JP2019053875A - 燃料電池システム - Google Patents

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Keitaro Yamamori
啓太郎 山森
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Abstract

【課題】燃料電池スタックに供給される水素の水素濃度の低下を検出する。【解決手段】燃料電池システムは、複数の単セルを有する燃料電池スタックと、燃料電池スタックに水素を供給するアノードガス供給系と、燃料電池スタックに供給される水素の水素圧力を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能な圧力センサと、複数の単セルのセル平均電圧を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能な電圧センサと、水素圧力が時間とともに周期的に変化している状態で、セル平均電圧の電圧変化周期が水素圧力の圧力変化周期と一致する場合に、燃料電池スタックに供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定する水素濃度低下判定部と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、水素供給流路を介して水素タンク内の水素を燃料電池に供給する(例えば、特許文献1)。
特開2009−021024号公報
水素タンク内の水素に不純物が混入している場合、その不純物がアノードガス還流管に滞留し、アノードガス還流管から燃料電池に供給される水素の濃度が低下してしまい、燃料電池の単セルが負電圧となり劣化する恐れがある。本発明は、燃料電池に供給される水素の濃度の低下を検出する技術を提供する。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、複数の単セルを有する燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに水素を供給するアノードガス供給系と、前記燃料電池スタックに供給される水素の水素圧力を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能な圧力センサと、前記複数の単セルのセル平均電圧を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能な電圧センサと、前記水素圧力が時間とともに周期的に変化している状態で、前記セル平均電圧の電圧変化周期が前記水素圧力の圧力変化周期と一致する場合に、前記燃料電池スタックに供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定する水素濃度低下判定部と、を備える。
この形態の燃料電池システムによれば、水素濃度低下判定部は、セル平均電圧の電圧変化周期が水素圧力の圧力変化周期と一致する場合に、燃料電池スタックに供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定できるので、別途水素濃度を測定する構成を設けることなく水素濃度の低下を検出できる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、水素濃度低下の判定方法等の形態で実現することができる。
第1実施形態における燃料電池システムの概略構成を示す説明図。 セル平均電圧及び水素圧力の時間的変化の一例を示す図。 水素濃度低下判定のフローチャート。 第2実施形態における水素濃度低下判定のフローチャート。 水素濃度低下時のFC電流とインピーダンスの時間的変化の例を示す図。
・第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態における燃料電池システム10の概略構成を示す説明図である。燃料電池システム10は、例えば、車両に搭載され、運転者からの要求に応じて、車両の動力源となる電力を出力する。燃料電池システム10は、燃料電池スタック20と、アノードガス供給系50と、カソードガス供給排出系30と、冷却媒体循環系70と、制御部80と、DC/DCコンバータ90と、パワーコントロールユニット(以下「PCU」と称する)91と、電圧センサ92と、を備える。
燃料電池スタック20は、積層された複数の単セル24と、これら複数の単セル24を両側から挟持する2つの集電板23、2つの絶縁板22及び2つのエンドプレート21とを有する。単セル24は、図示しない膜電極接合体と、膜電極接合体のアノード及びカソードの両側から挟持する2枚のセパレータとによって構成されている。
アノードガス供給系50は、燃料電池スタック20に水素を供給する。アノードガス供給系50は、アノードガスタンク40と、アノードガス供給管60と、アノードガス還流管61と、排気排水管58と、を備える。
アノードガスタンク40は、数十MPaの圧力で高圧水素ガスを貯蔵している。アノードガス供給管60は、燃料電池スタック20とアノードガスタンク40とを接続し、アノードガスタンク40内の水素を燃料電池スタック20に導く。アノードガス供給管60には、アノードガスタンク40側から、シャットバルブ41と、レギュレータ51と、インジェクタ54とが設けられている。レギュレータ51は、水素の圧力を上流側の圧力よりも低い圧力に調整する。インジェクタ54は、制御部80からの制御信号によって水素の吐出時間及び吐出時期が制御されることにより、水素の流量及び圧力を調整する。
アノードガス還流管61は、燃料電池スタック20から排出されたアノード排ガスをアノードガス供給管60に還流させる。アノード排ガスには、発電に利用されなかった水素が含まれている。アノードガス還流管61を流れた水素は、アノードガスタンク40から供給された水素とアノードガス供給管60の下流部60dで合流して、燃料電池スタック20に供給される。
アノードガス還流管61には、燃料電池スタック20側から、気液分離器56と、アノードガス循環ポンプ55とが設けられている。気液分離器56は、燃料電池スタック20から排出されたアノード排ガスから水素を含む気体を分離する。分離後の気体は、アノードガス循環ポンプ55によってアノードガス供給管60に還流される。気液分離器56に残った残留気体と液水は、気液分離器56下部のシャットバルブ57と排気排水管58を介して外部に排出される。
アノードガス還流管61とアノードガス供給管60との合流点C1の上流側で、インジェクタ54の下流側には、圧力センサ52が設置されている。圧力センサ52は、インジェクタ54及びアノードガス還流管61から燃料電池スタック20に供給される水素の水素圧力を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能である。「予め定めた時間」とは、水素圧力を測定可能な時間であり、例えば、数秒程度の時間である。
カソードガス供給排出系30は、燃料電池スタック20へのカソードガスの供給及びカソードガスの排出を行う。図1の例では、カソードガスとして空気が採用されている。カソードガス供給排出系30は、カソードガス供給管32と、バイパス管38と、カソードガス排出管39とを備える。
カソードガス供給管32は、一端が燃料電池スタック20と接続され、外部の空気を燃料電池スタック20に導く。カソードガス供給管32には、空気の入口側から、外気温度センサ35と、エアフローメータ34と、コンプレッサ31と、三方弁33とがこの順に設けられている。外気温度センサ35は、取り込む前の空気の温度を測定する。エアフローメータ34は、取り込んだ空気の量を測定する。コンプレッサ31は、取り組んだ空気を圧縮する。三方弁33は、バイパス管38と接続され、燃料電池スタック20とバイパス管38への空気の流量を調節する。バイパス管38は、カソードガス排出管39と接続されている。
カソードガス排出管39は、上流側の端部が燃料電池スタック20に接続されており、その途中がバイパス管38と、アノードガス供給系50の排気排水管58とに接続されている。カソードガス排出管39は、燃料電池スタック20から排出されたカソード排ガスと、バイパス管38に分流された空気と、排気排水管58から排出された残留気体と液水とを外部に排出する。また、カソードガス排出管39には、調圧弁36が設けられている。調圧弁36は、カソードガス排出管39とバイパス管38との接続部位よりも燃料電池スタック20側に位置する。調圧弁36は、燃料電池スタック20に供給された空気の圧力を調整する。
冷却媒体循環系70は、燃料電池スタック20を冷却する。冷却媒体循環系70は、冷媒供給管74と、冷媒排出管73と、ラジエータ71と、バイパス管77と、三方弁75と、冷媒ポンプ72と、を備える。冷媒としては、例えば、水、エチレングリコール等の不凍水、空気などが用いられる。冷媒ポンプ72は、冷媒供給管74に設けられており、冷媒を燃料電池スタック20に供給する。三方弁75は、ラジエータ71とバイパス管77への冷媒の流量を調節する。
DC/DCコンバータ90は、制御部80の制御に応じて燃料電池スタック20から出力された電圧を昇圧してPCU91に供給する。PCU91は、インバータを内蔵し、制御部80の制御に応じて負荷(図示せず)に電力を供給する。
電圧センサ92は、複数の単セル24のセル平均電圧を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能である。セル平均電圧は、例えば、燃料電池スタック20の両端総電圧を単セル24の数で割って測定できる。「予め定めた時間」とは、セル平均電圧を測定可能な時間であり、例えば、数秒程度の時間である。
制御部80は、CPUとRAMと不揮発性メモリとを備えるコンピュータとして構成されており、具体的にはECU(Electronic Control Unit)である。制御部80は、水素濃度低下判定部81と、インピーダンス計測部82とを有する。水素濃度低下判定部81は、アノードガス供給系50に設置された圧力センサ52から送信された水素圧力値と、電圧センサ92から送信されたセル平均電圧値を用いて、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下しているか否かを判定する。この詳細については後述する。インピーダンス計測部82は、燃料電池スタック20の出力端子間に交流信号(電圧もしくは電流)を重畳させ、出力端子間の交流電圧と出力端子間を流れる交流電流を同時に測定することによって得られた信号の比(電圧/ 電流)から、燃料電池スタック20のインピーダンスを計測する。インピーダンス計測部82は、省略されてもよい。なお、制御部80は、発電要求を受けて、燃料電池システム10の各部を制御して燃料電池スタック20を発電させる。
図2は、燃料電池システム10(図1)の運転時に燃料電池スタック20の複数の単セル24のセル平均電圧及び燃料電池スタック20に供給される水素圧力の時間的変化の一例を示す図であり、本発明の発明者による検証結果である。図2によれば、水素圧力は、時間とともに周期的に変化している。この状態において、セル平均電圧は、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下している時、すなわち、水素濃度が予め定めた基準値以下である時に、時間とともに周期的に変化する。セル平均電圧の電圧周期Tvは、水素圧力の圧力変化周期Tpと一致する。ここで、水素濃度低下の理由として、アノードガスタンク40に予め不純物が混入していること、及び、燃料電池スタック20の発電中にカソードガスからの窒素等の不純物がアノードガス還流管61に滞留すること、が考えられる。一方、セル平均電圧は、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が正常である時、すなわち、水素濃度が予め定めた基準値よりも高い時には、周期的に変化しない。なお、「予め定めた基準値」とは、燃料電池システム10(図1)が所期の出力性能を維持するための水素濃度の下限値である。
図3は、燃料電池システム10(図1)の運転時に、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下しているか否かを判定するフローチャートである。燃料電池システム10が運転している際に、制御部80は、アノードガス供給系50(図1)のインジェクタ54の水素の吐出流量を要求出力に応じて制御している。これにつれて、燃料電池スタック20に供給される水素の圧力は、図2に示すように時間とともに周期的に変化している。ステップS110において、水素濃度低下判定部81は、アノードガス供給系50の圧力センサ52が予め定めた時間に亘って連続的に測定した水素圧力値を取得する。ステップS120において、水素濃度低下判定部81は、電圧センサ92が予め定めた時間に亘って連続的に測定したセル平均電圧値を取得する。ステップS110における予め定めた時間と、ステップS120における予め定めた時間は、同一時間としてもよく、異なる時間としてもよい。また、これら2つの予め定めた時間は、水素圧力の圧力変化周期及びセル平均電圧の電圧変化周期それぞれを計測できるように設定されることが好ましい。
ステップS130において、水素濃度低下判定部81は、ステップS110で取得した水素圧力値から圧力変化周期を読み取り、ステップS120で取得したセル平均電圧値から電圧変化周期を読み取り、それらの周期を比較する。水素濃度低下判定部81は、電圧変化周期が圧力変化周期と一致しない場合には、ステップS110に戻る。一方、水素濃度低下判定部81は、電圧変化周期が圧力変化周期と一致する場合には、ステップS140に移行する。ステップS140において、水素濃度低下判定部81は、水素濃度低下と判定し、すなわち、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定する。ステップS110〜ステップS140は、燃料電池システム10の運転中に繰り返して実行される。
以上説明したように、第1実施形態では、水素濃度低下判定部81は、セル平均電圧の電圧変化周期が水素圧力の圧力変化周期と一致する場合に、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定できるので、別途水素濃度を測定する構成を設けることなく水素濃度の低下を検出できる。
・第2実施形態:
図4は、第2実施形態における燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下しているか否かを判定するフローチャートであり、図3に対応する図である。図4は、図3のステップS130とステップS140の間にステップS135とステップS137を加え、ステップS140の後にステップS150を加えたフローチャートである。図4では、ステップS135において、インピーダンス計測部82(図1)は、燃料電池スタック20のインピーダンスを計測する。ステップS137において、制御部80は、ステップS135で計測したインピーダンス値を予め定めたインピーダンス基準値と比較する。ここで、図5を用いてステップS137を説明する。
図5は、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下している時の燃料電池スタック20の電流とインピーダンスの時間的変化の一例を示す図であり、本発明の発明者による検証結果である。図5によれば、水素濃度低下時に、燃料電池スタック20のインピーダンスは、予め定めたインピーダンス基準値Rfを超過している。「予め定めたインピーダンス基準値」とは、燃料電池システム10(図1)が所期の出力性能を維持するためのインピーダンスの値であり、例えば90mΩ以上で110mΩ以下、好ましくは100mΩ程度に設定されている。
図4に戻り、ステップS137において、制御部80は、計測したインピーダンス値が予め定めたインピーダンス基準値以下である場合には、ステップS110に戻る。一方、制御部80は、計測したインピーダンス値が予め定めたインピーダンス基準値を超過している場合には、ステップS140に移行する。こうすれば、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下しているか否かを確実に判定できる。
ステップS150において、制御部80は、水素濃度増加制御を実行する。具体的には、制御部80は、例えば、アノードガス供給系50のインジェクタ54の吐出量を増加することと、アノードガス供給系50のアノードガス循環ポンプ55の回転数を増加することと、アノードガス供給系50の気液分離器56のシャットバルブ57の開頻度を増加することの少なくとも1つを実行する。ステップS150は、ステップS110〜ステップS140と別個独立に実行されてもよい。但し、ステップS150は、省略されてもよい。
第2実施形態においても、水素濃度低下判定部81は、セル平均電圧の電圧変化周期が水素圧力の圧力変化周期と一致する場合に、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定できるので、別途水素濃度を測定する構成を設けることなく水素濃度の低下を検出できる。また、第1実施形態と第2実施形態を組み合わせることにより、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下しているか否かの判定の精度をより高めることができる。なお、第2実施形態によれば、燃料電池スタック20に供給される水素の水素濃度が低下していると判定された場合には、インジェクタ54の吐出量を増加する対策や、アノードガス循環ポンプ55の回転数を増加する、気液分離器56のシャットバルブ57の開頻度を増加する等の対策を実行するので、燃料電池スタック20における水素欠乏を軽減させることが可能である。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…燃料電池システム
20…燃料電池スタック
21…エンドプレート
22…絶縁板
23…集電板
24…単セル
30…カソードガス供給排出系
31…コンプレッサ
32…カソードガス供給管
33…三方弁
34…エアフローメータ
35…外気温度センサ
36…調圧弁
38…バイパス管
39…カソードガス排出管
40…アノードガスタンク
41…シャットバルブ
50…アノードガス供給系
51…レギュレータ
52…圧力センサ
54…インジェクタ
55…アノードガス循環ポンプ
56…気液分離器
57…シャットバルブ
58…排気排水管
60…アノードガス供給管
60d…下流部
61…アノードガス還流管
70…冷却媒体循環系
71…ラジエータ
72…冷媒ポンプ
73…冷媒排出管
74…冷媒供給管
75…三方弁
77…バイパス管
80…制御部
81…水素濃度低下判定部
82…インピーダンス計測部
90…DC/DCコンバータ
91…パワーコントロールユニット(PCU)
92…電圧センサ

Claims (1)

  1. 燃料電池システムであって、
    複数の単セルを有する燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックに水素を供給するアノードガス供給系と、
    前記燃料電池スタックに供給される水素の水素圧力を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能な圧力センサと、
    前記複数の単セルのセル平均電圧を予め定めた時間に亘って連続的に測定可能な電圧センサと、
    前記水素圧力が時間とともに周期的に変化している状態で、前記セル平均電圧の電圧変化周期が前記水素圧力の圧力変化周期と一致する場合に、前記燃料電池スタックに供給される水素の水素濃度が予め定めた基準値以下であると判定する水素濃度低下判定部と、
    を備える、
    燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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