JP2019056772A - 電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 クリック感の強弱を調整でき、回転操作部材を小型化することを可能にした操作部材を備える電子機器を提供すること。【解決手段】 電磁石280は、所定の間隔をおいて磁場生成部材251と対向して配置されており、制御手段は、磁場検知部241の出力信号に応じて電磁石280の励磁強度を制御することで、クリック機構251、280のクリック感の強度を切り替えることを特徴とする構成とした。【選択図】 図3
Description
本発明は、電子機器に関し、特に磁力を用いて操作感を発生させる操作部材を有する電子機器に関するものである。
デジタルカメラ等の撮像装置では、ダイヤル等の回転操作部材を回転操作することで、撮影条件の設定や機能の選択を行えるようにしている。従来、磁力を用いてクリック感を提示する操作部材が知られている。
例えば、特許文献1では、回転操作部材と一体で回転し、円周方向にS極とN極が交互に着磁されたリング状の回転磁石とGMRセンサで回転方向・回転量を検出する。
そして、回転磁石と固定磁石との間の吸引力・反発力でクリック感を発生させる回転操作ユニットが開示されている。
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、互いの距離が変化しない二つの永久磁石によってクリック感を発生させているため、クリック感の強弱を調整することはできない。
また、回転磁石が2極分回転して初めて1回のクリック感が発生するため、操作部材が1回転した際に得られるクリック数は、回転磁石の分極数の半分となってしまう。
すなわち、所望のクリック数に対し回転磁石が大きくなってしまうため、操作部材自体が大型化してしまう恐れがある。
そこで、本発明の目的は、クリック感の強弱を調整でき、回転操作部材を小型化することを可能にした電子機器を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、回転軸に対して回転可能に保持された回転操作部材と、前記回転操作部材に対して、所定の回転角度毎にクリック感を発生させるクリック機構と、前記回転軸の回りに所定のピッチで磁極が変化する磁場生成部材と、前記磁場生成部材で生成された磁場を検知する磁場検知部と、前記磁場検知部の出力信号に応じて前記クリック機構を構成する電磁石の励磁強度を制御する制御手段と、を有する電子機器であって、
前記電磁石は、所定の間隔をおいて前記磁場生成部材と対向して配置されており、
前記制御手段は、前記磁場検知部の出力信号に応じて前記電磁石の励磁強度を制御することで、前記クリック機構のクリック感の強度を切り替えることを特徴とする。
前記電磁石は、所定の間隔をおいて前記磁場生成部材と対向して配置されており、
前記制御手段は、前記磁場検知部の出力信号に応じて前記電磁石の励磁強度を制御することで、前記クリック機構のクリック感の強度を切り替えることを特徴とする。
本発明によれば、撮影シーンや操作者の好みに応じて発生させるクリック感の強弱を調整できる。また、円形磁石と磁気検出素子を用いる回転操作部材において、円形磁石の径を小型化することができる。さらに、磁力を用いてクリック感を発生させるため、部品同士を接触させてクリック感を発生させる方式に比べ耐久性を向上させることが可能になる。
以下、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施例による、電子機器について説明する。なお、電子機器の例として、撮像装置に適用した場合を説明する。
図1(a)、(b)に本発明の回転操作部材を搭載した撮像装置の外観図を示す。
図1(a)は撮像装置100の前面斜視図であり、図1(b)は撮像装置100の背面斜視図である。シャッターボタン108は撮影指示を行うための操作部である。モード切り替えスイッチ107は各種モードを切り替えるための操作部である。
ダイヤル140は時計回り、反時計回りに突き当たることなく回転可能な回転操作部材であり、このダイヤル140を回すことで、シャッター速度や絞りなど各種設定値の変更等が行える。
電源スイッチ106は撮像装置100の電源のON及びOFFを切り替える操作部材である。液晶画面110はTFTや有機ELを用いた表示装置であり、撮像装置の各種設定画面や撮影画像の表示を行う。
サブダイヤル141は回転操作部材であり、撮影モード選択や測距点選択、画像再生、メニュー操作等の様々な操作に使用される。
SETボタン142は押しボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。
図2は撮像装置100のシステムブロック図である。
不揮発性メモリ101は、後述するCPU150が動作を行う際のプログラムを格納する。
本実施例では、Flash−ROMとして説明を行うが、これは一例であり、不揮発性メモリであれば、他のメモリを適用することも可能である。
RAM102は、撮像装置100で撮影される画像バッファや画像処理された画像データを一時的に記憶するための記憶手段の機能と、後述するCPU150が動作を行う際のワークメモリとして使用するRAMである。
本実施例では、これらの機能をRAMで行うようにしているが、アクセス速度が十分に問題ないレベルのメモリであれば、他のメモリを適用することも可能である。
表示部103は、撮影した静止画像や動画像、ライブビュー、メニュー等の表示を行う表示部である。液晶画面110やファインダーなどを含む。
電源部105は、撮像装置100の電源部である。電源部105は電池やACアダプタ等で構成され、直接乃至は不図示のDC−DCコンバータ等を介して、撮像装置100の各ブロックに電源を供給する。
電源スイッチ106は、撮像装置100の電源スイッチである。本実施例では、図1に示すように、メカ的にオン/オフの位置を持つ構造で説明するが、これに限定する必要はない。
そして、プッシュスイッチ、電気的スイッチ等で構成されてもよい。
電源スイッチ106がオフの状態では、撮像装置100に電源部105が挿入されている状態でも撮像装置としては機能せず、消費電力の少ない状態を保持する。
電源スイッチ106がオンの状態で、電源部105が挿入されると、撮像装置100は撮像装置として機能する。
CPU150は、撮像装置100を統括的に制御するCPUである。撮像装置としての基本機能である撮像機能を実現する。
また、後述するホールIC検出方式のダイヤル140の検出結果に応じて、撮像装置100のモード切り替えや表示部103の表示更新等を行う。
タイマ151は、任意の時間を測定可能なタイマ機能である。図2では、CPU150に内蔵される構成で説明を行うが、外付けされる構成であっても構わない。
CPU150の指示に応じて、時間測定を開始し、CPU150の指示に応じて、時間測定を終了する機能を持つ。
また、タイマを絶えず動作させ、所定時間間隔で定期的にCPU150に割り込みを発生させる機能も併せ持つ。
カウンタ152は、後述するダイヤル140の操作回数をカウントするためのカウンタ機能である。
図2では、CPU150に内蔵される構成で説明を行うが、外付けされる構成であっても構わない。
また、図2では、ダイヤル140の操作回数をカウントする構成で説明を行うが、任意の操作部の操作回数をカウントすることが可能である。
ホールIC241は、特定の方向の磁場を検出可能な横磁場検出部122と、それと垂直な方向の磁場を検出可能な縦磁場検出部121を備えた磁気センサICである。
図2では、CPU150に外付けされる構成で説明を行うが、CPU150に内蔵される構成であっても構わない。
ホールIC241の横磁場検出部122と縦磁場検出部121は、任意の上側閾値と下側閾値が設定されている。
そして、検出される磁束密度が、上限閾値を超えた場合、または下側閾値を下回った場合に所定の信号を出力する。
また、CPU150の指示に応じて、任意のタイミングで横磁場検出部122乃至縦磁場検出部121の検出磁束密度を読み出すことが可能である。
磁石251は、リング状の永久磁石であり、円周方向にS極とN極とが交互に一定のピッチで着磁されている。
詳細は図3以降で説明するが、磁石251はダイヤル140と一体となって回転し、ホールIC241で磁束密度の変化を検知し、ダイヤル140の回転方向と回転量を算出する。
電磁石280は、ホールIC241で検出した磁束密度の変化量をもとにCPU150によって算出された電圧を印加される。
電磁石280をダイヤル140の回転に合わせて、磁石251と電磁石280の間に働く吸引力及び反発力を制御することによって、ダイヤル140を操作した時のクリック感を発生させる。
磁石251と電磁石280は、回転操作部材としてのダイヤル140に対して、所定の回転角度毎にクリック感を発生させるクリック機構を構成する。
図3を用いて、ダイヤル140の基本構成を説明する。図3は、ダイヤル140の構造の一例を示した分解斜視図である。詳細な構成を説明するため異なる二方向から見た図を示す。
回転操作部材200はユーザーが操作するダイヤル部であり、回転軸Aを中心に回転する。
磁石251はリング状の形状を有し、円周方向にS極とN極とが交互に一定のピッチで着磁されている。
本実施例では12極に分極されているが、分極数が異なっても構わない。磁石251は回転操作部材200と反対側の片面にのみ着磁されているが、両面着磁の磁石でも良い。
片面着磁にした方が外部への余計な磁力の漏れを防ぐことができる。磁石251は回転操作部材200内部に固定され、カバー部材202によって蓋をされ、回転操作部材200と一体で回転する。
シールド部材203は磁性体であり、回転操作部材200の磁石251が固定される面と反対側に固定され、回転操作部材200と一体で回転する。
シールド部材203により磁石251から発生する磁力が外部に漏れるのを防ぐことができる。また、ホールIC241による磁気検知においてノイズとなるような外部からの磁力を防ぐことができる。
ベース部材204は、回転操作部材200を回転軸A中心に回動可能に保持する。
操作部カバー205がベース部材204に固定され、ベース部材204と操作部カバー205で回転操作部材200を保護している。
電磁石280はコイル281とヨーク282を有する電磁石であり、コイル281に流す電流により励起する磁力を調整することができる。
ヨーク282はU字形状を有しており、その両端が磁石251の着磁面と対向するようにベース部材204で保持される。
ヨーク282をU字形状にすることで電磁石280と磁石251による磁気回路を閉じることができ、外部に漏れる磁力を抑えることができる。
また、電磁石280は非磁性体である電磁石カバー206によってベース部材204に固定され、電磁石280は磁性体と接触しないため、余計な磁力の漏れを防ぐ。
ヨーク282は回転軸A方向から見た際に、磁石251のリング形状に沿うように湾曲した形状を有している。
これにより回転操作部材200の摺動嵌合部207との干渉を避けることができ、回転軸A方向の厚みを薄くすることができ、ダイヤル140を小型化できる。
ホールIC241は特定の方向の磁界とそれに垂直な方向の磁界の二軸の磁力を検知できる素子であり、磁石251の着磁面と対向するようにベース部材204に固定される。
外部からの操作により回転操作部材200を回転させたときに、ホールIC241が磁石251の回転軸Aと平行な方向の磁場(縦磁場)と、磁石251の円周方向の磁場(横磁場)を検出する。
そして、制御部が検出結果に基づいて回転操作部材200の回転方向と回転量を算出する(詳細は後述)。
制御手段が磁場検知部241の出力信号に応じてクリック機構280、251を構成する電磁石の励磁強度を制御する。
算出された値をもとにコイル281に電流を流し、電磁石280で発生した磁力と磁石251との吸引力・反発力によりクリック感を発生させる。
本実施例では二軸の磁力を検知可能なホールIC241を用いているが、回転操作部材200の回転方向と回転量を検知できる構成であればこれに限らない。
たとえば、二つのホール素子を磁石251に対し異なる位相に配置することで回転検知を行う方法がある。
図4を用いて、ダイヤル140の構造を説明する。図4はダイヤル140の断面図である。
前述のように、電磁石280とホールIC241が磁石251に対向する位置に配置される。シールド部材203が、電磁石280から発生する磁力で図中上方向への磁束の漏れを防いでいる。
回転操作部材200は、ベース部材204の摺動嵌合部207において回動可能に保持されている。
回転操作部材200は、回転操作部材200の回転面の少なくとも一方の面に摺動嵌合部207を備え、電磁石280は、回転面を境界としたとき摺動嵌合部207と同じ側に配置される。
回転操作部材200は、回転操作部材200の回転面の一方の面に第1の摺動嵌合部207と、回転面の他方の面に第1の摺動嵌合部より嵌合長の短い第2の摺動嵌合部を備えている。
そして、電磁石280は、回転面を境界としたとき、第1の摺動嵌合部207と同じ側に配置される。
電磁石280及びホールIC241を、回転操作部材200に関して摺動嵌合部207と同じ側に配置することでダイヤル140を小型化することができる。
図5を用いて、電磁石280とホールIC241の配置について説明する。図5はダイヤル140のうち、磁石251、電磁石280、ホールIC241のみを表示している。
前述のように、磁石251はリング状の形状を有し、円周方向にS極とN極とが交互に一定のピッチで着磁されている。図5では、S極がホールIC241と対向している状態を示している。
磁場生成部材としての磁石251は、円周方向に等ピッチで分極された円形状の磁石である。
このとき、U字型のヨーク282の端282aはN極と、反対側の端282bはS極と対向する位置に配置されている。
このような構成にすることで、ヨーク282と磁石251による磁気回路を閉じることができ、外部に漏れる磁力を抑えることができる。
また、電磁石280の両端を使うことで一方の端のみを使う場合に比べ、同じ電力でもより強いクリック感を発生させることができる。
図5では、端282aと端282bは3つ隣の極と対向しているが、異なる極であれば隣の極でも、5つ隣の極でも構わない。
ただし、可能な限り近い極同士と対向させた方が磁気回路を小さくすることができるため、ホールIC241への影響を抑えることができる。
また、コイル281は端282aや端282bに巻くのではなく、その中間部に巻くのが良い。
端282aや端282bにコイルを巻く場合、単位長さ当たりの巻き数を増やすためには端282aと端282bを離さなくてはならないため、磁気回路が大きくなってしまう。
一方、中間部にコイルを巻く場合は単位長さ当たりの巻き数を増やしても端282aと端282bを離す必要がないため、端282aや端282bとホールIC241の距離を確保できる。
また、電磁石280はホールIC241に対してなるべく遠い位置に配置するのが望ましく、本実施例では図5に示すようにヨーク282の中間部とホールIC241が対向するよう位置に配置されている。
電磁石280は、コイル281を備え、磁性体282は、回転軸と平行な方向に伸びる第1の端282a及び第2の端282bの間に、回転軸と垂直な方向に伸びる中間部を備えている。
コイル281は、中間部に巻かれている。
中間部は、複数の磁石に跨って形成されており、磁場検知部241は、前記回転操作部材200)を中心として、前記中間部に対向して配置されている。
これにより、電磁石280から発生する磁界によるホールIC241への影響を抑えることができる。
本実施例では、電磁石280を用いてクリック感を発生させる構成をダイヤル140に対して実施しているが、サブダイヤル141に対して同様の構成を実施しても良い。
図6を用いて、磁石251が発生させる磁場と、ホールIC241による磁場の検知について説明する。
図6(a)は磁石251とホールIC241をダイヤル回転軸方向から見た図であり、図6(b)は磁石251とホールIC241を回転軸に垂直な方向(図中矢印C方向)から見た図である。
磁石251はN極6極、S極6極の計12極に等ピッチに分極されている。
磁石251の着磁面251a側にはホールIC241が配置され、磁石251の幅の中心とホールIC241の検出部241aが一致するようになっている。
ホールIC241は磁石251の中心軸方向(ダイヤル回転軸方向、矢印A方向)と、磁石251の円の接線方向(矢印B方向)の磁場の磁束密度を検出し、それぞれの磁場の状態を表す所定の信号を出力する。
ホールIC241の出力信号の詳細については後述する。
図6(c)、(d)は磁石251をダイヤル回転軸に直交する方向(矢印C方向)から見て、ホールIC241付近を拡大した図である。
図6(c)はホールIC241の検出部241aとS極の中心が図面左右方向で一致している状態を表す。
図6(d)は、図6(c)の状態から磁石251がダイヤル回転軸を中心に回転し、ホールIC241の検出部241aとS極N極の境界が一致している状態を表す。磁石251は極異方性の配向を持つように着磁されている。
すなわち、磁石251の内部における磁場は着磁面251aに垂直な直線となるのではなく、磁石内磁場254で示すように着磁面251aのS極から垂直に立上ったあと弧を描いてN極に向かい着磁面251aのN極において再び垂直方向となる。
磁石251の外部においては、磁束253で示すように、N極から垂直に立上った磁束が弧を描いてS極に向かう。
同様に図6(e)はホールIC241の検出部241aとN極中心が図面左右方向で一致している状態、図6(f)は検出部241aが図6(d)から1磁極分回転し、S極、N極が入替った状態を示している。
ここで、図6(a)中の矢印A方向の磁場を縦磁場253a、図6(a)中の矢印B方向の磁場を横磁場253bと定義する。
そうすると、図6(c)の状態ではホールIC241の検出部241aには縦磁場253aが検出され、横磁場253bは検出されない。
反対に、図6(d)の状態では縦磁場253aは検出されずに横磁場253bのみが検出されることとなる。
また、図6(c)から図6(d)に至る途中の状態では縦磁場253aと横磁場253bが回転状態に応じた強さで検出されることとなる。
つまり、図6(c)は縦磁場253aが最大で縦磁場253aがゼロの状態、図6(d)は縦磁場253aがゼロで縦磁場253aが最大の状態を表す。
磁石251をダイヤル回転軸回りに回転させると、ホールIC241の検出部241aで検出される縦磁場253aと横磁場253bはゼロから上記最大値の間で回転状態に応じた値をとる。
以下図7を用いてダイヤル回転時における磁場の変化とホールIC241の出力信号の詳細について説明する。
図7(a)は縦横磁場の強さとそれを検知したホールIC241の出力の関係を表すグラフである。
横軸は回転操作部材200の回転角度を、縦軸は磁場強度や信号出力値を表す。
前述したように、本実施例の回転操作部材200は磁石251と電磁石280の磁気的吸着力及び反発力によりクリック感を発生させている。
そして、回転操作部材200の回転操作は1クリックを基本単位として行われることとなる。横軸に示すIからIVはクリック位置を表し、それぞれの間は1クリック分の角度である。
まず、グラフ上部に示されているのが縦磁束密度301と横磁束密度302である。縦磁束密度301は、ホールIC241で検知された磁場の縦磁場253a(図6(c)参照)の磁束密度を表している。
また、横磁束密度302はホールIC241で検知された磁場の横磁場253bの磁束密度を表している。
ここでは、回転操作部材200を一定の速度で時計回り方向に回転させている場合を想定しており、図から明らかなように、それぞれの磁束密度はゼロを中心として最大値と最小値の間で周期的に変化する。
回転角度Iの状態で、301aで示されている様に、縦磁束密度301は最大値をとる。また、同じ状態で302aで示されているように横磁束密度302はゼロとなる。
これは、図6(c)に示すようにホールIC241で検出される磁場が矢印A方向成分のみで、矢印B方向成分は持っていない事を意味する。
この状態から回転操作部材200が回転し、301bで示す状態になると縦磁束密度301はゼロになり、同じ状態で302bで示されているように横磁束密度302は最小値を取る。
これは、図6(d)に示すように、ホールIC241で検出される磁場が矢印A方向成分は持っておらず、矢印B方向成分のみ、かつ矢印Bとは反対向きである事を意味する。
さらに、回転操作部材200が回転し、301c、302cで示す状態になると図6(e)で示すように、ホールIC241で検出される磁場は矢印Aと反対向きの成分のみで、矢印B方向の成分が無い状態となる。
この状態まで来ると、回転角度Iから回転角度IIまで1クリック分回転操作部材200が回転した事となる。
また、301d、302dで示される点まで進むと、図6(f)の様に矢印A方向の成分がなく、矢印B方向の成分のみホールIC241で検知されている状態となる。
また、図6(c)から(f)の4つの状態の間では、縦磁束密度301と横磁束密度302は回転操作部材200の回転角度に応じた値を取る。
上述したように、回転操作部材200が1クリック分動くと、磁石251は1磁極分回転し、縦磁束密度301と横磁束密度302が1/2周期分変化する。
縦磁束密度301と横磁束密度302はそれぞれ1/2周期しか変化しないが、着磁ピッチ分ずれた周期的な信号となる。
この2つの信号の極大値の現れる順番や回数を検知することで、回転操作部材200の回転量と回転方向を求める事が可能となる。
次にホールIC241が出力する信号について説明する。縦磁束密度301、横磁束密度302のグラフと重なる様に示されているのが、ホールIC241の上側閾値307aと下側閾値307bである。
ホールIC241は検出部241aを通過する磁束を定期的にサンプリングしている。
そして、検出された縦横の磁束密度が上側閾値307aを上回った場合、または下側閾値307bを下回った場合に、ホールIC241内部で縦磁場信号303と横磁場信号304を変化させる。
以下に詳細を説明する。縦磁場信号303と横磁場信号304は縦磁束密度301と横磁束密度302に対応した信号である。
そして、それぞれの磁束密度が上側閾値307aを上回った場合は信号がH(Hi)からL(Lo)に、下側閾値307bを下回った場合は信号がLからHに変化する。
上記いずれにも該当しない場合は、現在の値が保持される。
図7(a)の回転角度Iの状態では縦磁束密度301は上側閾値307aを上回っているため、縦磁場信号303はLとなっている。
そして、横磁束密度302は上側閾値307aを上回った後、下側閾値307bを下回る状態まで進んでいないため、こちらもLとなっている。
この状態から回転操作部材200が回転し、ホールIC241は定期的に磁束密度のサンプリングを行い、縦磁場信号303と横磁場信号304を更新し続ける。
302eで示す点まで来ると、横磁束密度302が下側閾値307bを下回り、その直後の回転角度IaのサンプリングでホールIC241が磁束密度を検知する。
そして、横磁束密度302が下側閾値307bを下回ったこと検知し、横磁場信号304をLからHに変化させる。
この時点では縦磁束密度301は下側閾値307bを下回っていないので、縦磁場信号303はLのままである。
さらに、回転操作部材200が回転し301eで示す点を超えると縦磁束密度301が下側閾値307bを下回る。
この直後の回転角度Ibの状態でホールIC241が磁束密度を検知し、縦磁束密度301が下側閾値307bを下回ったこと検知し、縦磁場信号303をLからHに変化させる。
この時点では、横磁束密度302は上側閾値307aを上回っていないので、横磁場信号304はHのままである。
回転操作部材200が回転し302fで示す点まで来ると、横磁束密度302が上側閾値307aを超える。
直後の回転角度IIaのサンプリング時に横磁場信号304はHからLに変化し、縦磁場信号303はHのままである。
更に進んで301fの点までくると縦磁束密度301が上側閾値307aを超え、直後の回転角度IIbのサンプリング時に縦磁場信号303がHからLとなり、横磁場信号304は引き続きLのままである。
この様に、回転操作部材200と一体的に磁石251が等速回転する事により、ホールIC241からは、縦磁場信号303と横磁場信号304という縦磁束密度301と横磁束密度302と同一周期の矩形信号が出力される。
このような構成とすることで、アナログ波形であった縦磁束密度301、横磁束密度302が矩形波となるため、CPU150で容易に処理を行う事が可能となる。
ここで縦磁場信号303と横磁場信号304の排他的論理和(XOR)を取る事を考えると、パルス信号305で示すような信号となる。
図から明らかなようにパルス信号305は縦磁場信号303や横磁場信号304の半分の周期で変化する矩形波となり、その周期は回転操作部材200に与える1クリック分に相当する。
つまり、パルス信号305をモニタリングすると回転操作部材200の1クリック分の回転を検出する事が可能となる。
詳細は後述するが、本実施例では電磁石280の制御により、パルス信号305の周期と同じ周期でクリック感を発生させている。
縦磁場信号303および横磁場信号304の1周期分を1クリックとすることも可能だが、着磁工程の制約から磁極の幅には下限値があり、磁極数の増加は磁石の大型化につながる恐れがある。
そこで、本実施例のように縦磁場信号303と横磁場信号304の排他的論理和を取り、縦磁場信号303および横磁場信号304の半分の周期の信号を用いることで磁石の径方向の大型化を防ぐ事ができる。
そして、ダイヤル140の径の小型化が可能となる。
また、本実施例のホールIC241は1つの素子で縦横磁場両方が検知可能なため、縦横磁場の信号のずれを抑える事が可能である。
縦磁場検知用、横磁場検知用のホールICを1個ずつ使って磁石251の磁場を検知する事も可能である。
但し、その場合はホールIC同士の相互位置関係のずれが検知性能に影響を与えるため、2個のホールICを精度良く配置する事が必要となってくる。
本実施例の構成では2方向の磁場を検知可能なホールICを用いるため、磁石とホールICの相対位置が変化しても検知性能に与える影響は少なくて済む。
このため、組立時のずれや外力、環境温度などによる構成部品の変位による影響を受けにくい回転操作部材を提供することが出来る。
図7(a)最下部の回転方向信号306は回転操作部材200の回転方向を表す信号であり、Lは回転操作部材200が時計回りに回転し、Hは反時計回りに回転している事を表す。
以下、回転方向信号306生成の詳細を説明する。縦磁場信号303と横磁場信号304の取り得る値を表にしたものが図7(b)である。
それぞれの信号(H,L)の組合せによって状態1から状態4の4通りが考えられる。
例えば、回転角度Iから回転角度Iaの間は状態1である。回転角度IaからIbの間は横磁場信号304が変化するため状態2となる。
同様にIbからIIaの間は状態3、IIaからIIbの間は状態4となり、IIbからIIIaの間で再び状態1に戻る。
つまり、回転操作部材200を時計回りに回転させると、縦磁場信号303と横磁場信号304の組み合わせは状態1→状態2→状態3→状態4→状態1という順序で変化する事となる。
また、詳細は後述するが、回転操作部材200を反時計回りに回転させた場合は状態1→状態4→状態3→状態2→状態1という順序で変化する。
よって、縦磁場信号303と横磁場信号304の変化をモニタリングすると、回転操作部材200の回転方向を検知する事が可能である。
ホールIC241はこの処理を内部的に行い、検知された回転方向をH(反時計回り)とL(時計回り)として出力する。
次に図8を用いて、回転操作部材200を反時計回りに回転している場合の信号処理について説明する。
図7(a)と同一の信号は同じ符号で示し、以下図7(a)と異なる部分のみ説明する。
図8は回転操作部材200が反時計回りに回転している状態で、ある任意のクリック位置IVからIまで回転した状態を表す。
縦磁束密度301と横磁束密度302から縦磁場信号303、横磁場信号304およびパルス信号305が生成される処理は時計回りの回転時と同等である。
次に、図7(b)と同様に縦磁場信号303と横磁場信号304の組合せ状態を考える。角度IVからIVaの間は(縦磁場信号303、横磁場信号304)は(L,H)となるため状態2である。
IVaからIVbの間は(L,L)となるため状態1となる。以下、IVbからIIIaの間は状態4、IIIaからIIIbの間は状態3、IIIbからIIaの間は状態2となる。
つまり、回転操作部材200の回転に従って状態2→状態1→状態4→状態3→状態2という順序で変化する。
これにより上述したように、回転操作部材200が反時計周りに回転しているという事が分かるため、ホールIC241は回転方向信号306としてH(反時計回り)を出力する。
次に図9(a)、(b)を用いて、パルス信号305と回転方向信号306から回転操作部材200の回転検知制御を行う信号処理方法について説明する。
図9(a)は回転操作部材200を回転角度Iから時計回りに2クリック分回転角度IIIまで回転させた後に、反時計回りに2クリック分回転させ、回転角度Iに戻した時の縦横磁束密度および各種信号を表している。
図9(b)はパルス信号305、回転方向信号306に応じて、CPU150が行う回転検知処理を示すフローチャートである。
本実施例における信号処理では、回転方向信号306の出力に応じて、パルス信号305の立上り、立下りエッジのどちらを利用するかを切り換える。
具体的には、回転方向信号306がL(時計回り)の時は、図に示す立上りエッジ(305a1、305a2、305a3)のタイミングで回転操作部材200の回転処理を行う。
そして、回転方向信号306がH(反時計回り)の時には、立下りエッジ(305b1、305b2、305b3、305b4)のタイミングで回転処理を行う。
以下、図9(a)の回転角度に沿って説明する。
回転角度Iから回転角度IIに時計回りに1クリック動く場合、回転方向信号306は時計回りを表すLとなっている。
このため、パルス信号305の立下りエッジ305b1のタイミングでは何も起こらない。
引き続き回転操作部材200が回転して、パルス信号305の立上りエッジ305a1がくると、CPU150は回転操作部材200が1クリック分回転したと判断して、撮像装置100の設定変更などの所定の動作を行う。
そして、回転角度IIの状態まで回転すると1クリック分の動作が終了となる。回転角度IIから回転角度IIIまでの1クリック分の動作も同様の処理が行われる。
次に、回転角度IIIで回転操作部材200を反時計回りに反転させた場合を説明する。
前述した様に、ユーザーがダイヤル操作を行う際は1クリック毎の操作が基本となるため、回転角度IIIで示すようなクリック位置からの反転操作が多用されることが想定される。
このとき、縦磁束密度301と横磁束密度302は回転角度IIIに対して対称的な波形となる。
回転角度IIIから回転角度IIに向かう1クリックの中で回転角度IIIcまでの間はパルス信号305には立上りエッジも立下りエッジも現れない。
これは横磁束密度302が下側閾値307bを下回らないため、横磁場信号304が変化しないためである。
回転角度IIIcを超えた後は、縦磁束密度301が下側閾値307bを下回った後の回転角度IIIbのサンプリング時に縦磁場信号303がLからHに変化し、パルス信号305に立下りエッジ305b3が現れる。
同じタイミングで縦磁場信号303と横磁場信号304の組合せ状態が変化するため、回転方向信号306もLからHに変化する。
回転方向信号306がHの場合はパルス信号305の立下りエッジで回転処理が行われるため、上述した立下りエッジ305b3をCPU150が認識し、回転処理を行う。
回転角度IIに至って、反時計回りに反転した1クリック目が終了する。回転角度IIから回転角度Iまでの反時計回りの1クリックも同様の処理が行われる。
回転角度IIIから回転角度IIに至るプロセスで、時計回り時と同様にパルス信号305の立上りエッジのみを利用する制御を行った場合、回転角度IIIから回転角度IIの間には立上がりエッジが存在しない。
そのため、CPU150は回転動作を認識する事ができない。つまり反転操作時の1クリック目の回転は検知されない事となる。
また、立上りエッジ305a3が示すように、半時計回り時の立上りエッジは回転角度IIと回転角度IIcの間に現れる。
このように回転方向信号306の値に応じて、パルス信号305の利用するエッジを切り換える制御を行う事で、反転動作時の1クリック目の動作不良を防止することが出来る。
なお、図9(a)では回転角度IIIで反転させた場合について説明した。
しかしながらが、これ以外のタイミングで反転操作を行った場合でも、上記の制御を行うことで動作不良を防止して、ユーザーの意思を反映した回転動作を行うことが可能である。
図9(b)は上述した制御をフローチャートで表したものである。以下フローチャートに沿ってCPU150の実際の動きを説明する。
パルス信号305の立上りエッジ、および立下りエッジが発生するとCPU150に割り込みが発生する。これがS100である。
次にS101に進みパルス信号305がHであるかどうか判定を行う。パルス信号305がHである場合はS102に進み、回転方向信号306がLであるか判定を行う。
回転方向信号306がLである場合はS103に進み回転操作部材200が時計回り方向に1クリック回転させた処理を行う。
そして、S104に進み割り込み処理が終了となる。S102において回転方向信号306がLでなかった場合(回転方向信号306がHの場合)は何も処理を行わずにS104に進む。
また、S101においてパルス信号305がHでなかった場合(パルス信号305がL)はS111に進み、回転方向信号306がHかどうか判定を行う。
回転方向信号306がHの場合はS112に進み反時計回りに1クリック回転させた処理を行い、S104で割り込み処理を終了させる。
S111で回転方向信号306がHでなかった場合(回転方向信号306がL)は何も処理を行わずにS104に進み割り込み処理を終了させる。
このフローチャートを図9(a)の信号波形に照らし合わせてみると以下の様になる。
立下りエッジ305b1で発生した割り込みはS101はNO,S111もNOとなり(4)のルートを通ることで何も処理は実行されない。
立上りエッジ305a1で発生した割り込みは、S101でYES,S102もYESとなり(1)のルートを通ることで時計回り方向に1クリック分の回転処理が実行される。
同様に、立下りエッジ305b3の割り込みではS101でNO、S111でYESとなり(3)のルートを通る事で反時計回り方向に1クリック分の処理が実行される。
また、立上りエッジ305a3の割り込みではS101はYES,S102がNOとなり、(2)のルートを通るため何も処理は行われない。
以上説明したように、図9(b)のフローチャートに沿った処理を行う事で、回転操作部材200の回転方向によらずに、動作不良を発生させず、ユーザーの意志を反映した回転検知制御を行う事が可能となる。
図10および図11を用いて、クリック感を発生させる際のホールIC241の検出信号に対する電磁石280の基本的な制御について説明する。
図10は磁石251、電磁石280及びホールIC241の相対的な位置関係の変化と電磁石280の切り替えタイミングを模式的に示す図である。
図5において磁石251が時計回りに回転した時には、図10に帯状に示した磁石251は左から右へ動くものとする。
そして、磁石251が反時計回りに回転した時には、図10に帯状に示した磁石251は右から左へ動くものとする。
以降、図5において磁石251が時計回りに回転する方向への操作を「回転操作部材200を時計回りに回転させる」と定義する。
そして、図5において磁石251が反時計回りに回転する方向への操作を「回転操作部材200を反時計回りに回転させる」と定義する。
図11は、回転操作部材200を時計回りに一定速度で操作した際のホールIC241の信号、電磁石280の制御電流、回転操作部材200の操作トルクの変化を示している。
横軸は回転操作部材200を時計回りに回転させる方向を正としたときの回転角度を示す。実線500はホールIC241が検知する縦磁場の信号波形で、図7(a)の縦磁束密度301に対応する。
破線501はホールIC241が検知する横磁場の信号波形で、図7(a)の横磁束密度302に対応する。縦軸は磁束密度を示している。
点線502は電磁石280の制御電流波形であり、縦軸は電磁石280の端282aがN極に励磁される電流の方向を正としたときの電流値を示している。
一点鎖線503は回転操作部材200を時計回りに回転させる方向を正としたときの操作トルクを示している。
図10(a)に示す状態は、ホールIC241が磁石251のS極と正対しており、図5に示す状態と同じ状態である。
これは、図11の回転角度aの状態であり、ホールIC241が検知する縦磁場は最大値、横磁場はゼロである。
また、図7(a)の回転角度IIIに対応する。このとき、電磁石280のコイル281には負の制御電流が流され、電磁石280の端282aはS極に、端282bはN極に励磁されている。
これにより、端282aは図10(a)で正対している磁石251のN極と、端282bは図10(a)で正対している磁石251のS極と磁気的吸引力で引き寄せあっている。
そのため、図10(a)に示す状態からわずかでも回転操作部材200が反時計回り方向にずれていると図10(a)に示す状態に戻そうとする時計回りのトルクが働く。
同様に、図10(a)に示す状態からわずかでも回転操作部材200が時計回り方向にずれていると図10(a)に示す状態に戻そうとする反時計回りのトルクが働く。
すなわち、回転角度aの状態は力学的に回転操作部材200が安定している状態である。
図10(b)に示す状態は、図10(a)に示す状態から回転操作部材200を時計回りに1/4周期回転させた状態を示している。
なお、「1周期」を「図10の(a)の状態から(e)の状態に至るまで」と定義する。
図10(b)の状態は図11の回転角度bの状態であり、電磁石280のコイル281には負の方向に電流が流され、端282aがS極に励磁されている。
S極に励磁された端282aと、図10(a)の状態で端282aが正対していた磁石251のN極とが磁気的吸引力で引き寄せ合っている。
また、次に正対するS極とは磁気的反発力が働いている。
同様に、端282bがN極に励磁されており、図10(a)の状態で端282bが正対していた磁石251のS極と磁気的吸引力で引き寄せ合っている。
また、次に正対するN極とは磁気的反発力が働いている。
これにより、回転操作部材200には図10(b)の状態から図10(a)の状態に戻そうとするトルクが働き、操作には回転操作部材200を時計回り回転させる方向の操作トルクが必要となる。
図10(b)の状態は、図7(a)の回転角度IIIbの状態にはまだ到達していない。
図10(c)に示す状態は、図10(b)に示す状態から回転操作部材200を時計回りに1/4周期回転させた状態を示している。
図10(c)の状態は、図11の回転角度cの状態であり、ホールIC241が検知する縦磁場はゼロ、横磁場は最小値となる。
この瞬間、電磁石280の制御電流はゼロになり、回転操作部材200の操作トルクもゼロになる。回転角度cを境に制御電流を負から正に切り替え、電磁石280の励磁する極を入れ替える。
これにより、図10(c)に示す状態からわずかでも回転操作部材200が反時計回り方向にずれていると図10(a)に示す状態に遷移させようとするトルクが働く。
逆に、図10(c)に示す状態からわずかでも回転操作部材200が時計回り方向にずれていると図10(e)に示す状態にさせようとする遷移するトルクが働く。
したがって、回転操作部材200を時計回りに操作しているとき、図10(c)に示す状態を超えれば、操作者が力を入れなくても図10(e)に示す状態へ回転操作部材200が回転していく。
図10(c)の状態は、図7(a)の回転角度IIIbの状態にはまだ到達していない。
図10(d)に示す状態は、図10(c)に示す状態から回転操作部材200を時計回りに1/4周期回転させた状態を示している。
図10(d)の状態は図11の回転角度dの状態であり、電磁石280のコイル281には正の方向に電流が流され、端282aがN極に励磁されている。
N極に励磁された端282aと、磁石251の次のS極とが磁気的吸引力で引き寄せ合っている。また、図10(a)で正対していたN極からは磁気的反発力を受ける。
同時に、端282bはS極に励磁されており、磁石251のN極と磁気的吸引力で引き寄せ合っており、図10(a)で正対していたS極からは磁気的反発力を受ける。
これにより、回転操作部材200には図10(d)の状態から図10(e)の状態に遷移させようとするトルクが働いている。
図10(e)に示す状態は、図10(d)に示す状態から回転操作部材200を時計回りに1/4周期回転させた状態を示している。
図10(e)の状態は、図11の回転角度eの状態であり、ホールIC241は磁石251のN極と正対している。
このとき、ホールIC241が検知する縦磁場は最小値、横磁場はゼロである。
このとき、電磁石280のコイル281には正の制御電流が流され、電磁石280の端282aはN極に、端282bはS極に励磁されている。
これにより、端282aは磁石251のS極と、端282bは図10(e)の磁石251のN極と磁気的吸引力で引き寄せあっている。
そのため、図10(e)に示す状態からわずかでも回転操作部材200が反時計回り方向にずれていると図10(e)に示す状態に戻そうとする時計回りのトルクが働く。
同様に、図10(e)に示す状態からわずかでも回転操作部材200が時計回り方向にずれていると図10(e)に示す状態に戻そうとする反時計回りのトルクが働く。
すなわち、回転角度eの状態は力学的に回転操作部材200が安定している状態である。
操作者が力を入れなくても回転操作部材200が時計回りに回転していく回転角度cから回転角度eの間に、図7(a)の回転角度IIIbの状態を通過する。
すなわち、パルス信号305の立上りエッジ305a1を検知し、CPU150は回転操作部材200が1クリック分回転したと判断して、撮像装置100の設定変更などの所定の動作を行う。
以上の図10(a)〜(e)の1周期分の遷移により、1クリック分のクリック感を発生することができる。
また、図10(e)の状態から図10(a)の状態への遷移においても、電磁石280を上記と同様の方法で励磁することでクリック感を発生させることができる。
すなわち、回転操作部材200を1回転操作する際に、電磁石280の分極数と同じ数だけクリック感を発生させることができる。
さらに、クリック感の発生時に部品同士の接触がないので音が発生しない。これにより、動画撮影中において設定値を調整する際、操作感はあるが操作音が発生しないので、操作音が記録されない。
また、電磁石280の制御方法によって、クリック感を小さくしたり、無くしたりすることも可能であるので、操作状況や操作者の好みに合わせてクリック感を調整することができる。
図10(a)〜(e)では、回転操作部材200を時計回りに操作している最中の電磁石280の制御について説明した。
しかしながら、操作者が回転操作部材200から指を離して静止している状態において、必ずしもコイル281に電流を流し続ける必要はない。
コイル281に制御電流を流さなくても、磁石251のN極乃至S極と端282a乃至端282bが磁気的吸引力によって引き合うことで、図10(a)乃至(e)の状態を保持することができる。
その場合は、ホールIC241で磁束密度の変化の検出をもって操作者が回転操作部材200の操作を開始したと判断し、電磁石280の制御を開始する。
このような制御にすることで、消費電力を低減することができる。
図12〜図14を用いて、操作状況に応じたクリック感の提示方法のパターンと電磁石280の制御方法について説明する。
図12〜図14において、横軸は回転操作部材200を時計回りに回転させる方向を正としたときの回転角度を示す。
実線500はホールIC241が検知する縦磁場の信号波形、破線501はホールIC241が検知する横磁場の信号波形であり、縦軸は磁束密度を示している。
点線502は電磁石280の制御電流波形であり、縦軸は電磁石280の端282aがN極に励磁される電流の方向を正としたときの電流値を示している。
一点鎖線503は回転操作部材200を時計回りに回転させる方向を正としたときの操作トルクを示している。
また、図中の回転角度a〜回転角度eにおける磁石251、電磁石280、ホールIC241の相対的な位置関係は、図10の(a)〜(e)に対応する。
図12は、シャッター速度や絞り値など上限値・下限値が存在する設定値を、ダイヤル140を用いて調整する際に、操作者に設定値が限界値に達したことをクリック感で提示するための電磁石280の制御方法を示した図である。
回転操作部材200を時計回りに操作している状態で、回転角度aまでは図11と同様の制御を行っている。
すなわち、図10(a)〜(e)の1周期分の動作により1クリック分のクリック感が発生し、調整している設定値が1段分変更される。
ここで、回転角度aに達する直前に調整値が上限値に達したとする。回転角度a以降では、回転角度aまでより大きな電流をコイル281に印加する。
これにより、回転角度a以降では、電磁石280がより強力に励磁され、磁石251との磁気的吸引力及び反発力が増すため、回転操作部材200を回転させるのに大きな操作トルクが必要となる。
クリック感の重さの変化により、操作者は被写体から目を離すことなく、調整している設定値が限界値に達したことを把握することができる。
なお、図12ではホールIC241が検知する縦磁場乃至横磁場の信号波形と同一周期の正弦波の電流で電磁石280を制御しており、回転角度a後は印加電流の振幅を回転角度a後以前の約4倍にしている。
回転角度aの前後での操作トルクの変化が大きいほど、回転操作部材200が物理的に突き当たった感覚を疑似的に提示することができ、操作者にとって限界値に達したことが分かりやすい。
図12の回転角度a以後の状態から回転操作部材200を反時計回りに回転操作させた場合は、図11で示した通常のクリック感提示の制御に戻る。
図13は、回転操作部材200を回転操作時にクリック感を発生させない場合の電磁石280の制御方法を示した図である。
回転角度a〜回転角度eにおいて、電磁石280のコイル281には負の制御電流が印加される。
これにより、電磁石280の端282aはS極に励磁され、図10(a)の状態において正対している磁石251のN極からは磁気的引力を、図10(e)の状態において正対している磁石251のS極からは磁気的反発力を受ける。
すなわち、常に回転操作部材200を反時計回りに回転させようとするトルクが働く。
このとき、電磁石280の制御電流波形を図13のようにすることで、回転操作部材200を反時計回りに回転させようとするトルクを一定にすることができる。
したがって、回転操作部材200を時計回りに操作中、操作者が感じる操作トルクを一定にすることができ、操作者はクリック感を感じない。
図13に示すように、ホールIC241が検出する横磁場信号(破線501)の正負が切り替わるタイミング、すなわちホールIC241が磁石251のN極乃至S極と正対するタイミングにおいて、電磁石280の制御電流の正負を切り替える。
これにより回転角度a〜回転角度e以外の位相においても、上記と同様の制御が可能である。
撮影画像をトリミングする際のトリミング範囲調整など、連続的な調整が必要な操作の際に、図13のような制御によってクリック感を発生させないことで、操作者により快適な使用感を提供することができる。
図14は、操作者の回転操作を補助するための電磁石280の制御方法を説明する図である。
回転角度a〜回転角度eにおいて、電磁石280のコイル281には正の制御電流が印加される。
これにより、電磁石280の端282aはN極に励磁され、図10(a)の状態において正対している磁石251のN極からは磁気的反発力を、図10(e)の状態において正対している磁石251のN極からは磁気的引力を受ける。
すなわち、常に回転操作部材200を時計回りに回転させようとするトルクが働く。操作者の操作方向と同じ方向のトルクが働くため、操作者が力を入れなくても回転操作部材200が回転していく。
このとき、電磁石280の制御電流波形を図14のようにすることで、回転操作部材200を時計回りに回転させようとするトルクを一定にすることができる。
図14に示すように、ホールIC241が検出する横磁場信号(破線501)の正負が切り替わるタイミング、すなわちホールIC241が磁石251のN極乃至S極と正対するタイミングにおいて、電磁石280の制御電流の正負を切り替える。
これにより、回転角度a〜回転角度e以外の位相においても、上記と同様の制御が可能である。
大量の撮影画像を閲覧する際、速く画像を送るためにダイヤル140を速く操作したい場合などにおいては、図11で説明したような制御では画像1枚ごとにクリック感が発生し、操作者にとって負担になる場合がある。
そこで、図14のような制御を行うことで操作者の回転操作を補助できる。
このとき、回転し始めのホールIC241が検知する磁束密度の変化の加速度によって、電磁石280によって補助するトルクの大きさを制御すると良い。
これにより、操作者が回転操作部材200を速く回転させた際はより速く、軽く回転させた際は軽く補助トルクが発生し、より直感的な操作感を提供することができる。
また、本発明における回転操作部材200は、例えば、図15に示すカメラ400の、レンズ鏡筒401の周囲に配置された回転リング402であってもよい。
カメラ400の回転リング402は、ユーザーが任意に機能を割り当てることが出来、回転リング402の回転量および回転方向による各機能の操作が可能となる。
ここでいう任意の機能とは、撮影を補助するための機能を示す。
上述の回転操作部材200の構成と同様にして、回転リング402の内部には、不図示の磁石251が回転リング402側に保持されており、回転リング402と磁石251は一体的または連動して回転する。
また、回転リング402はクリック機構を有しており、回転リング402の回転操作は1クリックを基本単位として行われる。
さらに、不図示のホールIC241は、磁石251に対向する位置となるようにカメラ400側に固定される。
この場合においても、上述の回転操作部材200の構成と同様にして、磁石251の分極数と回転リング402のクリック数を等しくして、上述した処理を行う事で、回転リング402の回転を検知する事が可能となる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
140 ダイヤル
200 回転操作部材
241 ホールIC
251 円環磁石
280 電磁石
200 回転操作部材
241 ホールIC
251 円環磁石
280 電磁石
Claims (8)
- 回転軸に対して回転可能に保持された回転操作部材と、前記回転操作部材に対して、所定の回転角度毎にクリック感を発生させるクリック機構と、前記回転軸の回りに所定のピッチで磁極が変化する磁場生成部材と、前記磁場生成部材で生成された磁場を検知する磁場検知部と、前記磁場検知部の出力信号に応じて前記クリック機構を構成する電磁石の励磁強度を制御する制御手段と、を有する電子機器であって、
前記電磁石は、所定の間隔をおいて前記磁場生成部材と対向して配置されており、
前記制御手段は、前記磁場検知部の出力信号に応じて前記電磁石の励磁強度を制御することで、前記クリック機構のクリック感の強度を切り替えることを特徴とする電子機器。 - 前記電磁石は、U字形状の磁性体を有し、
前記磁性体の第1の端及び第2の端は、前記磁場生成部材の異なる極と対向して配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。 - 前記電磁石は、コイルを備え、
前記磁性体は、前記回転軸と平行な方向に伸びる前記第1の端及び前記第2の端の間に、前記回転軸と垂直な方向に伸びる中間部を備え、
前記コイルは、前記中間部に巻かれていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。 - 前記回転操作部材は、前記回転操作部材の回転面の少なくとも一方の面に摺動嵌合部を備え、
前記電磁石は、前記回転面を境界としたとき前記摺動嵌合部と同じ側に配置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子機器。 - 前記回転操作部材は、前記回転操作部材の回転面の一方の面に第1の摺動嵌合部と、前記回転面の他方の面に前記第1の摺動嵌合部より嵌合長の短い第2の摺動嵌合部を備え、
前記電磁石は、前記回転面を境界としたとき、前記第1の摺動嵌合部と同じ側に配置されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。 - 前記磁場生成部材は、円周方向に等ピッチで分極された円形状の磁石である
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。 - 前記中間部は、前記複数の磁石に跨って形成されており、
前記磁場検知部は、前記回転操作部材を中心として、前記中間部に対向して配置されている請求項6に記載電子機器。 - 前記回転操作部材は、レンズ鏡筒の周囲に配置された回転リングであり、
前記磁場生成部材は、前記レンズ鏡筒の周囲に配置されたリング形状である請求項1乃至7の何れか一項に記載の電子機器。
Priority Applications (1)
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JP2017180694A JP2019056772A (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 電子機器 |
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JP2017180694A JP2019056772A (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 電子機器 |
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JP2017180694A Pending JP2019056772A (ja) | 2017-09-20 | 2017-09-20 | 電子機器 |
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2017
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