JP2019055359A - 光触媒塗布液、光触媒付き基材、及び光触媒付き基材の製造方法 - Google Patents

光触媒塗布液、光触媒付き基材、及び光触媒付き基材の製造方法 Download PDF

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【課題】 良好な耐摩耗性及び光触媒性能を有する光触媒付き基材を提供する。【解決手段】 酸性域で正または負のゼータ電位を持つ光触媒粒子と、樹脂を含有するコア、及びコアの表面に設けられ、反応基を持つ無機化合物を含有するシェルを含み、酸性域で前記光触媒粒子のゼータ電位と逆極性のゼータ電位を有するバインダー粒子とを含み、基材に塗布され乾燥過程を経て塗膜形成するための光触媒塗布液。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、光触媒塗布液、光触媒付き基材、及び光触媒付き基材の製造方法に関する。
一般的に、光触媒は、有機結合を切断し、多くの有機物を分解する特徴があり、そのため、光触媒層を基材上に形成すると、基材が有機物の場合、光触媒作用により基材が分解されることが知られている。
また、光触媒粒子を基材に固定するために光触媒層に含まれているバインダーにも、光触媒作用で分解されにくいものを使用する必要がある。有機物などの樹脂をバインダーに使うと、光触媒作用で樹脂バインダーが分解され、光触媒層における光触媒粒子の固着力が低下して、基材から脱落する、いわゆるチョーキングがおきるため、光触媒層の耐摩耗性、耐水性の特性が劣化し、かつ触媒性能も低下する。
一方、バインダーに光触媒作用で分解されにくい無機材料を使用すると、光触媒層における光触媒粒子の固着力は低下しないものの、高温焼成などの処理を行わない限り、光触媒層と基材との密着性が著しく低下するという問題がある。このため、基材が樹脂であると、高温処理ができず、無機材料バインダーとの固着力が弱く、光触媒層の耐摩耗性、耐水性を十分に満足させることは難しい。
また、一般に、ゼータ電位の異なる粒子を溶液中で混合すると凝集する課題がある。
また、バインダーと光触媒粒子を混合した塗布液を基材に塗布して形成する光触媒層において、バインダーの中に光触媒粒子が埋もれた場合、埋もれた光触媒粒子は光触媒作用がなくなり、光触媒層表面の活性な光触媒粒子は少なくなる。その場合、光触媒作用のある粒子密度は低くなり、光触媒機能を十分に発揮することができない。例えば光触媒で臭気ガスを分解する場合は、臭気ガスが光触媒に接触または極近傍に近接する必要があるが、バインダーの中に埋もれた光触媒粒子は分解に寄与しない。
特開平9−310039号公報 特許第3759651号公報 特許第3831457号公報
平成15年10月15日 技術評論社刊 大谷文章著 光触媒のしくみがわかる本
本発明の実施形態は、良好な耐摩耗性及び光触媒性能を有する光触媒付き基材を提供することを目的とする。
実施形態によれば、
基材に塗布され乾燥過程を経て基材に塗膜形成される光触媒塗布液であって、
酸性域で正または負のゼータ電位を持つ光触媒粒子と、
樹脂を含有するコア、及び前記コアの表面に設けられ、反応基を持つ無機化合物を含有するシェルを含み、酸性域で前記光触媒粒子のゼータ電位と逆極性のゼータ電位を有するバインダー粒子とを含む光触媒塗布液が提供される。
実施形態にかかる光触媒付き基材の構成を表す断面図である。 樹脂のゼータ電位を表すグラフ図である。 WO粒子のゼータ電位を表すグラフ図である。 コアシェル型バインダー粒子のゼータ電位を表すグラフ図である。 光触媒塗布液中の粒子の分散状態を表す模式図である。 光触媒塗布液の塗布膜が乾固する前の粒子の状態を表す模式図である。 光触媒塗布液の塗布膜が乾固した後の粒子の状態を表す模式図である。 光触媒付き基材の光触媒分解性能を表すグラフ図である。 転着レベルの判定基準を表す写真図である。
実施形態にかかる光触媒塗布液は、基材に塗布されて、乾燥過程を経て基材に塗膜形成される光触媒塗布液であって、光触媒粒子とバインダー粒子とを含む。
光触媒塗布液に用いられる光触媒粒子は、酸性域で正または負のゼータ電位を持つ。
光触媒塗布液に用いられるバインダー粒子は、核(コア)とその周りを概ね囲う殻(シェル)から成るコアシェル型であり、コアが樹脂、シェルが無機化合物である。
バインダー粒子のシェルに使用される無機化合物は反応基を持つ。
バインダー粒子は、酸性域で光触媒粒子のゼータ電位と逆極性のゼータ電位を有する。
また、実施形態にかかる光触媒付き基材の製造方法は、基材上に、上記光触媒塗布液を塗布し、光触媒層を形成することを特徴とする。
さらに、光触媒付き基材は、基材と、基材上に上記光触媒塗布液が塗布され、乾燥工程を経て塗膜形成された光触媒層とを含む。
図1に、実施形態にかかる光触媒付き基材の構成の一例を表す断面図を示す。
図示するように、この光触媒付き基材70は、基材1と、基材1上に形成された光触媒層60とを有する。
実施形態にかかる光触媒塗布液を基材に塗布して乾燥すると、バインダー粒子表面の無機化合物と光触媒が接触するため、バインダー粒子が光触媒で分解されることは無い。従って、高い耐摩耗性を持った光触媒層を形成することができる。
また、実施形態にかかる光触媒塗布液を用いて光触媒層を形成すると、バインダーのシェルにある反応基が基材と結合することで、固着力を維持することができる。また、バインダー粒子が基材の凹部分に入り込むと共に凸部においても、溶液中の溶剤が蒸発乾固する時にバインダー粒子のシェル中の反応基が基材と重縮合反応を行うと共に、コアの樹脂とも重縮合反応を行うため、基材の凹凸部いずれに対しても強固に固着させることができる。
さらに、実施形態にかかる光触媒塗布液によれば、バインダー樹脂粒子のゼータ電位と光触媒粒子のゼータ電位は互いに逆極性である。
例えばバインダー粒子のゼータ電位はプラス、光触媒粒子のゼータ電位はマイナスにすることができる。基材となる多くの樹脂のゼータ電位はpH3〜6の領域でマイナスである。
図2に、基材として使用可能な樹脂のゼータ電位を表すグラフ図を示す。
図中、各々、101はポリプロピレン、102はポリエチレンテレフタレート、103はポリスチレン、104は塩化ビニル、105はガラス、106はポリメチルメタクリレート、107は木綿糸、108はポリエチレン不織布のグラフを示す。
図示するように、例えばpH4〜6の酸性域では、PETを除きゼータ電位がマイナスであることがわかる。
なお、ここでは、ゼータ電位は、大塚電子株式会社 製 ゼータ電位・粒径測定システム ELSZを使用して測定している。
図3に、実施形態に使用可能な光触媒粒子としてWO粒子のゼータ電位を表すグラフ図を示す。
図中、201は単斜晶WO粒子のゼータ電位とpHとの関係を表すグラフ、202は三斜晶WO粒子のゼータ電位とpHとの関係を表すグラフを各々示す。
図示するように、例えばpH4〜6の酸性域では、WO粒子のゼータ電位がマイナスであることがわかる。
図4に、実施形態に使用可能なバインダー粒子のゼータ電位の一例を表す図を示す。
ここでは、バインダー粒子としてアクリル樹脂コアと活性ケイ酸からなるシェルを有するバインダー粒子を使用し、図中、301はゼータ電位とpHとの関係を表すグラフ図を示す。
図示するように、例えばpH4〜6の酸性域では、このコアシェル型バインダー粒子のゼータ電位がプラスであることがわかる。
実施形態にかかる光触媒溶液を樹脂基材に塗布すると、マイナスのゼータ電位を持つ基材側に、プラスのゼータ電位を持つバインダー粒子が引き寄せられてバインダー粒子密度が高くなり、一方、マイナスのゼータ電位を持つ光触媒粒子はバインダーの上部の基材から離れた光触媒層表面に多く分布する。さらに、塗膜を乾燥して得られる光触媒層は、基材側表面ではバインダー粒子の濃度が高く、基剤側表面と反対の表面では光触媒粒子の濃度が高い構成を有する。
光触媒粒子として、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ニオブ、または酸化スズのうち少なくとも1つの金属化合物粒子を使用することができる。
コアに使用される樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のうち少なくとも1つを含むことができる
熱可塑性樹脂として、例えば、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂またはアセタール樹脂をあげることができる。
熱硬化性樹脂として、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、またはユリア樹脂をあげることができる。
反応基を持つ無機化合物に使用可能な元素として、例えば、遷移元素、周期律表の12,13,または14族元素をあげることができる。
遷移元素として、例えば、チタン、コバルト、ニッケルまたはジルコニウムをあげることができる。
周期律表の12族元素として、例えば亜鉛をあげることができる。
13族元素として、アルミニウムまたはインジウムをあげることができる。
14族元素として、ケイ素またはスズをあげることができる。
反応基を持つ無機化合物として、上記遷移元素、周期律表の12,13,または14族元素の酸化物、水酸化物、酸化水酸化物、オキシ炭酸塩、オキシ硝酸塩、塩酸塩、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、およびこれらのアルコキシドの加水分解重縮合物、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、またはシロキサンをあげることができる。
また、実施形態にかかる光触媒塗布液は、分散安定剤をさらに含むことができる。
分散安定剤としては、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、酢酸酸化ジルコニウム、酢酸アルミニウム、エチレンジアミン四酢酸などのカルボニル基を持つ化合物を使用することができる。
分散安定剤は、カルボニル基の数をnとした場合、光触媒粒子固形分1モルに対し、0.1/nモルから4/nモル添加することができる。
上記分散安定剤は、バインダー成分と光触媒を混合した際に光触媒粒子の金属元素に対し、主にカルボニル基が配位することができる。実施形態によれば、形成された光触媒粒子の配位部の電位はプラスとなり、そのためバインダー粒子と光触媒粒子との間に反発が起き、バインダー液と光触媒粒子スラリーを混合しても、ゼータ電位の異なるバインダー粒子と光触媒粒子が塗工作業の実用時間内で凝集を防ぐことができる。分散安定剤の量は、少なすぎると配位量が少なくなり効果がなく、多すぎると基材塗布時にバインダーと光触媒粒子との結合を妨げる。発明者らの鋭意検討の結果、分散安定剤の添加量は光触媒固形分1モルに対し、カルボニル基の数をnとした場合、0.1/nモルから4/nモル以内が良好であった。
図5に、光触媒塗布液中の粒子の分散状態を表す模式図を示す。
例えば、バインダー粒子と溶媒を含むバインダー液と、光触媒粒子を溶媒中に分散したスラリーとを混合して光触媒塗布液40を作成することができる。図示するように、光触媒塗布液40は、溶剤30、溶剤30中に分散されたバインダー粒子10、及び光触媒粒子20を含む。バインダー粒子10は樹脂コア11と樹脂コア11周囲に設けられた無機化合物シェル12とを有する。例えばpH3〜6の酸性領域でバインダー粒子10のゼータ電位はプラス、光触媒粒子のゼータ電位はマイナスであるとき、光触媒粒子20表面では、光触媒粒子20の金属元素に対し、分散安定剤21のカルボニル基による配位がおきる。これにより、光触媒粒子20表面の配位部の電位がプラスとなる。この配位部のプラス電位により、プラスのゼータ電位を有するバインダー粒子10と光触媒粒子20との間に配位部で反発が起き、バインダー粒子10と光触媒粒子20の凝集を防いで分散させることができる。
図6に、光触媒塗布液の塗布膜が乾固する前の粒子の状態を表す模式図を示す。
基材となる樹脂のゼータ電位がマイナスであるとき、光触媒塗布液40をこの基材1上に塗布すると、乾固する前の塗布膜50では、図示するように、基材1側にゼータ電位がプラスのバインダー粒子10が引き寄せられ、バインダー粒子密度が高くなり、ゼータ電位がマイナスの光触媒粒子20は基材1から離れた塗布膜50表面に多く分布する。
図7に、光触媒塗布液の塗布膜が乾固した後の粒子の状態を表す模式図を示す。
バインダー液と光触媒スラリーは共に酸性で、その溶剤も酸性であるため、溶剤が蒸発するに従ってpHが低下する。これに伴いバインダー粒子10のゼータ電位は更に高くなりバインダー粒子10は基板1側により引きつけられる。一方、光触媒粒子20のゼータ電位もマイナスからゼロ電位に近くなりバインダー粒子10を周囲に取り巻いて凝集する。溶剤の蒸発過程で酸性度が高くなると樹脂基材1のゼータ電位もプラス方向に変化するが、乾燥過程ではバインダー粒子10と基材1との重縮合反応が始まり、重縮合ポリマー13が形成されるため、重縮合ポリマー13が形成されたバインダー10’が基材1から離れることなく、結果として、図7に示すように、塗布膜50を乾燥して得られた光触媒層60は基材1表面のバインダー濃度が高く、かつ光触媒層60表面の光触媒粒子20の濃度が高い膜構造を有する形成することができる。また、錯形成を行っていた分散安定剤21も同時に重縮合反応を行うため、バインダー10’と光触媒粒子20とのカップリング剤として働くこととなる。これによりバインダー10’の中に光触媒粒子20が埋もれることなく、その光触媒層60表面の光触媒粒子20の密度が高く形成され、活性の高い光触媒性能を有する塗膜を形成することができる。
実施形態に使用されるバインダー粒子の固形分は、前記光触媒粒子の固形分とバインダー粒子の固形分の全重量に対し4重量%以上、好ましくは20ないし40重量%にすることができる。
実施形態に使用される光触媒粒子は、10ないし500nmの体積平均粒径を有することができる。
実施形態に使用されるバインダー粒子は、50ないし300nmの体積平均粒径を有することができる。
実施形態に使用されるバインダー粒子の体積平均粒径は、光触媒粒子の体積平均粒径と等しいか、またはそれより大きいことが好ましい。
なお、ここで、体積平均粒径は、大塚電子株式会社 製 ゼータ電位・粒径測定システム ELSZを使用して測定している。
実施形態に使用される光触媒塗布液は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、次亜塩素酸水、酢酸、乳酸、ギ酸、酪酸、塩酸、硝酸、硫酸、または各種有機酸のうち少なくとも1つを含有する分散液をさらに含むことができる。
光触媒塗布液は2ないし6のpH、好ましくは4ないし6のpHを有することができる。
以下、実施例を示し、実施形態をより具体的に説明する。
実施例1
バインダーとして、コアとしてアクリル樹脂、シェルとしてケイ素酸化物を含むカチオン系バインダーを使用した。
このカチオン系バインダーは、例えば、アクリル樹脂エマルジョンを形成する工程、ケイ素酸化物となる原料を適用して反応させ、ケイ素酸化物をシェルとして積層させる工程を有する方法により製造することができる。必要に応じてケイ素酸化物シェルにカチオン性を付与するための表面処理を行うことができる。
平均粒子径D50は100nmであった。溶剤として主に水を用いてバインダー液を調製した。
D50 100nmの体積平均粒径を有するWO微粒子に分散液として主に水を用いてWO微粒子スラリーを調製した。
分散安定剤として、ジアセトンアルコールを用意した。
固形比としてWO 10重量部に対し、バインダー5重量部、及び分散安定剤としてジアセトンアルコールを10重量部混合し、分散液として水を475重量部添加し、光触媒塗布液を調製した。
なお、分散安定剤は、カルボキシル基の数をnとした場合、光触媒粒子固形分1モルに対し、0.5/nモル含まれている。
得られた光触媒塗布液の固形分は、5重量%であった。
また、得られた光触媒塗布液のpHは3.5であった。
なお、pHを変更するためには、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム 等を添加することができる。
光触媒塗布液をPS基材上に、目付量0.5g/mになるように塗布し、乾燥させ、光触媒付き基材を形成した。
得られた光触媒付き基材について光触媒分解性能と膜強度を測定した。
光触媒分解性能の測定
光照射用密閉容器内にアセトアルデヒドを10ppmになるよう注入し、目付量0.5g/mで出来た光触媒付き基材を配置して、広帯域発光蛍光ランプの普及型白色(記号W)にJIS R1750によるType Bに指定された紫外線シャープカットフィルターを介した6000ルクスの光を連続して光触媒付き基材に照射した。30分ごとに、ガステック製気採取器GV−110を用いてガステック検知管 ホルムアルデヒドNo.91Dを用いてアセトアルデヒド濃度を計測した。
図8に、光触媒付き基材の光触媒分解性能を表すグラフ図を示す。
図中、401は、経過時間とアセトアルデヒドの濃度との関係を表すグラフを示す。
402は、経過時間とアセトアルデヒドの減少率(体積%)との関係を表すグラフを示す。
図示するように、得られた光触媒基材に連続して光照射を行うことにより、アセトアルデヒドを分解して減少させることができる。また、経過時間とアセトアルデヒドの減少率は、経過時間に応じて低下することがわかる。
膜強度の測定
以下のようにして、耐摩耗性の指標となる膜強度の測定を行う。
得られた光触媒つき基材を用いて黒布摩擦試験による強度試験を行った。
羊毛黒布品番:73029−2021/48サキソニーを用意し、光触媒つき基材の光触媒層と対向させ、20g/mm相当で基材側から加圧して、光触媒層を羊毛黒布に転着させる。
光触媒層の転着レベル判定は、判定基準を用いて行われる。
図9に、転着レベルの判定基準を表す写真図を示す。
図中、レベル5は、黒い部分がわからないほど黒布が白くなって、光触媒層がかなり転着した状態を示す。レベル3は、光触媒層が白く転着した状態を示す。レベル4は、レベル5とレベル3の中間であり、光触媒層が白く転着した状態を示す。レベル2は、目視で注意してみれば光触媒層が白く転着した状態を示す。レベル1は、目視で転着が認められない状態を示す。
判定基準は、レベル3ないし5が不良、レベル2が良、レベル1が良好である。
この判定基準を用いて黒布の転着レベルを判定したところ、実施例1にかかる光触媒つき基材の膜強度の転着レベルは1であった。
実施例2
WO10重量部に対するバインダーの重量比を変更すること以外は、実施例1と同様にして光触媒塗布液を調製した。
得られた光触媒塗布液のpHは3.4であった。
光触媒塗布液をPS基材上に、目付量0.5g/mになるように塗布し、乾燥させ、光触媒付き基材を形成した。
光触媒性能と黒布の転着レベルの結果を下記表1に示す。
Figure 2019055359
上記表1よりWO10重量部に対するバインダーの重量比は2ないし7重量部であると、光触媒性能も膜強度も良好であることがわかる。
実施例3
コアの種類が異なる、種々のゼータ電位を有するバインダーを使用すること以外は、実施例1と同様にして光触媒塗布液を調製した。
得られた光触媒塗布液のpHは3.6であった。
光触媒塗布液をPS基材上に、目付量0.5g/mになるように塗布し、乾燥させ、光触媒付き基材を形成した。
得られた光触媒付き基材について光触媒分解性能と膜強度を測定した。
光触媒性能と黒布の転着レベルの結果を下記表2に示す。
Figure 2019055359
上記表中、バインダー1ないし5のシェルはケイ素酸化物、各々、コアは以下の通りである。
バインダー1のコア:両性ラテックス
バインダー2のコア:ポリメタクリル酸
バインダー3のコア:ポリプロピレン
バインダー4のコア:ポリスチレン
バインダー5のコア:エポキシ
上記表に示すように、基材のゼータ電位が負、光触媒粒子のゼータ電位が負であるとき、バインダーのゼータ電位が正であると、光触媒性能、及び膜強度が良好であることがわかる。
実施例4
各々、平均粒子径が異なること以外は実施例1と同様のバインダーを使用し、かつWO10重量部に対するバインダーの重量比を2ないし7重量部の範囲で変更すること以外は、実施例1と同様にして光触媒塗布液を調製した。
得られた光触媒塗布液のpHは3.8であった。
光触媒塗布液をPS基材上に、目付量0.5g/mになるように塗布し、乾燥させ、光触媒付き基材を形成した。
光触媒性能と黒布の転着レベルの結果を下記表3に示す。
Figure 2019055359
上記表3に示すように、コアシェル型バインダーの平均粒子径は50〜200nmであると、WO10重量部に対するバインダーの重量比が2ないし7重量部の範囲で光触媒性能、及び膜強度が良好であることがわかる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…、10…バインダー粒子、11…樹脂コア、12…無機化合物シェル、13…重縮合ポリマー、20…光触媒粒子、21…分散安定剤、30…分散液、40…光触媒塗布液、50…塗布膜、60…塗膜

Claims (23)

  1. 基材に塗布され乾燥過程を経て基材に塗膜形成される光触媒塗布液であって、
    酸性域で正または負のゼータ電位を持つ光触媒粒子と、
    樹脂を含有するコア、及び前記コアの表面に設けられ、反応基を持つ無機化合物を含有するシェルを含み、酸性域で前記光触媒粒子のゼータ電位と逆極性のゼータ電位を有するバインダー粒子とを含む光触媒塗布液。
  2. 前記光触媒粒子は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ニオブ、または酸化スズのうち少なくとも1つの金属化合物粒子である請求項1に記載の光触媒塗布液。
  3. 前記樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のうち少なくとも1つを含み、
    前記熱可塑性樹脂は、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂またはアセタール樹脂のうち少なくとも1つを含み、
    前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、またはユリア樹脂のうち少なくとも1つを含む請求項1または2に記載の光触媒塗布液。
  4. 前記反応基を持つ無機化合物は、遷移元素、周期律表の12,13,または14族元素のうち少なくとも1つを含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  5. 前記遷移元素はチタン、またはジルコニウムのうち少なくとも1つを含み、前記周期律表の前記12族元素は亜鉛を含み,前記13族元素はアルミニウムまたはインジウムを含み、前記14族元素はケイ素またはスズを含む請求項4に記載の光触媒塗布液。
  6. 前記反応基を持つ無機化合物は、前記遷移元素、前記周期律表の前記12族元素,前記13族元素,または前記14族元素の酸化物、水酸化物、酸化水酸化物、オキシ炭酸塩、オキシ硝酸塩、塩酸塩、メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、およびこれらのアルコキシドの加水分解重縮合物、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤、またはシロキサンのうち少なくとも1つである請求項5に記載の光触媒塗布液。
  7. 前記バインダー粒子の固形分は、前記光触媒粒子の固形分と前記バインダー粒子の固形分の全重量に対し4重量%以上である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  8. 分散安定剤をさらに含む請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  9. 前記分散安定剤は、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、酢酸酸化ジルコニウム、または酢酸アルミニウムのうち少なくとも1つである請求項8に記載の光触媒塗布液。
  10. 前記分散安定剤は、C=O基の数をnとした場合、前記光触媒粒子の固形分1モルに対し、0.1/nモルから2/nモル含まれる請求項8または9に記載の光触媒塗布液。
  11. 前記光触媒粒子は、10ないし500nmの体積平均粒径を有する請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  12. 前記バインダー粒子は、50ないし300nmの体積平均粒径を有する請求項1ないし11のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  13. 前記バインダー粒子の体積平均粒径は、前記光触媒粒子の体積平均粒径と等しいか、またはそれより大きい請求項1ないし12のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  14. 水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、次亜塩素酸水、酢酸、乳酸、ギ酸、酪酸、塩酸、硝酸、硫酸、または各種有機酸のうち少なくとも1つを含有する分散液をさらに含む請求項1ないし13のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  15. 2ないし6のpHを有する請求項1ないし14のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  16. 前記光触媒粒子は酸性域で負のゼータ電位を持ち、前記バインダー粒子は酸性域で正のゼータ電位を持つ請求項1ないし15のいずれか1項に記載の光触媒塗布液。
  17. 基材上に、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の光触媒塗布液を塗布し、光触媒層を形成する光触媒付き基材の製造方法。
  18. 前記基材は、負の表面ゼータ電位を持つ請求項17に記載の方法。
  19. 前記光触媒層の形成は、
    前記光触媒塗布液の塗膜を形成して、前記塗膜中のゼータ電位が正のバインダー粒子を負の表面ゼータ電位を持つ前記基材側に引き寄せて前記基材側の前記バインダー粒子の密度を高くし、
    前記光触媒塗布液の塗膜の溶剤を蒸発させ、前記バインダー粒子のゼータ電位を更に高くして、前記バインダー粒子を前記基板側により強く引きつけて凝集させ、
    前記光触媒塗布液の塗膜を乾燥させ、前記バインダー粒子と前記基材とを重縮合反応させることを含む請求項18に記載の方法。
  20. 基材と、前記基材上に請求項1ないし15のいずれか1項に記載の光触媒塗布液が塗布され、乾燥工程を経て塗膜形成された光触媒層とを含む光触媒付き基材。
  21. 前記光触媒粒子は、前記光触媒塗布液中、酸性域で正または負のゼータ電位を持ち、前記バインダー粒子は、酸性溶液中に分散したとき前記光触媒粒子のゼータ電位と逆極性のゼータ電位を有する請求項20に記載の光触媒付き基材。
  22. 前記光触媒層は、前記基材側表面では前記バインダー粒子の濃度が高く、前記基剤側表面と反対の表面では光触媒粒子の濃度が高い請求項20または21に記載の光触媒付き基材。
  23. 前記基材は、負の表面ゼータ電位を持つ請求項20ないし22のいずれか1項に記載の光触媒付き基材。
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