JP2019055687A - 乗物用シート及びそのシートパッドの製造方法 - Google Patents

乗物用シート及びそのシートパッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シートパッドの支持部材に対してワイヤ材を精度良く且つ安定的に後付けしておくことにある。【解決手段】支持部材4Pbは、シートパッド本体4Paの裏面から露出してシートパッド4Pの裏面の少なくとも一部を構成するとともに、支持部材4Pbの裏面に設けられた溝部(42b)内にワイヤ材10が収容されている乗物用シートにおいて、溝部(42b)は、ワイヤ材10を挿入可能な開口部50と、開口部50から挿入されたワイヤ材10をシートパッドの裏面の面方向(前後方向)における相対移動が許容された状態で収容している収容部54と、収容部54に収容されているワイヤ材10が開口部50側に移動することを阻止している阻止部56とを有する。【選択図】図7

Description

本発明は、シート外形をなすシートパッドと、シートパッドを補強するワイヤ材とを備えた乗物用シート及びそのシートパッドの製造方法に関する。
この種の乗物用シートでは、発泡樹脂製のシートパッドを、金属製のワイヤ材で補強することがあり、このワイヤ材は、例えばインサート成形などの手法でシートパッドに埋設して一体化することができる。しかしシートパッドの成形と同時にワイヤ材を一体化する場合、シートパッドの発泡収縮などによって、ワイヤ材に求められる寸法精度が出せないおそれがあった。すなわちワイヤ材はその形状などによって剛性に劣る部分が生じることがあり、この剛性に劣る部分がシートパッドの発泡収縮に負けるなどして、ワイヤ材の寸法精度にバラつきが生じてしまう。さらにワイヤ材の寸法精度は、ワイヤ材自体の単品精度や、成形型内におけるワイヤ材のセット位置等にも影響を受けてしまう。
そこで特許文献1に開示の車両用シートでは、シートパッドが、発泡樹脂製のシートパッド本体と、このシートパッド本体を下支えしている嵩上げ部材を有し、さらに嵩上げ部材には、ワイヤ材を嵌込み可能な溝部が設けられている。この嵩上げ部材は、本発明の支持部材に相当するポリスチレン系樹脂製の部材であり、シートパッド本体と概ね同一の外形形状を有してその裏面全面を覆っている。そこで特許文献1では、嵩上げ部材を成形したのち、この嵩上げ部材の溝部にワイヤ材を嵌め込む。このように嵩上げ部材にワイヤ材を後付けすることにより、インサート成形に比してワイヤ材に求められる寸法精度を出しやすくなる。
特開2011−16458号公報
ところで公知技術では、嵩上げ部材(支持部材)の溝部にワイヤ材を嵌め込んで保持している。しかし単に溝部にワイヤ材を嵌め込んでいるだけであると、溝部からワイヤ材が抜け外れやすく、シートパッドの生産時や輸送時にワイヤ材が抜け外れた場合に手直しする必要があった。もっとも溝部をできるだけ狭小にしてワイヤ材が容易に抜け外れないように調節することも考えられる。しかしそうするとワイヤ材の寸法のばらつきによって嵩上げ部材が部分的に変形するおそれがあり、また嵩上げ部材の寸法のばらつきもワイヤ材の寸法精度に悪影響を与えるおそれがある。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートパッドの支持部材に対してワイヤ材を精度良く且つ安定的に後付けしておくことにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート外形をなすシートパッドと、シートパッドを補強するワイヤ材とを備え、シートパッドは、乗員を弾性的に支持可能なシートパッド本体と、シートパッド本体を裏側から支持する支持部材とを一体で有している。そして支持部材は、シートパッド本体の裏面から露出してシートパッドの裏面の少なくとも一部を構成するとともに、支持部材の裏面に設けられた溝部内にワイヤ材が収容されている。この種のシート構成においては、シートパッドの支持部材に対してワイヤ材を精度良く後付けできることが望まれる。
そこで本発明の溝部は、ワイヤ材を挿入可能な開口部と、開口部から挿入されたワイヤ材をシートパッドの裏面の面方向における相対移動が許容された状態で収容している収容部と、収容部に収容されているワイヤ材が開口部側に移動することを阻止している阻止部とを有している。本発明では、ワイヤ材を開口部から挿入して収容部に収容することにより、シートパッドの支持部材にワイヤ材を後付することができる。そして収容部は、シートパッドの裏面の面方向におけるワイヤ材の相対移動を許容した状態でワイヤ材を収容している。このため支持部材又はワイヤ材の単品精度(寸法など)にバラつきが生じていたとしても、このバラつきを吸収するように収容部内でワイヤ材を相対移動させることができる。さらに阻止部によって、ワイヤ材が収容部から開口部に移動することを阻止することにより、溝部からのワイヤ材の抜け外れを極力回避しつつ、収容部内のワイヤ材の相対移動を可能にすることができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、溝部は、開口部と収容部の間に設けられてワイヤ材の通過を許容する通路部を有するとともに、阻止部は、通路部の一部をなして通路部内に張出している部位であって、収容部に収容されているワイヤ材に開口部側から当接している当接面を有している。本発明では、ワイヤ材を、阻止部を含む通路部を通じてスムーズに収容部内に収容することができる。そして収容部内のワイヤ材を、阻止部の当接面に当接させておく(乗せ上げた状態としておく)ことにより、ワイヤ材の開口部側への移動をより確実に阻止することができる。
第3発明の乗物用シートは、第2発明の乗物用シートにおいて、阻止部は、通路部をなしている溝部の内壁部分の少なくとも一部で構成されている。本発明では、阻止部を、溝部の内壁をなしている支持部材部分で構成することにより、阻止部を別部材で構成する場合に比して支持部材の構成をシンプル化することができる。
第4発明の乗物用シートは、第1発明〜第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、ワイヤ材は、シートパッドの裏面外形に倣った無端状の枠部位を有し、枠部位の少なくとも一部が溝部内に収容されている。本発明では、ワイヤ材の少なくとも一部を無端状の枠形状としたことにより、複数のワイヤ材を枠状に配置する場合に比して、シートパッドを適切に補強でき、さらにワイヤ材の取付け作業を簡略化することができる。
第5発明の乗物用シートは、第4発明の乗物用シートにおいて、枠部位は、シートパッドの裏面の面方向における一方向に延びている第一部位と、第一部位に対向する第二部位とを備えており、阻止部は、第一部位が収容されている第一の溝部部分と、第二部位が収容されている第二の溝部部分とにそれぞれ設けられている。本発明では、枠部位の第一部位と第二部位の配置位置を考慮して、阻止部を溝部の適切な位置に設けたことにより、ワイヤ材の抜け外れを好適に阻止することができる。
第6発明の乗物用シートは、第1発明〜第5発明のいずれかの乗物用シートにおいて、溝部は、開口部と収容部の間に設けられてワイヤ材の通過を許容する通路部を有するとともに、阻止部は、通路部の一部をなして通路部内に張出している部位であって、開口部から収容部に向かうにつれて次第に張出方向の寸法が大きくなっている。本発明では、阻止部の張出寸法を調整することにより、溝部内へのワイヤ材のスムーズな挿入を可能としつつ、阻止部によってワイヤ材の抜け外れを更に確実に阻止することができる。
第7発明のシートパッドの製造方法は、第1発明〜第6発明のいずれかのシートパッドの製造方法である。そして発泡樹脂製のシートパッド本体を成形する成形型は、シートパッド本体の成形空間となるキャビティを備えるとともに、成形型のキャビティを臨む内面に、キャビティ内における支持部材の位置決めをする第一位置決め部と、キャビティ内におけるワイヤ材の位置決めをする第二位置決め部とが設けられている。そしてワイヤ材が取付けられている支持部材を内面上に配置する第一工程と、キャビティ内でシートパッド本体を成形しつつ内面上に配置された支持部材に一体化する第二工程とを有している。そこで本発明では、第一工程において、支持部材とワイヤ材とを相対移動させつつ、支持部材を第一位置決め部に位置決めするとともに、ワイヤ材を第二位置決め部に位置決めすることとした。本発明では、支持部材に対してワイヤ材を相対移動させることにより、支持部材又はワイヤ材の単品精度にバラつきが生じていたとしても、これらを成形型の内面の適切な位置に位置決めしておくことができる。
本発明に係る第1発明によれば、シートパッドの支持部材に対してワイヤ材を精度良く且つ安定的に後付けしておくことができる。また第2発明によれば、支持部材に対してワイヤ材をより適切に後付けしておくことができる。また第3発明によれば、比較的シンプルな構成によって、支持部材に対してワイヤ材をより適切に後付けしておくことができる。また第4発明によれば、支持部材に対してワイヤ材をより簡便に後付けしておくことができる。また第5発明によれば、支持部材に対してワイヤ材をより安定的に後付けしておくことができる。また第6発明によれば、支持部材に対してワイヤ材を更に適切に後付けしておくことができる。そして第7発明によれば、シートパッドの支持部材に対してワイヤ材を精度良く且つ安定的に後付けし、さらに支持部材とワイヤ材をシートパッド本体に精度良く一体化することができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートクッション一部の分解斜視図である。 シートパッドの裏面図である。 ワイヤ材の上面図である。 支持部材の上面図である。 図3のVI‐VI線断面となるシートクッションの断面図である。 図3のVII‐VII線断面となるシートクッションの断面図である。 図3のVIII‐VIII線断面となるシートクッションの断面図である。 変形例の支持部材を部分的に破断して示す斜視図である。 図3のX‐X線断面となるシートクッションの断面図である。 ワイヤ材が収容されている支持部材の斜視図である。 支持部材が配置されている成形型一部の概略断面図である。 第一位置決め部を示す成形型と支持部材の拡大概略断面図である。 ワイヤ材が配置されている成形型一部の概略断面図である。 第二位置決め部を示す成形型とワイヤ材の拡大概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図15を参照して説明する。各図には、乗物用シート(又は成形型)の前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。またワイヤ材又は支持部材のみが図示されている図では、これら各部材が乗物用シートに配置されている状態を基準として方向を示す矢線を適宜図示する。なお図12及び図13では、便宜上、成形型の一部を二点破線で示す。また図14及び図15では、便宜上、ワイヤ材のみを図示したが、このワイヤ材は、実際には支持部材に取付けられている。
図1の乗物用シート2は、乗物室内に配置されるベンチシートであり、シート幅方向である左右方向に長尺なシートクッション4及びシートバック(6a〜6c)と、複数のヘッドレスト8a〜8cとを備えている。そしてシートクッション4の後部には、起立状態のシートバック(6a〜6c)の下部が起倒可能に連結されている。この乗物用シート2は、シート幅方向において第一シート部位2Aと第二シート部位2Bと第三シート部位2Cに区分けでき、各シート部位にそれぞれ乗員の着座が可能である。第一シート部位2Aは、シート左側の部位であり、左側のシートクッション部位4aとシートバック部位6aとヘッドレスト8aを有している。また第二シート部位2Bは、シート中央の部位であり、中央のシートクッション部位4bとシートバック部位6bとヘッドレスト8bを有している。そして第三シート部位2Cは、シート右側の部位であり、右側のシートクッション部位4cとシートバック部位6cとヘッドレスト8cを有している。
[シートクッション]
図1に示すシートクッション4は、シート骨格をなすシートフレーム4F(図示省略)と、シート外形をなすシートパッド4Pと、シートの意匠面を構成するシートカバー4Sとを有している。そしてシートパッド4Pは、シートフレーム4F上に配置されて、シートパッド4Pによって被覆されている。ここでシートフレーム4Fは、典型的に略矩形状の枠体であり、剛性に優れる金属や硬質樹脂などの素材にて形成できる。またシートカバー4Sは、布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で形成できる。
またシートパッド4Pは、図2及び図3を参照して、シート外形をなす上方視(又は裏面視)で略矩形の部材であり、シートパッド本体4Paと支持部材4Pbとを有し、さらにワイヤ材10が取付けられて補強されている(各部材の詳細は後述)。そして本実施例では、ワイヤ材10の寸法精度にバラつきが生じないように、シートパッド4Pの支持部材4Pbにワイヤ材10を後付けしている。この種のシート構成においては、シートパッド4Pに対してワイヤ材10を精度良く且つ安定的に後付けできることが望まれる。そこで本実施例では、後述する構成によって、シートパッド4Pに対してワイヤ材10を精度良く且つ安定的に後付けしておくこととした。以下、各構成について詳述する。
[ワイヤ材]
ワイヤ材10は、図2〜図4を参照して、シートパッド4Pを補強する棒状の部材であり、外形をなす枠部位11と、一対の橋渡部20a,20bと、複数の掛止部22a〜22dとを有している。枠部位11は、後述する支持部材4Pbの外形に倣った概ね矩形をなすワイヤ材部分であり、複数のワイヤ材(符号省略)を無端状に組み付けて固定することで形成されている。この枠部位11は、図4を参照して、前側で左右方向に延びている前ワイヤ部12と、後側で左右方向に延びている後ワイヤ部14と、右側で前後方向に延びている右ワイヤ部16と、左側で前後方向に延びている左ワイヤ部18とに区分けできる。そして前ワイヤ部12と後ワイヤ部14は、前後方向において対向状に配置されており、前ワイヤ部12が、本発明の第一部位に相当し、後ワイヤ部14が、本発明の第二部位に相当する。
ここで前ワイヤ部12には、図4を参照して、左右方向における中央の前中央部位12aを挟んで、右前張出ワイヤ12bと左前張出ワイヤ12cが固定されて一体化されている。右前張出ワイヤ12bは、前中央部位12aの右側に固定されており、左前張出ワイヤ12cは、前中央部位12aの左側に固定されている。これら各前張出ワイヤ12b,12cは、それぞれ上方視で略U字状をなすワイヤ材で構成されており、前中央部位12aよりも前方に突出している。また後ワイヤ部14は、前中央部位12aの対面に位置する後中央部位14aと、右前張出ワイヤ12bの対面に位置する右後部位14bと、左前張出ワイヤ12cの対面に位置する左後部位14cとに区分けできる。そして後ワイヤ部14では、後中央部位14aの右部分が前方にU字をなすように屈曲しており、後中央部位14aの左部分も前方にU字をなすように屈曲している。さらに後中央部位14aの概ね中央には後張出部位14dが設けられており、この後張出部位14dは、左右の後部位14b,14cと概ね前後の位置が一致した状態で左右方向に延びている。
また右ワイヤ部16と左ワイヤ部18は、左右方向において対向状に配置されており、これら両ワイヤ部16,18は概ね左右対称形状を有している。そして右ワイヤ部16は、前ワイヤ部12と後ワイヤ部14の間で概ね台形状をなすように右方に突出している。この右ワイヤ部16の前後に延びる上底には、左側に向けて概ねU字状に屈曲している右側屈曲部位16aが設けられている。また同様に左ワイヤ部18も、前ワイヤ部12と後ワイヤ部14の間で概ね台形状をなすように左方に突出している。この左ワイヤ部18の前後に延びる上底にも、右側に向けて概ねU字状に屈曲している左側屈曲部位18aが設けられている。
また左右一対の橋渡部(右橋渡部20a,左橋渡部20b)は、図2及び図4を参照して、それぞれ前後方向に延びているワイヤ材で構成されており、前ワイヤ部12と後ワイヤ部14の間に架け渡されて固定されている。これら右橋渡部20aと左橋渡部20bは、枠部位11の各中央部位12a,14aを挟んで、概ね左右対称となるように枠部位11の左右に分かれて配置されている。更にワイヤ材10には、左右一対の前側掛止部22a,22bと、左右一対の後側掛止部22c,22dが設けられており、これら各掛止部22a〜22dは、図1に示すシートクッション4を乗物室内の適所に掛止するための部位である。そして各前側掛止部22a,22bは、図2及び図4を参照して、それぞれ枠部位11の下方に突出している略U字状の部位であり、前ワイヤ部12の左右に分かれて固定されている。これら各前側掛止部22a,22bは、例えば乗物室内の床面(図示省略)の適所に掛止できる。なお各前側掛止部22a(22b)は、左右の張出部位12b(12c)とその対面位置に配置する前ワイヤ部部分との間に橋渡されて固定されている。また各後側掛止部22c,22dは、各橋渡部20a,20bの後端で形成された部分である。これら各後側掛止部22c,22dは、略U字状に内折りされた状態とされて後ワイヤ部14から後方に張出しており、例えばシート後方に配置する乗物室内の立壁(図示省略)に掛止できる。
[シートパッド(シートパッド本体)]
シートパッド4Pは、図2及び図3を参照して、シートパッド本体4Paと、支持部材4Pbとを有し、さらに支持部材4Pbには後述の溝部(42a〜42c,44,46,48)が設けられている(図3では、便宜上、シートパッド本体を二点破線で図示する)。そしてシートパッド本体4Paは、上方視で左右に長尺な略矩形の部位であり、シートパッド4Pの着座面(各図では上面)を含む外形形状をなしている。このシートパッド本体4Paは、専ら乗員を弾性的に支持する部位であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。なおシートパッド本体4Pa上には、図6に示すマット状の発泡樹脂部材MMを配置しておくことができる。
[支持部材]
また支持部材4Pbは、図2及び図5を参照して、シートパッド本体4Paを裏側から支持している略矩形の枠状部材であり、シートパッド本体4Paよりも硬く変形しにくくされている(支持部材の素材は後述)。この支持部材4Pbは、シートパッド本体4Paの裏側に一体化されており、支持部材4Pbの裏面が、シートパッド本体4Paの裏面に露出してシートパッド4Pの裏面の一部を構成している(シートパッド本体と支持部材の一体化の手法は後述)。そして支持部材4Pbは、前辺をなす前支持部位32と、後辺をなす後支持部位34と、右辺をなす右支持部位36と、左辺をなす左支持部位38とに区分けできる。そして前支持部位32は、左右方向における中央の前中央部分32aが相対的に前後に大寸とされている。
また後支持部位34は、図5を参照して、前支持部位32の対面位置に配置されている部分であり、左右方向における中央の後中央部分34aが、前中央部分32aの対面位置に設けられている。この後中央部分34aは、その両隣に形成された左右の湾曲部分34bにて、他の後支持部位34部分と分けられている。これら左右の湾曲部分34bは、後支持部位34を部分的に前方に向けてU字をなすように湾曲させている部分である。そして後支持部位34の右側部分には、その内縁が矩形に凹んでいる右切欠き部35aが設けられており、この右切欠き部35aは、図3に示すように右橋渡部20aの後部が配置される部分である。さらに後支持部位34の右切欠き部35aから右支持部位36の後部にかけての部分に、支持部材4Pbの裏面外側を一段低くしている右段差部39aが設けられている。また同様に後支持部位34の左部分にも、その内縁が矩形に凹んでいる左切欠き部35bが設けられており、この左切欠き部35bは、図3に示すように左橋渡部20bの後部が配置される部分である。さらに後支持部位34の左切欠き部35bから左支持部位38の後部にかけての部分に、支持部材4Pbの裏面外側を一段低くしている左段差部39bが設けられている。なお後中央部分34aの右端側と左端側には、それぞれ後中央部分34aを厚み方向に貫通する孔部65,66が設けられている。これら各孔部65,66は、後述するシートパッド本体との一体化の際に、図12に示す成形型70に対する位置決めに用いるための構成である。
ここで支持部材4Pbは、シートパッド本体4Paとは異なる材質の素材で形成でき、またシートパッド本体4Paと同種の素材でも形成できる。例えば支持部材4Pbは、シートパッド4Pの軽量化と適度な嵩高さを与える観点から、相対的に硬く軽量なポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂フォームなどの異材質の素材で形成できる。また支持部材4Pbを、シートパッド本体4Paと同様にポリウレタンフォームで形成することもできる。そしてポリウレタンフォームは、ウレタン原液の成分や発泡方法を変更することで密度と硬度を変化させることが可能である。すなわち典型的なポリウレタンフォームは、ポリオールと多官能イソシアネートを、発泡剤と整泡剤と触媒の存在下で反応させて製造される。このとき支持部材4Pbのポリオール成分として、例えば平均官能基数4〜6且つOH価130〜160mgKOH/gであるポリエーテルポリオール、より好ましくはソルビトールにプロピレンオキシドを付加した特定のポリオールをポリウレタンフォーム用ポリエーテルポリオールに配合して使用する。こうすることで支持部材4Pbをなすポリウレタンフォームの硬度を増しつつ、さらにシートパッド本体4Paよりも低密度にしてシートパッド4Pの軽量化を図ることができる。
[溝部]
溝部は、図3及び図5を参照して、支持部材4Pbの裏面に設けられている凹部位であり、複数の溝部位42a〜42c,44,46,48によって構成されている。これら各溝部位42a〜42c,44,46,48は、支持部材4Pbに沿って断続的に配置されており、図3に示すようにワイヤ材10の対応する枠部位11部分を収容できる。例えば前支持部位32には、複数の前溝部位(第一前溝部位42a,第二前溝部位42b,第三前溝部位42c)が断続的に設けられ、これら各前溝部位42a〜42cに、枠部位11の前ワイヤ部12の対応する部分を収容できる。すなわち第一前溝部位42aは、前支持部位32の前中央部分32aで左右に延びている溝部位であり、前ワイヤ部12の前中央部位12aを収容できる。また第二前溝部位42bは、前中央部分32aの右側に形成されたU字をなす溝部位であり、右前張出ワイヤ12bを収容できる。また第三前溝部位42cは、前中央部分32aの左側に形成されたU字をなす溝部位であり、左前張出ワイヤ12cを収容できる。また後支持部位34の後中央部分34aにはU字をなす後溝部位44が設けられており、この後溝部位44には、後ワイヤ部14の後中央部位14aを収容できる。そして本実施例においては、第二前溝部位42b及び第三前溝部位42cが、本発明の第一の溝部部分に相当し、後溝部位44が、本発明の第二の溝部部分に相当する。
また支持部材4Pbの右支持部位36と左支持部位38には、左右対称となるように対応する溝部位46,48が設けられ、各溝部位46,48には、枠部位11の対応する部分を収容できる。すなわち右支持部位36の後部には左方にU字をなす右溝部位46が設けられ、この右溝部位46に、右ワイヤ部16の右側屈曲部位16aを収容できる。また左支持部位38の後部には右方にU字をなす左溝部位48が設けられ、この左溝部位48に、左ワイヤ部18の左側屈曲部位18aを収容できる。
そして各溝部位42a〜42c,44,46,48は、形状や延長方向等が異なる以外は概ね同一の基本構成を有し、各々、後述する開口部50と通路部52と収容部54とが設けられている。さらに特定の溝部位(42b,42c,44,46,48)には、後述する阻止部56が設けられている。すなわち支持部材4Pbでは、図5に示すように、第二前溝部位42b及び第三前溝部位42cと、後溝部位44と、右溝部位46と、左溝部位48にそれぞれ阻止部56が設けられており、各溝部位の阻止部56も概ね同一の構成を有している。そこで以下に、専ら第二前溝部位42bを一例にその詳細を説明することとする。
ここで第二前溝部位42bは、図6を参照して、右前張出ワイヤ12bに沿って形成されている溝部部分であり、図7に示すように一対の内壁(内側内壁60,外側内壁62)が適宜の間隔で対面状に配置されている。外側内壁62は、シートパッド4Pを裏側から見た場合に、シートパッド本体4Paの外縁(図7では前外縁)に近い位置にある壁であり、内側内壁60は、外側内壁62よりもシートパッド本体4Paの外縁から遠い壁である。そして内側内壁60と外側内壁62の間隔を適宜調節することにより、第二前溝部位42bの適宜の位置に、後述する開口部50と通路部52と収容部54と阻止部56を形成することができる。さらに図6及び図7を参照して、第二前溝部位42bの上面には、阻止部56が形成されている部分に一致する位置に、支持部材4Pbの上面に開口して第二前溝部位42bに連通している窓部Hが設けられている。この窓部Hを設けておくことで、溝部内にワイヤ材10が適切に収容されているかどうかを、この窓部Hから目視で確認することができる。
[開口部・通路部]
開口部50は、図7を参照して、右前張出ワイヤ12bを挿入する開口部分であり、支持部材4Pbの裏面に形成されている。この開口部50の前後方向の開口寸法W1は、外側内壁62の下端縁と内側内壁60の下端縁との離間寸法で規定できる。そして開口部50の開口寸法W1は、右前張出ワイヤ12bを挿入可能であればよいが、右前張出ワイヤ12bの径寸法φ以上に設定することで、右前張出ワイヤ12bをスムーズに溝部内に挿入できる。また通路部52は、開口部50と後述の収容部54との間に設けられて、右前張出ワイヤ12bの通過を許容する部分であり、外側内壁62と内側内壁60の間に形成されている。この通路部52の前後の開口寸法W2は、右前張出ワイヤ12bが通過可能であればよく、例えば右前張出ワイヤ12bの径寸法φ以上に設定することもできる。
[収容部]
収容部54は、図7を参照して、開口部50から挿入されたワイヤ材10を配置しておく部分であり、溝部の底側(図7の上側)に設けられている。この収容部54では、外側内壁62と内側内壁60が相対的に大きく離間して配置されている。例えば後述する阻止部56の形成されている収容部54では、外側内壁62が前側に向けて凹んでいるため、その前後方向の寸法W3が、開口部50及び通路部52よりも大幅に大きくされている。このため収容部54には、右前張出ワイヤ12bを、シートパッド本体4Paの裏面の面方向である前後方向における移動を許容した状態で配置することができる。
[阻止部]
阻止部56は、図6及び図7を参照して、収容部54に配置されている右前張出ワイヤ12bが開口部50側に移動することを阻止している部位である。この阻止部56は、図7に示すように通路部52をなしている内側内壁60の一部が通路部52内に張出して配置されている部分である。すなわち阻止部56は、内側内壁60そのものを柱状に突出させることで形成されており、支持部材4Pbの一部で構成されている。この阻止部56の前面56aは、通路部52の一部を構成しており、本実施例においては上下方向に直線的に延びている。また阻止部56の上面は、収容部54に収容されている右前張出ワイヤ12bに下方から当接する当接面57とされており、この当接面57は、上下の凹凸がほとんどない平坦な面である。そして右前張出ワイヤ12bを収容するに際しては、この右前張出ワイヤ12bを、通路部52(外側内壁62と前面56aの間)を通じてスムーズに収容部54内に導き入れて、阻止部56の当接面57に当接させておく(乗せ上げた状態としておく)。このように収容部54内の右前張出ワイヤ12bが、阻止部56の当接面57に当接することにより、右前張出ワイヤ12bの開口部50側への移動が好適に阻止されることとなる。
ところで開口部50と通路部52と収容部54とは、図8に示す阻止部56の形成されていない第二前溝部位42b部分にも連続して設けられている。そして図8に示す第二前溝部位42b部分においても、収容部54と通路部52の前後方向の寸法W4(W4≦W3)が、右前張出ワイヤ12bの径寸法φ以上に設定されている。このため図8に示す第二前溝部位42b部分においても、収容部54の前後の寸法を大きくしていることで、右前張出ワイヤ12bを、シートパッド本体4Paの裏面の面方向である前後方向における移動を許容した状態で配置することができる。そして本実施例においては、第二前溝部位42bに点在している阻止部56の当接面57で右前張出ワイヤ12bを下支えしている。このため図8に示す阻止部56の形成されていない第二前溝部位42b部分では、右前張出ワイヤ12bを浮かした状態(フローティング状態)で配置させておくことが可能となる。
[変形例]
ここで阻止部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図9を参照して、変形例の阻止部56は、開口部50から収容部54に向かうにつれて次第に張出方向の寸法が大きくなっている。そして阻止部56の前面56aが、上方に向かうにつれて次第に前方に傾斜するテーパ面となって、内側内壁60の一部を構成している。このように阻止部56の上側を相対的に大きく突出させて当接面57の前後の寸法を大きくとることで、右前張出ワイヤ12bの開口部50側への移動を更に好適に阻止できる。また阻止部56の突出量を下方に向かうにつれて次第に小さくすることで、阻止部56を、右前張出ワイヤ12bが通路部52を通過する際の邪魔にならないように形成することができる。こうして本変形例では、阻止部56の張出寸法を調整することにより、溝部内へのワイヤ材10のスムーズな挿入を可能としつつ、阻止部56によってワイヤ材10の抜け外れを更に確実に阻止することができる。
[他の溝部位の構成]
そして図3に示す第三前溝部位42cでは、第二前溝部位42bと同様に開口部と通路部と収容部(図示省略)が設けられ、さらに概ね左右対称となる位置に阻止部56が設けられている。また第一前溝部位42aは、図8に示す第二前溝部位42b部分と同一の構成を有している。このため枠部位11の前ワイヤ部12を、前後の相対移動が許容された状態で各前溝部位42a〜42c内に収容することができる。また後溝部位44では、第二前溝部位42bと前後逆となるように開口部と通路部と収容部と阻止部が設けられている。このため枠部位11の後ワイヤ部14(後中央部位14a)も、前後の相対移動が許容された状態で後溝部位44に収容することができる。そして本実施例では、支持部材4Pbの左右に各段差部39a,39bを設けておくことで、後中央部位14aの前後動に追従して、右後部位14bと左後部位14cをスムーズに前後動させることができる。こうして本実施例では、収容部54内における前ワイヤ部12と後ワイヤ部14の前後の相対移動を許容することで、ワイヤ材10全体を、支持部材4Pbに対して前後に相対移動させることが可能となる。
さらに図10を参照して、右溝部位46においても、開口部50と通路部52と収容部54と阻止部56が設けられ、これら各部の基本的な構成は、第二前溝部位42bの対応する部と概ね同一である。そして右溝部位46の収容部54は、その左右方向の寸法が、ワイヤ材10の右ワイヤ部(右側屈曲部位16a)の径寸法よりも大きくされている。このため枠部位11の右ワイヤ部(右側屈曲部位16a)を、左右の相対移動が許容された状態で右溝部位46内に収容することができる。また右溝部位46には、左側に配置された内側内壁60から阻止部56が左方に突出している。また図3に示す左溝部位48では、右溝部位46と左右対称となるように、開口部と通路部と収容部と阻止部(符号省略)が設けられている。こうして本実施例では、収容部54内における右ワイヤ部16と左ワイヤ部18の左右の相対移動を許容することで、ワイヤ材10全体を、支持部材4Pbに対して左右に相対移動させることが可能となる。
[シートパッドの製造作業]
シートパッド4Pの製造に際しては、図2に示すシートパッド本体4Paを、図12に示す成形型70を用いて成形する。このときワイヤ材10が取付けられている支持部材4Pbを成形型70の内面71a上に配置する第一工程と、成形型70のキャビティ74内でシートパッド本体を成形しつつ内面71a上に配置された支持部材4Pbに一体化する第二工程とをこの順で行う。そして第一工程に先立って、図3に示す支持部材4Pbの溝部(42a〜42c,44,46,48)に対応するワイヤ材部分を挿入して収容しておく。このとき本実施例では、上述の収容部54と阻止部56によって、ワイヤ材10を溝部内で浮かした状態(フローティング状態)とし、シートパッドの裏面の面方向(前後左右方向)におけるワイヤ材10の相対移動を許容している。すなわち収容部54内における前ワイヤ部12と後ワイヤ部14の前後の相対移動を許容することで、ワイヤ材10全体を、支持部材4Pbに対して前後に相対移動させることが可能となっている。また収容部54内における右ワイヤ部16と左ワイヤ部18の左右の相対移動を許容することで、ワイヤ材10全体を、支持部材4Pbに対して左右に相対移動させることが可能となっている。このため支持部材4Pb又はワイヤ材10の単品精度にバラつきが生じていたとしても、このバラつきを吸収するように収容部54内でワイヤ材10を相対移動させることができる。
また図11に示すように枠部位11を溝部に収容することにより、支持部材4Pbの枠内に、枠部位11の一部と各橋渡部20a,20bとが配置される。例えば前ワイヤ部12では、前中央部位12aの右側と左側の前ワイヤ部部分が、支持部材4Pbの枠内に配置される。また後ワイヤ部14では、後張出部位14dを除く図4の後中央部位14a部分が、支持部材4Pbの枠内に配置される。そして図2及び図11を参照して、ワイヤ材10に設けられている前側掛止部22a,22bが支持部材4Pbの下方に突出し、後側掛止部22c,22dが支持部材4Pbの後方に突出している。
[第一工程]
第一工程では、図12を参照して、シートパッド本体の成形型70に、ワイヤ材10が取付けられている支持部材4Pbを配置しておく。このようにワイヤ材10を予め支持部材4Pbに取付けておくことで、これら各部材を個別に成形型70にセットする場合に比してセット工程数を軽減できる。ここで成形型70は、第一型71と、第二型72と、第一型71と第二型72の間に形成されたキャビティ74を有している。キャビティ74は、シートパッド本体を成形するための空間であり、図2に示すシートパッド本体4Paの外形形状に倣った形状を有している。
また図12〜図15を参照して、第一型71のキャビティ74を臨む内面71aには、一対の第一位置決め部81a,81bと、一対の第二位置決め部82a,82bとが個別に設けられている。各第一位置決め部81a,81bは、図12及び図13を参照して、第一型71の内面71aの後側で起立する棒状部位であり、キャビティ74内における支持部材4Pbの位置決めを行うことができる。すなわち各第一位置決め部81a(81b)は、支持部材4Pbの後支持部位34の孔部65(66)に挿入されることで、支持部位4Pbを位置決めすることができる。また各第二位置決め部82a,82bは、図14及び図15を参照して、第一型71の内面71aの前側に設けられた凹み部位であり、キャビティ74内におけるワイヤ材10の位置決めを行うことができる。すなわち各第二位置決め部82a(82b)は、ワイヤ材10の前側掛止部22a(22b)を挿入することで、ワイヤ材10を位置決めすることができる。
そこで第一工程において、支持部材4Pbとワイヤ材10とを、対応する位置決め部によって内面71a上の適宜の位置に位置決めして配置しておく。このとき支持部材4Pb又はワイヤ材10の製品精度のバラつきなどが原因で、支持部材4Pbとワイヤ材10のいずれかが、対応する位置決め部から位置ズレして、適切に位置決めできないことがある。そこで本実施例では、支持部材4Pbとワイヤ材10とを相対移動(前後又は左右に相対移動させる)ことができる。そして支持部材4Pbとワイヤ材10とを位置ズレを解消するように相対移動させることで、支持部材4Pbを第一位置決め部81a,81bに位置決めするとともに、ワイヤ材10を第二位置決め部82a,82bに位置決めすることができる。このように本実施例では、支持部材4Pbとワイヤ材10を相対移動可能な構成としたことで、これらの製品精度のバラつきが生じていたとしても、これらを成形型70の内面71aの適切な位置に位置決めしておくことができる。
[第二工程]
そして第二工程では、成形型70を型閉じしたのち、キャビティ74内で、図2に示すシートパッド本体4Paを成形する。こうすることでシートパッド本体4Paの成形と同時に、このシートパッド本体4Paの裏側に支持部材4Pbを一体化することができる。さらに本実施例では、図11に示す支持部材4Pbの枠内に突出しているワイヤ材部分をシートパッド本体4Paに埋設状に一体化しておくことができる。なお第二工程では、シートパッド本体の発泡収縮が生じるが、ワイヤ材10の枠部位11の大部分を支持部材4Pb内に収容しておくことで、枠部位11の寸法精度を適切に維持しておくことができる。こうして本実施例では、支持部材4Pbとワイヤ材10を適切に位置決めしてシートパッド本体4Paを成形することにより、シートパッド4Pを精度良く製造することが可能となる。さらに上述のようにシートパッド4Pを精度よく製造することで、シートパッド4Pの形状変更の手間を省いたり、成形型70のチューニング工程を簡略化したりすることができ、製造費用を極力抑えることが可能となる。
[シートパッドの使用態様]
図1〜図3を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置しつつシートカバー4Sで被覆する。そしてシートパッド4Pは、支持部材4Pbに収容されているワイヤ材10によって補強されているため、乗員を弾性的に支持しつつも、適度な剛性を有している。特にワイヤ材10に、無端状の枠形状をなす枠部位11を設けたことにより、複数のワイヤ材を枠状に配置する場合に比して、シートパッド4Pを適切に補強でき、さらにワイヤ材10の取付け作業を簡略化することができる。また溝部(42a〜42c,44,46,48)内に収容されているワイヤ材10は、阻止部56によって溝部からの抜け外れが阻止されて、シートパッド4Pに安定的に収容されている。このためシートパッド4Pの生産時や輸送時に、支持部材4Pbからワイヤ材10が抜け外れることを極力阻止することができる。特に本実施例では、支持部材4Pbに対するワイヤ材10の枠部位11の抜け外れを、その前後(及び左右)に設けられた阻止部56によって好適に阻止することができる。このため本実施例によれば、シートパッド4Pの生産や輸送が容易となり、さらにパッドメーカーなどの工程手直しの手間を極力省くことができる。
以上説明した通り本実施例では、ワイヤ材10を開口部50から挿入して収容部54に収容することにより、シートパッド4Pの支持部材4Pbにワイヤ材10を後付することができる。そして収容部54は、シートパッド4Pの裏面の面方向におけるワイヤ材10の相対移動を許容した状態でワイヤ材10を収容している。このため支持部材4Pb又はワイヤ材10の単品精度(寸法など)にバラつきが生じていたとしても、このバラつきを吸収するように収容部54内でワイヤ材10を相対移動させることができる。さらに阻止部56によって、ワイヤ材10が収容部54から開口部50に移動することを阻止することにより、溝部からのワイヤ材10の抜け外れを極力回避しつつ、収容部54内のワイヤ材10の相対移動を可能にすることができる。このため支持部材4Pbやワイヤ材10の単品精度はそのままに一つの部材とすることができ、さらに一体発泡で起こりうる精度のばらつきを考慮する必要がほとんどない。
また本実施例では、ワイヤ材10を、阻止部56を含む通路部52を通じてスムーズに収容部54内に収容することができる。そして収容部54内のワイヤ材10を、阻止部56の当接面57に当接させておく(乗せ上げた状態としておく)ことにより、ワイヤ材10の開口部50側への移動をより確実に阻止することができる。また本実施例では、阻止部56を、溝部の内壁(60)をなしている支持部材4Pb部分で構成することにより、阻止部を別部材で構成する場合に比して支持部材4Pbの構成をシンプル化することができる。また本実施例では、ワイヤ材10の少なくとも一部を無端状の枠形状としたことにより、複数のワイヤ材10を枠状に配置する場合に比して、シートパッド4Pを適切に補強でき、さらにワイヤ材10の取付け作業を簡略化することができる。また本実施例では、枠部位11の前ワイヤ部12(第一部位)と後ワイヤ部14(第二部位)の配置位置を考慮して、阻止部56を溝部の適切な位置に設けたことにより、ワイヤ材10の抜け外れを好適に阻止することができる。このため本実施例によれば、シートパッド4Pの支持部材4Pbに対してワイヤ材10を精度良く且つ安定的に後付けしておくことができる。
また本実施例では、シートパッド4Pの製造時において、支持部材4Pbに対してワイヤ材10を相対移動させる。こうすることで支持部材4Pb又はワイヤ材10の単品精度にバラつきが生じていたとしても、これらを成形型70の内面71aの適切な位置に位置決めしておくことができる。このため本実施例の製造方法によれば、シートパッド4Pの支持部材4Pbに対してワイヤ材10を精度良く且つ安定的に後付けし、さらに支持部材4Pbとワイヤ材10をシートパッド本体4Paに精度良く一体化することができる。さらにワイヤ材10を予め支持部材4Pbに取付けておくことで、これら各部材を個別に成形型70にセットする場合に比してセット工程数を軽減できる。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、シートパッド本体4Paと支持部材4Pbの構成(形状,寸法,配置関係など)を例示したが、これら各部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば支持部材は、シートパッド本体の裏面の少なくとも一部を覆うことができ裏面全面を覆うこともできる。また支持部材を枠形状とする場合には、無端状の枠形状とすることができ、複数の支持部材を、枠形状をなすように配置することもできる。
また本実施形態では、溝部(42a〜42c,44,46,48)の構成(形状,寸法,形成位置,形成数など)を例示したが、溝部の構成を限定する趣旨ではない。すなわち溝部の構成は、収容すべきワイヤ材の構成に応じて適宜変更することができる。例えば支持部材の裏面全長に溝部を一つなぎで形成することができる。また支持部材の各支持部位の少なくとも一つの部位に溝部を形成することができ、この場合には、対向配置する支持部位(前支持部位と後支持部位,右支持部位と左支持部位)に形成することが望ましい。また各支持部位には、溝部を連続して形成することができ、複数の溝部位を断続的に形成することもできる。また阻止部は、支持部材の素材で形成してもよく、支持部材とは別の部材を後付けしたり埋設状に一体化したりして形成することもできる。また阻止部は、溝部の一部に形成してもよく、溝部の概ね全長に渡って形成されていてもよい。
また本実施形態では、ワイヤ材10の構成(形状,寸法,構成部位など)を例示したが、ワイヤ材の構成を限定する趣旨ではない。例えばワイヤ材は、概ね四角形などの多角形の枠部位や、円形や楕円形などの枠部位を有していてもよい。また無端状の枠部位は、完全に離間した部分がなければよく、無端(一つなぎ)でもよく、一部に分断箇所を有していてもよい。またワイヤ材は、枠部位を有していない構成でもよく、直線状や湾曲状や屈曲状とすることもでき、複数のワイヤ材を支持部材の溝部に収容しておくこともできる。そしてワイヤ材は、シートパッド本体に一体化されていてもよく、一体化されていなくともよい。またワイヤ材は、シートパッドを補強可能であればよく、橋渡部や掛止部を適宜省略することもできる。
また本実施形態では、シートパッドの製造方法を例示したが、シートパッドの製造方法を限定する趣旨ではない。例えばシートパッド本体の成形型は、第一型と第二型とは異なる中間型を有していてもよい。また成形型の内面の適宜の位置に各位置決め部を設けることができ、各位置決め部は、位置決めすべき部材を位置決め可能な各種の構成を取り得る。また支持部材の孔部は、支持部材の適宜の位置に設けることができ、貫通孔であってもよく非貫通孔でもよい。また第一位置決め部は、支持部材に設けられている孔部や溝部などの凹み部位に挿入される部材で構成することができ、支持部材に設けられている凸部位を挿入可能な凹部で構成することもできる。また第二位置決め部も、ワイヤ材の適宜の位置を挿入可能な凹部で構成することができ、ワイヤ材に係止可能な凸部で構成することもできる。またシートパッド本体に支持部材を一体化したのち、支持部材の溝部にワイヤ材を収容することもできる。
また本実施形態では、乗物用シート2の構成(形状,寸法,構成部材など)を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではない。例えば乗物用シートは、一人用でも複数人用でもよい。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8a〜8c ヘッドレスト
4F シートフレーム
4S シートカバー
4P シートパッド
4Pa シートパッド本体
4Pb 支持部材
10 ワイヤ材
11 枠部位
12 前ワイヤ部(本発明の第一部位)
12a 前中央部位
12b 右前張出ワイヤ
12c 左前張出ワイヤ
14 後ワイヤ部(本発明の第二部位)
14a 後中央部位
14b 右後部位
14c 左後部位
14d 後張出部位
16 右ワイヤ部
16a 右側屈曲部位
18 左ワイヤ部
18a 左側屈曲部位
20a 右橋渡部
20b 左橋渡部
22a,22b 前側掛止部
22c,22d 後側掛止部
32 前支持部位
32a 前中央部分
34 後支持部位
34a 後中央部分
34b 湾曲部分
35a 右切欠き部
35b 左切欠き部
36 右支持部位
38 左支持部位
39a 右段差部
39b 左段差部
42a 第一前溝部位(本発明の溝部)
42b 第二前溝部位(本発明の溝部及び第一の溝部部分)
42c 第三前溝部位(本発明の溝部及び第一の溝部部分)
44 後溝部位(本発明の溝部及び第二の溝部部分)
46 右溝部位(本発明の溝部)
48 左溝部位(本発明の溝部)
50 開口部
52 通路部
54 収容部
56 阻止部
56a 阻止部の前面
57 当接面
60 内側内壁
62 外側内壁
65,66 孔部
70 成形型
71 第一型
71a 内面
72 第二型
74 キャビティ
81a,81b 第一位置決め部
82a,82b 第二位置決め部
H 窓部

Claims (7)

  1. シート外形をなすシートパッドと、前記シートパッドを補強するワイヤ材とを備え、
    前記シートパッドは、乗員を弾性的に支持可能なシートパッド本体と、前記シートパッド本体を裏側から支持する支持部材とを一体で有し、
    前記支持部材は、前記シートパッド本体の裏面から露出して前記シートパッドの裏面の少なくとも一部を構成するとともに、前記支持部材の裏面に設けられた溝部内に前記ワイヤ材が収容されている乗物用シートにおいて、
    前記溝部は、前記ワイヤ材を挿入可能な開口部と、前記開口部から挿入された前記ワイヤ材を前記シートパッドの裏面の面方向における相対移動が許容された状態で収容している収容部と、前記収容部に収容されている前記ワイヤ材が前記開口部側に移動することを阻止している阻止部とを有する乗物用シート。
  2. 前記溝部は、前記開口部と前記収容部の間に設けられて前記ワイヤ材の通過を許容する通路部を有するとともに、
    前記阻止部は、前記通路部の一部をなして前記通路部内に張出している部位であって、前記収容部に収容されている前記ワイヤ材に前記開口部側から当接している当接面を有している請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記阻止部は、前記通路部をなしている前記溝部の内壁部分の少なくとも一部で構成されている請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記ワイヤ材は、前記シートパッドの裏面外形に倣った無端状の枠部位を有し、前記枠部位の少なくとも一部が前記溝部内に収容されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  5. 前記枠部位は、前記シートパッドの裏面の面方向における一方向に延びている第一部位と、前記第一部位に対向する第二部位とを備えており、前記阻止部は、前記第一部位が収容されている第一の溝部部分と、前記第二部位が収容されている第二の溝部部分とにそれぞれ設けられている請求項4に記載の乗物用シート。
  6. 前記溝部は、前記開口部と前記収容部の間に設けられて前記ワイヤ材の通過を許容する通路部を有するとともに、
    前記阻止部は、前記通路部の一部をなして前記通路部内に張出している部位であって、前記開口部から前記収容部に向かうにつれて次第に張出方向の寸法が大きくなっている請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載されたシートパッドの製造方法において、発泡樹脂製の前記シートパッド本体を成形する成形型は、前記シートパッド本体の成形空間となるキャビティを備えるとともに、前記成形型の前記キャビティを臨む内面に、前記キャビティ内における前記支持部材の位置決めをする第一位置決め部と、前記キャビティ内における前記ワイヤ材の位置決めをする第二位置決め部とが設けられており、
    前記ワイヤ材が取付けられている前記支持部材を前記内面上に配置する第一工程と、前記キャビティ内で前記シートパッド本体を成形しつつ前記内面上に配置された前記支持部材に一体化する第二工程とを有し、前記第一工程において、前記支持部材と前記ワイヤ材とを相対移動させつつ、前記支持部材を前記第一位置決め部に位置決めするとともに、前記ワイヤ材を前記第二位置決め部に位置決めするシートパッドの製造方法。
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