以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態における電子機器について説明する。本実施形態の電子機器は、ユーザにより操作可能な回転操作部材を有する。なお本実施形態では、電子機器として撮像装置の例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の電子機器にも適用可能である。
(撮像装置の外観図)
図1は、本実施形態における撮像装置100の外観図である。図1(a)は撮像装置100の前面斜視図、図1(b)は撮像装置100の背面斜視図をそれぞれ示している。シャッターボタン61は、撮影指示を行うための操作部である。モード切り替えスイッチ60は、各種モードを切り替えるための操作部である。ダイヤル400は回転操作部材である。ユーザがダイヤル400を回すことにより、シャッタ速度や絞りなどの各種設定値を変更することができる。電源スイッチ72は、撮像装置100の電源のON/OFFを切り替える操作部材である。液晶画面40は、TFT液晶や有機ELを用いた表示装置であり、撮像装置100の各種設定画面や撮影画像を表示する。
回転操作ユニット200は、回転操作部材201と押しボタン270とを備えて構成される。回転操作部材201は、時計周り方向および反時計周り方向(円周方向、回転方向)に突き当たることなく回転操作可能なダイヤル状の操作部材であり、撮影モード選択や測距点選択、画像再生選択、メニュー操作などの種々の操作に用いられる。ユーザは、回転操作部材201を回転操作することにより、選択枠の移動や画像送りなどを行うことができる。押しボタン270は、押圧して操作を行うボタンであり、主に選択項目の決定などに用いられる。
通信端子10は、撮像装置100が不図示の撮影レンズ(撮像装置本体に着脱可能なレンズ装置)と通信を行う。接眼ファインダ16は、不図示のフォーカシングスクリーンを観察することで、不図示のレンズユニットを通して得えられた被写体の光学像の焦点や構図の確認を行うための覗き込み型のファインダである。
(撮像装置のブロック図)
図2は、撮像装置100のブロック図である。ROM(不揮発性メモリ)101は、後述するCPU150により実行されるプログラムを格納している。なお本実施形態において、ROM101はFlash-ROMであるが、不揮発性メモリであれば他のメモリを用いてもよい。RAM102は、撮像装置100により撮影される画像バッファや画像処理された画像データを一時的に記憶する機能と、CPU150により用いられるワークメモリとしての機能を有する。なお本実施形態において、RAM102がこれらの機能を有するが、アクセス速度が十分であれば他のメモリを用いてもよい。
電源部105は、撮像装置100の電源ユニットである。電源部105は、電池やACアダプタなどを備えて構成され、直接またはDC-DCコンバータ(不図示)などを介して、撮像装置100の各部に電源を供給する。電源スイッチ72は、撮像装置100に設けられた電源操作部である。本実施形態において、電源スイッチ72は、図1に示されるように機械的にオン/オフの位置を変更する構造を有する。ただし、電源スイッチ72はこのような構造に限定されるものではなく、プッシュスイッチや電気的スイッチなどであってもよい。電源スイッチ72がオフの状態では、電源部105が撮像装置100の内部に挿入されている状態でも撮像装置100は動作せず、撮像装置100は消費電力の少ない状態を保持する。一方、電源スイッチ72がオンの状態であって、かつ電源部105が撮像装置100の内部に挿入されると、撮像装置100は動作可能である。
CPU150は、撮像装置100を統括的に制御する制御部であり、撮像装置100としての基本機能である撮像機能を実現する。またCPU150、後述のホールIC検出方式の回転操作部材201の検出結果に応じて、撮像装置100のモード切り替えや液晶画面(表示部)40の表示更新等を行う。
タイマ151は、任意の時間を測定することが可能なタイマ機能を有する。なお図2では、タイマ151がCPU150に内蔵されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、タイマ151が外付けされる構成であってもよい。タイマ151は、CPU150の指示に応じて、時間測定を開始し、時間測定を終了する。またタイマ151は、常に動作し、所定時間間隔で定期的にCPU150に割り込みを発生させる機能を有する。カウンタ152は、回転操作部材201および回転操作部材400の操作回数を数える(カウントする)ためのカウンタ機能を有する。なお図2では、カウンタ152がCPU150に内蔵されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カウンタ152が外付けされる構成であってもよい。また図2において、カウンタ152は、回転操作部材201、400の操作回数をカウントするが、任意の操作部の操作回数をカウントすることも可能である。
三軸磁気センサ241は、特定の3方向の磁場を検出可能な磁気センサIC(ホールIC)である。本実施例において、三軸磁気センサ241は、磁場検出部121、122、123を有する。磁場検出部(第一の検出部)121は、X軸方向(第一の軸の方向)の磁場(磁気)を検出する。磁場検出部(第二の検出部)122は、Y軸方向(第二の軸の方向)の磁場(磁気)を検出する。磁場検出部(第三の検出部)123は、Z軸方向(第三の軸の方向)の磁場(磁気)を検出する。このような構成により、三軸磁気センサ241は、互いに直交する3方向の磁場を検出することができる。なお図2では、三軸磁気センサ241はCPU150に外付けされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、CPU150に内蔵されている三軸磁気センサを用いてもよい。CPU150は、任意のタイミングで、三軸磁気センサ241により検出された磁場の磁束密度を読み出すことが可能である。
磁石(磁場生成部材)251は、リング状の永久磁石であり、円周方向(回転方向)にS極とN極とが交互に一定のピッチで着磁されている。なお、詳細は図3以降を参照して説明するが、磁石251は、回転操作部材201と一体的に回転する。三軸磁気センサ241は、磁束密度(磁場)の変化を検出する。CPU(算出手段)150は、磁束密度の変化に応じて(第1の方向の磁場の変化量と第2の方向の磁場の変化量とに応じて)、回転操作部材201の回転方向および回転量を算出する。また磁石(磁場生成部材)451は、回転操作部材400と一体的に回転し、回転操作部材201と同様に、CPU150は三軸磁気センサ241を用いて回転操作部材400の回転方向および回転量を算出する。
(回転操作ユニット200の説明)
次に、図3および図4を参照して、回転操作ユニット200の構成について説明する。図3は、回転操作ユニット200の分解斜視図である。図4は、回転操作ユニット200の断面図である。図4(a)は、後述のボール部材211の中心を通る断面、図4(b)は三軸磁気センサ241の中心を通る断面をそれぞれ示している。
回転操作部材201は、ユーザが時計回り方向または反時計回り方向に回転操作を行うための操作部材である。ベース部材210は、回転操作部材201を回転可能に保持している。ベース部材210は、3か所の固定部210a、210b、210cにおいて、撮像装置100の背面カバー110(図3および図4では不図示)に固定される。磁石保持部材230は、回転操作部材201の裏面にビス231により固定されている。磁石保持部材230は、磁石251を回転可能に保持するとともに、回転操作部材201の回転に応じてクリック感を発生させる凹凸部230fを有する。
磁石251は、N極とS極とが交互に等ピッチで分極されている。磁石251は、N極およびS極のそれぞれに着磁面251aが設けられており、着磁面251aに垂直方向に磁場が発生する。磁石251は、回転操作部材201に対して所定の角度となるように固定されている。磁石保持部材230および磁石251は、回転操作部材201の回転動作により、一体的に回転する。
ボール部材211は、回転操作部材201の回転軸と直交する方向に、進退可能にベース部材210のボール保持部210dに保持されている。ばね部材212は、ボール部材211を磁石保持部材230の凹凸部230fに当接する方向に付勢している。凹凸部230fは、凹部230gと凸部230hとが交互に等ピッチで形成されている。ユーザが回転操作部材201を回転させると、ボール部材211はボール保持部210d内で凹凸部230fに沿って進退し、クリック感が発生する。
三軸磁気センサ241は、互いに直交する3つの方向の磁場の強さを検出することが可能である。三軸磁気センサ241は、基板240の上に実装される。基板240には、基板位置決め穴240a、240bが形成されている。基板240は、三軸磁気センサ241が磁石251の着磁面251aと対向する位置となるように、基板位置決め穴240a、240bが基板固定板250のボス250d、250eとそれぞれ嵌合して位置決めされる。このような構成により、三軸磁気センサ241は、磁石251の着磁面251aから発生した磁場を検出することができる。なお、この検出方法については後述する。
基板固定板250には、3か所の取付部250a、250b、250cが設けられている。取付部250a、250b、250cは、ベース部材210の固定部210a、210b、210cと共に、ビス260a、260b、260cにより背面カバー110に締結されて固定される。
回転操作部材201が操作されると、磁石251が一体的に回転し、三軸磁気センサ241に生じる磁場が変化する。三軸磁気センサ241がこの磁場変化を検出することにより、回転操作部材201の回転動作を検出することができる。
押しボタン270は、回転操作部材201の操作と合わせて用いられる。例えば、回転操作部材201の操作により操作メニューを選択し、押しボタン270の操作により選択された操作メニューを決定する。押しボタン270は、回転操作部材201の回転軸方向に摺動可能に保持されている。押しボタン270が押された際には、押しボタン270によりスイッチラバー280が付勢され、スイッチラバー280の導電部281が基板内に設けられた電極パッドと接触する。これにより、押しボタン270の操作を検出することができる。
なお、図3を参照して説明したクリック感は発生させる機構は、後述の回転操作部材400、500のそれぞれにも同様に設けられている。
(三軸磁気センサ241による磁場の検出)
次に、図5を参照して、磁石251が発生させる磁場、および、三軸磁気センサ241による磁場の検出について説明する。図5は、磁石251と三軸磁気センサ241との関係を示す図である。図5(a)は、磁石251と三軸磁気センサ241をそれぞれ回転操作部材201の回転軸方向(ダイヤル回転軸方向)から見た図である。図5(b)は、磁石251と三軸磁気センサ241をそれぞれ回転軸に垂直な方向(図5(a)中の矢印Cの方向)から見た断面図である。
磁石251は、N極10極、S極10極の計20極に等ピッチで分極されている。磁石251の着磁面251aにはホールIC241が配置され、磁石251の幅の中心とホールIC241の検出部241aとが一致している。磁石251の内側に設けられた位置決め部252は、頂点252aと端点252bとで構成されている。位置決め部252の頂点252aは、磁石251のS極とN極との境界上に一致するように設けられている。このとき、位置決め部252は、位置決め部252の頂点252aを境として、円環状に等ピッチで分極された磁極と一致するように分極されている。
磁石251は、N極10極、S極10極の計20極に等ピッチで分極されている。磁石251の着磁面251aには三軸磁気センサ241が配置され、磁石251の幅の中心と三軸磁気センサ241の検出部241aとが一致している。
三軸磁気センサ241は、磁石251の中心軸方向(ダイヤル回転軸方向(図5(b)中の矢印Aの方向))と磁石251の円の接線方向(図5(b)中の矢印Bの方向)のそれぞれの磁場の磁束密度を検出し、それぞれの磁場の状態を表す所定の信号を出力する。なお、三軸磁気センサ241の出力信号の詳細については後述する。
図5(c)、(d)は、磁石251をダイヤル回転軸に直交する方向(図5(a)中の矢印Cの方向)から見て、三軸磁気センサ241付近を拡大した図である。図5(c)は、三軸磁気センサ241の検出部241aとS極の中心とが左右方向において一致している状態を示している。図5(d)は、図5(c)の状態から磁石251がダイヤル回転軸を中心に回転し、三軸磁気センサ241の検出部241aとS極N極との境界が一致している状態を示している。
磁石251は、極異方性の配向を有するように着磁されている。すなわち、磁石251の内部における磁場の方向は、着磁面251aに垂直な直線とならない。磁石内磁場254は、着磁面251aのS極から垂直に立上った後に弧を描いてN極に向かい、着磁面251aのN極において再び垂直方向となる。一方、磁石外磁場は、N極から垂直に立上った磁束が弧を描いてS極に向かう。同様に、図5(e)は三軸磁気センサ241の検出部241aとN極中心が図中の左右方向で一致している状態を示す。図5(f)は、検出部241aが図5(d)の状態から1磁極分回転し、S極とN極とが入替った状態を示す。ここで、図5(a)中の矢印Aの方向をZ軸、Z軸方向の磁場を縦磁場253aとそれぞれ定義する。また、図5(a)中の矢印Bの方向をY軸、Y軸方向の磁場を横磁場253bとそれぞれ定義する。
このとき図5(c)の状態では、三軸磁気センサ241の検出部241aは縦磁場253aを検出し、横磁場253bを検出しない。一方、図5(d)の状態では、検出部241aは、横磁場253bを検出し、縦磁場253aを検出しない。また、図5(c)から図5(d)に至る途中の状態では、検出部241aは、縦磁場253aおよび横磁場253bのそれぞれを回転状態に応じた強さで検出する。すなわち、図5(c)は縦磁場253aが最大で縦磁場253aがゼロの状態、図5(d)は縦磁場253aがゼロで縦磁場253aが最大の状態を示している。磁石251をダイヤル回転軸回りに回転させると、三軸磁気センサ241の検出部241aで検出される縦磁場253aおよび横磁場253bはそれぞれ、ゼロから最大値の間で回転状態に応じた値をとる。
(ダイヤル回転時における磁場の変化と三軸磁気センサ241の出力信号)
次に、図6を参照して、ダイヤル回転時における磁場の変化と三軸磁気センサ241の出力信号との関係について説明する。図6は、磁場の変化と三軸磁気センサ241の出力信号との関係を示す図である。図6(a)は、縦磁場および横磁場のそれぞれの強さとそれを検出した三軸磁気センサ241の出力の関係を示すグラフである。図6(a)において、横軸は回転操作部材201の回転角度、縦軸は磁場強度または信号出力値を示す。
前述のように、本実施形態の回転操作ユニット200は、凹凸部230fとボール部材211とばね部材212とによるクリック機構を有し、回転操作部材201の回転操作は1クリックを基本単位として行われる。図6(a)の横軸に示されるIからIVはクリック位置を表し、それぞれの間は1クリック分の角度である。また、IからIVで示されているクリック位置は、ボール部材211が凹部230gと接触している状態である。
図6(a)のグラフ上部には縦横磁束密度(縦磁束密度301および横磁束密度302)が示されている。縦磁束密度301は、三軸磁気センサ241で検出された磁場の縦磁場253a(図5(c)参照)の磁束密度を表している。横磁束密度302は、三軸磁気センサ241で検出された磁場の横磁場253bの磁束密度を表している。ここでは、回転操作部材201を一定の速度で時計回り方向に回転させている場合を想定しており、図5(a)から明らかなように、それぞれの磁束密度はゼロを中心として最大値と最小値の間で周期的に変化する。回転角度Iの状態で、状態301aのように、縦磁束密度301は最大値をとる。また、同じ状態(状態302a)において、横磁束密度302はゼロとなる。これは、図5(c)に示されるように、三軸磁気センサ241で検出される磁場が矢印Aの方向の成分のみで、矢印Bの方向の成分がないことを意味する。
この状態から回転操作部材201が回転して状態301bになると、縦磁束密度301はゼロになり、また、同じ状態(状態302b)で横磁束密度302は最小値を取る。これは、図5(d)に示されるように、三軸磁気センサ241で検出される磁場が矢印Aの方向の成分を含まず、矢印Bの方向の成分のみ、かつ矢印Bとは反対向きであることを意味する。
さらに回転操作部材201が回転して状態301c、302cになると、図5(e)に示されるように、三軸磁気センサ241で検出される磁場は矢印Aと反対向きの成分のみで、矢印Bの方向の成分がない状態となる。この状態になると、回転角度Iから回転角度IIまで1クリック分回転操作部材201が回転したことになる。また、状態301d、302dまで進むと、図5(f)に示されるように矢印Aの方向の成分がなく、矢印Bの方向の成分のみが三軸磁気センサ241で検出されている状態となる。
図5(c)~(f)の4つの状態の間では、縦磁束密度301および横磁束密度302はそれぞれ、回転操作部材201の回転角度に応じた値を取る。前述のように、回転操作部材201が1クリック分だけ動くと、磁石251は1磁極分回転し、縦磁束密度301と横磁束密度302が1/2周期分変化する。縦磁束密度301と横磁束密度302はそれぞれ1/2周期だけ変化するが、着磁ピッチ分ずれた周期的な信号となる。これらの2つの信号の極大値の現れる順番や回数を検出することで、回転操作部材201の回転量と回転方向を求めることができる。
次に、三軸磁気センサ241の出力信号について説明する。縦磁束密度301、横磁束密度302のグラフと重なるように示されているのが、三軸磁気センサ241の上側閾値307aと下側閾値307bである。三軸磁気センサ241は、検出部241aを通過する磁束を定期的にサンプリングしている。そして、検出された縦横の磁束密度が上側閾値307aを上回った場合、または下側閾値307bを下回った場合、三軸磁気センサ241は、縦横磁場信号(縦磁場信号303および横磁場信号304)およびを変化させる。以下、これについて詳述する。
縦磁場信号303および横磁場信号304は、縦磁束密度301および横磁束密度302にそれぞれ対応する信号である。それぞれの磁束密度が上側閾値307aを上回った場合、信号がH(Hi)からL(Lo)に変化する。一方、それぞれの磁束密度が下側閾値307bを下回った場合、信号がLからHに変化する。前述のいずれにも該当しない場合、現在の値が保持される。
図6(a)の回転角度Iの状態において、縦磁束密度301は、上側閾値307aを上回っている。このため、縦磁場信号303はLとなっており、横磁束密度302は上側閾値307aを上回った後、下側閾値307bを下回る状態まで進んでいない。そのため、こちらもLとなっている。この状態から回転操作部材201が回転し、三軸磁気センサ241は定期的に磁束密度のサンプリングを行い、縦磁場信号303および横磁場信号304を更新し続け、点302eで示す点に至る。このとき、横磁束密度302が下側閾値307bを下回り、その直後の回転角度Iaのサンプリングで三軸磁気センサ241が磁束密度を検出する。そして、横磁束密度302が下側閾値307bを下回ったことを検出し、横磁場信号304をLからHに変化させる。この時点では、縦磁束密度301は下側閾値307bを下回っていないため、縦磁場信号303はLのままである。
回転操作部材201が更に回転して点301eを超えると、縦磁束密度301が下側閾値307bを下回る。この直後の回転角度Ibの状態で、三軸磁気センサ241は磁束密度を検出する。そして、縦磁束密度301が下側閾値307bを下回ったことを検出し、縦磁場信号303をLからHに変化させる。この時点では、横磁束密度302は上側閾値307aを上回っていないため、横磁場信号304はHのままである。
回転操作部材201が回転して点302fに至ると、横磁束密度302が上側閾値307aを超える。直後の回転角度IIaのサンプリング時に横磁場信号304はHからLに変化し、縦磁場信号303はHのままである。更に進んで点301fに至ると、縦磁束密度301は上側閾値307aを超え、直後の回転角度IIbのサンプリング時に縦磁場信号303がHからLとなり、横磁場信号304は引き続きLのままである。
このように、回転操作部材201と一体的に磁石251が等速回転することにより、三軸磁気センサ241からは、縦磁場信号303と横磁場信号304という縦磁束密度301と横磁束密度302と同一周期の矩形信号が出力される。このような構成により、アナログ波形の縦磁束密度301および横磁束密度302がそれぞれ矩形波となるため、CPU150で容易に処理を行うことが可能となる。
ここで、縦磁場信号303と横磁場信号304の排他的論理和(XOR)を取ることを考えると、パルス信号305で示されるような信号が得られる。図6(a)から明らかなように、パルス信号305は、縦磁場信号303や横磁場信号304の半分の周期で変化する矩形波であり、その周期は回転操作部材201の1クリック分に相当する。すなわち、パルス信号305をモニタリングすると、回転操作部材201の1クリック分の回転を検出することが可能となる。
前述のように、本実施形態の回転操作部材201では、回転操作部材201にクリック感を生じさせるための凹凸形状230fのピッチと、磁石251の磁極のピッチとが一致している。このため、回転操作部材201が1クリック分回転した状態では、縦磁場信号303および横磁場信号304は半周期分しか変化せず、いずれか一方の信号だけでは1クリック分の回転を検出することはできない。
磁石251の磁極ピッチを凹凸形状230fのピッチの半分にすれば、1クリックで縦磁場信号303および横磁場信号304を1周期分変化させることが可能である。しかしながら、着磁工程の制約から磁極の幅には下限値があり、磁極数の増加は磁石の大型化につながる。そこで本実施形態のように、縦磁場信号303と横磁場信号304との排他的論理和を取ることにより、1クリック分と同じ磁極ピッチでも1周期分の信号を発生させることができ、磁石の大型化を防ぐことが可能である。
また、本実施形態の三軸磁気センサ241は、1つの素子で縦磁場および横磁場の両方を検出することができるため、縦横磁場の信号のずれを抑制することが可能である。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、縦磁場検知用のホールICおよび横磁場検知用のホールICを1個ずつ用いて磁石251の磁場を検出するように構成してもよい。この場合、ホールIC同士の相互位置関係のずれが検出性能に影響を与えるため、2個のホールICを高精度に配置することが必要である。
本実施形態によれば、2つの方向の磁場を検出可能なホールICを用いるため、磁石とホールICの相対位置が変化しても検出性能に与える影響が小さい。このため、組立時のずれや外力、環境温度などによる構成部品の変位による影響を受けにくい回転操作部材を提供することができる。
(回転方向信号306の生成)
図6(a)の最下部の回転方向信号306は、回転操作部材201の回転方向を表す信号であり、Lは回転操作部材201が時計回りに回転し、Hは反時計回りに回転していることを示す。以下、回転方向信号306の生成について詳述する。
図6(b)は、縦磁場信号303と横磁場信号304の取り得る値を示す表である。それぞれの信号(H、L)の組合せによって、状態1から状態4の4つの状態がある。例えば、回転角度Iから回転角度Iaの間は状態1である。回転角度Ia~Ibの間は横磁場信号304が変化するため状態2となる。同様に、回転角度Ib~IIaの間は状態3、回転角度IIa~IIbの間は状態4となり、回転角度IIb~IIIaの間で再び状態1に戻る。すなわち、回転操作部材201を時計回りに回転させると、縦磁場信号303と横磁場信号304の組み合わせは状態1→状態2→状態3→状態4→状態1という順序で変化する。一方、詳細は後述するが、回転操作部材201を反時計回りに回転させた場合、状態1→状態4→状態3→状態2→状態1という順序で変化する。このため、縦磁場信号303と横磁場信号304の変化をモニタリングすることにより、回転操作部材201の回転方向を検出することが可能である。三軸磁気センサ241は、この処理を内部的に行い、検出された回転方向をH(反時計回り)とL(時計回り)として出力する。
(回転操作部材201を反時計回りに回転している場合の信号処理)
次に、図7を参照して、回転操作部材201を反時計回りに回転している場合の信号処理について説明する。図7は、磁場の変化と三軸磁気センサ241の出力信号との関係図である。図7において、図6(a)と同一の信号は同じ符号で示し、図6(a)と共通な説明は省略する。
図7は、回転操作部材201が反時計回りに回転している状態で、ある任意の回転角度(クリック位置)IV~Iまで回転した状態を示している。縦磁束密度301と横磁束密度302とに基づいて縦磁場信号303、横磁場信号304、および、パルス信号305が生成される処理は、時計回りの回転時と同等である。
次に、図6(b)と同様に縦磁場信号303と横磁場信号304の組合せ状態を考える。回転角度IVからIVaの間において、(縦磁場信号303、横磁場信号304)は(L、H)となるため、状態2である。回転角度IVa~IVbの間は(L、L)となるため状態1となる。以下、回転角度IVb~IIIaの間は状態4、回転角度IIIa~IIIbの間は状態3、回転角度IIIb~IIaの間は状態2となる。すなわち、回転操作部材201の回転に従って、状態2→状態1→状態4→状態3→状態2という順序で変化する。これにより、前述のように、回転操作部材201が反時計周りに回転しているということがわかるため、三軸磁気センサ241は回転方向信号306としてH(反時計回り)を出力する。
(回転検出制御を行う信号処理方法)
次に、図8を参照して、パルス信号305と回転方向信号306から回転操作部材201の回転検出制御を行う信号処理方法について説明する。図8(a)は、磁場の変化とホールICの出力信号との関係図である。図8(a)は、回転操作部材201を回転角度Iから時計回りに2クリック分回転角度IIIまで回転させた後に、反時計回りに2クリック分回転させ、角度Iに戻した時の縦横磁束密度および各種信号を示している。
図8(b)は、パルス信号305と回転方向信号306に基づいてCPU150が行う回転検出処理を示すフローチャートである。本実施形態における信号処理では、回転方向信号306の出力に応じて、パルス信号305の立上り、立下りエッジのいずれを利用するかを切り換える。具体的には、回転方向信号306がL(時計回り)の場合、図8(a)に示される立上りエッジ(305a1、305a2、305a3)のタイミングで回転操作部材201の回転処理を行う。一方、回転方向信号306がH(反時計回り)の場合、立下りエッジ(305b1、305b2、305b3、305b4)のタイミングで回転処理を行う。以下、図8(a)の回転角度に沿って説明する。
回転角度Iから回転角度IIに時計回りに1クリック動く場合、回転方向信号306は時計回りを表すLとなっている。このため、パルス信号305の立下りエッジ305b1のタイミングでは何も起こらない。この状態から回転操作部材201が回転すると回転角度Icにおいて、凹凸部230fの凸部230hを超える。引き続き回転操作部材201が回転して、パルス信号305の立上りエッジ305a1がくると、CPU150は回転操作部材201が1クリック分回転したと判定して、撮像装置100の設定変更などの所定の動作を行う。そして、ボール部材211が再び凹部230gに接触する回転角度IIの状態まで回転すると1クリック分の動作が終了となる。回転角度IIから回転角度IIIまでの1クリック分の動作も同様の処理が行われる。
次に、回転角度IIIで回転操作部材201を反時計回りに反転させた場合を説明する。前述のように、ユーザがダイヤル操作を行う際には1クリックごとの操作が基本となる。このため、回転角度IIIで示されるようなクリック位置からの反転操作が多用されることが想定される。このときの縦磁束密度301および横磁束密度302は、回転角度IIIに対して対称的な波形となる。回転角度IIIから回転角度IIに向かう1クリックの中で、凹凸部230fの凸部230hを乗り越える回転角度IIIcまでの間はパルス信号305には立上りエッジも立下りエッジも現れない。これは、横磁束密度302が下側閾値307bを下回らず、横磁場信号304が変化しないためである。
回転角度IIIcを超えた後、縦磁束密度301が下側閾値307bを下回った後の回転角度IIIbのサンプリング時に縦磁場信号303がLからHに変化し、パルス信号305に立下りエッジ305b3が現れる。同じタイミングで縦磁場信号303と横磁場信号304の組合せ状態が変化するため、回転方向信号306もLからHに変化する。
回転方向信号306がHの場合、パルス信号305の立下りエッジで回転処理が行われるため、CPU150は立下りエッジ305b3を認識し、回転処理を行う。その後、ボール部材211が凹部230gに当接する回転角度IIに至って、反時計回りに反転した1クリック目が終了する。なお、回転角度IIから回転角度Iまでの反時計回りの1クリックも同様の処理が行われる。
回転角度IIIから回転角度IIに至るプロセスで、時計回り時と同様にパルス信号305の立上りエッジのみを利用する制御を行った場合、回転角度IIIから回転角度IIの間には立上がりエッジが存在しない。このため、CPU150は回転動作を認識することができない。すなわち、反転操作時の1クリック目の回転は検出されず、ユーザの意図する回転動作が実行されない。また、立上りエッジ305a3で示されるように、半時計回り時の立上りエッジは回転角度IIと回転角度IIcの間に現れる。
次に、回転操作部材201をユーザが操作する場合を考える。ばね部材212の付勢力に対抗して回転操作部材201を回転させる状態(例えば、回転角度II~IIc)と、ボール部材211が凸部230hを乗り越えてバネの付勢力でダイヤルが回転方向に付勢される状態(例えば、回転角度IIc~III)が繰り返される。このため、1クリック分の回転動作を発生させる信号のエッジは、ユーザが意志を持って回転操作部材201を回転させ、ボール部材211が凸部230hを乗り越えた後の状態、すなわち、回転角度IIc~IIIの間に出現することが好ましい。これは、前述のように回転角度II~IIcの間で回転処理が行われると、回転操作部材201のガタツキ等により、ユーザが予期しないタイミングで回転動作が行われてしまう可能性があるからである。
常に立上り、立下りエッジのどちらか一方のみを検出する構成では、時計回り、反時計回のいずれかで、ボール部材211が凸部230hを乗り越える前にパルス信号305のエッジが出現する。よって、ボール部材211が凸部230hを乗り越えた後に回転検出を行う制御が実現できない。このように回転方向信号306の値に応じて、パルス信号305の利用するエッジを切り換える制御を行うことにより、反転動作時の1クリック目の動作不良を防止することができる。また、回転方向によらずにボール部材211が凸部230hを乗り越えた後に回転検出を行うことが可能となるため、誤作動が少なくユーザの意志に忠実に反応する回転操作部材を提供することができる。また、ボール部材211が凸部230hを乗り越えている途中に反転操作を行った場合でも、前述の制御を行うことにより、動作不良を防止して、ユーザの意志を反映した回転動作を行うことが可能である。
(CPU150による回転動作の制御)
次に、図8(b)を参照して、前述の制御(CPU150による回転動作の制御)について説明する。図8(b)の各ステップは、主にCPU150により実行される。まずステップS100において、パルス信号305の立上りエッジおよび立下りエッジが発生すると、CPU150に割り込みが発生する。
続いてステップS101において、CPU150は、パルス信号305がH(High)であるか否かを判定する。パルス信号305がHである場合、ステップS102に進む。ステップS102において、CPU150は、回転方向信号306がL(Low)であるか否かを判定する。回転方向信号306がLである場合、ステップS103に進む。ステップS103において、回転操作部材201が時計回り方向に1クリック回転させた処理を行う。そしてステップS104において、割り込み処理が終了する。一方、ステップS102にて回転方向信号306がLでない場合(回転方向信号306がHの場合)、CPU150は何も処理を行わず、ステップS104に進み、割り込み処理が終了する。
ステップS101にてパルス信号305がHでない場合(パルス信号305がL)、ステップS111に進む。ステップS111において、CPU150は、回転方向信号306がH(High)か否かを判定する。回転方向信号306がHの場合、ステップS112に進む。ステップS112において、回転操作部材201が反時計回りに1クリック回転させた処理を行う。そしてステップS104において、割り込み処理が終了する。一方、ステップS111にて回転方向信号306がHでない場合(回転方向信号306がLの場合)、CPU150は何も処理を行わず、ステップS104に進み、割り込み処理が終了する。
図8(b)のフローチャートを図8(a)の信号波形に照らし合わせると、以下のように説明される。立下りエッジ305b1で発生した割り込みでは、ステップS101にてNO、ステップS111にてNOとなり、図8(b)中のルート(4)を通ることで、何も処理は実行されない。立上りエッジ305a1で発生した割り込みでは、ステップS101にてYES、ステップS102にてYESとなり、ルート(1)を通ることで時計回り方向に1クリック分の回転処理が実行される。立下りエッジ305b3の割り込みでは、ステップS101にてNO、ステップS111にてYESとなり、ルート(3)を通ることで反時計回り方向に1クリック分の処理が実行される。立上りエッジ305a3の割り込みでは、ステップS101にてYES、ステップS102にてNOとなり、ルート(2)を通るため何も処理は行われない。以上のように、図8(b)のフローチャートに沿った処理を行うことにより、回転操作部材201の回転方向によらずに、動作不良を発生させず、ユーザの意志を反映した回転検出制御を行うことが可能となる。
(三軸磁気センサ241、磁石251、および、磁石保持部材230の配置関係)
次に、図9を参照して、三軸磁気センサ241、磁石251、および、磁石保持部材230の配置の関係を説明する。図9は、三軸磁気センサ241、磁石251、および、磁石保持部材230の配置関係を示す上面図である。図9(a)は、三軸磁気センサ241が磁石251のS極に対向し、ボール部材211が凹凸形状230fの凹部230gに落ち込んだ状態を示している。図9(b)は、三軸磁気センサ241が磁石251のN極に対向し、ボール部材211が凹凸形状230fの凹部230gに落ち込んだ状態を示している。図9(c)は、三軸磁気センサ241が磁石251のS極とN極の境目に対向し、ボール部材211が凸部230hの頂点に位置する状態を示している。
図9(a)~(c)中に示される角度I、II、III、IVは、それぞれ、図6乃至図8中に示される回転角度に対応している。回転操作部材201を時計回りに1クリック分回転させると、図9(a)の状態から図9(b)の状態に変化する。回転操作部材201を反時計回りに1クリック分回転させると、図9(b)の状態から図9(a)の状態へ変化する。なお、図9(a)の状態は図5(c)の状態と対応し、図9(b)の状態は図5(e)の状態と対応し、図9(c)の状態は図5(d)の状態に対応している。回転操作部材201を操作していない場合、図9(a)、(b)の状態である。図9(c)の状態は、回転操作部材201を回転させている途中の状態である。このように、磁石251の分極数と回転操作部材201のクリック数を等しくした場合でも、前述の制御を行うことにより、ダイヤルの回転方向および回転量を検出することができる。
(複数の回転操作部材を備えた回転操作ユニット)
次に、図10乃至図12を参照して、複数の近接した回転操作部材を備えた撮像装置および回転操作ユニットについて説明する。図10(a)、(b)は、複数の回転操作部材400、500を有する撮像装置100aの斜視図である。
回転操作部材(第一の回転操作部材)400は、ユーザが時計回り方向および反時計回り方向に回転操作を行うための操作部材であり、後述のベース部材410により保持されている。回転操作部材(第二の回転操作部材)500は、ユーザが時計回り方向および反時計回り方向に回転操作を行うための操作部材である。撮像装置100aの外装部材(不図示)は、回転操作部材400を回動可能に保持している。磁石401は、撮像装置100aの筐体の内部に配置されており、本実施形態において、磁石501は撮像装置100aの筐体の外部に配置されている。
図11(a)、(b)は、複数の回転操作部材400、500を有する回転操作ユニット300の斜視図である。ベース部材410は、回転操作部材400を回動可能に保持している。またベース部材410は、撮像装置100aの外装部材(不図示)に固定されている。
磁石(第一の磁石)401は、N極とS極とが交互に等ピッチに分極されている。磁石401は、N極とS極のそれぞれに着磁面401aが設けられており、着磁面401aに垂直方向に磁場が発生する。本実施形態において、磁場の方向は、回転軸(軸a)と同一の方向である。磁石401は、回転操作部材400に対して所定の角度となるように固定されている。磁石401および回転操作部材400は、回転操作部材400の回転動作により一体的に回転する。なお、回転操作部材400の回転に伴ってクリック感を発生させる機構は、図3を参照して説明したとおりである。
磁石保持部材530は、ビス(不図示)により回転操作部材500の回転軸(軸b)に対して固定される。磁石(第二の磁石)501は、N極とS極とが交互に等ピッチに分極されている。磁石501は、N極とS極それぞれに着磁面501aが設けられており、着磁面501aに垂直方向に磁場が発生する。本実施形態において、磁場の方向は、回転軸(軸b)に対して放射方向となる。磁石501は、回転操作部材500に対して所定の角度となるように固定されている。磁石保持部材530および磁石501は、回転操作部材500の回転動作により一体的に回転する。なお、回転操作部材500の回転に伴ってクリック感を発生させる機構は、図3を参照して説明したとおりである。
三軸磁気センサ(磁気センサ)441は、磁界を検出する電気素子である。三軸磁気センサ441は、フレキシブル基板440の表面に実装され、ベース部材410に設置された位置決めボス440aおよび振れ止めボス440bにより位置決めされ、不図示の両面テープによりベース部材410に固定されている。ベース部材410に配置されている固定部411により、回転操作ユニット300は撮像装置100aに固定される。なお、三軸磁気センサ441の構成は、図2を参照して説明した三軸磁気センサ241と同様である。
以下の説明では、図11(b)に示されるように、三軸磁気センサ441の検出軸ベクトルとしての軸X、軸Y、および軸Zを定義する。軸Xは軸aおよび軸bのそれぞれと直交する方向の軸、軸Yは軸bと平行な軸、軸Zは軸aと平行な軸である。三軸磁気センサ441は、軸X、軸Y、および軸Zの3軸においてそれぞれ独立して磁気(磁界)を検出することができる。
磁気シールド450は、ベース部材410に対して固定されている。磁気シールド450は、磁石401、501により発生する磁場を、三軸磁気センサ441が検出するための磁場を阻害しない範囲においてシールドすることで、撮像装置100aの撮像センサ(不図示)への磁場による画質の低減を抑制する。
次に、図12を参照して、本実施形態における三軸磁気センサ441の検出構成を説明する。図12(a)、(b)は、回転操作ユニット300における磁石401、501、および、三軸磁気センサ441の配置関係を示す図である。
図12(a)は、図11(b)に示されるように定義された座標軸のZ-Y平面における、回転操作部材400の検出構成図を示す。回転操作部材400は、磁石401と共に、軸aを中心として回転する。このとき三軸磁気センサ441は、磁石401の着磁面401aから発生する磁場aを検出する。三軸磁気センサ441は、磁場aの横磁場を軸Yで検出し、磁場aの縦磁場を軸Zで検出する。このとき、三軸磁気センサ441の軸Zは図6中の縦磁束密度301に相当し、磁気センサ441の軸Yは横磁束密度302に相当する。回転検出制御を行う信号処理方法は、前述と同様である。本実施形態において、回転操作部材400の回転軸(軸a)は軸Zと平行である。ただし本発明は、これに限定されるものではなく、撮像装置100aの操作性を考慮して、磁石401からの磁場が三軸磁気センサ441の検出閾値を下回らない範囲で、軸Zに対して所定の角度をつけて(傾けて)配置してもよい。
図12(b)は、図10(b)中で定義された座標軸のZ-X平面における、回転操作部材500の検出構成図を示す。回転操作部材500は、磁石501と共に、軸bを中心として回転する。このとき三軸磁気センサ441は、磁石501の着磁面501aから発生する磁場bを検出する。三軸磁気センサ441は、磁場bの横磁場を軸Xで検出し、磁場bの縦磁場を軸Zで検出する。このとき、三軸磁気センサ441の軸Zは図6中の縦磁束密度301に相当し、三軸磁気センサ441の軸Xは横磁束密度302に相当する。回転検出制御を行う信号処理方法は、前述と同様である。本実施形態において、回転操作部材500の回転軸(軸b)は軸Yと平行である。ただし本発明は、これに限定されるものではなく、撮像装置100aの操作性を考慮して、磁石501からの磁場が三軸磁気センサ441の検出閾値を下回らない範囲で、軸Yに対して所定の角度をつけて(傾けて)配置してもよい。
このように本実施形態において、回転操作ユニット300は、回転操作可能な第一の回転操作部材(回転操作部材400)および第二の回転操作部材(回転操作部材500)を有する。また回転操作ユニット300は、第一の回転操作部材と一体的に回転する第一の磁石(磁石401)、および、第二の回転操作部材と一体的に回転する第二の磁石(磁石501)を有する。また回転操作ユニット300は、第一の磁石および第二の磁石のそれぞれ発生する磁気を検出する磁気センサ(三軸磁気センサ441)を有する。磁気センサは、第一の磁石からの第一の方向の第一の磁気および第二の方向の第二の磁気を検出し、第二の磁石からの第三の方向の第三の磁気および第四の方向の第四の磁気を検出する。第一の方向と第三の方向とがなす第一の角度は、第二の方向と第四の方向とがなす第二の角度よりも大きい。好ましくは、第一の方向(軸Y)と第三の方向(軸X)とは直交し、第二の方向(軸Z)と第四の方向(軸Z)とは一致する。
好ましくは、磁気センサは、第一の検出部(磁場検出部121)、第二の検出部(磁場検出部122)、および、第三の検出部(磁場検出部123)を有する。第一の検出部は、第一の軸(X軸)の方向の磁気を検出する。第二の検出部は、第二の軸(Y軸)の方向の磁気を検出する。第三の検出部は、第三の軸(Z軸)の方向の磁気を検出する。より好ましくは、磁気センサは、第二の検出部により第一の磁気を検出し、第三の検出部により第二の磁気を検出し、第一の検出部により第三の磁気を検出し、第三の検出部により第四の磁気を検出する。
好ましくは、回転操作ユニットは、第一の磁石を回転可能に保持するとともに、第一の回転操作部材の回転に応じてクリック感を発生させる第一の機構(凹凸部230fと同様の機構)を有する。また回転操作ユニットは、第二の磁石を回転可能に保持するとともに、第二の回転操作部材の回転に応じてクリック感を発生させる第二の機構(凹凸部230fと同様の機構)を有する。また好ましくは、回転操作ユニットは、磁気センサの出力信号に基づいて、第一の回転操作部材および第二の回転操作部材のそれぞれの回転方向および回転量を算出する制御手段(CPU150)を有する。また好ましくは、第一の磁石および第二の磁石は、それぞれ、円周方向にS極とN極とが交互に一定のピッチで着磁された円形磁石である。また好ましくは、磁気センサは、第一の磁石の磁束密度が第二の磁石の磁束密度よりも高い位置に配置されている。また好ましくは、第一の磁石および第二の磁石の少なくとも一方は、電子機器(撮像装置100a)の筐体の内部に配置されている。
本実施形態によれば、三軸磁気センサ441の軸X、軸Y、および軸Zの3つの検出軸を用いることにより、互いに近接した2つの回転操作部材400、500の回転動作を検出することができる。このため、電子機器の大型化を防ぎつつ、低コストで、互いに近接する複数の回転操作部材の回転検出を誤動作なく行うことが可能な回転操作ユニットを得ることが可能である。このため本実施形態によれば、小型で信頼性が高い回転操作ユニットおよび電子機器を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。