JP2019059340A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トレッド中央部がタイヤ径方向外側に突き出るように湾曲した形状を有する空気入りタイヤにおいて、トレッド中央部におけるチッピングを防止し、且つ、偏摩耗を抑制してタイヤの摩耗寿命を改善する空気入りタイヤを提供する。【解決手段】タイヤ赤道CLを中心とした接地幅TWの30%〜70%の領域をセンター領域Cとし、センター領域Cのタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域Sとしたとき、キャップトレッドゴム層11のセンター領域Cに含まれる部分を構成するゴムAの硬度をキャップトレッドゴム層11のショルダー領域Sに含まれる部分を構成するゴムBの硬度よりも小さくし、ゴムAの硬度とゴムBの硬度との差をJIS‐A硬度で5以上10以下にし、ゴムAの硬度をアンダートレッドゴム層12を構成するゴムの硬度よりも大きくする。【選択図】図2
Description
本発明は、トラック・バス用空気入りタイヤに関する。
トラック・バス等の重荷重用車両向け空気入りタイヤのトレッド表面は、一般的に、子午線断面において中央部(タイヤ赤道側)ほどタイヤ径方向外側に突き出るように湾曲した形状を有する(例えば、特許文献1を参照)。このようなタイヤでは、トレッド中央部、即ち、タイヤ径方向外側に突き出た部分ほど、接地圧が高くなる傾向がある。このように局所的に接地圧が増大すると、走行条件などによっては、接地圧の高い部分(トレッド部の中央側)において、トレッドゴムの剥離(チッピング)が生じ易くなる虞がある。また、タイヤ幅方向の位置による接地圧の違いに起因して偏摩耗が生じてタイヤの摩耗寿命が短くなる虞がある。そのため、トレッド部が上述の湾曲形状を有するトラック・バス用の空気入りタイヤにおいて、トレッド中央部におけるチッピングを防止し、且つ、偏摩耗を抑制してタイヤの摩耗寿命を改善する対策が求められている。
本発明の目的は、トラック・バス用空気入りタイヤにおいて、トレッド中央部におけるチッピングを防止し、且つ、偏摩耗を抑制してタイヤの摩耗寿命を改善する空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間にカーカス層が装架され、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に複数の補強層が積層された空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部における前記補強層の外周側のトレッドゴム層が、前記補強層の外周側に隣接したアンダートレッドゴム層と、前記アンダートレッドゴム層の外周側に隣接してトレッド表面に露出するキャップトレッドゴム層とからなる2層構造を有し、タイヤ赤道を中心とした接地幅の30%〜70%の領域をセンター領域とし、センター領域のタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域としたとき、前記キャップトレッドゴム層の前記センター領域に含まれる部分を構成するゴムAの硬度が前記キャップトレッドゴム層の前記ショルダー領域に含まれる部分を構成するゴムBの硬度よりも小さく、ゴムAの硬度とゴムBの硬度との差がJIS‐A硬度で5以上10以下であり、前記ゴムAの硬度が前記アンダートレッドゴム層を構成するゴムの硬度よりも大きいことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、キャップトレッドゴム層を構成するゴムAおよびゴムBの硬度が上述のように設定されているので、接地圧が増大し易いトレッド中央部を構成するゴムを柔軟にすることができ、センター領域の接地圧が過度に高まることを防止して、センター領域におけるチッピングを抑制することができる。また、上述のゴムAとゴムBとの硬度差によって、トレッド部全体の接地圧が平均化されるので、偏摩耗を抑制することができ、タイヤの摩耗寿命を延長することができる。更に、キャップトレッドゴム層を構成するゴムAとアンダートレッドゴム層を構成するゴムとの硬度の関係を上述のように設定して、トレッド部の全体としての物性を良好にしているので、発熱性を改善することができる。
本発明においては、トレッド部に2本以上の主溝を有し、各主溝の溝深さが、各主溝の溝下における複数の補強層の最外層の外表面からトレッド表面までのゴム厚さの50%以上80%以下であることが好ましい。このように溝深さを設定することで、チッピングを抑制しながら、タイヤの摩耗寿命を延長するには有利になる。
本発明においては、ゴムAが、ジエン系ゴム100質量部に対して窒素吸着比表面積N2 SAが120m2 /g未満のカーボンブラックを45質量部未満配合されたゴム組成物であり、ゴムBが、ジエン系ゴム100質量部に対して窒素吸着比表面積N2 SAが120m2 /g以上未満のカーボンブラックを45質量部以上配合されたゴム組成物であることが好ましい。このように各部分を構成するゴム(ゴムAおよびゴムB)として特定のゴム組成物を用いることで、センター領域およびショルダー領域のそれぞれの物性を調整にすることができ、トレッド中央部におけるチッピングを防止し、偏摩耗を抑制してタイヤの摩耗寿命を延長し、且つ、タイヤの発熱性を改善するには有利になる。
本発明においては、「接地幅」とは、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態で平面上に垂直に置いて正規荷重を加えたときに、タイヤが置かれた平面に実際に接触する面(接地面)のタイヤ軸方向の両端部(接地端)の間のタイヤ幅方向に沿った長さである。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。尚、図1において、符号CLはタイヤ赤道を示し、符号Eは接地端を示す。尚、図示の例では、接地端Eが、タイヤ幅方向最外側のブロックのタイヤ幅方向外側のエッジ(タイヤ幅方向最外側のブロックの踏面とタイヤ幅方向外側の側面とが成す縁部)と一致している。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では4層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。本発明では、ベルト層7の外周側に、更にベルト補強層(不図示)を設けることもできる。以降の説明では、ベルト層7とベルト補強層とを総称して「補強層」と言う。ベルト補強層を設ける場合、ベルト補強層は、例えばタイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含み、この有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側にはトレッドゴム層10が配され、サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層20が配され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層30が配されている。トレッドゴム層10は、物性の異なる2種類のゴム層(キャップトレッドゴム層11およびアンダートレッドゴム層12)がタイヤ径方向に積層した構造を有する。
本発明は、このような一般的な空気入りタイヤに適用されるが、その断面構造は上述の基本構造に限定されるものではない。
図2に拡大して示すように、キャップトレッドゴム層11は、更に、ゴム硬度の異なる2種類のゴム(相対的にゴム硬度が小さいゴムAおよび相対的にゴム硬度が大きいゴムB)で構成される。これらゴムは、タイヤ赤道CLを中心とした接地幅TWの30%〜70%の領域をセンター領域Cとし、このセンター領域Cのタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域S(それぞれ接地幅TWの15%〜35%の幅)としたとき、センター領域Cに含まれるキャップトレッドゴム層11の部分がゴムAで構成され、ショルダー領域Sに含まれるキャップトレッドゴム層11の部分がゴムBで構成される。言い換えると、キャップトレッドゴム層11を構成する2種類のゴム(ゴムA,ゴムB)の境界が、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側に向かって接地幅TWの15%〜35%の位置に存在している。このように、センター領域Cを柔軟なゴムで構成することで、トレッド表面の湾曲形状に起因して接地圧が増大し易いトレッド中央部において、接地圧が過度に高まることを防止して、センター領域におけるチッピングを抑制することができる。
これらゴムA,ゴムBの硬度差は、JIS‐A硬度で5以上10以下、好ましくは6以上9以下である。各ゴムの具体的な硬度は特に限定されないが、空気入りタイヤとしての基本的な性能を発揮するために、ゴムAの硬度を例えば60〜70、ゴムBの硬度を例えば65〜80にするとよい。尚、「JIS‐A硬度」とは、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定された硬さである。
更に、アンダートレッドゴム層12を構成するゴムをゴムCとすると、ゴムAの硬度はゴムCの硬度よりも大きく設定される。ゴムAとゴムCとの硬度差は特に限定されないが、JIS‐A硬度で好ましくは2以上5以下、より好ましくは3以上4以下にするとよい。また、ゴムCの具体的な硬度についても特に限定はされないが、空気入りタイヤとしての基本的な性能を発揮するために、例えば55〜60にするとよい。
上述のゴム硬度の関係を纏めると、本発明では、ゴムA,ゴムB,ゴムCの硬度をそれぞれHA ,HB ,HC としたとき、これら硬度がHC <HA <HB 、且つ、5≦HB −HA ≦10の関係を満たしている。このようにゴム硬度の関係を設定しているので、トレッド部全体の接地圧が平均化されて、偏摩耗を抑制することができ、タイヤの摩耗寿命を延長することができる。また、トレッド部の全体としての物性を良好にしているので、発熱性を改善することもできる。
キャップトレッドゴム層を構成するゴムAおよびゴムBの境界が、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側に向かって接地幅TWの15%未満の位置に存在し、上述のセンター部Cよりも狭い範囲がゴムAで構成されると、接地圧が高まり易いトレッド中央部を適切に柔軟にすることができず、チッピングを防止する効果が限定的になる。キャップトレッドゴム層を構成するゴムAおよびゴムBの境界が、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向外側に向かって接地幅TWの35%を超える位置に存在し、上述のセンター部Cよりも広い範囲がゴムAで構成されると、トレッド部の大半が柔軟になるため、通常のタイヤ性能に影響が出る虞がある。ゴムAとゴムBの硬度差が5未満であると、ゴムA(相対的に低硬度のゴム)によってトレッド中央部を充分に柔軟にすることができず、チッピングを防止する効果が限定的になる。ゴムAとゴムBの硬度差が10を超えると、ゴムAが過度に低硬度になるか、ゴムBが過度に高硬度になるため、通常のタイヤ性能に影響が出る虞がある。アンダートレッドゴム層12(ゴムC)がキャップトレッドゴム層11(ゴムA)よりも高硬度であると、耐チッピング性が悪化する。
本発明の空気入りタイヤのトレッド部1には、タイヤ周方向に延在する主溝40を2本以上設けることができる。つまり、これら主溝40によって3列以上の陸部50を形成することができる。図2の例では、キャップトレッドゴム層11を構成するゴムAとゴムBとの境界が、主溝40の位置と一致しているが、ゴムAとゴムBとの境界は、上述の範囲に存在すれば良いので、必ずしも主溝40の位置と一致する必要は無い。各主溝40の溝深さDは、各主溝40の溝下における複数の補強層(図示の例ではベルト層7)の最外層の外表面からトレッド表面までのゴム厚さGの好ましくは50%以上80%以下、より好ましくは60%以上70%以下であるとよい。このとき、各主溝40の溝深さDがゴム厚さGの50%未満であると、トレッド部1の摩耗が進行した際に溝深さを充分に維持することができず摩耗寿命を充分に延長することが難しくなる。各主溝40の溝深さDがゴム厚さGの80%を超えると、溝下のゴムゲージが過度に薄くなり、通常のタイヤ性能に影響が出る虞がある。
本発明の空気入りタイヤのトレッドゴム層10(キャップトレッドゴム層11、アンダートレッドゴム層12)を構成するゴムA,ゴムB,ゴムCはそれぞれジエン系ゴムに対して特定のカーボンブラックが所定量配合されたゴム組成物である。特に、カーボンブラックの特性や配合量を異ならせることで、硬度を上述の関係に設定している。
各ゴム組成物(ゴムA〜C)において、上述のように、ゴム成分はジエン系ゴムである。ジエン系ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム等を例示することができる。いずれもタイヤ用ゴム組成物に通常用いられるゴムを使用することができる。なかでも天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましい。これらは、単独または任意のブレンドとして使用することができる。
そして、ゴムAでは、上述のジエン系ゴム100質量部に対して、窒素吸着比表面積N2 SAが120m2 /g未満、好ましくは115m2 /g〜70m2 /gのカーボンブラックが45質量部未満、好ましくは37質量部〜40質量部配合される。一方、ゴムBでは、上述のジエン系ゴム100質量部に対して、窒素吸着比表面積N2 SAが120m2 /g以上、好ましくは130m2 /g〜150m2 /gのカーボンブラックが45質量部以上、好ましくは47質量部〜55質量部配合される。また、ゴムCについては、特に限定されないが、窒素吸着比表面積N2 SAが好ましくは30m2 /g〜60m2 /gのカーボンブラックが好ましくは35質量部〜40質量部配合される。尚、本発明において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積N2 SAは、JIS6217‐2に準拠して測定するものとする。
各ゴム組成物(ゴムA〜C)には、上記以外の他の配合剤を添加することができる。他の配合剤としては、上述のカーボンブラック以外の充填材、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂など、一般的に空気入りタイヤ用ゴム組成物に使用される各種配合剤を例示することができる。これら配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量にすることができる。また混練機としは、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用することができる。
各ゴム組成物(ゴムA〜C)を上述のゴム組成物とすることで、上述の配合や物性により、各ゴムのゴム硬度を上述の関係に適切に設定することができ、トレッド中央部におけるチッピングを防止し、偏摩耗を抑制してタイヤの摩耗寿命を延長し、且つ、タイヤの発熱性を改善するには有利になる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す配合からなる6種類のゴム組成物(ゴム1〜6)を、それぞれ加硫促進剤および硫黄を除く配合成分を秤量し、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度145℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。その後、このマスターバッチを1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに供し、加硫促進剤及び硫黄を加え3分間混合してゴム組成物を調製した。次に、得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間の条件でプレス加硫して加硫ゴム試験片を作製した。得られた加硫ゴム試験片を用いて、JIS K6253に準拠し、デュロメータのタイプAにより温度20℃における硬度を測定した。これにより、硬度の異なる6種類のゴム組成物を得た。
表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、TSR20
・CB1:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックS118(窒素吸着比表面積N2 SA=140m2 /g)
・CB2:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN326(窒素吸着比表面積N2 SA=80m2 /g)
・CB3:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN550(窒素吸着比表面積N2 SA=40m2 /g)
・酸化亜鉛:正同化学工業社製 酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:NOF CORPORATION社製ステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス社製サントフレックス6PPD
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロンOT‐20
・加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーNS‐P
・NR:天然ゴム、TSR20
・CB1:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックS118(窒素吸着比表面積N2 SA=140m2 /g)
・CB2:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN326(窒素吸着比表面積N2 SA=80m2 /g)
・CB3:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN550(窒素吸着比表面積N2 SA=40m2 /g)
・酸化亜鉛:正同化学工業社製 酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:NOF CORPORATION社製ステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス社製サントフレックス6PPD
・硫黄:四国化成工業社製ミュークロンOT‐20
・加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーNS‐P
更に、上述の6種類のゴム組成物(ゴム1〜6)を組み合わせて用いて、タイヤサイズが11R22.5であり、図1に例示する基本構造を有し、センター領域の幅、キャップトレッドゴム層を構成するゴム(ゴムA,ゴムB)とアンダートレッドゴム層を構成するゴム(ゴムC)の種類(組み合わせ方)、これら硬度の大小関係、硬度差HB −HA 、HA −HC 、主溝深さ(ゴム厚さに対する割合)をそれぞれ表2のように設定した標準例1、比較例1〜7、実施例1〜6の14種類の空気入りタイヤを作製した。
表2の「ゴムAの種類」「ゴムBの種類」「ゴムCの種類」の欄にはそれぞれ、表1で示したゴム1〜6および各ゴムの硬度をHA 〜HC として併記した。
作製した空気入りタイヤについて、下記に示す方法により、耐チッピング性、発熱性、耐摩耗性の評価を行った。
耐チッピング性
各試験タイヤをリム幅8.25インチのホイールに組み付けて、空気圧700kPaを満填して、排気量13Lの試験車両に装着し、未舗装の悪路を最大40km/hまでの速度範囲にて5000km走行し、走行後のトレッド部の状態を観察し、外傷の範囲および外傷の深さを目視で評価した。評価結果は、標準例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど外傷の範囲や深さが小さく耐チッピング性に優れることを意味する。
各試験タイヤをリム幅8.25インチのホイールに組み付けて、空気圧700kPaを満填して、排気量13Lの試験車両に装着し、未舗装の悪路を最大40km/hまでの速度範囲にて5000km走行し、走行後のトレッド部の状態を観察し、外傷の範囲および外傷の深さを目視で評価した。評価結果は、標準例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど外傷の範囲や深さが小さく耐チッピング性に優れることを意味する。
発熱性
各試験タイヤを、リム幅8.25インチのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧700kPa、荷重23kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、標準例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低く、低発熱性であることを意味する。
各試験タイヤを、リム幅8.25インチのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧700kPa、荷重23kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、標準例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低く、低発熱性であることを意味する。
耐摩耗性
各試験タイヤをリム幅8.25インチのホイールに組み付けて、空気圧700kPaを充填して、排気量13Lの試験車両に装着し、乾燥路面からなるテストコースにて4万km走行させた後のトレッドセンター部とトレッドショルダー部の最大摩耗量の差を計測した。評価結果は、標準例1の値の逆数を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど最大摩耗量の差が小さく耐摩耗性(耐偏摩耗性)に優れていることを意味する。
各試験タイヤをリム幅8.25インチのホイールに組み付けて、空気圧700kPaを充填して、排気量13Lの試験車両に装着し、乾燥路面からなるテストコースにて4万km走行させた後のトレッドセンター部とトレッドショルダー部の最大摩耗量の差を計測した。評価結果は、標準例1の値の逆数を100とする指数で示した。この指数値が大きいほど最大摩耗量の差が小さく耐摩耗性(耐偏摩耗性)に優れていることを意味する。
表2から明らかなように、実施例1〜6の空気入りタイヤは、標準例1の空気入りタイヤに対して、耐チッピング性、発熱性、耐摩耗性をバランスよく改善した。
一方、比較例1の空気入りタイヤは、低硬度のゴム組成物が配置されるセンター領域の幅が狭過ぎるため、発熱性および耐摩耗性が悪化した。比較例2の空気入りタイヤは、低硬度のゴム組成物が配置されるセンター領域の幅が広過ぎるため、耐チッピング性、発熱性、耐摩耗性のいずれもが悪化した。比較例3の空気入りタイヤは、キャップトレッドゴム層のセンター領域とショルダー領域とで硬度差が大き過ぎるため、耐チッピング性および耐摩耗性が悪化した。比較例4の空気入りタイヤは、キャップトレッドゴム層のセンター領域よりもアンダートレッドゴム層の硬度が大きいため、発熱性および耐摩耗性が悪化した。比較例5の空気入りタイヤは、キャップトレッドゴム層のセンター領域とアンダートレッドゴム層とが同硬度であるため、発熱性が悪化した。比較例6の空気入りタイヤは、キャップトレッドゴム層のセンター領域とショルダー領域とで硬度差が小さ過ぎるため、耐チッピング性および耐摩耗性が悪化した。比較例7の空気入りタイヤは、キャップトレッドゴム層のセンター領域とショルダー領域とで硬度の大小関係が逆転しているため、耐チッピング性、発熱性、および耐摩耗性のいずれもが悪化した。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
10 トレッドゴム層
11 キャップトレッドゴム層
12 アンダートレッドゴム層
20 サイドゴム層
30 リムクッションゴム層
40 主溝
50 陸部
CL タイヤ赤道
E 接地端
TW 接地幅
C センター領域
S ショルダー領域
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
10 トレッドゴム層
11 キャップトレッドゴム層
12 アンダートレッドゴム層
20 サイドゴム層
30 リムクッションゴム層
40 主溝
50 陸部
CL タイヤ赤道
E 接地端
TW 接地幅
C センター領域
S ショルダー領域
Claims (3)
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記一対のビード部間にカーカス層が装架され、前記トレッド部における前記カーカス層の外周側に複数の補強層が積層された空気入りタイヤにおいて、
前記トレッド部における前記補強層の外周側のトレッドゴム層が、前記補強層の外周側に隣接したアンダートレッドゴム層と、前記アンダートレッドゴム層の外周側に隣接してトレッド表面に露出するキャップトレッドゴム層とからなる2層構造を有し、タイヤ赤道を中心とした接地幅の30%〜70%の領域をセンター領域とし、センター領域のタイヤ幅方向外側の領域をそれぞれショルダー領域としたとき、前記キャップトレッドゴム層の前記センター領域に含まれる部分を構成するゴムAの硬度が前記キャップトレッドゴム層の前記ショルダー領域に含まれる部分を構成するゴムBの硬度よりも小さく、ゴムAの硬度とゴムBの硬度との差がJIS‐A硬度で5以上10以下であり、前記ゴムAの硬度が前記アンダートレッドゴム層を構成するゴムの硬度よりも大きいことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記トレッド部に2本以上の主溝を有し、各主溝の溝深さが、各主溝の溝下における前記複数の補強層の最外層の外表面からトレッド表面までのゴム厚さの50%以上80%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴムAが、ジエン系ゴム100質量部に対して窒素吸着比表面積N2 SAが120m2 /g未満のカーボンブラックを45質量部未満配合されたゴム組成物であり、前記ゴムBが、ジエン系ゴム100質量部に対して窒素吸着比表面積N2 SAが120m2 /g以上未満のカーボンブラックを45質量部以上配合されたゴム組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021020555A (ja) * | 2019-07-26 | 2021-02-18 | 住友ゴム工業株式会社 | 重荷重用空気入りタイヤ |
CN113966281A (zh) * | 2019-06-26 | 2022-01-21 | 住友橡胶工业株式会社 | 充气轮胎 |
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- 2017-09-26 JP JP2017185281A patent/JP2019059340A/ja active Pending
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