以下、各実施形態について図面を用いて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、一実施形態に係るX線CT装置の構成を示すブロック図である。X線CT装置1は、X線管11を有するX線源から被検体Pに対してX線を曝射し、当該被検体を透過したX線をX線検出器12で検出する。X線CT装置1は、当該X線検出器12からの出力に基づいて、被検体Pに関するCT画像を生成する。
図1に示すX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。架台装置10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台装置30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、X線CT撮影を実行する位置まで移動するための装置である。コンソール装置40は、架台装置10を制御するコンピュータである。
例えば、架台装置10および寝台装置30はCT検査室に設置され、コンソール装置40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。なお、コンソール装置40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール装置40は、架台装置10及び寝台装置30とともに同一の部屋に設置されてもよい。いずれにしても架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
架台装置10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びDAS18を有する。
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。照射された熱電子は、ターゲットの焦点に衝突した際のエネルギーによってX線に変換される。これにより、X線管11は、熱電子が衝突したターゲットの焦点から、被検体Pへ曝射するX線を発生する。X線管11で発生したX線は、コリメータ17を介してコーンビーム形に成形され、被検体Pに曝射される。なお、X線管11及びコリメータ17は、特許請求の範囲に記載のX線源の一例である。
X線検出器12は、X線管11から曝射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器(半導体検出器)であっても構わない。また、X線検出器12は、特許請求の範囲に記載のX線検出部の一例である。
回転フレーム13は、X線源とX線検出器12とを回転軸回りに回転可能に支持する。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13は、アルミニウム等の金属により形成された固定フレーム(図示せず)に回転可能に支持される。詳しくは、回転フレーム13は、ベアリングを介して固定フレームの縁部に接続されている。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。このような回転フレーム13は、撮影空間をなす開口(ボア)が形成された略円筒形状の筐体に収容されている。開口はFOV19に略一致する。開口の中心軸は、回転フレーム13の回転軸Zに一致する。回転フレーム13の回転軸Zは、X線管11の回転軸Zと呼んでもよい。なお、DAS18が生成した検出データは、回転フレームに設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレームから架台装置の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。制御装置15は、コンソール装置40からの指令に従い、X線高電圧装置14およびDAS18等を制御する。当該プロセッサは、当該メモリに保存されたプログラムを読み出して実現することで上記制御を実現する。また、制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。なお、制御装置15は、当該メモリにプログラムを保存する代わりに、当該プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該プロセッサは、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記制御を実現する。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
DAS18(Data Acquisition System)は、被検体Pにより減弱されたX線の強度を示すデジタル値を1ビューごとに収集する。DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、当該デジタル信号が示すデジタル値を有する検出データを生成する。検出データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、および収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値のセットである。なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例、1〜1000)を用いてもよい。また、DAS18が生成した検出データは、架台装置10に収容された非接触データ伝送回路(図示せず)を介してコンソール装置40へと転送される。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。
寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動装置32は、コンソール装置40による制御、または制御装置15による制御に従い、天板33を移動する。例えば、寝台駆動装置32は、天板33に載置された被検体Pの体軸が回転フレーム13の開口の中心軸に一致するよう、天板33を被検体Pに対して直交方向に移動する。また、寝台駆動装置32は、架台装置10を用いて実行されるX線CT撮影に応じて、天板33を被検体Pの体軸方向に沿って移動してもよい。寝台駆動装置32は、制御装置15からの駆動信号のデューティ比等に応じた回転速度で駆動することにより動力を発生する。寝台駆動装置32は、例えば、ダイレクトドライブモータやサーボモータ等のモータにより実現される。
支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。例えば、メモリ41は、CT画像や表示画像のデータを記憶する。また、メモリ41は、本実施形態に係る制御プログラムやデータ等を記憶する。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、特許請求の範囲に記載の表示部の一例である。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、撮影計画機能442、画像生成機能443、画像処理機能444、スキャン制御機能445、表示制御機能446などを実行する。
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。具体的には、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線CT装置1の各部を制御する。例えば、処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。
撮影計画機能442は、位置決め撮影用の計画機能に加え、図2に示すように、シミュレーション機能442−1、条件変更機能442−2、撮影準備機能442−3を備えている。
シミュレーション機能442−1は、被検体Pの造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定し、当該第1造影条件及び第1撮影条件に基づいて、造影剤を被検体Pに注入した場合の造影具合をシミュレーションにより求める。
ここで、「第1造影条件及び第1撮影条件」における「第1」とは、「個別に設定された」及び「最適化前の」を意味する。「造影条件」とは、造影剤や生理食塩水の注入に関する条件であり、例えば、注入速度、注入量、注入時間を含んでいる。「撮影条件」とは、撮影動作によって被検体から画像生成のための物理的なデータを収集するために必要な物理的条件である。撮影条件としては、例えば、スキャンの開始位置と範囲(寝台移動量)、X線管11の管電圧・管電流、得られる画像スライスの総幅に対する1回転での寝台移動量(撮影ピッチ)、開始タイミング、撮影列数、回転速度などがある。
なお、シミュレーション機能442−1は、個別設定の際に、被検体Pに造影剤を注入する注入位置に対応する造影ルートを模擬人体上で設定し、当該設定された造影ルートに基づいて、第1造影条件を設定するようにしてもよい。造影ルートの設定には、任意の注入位置に対応するマニュアルモードと、所定の注入位置に対応するプリセットモードとがある。マニュアルモードの場合、任意の注入位置を画面上で設定すればよい。プリセットモードの場合、例えば、画面に表示された注入位置のリストから、所望の注入位置を選択すればよい。注入位置としては、例えば、右上肢、左上肢、右下肢、左下肢などが適宜、使用可能となっている。また、造影ルートの設定は、操作者の操作による設定でもよく、図示しない光学カメラで認識した造影ルートを設定してもよい。
また、シミュレーション機能442−1は、個別設定の際に、模擬人体上で被検体Pの体位を設定し、当該設定された体位に基づいて、第1造影条件を設定するようにしてもよい。体位としては、例えば、「仰臥位」や「腹臥位」といった全体の姿勢と、「腕上げ」又は「腕下げ」といった一部の姿勢との組み合わせなどが適宜、使用可能となっている。なお、腕の上げ下げは、姿勢によって血管の圧迫度合いが変わることから、造影剤の注入し易さに影響する。
シミュレーション機能442−1は、特許請求の範囲に記載の条件設定部、シミュレーション部、ルート設定部、体位設定部の一例である。
条件変更機能442−2は、個別に設定された第1造影条件及び第1撮影条件を最適化して第2造影条件及び第2撮影条件を得る。例えば、条件変更機能442−2は、第1造影条件又は第1撮影条件に基づいて、第1造影条件及び第1撮影条件の少なくとも一方を変更して第2造影条件及び第2撮影条件を得るようにしてもよい。また例えば、条件変更機能442−2は、操作者の操作に応じて、第1造影条件及び第1撮影条件を修正することにより、第2造影条件及び第2撮影条件を得るようにしてもよい。第2造影条件は、最適化された第1造影条件である。第2撮影条件は、最適化された第1撮影条件である。すなわち、「第2造影条件及び第2撮影条件」における「第2」とは、「最適化後の」を意味する。「造影条件」及び「撮影条件」については、前述した通りである。なお、「条件変更機能」の用語は、「最適化処理機能」、「条件修正機能」、「条件調整機能」又は「条件編集機能」などの用語に適宜、読み替えてもよい。
撮影準備機能442−3は、操作者が被検体Pに造影ルートを設定した後、操作者の操作に応じて、条件変更機能442−2により得られた第2造影条件及び第2撮影条件を選択する。また、撮影準備機能442−3は、当該第2造影条件及び第2撮影条件をスキャン制御機能445に送出してもよい。但し、撮影準備機能442−3は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。
画像生成機能443は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。また、画像生成機能443は、このような投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、ショート再構成処理法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。ショート再構成処理法は、PBS(Pixel Based Sector Reconstruction)とも呼ばれる。CT画像データは、被検体Pに関するCT値の空間分布を表している。
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、画像生成機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。変換後の断層像データや3次元画像データは、ディスプレイ42に表示される。公知の方法としては、例えば、ボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理が適宜、使用可能となっている。
スキャン制御機能445は、スキャン範囲、関心領域、撮影条件等を決定するための被検体Pの位置決め画像データを取得する。位置決め画像データは参照画像データと呼ばれる場合もある。
また、スキャン制御機能445は、条件変更機能442−2により得られた第2造影条件及び第2撮影条件を撮影準備機能442−3から受ける。スキャン制御機能445は、第2造影条件に基づいて、被検体Pに造影剤を注入する造影剤注入器50を制御する。このとき、スキャン制御機能445は、第2造影条件を造影剤注入器50に送出してもよく、第2造影条件に基づく注入制御信号を造影剤注入器50に送出してもよい。また、スキャン制御機能445は、第2撮影条件に基づいて、モニタリングスキャン及び造影スキャンを順番に実行するようにX線源とX線検出器12とを制御する。なお、「モニタリングスキャン」及び「造影スキャン」は、それぞれ「モニタリング撮影」及び「本撮影」ともいう。スキャン制御機能445は、特許請求の範囲に記載の注入制御部、スキャン制御部の一例である。
表示制御機能446は、各機能による処理結果などのデータを表示するようにディスプレイ42を制御する。例えば、表示制御機能446は、個別に設定された第1造影条件及び第1撮影条件や、シミュレーション結果、CT画像などのデータをディスプレイ42に表示させる。表示制御機能446は、特許請求の範囲に記載の表示制御部の一例である。
なお、システム制御機能441、撮影計画機能442、画像生成機能443、画像処理機能444、スキャン制御機能445、表示制御機能446は、一つの基板の処理回路44により実装されてもよいし、複数の基板の処理回路44により分散して実装されてもよい。同様に、コンソール装置40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。
造影剤注入器50は、スキャン制御機能445から送出された第2造影条件に基づいて、被検体Pに造影剤を注入する。造影剤注入器50は、インジェクタ(injector)と呼んでもよい。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図3のフローチャート及び図4の模式図を用いて説明する。
始めに、ステップST10の位置決め撮影が実行される。このとき、撮影計画機能442は、予め設定された位置決め撮影用の撮影条件をメモリ41から読み出し、スキャン制御機能445に送出する。スキャン制御機能445は、スキャン範囲、関心領域、撮影条件等を決定するための被検体Pの位置決め画像データを取得する。
例えば、位置決め画像データの取得に際し、ヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンによって被検体Pに対する全周分の投影データを収集する。ここで、スキャン制御機能445は、被検体の胸部全体、腹部全体、上半身全体、全身などの広範囲に対して本撮影よりも低線量でヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンを実行する。ノンヘリカルスキャンとしては、例えば、天板33の位置を一定間隔で移動させた都度天板33が停止した状態でスキャンを行うステップアンドシュート方式が実行される。
このように、スキャン制御機能445が被検体に対する全周分の検出データを収集することで、画像生成機能443が、3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成することができ、再構成したボリュームデータに基づいて、任意の方向に応じた2次元の位置決め画像データを生成してもよい。また、位置決め画像データは、前述のボリュームデータを用いることで、3次元の位置決め画像データとして扱うことも可能である。
ステップST10の完了後、ステップST20のシミュレーション処理が実行される。このとき、シミュレーション機能442−1は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、被検体Pの造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定する。この個別設定の際に、シミュレーション機能442−1は、表示制御機能446を介して、図4(a)〜(b)に示す如き、造影条件の個別設定のための画面をディスプレイ42に表示させる。ここでは、模擬人体上において造影ルートの設定と造影条件のプリセット作成を可能とする。例えば、模擬人体の任意の位置もしくはプリセットされた位置に対応する造影ルートの設定と、造影ルートに対応してプリセットされた造影条件を作成可能とする。また、腕上げ、腕下げ等の実スキャンにおける被検体の体位(患者ポジショニング)を設定可能とする。
これにより、シミュレーション機能442−1は、操作者による入力インターフェース43の操作により、被検体Pに造影剤を注入する注入位置に対応する造影ルートと、被検体Pの体位とを模擬人体上で設定する。また、シミュレーション機能442−1は、当該設定された造影ルート及び体位に基づいて、第1造影条件を設定する。
また同様に、シミュレーション機能442−1は、表示制御機能446を介して、撮影条件の個別設定のための画面をディスプレイ42に表示させる。また、シミュレーション機能442−1は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、第1撮影条件を設定する。
しかる後、シミュレーション機能442−1は、個別に設定された第1造影条件及び第1撮影条件に基づいて、造影剤を被検体Pに注入した場合の造影具合をシミュレーションにより求める。なお、第1造影条件及び第1撮影条件に基づく造影具合のシミュレーションは、必ずしも実行しなくてもよい。
これらシミュレーション結果、第1造影条件及び第1撮影条件は、表示制御機能446によりディスプレイ42に表示される。これにより、シミュレーション結果、第1造影条件及び第1撮影条件は、操作者により比較され、最適であるか否かが検討される。
ステップST20の完了後、ステップST30の条件最適化処理が実行される。このとき、条件変更機能442−2は、第1造影条件又は第1撮影条件に基づいて、第1造影条件及び第1撮影条件の少なくとも一方を変更して第2造影条件及び第2撮影条件を得る。具体的には例えば、条件変更機能442−2は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、第1造影条件及び第1撮影条件を修正する。これにより、条件変更機能442−2は、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化して第2造影条件及び第2撮影条件を得る。得られた第2造影条件及び第2撮影条件は、メモリ41に記憶される。なお、「条件最適化処理」の用語は、「条件変更処理」、「条件修正処理」、「条件調整処理」又は「条件編集処理」などの用語に適宜、読み替えてもよい。
ステップST30の完了後、ステップST40にて実撮影の準備が実行される。このとき、操作者は、天板33上の被検体Pに造影剤注入器50の管を挿入することにより、被検体Pに造影ルートを設定する。また、操作者は、入力インターフェース43の操作により、位置決め画像上に、モニタリング撮影のための関心領域を設定する。しかる後、撮影準備機能442−4は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、メモリ41内の第2造影条件及び第2撮影条件を選択的に読み出し、当該第2造影条件及び第2撮影条件をスキャン制御機能445に送出する。
ステップST40の完了後、ステップST50にてモニタリング撮影が実行される。このとき、スキャン制御機能445は、第2造影条件に基づいて、被検体Pに造影剤を注入する造影剤注入器50を制御する。また、スキャン制御機能445は、第2撮影条件に基づいて、モニタリング撮影のためのモニタリングスキャンを実行するようにX線源とX線検出器12とを制御する。
モニタリング撮影中、画像生成機能443は、X線検出器12からDAS18を介して出力された投影データに対して再構成処理を行い、CT画像データを生成する。スキャン制御機能445は、関心領域に対応するCT画像データのCT値に基づいて、被検体の造影具合を判定する。CT値が閾値に達すると、本撮影に適した造影具合と判定され、モニタリングスキャンが完了する。
ステップST50の完了後、モニタリングスキャンからステップST60の本撮影に切り替えられる。スキャン制御機能445は、第2撮影条件に基づいて、モニタリングスキャンから切り替えて、本撮影のための造影スキャンを実行するようにX線源とX線検出器12とを制御する。本撮影中、画像生成機能443は、X線検出器12からDAS18を介して出力された投影データに対して再構成処理を行い、CT画像データを生成する。画像処理機能444は、CT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。表示制御機能446は、変換された画像データを表示するようにディスプレイ42を制御する。
上述したように第1の実施形態によれば、被検体の造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定し、第1造影条件又は第1撮影条件に基づいて、第1造影条件及び第1撮影条件の少なくとも一方を変更して第2造影条件及び第2撮影条件を得る。これにより、操作者の技量によらず、造影撮影の最適化を図ることができる。
例えば、個別に設定した第1造影条件及び第1撮影条件を同時に可視化することが可能となるので、全く可視化できない場合に比べ、操作者の技量によらず、最適な条件で造影撮影を実施することが可能となる。
また例えば、第1造影条件と第1撮影条件との両方の設定を同時に確認できることにより、造影剤量の低減やタイミングの最適化を図ると共に、モニタリング撮影等の臨床に寄与しない撮影に対する被ばくを最小限に抑制することが可能となる。
また、被検体に造影剤を注入する注入位置に対応する造影ルートを模擬人体上で設定し、当該設定された造影ルートに基づいて、第1造影条件を設定する構成により、造影ルートを第1造影条件に反映でき、より適切に第1造影条件を設定することができる。
また、模擬人体上で被検体の体位を設定し、当該設定された体位に基づいて、第1造影条件を設定する構成により、被検体の体位を第1造影条件に反映でき、より適切に第1造影条件を設定することができる。
また、模擬人体上で造影ルートや体位などを設定する構成により、直感的な操作が可能となり、操作者の不安低減や検査スループットの改善を実現することができる。
また、従来の造影条件の計算式は、注入位置や体位を反映していない。このため、造影ルートや体位などを設定する構成により、造影条件の精度の向上を期待できる。また、反映させるパラメータとしては、例えば、注入位置、体位、解剖学的な血管長さ、血管径などがある。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について図5及び図6の模式図を用いて説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の具体例であり、ステップST20において、シミュレーション結果42sr、第1造影条件及び第1撮影条件(図示せず)をディスプレイ42に表示する画面の例を示している。
ここで、図5に示すシミュレーション結果42srは、模擬人体上に造影ルートからの経過時間と共に造影具合を示す等値線が描写されている。
第1造影条件は、造影剤を導入するフェーズと、生理食塩水を導入するフェーズとの各々において、注入速度、注入量、注入時間が示されている。
なお、模擬人体の模擬人体の身長や体重といった体型を示すモデル情報を入力することも可能である。造影条件、モデル情報はリアルタイムに変更可能であり、シミュレーション結果42srに反映される。
なお、シミュレーション結果42srは、図6(a)〜(b)に示すように、濃淡やカラーマップによって造影具合を示してもよい。
上述したように第2の実施形態によれば、模擬人体上にシミュレーション結果を示す構成により、第1の実施形態の効果に加え、操作者が造影具合を直感的に理解でき、第1造影条件や第1撮影条件を直感的に修正することが可能となる。これにより、操作者の不安低減や検査スループットの改善を期待することができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について図7の模式図を用いて説明する。
第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、ステップST20において、シミュレーション結果42sr、第1造影条件及び第1撮影条件をディスプレイ42に表示する画面の例を示している。
ここで、シミュレーション結果42srは、模擬人体上に造影ルートからの経過時間と共に造影具合を示す等値線を、造影効果が最大となる時間を基準に描写している。また、このシミュレーション結果42srが示されている模擬人体に対し、撮影計画を枠及び破線により表示している。撮影計画を表示する場合は各スキャンの撮影範囲全体(枠)を示してもよいし、それぞれの時間毎における撮影位置(枠内の破線)を表示しても良い。
また、撮影条件内の撮影タイミング(インジェクタ同期までの休止時間)を調整してもよい。なお、撮影条件としては、撮影順ごとに、インジェクタ同期、休止時間、撮影モード、管電圧kV、管電流mA、回転速度、ピッチ、コメントが示されている。
このような画面により、造影撮影において、造影効果を最大限利用できるか確認することが可能となり、撮影タイミングや回転速度、寝台速度といった撮影条件が適切であるか検討することが可能となる。
上述したように第3の実施形態によれば、模擬人体上のシミュレーション結果に対し、撮影計画を重畳して示す構成により、第2の実施形態の効果に加え、操作者が造影具合と撮影計画との関係を直感的に理解でき、第1造影条件や第1撮影条件を直感的に修正することが可能となる。従って、より一層、操作者の不安低減や検査スループットの改善を期待することができる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について図8乃至図10の模式図を用いて説明する。
第4の実施形態は、第2又は第3の実施形態の変形例であり、シミュレーション結果42srを経過時間毎もしくはフェーズ毎の造影剤の分布としてディスプレイ42に表示する画面の例を示している。
ここで、図8に示すシミュレーション結果42srは、経過時間12秒のときの造影剤の分布を示している。このシミュレーション結果42srは、図9(a)〜(d)に示すように、経過時間毎の造影剤の分布を示すものであり、特定の経過時間を示す静止画像として表示してもよく、連続的に経過時間を進めた動画像として表示してもよい。また、第3の実施形態と同様に、シミュレーション結果42srが示されている模擬人体に対し、図10に示すように、撮影計画を枠及び破線により表示してもよい。撮影計画を表示する場合の作用効果は、前述した通りである。
このような経過時間毎の造影剤の分布を示す画面により、造影撮影において、目的とする造影効果が得られるか確認することが可能となり、造影継続時間や注入速度、注入量といった造影条件が適切であるか検討することが可能となる。
上述したように第4の実施形態によれば、模擬人体上のシミュレーション結果を経過時間もしくはフェーズ毎の造影剤の分布として示す構成により、第2又は第3の実施形態の効果に加え、操作者が造影剤の分布と造影条件との関係を直感的に理解でき、第1造影条件や第1撮影条件を直感的に修正することが可能となる。従って、より一層、操作者の不安低減や検査スループットの改善を期待することができる。
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態について図11乃至図14の模式図を用いて説明する。
第5の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、シミュレーション結果を示す模擬アキシャル像42axをディスプレイ42に表示する画面の例を示している。
ここで、模擬アキシャル像42axは、選択されたスライス面上の造影具合(造影濃度分布)に応じて、アキシャル面のテンプレート画像を補正することにより、生成される。模擬アキシャル像42axによれば、単純画像を模したアキシャル画像と造影効果による各部位の変化とを確認することが可能である。シミュレーション結果は造影条件と撮影条件により計算される。模擬アキシャル像42axは、アキシャル画像の右側に示す体軸方向上の位置と、アキシャル画像の下側に示す時間軸方向上の位置との操作により、体軸方向及び時間軸方向の各々を変更することができる。例えば、時間軸方向に変化させた場合の模擬アキシャル像42axを図12(a)〜(b)に示す。
このようなシミュレーション機能442−1によれば、ディスプレイ42に表示された模擬アキシャル像42axを確認しながら、操作者の操作に応じて、モニタリング撮影の計画をプリセットすることも可能である。
また、シミュレーション機能442−1は、操作者による指定に応じて、図13に示すように、模擬アキシャル像42ax上で指定された領域42rにおけるTDC(Time-Density Curve:時間濃度曲線)42cをディスプレイ42に表示してもよい。これにより、造影撮影の対象部位を含む模擬アキシャル像42axやTDC42cを確認しながら、より直感的に第1造影条件や第1撮影条件を修正することが可能となる。また例えば、シミュレーション機能442−1は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、図14に示すように、指定した領域42rにおけるモニタリング撮影の最大モニタリング回数(最大曝射回数)や、モニタリング撮影完了を示す目標CT値(閾値)をTDC42c上で設定することが可能となる。
上述したように第5の実施形態によれば、模擬人体上のシミュレーション結果を示す模擬アキシャル像42axを示す構成により、第2の実施形態の効果に加え、操作者が模擬アキシャル像42ax上の造影具合と撮影計画との関係をより直感的に理解でき、より一層、直感的に第1造影条件や第1撮影条件を修正することが可能となる。
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態は、第1乃至第5の各実施形態の変形例であり、条件変更機能442−2が、第1造影条件及び第1撮影条件のうちの一方を固定し、他方を調整することにより、第2造影条件及び第2撮影条件を得る構成となっている。
他の構成は、第1乃至第5の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図15乃至図17のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述した通り、ステップST10〜ST20の処理が実行され、第1造影条件及び第1撮影条件が個別に設定される。しかる後、図15に示す如き、ステップST30の条件最適化処理が開始される。
条件変更機能442−2は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、第1造影条件及び第1撮影条件のうち、優先する条件を固定する(ステップST31)。ここで、第1撮影条件を固定した場合(ST32;Yes)、条件変更機能442−2は、固定した第1撮影条件に対し、第1造影条件を最適化する(ステップST33)。
ステップST33は、図16に示すように、ステップST33−1〜ST33−7のサブステップから構成される。始めに、第1造影条件の最適化が開始されると(ステップST33−1)、操作者の操作により、目標CT値のように画質に関連した画像条件が指定される。また、画像条件に基づいて、造影剤の注入タイミング、注入速度が順次計算され、注入量(又は注入時間)が計算される(ステップST33−3〜ST33−5)。
これにより、最適化済みの第1造影条件が抽出され(ステップST33−6)、最適化済みの第1造影条件からなる第2造影条件が得られる。しかる後、最適化処理を完了し(ステップST33−7)、ステップST35に移行する。
一方、第1撮影条件を固定しない場合(ST32;No)、条件変更機能442−2は、固定した第1造影条件に対し、第1撮影条件を最適化する(ステップST34)。
ステップST34は、図17に示すように、ステップST34−1〜ST34−7のサブステップから構成される。始めに、第1撮影条件の最適化が開始されると(ステップST34−1)、操作者の操作により、目標CT値のように画質に関連した画像条件が指定される。また、画像条件に基づいて、撮影タイミング、撮影時間が順次計算され、その他の撮影条件が計算される(ステップST34−3〜ST34−5)。
これにより、最適化済みの第1撮影条件が抽出され(ステップST34−6)、最適化済みの第1撮影条件からなる第2撮影条件が得られる。しかる後、最適化処理を完了し(ステップST34−7)、ステップST35に移行する。
しかる後、条件変更機能442−2は、実行したステップST33又はST34の最適化が完了か否かを判定し(ステップST35)、最適化が完了しなかった場合には、表示制御機能446を介して、エラー通知をディスプレイ42に表示させる。
またステップST35の結果、最適化が完了した場合にはステップST30を完了し、ステップST40に移行する。
以下、前述同様に、ステップST40〜ST60が実行される。
上述したように第6の実施形態によれば、条件変更部が、第1造影条件及び第1撮影条件のうちの一方を固定し、他方を調整することにより、第2造影条件及び第2撮影条件を得る。これにより、第1乃至第5の各実施形態の効果に加え、最適化処理を自動化することができる。
例えば、ステップST20のシミュレーション結果に基づいて、造影条件と撮影条件を最適化することができる。また、操作者が固定した造影条件又は撮影条件に合致するように、他方の条件のパラメータを調整して最適化を図ることができる。また、条件を最適化できない場合にはその旨を操作者に通知することができる。
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態について説明する。
第7の実施形態は、第6の実施形態の変形例であり、条件変更機能442−2が、造影剤量の低減を優先するように第1造影条件及び第1撮影条件を最適化し、第2造影条件及び第2撮影条件を得る構成となっている。具体的には例えば、条件変更機能442−2は、第1造影条件を造影剤量が低減されるように最適化し、当該最適化した第1造影条件に基づいて他方の第1撮影条件を調整することにより、第2造影条件及び第2撮影条件を得る構成としてもよい。
他の構成は、第6の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図18のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述した通り、ステップST10〜ST20の処理が実行され、第1造影条件及び第1撮影条件が個別に設定される。しかる後、図18に示す如き、ステップST30の条件最適化処理が開始される。
条件変更機能442−2は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、第1造影条件の注入量(造影剤量)に対し、造影剤量の低減を優先条件として設定する(ステップST31a)。これにより、条件変更機能442−2は、優先条件に基づいて第1造影条件の最適化処理を開始する(ステップST32a)。
条件変更機能442−2は、造影剤量を低減し、第1造影条件を最適化する(ステップST33a)。ステップST33aは、図16に示したように、ステップST33−1〜ST33−7により実行される。但し、ステップST33−5では、計算される注入量が、造影剤量の低減に応じた少ない量となる。これにより、ステップST33aを完了する。
ステップST33aの完了後、条件変更機能442−2は、造影剤量が低減されて最適化された第1造影条件を固定し、第1撮影条件を最適化する(ステップST34)。ステップST34は、図17に示したように、ステップST34−1〜ST34−7により実行される。例えば、ステップST34−5にて管電圧kVを低下させるなど、造影剤による造影効果が強調される撮影条件に最適化する。なお、造影剤の減弱係数は、骨より低く、体内組織より高い。このため、管電圧kVの低下により、造影剤のコントラストを強調することが好ましい。また、管電圧kVを低下させる方式としては、2種類のエネルギーのデータ処理に関するデュアルエナジーを用いてもよく、3種類以上のエネルギーのデータ処理に関するマルチエナジーを用いてもよい。また、物質弁別方式としては、投影データベース/画像データベースのいずれを用いてもよい。また、Kvスイッチング、デュアルソース、積層型検出器方式などのいずれの撮影方式を用いてもよい。また、必要に応じてヨウ素分布マップ(Iodine map)等の後処理を追加してもよい。また、ヨウ素分布マップは、デュアル(マルチ)エナジーにより、造影部を強調する方式に置換してもよい。また、ステップST33a,ST34においては、最適化された条件を示す情報をディスプレイ42に表示してもよい。これにより、ステップST34を完了する。
ステップST34の完了後、前述同様に、ステップST35〜ST36が実行され、ステップST40に移行する。
以下、前述同様に、ステップST40〜ST60が実行される。
上述したように第7の実施形態によれば、条件変更部が、第1造影条件を造影剤量が低減されるように最適化し、当該最適化した第1造影条件に基づいて他方の第1撮影条件を調整することにより、第2造影条件及び第2撮影条件を得る。これにより、第6の実施形態の効果に加え、造影剤量を低減させるように、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化することができる。
また例えば、シミュレーション結果に基づいて、造影剤量の低減を優先条件として、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化することができる。
<第8の実施形態>
次に、第8の実施形態について説明する。
第8の実施形態は、第6の実施形態の変形例であり、条件変更機能442−2が、第1撮影条件を被曝線量が最小になるように最適化し、最適化した第1撮影条件に基づいて当該他方の第1造影条件を調整することにより、第2造影条件及び第2撮影条件を得る構成となっている。具体的には例えば、被曝線量に対応する撮影時間を低減するように第1撮影条件を最適化し、最適化した第1撮影条件に基づいて当該他方の第1造影条件を調整している。
他の構成は、第6の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図19のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述した通り、ステップST10〜ST20の処理が実行され、第1造影条件及び第1撮影条件が個別に設定される。しかる後、図19に示す如き、ステップST30の条件最適化処理が開始される。
条件変更機能442−2は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、第1撮影条件の撮影時間に対し、撮影時間の低減を優先条件として設定する(ステップST31b)。これにより、条件変更機能442−2は、優先条件に基づいて第1撮影条件の最適化処理を開始する(ステップST32a)。
条件変更機能442−2は、撮影時間を低減し、第1撮影条件を最適化する(ステップST34b)。ステップST34bは、図17に示したように、ステップST34−1〜ST34−7により実行される。但し、ステップST34−4では、計算される撮影時間が、撮影時間の低減に応じた短い時間となる。また、ステップST34−5では、造影を追い越さない程度の早いピッチに変更する。これにより、ステップST34bを完了する。
ステップST34bの完了後、条件変更機能442−2は、撮影時間が低減されて最適化された第1撮影条件を固定し、第1造影条件を最適化する(ステップST33b)。ステップST33bは、図16に示したように、ステップST33−1〜ST33−7により実行される。例えば、ステップST33−4にて注入速度を早めるなど、短縮された撮影時間に応じた造影条件に最適化する。また、ステップST34b,ST33bにおいては、最適化された条件を示す情報をディスプレイ42に表示してもよい。これにより、ステップST33bを完了する。
ステップST34の完了後、前述同様に、ステップST35〜ST36が実行され、ステップST40に移行する。
以下、前述同様に、ステップST40〜ST60が実行される。
上述したように第8の実施形態によれば、条件変更部が、撮影時間の低減を優先するように第1造影条件及び第1撮影条件を最適化し、第2造影条件及び第2撮影条件を得る。これにより、第6の実施形態の効果に加え、撮影時間を低減させるように、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化することができる。
また例えば、シミュレーション結果に基づいて、撮影時間の低減を優先条件として、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化することができる。
<第9の実施形態>
次に、第9の実施形態について説明する。
第9の実施形態は、第6の実施形態の変形例であり、条件変更機能442−2が、被検体への影響を低減するように第1造影条件及び第1撮影条件を最適化し、第2造影条件及び第2撮影条件を得る構成となっている。
ここで、条件変更機能442−2は、造影条件に関しては注入速度、注入量、注入時間、生理食塩水等による後押し等を最適化する。また、条件変更機能442−2は、撮影条件に関しては開始タイミング、撮影ピッチ、撮影列数、回転速度を含めた条件を総合的に判定して最適化する。このように、条件変更機能442−2は、造影剤量と被曝量との両者が最小となるように、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化する。
具体的には例えば、条件変更機能442−2は、造影剤量と撮影時間(被曝量に対応)との各々の低減率を少しずつ低減するように条件を調整し、両者の低減率の合計を閾値以上とすることにより、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化する。このとき、条件変更機能442−2は、表示制御機能446を介して、最適化された条件に関する情報をディスプレイ42に表示してもよい。
他の構成は、第6の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図20のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述した通り、ステップST10〜ST20の処理が実行され、第1造影条件及び第1撮影条件が個別に設定される。しかる後、図20に示す如き、ステップST30の条件最適化処理が開始される。
条件変更機能442−2は、造影剤量と撮影時間とのうち、いずれの低減率が小さいかを判定し(ステップST31d)、造影時間の場合にはステップST33cに移行し、撮影時間の場合にはステップST34cに移行する。ループの1回目の場合には、造影剤量と撮影時間とのいずれも低減していないので、所定のステップST33c(又はST34c)に移行する。
ステップST33cに移行する場合、条件変更機能442−2は、造影剤量を低減し、第1造影条件を最適化する(ステップST33c)。また、条件変更機能442−2は、造影剤量の低減率を算出する(ステップST33c−1)。造影剤量の低減率は、第1造影条件内の注入量(造影剤量)を100としたときの、最適化後の造影剤量の割合である。
一方、ステップST34cに移行する場合、条件変更機能442−2は、撮影時間を低減し、第1撮影条件を最適化する(ステップST34c)。また、条件変更機能442−2は、撮影時間の低減率を算出する(ステップST34c−1)。撮影時間の低減率は、第1撮影条件内の撮影時間を100としたときの、最適化後の撮影時間の割合である。
しかる後、条件変更機能442−2は、造影剤量の低減率と、撮影時間の低減率とを合計し、合計した低減率が閾値以上か否かを判定し(ステップST35c)、閾値未満の場合には(ST35c;No)、ステップST31dに戻る。
一方、ステップST35cの結果、閾値以上の場合には最適化処理を終了し、ステップST40に移行する。
以下、前述同様に、ステップST40〜ST60が実行される。
上述したように第9の実施形態によれば、条件変更部が、被検体への影響を低減するように第1造影条件及び第1撮影条件を最適化し、第2造影条件及び第2撮影条件を得る。具体的には例えば、造影剤量と撮影時間との各々を低減し、両者の低減率の合計を閾値以上とすることにより、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化する。従って、第6の実施形態の効果に加え、第1造影条件及び第1撮影条件のいずれも固定せずに、第1造影条件及び第1撮影条件のそれぞれを被検体への影響を低減するように調整することができる。
また例えば、シミュレーション結果に基づいて、造影剤および撮影時間の両方を最適化することができる。また、被検体に対する造影剤注入量と被ばく線量の二つの観点から、負担を軽減することが可能になる。
<第10の実施形態>
次に、第10の実施形態について説明する。
第10の実施形態は、第1乃至第9の各実施形態の変形例であり、シミュレーション機能442−1が、さらに、第2造影条件及び第2撮影条件に基づいて造影具合をシミュレーションにより求める構成となっている。また、シミュレーション機能442−1は、前述同様に、模擬アキシャル像42ax上において、最大モニタリング回数(最大曝射数)及び目標CT値といったモニタリング撮影の設定を可能とする。例えば、モニタリング撮影に関しては、連続曝射もしくは間欠曝射を用いるものに加え、2回〜5回等の最大曝射数を指定した条件設定も可能である。なお、このようなモニタリング撮影の設定は、第2の実施形態などの模擬人体上のシミュレーション結果42srを用いてもよい。
これに伴い、スキャン制御機能445は、モニタリングスキャンの途中結果と、第2造影条件及び第2撮影条件に基づくシミュレーションの結果とを比較する。また、スキャン制御機能445は、当該比較した結果に応じて、モニタリングスキャンを継続又は終了するようにX線源とX線検出器12とを制御する。
補足すると、スキャン制御機能445は、最大曝射数を指定したモニタリング撮影の場合、シミュレーション結果とモニタリング撮影結果を比較し、どの程度差があるかを算出したのち、次のモニタリングのタイミングを決定する。シミュレーション結果とモニタリング撮影結果に大きな乖離が見られない場合には、自動的に最適な造影スキャン撮影タイミングを計算したのち、モニタリング撮影完了とする。これにより、臨床に寄与しない撮影であるモニタリング撮影の被ばく線量を大きく低減させることが可能となる。
また、モニタリング撮影の結果、想定より早く造影剤が到達していた場合には、スキャン制御機能445は、シミュレーション結果に誤差を反映し、造影スキャンの撮影タイミングを計算・設定するようにしてもよい。計画よりも早く撮影が始まった場合には、造影注入を中断したり、生理食塩水に切り替えて注入を行ったり等の処理を行ってもよい。これにより最終的な注入量を低減させることが可能となる。
他の構成は、第5の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図21のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述した通り、ステップST10〜ST40の処理が実行され、第1造影条件及び第1撮影条件を最適化した第2造影条件及び第2撮影条件が得られる。このとき、シミュレーション機能442−1は、第2造影条件及び第2撮影条件に基づいて造影具合をシミュレーションにより求める。なお、このシミュレーション結果はステップST50に使用されるものである。しかる後、図21に示す如き、ステップST50のモニタリング撮影が開始される。
スキャン制御機能445は、シミュレーション結果、第2造影条件及び第2撮影条件に基づいて、モニタリングタイミングを計算する(ステップST51)。また、スキャン制御機能445は、モニタリング撮影を実施する(ステップST52)。ステップST52において、スキャン制御機能445は、第2造影条件に基づいて、被検体Pに造影剤を注入する造影剤注入器50を制御する。また、スキャン制御機能445は、第2撮影条件に基づいて、モニタリング撮影のためのモニタリングスキャンを実行するようにX線源とX線検出器12とを制御する。モニタリング撮影中、画像生成機能443は、X線検出器12からDAS18を介して出力された投影データに対して再構成処理を行い、CT画像データを生成する。
スキャン制御機能445は、経過時間毎に、モニタリングスキャンの途中結果と、第2造影条件及び第2撮影条件に基づくシミュレーションの結果とを比較し、両者に大きな乖離があるか否かを判定する(ステップST53)。このとき、大きな乖離がある場合には(ステップST53;Yes)、シミュレーション機能442−1は、モニタリングスキャンの途中結果に基づいて、再度、シミュレーションを実行する。再度、実行したシミュレーションの結果は、以降の処理に使用される。
また、スキャン制御機能445は、現在の曝射数が最大曝射数以内であるか否かを判定し(ステップST55)、最大曝射数以内の場合には(ST55;Yes)、ステップST51に戻る。ステップST55の結果、最大曝射数を超えていれば(ST55;No)、ステップST56に移行する。
一方、ステップST53の結果、大きな乖離がない場合には(ステップST53;No)、実際のモニタリング撮影結果に基づいて条件最適化を実行する(ステップST56)。具体的には例えば、造影条件の計算・操作(ステップST57)、休止時間の計算・操作(ステップST58)などを実行して、モニタリング撮影を完了し、ステップST60に移行する。
以下、前述同様に、ステップST60が実行される。
上述したように第10の実施形態によれば、モニタリングスキャンの途中結果と、第2造影条件及び第2撮影条件に基づくシミュレーションの結果とを比較する。また、当該比較した結果に応じて、モニタリングスキャンを継続又は終了するようにX線源とX線検出器12とを制御する。従って、第1乃至第9の各実施形態の効果に加え、臨床に寄与しない撮影であるモニタリング撮影の被ばく線量を大きく低減させることが可能となる。
また、実際の被検体に基づいて再度条件見直しを行うことにより、均質な画質と、適切な注入量・被ばく量とをコントロールすることができる。
<第11の実施形態>
次に、第11の実施形態について図22及び図23を用いて説明する。
第11の実施形態は、第1乃至第10の各実施形態の変形例であり、撮影準備機能442−3が、モニタリングスキャンの開始前に、光学カメラ60により測定された被検体Pに造影剤を注入する注入位置と、設定された造影ルートに対応する注入位置とを比較する。ここで、撮影準備機能442−3は、特許請求の範囲に記載の注入位置比較部の一例である。
これに伴い、表示制御機能446は、比較の結果、注入位置が互いに異なる場合にメッセージを表示するようにディスプレイ42を制御する。
他の構成は、第1乃至第10の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図22のフローチャート及び図23の模式図を用いて説明する。
いま、前述同様に、ステップST10〜ST30の処理が実行され、最適化された第2造影条件及び第2撮影条件が得られる。しかる後、図22に示す如き、ステップST40の実撮影の準備が実行される。このとき、操作者は、天板33上の被検体Pに造影剤注入器50の管を挿入することにより、被検体Pに造影ルートを設定する(ステップST41)。また、操作者は、入力インターフェース43の操作により、位置決め画像上に、モニタリング撮影のための関心領域を設定する。しかる後、撮影準備機能442−4は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、メモリ41内の第2造影条件及び第2撮影条件を選択的に読み出し(ステップST42)、当該第2造影条件及び第2撮影条件をスキャン制御機能445に送出する。
このとき、光学カメラ60は、可視光により被検体Pを撮影する(ステップST43)。撮影準備機能442−3は、モニタリングスキャンの開始前に、光学カメラ60に撮影された画像から被検体Pに造影剤を注入する注入位置(造影ルート位置)を検出する(ステップST44)。
また、撮影準備機能442−3は、検出した注入位置と、設定された造影ルートに対応する注入位置とを比較し、両者が一致するか否かにより、造影ルート位置が計画通りに設定されているか否かを判定する(ステップST45)。比較の結果、注入位置が互いに一致する場合(ST45;Yes)、準備を終了してステップST50に移行する。
また、比較の結果、注入位置が互いに異なる場合(ST45;No)、表示制御機能446は、メッセージを表示するようにディスプレイ42を制御する(ステップST46)。メッセージは、例えば「計画時とルート位置が異なります。現在の位置で再計算しますか。」という質問である。なお、メッセージの近くに「OK」ボタン及び「キャンセル」ボタンが表示される。
ここで、操作者により「キャンセル」ボタンが操作された場合(ステップST47;No)、操作者の作業により、計画時の造影ルートに注入位置が修正され(ステップST48)、ステップST44に戻る。
一方、操作者により「OK」ボタンが操作された場合、現在の造影ルートに基づいて、ステップST20のシミュレーション処理と、ステップST30の最適化処理が再実行される(ステップST49)。
ステップST49の完了後、実撮影の準備が完了し、ステップST50に移行する。
以下、前述同様に、ステップST50〜ST60が実行される。
上述したように第11の実施形態によれば、モニタリングスキャンの開始前に、光学カメラ60により測定された被検体Pに造影剤を注入する注入位置と、設定された造影ルートに対応する注入位置とを比較する。比較の結果、注入位置が互いに異なる場合にメッセージを表示するようにディスプレイ42を制御する。
従って、第1乃至第10の各実施形態の効果に加え、モニタリングスキャンの開始前に、実際の被検体に対する注入位置が正しいか否かを確認でき、正しくない場合にはシミュレーション処理と最適化処理とをやり直すことができる。すなわち、実撮影時において、プリセット時に設定された造影ルートと異なる部位に造影ルートが設定されていた場合に再設定および再計算を行うことができる。
<第12の実施形態>
次に、第12の実施形態について説明する。
第12の実施形態は、第1乃至第11の各実施形態の変形例であり、条件変更機能442−2が、模擬人体のモデル情報に代えて、実際の被検体Pの情報(患者情報)に基づいて、第1造影条件及び第1撮影情報を最適化する。
例えば、条件変更機能442−2は、入力された患者の身長や体重や腎機能情報、年齢情報や位置決め撮影を基に決めた実際の撮影範囲情報等を用いて、造影剤の注入タイミングや注入量や速度、撮影時間の情報を変更する。最適化された情報は、表示制御機能446を介してディスプレイ42に表示されてもよい。また、操作者により、最適化された情報を使用するか否かを操作者により判断するようにしてもよい。
他の構成は、第1乃至第11の各実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、第1乃至第11の各実施形態の効果に加え、被検体の情報に基づいて、第1造影条件及び第1撮影情報を最適化することができる。補足すると、体重や撮影長等、被検体に依存するパラメータを用いて、撮影計画時に条件の最適化を行うことが可能となる。例えば、撮影長が短くなった場合には造影継続時間を見直したり、撮影タイミングを前倒したりするなどの処理が可能となり、被検体の負担を軽減することが可能になる。
<第13の実施形態>
次に、第13の実施形態について説明する。
第13の実施形態は、第1乃至第12の各実施形態の変形例であり、シミュレーション機能442−1が、模擬人体のモデル情報に代えて、実際の被検体Pの情報(患者情報)を用いてシミュレーションを実行する。
例えば、シミュレーション機能442−1は、光学カメラやレーザ等を用いて被検体の詳細な体型情報を取得し、その体型情報に基づいてシミュレーション精度を向上させる。また、身長情報及び体重情報が入力されていない場合には、体型情報単体でのシミュレーションを実行するようにしてもよい。
他の構成は、第1乃至第12の各実施形態と同様である。
以上のような構成によれば、第1乃至第12の各実施形態の効果に加え、被検体の情報に基づいて、シミュレーションを実行することにより、シミュレーションの精度を向上させることができる。
<第14の実施形態>
次に、第14の実施形態について説明する。
第14の実施形態は、第1乃至第13の各実施形態の変形例であり、シミュレーション機能442−1が、被検体Pの位置決め画像に基づいて、被検体Pの血管と造影される部位とを認識し、血管の直径、当該部位までの血管長、血管の狭窄度合いを含む各パラメータを求め、各パラメータをシミュレーションに用いる。
例えば、シミュレーション機能442−1は、被検体Pの単純撮影画像や位置決め用画像から部位認識を行い、血管や部位認識を行い、その認識結果に基づいてシミュレーション精度を向上させる。認識の際には血管の直径や走行、血管長、狭窄度合いなどのパラメータを求め、計算する。認識した情報を基にモニタリング撮影の自動設定を行っても良い。
他の構成は、第1乃至第13の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図24のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述同様に、ステップST10の位置決め撮影処理が実行され、位置決め画像が得られる。しかる後、図24に示す如き、ステップST20のシミュレーション処理が実行される。
このとき、シミュレーション機能442−1は、前述同様に、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定する。続いて、シミュレーション機能442−1は、ステップST10で撮影された被検体Pの位置決め画像を取得する(ステップST21)。続いて、シミュレーション機能442−1は、被検体Pの位置決め画像に基づいて、被検体Pの血管と造影される部位とを認識し(ステップST22)、血管の直径、当該部位までの血管長、血管の狭窄度合いを含む各パラメータを求める造影路計算を実行する(ステップST23)。
しかる後、シミュレーション機能442−1は、当該求めた各パラメータと、個別に設定された第1造影条件及び第1撮影条件とを用い、シミュレーションを実行する(ステップST24)。
これらシミュレーション結果、第1造影条件及び第1撮影条件は、表示制御機能446によりディスプレイ42に表示される。これにより、シミュレーション結果、第1造影条件及び第1撮影条件は、操作者により比較され、最適であるか否かが検討される。
ステップST20の完了後、前述同様に、ステップST30〜ST60が実行される。
上述したように第14の実施形態によれば、被検体Pの位置決め画像に基づいて、被検体Pの血管と造影される部位とを認識し、血管の直径、当該部位までの血管長、血管の狭窄度合いを含む各パラメータを求め、各パラメータをシミュレーションに用いる。従って、第1乃至第13の各実施形態の効果に加え、シミュレーションの精度を向上させることができる。
<第15の実施形態>
次に、第15の実施形態について図25及び図26を用いて説明する。
第15の実施形態は、第1乃至第14の各実施形態の変形例であり、撮影準備機能442−3が、モニタリングスキャンの開始前に、光学カメラ60により測定された被検体Pの体位と、設定された体位とを比較する。ここで、撮影準備機能442−3は、特許請求の範囲に記載の体位比較部の一例である。
これに伴い、表示制御機能446は、比較の結果、体位が互いに異なる場合にメッセージを表示するようにディスプレイ42を制御する。
他の構成は、第1乃至第14の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図25のフローチャート及び図26の模式図を用いて説明する。
いま、前述同様に、ステップST10〜ST30の処理が実行され、最適化された第2造影条件及び第2撮影条件が得られる。しかる後、図25に示す如き、ステップST40の実撮影の準備が実行される。このとき、操作者は、天板33上の被検体Pに造影剤注入器50の管を挿入することにより、被検体Pに造影ルートを設定する(ステップST41)。また、操作者は、入力インターフェース43の操作により、位置決め画像上に、モニタリング撮影のための関心領域を設定する。しかる後、撮影準備機能442−4は、操作者による入力インターフェース43の操作に応じて、メモリ41内の第2造影条件及び第2撮影条件を選択的に読み出し(ステップST42)、当該第2造影条件及び第2撮影条件をスキャン制御機能445に送出する。
このとき、光学カメラ60は、可視光により被検体Pを撮影する(ステップST43)。撮影準備機能442−3は、モニタリングスキャンの開始前に、光学カメラ60に撮影された画像から被検体Pの体位を検出する(ステップST44a)。
また、撮影準備機能442−3は、検出した体位と、設定された体位とを比較し、両者が一致するか否かにより、体位が計画通りであるか否かを判定する(ステップST45a)。比較の結果、体位が互いに一致する場合(ST45a;Yes)、準備を終了してステップST50に移行する。
また、比較の結果、体位が互いに異なる場合(ST45;No)、表示制御機能446は、メッセージを表示するようにディスプレイ42を制御する(ステップST46)。メッセージは、例えば「計画時と体位が異なります。現在の体位で再計算しますか。」という質問である。なお、メッセージの近くに「OK」ボタン及び「キャンセル」ボタンが表示される。
ここで、操作者により「キャンセル」ボタンが操作された場合(ステップST47a;No)、操作者の作業により、計画時の体位に修正され(ステップST48a)、ステップST44aに戻る。
一方、操作者により「OK」ボタンが操作された場合、現在の体位に基づいて、ステップST20のシミュレーション処理と、ステップST30の最適化処理が再実行される(ステップST49)。
ステップST49の完了後、実撮影の準備が完了し、ステップST50に移行する。
以下、前述同様に、ステップST50〜ST60が実行される。
上述したように第15の実施形態によれば、モニタリングスキャンの開始前に、光学カメラ60により測定された被検体の体位と、設定された体位とを比較する。比較の結果、体位が互いに異なる場合にメッセージを表示するようにディスプレイ42を制御する。
従って、第1乃至第14の各実施形態の効果に加え、モニタリングスキャンの開始前に、実際の被検体の体位が正しいか否かを確認でき、正しくない場合にはシミュレーション処理と最適化処理とをやり直すことができる。
すなわち、実撮影時において、被検体の体位に問題がないかどうかを確認することができる。造影剤の注入は造影ルートを設定した部分の姿勢(体位)も大きく影響してくるため、姿勢の曲がり等により血流が変化すると、撮影条件内の撮影時間での撮影が難しくなる。そこで、本実施形態では、光学カメラ60などを用いて被検体の体位を取得し、腕や関節の曲がり具合を判定する。体位が造影タイミングに影響を与えると判定した場合には、操作者に対して体位を調整するようにメッセージを表示することができる。
<第16の実施形態>
次に、第16の実施形態に係る造影剤注入器について図27を用いて説明する。
第16の実施形態は、第1乃至第15の各実施形態の具体例であり、造影剤注入器50が、図27に示すように、通信インターフェース51、制御回路52及び注入部53を備えている。
ここで、通信インターフェース51は、X線CT装置1により実行される被検体Pの造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件が最適化された後に、第1造影条件の最適化により得られた第2造影条件に基づく注入制御信号を受信する。
制御回路52は、注入制御信号に従って造影剤を注入するように、注入部53を制御する。
注入部53は、制御回路52に制御され、被検体Pに造影剤を注入する。
以上のような構成によれば、造影剤注入器50が、第1造影条件の最適化により得られた第2造影条件に基づく注入制御信号を受信し、注入制御信号に従って、被検体に造影剤を注入する。これにより、第1乃至第15の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第17の実施形態>
次に、第17の実施形態に係る管理装置について図28を用いて説明する。
第17の実施形態は、第1乃至第16の各実施形態の変形例であり、図28に示すように、コンソール装置40の撮影計画に関する機能を管理装置70に配置した構成となっている。この管理装置70は、ネットワークを介してX線CT装置1及び造影剤注入器50に通信可能となっている。
ここで、管理装置70は、メモリ71、ディスプレイ72、入力インターフェース73、処理回路74及び通信インターフェース75を備えている。
メモリ71、ディスプレイ72及び入力インターフェース73は、それぞれ前述したメモリ41、ディスプレイ42及び入力インターフェース43と同様の構成である。
処理回路74は、システム制御機能741、撮影計画機能742及び表示制御機能743を備えている。
システム制御機能741及び表示制御機能743は、それぞれ前述したシステム制御機能441及び表示制御機能446と同様の構成である。
撮影計画機能742は、シミュレーション機能742−1及び条件変更機能742−2を備えている。
シミュレーション機能742−1は、前述したシミュレーション機能442−1と同様の構成である。但し、シミュレーション機能742−1は、通信インターフェース75を介してX線CT装置1と通信可能である。シミュレーション機能742−1は、X線CT装置により実行される被検体Pの造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定する。また、シミュレーション機能742−1は、特許請求の範囲に記載の条件設定部の一例である。
また、条件変更機能742−2は、前述した条件変更機能442−2と同様の構成である。但し、条件変更機能742−2は、通信インターフェース75を介してX線CT装置1と通信可能である。条件変更機能742−2は、第1造影条件又は第1撮影条件に基づいて、第1造影条件及び第1撮影条件の少なくとも一方を変更して第2造影条件及び第2撮影条件を得ると、通信インターフェース75を介して、第2造影条件及び第2撮影条件をX線CT装置に送信する。条件変更機能742−2は、特許請求の範囲に記載の条件変更部の一例である。条件変更機能742−2及び通信インターフェース75は、特許請求の範囲に記載の送信部の一例である。
以上のような構成によれば、管理装置70が、X線コンピュータ断層撮影装置により実行される被検体の造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定する。また、第1造影条件又は第1撮影条件に基づいて、第1造影条件及び第1撮影条件の少なくとも一方を変更して第2造影条件及び第2撮影条件を得る。また、第2造影条件及び第2撮影条件をX線コンピュータ断層撮影装置に送信する。これにより、第1乃至第16の実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上述べた少なくとも一つの実施形態によれば、被検体の造影撮影に対する第1造影条件及び第1撮影条件を個別に設定し、第1造影条件又は第1撮影条件に基づいて、第1造影条件及び第1撮影条件の少なくとも一方を変更して第2造影条件及び第2撮影条件を得る。これにより、操作者の技量によらず、造影撮影の最適化を図ることができる。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。