JP2019054387A - 車車間通信アプリメッセージの伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法 - Google Patents

車車間通信アプリメッセージの伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被試験車載機が多数のメッセージを受信する処理負荷の大きい状況において、暗号化と復号の処理時間を含むメッセージの伝搬遅延時間を測定することができる伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法を提供する。【解決手段】複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成する模擬メッセージ生成部27と、模擬メッセージに生成時刻情報を埋め込む生成時刻情報埋込部28と、暗号化された模擬メッセージを含む複数の試験信号を被試験車載機10に送信するフレーム送信部33と、被試験車載機10により復号された模擬メッセージにタイムスタンプを付加するタイムスタンプ付加部30と、タイムスタンプが示す時刻と生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出する伝搬遅延時間算出部34と、伝搬遅延時間が所定の閾値以下であるか否かを判定する合否判定部35と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車車間通信アプリメッセージの伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法に関し、特に、高度道路交通システムの車車間通信で用いられるアプリメッセージの伝搬遅延時間を測定する伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法に関する。
近年、交通事故を抑止して、円滑で安全な道路交通を実現するために、高度道路交通システム(Intelligent Transport System:ITS)が検討されている。ITSでは、道路に設置された路側機と各車両に搭載された車載機との間、あるいは、各車両の車載機同士で安全運転を支援するための情報が送受信される。ここで、路側機と車載機の間で行われる通信は「路車間通信」、車載機同士で行われる通信は「車車間通信」と呼ばれる。
路側機は、例えば、路側機の設置位置、路側機からのフレームの送信時刻、路側機に割り当てられた路車間通信期間とその期間長などの情報を、路車間通信エリアに存在する各車両に送信するようになっている。なお、ITSにおいては、路側機と車載機は、いずれも約100msecの制御周期で通信を実行する。また、路車間通信と車車間通信との干渉を低減するために、路車間通信と車車間通信とは時分割多重されている。
また、ITSに対応したアプリケーションとして、路車間通信や車車間通信を利用して、運転者に対して車両間の衝突を未然に防ぐための警告や、緊急自動車の接近情報を与える安全運転支援用アプリケーション(以下、「安全運転支援アプリ」と称する)が開発されている。
ITSの車車間通信において車載機は、例えば100msの制御周期ごとに最大で百数十台の周辺車載機からプロトコルデータユニット(Protocol Data Unit:PDU)を受信する。PDUは、アプリメッセージ(以下、「メッセージ」と称する)に各種のヘッダやフッタが付加されてなる。車載機はPDUからメッセージを抽出し、それらを安全運転支援アプリへ受け渡す。そして、メッセージを受け取った安全運転支援アプリは、それらを解析し、危険を予知した場合には運転者に対して適切な警告を発する。
一般的に、プロトコルデータの伝搬遅延時間を測定するには、車載機と周辺車載機との間の伝送路の前後でPDUに付加されたタイムスタンプの時間差を読み取る手法が用いられている。
ところで、セキュリティ仕様に基づいて、送信側の車載機ではメッセージに対して暗号化処理が行われ、受信側の車載機ではメッセージに対して復号処理が行われている。車載機が制御周期ごとに最大で百数十のメッセージを周辺車載機から受信することは既に述べたが、受信側の車載機にとって、百数十のメッセージを復号し、安全運転支援アプリへ遅滞なく受け渡すための処理に掛かる負荷は非常に大きなものとなる。
一方で、そのような高負荷の環境にあっても、車載機が受信した全てのメッセージを復号し、一定時間内に(タイムリーに)安全運転支援アプリへ受け渡すことは、命に関わる支援サービス提供のためには必要不可欠となる。例えば、車載機が受信した百数十のメッセージのうち支援サービスに直結するメッセージを安全運転支援アプリへ受け渡すタイミングが、処理負荷の増大のために遅れてしまっては、運転者に対して効果的な支援サービスが提供されないこととなる。例えば、車両が時速50km/hで走行している場合、メッセージの伝搬時間が1秒遅れると、その間に車両は約14m移動してしまう。
このため、メッセージの伝搬遅延時間の評価が重要となるが、PDUに付加されたタイムスタンプの時間差から伝搬遅延時間を求める従来技術では、車載機から送り出されたメッセージが暗号化処理と復号処理を経て安全運転支援アプリへ受け渡されるまでの伝搬遅延時間を測定することができなかった。
一方、このような伝搬遅延を抑制する方法として、車載機が路車間通信で用いられるRSUパケットを受信し、RSUパケットに含まれるデータに付加された署名及びMACを検証する際に、処理負荷が高い署名検証を間引く方法が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5895214号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の方法も、車載機から送り出されたメッセージが暗号化処理と復号処理を経て安全運転支援アプリへ受け渡されるまでの伝搬遅延時間を測定できるものではなかった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、被試験車載機が多数のメッセージを受信する処理負荷の大きい状況において、暗号化と復号の処理時間を含むメッセージの伝搬遅延時間を測定することができる伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、伝搬遅延測定装置を備える伝搬遅延測定システムであって、前記伝搬遅延測定装置は、車載機を模擬した複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成する模擬メッセージ生成部と、前記模擬メッセージ生成部により前記模擬メッセージが生成された時刻を示す生成時刻情報を、ビットスチール方式により前記模擬メッセージに埋め込む生成時刻情報埋込部と、前記生成時刻情報埋込部により前記生成時刻情報が埋め込まれた前記模擬メッセージを暗号化する暗号化部と、前記暗号化部により暗号化された前記模擬メッセージを含む複数の試験信号を生成する試験信号生成部と、前記試験信号を被試験車載機に送信する試験信号送信部と、前記試験信号送信部から送信された前記試験信号を受信する試験信号受信部、前記試験信号受信部により受信された前記試験信号から前記模擬メッセージを抽出するメッセージ抽出部、及び、前記メッセージ抽出部により抽出された前記模擬メッセージを復号する復号部を備える前記被試験車載機により復号された前記模擬メッセージを取得するメッセージ取得部と、前記メッセージ取得部により前記模擬メッセージが取得された時刻を示すタイムスタンプを、前記メッセージ取得部により取得された前記模擬メッセージに付加するタイムスタンプ付加部と、前記タイムスタンプ付加部により前記タイムスタンプが付加された前記模擬メッセージについて、前記タイムスタンプが示す時刻と前記生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出する伝搬遅延時間算出部と、前記伝搬遅延時間が所定の閾値以下であるか否かを判定する合否判定部と、を備える構成である。
この構成により、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、被試験車載機が多数のメッセージを受信する処理負荷の大きい状況において、暗号化と復号の処理時間を含むメッセージの伝搬遅延時間を測定することができる。また、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、得られた伝搬遅延時間が許容範囲内にあるか否かを合否判定部により判定することにより、被試験車載機の品質管理を行うことができる。これにより、品質の悪い車載機が市場へ出回ることを防止し、交通事故の発生率を低減する効果が得られる。
また、本発明に係る伝搬遅延測定システムにおいては、前記合否判定部は、所定期間にわたって前記伝搬遅延時間算出部により算出された全ての伝搬遅延時間の最大値と最小値の差が所定範囲内に収まっているか否かを更に判定する構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、被試験車載機の処理能力が安定しているか否かを判定することができる。
また、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、前記被試験車載機の周囲温度を変化させる温度制御装置を更に備える構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、被試験車載機の周囲温度を変化させて伝搬遅延時間の測定を行うことにより、周囲温度の変化に対する被試験車載機の耐性を、伝搬遅延時間の変化に基づいて評価することができる。
また、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、前記被試験車載機の電源電圧を変化させる電源電圧制御装置を更に備える構成であってもよい。
この構成により、本発明に係る伝搬遅延測定システムは、被試験車載機の電源電圧を変化させて伝搬遅延時間の測定を行うことにより、電源電圧の変化に対する被試験車載機の耐性を、伝搬遅延時間の変化に基づいて評価することができる。
また、本発明に係る伝搬遅延測定方法は、上記のいずれかに記載の伝搬遅延測定装置を用いる伝搬遅延測定方法であって、車載機を模擬した複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成する模擬メッセージ生成ステップと、前記模擬メッセージ生成ステップで前記模擬メッセージが生成された時刻を示す生成時刻情報を、ビットスチール方式により前記模擬メッセージに埋め込む生成時刻情報埋込ステップと、前記生成時刻情報埋込ステップで前記生成時刻情報が埋め込まれた前記模擬メッセージを暗号化する暗号化ステップと、前記暗号化ステップで暗号化された前記模擬メッセージを含む複数の試験信号を生成する試験信号生成ステップと、前記試験信号を被試験車載機に送信する試験信号送信ステップと、前記試験信号送信ステップで送信された前記試験信号を受信する試験信号受信ステップと、前記試験信号受信ステップで受信された前記試験信号から前記模擬メッセージを抽出するメッセージ抽出ステップと、前記メッセージ抽出ステップで抽出された前記模擬メッセージを復号する復号ステップと、前記復号ステップで復号された前記模擬メッセージを取得するメッセージ取得ステップと、前記メッセージ取得ステップで前記模擬メッセージが取得された時刻を示すタイムスタンプを、前記メッセージ取得ステップで取得された前記模擬メッセージに付加するタイムスタンプ付加ステップと、前記タイムスタンプ付加ステップで前記タイムスタンプが付加された前記模擬メッセージについて、前記タイムスタンプが示す時刻と前記生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出する伝搬遅延時間算出ステップと、前記伝搬遅延時間が所定の閾値以下であるか否かを判定する合否判定ステップと、を含む構成である。
この構成により、本発明に係る伝搬遅延測定方法は、被試験車載機が多数のメッセージを受信する処理負荷の大きい状況において、暗号化と復号の処理時間を含むメッセージの伝搬遅延時間を測定することができる。また、本発明に係る伝搬遅延測定方法は、得られた伝搬遅延時間が許容範囲内にあるか否かを合否判定部により判定することにより、被試験車載機の品質管理を行うことができる。これにより、品質の悪い車載機が市場へ出回ることを防止し、交通事故の発生率を低減する効果が得られる。
本発明は、被試験車載機が多数のメッセージを受信する処理負荷の大きい状況において、暗号化と復号の処理時間を含むメッセージの伝搬遅延時間を測定することができる伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法を提供するものである。
本発明の実施形態に係る伝搬遅延測定システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る伝搬遅延測定システムにおけるデータの流れを説明するためのシーケンス図である。 本発明の実施形態に係る伝搬遅延測定システムによる伝搬遅延時間の算出結果を示すグラフ(その1)である。 本発明の実施形態に係る伝搬遅延測定システムによる伝搬遅延時間の算出結果を示すグラフ(その2)である。 本発明の実施形態に係る伝搬遅延測定システムによる伝搬遅延測定方法の処理を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る伝搬遅延測定システム及び伝搬遅延測定方法の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る伝搬遅延測定システム100は、試験信号としてのPDUを被試験車載機10に送信する伝搬遅延測定装置20と、被試験車載機10の周囲温度を変化させる温度制御装置40と、被試験車載機10の電源電圧を変化させる電源電圧制御装置50と、を備える。
伝搬遅延測定装置20は、メッセージ処理部21と、暗号化部22と、フレーム送信処理部23と、表示部24と、操作部25と、制御部26と、を備える。メッセージ処理部21は、模擬メッセージ生成部27と、生成時刻情報埋込部28と、メッセージ取得部29と、タイムスタンプ付加部30と、を含む。フレーム送信処理部23は、フレーム処理部31と、変調部32と、フレーム送信部33と、を含む。制御部26は、伝搬遅延時間算出部34と、合否判定部35と、温度制御部36と、電源電圧制御部37と、を含む。
模擬メッセージ生成部27は、車載機を模擬した複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成するようになっている。ここで、仮想車載機は、模擬メッセージ生成部27と、暗号化部22と、フレーム送信処理部23により構成される。さらに、模擬メッセージ生成部27は、生成した模擬メッセージを暗号化部22に出力するように構成されている。
模擬メッセージは、実際の車車間通信で送受信される、各時刻における各車両の車両状態を示すメッセージに相当する。各仮想車載機から送信される模擬メッセージは、送信元である各仮想車載機を識別するための仮想車載機IDの情報(車両ID情報)、各仮想車載機を備える仮想車両の位置情報、車速情報、車両方位角情報、前後加速度情報、シフトポジション情報、ステアリング角度情報、車両サイズ種別情報、車両用途種別情報、車幅情報、車長情報、及び時刻情報などの情報を含んでいる。
なお、「車両ID情報」とは、仮想車両ごとにテンポラリーに設定されるID情報である。また、「位置情報」とは、仮想車両が存在する位置の経度、緯度、及び高度の情報である。また、「車速情報」とは、仮想車両の速度情報である。また、「車両方位角情報」とは、仮想車両の進行方位角情報であり、北を0度とした時計回りの角度値である。また、「前後加速度情報」とは、仮想車両の前後方向の加速度情報である。
また、「ステアリング角度情報」とは、仮想車両のステアリングの操舵角度情報である。また、「車幅情報」とは、仮想車両の全幅情報である。また、「車長情報」とは、仮想車両の全長情報である。また、「車両サイズ種別情報」とは、仮想車両のサイズ種別情報である。また、「車両用途種別情報」とは、仮想車両の用途種別情報である。
また、「時刻情報」とは、仮想車載機からフレームが送信された時点の時刻情報である。また、「信号情報」とは、交差点などに設置されている信号機の灯色情報である。
生成時刻情報埋込部28は、模擬メッセージ生成部27により模擬メッセージが生成された時刻を示す生成時刻情報を、ビットスチール方式によりメッセージ構造の完全性を維持した状態で模擬メッセージに埋め込むようになっている。
暗号化部22は、生成時刻情報埋込部28により生成時刻情報が埋め込まれた模擬メッセージにセキュリティ情報を付加して暗号化するようになっている。ここで、セキュリティ情報とは、例えば、公開鍵暗号方式を用いて生成された電子署名や、共通鍵暗号方式を用いて生成されたメッセージ認証コードである。
フレーム処理部31は、暗号化部22により暗号化された模擬メッセージに各種のヘッダやフッタを付加してカプセル化し、試験信号のフレームを生成するようになっている。
変調部32は、フレーム処理部31により生成された試験信号のフレームに対して変調を実行した後に、変調された試験信号のフレームをフレーム送信部33に出力するようになっている。
フレーム処理部31及び変調部32は、暗号化部22により暗号化された模擬メッセージを含む複数の試験信号(PDU)を生成する試験信号生成部を構成する。
フレーム送信部33は、被試験車載機10にフレームを周期的に送信するようになっており、後述する被試験車載機10のフレーム受信部13に試験信号を送信する試験信号送信部として機能する。例えば、伝搬遅延測定装置20は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式の通信を模擬して、フレーム送信部33から仮想車載機IDの情報を含む試験信号を被試験車載機10に送信するようになっている。
なお、上記のフレームの周波数帯としては、例えばUHF帯(特に700MHz帯)を利用することができる。また、フレーム送信部33と後述する被試験車載機10のフレーム受信部13とは同軸ケーブルで接続されていてもよく、あるいは、無線通信で接続されていてもよい。
被試験車載機10は、フレーム受信処理部11と、復号部12と、を備える。フレーム受信処理部11は、フレーム受信部13と、復調部14と、フレーム処理部15と、を含む。
フレーム受信部13は、伝搬遅延測定装置20からフレームを周期的に受信するようになっており、伝搬遅延測定装置20のフレーム送信部33から送信された試験信号を受信する試験信号受信部として機能する。
復調部14は、フレーム受信部13により受信された試験信号に対して復調を実行するようになっている。
フレーム処理部15は、復調部14により復調された試験信号をデカプセル化して、試験信号から模擬メッセージを抽出するようになっている。
復調部14及びフレーム処理部15は、フレーム受信部13により受信された試験信号から模擬メッセージを抽出するメッセージ抽出部として機能する。
復号部12は、フレーム処理部15により抽出された模擬メッセージを復号して、模擬メッセージを安全運転支援アプリAPに出力するようになっている。
伝搬遅延測定装置20のメッセージ取得部29は、被試験車載機10の復号部12により復号された模擬メッセージを取得(キャプチャ)するようになっている。
タイムスタンプ付加部30は、メッセージ取得部29により模擬メッセージが取得された時刻を示すタイムスタンプを、メッセージ取得部29により取得された模擬メッセージに付加するようになっている。
図2は、伝搬遅延測定装置20と被試験車載機10との間のデータの流れを説明するためのシーケンス図である。
まず、伝搬遅延測定装置20のメッセージ処理部21により生成時刻情報が埋め込まれた模擬メッセージが、暗号化部22に出力される。暗号化部22は、生成時刻情報が埋め込まれた模擬メッセージを暗号化する(暗号化ステップS1)。
次に、フレーム送信処理部23は、暗号化ステップS1で暗号化された模擬メッセージを含む複数の試験信号のフレーム(PDU)を生成し、生成したPDUを同軸ケーブルなどの伝送路を介して被試験車載機10に送信する(試験信号生成ステップ、試験信号送信ステップS2)。
次に、被試験車載機10のフレーム受信処理部11は、ステップS2でフレーム送信処理部23から送信されたPDUを受信し、受信したPDUから模擬メッセージを抽出する(試験信号受信ステップ、メッセージ抽出ステップS3)。
次に、復号部12は、ステップS3で抽出された模擬メッセージを復号する(復号ステップS4)。その後、メッセージ処理部21は模擬メッセージをキャプチャするとともに、キャプチャの時刻を示すタイムスタンプを模擬メッセージに付加する。
伝搬遅延時間算出部34は、メッセージ処理部21のタイムスタンプ付加部30によりタイムスタンプが付加された模擬メッセージについて、タイムスタンプが示す時刻と生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出するようになっている。なお、模擬メッセージが模擬メッセージ生成部27により生成されてから、当該模擬メッセージを含む試験信号がフレーム送信部33から被試験車載機10に向けて送信されるまでの処理時間は一定であると仮定している。また、伝搬遅延時間算出部34は、タイムスタンプが示す時刻と生成時刻情報が示す時刻との差から、上記の伝搬遅延測定装置20での処理時間を減算したものを伝搬遅延時間として出力してもよい。
表示部24は、例えばLCDやCRTなどの表示機器で構成され、伝搬遅延時間算出部34による伝搬遅延時間の算出結果や、後述する合否判定部35による判定結果などを表示するようになっている。
操作部25は、ユーザによる操作入力を行うためのものであり、例えば表示部24の表示画面の表面に設けられたタッチパネルで構成される。あるいは、操作部25は、キーボード又はマウスのような入力デバイスを含んで構成されてもよい。操作部25により、伝搬遅延測定装置20から被試験車載機10に試験信号が送信される期間や頻度を設定することが可能になっている。例えば、試験信号は100msの間に百数十回程度の頻度で伝搬遅延測定装置20から送出されることが望ましい。
表示部24は、例えば図3に示すように、伝搬遅延測定装置20からの試験信号の送出順に伝搬遅延時間の算出結果を並べて示すようになっている。ここで、図3の縦軸は伝搬遅延時間算出部34により算出された伝搬遅延時間、横軸は模擬メッセージ生成部27により模擬メッセージが生成された時刻を表している。
合否判定部35は、伝搬遅延時間算出部34により算出された伝搬遅延時間が所定の閾値Th以下であるか否かを判定するようになっている。この閾値Thは、例えば100ms未満の値である。図3の時刻tA,tB,tC,tDにおける伝搬遅延時間は閾値Thを超えており、合否判定部35により不合格と判定される。
さらに、図4に示すように、合否判定部35は、例えば100ms程度あるいはそれ以上の所定期間にわたって伝搬遅延時間算出部34により算出された全ての伝搬遅延時間の最大値と最小値の差ΔT'が、所定範囲ΔT内に収まっているか否かを判定するようになっている。このように、合否判定部35は、伝搬遅延時間のばらつきを評価することにより、被試験車載機10の処理能力が安定しているか否かを判定することができる。
温度制御装置40は、例えば被試験車載機10を収容可能な恒温槽を含み、温度制御部36の制御に応じて、恒温槽に収容された被試験車載機10の周囲温度を変化させるようになっている。温度制御装置40は、例えば−20℃〜60℃の範囲で5℃刻みで被試験車載機10の周囲温度を変化させることができる。
電源電圧制御装置50は、電源電圧制御部37の制御に応じて、被試験車載機10に印加する電源電圧を変化させるようになっている。電源電圧制御装置50は、例えば10V〜16Vの範囲で0.5V刻みで電源電圧を変化させることができる。
なお、伝搬遅延測定システム100による伝搬遅延時間の測定は、温度制御部36により変化された周囲温度ごとに実行されるとともに、電源電圧制御部37により変化された電源電圧ごとに実行されることが望ましい。これにより、合否判定部35による伝搬遅延時間に対する判定に基づいて、被試験車載機10が正常に動作する周囲温度と電源電圧の範囲を評価することなどが可能になる。
伝搬遅延測定装置20の制御部26は、例えばCPU、ROM、RAM、HDDなどを含むマイクロコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等で構成され、伝搬遅延測定装置20を構成する上記各部の動作を制御する。
なお、伝搬遅延時間算出部34、合否判定部35、温度制御部36、及び電源電圧制御部37は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのディジタル回路で構成することや、制御部26による所定のプログラムの実行によりソフトウェア的に構成することが可能である。あるいは、伝搬遅延時間算出部34、合否判定部35、温度制御部36、及び電源電圧制御部37は、ディジタル回路によるハードウェア処理と所定のプログラムによるソフトウェア処理とを適宜組み合わせて構成することも可能である。
以下、本実施形態の伝搬遅延測定システム100により実行される伝搬遅延測定方法について、図5のフローチャートを参照しながらその処理の一例を説明する。
まず、模擬メッセージ生成部27は、車載機を模擬した複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成する(模擬メッセージ生成ステップS11)。
次に、生成時刻情報埋込部28は、模擬メッセージ生成ステップS11で模擬メッセージが生成された時刻を示す生成時刻情報を、ビットスチール方式により模擬メッセージに埋め込む(生成時刻情報埋込ステップS12)。
次に、メッセージ処理部21、暗号化部22、及びフレーム送信処理部23は、図2に示したステップS1〜S4の処理を実行する(ステップS13)。
次に、メッセージ取得部29は、復号ステップS4で復号された模擬メッセージを取得(キャプチャ)する(メッセージ取得ステップS14)。
次に、タイムスタンプ付加部30は、メッセージ取得ステップS14で模擬メッセージが取得された時刻を示すタイムスタンプを、メッセージ取得ステップS14で取得された模擬メッセージに付加する(タイムスタンプ付加ステップS15)。
次に、伝搬遅延時間算出部34は、タイムスタンプ付加ステップS15でタイムスタンプが付加された模擬メッセージについて、タイムスタンプが示す時刻と生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出する(伝搬遅延時間算出ステップS16)。
次に、合否判定部35は、伝搬遅延時間算出ステップS16で算出された伝搬遅延時間が閾値Th以下であるか否かを判定する(合否判定ステップS17)。
次に、表示部24は、伝搬遅延時間算出ステップS16で算出された伝搬遅延時間と、合否判定ステップS17で得られた判定結果を表示する(ステップS18)。
次に、制御部26は、全ての試験信号に関する処理が終了したか否かを判定する(ステップS19)。否定判定の場合には模擬メッセージ生成ステップS11に戻り、肯定判定の場合には処理を終了する。例えば、ステップS11〜S18の処理は、100msの間に百数十回程度繰り返される。
さらに、図5のフローチャートの処理は、温度制御部36により被試験車載機10の周囲温度を変化させて複数回実行されるとともに、電源電圧制御部37により被試験車載機10の電源電圧を変化させて複数回実行される。
以上説明したように、本実施形態に係る伝搬遅延測定システム100は、生成時刻情報埋込部28とタイムスタンプ付加部30とを備えることにより、被試験車載機10が多数のメッセージを受信する処理負荷の大きい状況において、暗号化と復号の処理時間を含むメッセージの伝搬遅延時間を測定することができる。また、本実施形態に係る伝搬遅延測定システム100は、得られた伝搬遅延時間が許容範囲内にあるか否かを合否判定部35により判定することにより、被試験車載機10の品質管理を行うことができる。これにより、品質の悪い車載機が市場へ出回ることを防止し、交通事故の発生率を低減する効果が得られる。
また、本実施形態に係る伝搬遅延測定システム100は、合否判定部35により、被試験車載機10の処理能力が安定しているか否かを判定することができる。
また、本実施形態に係る伝搬遅延測定システム100は、被試験車載機10の周囲温度を変化させて伝搬遅延時間の測定を行うことにより、周囲温度の変化に対する被試験車載機10の耐性を、伝搬遅延時間の変化に基づいて評価することができる。
また、本実施形態に係る伝搬遅延測定システム100は、被試験車載機10の電源電圧を変化させて伝搬遅延時間の測定を行うことにより、電源電圧の変化に対する被試験車載機10の耐性を、伝搬遅延時間の変化に基づいて評価することができる。
10 被試験車載機
11 フレーム受信処理部
12 復号部
13 フレーム受信部
14 復調部
15,31 フレーム処理部
20 伝搬遅延測定装置
21 メッセージ処理部
22 暗号化部
23 フレーム送信処理部
27 模擬メッセージ生成部
28 生成時刻情報埋込部
29 メッセージ取得部
30 タイムスタンプ付加部
32 変調部
33 フレーム送信部
34 伝搬遅延時間算出部
35 合否判定部
36 温度制御部
37 電源電圧制御部
40 温度制御装置
50 電源電圧制御装置
100 伝搬遅延測定システム

Claims (5)

  1. 伝搬遅延測定装置(20)を備える伝搬遅延測定システム(100)であって、
    前記伝搬遅延測定装置は、
    車載機を模擬した複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成する模擬メッセージ生成部(27)と、
    前記模擬メッセージ生成部により前記模擬メッセージが生成された時刻を示す生成時刻情報を、ビットスチール方式により前記模擬メッセージに埋め込む生成時刻情報埋込部(28)と、
    前記生成時刻情報埋込部により前記生成時刻情報が埋め込まれた前記模擬メッセージを暗号化する暗号化部(22)と、
    前記暗号化部により暗号化された前記模擬メッセージを含む複数の試験信号を生成する試験信号生成部(31,32)と、
    前記試験信号を被試験車載機(10)に送信する試験信号送信部(33)と、
    前記試験信号送信部から送信された前記試験信号を受信する試験信号受信部(13)、前記試験信号受信部により受信された前記試験信号から前記模擬メッセージを抽出するメッセージ抽出部(14,15)、及び、前記メッセージ抽出部により抽出された前記模擬メッセージを復号する復号部(12)を備える前記被試験車載機により復号された前記模擬メッセージを取得するメッセージ取得部(29)と、
    前記メッセージ取得部により前記模擬メッセージが取得された時刻を示すタイムスタンプを、前記メッセージ取得部により取得された前記模擬メッセージに付加するタイムスタンプ付加部(30)と、
    前記タイムスタンプ付加部により前記タイムスタンプが付加された前記模擬メッセージについて、前記タイムスタンプが示す時刻と前記生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出する伝搬遅延時間算出部(34)と、
    前記伝搬遅延時間が所定の閾値以下であるか否かを判定する合否判定部(35)と、を備えることを特徴とする伝搬遅延測定システム。
  2. 前記合否判定部は、所定期間にわたって前記伝搬遅延時間算出部により算出された全ての伝搬遅延時間の最大値と最小値の差が所定範囲内に収まっているか否かを更に判定することを特徴とする請求項1に記載の伝搬遅延測定システム。
  3. 前記被試験車載機の周囲温度を変化させる温度制御装置(40)を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伝搬遅延測定システム。
  4. 前記被試験車載機の電源電圧を変化させる電源電圧制御装置(50)を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の伝搬遅延測定システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の伝搬遅延測定装置(20)を用いる伝搬遅延測定方法であって、
    車載機を模擬した複数の仮想車載機から周期的に送信される模擬メッセージを生成する模擬メッセージ生成ステップ(S11)と、
    前記模擬メッセージ生成ステップで前記模擬メッセージが生成された時刻を示す生成時刻情報を、ビットスチール方式により前記模擬メッセージに埋め込む生成時刻情報埋込ステップ(S12)と、
    前記生成時刻情報埋込ステップで前記生成時刻情報が埋め込まれた前記模擬メッセージを暗号化する暗号化ステップ(S1)と、
    前記暗号化ステップで暗号化された前記模擬メッセージを含む複数の試験信号を生成する試験信号生成ステップ(S2)と、
    前記試験信号を被試験車載機に送信する試験信号送信ステップ(S2)と、
    前記試験信号送信ステップで送信された前記試験信号を受信する試験信号受信ステップ(S3)と、
    前記試験信号受信ステップで受信された前記試験信号から前記模擬メッセージを抽出するメッセージ抽出ステップ(S3)と、
    前記メッセージ抽出ステップで抽出された前記模擬メッセージを復号する復号ステップ(S4)と、
    前記復号ステップで復号された前記模擬メッセージを取得するメッセージ取得ステップ(S14)と、
    前記メッセージ取得ステップで前記模擬メッセージが取得された時刻を示すタイムスタンプを、前記メッセージ取得ステップで取得された前記模擬メッセージに付加するタイムスタンプ付加ステップ(S15)と、
    前記タイムスタンプ付加ステップで前記タイムスタンプが付加された前記模擬メッセージについて、前記タイムスタンプが示す時刻と前記生成時刻情報が示す時刻との差を伝搬遅延時間として算出する伝搬遅延時間算出ステップ(S16)と、
    前記伝搬遅延時間が所定の閾値以下であるか否かを判定する合否判定ステップ(S17)と、を含むことを特徴とする伝搬遅延測定方法。
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