JP2019059077A - インクジェットヘッド、インクジェットヘッドの製造方法、および画像形成装置 - Google Patents
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図1は、実施形態に係るインクジェット方式の画像形成装置の概略を示す構成図である。この図に示す画像形成装置200は、給紙部210と、画像記録部220と、排紙部230とを備える。このような画像形成装置200は、給紙部210に格納された記録媒体Mを画像記録部220に搬送し、画像記録部220において記録媒体Mに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Mを排紙部230に搬送する構成である。このうち、画像記録部220が、実施形態において特徴的なインクジェットヘッドを有する。
搬送ドラム221は、円柱形をなしており、その側周面が記録媒体Mを載置させる搬送面となっている。搬送ドラム221は、その搬送面上に記録媒体Mを保持した状態で図1中の矢印の向きに回転することによって、記録媒体Mを搬送面に沿って搬送する。
受け渡しユニット222は、給紙部210の媒体供給部212と搬送ドラム221との間の位置に設けられている。この受け渡しユニット222は、媒体供給部212から搬送された記録媒体Mの一端を保持し、取り上げ搬送ドラム221も搬送面上に引き渡す。
加熱部223は、受け渡しユニット222とヘッドユニット224との間に設けられ、搬送ドラム221により搬送される記録媒体Mが所定の温度範囲内の温度となるように記録媒体Mを加熱する。このような加熱部223は、例えば、赤外線ヒーター等を用いて構成され、制御部(図示省略)から供給される制御信号に基づいて赤外線ヒーターに通電して加熱が行われる。
ヘッドユニット224は、画像データに基づいて、記録媒体Mが保持された搬送ドラム221の回転に応じた適切なタイミングで記録媒体Mに対してインクを射出して画像を形成する。ヘッドユニット224は、そのインク射出面が搬送ドラム221の搬送面に対向して所定の距離を置いて配置される。本実施形態の画像形成装置200では、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット224が、記録媒体Mの搬送方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
再び図1に戻り、定着部225は、記録媒体Mの搬送方向について、ヘッドユニット224の配置位置の下流側、かつデリバリー部226の上流側に設けられている。定着部225は、搬送ドラム221の幅方向にわたって配置された発光部を有し、搬送面に載置された記録媒体Mに対して発光部から紫外線等のエネルギー線を照射して記録媒体M上に射出されたインクを硬化させて定着させる。
デリバリー部226は、記録媒体Mの搬送方向について、定着部225の下流側、かつ受け渡しユニット222の上流側に設けられている。デリバリー部226は、搬送ドラム221から受け渡された記録媒体Mを搬送して排紙部230に送出する。
次に上述した画像形成装置200のヘッドユニット224に設けられた第1実施形態に係るインクジェットヘッド101の構成を説明する。
ノズル基板1は、長尺の薄板状の基板部材であって、基板部材を厚み方向に貫通する複数のノズル1aを備えている。各ノズル1aは、図1に示した搬送ドラム221側にインクを吐出するための孔部として形成されている。このノズル1aは、例えば、圧力室基板2側から、先に説明したヘッドユニットの底面側に向かって開口径が小さくなるように、側壁がテーパー形状に成形されている。このようなノズル基板1は、ヘッドユニットの底面の一部を構成している。
圧力室基板2は、長尺の基板部材であって、基板部材を厚み方向に貫通する複数の圧力室2aを備えている。インクを貯留するためのチャネルとして設けられた空間部分であり、内部に貯留したインクに対して圧力の印加が自在なインク室としての空間である。このような圧力室2aは、それぞれが略矩形の開口形状を有し、ノズル基板1に設けた各ノズル1aに連通する様に設けられている。
図3および図4に示すように、配線基板3は、圧力室基板2の接続面S2aに貼り合わせた状態で設けられている。圧力室基板2と配線基板3とは、異方性の導電性接着剤6によって貼り合わせられている。この配線基板3は、圧力室基板2よりも一回り大きな平面矩形形状の基板部材によって構成されたもので、圧力室基板2に貼り合わせられた状態で圧力室基板2の全周にわったって圧力室基板2からはみ出す大きさを有している。
インク流路3aは、配線基板3に設けられた第1の貫通孔であって、圧力室基板2に貼り合わせられた配線基板3において、圧力室基板2の圧力室2aと対応する各位置に設けられている。各インク流路3aは、それぞれが略矩形の開口形状を有し、圧力室基板2と配線基板3とを貼り合わせた状態で、各圧力室2aと個別に連通する。このため配線基板3には、複数のインク流路3aが、略矩形の開口形状の短辺方向に沿って4列に配置されており、奇数列目のインク流路3aと、偶数列目のインク流路3aとが、列方向に半ピッチずらして配置された状態となっている。
配線孔3bは、配線基板3に設けられた第2の貫通孔であって、圧力室基板2に貼り合わせられた配線基板3において、圧力室基板2からはみ出した位置であって、インク流路3aの両端の配列のさらに外側に配列して設けられている。各配線孔3bは、インク流路3aの配列に合わせて設けられている。すなわち、インク流路3aの両側に配列された各配線孔3bは、隣接する列のインク流路3aに対して、列方向に半ピッチずらして配置されている。各配線孔3bの開口形状が特に限定されることはないが、孔内に配線基板3の両側の主表面に達する配線が形成できればよい。
配線31は、圧力室基板2に設けられた駆動電極21を、配線基板3を介してフレキシブル基板5に引き出すための接続用の配線であって、各インク流路3aに対応して設けられている。各配線31は、異方性の導電性接着剤6によって、圧力室基板2の接続面S2a上に設けられた個別電極21aにおいて駆動電極21に接続された状態となっている。
図3および図4に示すマニホールド4は、共通インク室4aを備えた筐体である。このマニホールド4は、配線基板3の裏面S3bに貼り合わせた状態で設けられている。配線基板3に対するマニホールド4の配置位置は、配線基板3の配線孔3bの配列の内側であって、配線基板3の全てのインク流路3aを共通インク室4aで覆う位置である。なお、ここでの図示は省略したが、マニホールド4には、共通インク室4a内にインクを供給するためのインク供給路が接続されていることとする。また、マニホールド4の外周には、共通インク室4a内のインクを、ノズル基板1のノズル1aから吐出可能な粘度に加熱するためのヒーターが設けられていてもよい。
図3、図4、および図6に示すフレキシブル基板5は、可撓性を有するフィルム状の基板であって、圧力室基板2を挟む位置において配線基板3の接続面S3aに貼り合わせた状態で設けられている。配線基板3と各フレキシブル基板5とは、異方性の導電性接着剤7によって貼り合わせられている(図4参照)。
図7は、第1実施形態に係るインクジェットヘッドの要部を拡大した断面図であり、図4におけるB部であって、配線基板3に設けたインク流路3aうちの1つとその周囲を拡大した図である。図8は、第1実施形態に係るインクジェットヘッドの要部を拡大した斜視図であり、図3に示した配線基板3のインク流路3aを配線基板3の裏面S3b側から見た図である。
以上のような配線31を備えた配線基板3の製造方法は、例えば次の通りである。先ず、配線基板3の基板材料にインク流路3aおよび配線孔3bを形成する。その後、接続面S3aからの配線材料膜の成膜と、裏面S3bからの配線材料膜の成膜とを、例えば蒸着法によってそれぞれ個別に行う。これにより、接続面S3a、裏面S3b、インク流路3aの内壁、および配線孔3bの内壁に配線材料膜を成膜する。また、配線材料膜の成膜は、メッキ法を適用して実施してもよく、この場合、1回のメッキ工程により接続面S3a、裏面S3b、インク流路3aの内壁、および配線孔3bの内壁に配線材料膜を成膜してもよい。
上述した第1実施形態のインクジェットヘッド101において、その配線基板3は、配線31の一部である内壁配線部303が、インク流路3aや配線孔3bの内壁を覆う状態で設けられた構成である。配線31は、金属材料で構成されていて、一般的には線膨張係数が大きい材料からなる。このような構成においては、インクジェットヘッド101の駆動にともなう発熱に起因して、インク流路3aおよび配線孔3b内の基板材料と配線31との間に発生する応力が大きくなり易い。そこで本第1実施形態で説明したように、インク流路3aや配線孔3bの内壁を覆って設けられた内壁配線部303が、その一部を除去して内壁の一部を露出する形状であることにより、金(Au)のような線膨張係数が大きな金属材料からなる配線31が延伸する余地ができるため、インク流路3aや配線孔3bの内壁に生じる応力を低減することが可能である。この結果、インクジェットヘッド101の駆動にともなう配線31の剥がれや断線を防止することが可能であり、インク流路3aのさらなる高密度化とこれによる形成画像の高精細化を図ること、およびインクジェットヘッド101の長期信頼性の向上を図ることが可能である。
図10は、第1実施形態の変形例1を示す断面図である。この図に示すように変形例のインクジェットヘッド101aは、配線基板3に設けた配線31の露出部分を覆って、絶縁膜32を設けたものである。この絶縁膜32は、配線31が設けられた配線基板3と、駆動電極21が設けられた圧力室基板2とを導電性接着剤6によって貼り合わせた状態で、配線基板3と圧力室基板2の露出部分を覆う状態で形成されたものである。したがって、配線31および駆動電極21の露出部分を含めてインク流路3aの内壁も覆う。このような絶縁膜32は、樹脂材料によって構成されることが好ましい。なお、ここでの図示は省略したが、配線孔3bの内壁も同様に絶縁膜32によって覆われた状態であることとする。
図11は、第2実施形態に係るインクジェットヘッドの要部を拡大した斜視図である。また図12は、図11に示すインク流路(第1の貫通孔)の内壁展開図である。これらの図に示す第2実施形態のインクジェットヘッド102が、第1実施形態のインクジェットヘッド101と異なるところは、配線基板3の配線31においてインク流路3a内に設けられた内壁配線部303-2の形状にあり、他の構成は変形例も含めて第1実施形態と同様である。したがって、ここでは内壁配線部303-2の形状を説明する。
上述した第2実施形態のインクジェットヘッド102においては、その配線基板3の内壁配線部303-2の面積が、配線基板3の接続面S3a側よりも配線基板3の裏面S3b側、つまり図3および図4に示した共通インク室4aにおいて大きいものである。これにより、特にインクジェットヘッド102の駆動にともって生じるインク流路3a内の熱を、共通インク室4a内に貯留されたインクに放熱することができる。このため、第1実施形態の効果に加え、さらにインク流路3a内における発熱を小さく抑えることができ、インク流路3aの内壁に生じる応力を低減することが可能である。この結果、インクジェットヘッド102の駆動にともなう配線31の剥がれや断線を、さらに効果的に防止することが可能であり、インクジェットヘッド102の長期信頼性の向上を図ることが可能である。
図13は、第3実施形態に係るインクジェットヘッドの要部を拡大した斜視図である。また図14は、図13に示すインク流路(第1の貫通孔)の内壁展開図である。これらの図に示す第3実施形態のインクジェットヘッド103が、第1実施形態のインクジェットヘッド101と異なるところは、配線基板3の配線31においてインク流路3a内に設けられた内壁配線部303-3の構成にあり、他の構成は変形例も含めて第1実施形態と同様である。したがって、ここでは内壁配線部303-3の構成を説明する。
上述した第3実施形態のインクジェットヘッド103においては、その配線基板3の内壁配線部303-3が、インク流路3aの内壁の一部を複数個所において露出させる形状を有している。これにより第1実施形態と同様に、インク流路3aの内壁を露出させた部分が、金(Au)のような線膨張係数が大きな金属材料からなる配線31が延伸する余地となる。この結果、第1実施形態と同様にインクジェットヘッド103の駆動にともなう配線31の剥がれや断線を防止することが可能であり、インク流路3aのさらなる高密度化とこれによる形成画像の高精細化を図ること、およびインクジェットヘッド103の長期信頼性の向上を図ることが可能である。
1a…ノズル
2…圧力室基板
2a…圧力室
21…駆動電極
3…配線基板
3a…インク流路(第1の貫通孔)
3b…配線孔(第2の貫通孔)
31…配線
301…電極部
302…裏面配線部
303,303-2,303-3…内壁配線部
32…絶縁膜
4…マニホールド
4a…共通インク室
100,101,101a,102,103…インクジェットヘッド
200…画像形成装置
S3a…接続面(配線基板)
S3b…裏面(配線基板)
x…軸方向
Claims (13)
- 複数のノズルが形成されたノズル基板と、
前記各ノズルに連通する圧力室が形成された圧力室基板と、
前記圧力室に設けられた駆動電極と、
第1の貫通孔と第2の貫通孔とを有し前記ノズル基板と逆側において前記圧力室基板に貼り合わせて設けられた配線基板と、
前記配線基板における前記圧力室基板側に向かう接続面において前記駆動電極に接続され、前記第1の貫通孔を介して前記接続面に対する裏面に引き出され、さらに前記第2の貫通孔を介して前記接続面に引き出された状態で配置された配線とを備え、
前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔の内壁の一部を露出させた形状を有する
インクジェットヘッド。 - 前記配線基板に設けられた配線は、金を用いて構成されている
請求項1に記載のインクジェットヘッド。 - 前記配線基板に設けられた配線は、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔内において、孔の軸方向に沿って設けられている
請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。 - 前記配線基板の裏面に共通インク室を有するマニホールドが設けられ、
前記第1の貫通孔は、前記マニホールドの共通インク室と前記圧力室基板の圧力室とに連通するインク流路を構成し、
前記配線基板に設けられた配線は、前記第1の貫通孔の内壁に配置された部分の面積が、前記圧力室基板側よりも前記共通インク室側において大きく形成されている
請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記配線は、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔の内壁の一部を、複数箇所において露出させる形状を有する
請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記配線基板の裏面と前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔の内壁とに、前記配線を覆う状態で絶縁膜が設けられた
請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記配線基板の裏面に、共通インク室を有するマニホールドと、前記共通インク室内のインクを加熱するヒーターとを備えた
請求項1〜6の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記圧力室基板の圧力室は、前記各ノズルに対して個別に連通された状態で前記圧力室基板を貫通して複数設けられており、
前記駆動電極は、前記圧力室のうちの2つの圧力室の間の隔壁を挟持する状態で前記各圧力室の内壁に設けられて圧電素子を構成し、
前記圧力室基板には、前記圧電素子と前記圧力室とが交互に配置された
請求項1〜7の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 前記配線基板の裏面に共通インク室を有するマニホールドが設けられ、
前記第1の貫通孔は、前記マニホールドの共通インク室と前記圧力室基板の圧力室とを個別に連通するインク流路を構成し、
前記各第1の貫通孔の開口面積は、前記各圧力室の開口面積よりも小さい
請求項1〜8の何れか1項に記載のインクジェットヘッド。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記配線基板に前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔とを形成する工程と、
前記配線基板の接続面に配線材料膜を成膜する工程と、
前記配線基板の裏面に配線材料膜を成膜する工程と、
前記第1の貫通孔の内壁と前記第2の貫通孔の内壁に配線材料膜を成膜する工程と、
前記接続面に形成した配線材料膜をパターニングする工程と、
前記裏面に形成した配線材料膜をパターニングする工程とを有し、
さらに、前記第1の貫通孔の内壁と前記第2の貫通孔の内壁に成膜した配線材料膜をパターニングすることにより、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔の内壁の一部を前記配線材料膜から露出させる工程を行う
インクジェットヘッドの製造方法。 - 前記接続面に配線材料膜を成膜する工程および前記裏面に配線材料膜を成膜する工程のうちの少なくとも一方の工程は、前記第1の貫通孔の内壁と前記第2の貫通孔の内壁に配線材料膜を成膜する工程を兼ねる
請求項10に記載のインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記接続面に形成した配線材料膜をパターニングする工程または前記裏面に形成した配線材料膜をパターニングする工程の何れか一方の工程は、前記第1の貫通孔および前記第2の貫通孔の内壁の一部を前記配線材料膜から露出させる工程を兼ねる
請求項10または11に記載のインクジェットヘッドの製造方法。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載のインクジェットヘッドを有する
画像形成装置。
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