JP2019059000A - 転がり軸受の故障判定装置 - Google Patents

転がり軸受の故障判定装置 Download PDF

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【課題】転がり軸受に故障が生じていることの判定精度を高めることができる転がり軸受の故障判定装置を提供する。【解決手段】故障判定装置は、関節を回転駆動するモータと、関節の回転に伴い、転動体が転走面に転がり接触することで摺動する転がり軸受(22A,22B)とを備えるロボットに適用される。故障判定装置は、モータにより関節を回転させる場合に発生する振動を検出する振動検出部と、振動検出部により検出された振動について周波数解析を行い、周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅(Amp1,Amp2)を算出する振幅算出部と、振幅算出部により算出された振幅に基づいて、振幅の変化量又はその相関値である判定用変化量(SL1,SL2)を算出する変化量算出部と、判定用変化量が閾値(Sth1,Sth2)を超えたと判定した場合、転がり軸受が故障していると判定する故障判定部とを備える。【選択図】 図8

Description

本発明は、転がり軸受を備えるロボットに適用される転がり軸受の故障判定装置に関する。
従来、例えば特許文献1に見られるように、関節を回転駆動するモータと、関節の回転に伴い、転動体が転走面に転がり接触することで摺動する転がり軸受とを備えるロボットが知られている。
転がり軸受では、フレーキングや異物混入等により転走面に傷が付くと、その傷付き部分を転動体が通過するたびに大きな振動が発生し得る。この点に着目して、転がり軸受の故障を判定することが考えられる。詳しくは、転がり軸受の故障判定では、まず、モータにより関節を回転させる場合に発生する振動が検出され、検出された振動について周波数解析が行われる。そして、周波数解析により得られた周波数スペクトルの振幅が算出され、算出された振幅が閾値を超えたと判定された場合、転がり軸受の故障が生じていると判定される。
特開2015−182182号公報
ところで、転がり軸受に故障が生じていない場合であっても、モータにより関節が回転されるときに発生する振動が大きくなり得る。例えば、転がり軸受で受ける軸部材の歪に起因して軸部材と転がり軸受との間の同軸度が悪化していることにより、振動が大きくなり得る。この振動が大きくなる度合いは、量産されるロボットの個体差に起因してばらつく。このため、周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅も、ロボットの個体差に起因してばらつく。
ここで、周波数スペクトルの振幅と比較する閾値が、例えば、量産される新品のロボットが取り得る周波数スペクトルの振幅範囲の中間に設定されると、転がり軸受に故障が生じていないにもかかわらず、上記ばらつきに起因して振幅が閾値を超えることがある。その結果、故障が生じていると誤判定されるおそれがある。一方、閾値が、例えば、新品のロボットが取り得る周波数スペクトルの振幅の上限値を超える値に設定されると、転がり軸受に実際に故障が生じているにもかかわらず、振幅が閾値を超えないことがある。その結果、故障が生じていないと誤判定されたり、故障判定されるタイミングが遅延したりするおそれがある。
このように、周波数スペクトルの振幅は、ロボットの個体差の影響を受けやすいパラメータである。したがって、転がり軸受の故障判定については、未だ改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、故障が生じていることの判定精度を高めることができる転がり軸受の故障判定装置を提供することを主たる目的とするものである。
第1の発明は、関節を回転駆動するモータと、前記関節の回転に伴い、転動体が転走面に転がり接触することで摺動する転がり軸受と、を備えるロボットに適用される転がり軸受の故障判定装置において、前記モータにより前記関節を回転させる場合に発生する振動を検出する振動検出部と、前記振動検出部により検出された振動について周波数解析を行い、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅を算出する振幅算出部と、前記振幅算出部により算出された振幅に基づいて、該振幅の変化量又はその相関値である判定用変化量を算出する変化量算出部と、前記判定用変化量が閾値を超えたと判定した場合、前記転がり軸受が故障していると判定する故障判定部と、を備える。
周波数スペクトルの振幅の変化量は、今回算出された周波数スペクトルの振幅と、例えば前回算出された周波数スペクトルの振幅との差である。今回及び前回それぞれの振幅には、ロボットの個体差の影響が含まれているものの、それら振幅の差をとると、個体差の影響を小さくできる。このため、周波数スペクトルの振幅の変化量は、周波数スペクトルの振幅自体と比較して、ロボットの個体差の影響が小さくされており、その個体差に起因したばらつきが抑制されたものとなっている。したがって、周波数スペクトルの振幅の変化量は、ロボットの個体差の影響を受けにくいパラメータである。
そこで、第1の発明では、変化量算出部は、算出された周波数スペクトルの振幅に基づいて、該振幅の変化量又はその相関値である判定用変化量を算出する。そして、故障判定部は、判定用変化量が閾値を超えたと判定した場合、転がり軸受が故障していると判定する。ロボットの個体差の影響を受けにくい判定用変化量を用いる第1の発明によれば、転がり軸受に故障が生じていることの判定精度を高めることができる。
第2の発明では、前記判定用変化量は、前記振幅算出部により今回算出された振幅から前回算出された振幅を差し引いた値を、前記振幅算出部により振幅が前回算出されてから振幅が今回算出されるまでの前記関節の累計回転量で規格化した値である。
転がり軸受に故障が生じていないにもかかわらず、モータにより関節が回転されるときに発生する振動が徐々に大きくなることがある。この場合、周波数解析が行われるたびに、得られる周波数スペクトルの振幅が徐々に増加する。周波数スペクトルの振幅が徐々に増加する場合、周波数スペクトルの振幅が徐々に増加しない場合と比較して、振幅算出部により前回算出された振幅に対する今回算出された振幅の変化量が大きくなる。この変化量は、振幅算出部により振幅が前回算出されてから振幅が今回算出されるまでの関節の累計回転量の増加量が大きいとさらに大きくなる。その結果、振幅変化量が閾値を超えたことをもって転がり軸受に故障が生じていると判定する構成が用いられる場合、転がり軸受に故障が生じていないにもかかわらず、故障が生じていると誤判定されるおそれがある。
そこで、第2の発明では、判定用変化量として、振幅算出部により今回算出された振幅から前回算出された振幅を差し引いた値を、振幅算出部により振幅が前回算出されてから振幅が今回算出されるまでの関節の累計回転量で規格化した値が用いられる。この判定用変化量によれば、転がり軸受に故障が生じていないにもかかわらず振幅が徐々に増加する場合であっても、その増加分の影響を小さくできる。このため、転がり軸受の故障判定精度をより高めることができる。
なお、規格化する手法としては、具体的には例えば第3の発明を用いることができる。第3の発明では、前記判定用変化量として、前記振幅算出部により今回算出された振幅から前回算出された振幅を差し引いた値を、前記関節の累計回転量で除算した値又はその相関値が用いられる。
また、前記振幅算出部は、具体的には例えば第4の発明のように、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅のうち、前記転がり軸受に対応して定まる特定周波数における振幅を算出することができる。
また、前記振幅算出部は、具体的には例えば第5の発明のように、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅のうち、前記転がり軸受に対応して定まる特定周波数以外の規定周波数における振幅を算出することができる。
第6の発明では、前記振幅算出部は、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅のうち、前記転がり軸受に対応して定まる特定周波数以外の周波数であって、互いに異なる複数の前記規定周波数それぞれにおける振幅を算出し、前記変化量算出部は、複数の前記規定周波数それぞれにおける前記判定用変化量を算出し、前記故障判定部は、複数の前記規定周波数のうち少なくとも2つの規定周波数における前記判定用変化量それぞれが前記閾値を超えたと判定した場合、前記転がり軸受が故障していると判定する。
転がり軸受に故障が生じた場合における周波数スペクトルの振幅の増加分は、転がり軸受に対応して定まる特定周波数におけるものよりも、特定周波数以外の規定周波数におけるものの方が小さくなると考えられる。増加分が小さくなると、転がり軸受の故障判定精度が低下する懸念がある。
そこで、第6の発明では、変化量算出部は、複数の規定周波数それぞれにおける判定用変化量を算出する。そして、故障判定部は、複数の規定周波数のうち少なくとも2つの規定周波数における判定用変化量それぞれが閾値を超えたと判定した場合、転がり軸受が故障していると判定する。このように、第6の発明では、少なくとも2つの規定周波数に対応する判定がなされるため、規定周波数における振幅が故障判定に用いられる場合であっても、転がり軸受の故障判定精度を高めることができる。
第7の発明では、前記故障判定部は、前記判定用変化量が前記閾値を超えたと判定した場合、前記転がり軸受が軽度故障していると判定し、前記判定用変化量が前記閾値を超えたと複数回連続して判定した場合、前記軽度故障に代えて、該軽度故障よりも故障度合いの大きい重度故障が前記転がり軸受に生じていると判定する。
転がり軸受の故障が進行して故障度合いが大きくなると、周波数スペクトルの振幅の変化量が大きくなる状態が継続される。この点に鑑み、第7の発明では、故障判定部は、判定用変化量が閾値を超えたと判定した場合、転がり軸受が軽度故障していると判定し、判定用変化量が閾値を超えたと複数回連続して判定した場合、軽度故障に代えて、転がり軸受に重度故障が生じていると判定する。これにより、転がり軸受の故障度合いを把握することができる。
なお、前記振動検出部は、具体的には例えば第8の発明のように、前記モータにより前記関節が等速で回転駆動されている期間における振動を検出することができる。
また、第9の発明のように、前記故障判定部により前記転がり軸受に故障が生じていると判定された場合、その旨を通知する通知部をさらに備えることができる。
ロボットの概要を示す図。 転がり軸受を示す図。 転がり軸受の故障判定システムの電気的構成を示す図。 転走面に形成された傷を転動体が超える様子を示す図。 転がり軸受に作用するラジアル荷重の推移を示すタイムチャート。 振幅の周波数スペクトルを示す図。 ロボットの個体差に起因して周波数スペクトルの振幅が異なることを示す図。 転がり軸受の故障判定処理の手順を示すフローチャート。 関節の等速回転期間を示すタイムチャート。 転がり軸受の故障の進行に応じて周波数スペクトルの振幅が増加することを示す図。 関節の累計回転量に対する振幅及び傾き値の推移を示す図。 傾き値を用いた効果を説明するための図。 第2実施形態に係る転がり軸受の故障判定処理の手順を示すフローチャート。 第3実施形態に係る転がり軸受の故障判定処理の手順を示すフローチャート。 2つの規定周波数を説明するための図。 第4実施形態に係る転がり軸受の故障判定処理の手順を示すフローチャート。
<第1実施形態>
以下、本発明の故障判定装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、工場の機械組立ラインにおいて機械等の組み立てを行う産業用ロボット又は工場の加工ラインにおいて素材等に対して加工を行う産業用ロボットに適用された故障判定装置として具体化している。
図1に示すように、ロボット10は、6つの関節K1〜K6を有する6軸ロボットである。ロボット10は、各関節K1〜K6の回転軸(関節軸)として第1〜第6軸J1〜J6を有している。本実施形態では、第1軸J1が鉛直方向に延びるようにしてロボット10が床等のロボット設置箇所に設置されている。以下の説明では、図1の上下方向が鉛直方向を示すとしている。
ロボット10において基台11は、ロボット設置場所に固定される固定部12と、固定部12の上方に設けられる回動部13とを有している。回動部13は、鉛直方向に延びる第1軸J1を回動中心として固定部12に対して回動可能とされている。回動部13の上端部には下アーム15が連結されている。下アーム15は、水平方向に延びる第2軸J2を回動中心として回動部13に対して回動可能とされている。
下アーム15の先端部(上端部)には上アーム16が連結されている。上アーム16は、水平方向に延びる第3軸J3を回動中心として下アーム15に対し回動可能とされている。上アーム16は、長手方向に分割された基端側の第1上アーム16Aと先端側の第2上アーム16Bとを有している。これら各アーム16A,16Bのうち第1上アーム16Aが下アーム15に連結されている。第2上アーム16Bは、上アーム16の長手方向に延びる第4軸J4を回動中心として第1上アーム16Aに対し回動可能に連結されている。
第2上アーム16Bの先端部には手首部17が設けられている。手首部17は、水平方向に延びる第5軸J5を回動中心として第2上アーム16Bに回動可能に連結されている。手首部17には、ワークやツール等を取り付けるためのハンド部18が設けられている。ハンド部18は、その中心線である第6軸J6を回動中心として手首部17に対してねじり方向に回動可能に連結されている。
このように、ロボット10は、各軸J1〜J6を回動中心として回動可能とされた複数(具体的には6つ)の構成要素(回動部13、下アーム15、第1上アーム16A、第2上アーム16B、手首部17、ハンド部18)を備える。この場合、これら各構成要素はそれぞれ、各軸J1〜J6を回転中心とした関節K1〜K6の回転に伴い回動する。
各関節K1〜K6にはそれぞれモータ21(サーボモータ)が設けられている。これら各モータ21を駆動させることで各関節K1〜K6が回転し、ひいては各構成要素が回動する。
各関節K1〜K6にはそれぞれ、関節K1〜K6の回転に伴い摺動する転がり軸受が設けられている。転がり軸受は、関節K1〜K6の回転を滑らかにするものであり、図2に示すように、関節K1〜K6の回転軸J1〜J6に繋がる軸部材27を囲む円環状をなしている。本実施形態において、転がり軸受は、各関節K1〜K6にそれぞれ複数ずつ設けられており、具体的には、各関節K1〜K6にそれぞれ2つずつ設けられている。以降、各関節K1〜K6にそれぞれにおける2つの転がり軸受を第1軸受22A及び第2軸受22Bと称すこととする。
図2に示すように、第1,第2軸受22A,22Bのそれぞれは、内輪23と、外輪24と、それら内輪23及び外輪24の間に設けられた複数の転動体25(例えば、玉又はころ)とを有している。転動体25は、軸受22A,22Bの周方向において等間隔に並んでいる。第1,第2軸受22A,22Bのそれぞれは、各転動体25が内輪23及び外輪24の少なくとも一方に形成された転走面26に転がり接触することで摺動する。第1,第2軸受22A,22Bとしては、例えば、ボールベアリング(玉軸受)又はクロスローラベアリングを用いることができる。
次に、図3を用いて、転がり軸受22の故障判定システムについて説明する。図3は、故障判定システムの電気的構成を示す図である。
故障判定システムは、ロボット10と、操作装置40とを備えている。ロボット10は、ロボット10の各種動作を制御するコントローラ30を備えている。コントローラ30は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを主体に構成され、記憶部31と、周波数解析部32とを有している。記憶部31には、ロボット10の動作プログラム等の各種プログラムが記憶されている。コントローラ30は、記憶部31に記憶された各種プログラムに基づいてロボット10の動作制御等を行う。
コントローラ30には、各関節K1〜K6に設けられたモータ21が接続されている。これらのモータ21は、コントローラ30からの制御信号に基づいて駆動される。なお、図3には、便宜上、1つのモータ21のみ図示している。
コントローラ30には、関節K1〜K6の回転位置を検出する位置検出部34(エンコーダ)が接続されている。位置検出部34は、各関節K1〜K6(各モータ21)ごとにそれぞれ設けられている。図3には、便宜上、1つの位置検出部34のみ図示している。コントローラ30には、各位置検出部34からそれぞれ関節K1〜K6の回転位置情報が入力される。コントローラ30は、それら入力される回転位置情報に基づいて各モータ21の駆動をフィードバック制御する。
コントローラ30には、モータ21に流れる電流値を検出する電流検出部35が接続されている。電流検出部35は、本実施形態において振動検出部に相当し、各モータ21ごとにそれぞれ設けられている。図3には、便宜上、1つの電流検出部35のみ図示している。コントローラ30には、各電流検出部35からそれぞれ各モータ21の電流値が入力される。コントローラ30は、それら入力される各モータ21の電流値に基づいて、モータ21により関節K1〜K6を回転駆動する際に発生する振動を電流値の振動として検出する。コントローラ30は、その検出した振動について周波数解析部32において周波数解析を行う。
コントローラ30には、故障判定システムに関する各種操作を行うための操作装置40が接続されている。操作装置40は、周知のパーソナルコンピュータ(端末装置)により構成されており、キーボード等からなる操作部41と、ディスプレイ等からなる表示部42とを有している。なお、操作装置40は、端末装置に代えて、ティーチングペンダントにより構成されていてもよい。
コントローラ30には、ロボット10の動作モードとして、ロボット10の各関節K1〜K6を通常動作させる通常動作モードと、所定の関節K1〜K6を等速で回転させる等速動作モードとが設定されている。本実施形態の通常動作モードは、組立作業等の所定の作業を所定のサイクルタイムでロボット10に繰り返し実施させるモードである。通常動作モード及び等速動作モードのうち一方から他方への切り替えは、操作部41の操作に基づいて行われる。具体的には、操作部41によりモードの切替操作が行われると、その切替操作に応じたモード信号が操作部41からコントローラ30に入力され、コントローラ30はその入力されたモード信号に基づいて動作モードの切替を行う。
ところで、第1,第2軸受22A,22Bでは、フレーキングや異物混入等により転走面26に傷が付くことがある。図4に示すように、内輪23に凹み(傷)ができた場合、転動体25が凹みを乗り越えようとするときに図5(a)に示すようにトルク変動が生じる。軸受の径方向に作用するラジアル荷重が大きい場合、図5(b)に示すように、トルク変動が大きくなり、発生する振動も大きくなる。
ここで、転動体25が周方向に等間隔に並んでいるため、転がり軸受に傷が付いて故障が生じた場合には、ロボット10の関節を等速回転させる場合に周期的に大きな振動が発生する。この振動の周波数は、第1,第2軸受22A,22Bに対応した特定周波数となる。
図5に示すようなトルクが発生する場合の振動の時系列を周波数解析すると、図6のような振動の周波数スペクトルが得られる。図6には、第1軸受22Aに対応して定まる第1特定周波数f1と、第2軸受22Bに対応して定まる第2特定周波数f2とが示されている。各特定周波数f1,f2は、軸受における内輪23及び外輪24の径や、転動体25の径・個数等、軸受に関する各種パラメータに基づき定まる軸受の固有の周波数となっている。本実施形態では、各関節K1〜K6それぞれにおいて、第1特定周波数f1と第2特定周波数f2とが異なるように第1,第2軸受22A,22Bが設計されている。なお、本実施形態では、第2特定周波数f2が第1特定周波数f1よりも高い。
続いて、本実施形態と対比するための比較例について説明する。
第1軸受22Aに故障が生じると、周波数スペクトルの第1特定周波数f1における振幅が増加する。このため、第1特定周波数f1における振幅が、第1軸受22Aに対応して個別に設定された第1閾値Tth1(図6参照)を超えた場合、第1軸受22Aが故障していると判定できる。一方、第2軸受22Bに故障が生じると、周波数スペクトルの第2特定周波数f2における振幅が増加する。このため、第2特定周波数f2における振幅が、第2軸受22Bに対応して個別に設定された第2閾値Tth2を超えた場合、第2軸受22Bが故障していると判定できる。
ここで、周波数スペクトルの振幅は、転がり軸受に故障が生じていない場合であっても、転がり軸受のラジアル荷重(軸部材27のラジアル荷重)が大きくなったり、関節の回転速度が高くなったりする場合に大きくなる。このため、転がり軸受の故障判定精度を高める上では、例えば、ラジアル荷重,回転速度が予め定められた荷重,回転速度とされた状態で、周波数解析用の振動を検出する必要がある。しかしながら、この場合であっても、故障判定精度が低下する事態が発生し得る。以下、このことについて説明する。
量産されるロボット10の個体差に起因して、モータ21により関節が回転される場合に発生する振動が大きくなり得る。その要因としては、例えば、新品のロボット10であっても、転がり軸受で受ける軸部材27の歪により軸部材27と転がり軸受との間の同軸度が悪化することが挙げられる。また、別の要因としては、例えば、新品のロボット10であっても、転がり軸受の精度のばらつき等に起因して軸部材27の外周と転がり軸受の内周との間の隙間が大きくなり、ロボット10の組立精度が悪化することが挙げられる。
このため、例えばラジアル荷重,回転速度が予め定められた荷重,回転速度とされた状態で周波数解析用の振動を検出する構成を用いる場合であっても、量産されるロボット毎に、周波数解析で得られる周波数スペクトルの振幅がばらついてしまう。図7に、新品の状態の2つのロボットA,Bの周波数スペクトルを示す。図7に示すように、第1閾値Tth1が画一的に設定される場合、ロボットBにおいて、第1軸受22Aが故障していないにもかかわらず、第1特定周波数f1における振幅が第1閾値Tth1を超えてしまい、故障が生じていると誤判定されてしまう。なお、図7には、ロボットA,Bが長期間使用された場合における周波数スペクトルを合わせて示す。この例では、ロボットBの第2軸受22Bが実際に故障し、第2特定周波数f2における振幅が第2閾値Tth2を超えている。
以上から、周波数スペクトルの振幅は、ロボット10の個体差の影響を受けやすいパラメータである。そこで、本実施形態のコントローラ30は、図8に示す転がり軸受の故障判定処理を行う。図8は、この処理の手順を示すフローチャートである。本実施形態において、故障判定処理は、ロボット10の通常動作モードにおいて実行される。また、故障判定処理は、各関節K1〜K6それぞれに対応して実行される。
ステップS10では、関節(モータ)が等速回転している期間であるか否かを判定する。本実施形態では、等速回転期間として、図9に示すように、1サイクルタイムにおいて規定される台形パターンにおける等速回転期間を想定している。
ステップS11では、関節に設けられた電流検出部35の検出信号に基づいて、ロボット10の今回の作業期間において関節が等速回転する場合に発生する振動を検出する。
ステップS12では、ステップS11で検出した振動について周波数解析部32において周波数解析を行う。この周波数解析により、対象とする関節についての振動の周波数スペクトルが得られる。
ステップS13では、今回のステップS12で算出された周波数スペクトルに基づいて、第1特定周波数f1における今回の振幅である第1振幅Amp1[n]と、第2特定周波数f2における今回の振幅である第2振幅Amp2[n]とを算出する。なお、各関節K1〜K6それぞれにおける各特定周波数f1,f2と第1,第2軸受22A,22Bとの対応関係は予め記憶部31に記憶されている。また、本実施形態において、ステップS13の処理が振幅算出部に相当する。
ステップS14では、今回のステップS13において算出した第1振幅Amp1[n]から、前回のステップS13において算出した第1振幅Amp1[n−1]を減算することにより、第1振幅変化量ΔAmp1を算出する。また、今回のステップS13において算出した第2振幅Amp2[n]から、前回のステップS13において算出した第2振幅Amp2[n−1]を減算することにより、第2振幅変化量ΔAmp2を算出する。今回の第1振幅Amp1[n]と前回の第1振幅Amp1[n−1]とのそれぞれには、ロボット10の個体差の影響が含まれている。しかしながら、それら第1振幅Amp1[n−1],Amp1[n]の差をとると、個体差の影響を小さくできる。このため、第1振幅変化量ΔAmp1は、各第1振幅Amp1[n−1],Amp1[n]として、個体差の影響が小さくされており、個体差に起因したばらつきが抑制されたパラメータである。したがって、第1振幅変化量ΔAmp1は、ロボット10の個体差の影響を受けにくいパラメータである。同様に、第2振幅変化量ΔAmp2も、ロボット10の個体差の影響を受けにくいパラメータである。
ステップS15では、算出した第1振幅変化量ΔAmp1を回転変化量で除算することにより、第1振幅変化量ΔAmp1の相関値である第1傾き値SL1(判定用変化量に相当)を算出する。本実施形態において、回転変化量は、図8に示す処理が前回実施されてから今回実施されるまでの関節の累計回転量である。具体的には、例えば、回転変化量は、前回のステップS13で第1振幅Amp1[n−1]が算出されてから今回のステップS13で第1振幅Amp1[n]が算出されるまでの関節の累計回転量である。より具体的には、例えば、回転変化量は、前回のステップS13で第1振幅Amp1[n−1]が算出されてから今回のステップS13で第1振幅Amp1[n]が算出されるまでの期間における関節の都度(所定時間Δt毎)の角速度ω[rad/sec]の絶対値を時間積分した値「∫|ω|・Δt」である。回転変化量は、位置検出部34の検出信号に基づいて算出される。また、ステップS15では、算出した第2振幅変化量ΔAmp2を上記回転変化量で除算することにより、第2振幅変化量ΔAmp2の相関値である第2傾き値SL2(判定用変化量に相当)を算出する。なお、本実施形態において、ステップS14、S15の処理が変化量算出部に相当する。
ステップS16では、算出した第1傾き値SL1が第1判定閾値Sth1(>0)を超えているか否かを判定する。第1判定閾値Sth1は、第1軸受22Aに対応して個別に設定されている。第1判定閾値Sth1は、例えば、故障が生じていない第1軸受22Aがロボット10に用いられた場合に第1傾き値SL1が取り得る範囲の上限値よりも大きい値に設定されている。
ステップS16において否定判定した場合には、ステップS17に進み、第1軸受22Aに故障が生じておらず、第1軸受22Aが正常であると判定する。一方、ステップS16において否定判定した場合には、ステップS18に進み、第1軸受22Aに故障が生じていると判定する。
ステップS17又はS18の処理の完了後、ステップS19に進み、算出した第2傾き値SL2が第2判定閾値Sth2(>0)を超えているか否かを判定する。第2判定閾値Sth2は、第2軸受22Bに対応して個別に設定されている。第2判定閾値Sth2は、例えば、故障が生じていない第2軸受22Bがロボット10に用いられた場合に、第2傾き値SL2が取り得る範囲の上限値よりも大きい値に設定されている。
ステップS19において否定判定した場合には、ステップS20に進み、第2軸受22Bが正常であると判定する。一方、ステップS19において否定判定した場合には、ステップS21に進み、第2軸受22Bに故障が生じていると判定する。なお、本実施形態において、ステップS16〜S21の処理が故障判定部に相当する。
ステップS20又はS21の処理の完了後、ステップS22に進み、ステップS17又はS18の判定結果と、ステップS20又はS21の判定結果とに基づく通知処理を行う。本実施形態では、第1軸受22A及び第2軸受22Bそれぞれの故障の有無を、操作装置40の表示部42に表示する。例えば、「第1軸受22A故障」等の警告メッセージを表示部42に表示する。これにより、例えば、組立ラインの作業者は転がり軸受に故障が生じたことを知ることができるため、転がり軸受の故障に対して迅速な対応をとることができる。なお、第1,第2振幅変化量ΔAmp1,ΔAmp2及び第1,第2傾き値SL1,SL2の少なくとも一方の時系列データを表示部42に表示させてもよい。また、本実施形態において、ステップS22の処理が通知部に相当する。
ちなみに、転がり軸受の故障警告は、必ずしも表示部42を用いて行う必要はない。例えば、操作装置40に音声を出力するスピーカ等の音声出力部を設け、その音声出力部から出力される音声により警告を行ってもよい。また、操作装置40に光を発する発光部を設け、その発光部からの光によって警告を行ってもよい。
続いて、図10及び図11を用いて、本実施形態の故障判定の一例について説明する。図10及び図11には、第1軸受22Aに故障が生じる場合を示す。また、図11の縦軸は、第1特定周波数f1における振幅及び第1傾き値SL1を示し、横軸は、関節の累積回転量を示す。
図10(a)に示すように、第1軸受22Aが新品の状態では、図11の時刻t1に示すように、第1傾き値SL1は0又は0に近い値となる。その後、図10(b)に示すように、第1軸受22Aに初期故障が生じると、第1特定周波数f1における振幅が増加する。その結果、図11の時刻t2に示すように、第1傾き値SL1が第1判定閾値Sth1を超え、コントローラ30により第1軸受22Aに故障が生じたと判定される。
その後、故障で生じた摩耗粉等により故障が急激に進行し、図10(c)に示すように、第1特定周波数f1における振幅が、関節の累積回転量の増加とともに急激に増加する。その結果、第1傾き値SL1が第1判定閾値Sth1を超える状態が継続されることとなる。なお、転がり軸受の故障がさらに進行すると、図10(d)に示すように、第1特定周波数f1以外の周波数における振幅が大きく増加する。
続いて、図12を用いて、振幅変化量ではなく、傾き値を故障判定に用いた理由について説明する。なお、以下では、第1軸受22Aを例にして説明する。
まず、振幅変化量を用いる場合について説明する。この場合、第1振幅変化量ΔAmp1が第1振幅閾値Δth1を超えたと判定されたときに、第1軸受22Aに故障が生じていると判定される。
ここで、第1軸受22Aに故障が生じていないにもかかわらず、図12(a)に示すように、関節の累計回転量の増加に伴い、第1振幅Amp1が徐々に増加する状況が生じ得る。例えば、ロボット10の慣らし運転が完了しておらず、関節を回転させる際に発生するモータ21のトルクが大きくなる場合に第1振幅Amp1が徐々に増加する。このような状況下、例えば、ロボット10の作業周期毎に、何らかの要因により周波数解析を行うことができず、周波数スペクトルの振幅を算出できないことがある。この場合、第1振幅Amp1が前回算出されてから今回算出されるまでの関節の累計回転量の増加量(「θn」−「θn−1」)が大きくなる。その結果、前回算出された第1振幅Amp1に対して今回算出された第1振幅Amp1の変化量である第1振幅変化量ΔAmp1[n]が大きくなり、第1振幅変化量ΔAmp1[n]が第1振幅閾値Δth1を超えたと判定されてしまう。この場合、第1軸受22Aに故障が生じていないにもかかわらず、故障が生じていると誤判定されてしまう。
これに対し、第1傾き値SL1によれば、図12(b)に示すように、第1軸受22Aに故障が生じていないにもかかわらず関節の累計回転量の増加に伴い第1振幅Amp1が増加する場合であっても、第1傾き値SL1の変化が抑制される。このため、第1軸受22Aの故障判定精度を高めることができる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第1,第2傾き値SL1,SL2に代えて、第1,第2振幅変化量ΔAmp1,ΔAmp2を用いて転がり軸受の故障を判定する。
図13に、コントローラ30により実行される故障判定処理の手順を示す。なお、図13において、先の図8に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS14の処理の完了後、ステップS23に進み、ステップS14で算出した第1振幅変化量ΔAmp1が第1振幅閾値Δth1(>0)を超えているか否かを判定する。第1振幅閾値Δth1は、第1軸受22Aに対応して個別に設定されている。第1振幅閾値Δth1は、例えば、故障が生じていない第1軸受22Aがロボット10に用いられた場合に、第1振幅変化量ΔAmp1が取り得る範囲の上限値よりも大きい値に設定されている。ステップS23において否定判定した場合には、ステップS17に進む。一方、ステップS23において肯定判定した場合には、ステップS18に進む。
ステップS17又はS18の処理の完了後、ステップS24に進み、ステップS14で算出した第2振幅変化量ΔAmp2が第2振幅閾値Δth2を超えているか否かを判定する。第2振幅閾値Δth2は、第2軸受22Bに対応して個別に設定されている。第2振幅閾値Δth2は、例えば、故障が生じていない第2軸受22Bがロボット10に用いられた場合に、第2振幅変化量ΔAmp2が取り得る範囲の上限値よりも大きい値に設定されている。ステップS24において否定判定した場合には、ステップS20に進む。一方、ステップS24において肯定判定した場合には、ステップS21に進む。
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に準じた効果を得ることはできる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、特定周波数以外の規定周波数における振幅を用いて転がり軸受の故障を判定する。
図14に、コントローラ30により実行される故障判定処理の手順を示す。なお、図14において、先の図8に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS12の処理の完了後、ステップS30では、今回のステップS12で算出された周波数スペクトルに基づいて、第1規定周波数faにおける今回の振幅である第1振幅Ampa[n]と、第2規定周波数fbにおける今回の振幅である第2振幅Ampb[n]と、第3規定周波数fcにおける今回の振幅である第3振幅Ampc[n]とを算出する。各規定周波数fa〜fcは、第1,第2特定周波数f1,f2以外の周波数である。本実施形態では、図15に示すように、第1規定周波数faは、第1特定周波数f1よりも低い周波数に設定されている。第2規定周波数fbは、第1特定周波数f1よりも高くてかつ第2特定周波数f2よりも低い周波数に設定されている。すなわち、第2規定周波数fbは、第1特定周波数f1及び第2特定周波数f2に挟まれている。第3規定周波数fcは、第2特定周波数f2よりも高い周波数に設定されている。
ステップS31では、今回のステップS30において算出した第1振幅Ampa[n]から、前回のステップS31において算出した第1振幅Ampa[n−1]を減算することにより、第1振幅変化量ΔAmpaを算出する。また、今回のステップS31において算出した第2振幅Ampb[n]から、前回のステップS31において算出した第2振幅Ampb[n−1]を減算することにより、第2振幅変化量ΔAmpbを算出する。また、今回のステップS31において算出した第3振幅Ampc[n]から、前回のステップS31において算出した第3振幅Ampc[n−1]を減算することにより、第3振幅変化量ΔAmpcを算出する。
ステップS32では、算出した第1振幅変化量ΔAmpaを回転変化量で除算することにより、第1傾き値SLaを算出する。回転変化量は、先の図8のステップS15で説明したものと同じである。また、ステップS32では、算出した第2振幅変化量ΔAmpbを回転変化量で除算することにより、第2傾き値SLbを算出し、算出した第3振幅変化量ΔAmpcを回転変化量で除算することにより、第3傾き値SLcを算出する。
ステップS33では、算出した第1〜第3傾き値SLa〜SLcのうち少なくとも2つが判定閾値Sα(>0)を超えているか否かを判定する。ステップS33において否定判定した場合には、ステップS34に進み、第1,第2軸受22A,22Bが正常であると判定する。一方、ステップS33において否定判定した場合には、ステップS35に進み、第1,第2軸受22A,22Bの少なくとも1つに故障が生じていると判定する。その後、ステップS22に進む。
第1軸受22Aに故障が生じた場合における周波数スペクトルの振幅の増加分は、第1特定周波数f1におけるものよりも、各規定周波数fa〜fcにおけるものの方が小さくなると考えられる。また、第2軸受22Bに故障が生じた場合における周波数スペクトルの振幅の増加分は、第2特定周波数f2におけるものよりも、各規定周波数fa〜fcにおけるものの方が小さくなると考えられる。増加分が小さくなると、故障判定精度が低下する懸念がある。
そこで、本実施形態では、3つの規定周波数fa〜fcそれぞれにおける傾き値SLa〜SLcが算出される。そして3つの規定周波数fa〜fcのうち少なくとも2つの規定周波数における傾き値それぞれが判定閾値Sαを超えたと判定された場合、第1,第2軸受22A,22Bの少なくとも1つが故障していると判定される。本実施形態では、少なくとも2つの規定周波数に対応する判定がなされるため、規定周波数における振幅が故障判定に用いられる場合であっても、第1,第2軸受22A,22Bの故障判定精度を高めることができる。
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、転がり軸受の故障が軽度故障又は重度故障であるかを判定する。
図16に、コントローラ30により実行される故障判定処理の手順を示す。なお、図16において、先の図8に示した処理と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
ステップS16において肯定判定した場合には、ステップS40に進み、第1傾き値SL1が第1判定閾値Sth1を超えているとステップS16においてN回(Nは2以上の整数)連続して判定されたか否かを判定する。
ステップS40において否定判定した場合には、ステップS41に進み、第1軸受22Aが軽度故障していると判定する。
一方、ステップS40において肯定判定した場合には、ステップS42に進み、第1軸受22Aが重度故障していると判定する。重度故障は、軽度故障よりも故障が進行し、故障度合いが大きくなった故障である。転がり軸受の故障が進行して故障度合いが大きくなると、周波数スペクトルの振幅の変化量が大きくなる状態が継続される。この場合、第1傾き値SL1が第1判定閾値Sth1を超えていると連続して判定されると考えられる。
ステップS17、S41又はS42の処理の完了後、ステップS19に進む。ステップS19において肯定判定した場合には、ステップS43に進み、第2傾き値SL2が第2判定閾値Sth2を超えているとステップS19においてN回連続して判定されたか否かを判定する。
ステップS43において否定判定した場合には、ステップS44に進み、第2軸受22Bが軽度故障していると判定する。一方、ステップS43において肯定判定した場合には、ステップS45に進み、第2軸受22Bが重度故障していると判定する。ステップS20、S44又はS45の処理の完了後、ステップS22に進む。なお、ステップS22の通知処理は、重度故障の場合、軽度故障の場合よりも警告度合いを強くしたものであってもよい。
以上説明した本実施形態によれば、第1,第2軸受22A,22Bのいずれかに故障が生じたことに加えて、その故障度合いを把握することができる。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態を以下のように変更して、実施することもできる。
・故障判定処理が、通常動作モードではなく、等速動作モードにおいて実施されてもよい。
・第3実施形態において、コントローラ30は、4つ以上の規定周波数それぞれに対応する傾き値を算出し、少なくとも2つの規定周波数における傾き値それぞれが判定閾値Sαを超えたと判定した場合に、第1,第2軸受22A,22Bの少なくとも1つが故障していると判定してもよい。
また、コントローラ30は、4つ以上の規定周波数それぞれに対応する傾き値を算出し、例えば少なくとも3つの規定周波数における傾き値それぞれが判定閾値Sαを超えたと判定した場合に、第1,第2軸受22A,22Bの少なくとも1つが故障していると判定してもよい。
また、コントローラ30は、1つの規定周波数に対応する傾き値を算出し、規定周波数における傾き値が判定閾値Sαを超えたと判定した場合に、第1,第2軸受22A,22Bの少なくとも1つが故障していると判定してもよい。
・第3実施形態において、傾き値に代えて、第2実施形態のように振幅変化量が故障判定に用いられてもよい。
・振幅変化量を回転変化量(関節の累計回転量)で規格化した値としては、図8のステップS15で説明したものに限らない。例えば、閾値と比較する規格化した値として、第1,第2傾き値SL1,SL2に所定値(>0)加算した値又は第1,第2傾き値SL1,SL2から所定値減算した値が用いられてもよい。このように加算又は減算した値は、傾き値と正の相関を有する。
また、例えば、閾値と比較する規格化した値として、下式(c1)のように、振幅変化量ΔAmpを回転変化量で除算した値をアークタンジェント演算することにより得られる値βが用いられてもよい。この値βは、上記傾き値と正の相関を有する。
Figure 2019059000
・図8,図16で説明した傾き値や図13で説明した振幅変化量である判定用変化量としては、上記各実施形態に例示したものに限らない。例えば、振幅が前回算出されてから振幅が今回算出されるまでのモータ21の累計動作時間で、今回算出された振幅から前回算出された振幅を差し引いた値を除算した値を判定用変化量としてもよい。
・上記各実施形態では、電流検出部35により検出されるモータ21の電流値に基づいて、モータ21により関節K1〜K6を回転駆動する際に発生する振動を検出したがこれに限らない。例えば、電流検出部35により検出されるモータ21の電流値に基づいてモータ21のトルク値を算出又は推定し、その算出又は推定したトルク値に基づいて上記の振動をトルク値の振動として検出するようにしてもよい。この場合、その検出されたトルク値の振動データに対して周波数解析が実施される。
また、各関節K1〜K6に振動を検出する振動センサを設け、その振動センサにより関節K1〜K6を回転駆動する際に発生する振動を検出するようにしてもよい。
・各関節に転がり軸受が1つ設けられていたり、3つ以上設けられていたりしてもよい。3つ以上設けられている場合にも、転がり軸受ごとに対応する特定周波数が相違することになるため、例えば先の図8,図16の処理を適用することができる。
・本発明が適用されるロボットとしては、6軸ロボットに限らず、例えば、5軸ロボットや4軸ロボット等、その他の多関節型ロボットであってもよい。また、本発明が適用されるロボットとしては、多関節を有するものに限らず、関節を1つだけ有する1軸ロボットであってもよい。
10…ロボット、21…モータ、22A,22B…第1,第2軸受、30…コントローラ、K1〜K6…関節。

Claims (9)

  1. 関節を回転駆動するモータと、
    前記関節の回転に伴い、転動体が転走面に転がり接触することで摺動する転がり軸受と、を備えるロボットに適用される転がり軸受の故障判定装置において、
    前記モータにより前記関節を回転させる場合に発生する振動を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部により検出された振動について周波数解析を行い、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅を算出する振幅算出部と、
    前記振幅算出部により算出された振幅に基づいて、該振幅の変化量又はその相関値である判定用変化量を算出する変化量算出部と、
    前記判定用変化量が閾値を超えたと判定した場合、前記転がり軸受が故障していると判定する故障判定部と、を備える転がり軸受の故障判定装置。
  2. 前記判定用変化量は、前記振幅算出部により今回算出された振幅から前回算出された振幅を差し引いた値を、前記振幅算出部により振幅が前回算出されてから振幅が今回算出されるまでの前記関節の累計回転量で規格化した値である請求項1に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  3. 前記判定用変化量は、前記振幅算出部により今回算出された振幅から前回算出された振幅を差し引いた値を、前記関節の累計回転量で除算した値又はその相関値である請求項2に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  4. 前記振幅算出部は、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅のうち、前記転がり軸受に対応して定まる特定周波数における振幅を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  5. 前記振幅算出部は、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅のうち、前記転がり軸受に対応して定まる特定周波数以外の規定周波数における振幅を算出する請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  6. 前記振幅算出部は、前記周波数解析により得られた振動の周波数スペクトルの振幅のうち、前記転がり軸受に対応して定まる特定周波数以外の周波数であって、互いに異なる複数の前記規定周波数それぞれにおける振幅を算出し、
    前記変化量算出部は、複数の前記規定周波数それぞれにおける前記判定用変化量を算出し、
    前記故障判定部は、複数の前記規定周波数のうち少なくとも2つの規定周波数における前記判定用変化量それぞれが前記閾値を超えたと判定した場合、前記転がり軸受が故障していると判定する請求項5に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  7. 前記故障判定部は、前記判定用変化量が前記閾値を超えたと判定した場合、前記転がり軸受が軽度故障していると判定し、前記判定用変化量が前記閾値を超えたと複数回連続して判定した場合、前記軽度故障に代えて、該軽度故障よりも故障度合いの大きい重度故障が前記転がり軸受に生じていると判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  8. 前記振動検出部は、前記モータにより前記関節が等速で回転駆動されている期間における振動を検出する請求項1〜7のいずれか1項に記載の転がり軸受の故障判定装置。
  9. 前記故障判定部により前記転がり軸受に故障が生じていると判定された場合、その旨を通知する通知部を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の転がり軸受の故障判定装置。
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