cに示すように、基板Pを反射したビーム光Bmの長さLbm1となるので、このLbm1の長さを計測することで基板Pのエッジの位置を検出することができる。このような構成を有することで、第2基板検出部208は、テンションローラRT1から回転ドラム25に向かって+Z方向に搬送される基板Pの幅方向における位置を高精度に検出することができる。また、第2基板検出部208は、基板Pの位置を検出することで、基板Pの幅方向の位置変化、基板Pの変形(幅方向の伸縮)等に関する変化情報を検出(計測)することができる。第2基板検出部208が検出した基板Pの幅方向における位置や基板Pの変化情報は、下位制御装置204に送られる。参照符号230aは、撮像素子230の撮像領域を示す。なお、第1基板検出部202の構成も、第2基板検出部208と同様の構成にしてもよい。
露光ユニット121cの各アライメント顕微鏡(基板誤差計測部、変化計測部)AM1、AM2は、基板Pの幅方向に沿って複数設けられており、図15に示すような基板P上に形成されたアライメントマークKsを検出する。図15に示す例では、アライメントマークKsは、基板Pの両端部側に基板Pの長尺方向に沿って一定の間隔で形成されており、基板P上の長尺方向に並んだ露光領域A7と露光領域A7との間では、基板Pの幅方向に沿って一定の間隔で5つ設けられている。したがって、基板P上に形成されたアライメントマークKsを検出できるように、アライメント顕微鏡AM1(図19参照)、AM2は、基板Pの幅方向に沿って一定の間隔で5つ設けられている。アライメント顕微鏡AM1、AM2がアライメントマークKsを検出することで、回転ドラム25に支持されながら搬送されている基板Pの幅方向における位置を高精度に検出することができる。また、アライメント顕微鏡AM1、AM2は、アライメントマークKsの位置を検出することで、基板Pの幅方向の位置変化、姿勢変化、基板Pの変形等に関する変化情報を検出(計測)することができる。
このアライメント顕微鏡AM1、AM2によって検出されたアライメントマークKsの長尺方向(搬送方向)と幅方向の各々における位置情報は、下位制御装置212に送られる。下位制御装置212は、取得したアライメントマークKsの位置情報に基づいて、パターン形成位置を補正するための補正情報を生成して露光ヘッド(パターン形成部)210に送るとともに、基板Pの幅方向における位置、および、基板Pの変化情報を計算して下位制御装置204に送る。なお、図15の参照符号232は、各アライメント顕微鏡AM1の検出領域(検出視野)を示し、基板Pの搬送方向(図15ではZ方向)に関する5つの検出領域232の位置は、基板Pが回転ドラム25の外周面に安定的に密接するような位置に設定される。検出領域232の基板P上の大きさは、アライメントマークKsの大きさやアライメント精度(位置計測精度)に応じて設定されるが、100〜500μm角程度の大きさである。
ところで、図12に示すように、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの間には、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置や位置変化に関する変化情報を検出(計測)する相対位置検出部(位置誤差計測部、変化計測部)234が設けられている。図18は、相対位置検出部234の構成を示す図である。相対位置検出部234は、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの間であって、−Y方向の端部側と+Y方向の端部側とにそれぞれ設けられている。相対位置検出部234は、YZ平面における位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置変化を検出する第1検出部236と、XZ平面における位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置変化を検出する第2検出部238とを有する。これにより、相対位置検出部234は、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置や変化情報を3次元(XYZ空間)で検出することができる。
第1検出部236は、+X方向に向かってレーザ光を照射する投光部240aと、投光部240aが照射したレーザ光を受光する受光部242aとを有する。第2検出部238は、+Y方向に向かってレーザ光を照射する投光部240bと、投光部240bが照射したレーザ光を受光する受光部242bとを有する。第1検出部236の投光部240aおよび第2検出部238の投光部240bは、位置調整ユニット120aの露光ユニット121cと対向する面側(+X方向側)に設けられている。また、第1検出部236の受光部242bおよび第2検出部238の受光部242bは、露光ユニット121cの位置調整ユニット120aと対向する面側(−X方向側)に設けられている。
受光部242a、242bは、4分割センサーで構成される。つまり、受光部242a、242bは、4つのフォトダイオード(光電変換素子)244を有し、この4つのフォトダイオード244の各々が受光した受光量の差(信号レベルの差分)を用いてレーザ光のビーム中心と垂直な面内での位置変化を検出する。受光部242aに入射するレーザ光は、+X方向に進む光なので、受光部242aは、X方向に垂直なYZ平面におけるレーザ光の中心の位置や位置変化を検出する。また、受光部242bに入射するレーザ光は、+Y方向に進む光なので、受光部242bは、Y方向に垂直なXZ平面におけるレーザ光の中心の位置や位置変化を検出する。これにより、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置や位置変化に関する変化情報を3次元で検出(計測)することができる。特に、Y方向に離れた1対の第1検出部236の各検出情報の差分や平均によって、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとのX軸回りの相対回転誤差(YZ面内での相対傾斜)とY方向の相対位置誤差とがリアルタイムに計測できる。また、Y方向に離れた1対の第2検出部238の各検出情報の差分によって、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとのZ軸回りの相対回転誤差(XY面内での相対傾斜)がリアルタイムに計測できる。
図12の説明に戻り、照明機構13aは、レーザ光源を有し、露光に用いられるレーザ光(露光ビーム)LBを射出するものである。このレーザ光LBは、370nm以下の波長帯域にピーク波長を有する紫外線光であってもよい。レーザ光LBは、発振周波数Fsで発光したパルス光であってもよい。照明機構13aが射出したレーザ光LBは、露光ヘッド210に入射する。
露光ヘッド210は、照明機構13aからのレーザ光LBがそれぞれ入射する複数の描画ユニットDU(DU1〜DU5)を備えている。つまり、照明機構13aからのレーザ光LBは、反射ミラーやビームスプリッタ等を有する光導入光学系250に導かれて複数の描画ユニットDU(DU1〜DU5)に入射する。露光ヘッド210は、基板支持機構12aによって搬送され、回転ドラム25の円周面で支持されている基板Pの一部分に、複数の描画ユニットDU(DU1〜DU5)によって、パターンを描画する。露光ヘッド210は、構成が同一の描画ユニットDU(DU1〜DU5)を複数有することで、いわゆるマルチビーム型の露光ヘッド210となっている。描画ユニットDU1、DU3、DU5は、回転ドラム25の回転軸AX2に対して基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)に配置され、描画ユニットDU2、DU4は、回転ドラム25の回転軸AX2に対して基板Pの搬送方向の下流側(+X方向側)に配置されている。
各描画ユニットDUは、入射したレーザ光LBを基板P上で収斂させてスポット光にし、且つ、そのスポット光を走査ラインに沿って回転ポリゴンミラー等により高速に走査させる。各描画ユニットDUの走査ラインLは、図19に示すように、Y方向(基板Pの幅方向)に関して互いに分離することなく、繋ぎ合わされるように設定されている。図19では、描画ユニットDU1の走査ラインLをL1、描画ユニットDU2の走査ラインLをL2で表している。同様に、描画ユニットDU3、DU4、DU5の走査ラインLをL3、L4、L5で表している。このように、描画ユニットDU1〜DU5全部で露光領域A7の幅方向の全てをカバーするように、各描画ユニットDUは走査領域を分担している。なお、例えば、1つの描画ユニットDUによるY方向の描画幅(走査ラインLの長さ)を20〜50mm程度とすると、奇数番の描画ユニットDU1、DU3、DU5の3個と、偶数番の描画ユニットDU2、DU4の2個との計5個の描画ユニットDUをY方向に配置することによって、描画可能なY方向の幅を100〜250mm程度に広げている。なお、アライメント顕微鏡AM1、AM2は、走査ラインL1、L3、L5より基板Pの搬送方向の上流側(−X方向側)に設けられており、且つ、回転ドラム25の円周面で密着支持されながら搬送されている基板上に形成されたアライメントマークKsを検出する。
この描画ユニットDUは、国際公開第2013/146184号パンフレット(図36参照)に開示されているように公知技術であるが、図20を用いて描画ユニットDUについて簡単に説明する。なお、各描画ユニットDU(DU1〜DU5)は、同一の構成を有することから、描画ユニットDU2についてのみ説明し、他の描画ユニットDUについては説明を省略する。
図20に示すように、描画ユニットDU2は、例えば、集光レンズ252、描画用光学素子(光変調器)254、吸収体256、コリメートレンズ258、反射ミラー260、シリンドリカルレンズ262、フォーカスレンズ264、反射ミラー266、ポリゴンミラー(光走査部材)268、反射ミラー270、f−θレンズ272、および、シリンドリカルレンズ274を有する。
描画ユニットDU2に入射するレーザ光LBは、鉛直方向の上方から下方(−Z方向)に向けて進み、集光レンズ252を介して描画用光学素子254に入射する。集光レンズ252は、描画用光学素子254に入射するレーザ光LBを描画用光学素子254内でビームウエストとなるように集光(収斂)させる。描画用光学素子254は、レーザ光LBに対して透過性を有するものであり、例えば、音響光学素子(AOM:Acousto-Optic Modulator)が用いられる。
描画用光学素子254は、下位制御装置212からの駆動信号(高周波信号)がオフの状態のときは、入射したレーザ光LBを吸収体256側に透過し、下位制御装置212からの駆動信号(高周波信号)がオンの状態のときは、入射したレーザ光LBを回折させて反射ミラー260に向かわせる。吸収体256は、レーザ光LBの外部への漏れを抑制するためにレーザ光LBを吸収する光トラップである。このように、描画用光学素子254に印加すべき描画用の駆動信号(超音波の周波数)をパターンデータ(白黒)に応じて高速にオン/オフすることによって、レーザ光LBが反射ミラー260に向かうか、吸収体256に向かうかがスイッチングされる。このことは、基板P上で見ると、感光面に達するレーザ光LB(スポット光SP)の強度が、パターンデータに応じて高レベルと低レベル(例えば、ゼロレベル)のいずれかに高速に変調されることを意味する。
コリメートレンズ258は、描画用光学素子254から反射ミラー260に向かうレーザ光LBを平行光にする。反射ミラー260は、入射したレーザ光LBを−X方向に反射させて、シリンドリカルレンズ262、フォーカスレンズ264を介して反射ミラー266に照射する。反射ミラー266は、入射したレーザ光LBをポリゴンミラー268に照射する。ポリゴンミラー(回転多面鏡)268は、回転することでレーザ光LBの反射角を連続的に変化させて、基板P上に照射されるレーザ光LBの位置を走査方向(基板Pの幅方向)に走査する。ポリゴンミラー268は、図示しない回転駆動源(例えば、モータや減速機構等)によって一定の速度(例えば1万回転/分)で回転する。
反射ミラー260と反射ミラー266との間に設けられたシリンドリカルレンズ262は、フォーカスレンズ264と協働して、前記走査方向と直交する非走査方向(Z方向)に関してレーザ光LBをポリゴンミラー268の反射面上に集光(収斂)する。このシリンドリカルレンズ262によって、前記反射面がZ方向に対して傾いている場合(XY面の法線と前記反射面との平衡状態からの傾き)があっても、その影響を抑制することができ、基板P上に照射されるレーザ光LBの照射位置がX方向にずれることを抑制する。
ポリゴンミラー268で反射したレーザ光LBは、反射ミラー270によって−Z方向に反射され、Z軸と平行な光軸AXuを有するf−θレンズ272に入射する。このf−θレンズ272は、基板Pに投射されるレーザ光LBの主光線が走査中は常に基板Pの表面の法線となるようなテレセントリック系であり、それによって、レーザ光LBをY方向に正確に等速度で走査することが可能になる。f−θレンズ272から照射されたレーザ光LBは、母線がY方向と平行となっているシリンドリカルレンズ274を介して、基板P上に直径数μm程度の略円形の微小なスポット光SPとなって照射される。スポット光(走査スポット光)SPは、ポリゴンミラー268によって、Y方向に延びる走査ラインL2に沿って一方向に1次元走査される。
下位制御装置212は、照明機構13aおよび露光ヘッド210等を制御して、パターンを基板Pに付与する。つまり、下位制御装置212は、照明機構13aを制御してレーザ光LBを照射させるとともに、アライメント顕微鏡AM1が検出したアライメントマークKsの位置に基づいて、露光ヘッド210の各描画ユニットDUが有する描画用光学素子254を制御することで、基板P上の所定の位置に、つまり、露光領域A7にパターンを描画露光する。この下位制御装置212は、上位制御装置5の一部または全部であってもよいし、上位制御装置5に制御される、上位制御装置5とは別のコンピュータであってもよい。
ここで、基板Pの長尺方向が回転ドラム25の回転軸AX2と直交し、基板Pに捩れや皺等が発生していない状態で、基板Pを回転ドラム25に搬送することにより、基板Pへのパターンの露光精度が向上する。そのため、露光装置U3の基板搬送を行う各ローラ(Rs1〜Rs3、NR、126、AR1、AR2、RT1〜RT3、R5、R6)および回転ドラム25の回転軸を互いにY方向に沿って平行に配置し、これらの各ローラおよび回転ドラム25の回転軸に対して基板Pの長尺方向が直交するように基板Pを搬送することが望ましい。
しかし、実際には、各ローラ(Rs1〜Rs3、NR、126、AR1、AR2、RT1〜RT3、R5、R6)の回転軸が微妙にずれて設置され、各ローラの回転軸が互いに平行とならない場合がある。また、振動等によって位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの位置が相対的に変化することで、位置調整ユニット120aのローラの回転軸と露光ユニット121cのローラの回転軸と平行とならない場合もある。これにより、基板Pの内部に僅かな応力乱れや捩れや皺等が発生し、基板Pの長尺方向が回転ドラム25の回転軸AX2に対して僅かに傾いた状態で巻き付いたり、基板Pが描画すべきパターンの線幅寸法に比べると大きく変形(面内歪変形)した状態で回転ドラム25に支持されたりする。
したがって、第4の実施の形態では、下位制御装置204は、第1基板検出部202、第2基板検出部208、アライメント顕微鏡AM1、AM2、および、相対位置検出部234の検出結果に基づいて、エッジポジションコントローラEPC3aおよび基板調整部214を制御する。
詳しくは、下位制御装置204は、第1基板検出部202が検出した基板Pの幅方向における位置や基板Pの変化情報に基づいてエッジポジションコントローラEPC3aのアクチュエータ(駆動機構)206を制御することで、基板Pの幅方向における位置を調整する。例えば、下位制御装置204は、第1基板検出部202により検出された基板Pの両端部のエッジの位置から求まるY方向の中心位置と目標位置との差分を算出し、該算出した差分がゼロ(0)となるようにアクチュエータ206をフィードバック制御して、基板PをY方向に移動させる。これにより、位置調整ユニット120aから搬送される基板Pの幅方向の位置を目標位置にすることができ、基板Pに微小な捩れや皺等が発生することを抑えることができる。これによって、回転ドラム25に巻き付く基板PのY方向の位置を高精度に一定にすることができ、基板Pの長尺方向に並んだ複数のアライメントマークKsを、各アライメント顕微鏡AM1の検出領域(検出視野)232内で確実に捕捉し続けることができる。
また、下位制御装置204は、相対位置検出部234が検出した位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置や位置変化に関する変化情報を用いて、エッジポジションコントローラEPC3aのアクチュエータ206を制御することで、基板Pの幅方向における位置変化(傾斜状態の変化に伴う基板Pの幅方向へのシフト)を早期に補正することができる。また、下位制御装置204は、相対位置検出部234が検出した相対的な位置や位置変化に関する情報に基づいて、基板調整部214の調整ローラAR1、AR2の傾斜角度を調整することで、基板Pの幅方向における位置を調整する。この調整ローラAR1、AR2の傾斜角度の調整は、前記ピエゾ素子等のアクチュエータ(駆動部)を駆動させることで実行できる。これにより、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置が変化した場合であっても、回転ドラム25に搬送される基板Pの幅方向における位置を、高精度で応答性高く目標位置に設定し続けることができ、基板Pに微小な捩れや皺等が発生することを抑えることができる。
また、アライメント顕微鏡AM1、AM2が検出したアライメントマークKsの位置によっても基板Pの幅方向における位置や、基板Pの微小な捩れや皺等の基板Pの姿勢変化、変形に関する変化情報もわかる。そのため、下位制御装置204は、検出されたアライメントマークKsの位置に基づいて、エッジポジションコントローラEPC3a(アクチュエータ206)、および、基板調整部214(前記ピエゾ素子等のアクチュエータ)を制御することで、基板Pの幅方向における位置を調整する。これにより、回転ドラム25に搬送される基板Pの幅方向における位置を、高精度で応答性高く目標位置にすることができ、基板Pに微小な捩れや皺等が発生することを抑えることができる。
また、下位制御装置204は、第2基板検出部208が検出した回転ドラム25に搬送される直前の基板Pの幅方向の位置に基づいて、基板Pの幅方向における位置が目標位置にあるか否か、基板Pに捩れ(傾斜)が発生していないか否か等を確認する。基板Pの捩れ(傾斜)の検出では、図17Aで説明した検出系によるビーム光Bmの基板Pに対する入射角を大きくして、基板Pが表面の法線方向(図17AではX方向)にシフトした場合、撮像素子230の撮像領域230a内ではビームBmの反射像BmがZ方向にシフトすることを利用すればよい。第2基板検出部208も基板Pの両側のエッジ部Ea、Ebの各々に対応して設けられているので、反射ビームBmの像の撮像領域230a内でのZ方向へのシフト量を比較する(差分値を求める)ことで、基板Pの幅方向に関する微少な傾斜量を求めることも可能である。
そして、基板Pの幅方向における位置が目標位置にない場合は、下位制御装置204は、第2基板検出部208が検出した基板Pの幅方向における位置や基板Pの変化情報に基づいてエッジポジションコントローラEPC3a(アクチュエータ206)、および、基板調整部214(前記ピエゾ素子等のアクチュエータ)を制御することで、基板Pの幅方向における位置を調整する。これにより、回転ドラム25に搬送される基板Pの幅方向における位置を目標位置にすることができる。
ただし、第2基板検出部208は、回転ドラム25に基板Pが巻き付く直前の位置に配置されているため、この位置で突発的に基板Pの幅方向の大きな変化、例えば、アライメント顕微鏡AM1の検出領域232からアライメントマークKsが外れるような大きな位置ずれエラーが生じた場合は、露光領域A7に形成すべきパターンを精密に位置決めすることが困難となる。そのような場合は、アライメントマークKsが検出領域232内に捕捉されるまで、露光領域A7に対するパターン形成を中止してスキップしたり、一時的に基板Pを一定長分だけ逆転させて、再び順方向に搬送しながらアライメント顕微鏡AM1によるアライメントマークKsの再検出を行う等のエラーシーケンス(リトライ動作等)が実行される。
このように、第4の実施の形態においても、露光ユニット121cと、位置調整ユニット120aとをそれぞれ独立状態(振動の伝達が絶縁される状態)で設けることができる。このため、露光ユニット121cは、除振台131により、位置調整ユニット120aからの振動を低減でき、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第4の実施の形態においては、下位制御装置204は、第1基板検出部202、第2基板検出部208、および、アライメント顕微鏡AM1、AM2の検出結果に基づいて、エッジポジションコントローラEPC3aおよび基板調整部214を制御する。これにより、露光ヘッド210による基板Pへのパターンの露光精度を向上させることができる。下位制御装置204は、相対位置検出部234の検出結果に基づいて、エッジポジションコントローラEPC3aおよび基板調整部214を制御する。これにより、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置が変化した場合であっても、露光ヘッド210による基板Pへのパターンの露光精度を向上させることができる。
なお、上記第4の実施の形態では、露光装置U3内に、位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとを設ける構成にしたが、基板Pの搬送方向からみて位置調整ユニット120aの直後に露光ユニット121cが設置される構成であればよい。したがって、露光装置U3内に位置調整ユニット120aを設けなくてもよい。この場合は、位置調整ユニット120aは、基板Pの搬送方向からみて、図1のような露光装置U3の直前に配置される処理装置U(U2)側に設けてもよい。または、露光装置U3の直前に基板供給装置2が設けられる場合は、その基板供給装置2内に位置調整ユニット120aの機能を設けてもよい。
また、露光装置U3、露光ユニット121、121c等(第2処理ユニット)による光パターニング工程の直前の工程は、基板Pの表面に液状の感光層を形成(塗布)する工程と、その感光層を乾燥(ベーク)する工程とがセットになっている。しかしながら、感光層としてドライフィルムを用いる場合は、ラミネーター等の圧着式の転写装置を用いて、ドライフィルム上の感光層を被露光基板となる基板Pの表面に圧着によって転写する工程(感光層の形成工程)となり、乾燥工程が不要となる場合もある。したがって、光パターニング工程の直前の工程を司る前処理装置(第1処理ユニット)としては、基板Pの表面に感光層を形成する感光層形成装置、または基板Pを乾燥する乾燥(加熱)装置であり、それらの前処理装置内の基板搬送路の下流側(基板搬出部)、またはその前処理装置と光パターニング装置との間に、位置調整ユニット120aの機能を設けることができる。
また、パターニング工程として、印刷機が使われる場合、その直前の工程としては、基板Pの表面へのインクの密着性を高めるために、基板Pの表面全体、或いはパターン形成すべき部分のみを改質処理する工程(撥液性/親液性の選択的な付与工程等)が実施される。そのような表面改質処理工程も、単独または複数の前処理装置で実施されるので、印刷機の直前に設置される前処理装置内の基板搬送路の下流側(基板搬出部)、またはその前処理装置と印刷機との間に、位置調整ユニット120aの機能を設けることができる。
上記第4の実施の形態では、位置調整ユニット120aに第1基板検出部202を設け、露光ユニット121cに第2基板検出部208を設けたが、第1基板検出部202および第2基板検出部208のどちらか一方のみを設けてもよい。また、第1基板検出部202および第2基板検出部208の両方を設けなくてもよい。第1基板検出部202および第2基板検出部208が無くても、アライメント顕微鏡AM1、AM2によって、基板Pの幅方向における位置等を検出することができるからである。
上記第4の実施の形態では、処理装置U3を露光装置として説明したが、基板Pにパターンを付与するパターン形成装置であればよい。パターン形成装置としては、例えば、露光装置の他に、インクを塗布することで基板Pにパターンを付与するインクジェット印刷機等が挙げられる。この場合は、露光ヘッド210は、インク材を液滴にして選択的に付与することで基板Pにパターンを描画する多数のノズルを備えたノズルヘッド部(パターン形成部)に置き換え、露光ユニット121、121a〜121cは、パターン形成部を有するパターニング装置に置き換えられる。また、上記第1〜第3の実施の形態でも同様に、処理装置U3は、基板Pにパターンを付与するパターン形成装置であってもよい。
上記各実施の形態で説明したように、基板Pに電子デバイス用の微細パターンを形成する露光装置やインクジェット印刷機等のパターニング装置では、基板P上にパターンを精密に位置決めして形成することが重要である。その位置決め精度を低下させるような外乱因子の1つである振動は、近くに設置される処理装置に内蔵された空圧用や液体用のコンプレッサやポンプ等から発生し、工場の床を介して、露光ヘッド(パターン形成部)210や基板Pを支持する回転ドラム25等の支持部材に伝わってくる。その振動伝達の経路を絶縁するために、パターニング装置に防振装置(除振台131等)を設けることが有効である。また、工場の床(基礎)はできるだけ強固で、共振周波数が低くなるように施工する方が望ましいが、上記の各実施の形態では、床条件がそのように厳しくなくても、基板Pを精密に搬送して高精度なパターニングが可能である。
例えば、製造ラインの構築時に、パターニング装置(露光ユニット121、121a〜121c)を通る基板Pが幅方向にシフトしないように、パターニング装置内のローラと、パターニング装置の上流側の処理装置(位置調整ユニット120、120a)内のローラとの平行出しを行って、基板Pの処理を開始した後、時間経過に伴って装置荷重等の影響で床が部分的に僅かにへこんで傾斜したりする場合がある。そのような場合でも、第1基板検出部202(202a、202b)や相対位置検出部234によって、基板Pがパターニング装置内に搬入される際の幅方向の位置変位や変形(捩れによる微少傾斜)を計測して、基板調整部214(ローラAR1、RT3、AR2)によって補正することができる。
また、第4の実施の形態の場合、図16に示すような複数のローラ(そのうちの少なくとも1つのローラは傾斜可能)で構成される基板調整部214は、図12に示すように露光ユニット121c側の本体フレーム215に設けられているが、位置調整ユニット120a内の本体フレーム207bに設けてもよい。その場合、振動伝達を絶縁若しくは抑制するために相互に分離される位置調整ユニット120a(第1の処理装置)と露光ユニット121c(第2の処理装置)において、露光ユニット121c側に設けられる第2基板検出部208は、図2中に示された第2基板検出部124と同様に、ガイドローラRs3、またはテンションローラRT1の近傍に設けられる。さらに、位置調整ユニット120a(第1の処理装置)と露光ユニット121c(第2の処理装置)のいずれとも独立して、基板調整部214を単独のユニットとして設置面Eに設けてもよい。
光パターニング工程を行う露光ユニット121、121c等(第2処理ユニット)と、光パターニング工程の直前の工程を司る前処理装置(第1処理ユニット)との間に、位置調整ユニット120aまたは第1基板検出部202を設ける場合は、第1基板検出部202によって、第1処理ユニットから第2処理ユニットに搬送される基板Pの位置変化を検出することができる。また、第1処理ユニット内の基板Pの搬送方向の下流側に位置調整ユニット120aまたは第1基板検出部202を設ける場合は、第1基板検出部202によって、第1処理ユニットから第2処理ユニットに搬送される基板Pの位置変化を検出してもよいし、第1基板検出部202が検出した基板Pの位置と、第2基板検出部208またはアライメント顕微鏡AM1、AM2によって検出された基板Pの位置とから、第1処理ユニットから第2処理ユニットに搬送される基板Pの位置変化を検出してもよい。また、相対位置検出部234が位置調整ユニット120aと露光ユニット121cとの相対的な位置や位置変化を検出することで、第1処理ユニットから第2処理ユニットに搬送される基板Pの位置変化を検出してもよい。