JP2019057683A - 配線基板用積層体及びその製造方法 - Google Patents

配線基板用積層体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】配線回路パターンとなるようにパターニング加工することで得た細線が絶縁性基材から剥がるのを抑えることが可能な配線基板用積層体を提供する。【解決手段】ポリイミドフィルム等の絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は、硫黄を0.5〜3.0質量ppm含んでいるか若しくは塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいるか又はこれら両方を含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、プリント配線基板の材料となる配線基板用積層体及びその製造方法に関する。
携帯電話等の携帯用電子機器はますます小型化・軽量化する傾向にあり、これらに搭載する電子部品群の配置間隔を狭くして高密度に実装するため、プリント配線基板の多層化、配線ピッチの狭幅化、ビアホールの微細化、ICパッケージの小型多ピン化等の高密度実装化の技術に関する研究開発が進められている。特に上記のプリント配線基板の表面又は内部に電子部品を直接実装する技術は、高密度実装を達成できるだけでなく信頼性の向上にも寄与するため、盛んに研究開発が進められている。また、電子部品のうち、コンデンサや抵抗等の受動素子の小型化・集積化の技術や表面実装化の技術に関する研究開発も合わせて進められている。
上記のように高密度実装化が進むに伴い、プリント配線基板の配線回路パターンは寸法精度が高いこと、例えば配線ピッチにばらつきが少ないことが求められるようになっている。また、プリント配線基板が熱的安定性に優れていること、例えばプリント配線基板の配線回路パターンが熱により変形しにくいことも求められるようになっている。更に、電子部品等をより高密度に実装するため、絶縁性基材の両面に金属層が成膜された両面配線基板用材料が求められる場合がある。
上記のプリント配線基板のうち、フレキシブル配線基板の場合は一般的に絶縁性フィルムの表面に金属層等が成膜された配線基板用材料が用いられており、その主な製造方法としては熱圧着法とメタライジング法が知られている。熱圧着法は、配線回路のパターニング加工が行われる導体層としての金属箔と絶縁性フィルムとを熱圧着(ラミネート)により貼り合わせる方法である。一方、メタライジング法は、絶縁性フィルムの表面上にスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の乾式めっき法によって薄膜の金属シード層と該金属シード層上の第1金属層とを成膜し、次に厚膜化のため該第1金属層の表面上に無電解めっき又は電解めっきによる湿式めっき法で第2金属層を成膜する方法である。
後者のメタライジング法による配線基板用材料の製造方法について、例えば特許文献1には、熱可塑性液晶ポリマーフィルム上に、先ずスパッタリング法でニッケル、クロム、又はこれらの合金からなる金属シード層を成膜し、次いでスパッタリング法で銅導電層を成膜し、更にこの銅導電層の上に電気銅めっき法若しくは無電解銅めっき法、又はこれら両者の併用により銅導電層を成膜する技術が開示されている。また、特許文献2には、ポリイミドフィルムの表面に金属被膜を形成するスパッタリング工程と、該金属被膜の上に連続めっき装置を用いて金属導電体を形成する電気めっき工程とからなる金属被覆ポリイミド基板の製造方法が開示されている。
更に特許文献3には、高密度化に対応する微細な配線回路を形成するため、硫黄を含む銅めっき層を形成する技術が開示されている。この特許文献3には、硫黄を含んだめっき液を用いて銅めっき層を有する配線基板用材料を作製することによって、該銅めっき層をパターニング加工することにより形成される配線回路を構成する導電線の断面形状を、トップ幅とボトム幅の差が小さな略矩形形状にできると記載されている。
特開2005−297405号公報 特開2009−026990号公報 特開2013−019037号公報
上記のように、プリント配線基板の配線回路は高密度実装化に対応して微細化が進んでおり、これに伴い配線回路を構成する細線の線幅がますます狭くなっているが、その結果、細線が絶縁性フィルムなどの絶縁性基材から剥がれ易いといった問題が生じていた。例えばフレキシブル配線基板の製造工程において、配線回路が形成された半製品の搬送時にローラー等の搬送手段に配線回路が接触することで細線の一部に剥がれが生じたり、あるいは切断加工時などにおいて細線に応力が加わることで細線の一部が剥がれたりすることがあった。
上記の細線の剥がれを防止するため、パターニング加工する前の配線基板用材料において、配線回路が形成される金属層と絶縁フィルムとの密着性を高めることが考えられる。金属層と絶縁フィルムとの密着性を高めるための一般的な手法としては密着面の粗化処理が知られており、これにより密着面積を広くでき且つアンカー効果を得ることができる。しかしながら、微細な配線回路パターンを形成するには、金属層と絶縁フィルムとの界面ができるだけ平坦であるのが好ましく、そのため凹凸の少ない絶縁フィルムの表面にスパッタリング法等の乾式めっき法によりベース金属層を形成し、更にその上に湿式めっき法により銅めっき層を形成したいわゆるメタライズ基板からなる積層体がよく使われる。すなわち、密着力を高めるべく絶縁フィルムの表面を過度に粗化することはむしろ微細な配線回路パターンの形成の妨げになっていた。
このような従来の配線基板用材料が抱える問題を解決するため、本発明者は乾式めっきで成膜したベース金属層と、湿式めっき法で成膜した銅めっき層とからなる積層構造の配線基板用材料において、該銅めっき層の成膜時の湿式めっき条件と細線の剥がれ易さとの関係を調査したところ、当該湿式めっき条件を変えることによって細線の剥がれ易さに差異が生じることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第1の態様の配線基板用積層体は、絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm含んでいることを特徴としている。
また、本発明に係る第2の態様の配線基板用積層体は、絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴としている。
更に、本発明に係る第3の態様の配線基板用積層体は、絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm、及び塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴としている。
また、本発明に係る第1の態様の配線基板用積層体の製造方法は、絶縁性基材の少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程とからなる配線基板用積層体の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る第2の態様の配線基板用積層体の製造方法は、絶縁性基材の少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程とからなる配線基板用積層体の製造方法であって、前記銅めっき層の塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴としている。
また、本発明に係る第3の態様の配線基板用積層体の製造方法は、絶縁性基材の少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程とからなる配線基板用積層体の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmであって且つ塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴としている。
本発明によれば、微細な配線回路パターンとなるようにパターニング加工した場合であっても、該パターニング加工で得た細線が絶縁性基材から剥がるのを抑えることができる。
実施例で作製したフレキシブル配線基板の切断部分の写真であり、直線導電部に剥離が生じていないことが分かる。 実施例で作製したフレキシブル配線基板の切断部分の写真であり、直線導電部に一部剥離が生じていることが分かる。
以下、本発明の第1の形態のプリント配線基板用の積層体について説明する。この本発明の第1の形態の積層体は、ポリイミドに代表される樹脂フィルム等の絶縁性基材と、該絶縁性基材の少なくとも片面にスパッタリング法等の乾式めっき法で形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に電気めっきによる湿式めっき法で形成された銅めっき層とからなる。この本発明の第1の態様の積層体をパターニング加工して得られるプリント配線基板は、リジット基板でもフレキシブル基板でもかまわないが、フレキシブル基板の場合により顕著な効果が得られる。従って以降の説明では、フレキシブル基板用として使用される積層体について説明する。
上記のベース金属層及び銅めっき層の成膜のための基材となる絶縁性基材の材料は特に限定がなく、種々の一般的な樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の耐熱性樹脂や、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、液晶ポリマー系樹脂等を用いることができる。これらの樹脂フィルムの材料の中では、耐熱性や絶縁性に優れることからポリイミド樹脂が好ましく、例えば東レ・デュポン株式会社製のカプトン(登録商標)シリーズや宇部興産株式会社製のユーピレックス(登録商標)シリーズ等として市販されている。
上記の樹脂フィルムの厚さについては特に限定はないが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、25μm以上が特に好ましい。樹脂フィルムの厚さの上限値についても特に限定はないが、過度に厚くなると積層体の作製時や作製後の取扱いが困難になるので、80μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましい。この絶縁性基材は、表面粗さRaが3〜100nmであるのが好ましく、これにより適度なアンカー効果が得られるので、微細な配線回路のパターニング加工を阻害することなく絶縁性基板の表面により剥がれにくい配線回路を形成することができる。上記の表面粗さRaが3nm未満ではアンカー効果が発揮されにくくなり、逆に表面粗さRaが300nmを超えると微細な配線回路パターンをパターニング加工するのが困難になる。
乾式めっき法で成膜されるベース金属層は、金属シード層と銅薄膜層とからなり、この順に絶縁性基材の表面に成膜される。金属シード層は、絶縁性基材と銅薄膜層との密着性を高める役割を担っており、その材料については特に限定がないが、例えば、ニッケル、クロム、モリブデン、チタン、バナジウム、スズ、金、銀、亜鉛、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、鉄、アルミニウム、鉛、炭素、鉛−スズ系はんだ合金などのうちの1種若しくは2種以上含む金属又はその合金が好ましい。これらの中ではニッケル若しくはその合金、クロム若しくはその合金、又はニッケル及びクロムを含む合金であることがより好ましく、ニッケル及びクロムを含む合金、例えば、Ni−Cr合金であることが特に好ましい。
この金属シード層の膜厚は2nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下がより好ましい。金属シード層の膜厚が2nm未満では、パターニング加工を行う際に金属シード層と絶縁性基材との間にエッチング液の浸食によりエッチング液が染み込んで、配線が浮いてしまう場合がある。逆に、金属シード層の膜厚が50nmを超えると、パターニング加工を行う際に金属シード層のうち除去すべき部分をエッチングにより完全に除去するのが困難になり、残渣として配線間に残って絶縁不良を発生させる恐れがある。
上記金属シード層の上に形成される銅薄膜層は、銅又は銅を主成分とする銅合金からなり、その厚さについては特に限定はないが、10nm以上300nm以下であるのが好ましい。その理由は、10nm以上であれば後述する銅めっき層を電気めっきで成膜する時の給電量を十分に確保することができるからである。逆に銅薄膜層の厚みが300nmを超えると生産性の観点から好ましくない。上記の金属シード層及び銅薄膜層からなるベース金属層の上に形成する銅めっき層は、一般的な電気めっき法で成膜することができる。この銅めっき層の膜厚は0.1μm以上20μm以下が好ましい。
ところで、電解銅めっき浴に使用する硫酸銅めっき液には添加剤として市販の光沢剤の添加が行われる。この光沢剤には硫黄が含有されており、電気めっきの電流密度を調整することで銅めっき層中の硫黄の含有量を変えることができる。そこで、本発明の第1の態様の積層体では、電気めっきの電流密度を調整することで銅めっき層中の硫黄の含有量を0.5〜3.0質量ppmの範囲内にしている。これにより、積層体の金属層をパターニング加工することで形成した配線回路を構成する細線が絶縁性基材から剥がれるのを抑えることができる。このように銅めっき層中の硫黄濃度を調整することでパターニング加工で得た細線の剥がれやすさが抑えられる理由は定かではないが、硫黄は銅めっき被膜中では主に銅の結晶粒界に存在し、この硫黄濃度が高くなる条件でめっきをすると、析出する銅めっき被膜は面内方向へ延びる力が発生する。これによりフィルムと銅めっき被膜との間で内部応力に差異が生じ得るが、硫黄の含有率を上記の範囲内に抑えることによって内部応力が抑えられているためと推測している。
次に、本発明の第2の形態のプリント配線基板用の積層体について説明する。この本発明の第2の形態の積層体は、ポリイミドに代表される樹脂フィルム等の絶縁性基材と、該絶縁性基材の少なくとも片面にスパッタリング法等の乾式めっき法で形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に電気めっきによる湿式めっき法で形成された銅めっき層とからなる。この本発明の第2の形態の積層体における銅めっき層の成膜の際に用いられる硫酸銅めっき液には塩素が添加されている。
この場合、塩素濃度を調整するか、若しくは電気めっきの電流密度を調整するか、又は塩素濃度と電流密度の両方を調整することで銅めっき層中の塩素の含有量を変えることができる。そこで、本発明の第2の態様の積層体では、上記の塩素濃度及び/又は電流密度の調整により銅めっき層中の塩素の含有量を0.9〜2.1質量ppmの範囲内にしている。これにより、積層体の金属層をパターニング加工することで形成した配線回路を構成する細線が絶縁性基材から剥がれるのを抑えることができる。このように銅めっき層中の塩素濃度を調整することでパターニング加工で得た細線の剥がれやすさが抑えられる理由は定かではないが、塩素は銅めっき被膜中では主に銅の結晶粒界に存在し、この塩素濃度が高くなる条件でめっきをすると、析出する銅めっき被膜は面内方向へ延びる力が発生する。これによりフィルムと銅めっき被膜との間で内部応力に差異が生じ得るが、塩素の含有率を上記の範囲内に抑えることによって内部応力が抑えられているためと推測している。
次に、本発明の第3の形態のプリント配線基板用の積層体について説明する。この本発明の第3の形態の積層体は、ポリイミドに代表される樹脂フィルム等の絶縁性基材と、該絶縁性基材の少なくとも片面にスパッタリング法等の乾式めっき法で形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に電気めっきによる湿式めっき法で形成された銅めっき層とからなる。この本発明の第3の形態の積層体における銅めっき層の成膜の際に用いられる硫酸銅めっき液には硫黄を含む市販の光沢剤が添加されており、更に塩素が添加されている。
この場合、硫黄濃度及び/又は塩素濃度を調整するか、若しくは電気めっきの電流密度を調整するか、又は硫黄濃度及び/又は塩素濃度と電流密度の両方を調整することで銅めっき層中の硫黄の含有量及び塩素の含有量を変えることができる。そこで、本発明の第3の態様の積層体では、上記の硫黄や塩素濃度及び/又は電流密度の調整により銅めっき層中の硫黄の含有量を0.5〜3.0質量ppmの範囲内にし且つ塩素の含有量を0.9〜2.1質量ppmの範囲内にしている。これにより、積層体の金属層をパターニング加工することで形成した配線回路を構成する細線が絶縁性基材から剥がれるのを抑えることができる。このように銅めっき層中の硫黄及び塩素の濃度を調整することでパターニング加工で得た細線の剥がれやすさが抑えられる理由は定かではないが、硫黄及び塩素は銅めっき被膜中では主に銅の結晶粒界に存在し、これらの濃度が高くなる条件でめっきをすると、析出する銅めっき被膜は面内方向へ延びる力が発生する。これによりフィルムと銅めっき被膜との間で内部応力に差異が生じ得るが、硫黄及び塩素の含有率をそれぞれ上記の範囲内に抑えることによって内部応力が抑えられているためと推測している。
[実施例1]
基材として表面粗さRaがそれぞれ3nm及び7nmの2種類の厚さ25μmのポリイミドフィルムと、表面粗さRaがそれぞれ60nm及び100nmの2種類の厚さ50μmのPETフィルムとを用意し、これら4種類の基材の各々の片面に、厚さ0.03μmのニッケル-クロム合金層と、その上の厚さ0.1μmの銅薄膜層とからなるベース金属層をスパッタリング法により形成した。次に、このベース金属層の上に電気めっきにより銅めっき層を形成した。この電気めっきに用いる電解銅めっき浴の硫酸銅めっき液は、硫酸銅濃度100g/L、硫酸濃度180g/L、及び塩酸濃度50mg/Lとし、これにアトテック社製の添加剤(カパラシドGS)を濃度1mL/Lとなるように添加し、更に塩素濃度60質量ppmとなるように塩酸を添加した。
上記電気めっきの際、先ずベース金属層が成膜された表面粗さRa3nmのポリイミドフィルムに対して濃度10質量%の硫酸水溶液で洗浄した後、これを6枚の試験片に切断した。これら6枚の試験片を浴温25℃の上記硫酸銅めっき液に浸漬し、それぞれ1〜8A/dmの範囲内で異なる電流密度で膜厚8μmの銅めっき層を成膜した。具体的には、上記の6枚の試験片の電気めっきの電流密度を、それぞれ1A/dm、1.5A/dm、2A/dm、4A/dm、6A/dm、及び8A/dmとした。なお、電流密度が異なることで成膜速度に差が生ずるので、めっき時間を調整することで全て上記の同じ膜厚になるようにした。このようにして試料1A〜6Aの積層体を作製した。得られた試料1A〜6Aの積層体の各々に対して、銅めっき層中に含まれる硫黄と塩素の濃度を二次イオン質量分析法を用いて分析した。その結果を下記表1に示す。
上記表1に示されるように、硫酸銅めっき液に添加した添加剤を構成する光沢剤に含まれる硫黄及び添加した塩素に起因すると思われる硫黄及び塩素の濃度は、いずれもめっき時の電流密度が低いほど高くなった。次に、上記のようにして銅めっき層が成膜された6枚の試験片の各々に対して、該銅めっき層の表面に市販のドライフィルムレジストをラミネート法により貼り付けた後、このレジストにフォトマスクを介して紫外線露光を行い、更に1%炭酸ナトリウム水溶液により余分なレジストを溶解することで現像処理した。次に、濃度3%の塩化第二鉄水溶液に液温40℃の条件で180秒浸漬してエッチング処理した後、水洗してから4%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することでレジストを剥離し、再度水洗してから乾燥した。
このようにして線幅が20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、及び45μmの直線導電部が10本ずつ形成された配線パターンを各々有する試料1〜6のプリント配線基板をそれぞれ試料1A〜6Aの積層体から作製した。得られた試料1〜6のプリント配線基板をカッターナイフで該直線導電部の延在方向に対して直交する方向に切断し、切断部分を電子顕微鏡で観察して切断部分における該直線導電部とポリイミドフィルムとの剥離の有無を調べた。その結果を下記表2に示す。また、該直線導電部が剥離しない部分の写真と剥離した部分の写真をそれぞれ図1及び図2に示す。なお、「○」は剥離が生じなかったことを示しており、「×」は少なくとも一部に剥離が生じたことを示している。
表面粗さRa7nmのポリイミドフィルム、表面粗さRa60nmのPETフィルム、及び表面粗さRa100nmのPETフィルムに対しても、上記と同様に電気めっきの電流密度を1〜8A/dmの範囲内で様々に変えて電気めっきした後、パターニング加工することで、それぞれ試料7〜12、試料13〜18、及び試料19〜24のプリント配線基板を作製した。これら試料7〜24のプリント配線基板に対しても上記の試料1〜6のプリント配線基板と同様にして切断時の剥離しやすさを調べた。その結果を下記表3(ポリイミドフィルム、Ra7nm)、表4(PETフィルム、Ra60nm)、及び表5(PETフィルム、Ra100nm)に示す。
[実施例2]
電解銅めっき浴に添加する添加剤にアトテック社製の添加剤に代えてマクダーミッド社製の添加剤(ST2000)を濃度20mL/Lとなるように添加した以外は上記実施例1と同様にして電気めっきの電流密度が異なる条件で銅めっき層を形成した後、上記実施例1と同様に、表面粗さRa3nmのポリイミドフィルムを用いて作製した試料25A〜30Aの積層体に対して、その銅めっき層中の硫黄と塩素の濃度を二次イオン質量分析法を用いて分析した。その結果を下記表6に示す。
更に、上記実施例1と同様に、表面粗さRa3nmのポリイミドフィルムを基材に用いて作製した上記の試料25A〜30Aの積層体をパターニング加工することで試料25〜30のプリント配線基板をそれぞれ形成した。同様に、表面粗さRa7nmのポリイミドフィルムを基材に用いた試料31〜36のプリント配線基板と、表面粗さRa60nmのPETフィルムを基材に用いた試料37〜42のプリント配線基板と、表面粗さRa100nmのPETフィルムを基材に用いた試料43〜48のプリント配線基板とを作製した。これら試料25〜48のプリント配線基板の各々に対して、実施例1と同様に切断して配線の剥離の有無を調べた。その結果を下記表7〜10に示す。

Claims (7)

  1. 絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm含んでいることを特徴とする配線基板用積層体。
  2. 絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴とする配線基板用積層体。
  3. 絶縁性基材と、その少なくとも片面に形成されたベース金属層と、該ベース金属層の上に形成された銅めっき層とからなる配線基板用積層体であって、前記銅めっき層は硫黄を0.5〜3.0質量ppm、及び塩素を0.9〜2.1質量ppm含んでいることを特徴とする配線基板用積層体。
  4. 前記絶縁性基材の表面粗さRaが3〜100nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回線基板用積層体。
  5. 絶縁性基材の少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程とからなる配線基板用積層体の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴とする配線基板用積層体の製造方法。
  6. 絶縁性基材の少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程とからなる配線基板用積層体の製造方法であって、前記銅めっき層の塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴とする配線基板用積層体の製造方法。
  7. 絶縁性基材の少なくとも片面に乾式めっき法によりベース金属層を成膜する乾式成膜工程と、該ベース金属層の上に湿式めっき法により銅めっき層を成膜する湿式成膜工程とからなる配線基板用積層体の製造方法であって、前記銅めっき層の硫黄含有量が0.5〜3.0質量ppmであって且つ塩素含有量が0.9〜2.1質量ppmとなるように前記湿式めっきのめっき条件を調整することを特徴とする配線基板用積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006303207A (ja) * 2005-04-21 2006-11-02 Teijin Ltd フレキシブルプリント回路用基板
JP2014508859A (ja) * 2011-01-26 2014-04-10 エンソン インコーポレイテッド マイクロ電子工業におけるビアホール充填方法
JP2016157752A (ja) * 2015-02-23 2016-09-01 住友金属鉱山株式会社 フレキシブル配線用基板およびフレキシブル配線板

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